虫姫さま

【むしひめさま】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売元 AMI
【PS2】タイトー
【Win/Steam】デジカ
開発元 ケイブ
稼働開始日 2004年
プレイ人数 1~2人
判定 良作
ポイント 選べる3つのモード
初心者から超上級者まで安心の作り
シンプルながら無駄の無い操作系統
鼻声ノーパンヒロイン、鮮烈デビュー
ケイブ弾幕系STGリンク


概要

ケイブが製作した弾幕STGの一作であり虫姫さまシリーズの第一作目。
3種類のタイプ、3種類の難易度を選択してプレイできる単純明快な弾幕STG。

ストーリー

「今」とは違う時間軸、大半が砂漠と化した地球では硬い甲羅を持った巨大な節足動物「甲獣」が跋扈し、
人間は彼らを神と崇め片隅でひっそりと暮らしていた。
そして、200年に一度、15歳の成人になった者を「贄」として甲獣さまにささげることで、その地に住むことを許されていると言われていた。
主人公レコ姫が15歳になった頃、彼女の住むホシフリの里では謎の疫病が流行していた。
幼い頃、甲獣の住むシンジュが森で不思議な少年と出会い、贄の証であるブレスレットを貰っていたレコ姫は、
父である王の要請により贄として森へ行くことになったのであった。

システム

  • 操作は1レバー3ボタン。Aがショット、Bがボム、Cがオートショット。ショットは連射と長押しでフォーメーションとスピードが切り替わるケイブシューではお馴染みの方式だが、オートショットの自動連射は最速ではない。
    • ボムは『雷電』シリーズのような投下後に範囲攻撃を行うタイプ。爆風が発生するまでに若干のタイムラグが存在するが、無敵と弾消し効果はボタンを押した瞬間から発動する。
      • ボムボタンを押してから爆風が発生するまでの間にレバー入力を行う事で投下中のボムの軌道をコントロールでき、爆風の発生位置をある程度調整が可能。
  • ゲーム開始時、難易度を「オリジナル」「マニアック」「ウルトラ」の3段階から選択できる。マニアック以上の難易度ではショットを撃ちこむ事でボーナスを得られる「撃ちこみカウンタ」というシステムが増える。
    • オリジナルは弾が少なめ(従来のケイブシュー比)で初心者をはじめ気軽に縦STGを楽しみたいプレイヤー向け。ただし弾速がマニアックより速め(ケイブタイトル全体で見ても速い部類)で、どちらかと言うと旧来の縦STGを意識したゲームモード。
    • マニアックは中級者以上で弾を避けるスリルと爽快感を味わいたいプレイヤー向け。弾の量はオリジナルより著しく多いが、逆に弾速は全体的に抑えられている。所謂いつものケイブシュー方式のモード。
    • ウルトラは初期状態では選択できず、タイトル画面で特殊コマンドを入力することで解禁される隠しモード。*1
      圧倒的な量と速さの弾を掻い潜っていく事になる、『怒首領蜂』シリーズの2周目に相当する超上級者向けモード。これを選ぶと最後に真ボス「アキ&アッカ」が追加される。
      • モードの内容が内容だからか、このモードのみ選択後に本当に挑戦するか否かの選択肢が表示される。
        絶望に挑戦しますか? いいえ 【上等】
  • また、開始時に自機の性能(ショットタイプとスピード)を3種類から選択できる。
    • M-POWER(緑)は中範囲、中スピードのオールマイティーな性能。
    • W-POWER(赤)は広範囲、低スピードで、ザコ処理に向いている。
    • S-POWER(青)は小範囲、高スピードで攻撃力が高い。
    • 特定の敵を倒した際に出現するアイテムを取得すると、ショットのパワーアップやタイプの変更が出来る。
  • 自機は最大4つまでオプションを装備可能。取得したアイテムによって、自機に追随するトレース、自機の周囲に展開するフォーメーションを切り替えることが出来る。
  • 他にボムアイテムとスコアアイテムの琥珀、1UPアイテムがある。
  • 全5ステージ、1周エンド。
  • 物語上の主人公は「レコ」と彼女を乗せて飛ぶ金色のカブトムシ型の甲獣である「キンイロ」の一組だけであるが、二人同時プレイ対応で、2P側は肌と髪の色が違うレコとキンイロの色違い甲獣になる。*2
    • この2P側のレコにも専用の顔グラフィックが用意されており、ランキング画面で拝める。

評価点

  • 非常に単純明快なゲーム性。
    • 複雑なシステムはなく、純粋に弾幕を避け、敵を倒していく爽快感を味わえるゲームとなっている。
    • エスプガルーダ』まで使用されていた基板から新基板になり、弾数の表示も多くなっているが、『怒首領蜂』と同様に大型敵を倒すと画面全体を弾消しできるシステムを引き継いでバランスを取っている。
  • 難易度選択のおかげで初心者から上級者まで幅広いプレイヤーに対応しており、多くのプレイヤーから好評を得た。
    • 誰でも遊べるオリジナルは本当に弾が少なく、弾避けが要求されるのも中~大型・ボス敵戦相手だけと比較的気軽にプレイ可能。
      • ただし弾速は他のケイブ作品と比較すると破格の速さ*3であり、全くの初心者でも簡単にクリアできるかというとそうでもない。(実際オリジナルとマニアックでの難易度差はそれほど開いていない) ただ「弾幕STG」というよりは通常の「縦STG」に近いプレイ感覚でプレイできるため、STG入門者が縦シューの基本を身につけるには良いバランスになっている。
    • 一方で圧倒的な弾幕量が待ち受けるウルトラをクリアするのは至難の業。相反するゲームバランスを上手く両立できている。
      • 超難易度を誇る真ボスにたどり着いたプレイヤーにより、その発狂を切り抜ける「光点ずらし」というテクニックが開発されたのも有名。最もウルトラのクリアを目標にしないのであれば、そこまで意識する必要はない。
    • この難易度選択要素は後に続編『ふたり』でも引き継がれ、『デススマイルズ』でも似たようなシステムが用意されている。
      • なお、弾が少ないオリジナルと言えど、終盤になれば敵弾がそれなりに多くなりマニアックやウルトラは高速弾を随所に織り交ぜてくる。
  • ケイブSTG恒例の隠し要素・エクステンドアイテムは、今作ではボムを使用しても取得可能と条件が易しめである*4
  • 自然を主体としたグラフィックも美しい。
    • 世界観的に機械などのサイバーチックな要素は一切なく、代わりに緑あふれる森、溶岩吹き出る荒野などが舞台となる。それでいながら巨大な敵のパーツを剥がしながら進むステージなどもあり、少ないステージ数・異色のモチーフながらバリエーションは豊富。
    • 描きこみも素晴らしく、敵キャラの生物的な動きなども良く出来ている。
  • BGMはおなじみ並木学氏が担当。キャッチーかつ幻想的な仕上がりで、世界観に非常にマッチしており評価が高い。
    • 開幕から徐々にアップテンポに盛り上がっていく1面「シンジュが森へ」5面「森のずっと奥の方」、荘厳な真ボス戦「鎮魂の空」などは人気が高い。他にもED曲「きみに頼みたいんだ」など、良曲が揃っている。
    • 終盤のBGMの美しさと合わせて、EDもさり気なく世界観設定を示すと同時に、ケイブシューにしては珍しい純粋に感動的な物になっている。

賛否両論点

  • レコ姫や真ボスにはボイスが用意されているのだが、レコ姫の声がどう聞いても鼻声。
    • というのもレコのボイスはケイブの女性社員が当てている。「素人臭い」のではなく本当に素人の物なのだ。
      今となってはケイブのお約束感もあるが。
    • 本作においてミスした時には甲高い悲鳴を上げる。その声は騒々しいゲーセンの中でもよく響き、聞き分ける必要すらないほど。
  • 明らかに萌えを意識したキャラクターデザインゆえ、少し人を選ぶ。
    • 萌えを抜きにしても、画風にやや特徴が強く癖はある。
  • 2004年稼動でありながら、攻略に連射装置が影響する要素が強い。クリア目的の場合も稼ぎ目的の場合も、連射装置の有無で大分難易度が変わってくる。
    • Cボタン(オート連射)を押しながらAボタン(ショット)を高速で連射することで、A押しっぱなしの状態よりもショットの威力が著しく上昇する(通称「C押A連」)。
      手連の速度では体感できるほどの効果を得るのは難しく、実質連射装置の有無により火力が激変するものとなっている。ボス戦の短縮効果はもちろんだが、それ以上に道中に出現する中型機を瞬殺できるかどうかが変わってくるため、難易度への影響は結構大きい。
    • 稼ぎ目的の場合、「撃ち込みカウンタ」の仕様上単にショットを撃ちっぱなしにするより「メインショットを軽く連打してオプションレーザーだけを当てる」(A連)「メインショットを高速で連打してオプションレーザーを当てないようにする」(C連)を適宜使い分けたほうがスコアが高くなる(通称「カウンタ跳ね上げ」)。
    • 上記の仕様を踏まえ、AボタンCボタンそれぞれに連射装置が付く店舗もある。家庭用移植版でも連射設定はかなり細かく設定できるようにされている。
      基本的にオート連射が完備されているケイブのSTGで連射装置の重要性が高いタイトルはかなり珍しい(他はデススマイルズくらい)。
  • ボムの性能がかなり低い
    • 数あるケイブシューでもボムの攻撃力・弾消しの有効時間が指折りの弱さ。
      怒首領蜂シリーズのようにミスでボム数が増える仕様もなく、ステージごとの補充も1個のみであるため、全体としてボムに頼った攻略は難しい。
    • 基本的にSTGとしてスタンダードな路線を追求している本作であるが、この点に関しては過去のケイブSTGと比較しても珍しい部類の調整である(基本的にケイブSTGのボムはかなり強力な性能を持つことが多い)。
  • タイトルから分かるとおり、自機も敵も虫だらけ。虫が苦手な人は向かないかもしれない。
    • 特に序盤にはオブジェクトを破壊すると下に大量の虫が蠢いていたりと、人によっては気色悪く感じやすいギミックがある。
    • 最も、悪趣味過ぎるというほどではない。

問題点

  • オプションアイテム(を持った雑魚)の多くは、中ボス戦とほぼ同時に出現する。
    • 時間経過でトレース・フォーメーションが切り替わりながら漂う上、中ボスの弾幕も相まって狙った回収が難しい。
      • 出現時に自機が装備しているオプションタイプを参照しない為、配列にこだわるプレイヤーは1週するにあたって何度かは嫌でも切り替わりを待ってから回収する事になる。
  • 自機のパワーアップの性能差が激しい。
    • M-POWER(緑・中間タイプ)が他の2種に比べて極めて性能が低く、デフォルトでカーソルが合っているにもかかわらず使い物にならないと評されている。
      ただしショットの発射位置が自機を覆う形になっている為、雑魚が横から高速で突っ込んで来る場面が多い後半ではオプションに頼らずともカバーできる。
    • S-POWER(青・高速タイプ)は性質上オリジナルモードで性能を発揮するほか、撃ち込み点が他のタイプより高くなるため、マニアックでも稼ぎに使うことも可能(ウルトラでは流石にクリアが厳しい)。
      スピードを生かしたダイナミックな回避が得意な反面、きめ細かい弾避けは辛い。連射性能が高く火力も距離を問わず安定するが密着時の火力は全タイプ中最低
    • W-POWER(赤・低速タイプ)は移動速度が極めて遅いが、この遅さが激しい弾幕を細かく避けるのに向いている。ただし、すり抜け不可能な弾の壁には弱い
      ショットも連射性能こそ悪いものの攻撃範囲が広く、また密着時の火力は全タイプ中ぶっちぎりのトップとなる(逆に密着しないと火力は低い)。マニアックやウルトラを攻略するプレイヤーに好まれる。
  • AC版の初期版では2P側でウルトラモードの真ボス「アキ&アッカ」に到達すると、戦闘中にリセットがかかってしまう致命的なバグが存在する。
    • バグ修正済のバージョンも存在する*5が、数は多くないため、ウルトラモードを攻略する場合は1P側でプレイしなければならない。
  • Xbox360の移植版では一部原曲BGMに不具合がある。
    • あまり指摘されないのだが実はボス戦BGMのサビが抜けていたり、ラスボス戦BGMのイントロの音色がパペパプーになってしまっていたりする。

総評

色モノなタイトルながら堅実で幅広くプレイできる良作弾幕シューティング。
虫が苦手な人には奨めづらいが、今なお愛されているタイトルのひとつである。
また、様々な場面で喋る女性主人公などは後のケイブシューに色んな意味で影響を与えており、ある意味欠かす事のできないタイトルと言えよう。

移植・続編など

  • イベント限定のバージョンとして、弾速の強化やオプションのフォーメーションを変更できるといった要素を追加した『虫姫さまBlue Label』が稼動した。
  • 他にオンラインショップ/特典DLC限定で販売されたバージョン『虫姫さま Ver 1.5』(ケイブ祭りver1.5とも呼ばれる)が存在する。タイトル画面が青であること、ショットの仕様など一部Blue Labelの要素も取り入れられているが、基本的に別物。
    • Ver1.5は自機の性能向上と敵の配置を大幅に増加したバージョンになっている。更に初期の自機パワーをMAXにする代わりに難易度を大幅に上昇させるモードも選択可能。これはオリジナル・マニアック・ウルトラそれぞれに存在し、特にオリジナルはスコアシステム自体が変化する。
    • 敵の配置こそ増加しているものの、通常モードに関しては敵弾の速度が低下している(特にオリジナルモードはかなり抑えられている)ため、原作よりもやや難易度は下がっている。ただし、敵の増加に従い所々でオリジナル版(以下無印)より難易度が上がっている区間もあったり、アキなどは一部の攻撃が変更されていたりする。また、弾速が抑えられた事で逆に被弾しやすくなった攻撃もチラホラ…
    • 一方パワーMAXモードは最初からクライマックスと言わんばかりの難易度になっており、特にオリジナルモードでランクが上昇した時の強烈すぎる弾速や語り草。ただしオートボムが作動するという一応の救済措置も。
      • 選択時に「最初からMAXパワーで始まりますが敵の攻撃が激しくなります」と注意書きも表示される。実際には攻撃が激しくなると言うより弾速が速くなるのだが…
    • 無印に存在したショット性能の過度な格差は修正されており、緑ショットでも問題なく進行できる。またC押A連での火力上昇テクも修正され、通常プレイに関しては連射装置なしでもずいぶん楽になっている。マニアック・ウルトラのカウンタ跳ね上げに関しては健在であり、稼ぎ目的では引き続き連射があったほうが便利。
  • PS2とXbox360向けに移植されている。PS2版の販売はタイトーだが、開発はケイブ自身が行った。Xbox360版は販売、開発共にケイブが行っている。
    • 両ハードとも独自要素を追加したアレンジモードが収録されている。360版のものはPS2版からの再調整版である。マニアックモード準拠だがラスボスはウルトラモードの真ボスが登場(流石に少々弱体化されている)。
    • 360版は初回生産分限定で上述のVer1.5を導入できるダウンロードトークンも付属した。
      • PS2版はオリジナルモードでの敵弾の弾速がアーケード版よりも速い、多少処理落ちが異なる、5面BGMのループに不備がある、といった違いがある。オリジナルモードがアーケード版よりも難易度が上がっている点を除けば移植度は悪いものではない。
        しかしPS2版発売当時、アリカが開発を担当した『怒首領蜂大往生』『エスプガルーダ』などの移植度が当時としては群を抜いていたため、それらとの比較を受け評価はイマイチ芳しくなかったようである。
        それでも長らく『虫姫さま』の家庭用ハードへの移植としては唯一のものであったため、360版発売までの間はかなりのプレミアがついていた。
      • Xbox360には上述の通りBGMに不具合があるが、ゲーム自体の移植度は問題ない。同作発売にともなってPS2版のプレミアも概ね沈静化した。アーケード版から大幅に難易度を下げた「ノービス」モードが追加されている。
  • 2015年11月6日には上記Xbox360版に準拠したWindows移植版がSteamで配信開始。
    • 360版の初回特典限定だったVer1.5に加え、サントラ(MP3&FLAC形式)がDLCとして配信されている。また、360版にあったBGMの不具合は修正されている。
    • この移植がケイブ初のPCゲームデビューで、後に『デススマイルズ』と『怒首領蜂大復活』がSteamを介して移植されている。 日本のSteamユーザーから好評を得たDegicaからの販売ということもあり、ローカライズなどの心配は杞憂といえるだろう。今後に期待がかかる。
  • 直接的な続編として『虫姫さまふたり』がある。こちらは昆虫に加え恐竜もフィーチャーされている。

余談

  • 本作の登場以降、レコ姫はある種ケイブの看板娘ポジションを勤めることになる。
    • 魚ポコのキャラ差し替え版「パズル!虫姫さまたま」なるゲームが登場、ケイブの斜め上路線全壊な一作。
    • 当時ケイブで展開していたiアプリサイト「ゲーセン横丁」で多くの待ち受けやオリジナルアプリゲームの多くが配信。「恋愛すごろく怒きゅ~ん」では最初期からヒロインを務めた。
    • スマートフォンアプリオリジナル作品として「虫姫さまBUGPANIC」が存在。こちらはアクションゲーム。
    • ソーシャルSTG「ドン☆パッチン」「ゴシックは魔法乙女」はどちらも最初期から登場。まさにケイブを代表するヒロインといったところか。
      • 『ゴシックは魔法乙女』ではなんとCVが変更されて棒読み度が激減するという事態に。変更の良し悪しはプレイヤー次第…なのか?
  • 本作の真ボス「アキ&アッカ」はプレイヤーに試練を与えているという設定のため、ミスすると「君ならできるよ」「ほら、しっかり!」と激励を飛ばしてくるのだが、その言い方や弾幕もあってか「君ならできるよ(笑)」などとネタ化されている。
    • 「次は君に頼みたいんだ」などと言う割には、全力で殺しに来る狂気の弾幕を張って来るため、「頼む気ゼロじゃねーか!」とよく言われる。
  • 本作のAC版ではネームエントリー後にパスワードが表示されるが、これは当時、前述の「ゲーセン横丁」内に設けられていた本作のハイスコアランキングへ登録するためのもの(現在は終了済)。
    このようなインターネットランキングを設けるのは当時のケイブとしては珍しい試みである。
  • ケイブのプログラマーにして現執行部員である池田恒基氏が公式で、本作のウルトラモードのコンセプトについて「人類に挑戦してみようかな、と…」と答えたり、主人公のレコについて「はいてない」と発言したりしている。