戦国エース

【せんごくえーす】

ジャンル 縦スクロールシューティング
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対応機種 アーケード
販売元 バンプレスト
開発元 彩京(彩アート京都)
稼動開始日 1993年
備考 家庭用移植版は下記「移植・続編など」を参照
判定 良作
彩京STGシリーズ

                                   東方戦國綺譚
                                      ―死して屍、ひろふ者なし―


概要

  • 和装の異人や呪術法力、果ては戦闘機や奇形のメカが飛び交う奇天烈な戦国時代を舞台とする縦スクロールシューティング。海外版タイトルは『Samurai Aces』。
  • 低迷傾向にあったシューティング界に新風を吹き込んだ『SONIC WINGS』のスタッフがビデオシステムから独立して立ち上げた、彩アート京都(後の彩京)のデビュー作。
    • その特徴を色濃く受け継ぎつつ、後に「彩京弾」と呼ばれる独特の敵弾の確立、破天荒な世界観、異様に濃いキャラクターによって人気を集めた。
  • '93年度ゲーメスト大賞ベストSTG賞受賞。同年にデビューしたライジングの『魔法大作戦』とともにSTG新時代の到来を予感させる強烈なインパクトを与えた快作である。

ストーリー

"天命! 邪神伏滅"

はるか昔、東のはての物語。
そこでは華やかな町民文化と高度な技術力、そして古の呪術が同時に矛盾なく存在し、永く太平の世を保っていた。
しかし、あるとき邪教集団「神羅教」が邪神の復活を以て世の転覆を目論み、その生け贄として将軍家の娘、月姫を誘拐した!
それぞれの思いを秘め、集結する6人のエースたち。
今ここに、驚異の空中戦が始まる!

特徴

  • 操作系統は1レバー+2ボタン(ショット・ボム)
    • ショット(Aボタン)
      • セミオート(1回押すと数発が自動で発射される)。設置店舗によってはフルオート連射ボタンを追加している場合も多い。
        パワーアップアイテムを取得することで3段階にレベルアップが可能。2段階目からはサブウェポンが追加される。
        ただし、最大レベルで一定量のショットを撃つと自動的に1段階レベルダウンする*1
    • スペシャルアタック(Bボタン)
      • いわゆるオーソドックスなボム。初期で2個所持、最大6個までストック可能。
    • スーパーショット(Aボタンを押し続けて離す)
      • いわゆる溜め撃ち。キャラごとに性能とチャージが完了するまでの時間が異なる。
        使用制限などは無く基本的に使い放題だが、チャージ時間は全体的にやや長めに設定されているため隙が大きい。
  • 空中の小型敵に接触するとミスになるが、中型以上の敵は地上・空中を問わず当たり判定が無く、ボスも重なり放題。
  • スコアシステム
    • コイン
      • 特定の敵を倒すと出る得点アイテム。1つにつき200点。
    • ショットレベルMAX時にパワーアップアイテムを取ると2000点、ボム最大所持時にボムアイテムを取ると10000点のボーナス。
    • 残機は2機+40万点到達で1機増える(デフォルト設定)。
  • 7ステージ×2周の全14ステージ構成。2P協力プレイ可能。
    • 前半の3面は4つのステージからランダムに選択され徐々に難易度が上昇、後半の4面は固定となっている。

プレイヤーキャラクター

"近くば、よって目にも見よ! 戦国六人衆、ただいま見参!!"
キャラクターデザインには人気イラストレーターの中村博文氏を起用。

  • "セクシーな女忍者" 疾風 (はやて)のジェーン
     & "驚異の忍者グライダー" 飛影<とびかげ>
    + "セクシーダイナマイツ!"


     金髪で、蒼い瞳を持つ美貌の女忍者。
     この国の領主のお庭番であり、邪教粉砕の密命を帯びている。

     年齢:21歳 / 性別:女 / 職業:忍者 / CV:江森浩子
    • メインショット……苦無型の直進弾。
    • サブウェポン……前方斜めに飛び、着弾するか一定距離進むと炸裂する高威力の小型爆弾。
    • スーパーショット:必殺! "大天龍"……前方一直線に飛ぶ手裏剣状の貫通弾。
    • スペシャルアタック:科学忍法 "華の舞"……回転しながら画面中央に浮かび上がり、四方八方に花の攻撃を撒き散らす。
      • 一応の主役的ポジションのくの一。本名はジェーン・ファーラントで、次回作『戦国ブレード』に登場するユーニスの姉。
        リーチは短いが高威力、接近して撃ち込めば大火力を叩き出すサブウェポンが武器。
        やや機動力と溜め撃ちの威力が低くショットの幅も狭いが、ボムの緊急回避性能が高く全体的に扱いやすい性能。
  • "痛快!和尚のエアバトル" ターボ坊主 天外
     & "和尚をのせてどこまでも" 怪鳥 善次郎<ぜんじろう>
    + "攻撃力ナンバーワン!"


     邪気を感じ、この国にやって来た旅の僧。巨漢で怪力。
     うす汚れた風体をしているが、凄まじい法力の持主でもある。

     年齢:50歳 / 性別:男 / 職業:仏僧 / CV:郷里大輔
    • メインショット……弾丸型の直進弾。
    • サブウェポン……中威力の数珠型直進弾。
    • スーパーショット:数珠光輪"……前方に大きく蛇行しながら飛ぶ一対の巨大数珠。
    • スペシャルアタック:坊主念仏地獄……正面に直進する漢字状の衝撃波を連射。
      • 煩悩だらけの坊主。本名は狩野天外。
        最もスピードが低い一方で火力に優れ、溜め撃ちはチャージ時間が長い代わりに攻撃範囲が非常に広いパワーキャラタイプ。
        ボムが当たりにくく、弾消し範囲も狭いのが難点だが、当たり判定が小さいため使いこなせれば悪くない性能。
        アインとの同時プレイ時はアインの兄貴となったが、ジェーンとの同時プレイ時は女好きな部分も見せた両刀のためかあまりネタにされていない。
  • "知能指数は1300!!" 超天才犬 犬王丸<けんおうまる>
     & "超音速ドッグファイター" ブルーファング
    + "鉄壁の守りを見よ!"


     ハイテク戦闘機を自在に操る天才犬。
     人語を解し、自ら「獣の王」を名乗る絶対の自信家である。

     年齢:不明 / 性別:雄 / 職業:天才犬 / CV:江森浩子
    • メインショット:弾丸型の広角弾。
    • サブウェポン:前方に加速しながら飛び、着弾すると敵に食い込む首輪状の直進弾。
    • スーパーショット:首輪バリア……前方に5つの巨大な首輪を設置し、接触した敵弾を消去する。多少の攻撃力もあり。
    • スペシャルアタック:絶天狼抜刀牙……扇状に赤い犬型衝撃波を乱射する。高橋よしひろ先生に申し訳が立たない技。
      • ジェット戦闘機を駆る天才エロ犬。犬だけにドッグファイター、っておい。
        何と言っても広角に敵弾を消去できるバリアを張れるのが特徴。また、唯一のワイドショットを持っておりスピードも高め。
        しかしバリアのチャージ時間は長く、火力も低いためボスに長期戦を強いられる。使いこなすにはしっかりしたパターン化が必要。
  • "神にかわって、おしおきよ!" 暴れん坊巫女 こより
     & "紅の鳥居型複葉機" ゴッドワフーン
    + "強力な誘導兵器を装備!"


     その破天荒な性格ゆえ、修行の旅に出された「神社のあばれん坊」。
     見かけによらず、その法力は高い。

     年齢:17歳 / 性別:女 / 職業:巫女 / CV:江森浩子
    • メインショット……巫女さんが持っているあれの先に付いた紙状の直進弾。
    • サブウェポン……敵を自動捕捉・自動追尾する「技」と書かれた中威力のお札。
    • スーパーショット:おふだ乱れ撃ち……「力」と書かれた貫通性のあるお札を前方に乱射。
    • スペシャルアタック:おみくじボム……おみくじ箱を投下し、広範囲に結界を張る。名前の通り、ランダムで「吉」か「凶」のどちらかが出る。「吉」が出ると持続時間が長く時間当たりの攻撃力が低く、「凶」が出るとその逆の性能となる。
      • 彩京の名物キャラとなる煩悩だらけの巫女。本名は富樫こより。胸が貧しく顔つきもまだ幼さが残るが、次回作『戦国ブレード』では…。
        便利なホーミング弾と持続時間の長い溜め撃ちを持っており、接近して撃ち込めばかなりの火力を発揮する。
        一方で遠距離戦での火力に欠け、当たり判定が大きく、ボムの発動が遅いため緊急回避性能にも難あり。やや上級者向け。
  • "愛する妹の救出に燃える" 閃光のアイン
     & "情け無用の戦闘機" 震電 J-9
    + "男ならこれを選べ!"


     剣技に秀でた異人侍。行方不明の妹を探し、この国に辿り着く。
     金髪にチョンマゲ、隻眼という風体。

     年齢:25歳 / 性別:男 / 職業:侍 / CV:江川央生
    • メインショット……弾丸型の直進弾。
    • サブウェポン……着弾すると小さな爆風を起こす高威力の矢型直進弾。
    • スーパーショット:フレイムアロー……前方に貫通性のある火の矢を7本放つ。
    • スペシャルアタック:サムライソード……男気一発の貫通衝撃波。徐々に加速する弾なのだがダメージは時間単位らしく、至近距離から当てると低速状態で長時間当たる事で威力が跳ね上がる。その威力は他キャラのボムの比ではなく、当て方によっては1撃で葬れるボスも。
      • こよりとともに彩京の名物キャラとなる異様ないでたちのお侍。本名はアイン・シャイン。
        基本的に「心配性なシスコン*2の脳筋」と言う以外は(比較的)まともなキャラだったのだが、天外との同時プレイ時の掛け合い及びエンディングのおかげでネタキャラ・ガチホモ路線が確定した(逆に言うと(続編はともかく)本作では天外と以外にホモネタは無い)。ただしそれでも「好漢」という一面は一貫している
        性能の方は攻撃が全て直線的なことを除けば万能的に扱いやすく、強力な溜め撃ちとサムライソードのおかげでおそらく最強キャラ。
  • "蘭学者+万能ロボ=無敵!?" からくり屋 源内
     & "スーパー蘭学戦闘機" エレキテル壱号
    + "6機中最速を誇る!"


     世紀の天才蘭学者。蘭学による理想郷の実現を夢想し、
     助手の万能からくりロボ「蘭丸」と共に世直しの旅に出る。

     年齢:77歳 / 性別:男 / 職業:蘭学者 / CV:郷里大輔
    • メインショット……波動弾型の直進弾。
    • サブウェポン……前方両脇に低威力の電気状貫通レーザーを照射。
    • スーパーショット:スーパーエレキテル……両斜めに電光弾を放つ。画面の両端に当たると跳ね返る。
    • スペシャルアタック:空爆ロボ援護攻撃……巨大な蘭丸君が4体飛来し、全画面を爆撃する。
      • 本名は平乃源内。蘭学と称した奇天烈兵器を操るじじい。キテレツついでに助手の蘭丸君がどう見てもコ○助。
        最速キャラだが当たり判定が大きく、サブウェポンはフルパワーなら攻撃範囲が広い代わりに威力は非常に低い。
        さらに溜め撃ちの軌道が特殊、ボムも発動すれば強いが出が遅い…と、外見通りかなりクセのある性能。


評価点

戦国+撃墜王=珍妙奇天烈な世界観
  • 「戦国時代」+「エース(撃墜王)」というおよそ縁の薄い要素を組み合わせた時点で普通ではないセンスが窺えるが、この型破りな世界観こそが本作最大の持ち味(断言)。
    そもそもストーリーで「永く太平の世を保っていた」とある時点で既に戦国でもなんでもない*3
    • 女忍者や坊主、侍に蘭学者に巫女といったパイロットに依頼主である殿様、敵対する邪教集団といった要素は一応戦国だが何故かパイロットの1人…もとい1匹はである。
    • そして自機はグライダーに怪鳥…までは何とか分かるが、鳥居を模した真っ赤なレシプロの複葉戦闘機に単葉戦闘機(しかも震電ときた)、さらにはジェット戦闘機SF戦闘機という時代設定無視・統一感皆無の何ともフリーダムな構成。
    • しかし自機はまだマシな方で、ステージに目をやると気持ち悪い能面やら人面魚は山ほど出るわ、不気味な石仏や地蔵のオンパレードだわ、盆踊りのやぐらは四足歩行で襲ってくるわ、般若みたいな戦車が迫ってくるわ、甲冑や風神雷神みたいなメカが当たり前のようにジェット飛行してるわ、五稜郭みたいな城が空中浮遊してくるわ、何の意味もなくでかいダルマは転がってるわ(こっち見んな)、極めつけにたまに信楽焼のタヌキがラスボスで出てくるわ、あまりに奇天烈すぎて目眩がするような光景である。
  • この手のビジュアルはこの時代のゲーム、特に中小メーカーの作品にはありがちではあるが(そして大抵バカゲーかクソゲーになるが)、しかし…。
    • 本作の世界観はぶっ飛んでるなりに謎の調和が取れており、ただの情緒不安定なだけのゲームにはなっていない。ましてや外人が変な偏見で描いた間違った日本像でもない。
      和風なデザインの軸がブレていない安定感、一流のイラストレーターを招いている安心感もあるが、何より見た目だけでなくきちんと内容が伴った、遊んでいて面白いゲーム設計の賜物でもある。
 
  • その中村博文氏による6人のキャラクターもまた、揃いも揃って異様に濃い輩揃い。
    • 中でもガチホモキャラとしてブレイクする風雲はだか侍アイン、次回作で(身体の一部が)急成長する煩悩巫女こより*4は彩京ブランドを象徴する人気キャラクターとして定着し、ゲーセンを大いに賑わせた。
      「男は読経じゃ!」などと宣う男塾にいそうな天外和上の「ターボ坊主」「和尚のエアバトル」なる文面なども地味に狂っている。アインの愛機、震電のキャッチコピーにある「情け無用の戦闘機」に至っては最早どこから突っ込んでいいものか。
    • いろいろ際どいパロディネタも含まれているが、当時はこういうノリも特に珍しくはない大らかな時代であった。銀○にセー○ーム○ンにコ○助…。
彩京シュー独自のゲーム性の確立
  • 実際にやってみればすぐ分かるのだが、このゲームは序盤からいきなり多方向に向かって高速で敵弾が飛んでくる。いわゆる「彩京弾」である。
  • 時代背景として、この頃のシューティングは東亜プラン系をはじめとして単発の狙い撃ちorランダム高速弾を軸とするものが主流で、その多くは弾避けに反射神経とセンスを要するもの。
    集中力を高めてかわすストイックな楽しみがあった一方で、人によっては全く手が出せないといった風潮もあった。
    • こうした傾向に一石を投じたのが本作で多用された「広範囲に」「法則性の強い」「高速弾を飛ばす」というパターン性の強いスタイル。
      弾幕の幅が広いため敵弾を目視して軸をずらすだけでは横の弾に当たってミスしやすいが、一方で方向や型が固定されている攻撃が多く、最初から当たらない場所があるのでそこに動けば全く避ける必要も無い。
    • 一見激しい弾幕なのに、避け方のパターンや安全な位置取りを掴めば誰にでも敵弾をすり抜ける感覚を味わえる彩京弾の登場は多くのプレイヤーに受け入れられ、本作のヒットに大きな役割を果たした。
 
  • デビュー作なだけにまだ敵の攻撃・配置が洗練されていない部分は多々あるが、その分難度は低く、動き方とボムの使いどころを覚えていくことで着実に前に進んでいけるような構成。
    難度が上がる2周目も恐怖の撃ち返し弾が無いので、彩京の2周目にしてはかなり簡単な部類である。
    • 敵の耐久力は低く設定されており、中型・大型敵には当たり判定も全く無いので、安全なタイミングや位置で重なってショットやボムを撃ち込むとボスでも驚くほど簡単に撃破できる
    • また、『ソニックウイングス』からの流れとして、フルパワーで撃ちまくっていると自動的にパワーダウンする。
      このため溜め撃ちを活用してショットを節約したり、アイテムを泳がせてギリギリで取っていくことでフルパワー持続時間とスコアを伸ばす戦略性もある。
    • この至近距離戦の爽快感と稼ぎ要素は彩京の次回作『ガンバード』でさらに開花することとなる。
  • 「ステージの構成が短く、1プレイにかかる時間が短い」「前半面がランダム順」という特徴も『ソニックウイングス』からのもの。
    当時大流行していた格闘ゲームに押されないようなインカム(設置店舗の収益)を稼ぎつつも、プレイヤーを飽きさせない工夫である*5。こうした構成は以降の彩京シューティングの基本形となる。
    • ところどころに破壊できる敵弾が混じっているところもソニックウイングス譲りだが、こちらは本作限りの採用となった。
    • ボスの変型前に複数のパーツを同時に壊すことで稼げる要素、隠し敵キャラの仕込みといった意欲的な要素にも取り組んでいる。
演出はノリ良く、テンポ良く
  • 演出のテンポの良さも『ソニックウイングス』から受け継がれ、さらなる発展を遂げた。
    ステージや敵キャラのくどいまでの濃さとは裏腹に、ステージ間のセリフ演出やキャラごとに用意されたエンディングはより軽快に進み、プレイヤーを退屈させない。
    • また、全組み合わせで異なる2人プレイ時のキャラの掛け合い、マルチエンディング要素に凄まじく力が入っており、計15通りもの組み合わせによる一癖も二癖もある展開が繰り広げられる。
      超兄貴』のサムソン&アドンに続いて兄貴界の魁となった天外&アイン、百合界の魁となったジェーン&こよりなど、危ない要素が満載されたマルチエンディングは必見。
  • 本作では敵側にもキャラクター性が加えられているのも特徴で、人型パワードスーツに身を包んだ機忍四天王「地龍」「水瑚」「火燕」「風牙」との対決が前半面では中ボスとして、6面では四人が合体した巨大ロボ「機忍頭領 金剛王」がボスとしてプレイヤーの行く手を阻み、ステージ進行を盛り上げる(さらにその後7面でリベンジ戦も用意されている)。
    • 出現位置を押さえて撃ち込むと気合の入ったボイスとともに登場した瞬間に瞬殺できるのでかなりマヌケにも見えたりするが、それもまた本作の味。
  • BGMはかなり暗く不気味でこれまた異様。デロデロとしたお経的なノリの曲が終始続くため悪く言えば非常に地味だが、世界観が世界観だけに奇妙にゲームにマッチしている。
    • 一方でステージクリア時に流れるいやに軽快なBGMとのギャップも謎の中毒性を持つ要素である他、4面の雲海ステージでは「空中にある邪教集団の拠点へ乗り込む」というシチュエーションに似つかわしいい勇ましいBGMが設定されている。

問題点

中盤以後の高難易度
  • 序盤3面こそ誰でも突破出来るほどの難易度だが、4面雲海ステージ、5面天空城ステージともなると弾速と弾幕が非常に厳しくなり、倒す順番を少し間違えただけで即終了という展開が非常に多くなる。その様は「弾が放射されるのを見てからでは既に手遅れ」「放射された地点で回避不可能」という弾幕と弾速のオンパレード。
    • このため中盤以後は中型機の出現と同時に瞬殺しなければならない箇所も多々あるのだが、今度は自機の真下にいる敵の放った弾に当たってミスを続出するという悪循環に陥るプレイヤーが後を絶たなかった。
残機数とミスからの立て直しが厳しい
  • エクステンドアイテムは無く、残機は初期の2機+40万点到達時のエクステンド1機、計3機しかないので、1度のミスの重みが大きい。クリアを目指すならボムの抱え落ちなど許されないだろう。
    • 普通にプレイしていた場合エクステンドに到達するのは概ね5面辺りなのだが、肝心の5面道中も非常に厳しい。
  • ミスするとその時点でパワーレベルが0に戻されるのだが、アイテムは基本的に上方向に行ってしまうため、パワーアップアイテムを取りに行こうとしてまたミスということもざら。
    • かといってパワーアップアイテム無しで進めると中型機を処理しきれずにそのまま敵弾に追い込まれるという状況に追いやられるため、極端な話「1度でもミスをするとクリアが遠のく」「ミスした場所によってはクリア断念もやむなしで即捨てゲー」という場所も珍しくない。
    • 後の作品ではパワーレベルが1以下だと場所を問わずパワーアップアイテムを持った敵部隊が出現するという救済措置が設定されるようになった。
ボス戦BGMが無い
  • ボス戦に入っても専用のBGMが無く、ステージ曲が流れ続けるだけ。最終面ではボス戦になると緊迫感のあるBGMが流れるが、逆に道中(中ボス戦含む)が無音
    ステージ曲のインパクトの強さで多少和いではいるが、ただでさえお経なBGMでこれは(最終面は演出上あえてそうしているとしても)さすがに単調で寂しい。
未熟なグラフィック技術
  • ハード性能の制限による発色の少なさの影響もあるが、この当時として見てもお世辞にもグラフィックの質は高いとは言えない。
    • 敵キャラのデザインや描き込みなどには非常に気合が入っているものの、背景に関してはメリハリの無いのっぺりした箇所が目立つ。
      特に実写を取り込んでそのままドットにしたような違和感があり、他の面に比べて明らかに浮いている山面、延々土の地面が続くだけの6面ボス戦などで顕著。
  • この後の彩京のグラフィック技術は着実な進歩を遂げていくことになるが、当時まだ創業間もない弱小メーカーだった頃の限界が窺える。
スコアアタックが運ゲー
  • ステージ構成にランダム要素が絡む彩京シューティングでは多かれ少なかれスコア稼ぎに運要素が絡んでいるのが常だが、本作はその中でも運ゲー要素が非常に強い。
    稼ぎを突き詰めるとステージの出現順で大まかな限界スコアが決まってしまうため、構成面の詰めが甘い点は否めない。
    • 1面で町ステージが出るか出ないか、その道中の破壊可能オブジェクトからランダムで出るアイテム如何で得点が大きく変わる。
    • 4面のボス「風神ロボ」or「雷神ロボ」では雷神の方が稼げるが、これもどちらが出るかはランダム。更に言うと雷神の方が手強く風神の方が弱いため、クリアラーにとっても辛い。
    • こういった運要素が絡んでくる場面が非常に多く、さらにこれが2周目も続くため、結局ハイスコアを狙うとベストな構成が出るまで根気良くやり続けなければならない。
      最悪の場合は1面が町面以外だっただけで捨てゲーという末期的な症状を発症する者も現れた。
      これも踏まえると「ボムを抱え落ちした」「序盤若しくは立て直しが難しい場所でミスをした」「稼げるパターンに入らなかった」などクリアラー的にもスコアラー的にも捨てゲーやむなしな状況に陥る事が多いというのが悲しいところである。
置いてけぼりのストーリー
  • ストーリーにもある通り本来は「拐われた月姫を救出する」という物語なのだが、エンディングでその事に(僅かでも)触れているキャラは約半数。それ以外は月姫救出などそっちのけで自分の世界へ突入する。
後半4面はコンティニューをするとステージ最初からやり直しになる
  • このためいくらコンティニューしても腕がなければエンディングに到達できない。この作品自体がストーリーやキャラクター面もそれなりに作られているため、肝心のエンディングに到達するにはそれなりの腕が必要になる。しかも高難易度の2周目ならまだしも、1周目からこの仕様。
    • 前述の通り後の作品に比べると難易度こそ易しいほうだが、それを差し引いても終盤はパターンを知らなければ即死必須の弾幕と弾速の連続である事も考慮すると、パターン組みの観点から言えば必ずしも悪いことばかりではない。
    • 最後の手段として事前にクレジットを大量投入しておき、ゲームオーバー画面になる前に1Pと2Pを交互に途中参加させれば、ステージ最初からやり直しになることなく進めていくことも可能。手元は忙しくなるがどうしてもクリア出来ない場合は試してみるのも手。前述の通り後の作品に比べれば難易度も低めなので、慣れない人でも3、4回もコンティニューすれば一応エンディングは見られるだろう。
  • これらの「腕が無ければエンディングに到達できない」という仕様は彩京のシューティングゲームの特徴として後の作品にも受け継がれていく。

総評

奇天烈極まりない不条理な世界観の裏に、シンプルに遊べるとっつきやすさと質の良さあり。
一歩間違えればバカゲーと見なされそうなインパクトを持ちながら多くのゲーマーに歓迎された驚異のルーキー・彩京の一撃は、格闘ゲームブームの影に埋もれつつあったシューティングに異変を起こす存在となった。
『ソニックウイングス』で成功を収めた要素を下地に、「彩京弾」の新たな方向性が生み出した独自の面白さは今も色褪せていない。
敵弾がそこまで複雑に作り込まれていない分彩京のゲームにしては難易度も低いため、誰でもクリア出来るとまでは断言できないが比較的とっつきやすいゲームである事も間違いないだろう。
グラフィック・サウンド面やスコアシステムなどまだまだ未成熟な部分も見られるが、処女作にしてこれだけの完成度と衝撃をもたらしたことは特筆に値する。
また、濃い連中揃いのキャラクターも人気を集め、シューティングでもキャラで魅せられるということを如実に示した一作でもある。
本作のアクが強すぎた部分、尖りすぎていた部分は彩京の次作『ガンバード』でよりマイルドに、幅広く楽しめる方向に進化を見せ、数々の個性的な彩京作品へと発展していく。



余談

  • 初っ端からいろいろ飛ばしているが、思えば本作のスタッフはビデオシステム所属時から、訳の分からない世界観の『ラビオレプス』に『ターボフォース』、マトモなのにたまにラスボスが唐突に猛烈さる爆弾になる『ソニックウイングス』と、時折イカレたセンスのシューティングを繰り出していた。そんな彼らが独立してリミッター抜きに作った結果なので、本作の爆誕もまた必然と推察される。
  • キャラ性能はバランスが洗練されているとも悪すぎるとも言い難いところだが、使いやすいキャラと使いにくいキャラの2極化が見受けられる節はある。
    • 手っ取り早くクリアを目指したいならとりあえずアインを使うべし。
      • スピードの高さと攻撃力の高さ、そして何より男気一発なサムライソードを装備する情け無用の戦闘機である。つべこべ言わず男ならこれを選べ!
    • 次点でジェーン、天外といったところだろうか。犬王丸、こより、源内はそれぞれクセが強いので上級者向け。
  • なぜか次回作『戦国ブレード』では海外版タイトルが『Tengai』になったなぜよりにもよって天外か*6
    • ちなみに敵側の機忍四天王のうち紅一点の火燕(かえん)も次回作で再登場し*7(主に司淳氏の描く乳くb素晴らしいイラストのおかげで)密かな人気が出た。
  • 当初は人気作『ソニックウイングス』の匂いが強く感じられるゲームが聞き慣れないメーカーから出たため、パクリ疑惑も噂されていた。
    今から考えると、「あるゲームを作ったスタッフが環境を変えて作った新作にパクリ疑惑がかけられる」という(TOFFTのような)事例の最初の一件だったのではないかと思われる。
    • スコア等の文字フォントやパワーアップ・ボムアイテムの形状がソニックウィングスシリーズのそれにそっくりな作品が多かった(一部ファンタジーものを除く)のも彩京シューの特徴…と言えなくもない。本作はその代表。
  • また本作には『ソニックウイングス』同様、全キャラクター共通のバッドエンディングも存在する。それも「ゲームオーバー」ではなくれっきとした「バッドエンディング」が。
    • ただし条件を満たすのが厳しい…と言うか面倒くさいため、普通にプレイしていては見る機会がまずない。*8

移植・続編など

  • プレイステーション2版(2004年12月2日/TAITO BEST:2005年12月1日、タイトー)
    • 『彩京シューティングコレクション 戦国エース&戦国ブレード』として次回作とカップリング移植。
    • 移植度に関してはそこそこ問題ない出来だが、効果音が大きすぎるのとセーブデータ管理の面でやや難あり。
      AC版のベタ移植なので特典要素は皆無に近く(『戦国ブレード』SS版で使えたマリオンもいない。ましてや「ときめきアイン占い」などというとち狂った特典も勿論無い)、初回限定版特典のスーパープレイDVDにイラストギャラリーが入っているだけ。ファンアイテムとして欲しい人は要注意。
      • パッケージで-彩京を象徴するキャラであるアインが完全にハブられているというのが逆に面白い。やはりあれか。ホモだからか*9
  • 『戦国ブレード -SENGOKU ACE EPISODE II-』(1997年4月)
    • 新キャラを加え、横スクロールSTGになって帰ってきた続編。
      「飛蒼石」という宝玉によって空を飛べるようになったという設定で、キャラがそのまま自機として飛び回るゲームに変更された。
    • 目測を合わせにくい横スクロールで高速の彩京弾が飛び交うためかなり難しいゲームだが、キャラ人気が後押ししてこちらも上々の人気を獲得している。
      • ただし難易度的には本作とは打って変わって高難易度路線の片鱗が見えるため、演出面やキャラゲーとしての進化を差し引いても軽い気持ちでプレイするのは無謀。
  • 戦国キャノン -SENGOKU ACE EPISODE III-(2005年7月)
    • 『戦国エース』『戦国ブレード』から続くシリーズ3作目だが、こちらはCS機オリジナル版となっている。
    • 一応タイトルこそ戦国シリーズを名乗っているが、1人プレイ専用になった事でキャラクター同士の掛け合いが無くなった他、ステージや敵の攻撃などが大味で、グラフィックやキャラクターの演出も前2作に比べて劣化しており評価は低い。
      • ただしキャラクターの改悪やバグ等は無く、致命的に遊べないほどお粗末な出来ではないため、あくまで「シリーズとして見れば紛れもなくクソだが、いちSTGとしてはそれなりに遊べる」という評価になっている。
  • 戦国エース for Nintendo Switch(2018年2月15日/シティコネクション)
    • ダウンロード専売。オプション設定も難易度から残機数、コンティニュー回数などの設定が細かく可能。縦画面を横に90°回転させたモードも搭載。
  • 彩京 SHOOTING LIBRARY Vol.2(2019年8月29日/シティコネクション)
    • パッケージ版のみ。Switchに配信されている彩京ソフトのうち、『戦国』シリーズ3作と『ガンバード』シリーズ3作の計6タイトルを収録。
  • Windows(Steam)版(2020年5月20日/シティコネクション)
    • Steamでのダウンロード販売。Switch版の仕様をベースに、スコアアタックモードが追加されている。
  • プレイステーション4版(2022年7月28日/シティコネクション)
    • パッケージソフト『彩京 SHOOTING LIBRARY Vol.2』に収録。また、同日に単品ダウンロード版も配信開始。
  • Xbox One版(2022年7月28日/シティコネクション)
    • 単品ダウンロードソフトとして配信。
  • iOS版(2020年4月/)
    • mobirix開発のスマホ版。基本的に原作を忠実に再現した内容で評価も良好。
    • こちらの一番の欠点として挙げられるのなら、2P協力プレーが削除され1P専用ゲームになってしまった点。今作は1Pサイドでは謎だった内容が2P協力時に明らかになる演出も多いのだが、なによりも、アインが風雲はだか侍になった理由が分からなくなってしまっているのは否めない…

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最終更新:2023年01月13日 04:35

*1 これは「SONIC WINGS」から引き継がれている仕様

*2 ソロプレイ時は、妹が神羅教にさらわれたと勘違いして戦っている。

*3 強いて言うなら戦国時代というよりは江戸時代に見えなくもないか。

*4 "急成長"は、キャラデザが中村氏から司氏に代わった影響と思われるが。

*5 当時のシューティングはやり込むと1時間越えが当たり前だったが、彩京シューティングは粘ってもせいぜい1周15分程度、2周オールしても30分程度でさっくり終わる。

*6 どうやら、海外版の設定では天外はフランス人としてローカライズされているらしい。なぜよりにもよってフランス人か。

*7 アインに惚れていたが、例の通りあさっての方向に行ったため愛憎を滲ませていたらしい。

*8 具体的に言うとラスボスを破壊せずに逃した場合はバッドエンディングに直行なのだが、ラスボスの猛攻の中そこまで耐える事自体が至難の業である。

*9 本当のところは『戦国ブレード』のキャラの集合絵をそのまま持ってきただけなので、隠しキャラ扱いだったアインはいない。しかし裏面でも無視されているので、意図的に隠蔽されている可能性も否定できない(一応搭乗機の震電は写っている)。