注意:ここでは、AC版『怒首領蜂最大往生』(不安定/賛否両論)と、360移植版である(劣化ゲー)について紹介する。


怒首領蜂最大往生

【どどんぱちさいだいおうじょう】

ジャンル 弾幕シューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 ケイブ
稼動開始日 2012年4月20日
判定 ゲームバランスが不安定
賛否両論
ポイント 本格派高難易度弾幕STG
演出・BGMは好評
過去ファンに嬉しい演出
賛否両論のキャラ要素
『大往生』譲りの高難易度
ケイブSTGシリーズ

概要

ケイブの看板作品『首領蜂』シリーズ最新作。
「『怒首領蜂大往生』の時点で終結させる予定のシリーズを、会社上層部の意向より文字通り『大復活』させられてしまった事を受け、今作で本当にシリーズを完結させる」
という思いを込め、タイトルロゴは「」の文字があしらわれている。…が、その意図は無かったことが後に判明した。

「クールでスタイリッシュな新しい怒首領蜂」「2012年版の『大往生』」がコンセプト。
文字通りシステム・ゲーム性から敵のデザインに至るまで、『大往生』の方向性を進化・発展させたものになっている。


ストーリー

精鋭「首領蜂隊」に指令が下る。
コンピュータの統治下にある、戦争とは無縁の「理想の街」。
そこに入り込んだ“機械化惑星人”を排除すべく、コンピュータシステムを武力で停止させよ――
言い掛かりに近い命令に疑問を抱くパートナー・エレメントドールの問いに
パイロットが返した答えは『首領の命令は絶対』ということだけだった。

翼を共にするエレメントドールは、ただパイロットの無事を祈る。
最後の戦いへ向けて。


基本システム

  • 5面+αの1周エンド。
    • シリーズで半ば伝統と化していた2周目がまさかの廃止。長時間プレイによるインカムやプレイヤーの集中力等への影響を考慮したのだろうか。
    • ただし、2周目相当の難易度でゲームが開始される要素はある(後述のエキスパート強化)。
  • 攻撃手段は大往生とほぼ同じショット連射、レーザー、そしてボム&ハイパーの3ボタン。今作ではレーザーを撃つと画面内の星アイテムが自動回収されるようになった。
    • ハイパーシステムは攻撃力と得点率&敵の攻撃速度が上昇。発動した瞬間は画面上の敵弾が全てスコアアイテムに変化し、画面上部に表示されるゲームランクが上昇する(ハイパーシステムの発動レベル/2、端数切り上げ)。
      大復活同様にゲージを貯めきった瞬間から使用可能*1だが、逆に大復活と異なりハイパーシステム終了時の弾消しが存在しない。
      大往生同様に複数個のハイパーシステムが貯まるようになった。今回は最大10回分で、やはり一回のハイパーシステム作動ですべてを吐き出す。レベルに応じて攻撃力・スコア・ゲームランクそれぞれの上昇率も高くなる。
      • レベル6以上は発動時の演出が派手になり、ショット、レーザー共にレベル5以下と比べて攻撃範囲が更に強化される。
    • 通常時は星アイテムでもハイパーゲージは溜まっていくが、ハイパーシステム発動中はオーラ撃ちか蜂アイテムでのみ上昇する、効果時間中に溜めきると敵弾消去が発生する。
      • なので、中型機による敵弾消滅&星アイテム出現に合わせハイパーが切れるように使用開始場所を調整することにより、ハイパーからハイパーにつなぐ事も可能*2
    • ゲームランクは最大50で、敵弾の物量と速度に影響を及ぼす。被弾かボム使用でのみ減少する。
    • 『大復活』より導入された、被弾時に自動的に低威力のボムを発動して緊急回避を行う「オートボム」機能も搭載。今回はON/OFFを切り替えることが出来る。
      • ただし本作のオートボムはONにするとミス時にボムの最大所持数が増えなくなるばかりか、一度発動するとボムストックをすべて失うため、保険としての意味合いはかなり薄れている。
        そのため、ゲームにある程度慣れてボムの決め撃ちを含めたパターンを構築できるならボムを多く撃てるオートボムOFFを推奨される事もある。
      • 上記の仕様上オートボムOFF時に限られるが、ハイパー状態中に被弾ミスしてもボム最大ストック数が増える点は『大復活』と同じ。
  • 自機は全3種類から選択。
    • 前方集中型のTYPE-A、可変ショットのTYPE-B、ワイドショットのTYPE-Cで、それぞれに専属のパートナーアンドロイド「エレメントドール」が同乗する。
      • TYPE-Aは『大往生』のソレとほぼ同等の性能。ショット強化時の火力が高く、機動力も「速すぎない」程度に速いので今作でもっともクリアしやすいといわれている。
        エレメントドールは勝気な金髪美女「朱里(しゅり)」(CV:ゆかな)。レーザー強化時は眼鏡+白衣の保険医スタイル、EX強化時は派手なスリングショット。
      • TYPE-Bは『大復活』のバイアクスと同じく移動方向にショットが曲がる、いわゆる「Bヘリ」機体。従来作とは異なり、曲がる速度は極端…と言うよりオプションからのショットを3方向に打ち分けられると表現したほうが正しいレベル。かなり癖が強くなったが、ショット強化でなくても広範囲に攻撃できるためレーザー強化との相性は良い。
        エレメントドールは控えめな和装少女「光(ひかり)」(CV:喜多村英梨)。レーザー強化時はワンピース、EX強化時は白いスクール水着。
      • TYPE-Cは『大復活』のスピアヘッド互換。今作では初期カーソルに合わされている*3。道中のザコ敵への強さは相変わらずだが、当たり判定の問題で機動力の遅さが仇となっている。
        エレメントドールはメインビジュアルでも推されているメイド少女「真璃亜(まりあ)」(CV:能登麻美子)。レーザー強化時はセーラー服、EX強化時は水色のビキニ。
    • エレメントドールは「ドレス(戦闘服・私服・水着の3種類)」を変更することで自機の特性を変化させる。そのため、機体バリエーションは実質的に3×3=9種類存在する。
      • ドレスは順にショット強化・レーザー強化・両方のエキスパート強化に対応する。
      • ただしエキスパート強化を選んだ場合、全ステージにわたって敵の攻撃が激化する『大復活BL』のストロング仕様となる。これに加え『大往生』同様ボム所持数が少ない点*4も引き継いでいるので、難易度はシリーズ屈指となる。
      • なお二人同時プレイで途中参加したプレイヤーがエキスパート強化を選んだ場合、参加した自機が現れた時点で弾幕がエキスパート強化のものへ変更される。
  • 得点システムはシリーズ伝統の「コンボ」式。敵を一定時間内に連続で倒すとコンボが成立し、「GPボーナス」が累積されて次の敵の撃破点に追加され、スコアアイテム取得点が「HIT数」に比例して上昇する。
    • 『大往生』『大復活』とは違い、非ハイパー中はコンボが切れてもHIT数と素点が30%減少+時間経過でさらに減少するだけになった。ただしハイパー中にコンボが切れる、またはオートボムが発動すると素点は全て消失。
  • 本作では60秒間コイン投入なしで遊べる「お試しモード」が存在する。基板の設定で「お試しモード」が有効になっている台ではデモ中に「いまだけ60秒無料!!」の表記が追加される。
    • 機体とオートボム選択については制限はないが、ドレス選択は戦闘服(ショット強化)で固定で途中参加は不可能。「お試しモード」中は残機数が無限になり、1面中ボス戦辺りまで遊べる。
      時間切れになるとゲームが一時停止すると同時に、「体験版で遊べるのはここまでです。この続きを遊ぶためにはクレジットが必要です」のテロップが表示され、カウントが終了する前にコインを投入してスタートボタンを押すとそのまま「通常プレイ」へ移行する。
      • なお、「お試しモード」からゲームを続行した場合は「コンティニューをした」扱いとなる。

評価点

『大往生』以来の「ガチンコの弾除け技術が要求される」硬派なバランス

  • エスプガルーダ以降「画面上に夥しい量の弾を吐かせ、自機に弾を消すシステムを搭載して対抗させる」というデザインが連続したため、マニアからは「もはやシューティングじゃない弾消しゲー」という意見もあった。
  • 一方で今作は敵弾消去のシステムが非常に限られている。破壊時に敵弾を消す大型敵機は少なく、能動的な弾消しもボムとハイパーの発動瞬間以外に存在しない。
    ハイパー終了間際の動きを工夫すれば再充填はかなり容易になるとはいえ、これまでよりは「大量の弾をいかに避けるか、あるいは避けないようにどう封殺するか」というSTG旧来の傾向に若干ながら回帰した設計となっている。
    • オートボムは大幅弱体化しながらも健在。何が何だか分からなくても6回被弾までは遊べる。

演出・BGM

  • BGMはもはやケイブシューには欠かせない存在になった並木学氏が担当。これも『大往生』に近く、今回は落ち着いたトランスが基調・一部にブロステップ要素のあるEDM系のサウンドで統一されている。余談だが今作がベイシスケイブ在籍最後の作品で、以降は有限会社M2へ移籍することに。
    • これも恒例だが、真ボス戦のBGMだけはそれまでと一線を画するスピードコア曲である。
    • 前述の通り、過去シリーズのフレーズがこれまで以上に盛り込まれており、シリーズのファンなら思い出しながら楽しむことも。1面BGM「ラン」の評価は非常に高い。
  • グラフィックは青緑のサイバーモチーフを前面に押し出した透明感の高いテーマだが、それ以外(ステージの動きや敵機など)も目立たないながらかなり力が入れられている。2DSTGとしては最高峰のクオリティと言っていいだろう。ボスの登場シーンもそれぞれインパクトあるものになっている。
    • 今回のキャラクターデザインはアルトネリコシリーズの凪良氏が担当。声優もエレメントドール役にそれぞれ能登麻美子氏・喜多村英梨氏・ゆかな氏、オペレーターに下田麻美氏、そしてラスボスには悠木碧氏と、メジャーな女性声優を起用している。
    • エレメントドールやオペレーターはステージ開始時やボス前などの重要なポイントで色々と喋ってくれるため、ゲームの盛り上げに一役買っている。

随所に仕込まれた過去CAVE作へのオマージュ

  • ボス5体は全て『大往生』のボスをリファインしたもの(漢字は違うが読み仮名も同じ(例:凄駆(スザク)→守雀(スザク))。弾幕も『大往生』の攻撃をアレンジしたもので、旧作のファンを楽しませてくれる。
    • 3面は水源地エリア&中ボスは巨大戦艦と、ステージ全体が『ケツイ』3面を意識した構成となっている。ちなみにその巨大戦艦の名称は『怒首領蜂II』の開発元IGS社からとられた「IGS-彩音-」で、この場合のIGSは「インペリアル・ガード・システム」の意味とのこと。
    • 4面中ボス「震顎」は『大往生』の置物巨大砲台「神顎」のリファインだが、登場シチュエーション及び機雷等一部の攻撃が『ケツイ』の4面中ボス「ブラックドラフト」の流れを受け継いでいる。一部の界隈ではこいつの存在感がトラウマになっている。理由は後述。
    • 他にも「明確に過去作の楽曲のアレンジになっているBGM*5」、蜂アイテム取得のSEが『大往生』のものをそのまま使用している、「5面中ボスの登場演出が『大復活』裏ルート限定中ボスのワープアウト」など、細かく上げていくときりがない。
    • 本作の販促用イラスト絵はTYPE-C機内で死んでるであろう首領蜂隊パイロットへ真璃亜が寄り沿うというもので、『大往生』販促用イラスト絵のオマージュといえる構図となっている。
  • 恒例の「ヒバチ」ボスは本作では表の真ボスとして「陽蜂」が登場。その全ての攻撃は過去作の「ヒバチ」で用いられたものの引用となっている。
    • 公式ブログによると「過去作を思い出して」「頑張れば撃破できる」というコンセプトで作られているらしく、従来の真ボスに比べると殺意は若干抑え気味。あくまで「過去作のヒバチ」を経験した上級者にとって頑張れば撃破できるという程度のマイルド化であり、ほとんどのプレイヤーにとっては激烈に難しいことには変わりない…
      • 尤もガチシューターの集うとあるゲーセンの配信台では1時間に1回撃破されるだとか、稼働3台中配信台になっている1台だけで1週間で71回撃破される*6だとか、陰蜂の条件をミスった腹いせに5ボスの幸龍であえて自爆*7等、撃破されることが当たり前になりすぎていて、強さの感覚が狂っている感がある。

賛否両論点

  • 強くなった萌え要素
    • 旧作よりも明らかに正統派な方面で強くなった萌え要素が「世界観に不釣合い」「プレイしてて恥ずかしい」とする硬派なファン層もおり、「萌え要素OK」「可愛いキャラがいる方が良い」といったファン層としばしば論戦が発生している。
    • 『大往生』でも女性サポートキャラはいるものの、それこそ冒頭とクリア時の1枚絵とエンディングでしか登場せず、『大復活』ではそもそも「ボスが美少女型巨大ロボ」というシュールな方面に振りきっていた。それに引き換え今作では有名声優によるボイス、通信時に映る顔グラ、着せ替えにより強化が替わる等、これまで以上に萌え要素が露骨に。
    • フォローしておくとストーリー・世界観は、(ケイブとしては珍しいことに)ごくシリアスな正統派遠未来サイバーパンクSF風味*8*9。彼女らも世界観にそぐわない浮いた発言をするわけでは無く、通信会話等は真剣そのものである。さらに言えばケイブ特有のバカっぽい展開や笑いの斜め上を行く演出(過去作であった社員ボイスまたは独特の言い回し。)も今回は成りを潜めており、ゲーム中のセリフとエンディングからは彼女達がパイロット(即ちプレイヤー)を強く信頼してくれているということが窺える程度。
      • 但し後述するストーリー・EDの味気無さから、これらのキャラ要素を有効に使えてるとは言い難い。キャラクターデザインが優れているだけに非常に勿体無い話である。
    • ラスボスである陽蜂のテンションは特に賛否が分かれた。
      • 戦闘中に従来通りの「蜂型の機動兵器」に変形するとはいえ、初期形態が「光の翼を生やした少女」*10というエスプガルーダ風な見た目に加え、ボム使用時の「バーリアー!平気だもーん」といった軽い口調の喋り(煽り)は、可愛げがあるという意見もあれば雰囲気を壊すという意見もある。
      • ちなみに声優は悠木碧氏。自機がミスすると「ウェヒヒヒヒwwww」といった独特の笑い方をするので、近い時期に登場した同声優によるアニメキャラから取って「まどか蜂」「ウェヒヒ蜂」なんて呼ばれたりも。
      • ある意味本作なりのキャラ性ともとれるが、この空気を読まないキャラのテンションは後述の家庭用にて更に深刻な形に…。
  • 過去のオマージュが多いものの、『怒首領蜂』から皆勤であった名物ボス「雷光」「嵐光」は残念ながら登場しない。
    • 代わりにこの2体をミックスしたような中ボス「災光」が立ち塞がるが、雷光の極太レーザーや嵐光のナパームといった、両者を代表する攻撃はカットされている。
    • 代わりに雷光の接近戦法や嵐光のビット等を受け継いでいるが受け継ぐ場所はそこじゃないと大いに突っ込まれた。
    • ちなみに『大往生』『大復活』と連続で登場した巨大砲台「怒顎(ドガク)」はほぼそのままの形で複数登場する。

問題点

  • 非常に高い難易度と厳しいレベルカーブ。
    • ある程度ゲームに慣れるまでは前述の音楽やグラフィックなどを堪能する余裕は全く無い。「いきなり凶悪な難易度」というところまで『大往生』譲りである。
    • 「弾数が比較的少ない代わりに弾速で攻める」という『大往生』のゲームスタイルに回帰したため、序盤から弾速の速い弾が容赦なく飛び交う。
      • 『大往生』とは異なりゲームランクが可視化されているが、初期状態のランク0の時点でも敵弾の速度が速い。
    • ショット/レーザー強化の自機判定が若干大きめな上に一部の敵弾の判定がシビア*11なのも相まって、従来作の感覚で避けようとすると思わぬ被弾をしてしまう事が多い。
    • 慣れるまでは自機火力アップ以前に敵の攻撃が半永久的に激しくなるハイパーシステムが攻略の邪魔になると感じるだろう。慣れるまでこのゲームをやり続けられるかという別の問題もあるが。
      • ボムとハイパーが共用のボタンな上に、『大往生』とは異なりゲージが溜まり切るとすぐにハイパーが発動可能になる仕様で、ハイパーアイテムを回収せずランクを抑えて進む戦術がとれない。
    • いきなり強い1面ボス、逃げ場なし全方位弾幕の2面ボス、デカい・硬い・すごく強いの三拍子揃った3面中ボスなど、STG初心者の心を折らせるには十分すぎるボス達が勢揃いする。
      • 特に1面の大ボスは「1面ボスにしてはあまりにも強い」と言われた『大往生』のそれよりも凶悪で「シリーズ最強の1面ボス」と評されている。EX強化だと1面中ボスですら…
    • 1upアイテムは「4面中ボスをノーボム(オートボムもNG)で倒す」ことで出現するが、肝心のその「震顎」が非常に強く、ノーミスノーボムで倒すにはかなりの修練が必要。特に第一波のバラマキが非常に凶悪で、上級者でもしっかりハイパーを絡めたパターンを組むほど。下手に狙っては残機かボムまたは両方を無駄にするだけである。
      • 一応ボス自体のランダム要素は少ないため、第一波をハイパーでうまく凌げは第二波の針弾はチョン避けでパターン化可能、第三波は真正面に立たずズレた位置でレーザーを照射、第四波で近距離でオーラ撃ちを浴びせれば回避が難しい第五波が来る前に撃破可能。
        だが4面序盤も非常に難しく、そこまでハイパーを取っておくのも初心者~中級者にはキツイ話である。ここまでくるとエクステンドアイテムなどないものと思ったほうが身のためである。
    • 得点によるエクステンドは露骨に高くはないものの、普通にプレイしていて1度目のエクステンドへ差し掛かるのはたいてい3面終盤~4面序盤になる。これまた肝心の3面がとんでもなく難しいため、実質残機を増やすことすら困難な有様である。
      • かといって稼ぎを意識すると余計に難易度が上がるため、エクステンドすらままならずゲームオーバーになっていくプレイヤーが続出した。
      • ザコ敵破壊の順序を誤ると一気に窮地に陥ってしまう場面が多く、これまでと比べてパターン化の依存度がかなり強い。その上ザコ敵の配置も全体的にいやらしく、中には自機の位置取りによっては照射された地点で回避不可能となる敵弾もあちこちに存在しており、弾速も早いため、とても一筋縄ではいかない難易度になっている。人によっては『大往生』の1周目以上の難易度だという人も。前述の通り大往生以来のガチンコの弾除け技術が要求されるゲームバランスへと原点回帰したが、高難易度・初心者お断り路線としても原点回帰してしまった感が否めない。このような仕様により再び多くの初心者が離れていった。
      • 一応「TYPE-Aのショット強化」という初心者救済的な組み合わせもなくはないが、それでも1コインクリアはおろか、ステージ3~4到達ですら厳しい道のりである。
      • 萌え要素に加えてこの鬼畜難易度の組み合わせであるため、萌え要素で初心者を惹きつける一方で高難易度によって初心者を早々とふるい落とすという矛盾が起こってしまっている。
      • コンティニュー可能なのが唯一にして最後の良心か。いっそのこと「最大往生はコンティニュー連打で遊ぶゲーム」と割り切ってしまったプレイヤーもいるほど。
      • ちなみに公式の見解では「ショット強化:EASY」「レーザー強化:NORMAL」「EX強化:HARD」という『虫姫さま』のような3段階難度とのこと。実態は「HARD」と「HARD」と「VERY HARD」だが。
  • 素点バグの存在
    • 素点が2147万点を超えると素点表示がおかしくなり、敵を一体倒すごとに約43億点という莫大なスコアが手に入るようになる。
      • 当初素点バグは5面道中でのみ発動可能であったが、研究の末3面道中でも起こすことに成功している。
      • 数字を見てピンと来る人もいるだろうが、これは符号付き32bit整数値のオーバーフローに絡んだバグ。『大復活』家庭用アレンジモードでも同様のバグがあった(現在は修正済み)のに何故同じ過ちを繰り返してしまったのか…。
    • 4面までのスコアはどれだけ多く見積もっても200億点に満たず、対してバグを起こしてしまえば短時間で数千億点ものスコアが手に入ってしまう*12。どれだけ4面までの稼ぎを頑張っても、バグによってその頑張りが一瞬で吹っ飛んでしまうのは流石に問題がある。
    • ただし、このバグを起こすためには「ただでさえ難易度の高い道中を完璧に繋げるのは前提の上、完璧なハイパーの運用とリチャージを行い、ランクの高騰による狂った弾速の弾幕をくぐり抜ける」必要があり、実際にバグを起こせる人はほんの一握りである。逆を言えば中級者以下はバグの存在を気にすることなく普通にプレイできる…ということでもあるのだが…。
      • 実際、アルカディア誌上のスコア争いでは、「数千億」や「数兆」など、超上級者以外まずお目にかからないであろう桁数での空中戦が繰り広げられていた。
      • 無論、ソレ以上の値で争われているタイトルとして『黒復活』や『ギガウィング2』もあるが、それはシステムとしてそのスコアが出るように設計されているのであって、バグで一気に兆に達しているこちらとは意味合いが異なる。
  • 前述のキャラ要素と相反するような味気ない世界観・ストーリー描写
    • ケイブ作品の無視できない魅力として「異様に濃いストーリー・世界観」というものがあったが、本作ではどうしても薄さが否めない。
      • せっかくの優れたキャラクターデザインも、設定などの掘り下げが一切ない。
    • エンディングは陽蜂(陰蜂)を撃破すれば陽蜂のセリフとカットが追加・パートナーとの会話が少し変わるものの、肝心のパートナーの一枚絵は特に変化無し。物語の結末についてサラッと説明されるのみ。
      一応服装が選んだドレスになっている程度の変化はある。水着に関しては完全にバカンスだというツッコミもちらほら。
      • 『大往生』のショーティアやレイニャンのようなエンディングを期待するとガッカリすること間違い無し。
    • 『大復活』とは異なり大佐も登場しない。一応クリア時の1枚絵に大佐の絵が存在したり、非公式画集や家庭用に凪良氏の手がけた大佐のイラスト自体は存在するのだが…。
      • もっともゲーム中に大佐が登場しない点は『大往生』のアーケード版も同じだったため、それに倣ったものと思われる。*13
  • あまりに強すぎる隠し最終ボス「陰蜂」
    • 評価点にも書いた通り表の最終ボスである「陽蜂」は調整された難度だったのに対し、さらに厳しい条件を満たすことで出現する裏の最終ボスの「陰蜂」については調整放棄に思える攻撃と硬さのため早々に「ノーコンティニュークリアは現実的ではない」と匙を投げられた程の強さを持つ。
    • その映像を見た人を漏れなくドン引きさせるであろう、過去の同社製STG全シリーズの歴代真ボスをミックスさせた無慈悲な弾幕により、陽蜂を呼吸するが如く撃破している強者達すらも為す術無く散らしている。
    • 出現条件自体も「ノーミスノーボム」&「全5面で蜂パーフェクト」&「幸龍撃破時にゲームランク一定以上(S/L強化で30、EX強化で15以上)」&「最大ヒット数一定以上(S/L強化で15000、EX強化で10000以上)」のすべてが必須とかなり厳しく、同ゲーセンの配信台でも1日1回拝めたら良い方らしい(ちなみに配信台での最多出現は1日4回)。
    • 「人類とケイブの勝負はケイブの勝ちとさせてもらう」等との開発側の発言もあり、確信犯的に撃破不能にしたともとれるが、本来は調整ミスの産物で全く褒められたことではない。日々実力を上げていく超上級プレイヤー向けのやり応えのために作ったステージがやりすぎてしまった一例と言える。
  • その他の問題点
    • 「ランクが上がると弾速が上がる関係で、敵弾をスコアアイテムに変換する際、変換しようにも画面外へ飛び去っている事が多く稼ぎにくくなるため、序盤面で稼ぎ過ぎないほうがスコアが高くなってしまう」「4面が3,5面に比べて余りに稼げない」など、スコアシステムに関する批判点が多い。
    • 背景が全体的に青白く、慣れないと青い弾が保護色で見えにくい場合がある(特に前半3ステージ)。
      • 一応、自機に近い弾は紫色のエフェクトでハイライトされるのだが、かえって弾が大きく見える時がある。
      • 本作のザコの敵弾は針型の弾がメインとなって弾道予測がしやすくなったメリットはあるが、横幅が変化するアニメーションをしながら飛ぶため、慣れるまで圧迫感を感じる事も。
    • レーザーヒットのエフェクトが派手になった弊害として視覚上のオーラ撃ちの成否がやや分かりにくくなった。エフェクトが大型化するレーザー/エキスパート強化にて敵本体へ近づきすぎて激突死が起きやすい。
      • オーラ撃ち成立中はHIT数の上昇が2倍化されるので、そこで確認するのが確実。

総評

ストイックなガチ避けを要求されるゲーム性・書き込まれたグラフィックなどの面で、硬派な高難度弾幕STGの大復活と言うに相応しい出来となっている。
スコアシステムに批判はあるものの上級者シューターからの評価はそれなりだった反面、その難易度の高さから初心者には勧めづらい作品であるのもまた事実である。
後述の家庭用版やバージョンアップ版での追加要素は、いずれも初心者に取っ付き易くする調整が入ることとなった。

一応上述の無料でお試しできる「お試しモード」が存在するので、運よく「お試しモード」が有効な台を見つけたら気軽にスタートボタンを押してみよう。
どういうゲームなのか、どの機体が使いやすいか、などを体験してみると良いだろう。実際にその時間まで生き残れるかどうかは別問題として。


怒首領蜂最大往生(360版)

【どどんぱちさいだいおうじょう】

ジャンル 弾幕シューティング

対応機種 Xbox 360
メディア DVD-ROM
発売・開発元 ケイブ
発売日 2013年5月30日
定価 通常版:7,140円
限定版:9,660 円
超限定版:13,440円
プレイ人数 1人~2人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 劣化ゲー
ポイント 高画質化の弊害か、処理落ち多発
ある程度の不具合はパッチで修正
未だ不具合・バグ多数
360モードを台無しにしてしまったキャラ要素
インスタントブレイン』の教訓は生かされず
難易度的な意味では遊び易くなっている

概要(360)

本作の家庭用機移植版。ケイブの360向けソフトは『虫姫さま』の移植で終了の予定ではあったが、突如開発が発表され、アーケード稼働から約1年1ヶ月後に発売。
移植やHD化のみではなく、専用自機・専用システム・新キャラクターで遊べるストーリー仕立てで遊べる「New360モード」と、難易度を下げた「Novice」に加え、AC版を再調整した「1.5」を収録。
ゲーム内で貯めたコインで壁紙やボイスコレクション、更にはお助け要素まで買えるショップも搭載。


New360モード概要

  • 紫色の自機「TYPE-D*14」、エレメントドールは新キャラ「桜夜(さや)」(CV:平野綾)で固定。
    • TYPE-AからCまでの特性を全て加えた最強の機体という事になっており、実際にショット・レーザー共に強いが、オプションの扱いに少々クセがある。レーザー強化時はツーピース、EX強化時はセパレート。
    • ラスボス戦で変形してさらに強くなるが、このモードのラスボス戦限定の形態。
  • 「マルチエネルギーシステム」
    • 平たく言えばライフ制。ボムストックはなく、被弾時オートボムおよび手動でのボンバー発動でそれぞれ2000~1500HP消費する。
    • 中ボスを破壊するか、ハイパー中に敵を攻撃することによりライフは回復。
    • 大復活BLの「烈怒」のようにショット+レーザーを同時発射する「ダブルアタック」が使用可能。ライフを消費するが、敵撃破時に出るアイテムのサイズが大きくハイパーメーターを一気に補充できる。うまくゲージを貯め、ハイパーで回復をしていくプレイングが基本スタイルとなる。
  • アーケード版以上に、ドレスによって難易度が大きく変化する。
    • ショット強化(戦闘服)でNoviceに相当、レーザー強化(私服)でアーケード版に相当、EX強化(水着)でAC版EX~旧2周目に相当。
  • 常に桜夜とオペレーターがしゃべっている。また画面設定をデフォルトにすると左右に顔が表示される。
  • BGMはベイシスケイプの工藤吉三氏、千葉梓氏、大久保潤氏、武井侑渡氏がそれぞれアレンジを担当。
  • ストーリーの関係上、他のモードでは条件を満たさなければ出現しなかった隠しボスの「陽蜂」と「陰蜂」が、プレイ内容に関わらず必ず順番に出現するようになっている。

その他のモード

  • HDモード
    • 全ての基本モード。ゲーム内容自体はアーケードの移植。
    • 本作中の全モードで共通してHDグラフィックに書き換えとなっている。
    • チャレンジモード:HDモード内で様々な課題に挑む。「中ボス撃破」など簡単なものから「ハイパー発動中にハイパーゲージを再度溜めきる(リチャージを成功させる)」「5面を1度もコンボを切らさずにクリアする」など難易度の高いものも。
  • Ver1.5
    • 「5面までハイパーを我慢して5面で10ハイパーを撃つゲーム」と開発者側直々に皮肉られてしまったため、ランク上昇により点数に倍率がかかるなど、ランクやハイパーの立ち回りに重点を置いたスコアシステム調整版。
  • Noviceモード
    • ケイブの家庭版移植ではすっかりおなじみとなった、ステージ難易度を大きく下げたゲームモード。水着(EX強化)や陽蜂はこのモードでも健在。
  • SHOP/GALLERY
    • ゲーム内で獲得したコインを使用して壁紙、サウンド、追加オプションを買うことができる。
  • チームスコアアタック
    • ランダムにA~Eの5チームに割振られ、累計スコアを競うオンラインイベントモード。2013年5月30日の発売から一週間ずつ更新で8ラウンド開催。各週1位のチームに所属したチームメンバー全員に限定のXbox360ゲーマーアイコンが配布されたが…。(現在は終了している。)

問題点(360)

  • 処理落ち多発
    • HD化の弊害か、処理落ちなどがアーケードと違い、同じ感覚で遊べないという声も。ひどい場合は難易度に影響するほど。
      • サブウィンドウ表示やスムージング設定を切れば多少は緩和される。
  • New360モード関連
    • 画面デフォルト時の両側の演出を、池田氏は「動き重くなるからいらないよ、カットしといて」と注文したのに、浅田氏はカットどころか「なんか寂しいから」と酔っ払ったオッサンのテンションで回るケイブロゴや地球儀を追加したとのこと。
      池田氏いわく「いや、寂しくねえよ!地球儀いらねえだろ!!」と言われたのにもかかわらず地球儀やケイブロゴはしっかり回っている。このエピソードは発売前のイベントで面白おかしく話していたが、これだけ処理落ちが多発すると笑えない。
      • そもそも細かい操作や集中力が重要視される弾幕シューティング(ないしアクション全般)では画面を注視してプレイするのが当然なわけで、左右で回っている地球儀など気にしてる場合ではない。プレイヤーからしてみれば寂しいどころかむしろ気が散るわけである。
    • キャラは桜夜固定で、従来の3人については投げっぱなし。アーケード版とは違うストーリーなのだが、時系列的によくわからないことになっている。3人もキャラクターデザイン、声優、設定ともに人気が高かっただけに、ファンは肩透かしを喰らうことに。
    • 常時桜夜とオペレーターの会話が忙しなく続く。馬鹿らしいオヤジギャグレベルの物や世界観を壊す物も多く、酔っ払ったオッサンがテキストを考えたのかと思うほど。ハイパー発動やボンバーなどのボイス「死ぬがよい」がテンションが高く、落ち込んで会話をしているときに発動するとカオスに。
      • 3面中ボス当たりで(著作権的な)ピー音混じりの会話をしたり、4面ボスを「なんとか太夫」呼ばわりしたりと意味もないメタフィクションネタを入れたりする。
      • ちなみにオペレーターの彼女は桜夜に「オペ子」呼ばわりされている。オペレーターの女の子をこう呼ぶゲームプレイヤーは多いが、ゲーム内で堂々とそれをやらかしたのは今作以外に例は見ないだろう。
    • オペ子も大概で、メタなネタにメタなツッコミを入れたり、「ドS」発言に対して「私は両刀です」等、とどめにはラスボス戦中桜夜を女子会に誘う。本人は励ましているつもりなのだろうか、シチュエーションとしては台無し。AC版では当然ながらこんな浮いたテンションなキャラではなかったたのだが…。
    • そもそもケイブゲーで評価される笑いは「シリアスなのに濃すぎる・何かがおかしい要素を突っ込んでくる」もしくは「そもそもの発想がおかしい」という部類*15なので、このように「直接的過ぎるウケ狙い''」は過去のケイブとは全く異なるノリであり、サムいと感じるプレイヤーも多かった。
    • 一応、これらの会話は設定でオフにする事が可能なのだが、『大復活』と違いシステムボイスを残すことは出来ない
  • サウンド関連の不具合
    • 音量バランスが不安定(爆発音や一部の真璃亜のボイスが非常に小さく、その他ボイスとBGMが大きめ)、ボイスのエコーが無くなっておりアーケード版と違うなど、「気にし始めるととことん気になる」不具合が多い。アップデートで微修正されたがそれでも違和感がある。
    • BGMのループが正しく行われないというバグも。こちらはアップデートで修正された。
  • 縦画面モードの仕様
    • 縦スクロールSTGなので縦画面モードが用意されているが、一部メニューやNew360モードのEDイラストなどは横画面状態のまま表示されてしまう。
    • 縦画面用の壁紙も上下反転できないためモニタの回転させた方向によっては壁紙が上下逆になってしまう。
  • ランキングの仕様
    • ネームエントリー部分が移植されておらず、オフラインランキングのネームはすべて「CAV」になってしまう。これによりネームエントリー画面のBGM「ヘイワ」も聞けなくなった。
    • またローカルランキングが自由に閲覧できない(デモ画面で放置するしかない)など不親切な部分が多い。
  • チームスコアアタックの仕様
    • 1ラウンド終わるごとにチームシャッフルという仕様は実際には存在せず、ずっとチーム固定だった。
    • 正確にはセーブデータの新規作成ごとに所属チームがシャッフルされる仕様のため、強いチームに所属したセーブデータをUSBメモリに用意し、そのチームに勝たせてゲーマーアイコンを手に入れようとするプレイヤーが続出しモードの趣旨が崩壊。全8ラウンドすべて同じチームが勝利するという一方的な結果に。
  • チャレンジモードのバグ、仕様
    • とある操作をするとどんなに難しいモードもクリアしてしまうことができるバグがあった。後にアップデートで修正された。
    • ミッション失敗時に毎回メニュー画面に戻ってからオートセーブが行われる。アップデートによりリトライができるようになったものの、それでもミッション開始時ではなく自機選択画面に戻るため相変わらずテンポが悪い。
  • 「Novice」の難易度調整がやけくそ気味
    • 過去作では弾を減らす以外にもボムやアイテムを増やす等の調整があったが、今作は単純に弾を減らしただけ。それもかなり極端で、全くと言っていいほど弾が飛んでこなくなる敵もいれば、ほとんど変わらない敵もいたりする。
    • 中~上級者からは「5面のエイソウ地帯(中盤の弾消し大型機が出る地帯)で弾が少なくなりすぎてリチャージができず楽しくない」と言われている一方、「Novice水着をボム3でプレイすると程よい難易度」なんて意見も。
  • 「Ver1.5」が調整以外あまり代わり映えがない。
    • グラフィックなどは完全にアーケードと同じ。ゲーム中のパッケージ絵に大佐を使ってるんだから大佐EDくらい作ってもよかったのでは。
    • アレンジBGMは無い。高望みかもしれないが「エスプガルーダIIブラックレーベル」や「虫姫さま」のアレンジモードにはそれぞれ違うアレンジャーがBGMを担当していた。「ブラックレーベル」や「アレンジモード」ではなく「システム調整モード」という位置付けのため当然とも言えるが……。
    • 以上の点によりVer1.5をプレイしている層は主にアーケード版をやり込んだスコアラーという現状で、初心者~中級者やクリアラーにはほとんどプレイしない人が多い。
  • ギャラリーの仕様がいまいち
    • 各種ウィンドウを非表示にできず、壁紙全体を眺めるといったことができない。機体の解説が記載されている壁紙が存在しているにもかかわらず。壁紙の明度設定もない。
  • ナンセンスなOPアニメ
    • 1990年代テイストでお世辞にもセンス・クオリティの良いものではない。特に2Dアニメ部分は作画レベルが低い上に静止画も多い。
    • 販売店で流してもらうためにも必要との浅田氏のコメントがあるが、当時XBOX360の販売コーナーは極一部の都市部以外ではもう縮小~消滅路線であった。
      単なるマーケティング不足という可能性もあるが、EDソングの件と合わせると転職後に必要なノウハウを得る為の自分都合のゴリ押し感が否めない。
      実際に販促として流していた店はあったのだろうか……。
  • 一度パッチは出たが、それでもほとんどの不具合が解消されてないという現状
    • パッチのアップ直後で浅田氏が退社したために今後パッチのリリースは絶望的。こんな有様なので「浅田さんは地球儀回すのに忙しかった」等と揶揄されてしまうように。

評価点(360)

  • 高難易度過ぎた原作の難易度を下げて間口を広くした。
    • NoviceやそれをベースとしたNew360ショット強化は陰蜂含めてかなり手心を加えており、初心者が今作を十分に楽しめるようになった。
      • 上記AC版で開発が想定していた「ショット強化:EASY」「レーザー強化:NORMAL」「EX強化:HARD」の三段階難易度をようやく実現することができたのは有意義であったと言える。
    • SHOPで買える追加オプションは便利なものから反則級な強さを誇るものまであり、様々なシチュエーションで繰り返し遊ぶことも。それ故に処理落ちの多発も痛いのだが。
  • New360モードのシステムとストーリーのあらすじそのものは非常に良好。
    • 「アレンジモード」と考えるには非常に練られた作りになっており、もはやひとつの新作STGというレベルの完成度の高さ。ダブルアタックでの高速破壊から、ハイパーを補充して一気にエネルギー回復、ボスのパーツ破壊など、爽快感が高いシステムに変貌。ハイパーで回復するライフ制により、体感的にはスムーズに進むことが出来る。
      • 怒首領蜂大復活BLACK LABEL』を爽快感を維持しつつマイルドにしたようなバランスに仕上がっている他、ドレスによって『虫姫さま』のように難易度そのものが大きく変化するため、プレイヤー自身が上達を感じやすいという側面も。
    • ストーリーは桜夜と陽蜂の出生・立ち位置等、エレメントドールの存在意義など、ACで語られなかった世界観が明かされるという骨組は出来ている。ただし、上記のように低レベルなセリフと掛け合いでわざわざキャラを崩壊させて、人気があったAC版でのドール3人について一切言及しないのが非常に惜しい。
    • 桜夜自身も決して魅力が無い訳ではないので、どちらかといえば「従来の3名の活躍を見たかった」という理由で叩かれることが多い。
    • EDはハッピーエンドと一概には言えないが、路線としては『虫姫さま』のEDに近い感動エンド。後味の悪さは一切無し。
    • つまり「システム・あらすじ双方良好な作品に蛇足な会話を盛り込んで台無しにしてしまった」ということである。
  • チャレンジモードのお手本動画
    • すべてではないが、各ミッションに上級プレイヤーClover-TAC氏によるお手本動画が解説コメント付で用意されており、ミッション攻略に重宝する。
  • Ver1.5の調整
    • 上級プレイヤーの意見を取り入れただけあり、アーケード版の問題点は改善された。
      • 足枷でしかなかったランクに存在意義が生まれ、ハイパーによるランク上昇に駆け引きが生まれた。スコア関連の調整により4面も稼げるステージに変貌。1~4面の前半戦にも稼ぐ価値が生まれた。
      • (ゲーム内ジャケットのみとはいえ)AC版で一切登場しなかった大佐の御尊顔が拝める*16
  • アレンジBGM
    • ベイシスケイプ総勢の手により、最大往生のほとんどの曲をデジロック基盤の多彩な曲調にしつつ、過去作BGMとの融合を意識させる集大成的アレンジが行われた。好みはあるだろうが、いずれも原曲に負けずクオリティも高い。
      • 大半の曲に『大往生』『大復活1.5』片方または両方から同場面のBGMの要素が取り込まれており、かつ全体的にテンポアップ。
        『大往生』の引用が入った3面/通常ボス戦曲、両方のパートが盛り込まれた5面/幸龍戦や歴代ヒバチ戦の要素を含んだ陽蜂戦BGMが印象的。
    • 限定版及び超限定版に付属するアレンジサントラでは、EXAレーベルまでゲーム起用を待つことになった未使用曲「シ(ゲームオーバー)」や「ヘイワ(ネームエントリー)」もしっかりアレンジされている。前者はかなり「頼尽」(大往生ゲームオーバーBGM)を意識させる。

総評(360)

多発する処理落ちや数々の不具合など、基本的にアーケード版のプレイヤーを対象にしたものであるにも拘らずアーケードモードの出来が一番悪いという致命的な問題点があり評価は低い。
そればかりか制作総指揮・浅田氏の「声優には拘るがシナリオやシステムの不備は二の次、特に考えも無く新しい要素を無理矢理ねじ込む」といった制作方針が再び現れ、同氏の前担当作インスタントブレインと同じ轍を踏む事になった。
この結果、ゲームの根幹に関わる不具合を無視して自身のコネをゴリ押しする等余計な事に尽力して本筋を疎かにし、作品を私物化する浅田氏の制作スタイルはケイブSTGファンに大きな遺恨を残す事になる。

移植版の評価点はNew360モードやNoviceモードなど、『初心者お断り状態であった最大往生を初心者でも爽快に楽しめるようにした点』に尽きる。
不快な会話さえ差し引けば、1つのシューティングゲームとしての完成度は及第点といえたのだが、結局本来のターゲットであるマニアプレイヤー層への求心力が整わぬままに本作はフェードアウト。
CAVEシューティングのコンシューマー展開の最期は非常に不本意な幕切れを迎えることになった。


余談

  • この作品を最後に、浅田氏はケイブを逃げるかのように、或いは追い出されたかのように退社。MAGES.に移籍することも自身のブログにて公表された。
    • 結局のところ、「シューティングに愛着があるわけではない」「シューティングが作りたくてケイブに来た訳ではない」と公言していた氏には最後までケイブSTGファンのニーズを理解出来なかったということを実証した形になる。
    • 本作の発売を最後にケイブはアーケード及びコンシューマーゲーム事業からの撤退を表明するが、池田氏はイベントで「どんな形であろうがケイブはシューティングをやめない」とコメント。
      以降の同社はスマートフォンを舞台に弾幕シューティングのリリースを継続し、その後2016年にXbox360ソフトの移植を元手にSteamへの進出を果たすことになる。
    • 一方MAGES.に移籍した浅田氏だが、2023年2月末に公開されたインタビュー記事にて「ケイブ退社以来となるシューティング作品をプロデュースする」と答えている。
    • 遅延に関してこれだけやらかしておいて上記インタビューにて「ああ、ちょっと1フレ遅れてるな」という懐かしい感覚に陥っていますとのこと。目視で1フレ遅延を認識できる人間がいるのだろうか?
  • 桜夜が持っているぬいぐるみは『デススマイルズIIX』に登場したマッドテディとマッドバニー。ゲームに登場するわけではないが、公式サイトで解説してくれていたり、桜夜と陽蜂の関係を語る上で欠かせない存在に。
    • 発売記念のイベントではこの2体のぬいぐるみが展示されていた。
  • ED曲を担当したZweiのイベントでの発言がツッコミどころ満載だった。
    • ゲーム的には縁も所縁もないアーティストであり、「浅田氏の転職先がらみの大人の事情」が窺える(Zweiは浅田氏の転職先である株式会社MAGES.のレーベル5pb.Records所属)
    • インタビューでは「ゲームはやったことがないけど動画はよく見る」等、いわゆる「動画勢*17」であることを公表してしまい、多くのプレイヤーからツッコまれた。
      その後の「丸いものが好きだからついつい飛び込んじゃうんです」という発言には池田氏も苦笑いしながら「じゃあ針弾オンリーにしましょう……。」とコメント。
      • STGのプレイ動画と実機では、速度やアスペクト比が変わっている物も多く、頓珍漢な批評をしがちな動画勢への風当たりがやや強い。
    • この有様の為に「OPが平野綾氏(桜夜役の声優)なんだからEDは悠木碧氏(陽蜂役の声優)に歌わせろよ」等散々言われる羽目に。
  • ケイブ開発のソーシャルゲーム『ドン☆パッチン』(2015年1月にサービス終了)に今作のエレメントドール5人が全て味方ロボとして参戦していた。
    • これにより、『大復活』のドーターやエヴァンズマンロボと時代を超えた共演を実現させた。
    • 現在ケイブが展開しているソーシャルゲーム『ゴシックは魔法乙女』には、これまで「敵ボスが幸蜂」「メインキャラの衣装として各エレメントドールの衣装*18」「ゲーム内スタンプにエレメントドール(真璃亜)起用」までの参戦に留まっていた。
    • しかし、2021年9月17日開催のコラボイベント『「怒 Dawn Party~ジルバラード幸福化計画~」』にて、ついに正式な自社コラボが実現するに至った。前述の『ドン☆パッチン』終了から6年、ようやくのエレメントドール参戦である。
    • イベントで入手出来た使い魔は以下の通り。
      • ポイント報酬枠の朱理・光・真璃亜・陽蜂(別バージョンも含めた)の5人にランク報酬枠の四人集合版。
      • ガチャで手に入る主人公トリオ*19に陽蜂。
      • 同じくガチャ枠である「ゴ魔乙版描き下ろしの朱理・光・真璃亜・陽蜂の四人の水着」バージョン。しかも陽蜂に至っては、フグ刺し弾が打てる専用ショット『ヒバチ』を引っ提げての登場と、無駄に気合が入っていた。
      • 残念ながら陰蜂やTYPE-Dの桜夜は未参戦*20の他、レーザー強化の衣装は無かった模様。この地獄のガチャ攻勢に財布にも死ぬがよい宣告され、プレイヤーの間から悲鳴が上がったとかなんとか。
    • 当然ボイスは使い魔ストーリーも含め新録、更に条件を満たす事で陽蜂の過去を描いた特別なシナリオを閲覧出来たりと、これまで長らく参戦出来なかった分の鬱憤を晴らすかのような大盤振る舞いで、ステージボスとして陽蜂も登場した。期間中は陽蜂がサンドバッグにされまくったのは言うまでもない。
    • 更に同年12月28日、『怒首領蜂シリーズ』とのミニコラボイベント【怒 Dawn Party ~大往生な最大往生~】が開催された。今回は「メインキャラにエレメントドールの衣装を着せただけ」の物ではなく「最大往生のエレメントドール三人が再び登場」とファンが求めていたであろう内容であった。
    • このイベントで入手出来た使い魔は以下の通り。
      • ポイント報酬枠として『最大往生の自機A~C-TYPE』の三機。以前に開催されていた自社コラボに登場した自機の擬人化ではなく『最大往生の自機そのもの』が使い魔として手に入った*21
      • ガチャ枠ではゴ魔乙版の描き下ろしとして、朱理・光・真璃亜の三人が大往生のエレメントドール衣装を着た物がそれぞれ入手出来た。更に通常ショットとレーザーの切り替えが可能な専用ショット『最大往生TYPE-A~C』を引っ提げての登場と原作再現度も高い。ゴ魔乙の皮を被った最大往生とはよく言ったものか。
      • 朱理がショーティア、光がレイニャン、真璃亜がエクシィの衣装を着ている。キャラ的に朱理と真璃亜の衣装が逆では?と言う声も一部であったとかなんとか。朱里さんの顔がやけに楽しげなのも笑える。
      • しかし残念ながら、今回『も』陰蜂や桜夜の出番は無かった。次回こそ出番があって欲しいものだが…
  • 2015年12月に入り、ケイブから最大往生をモデルとした新作アプリ『怒首領蜂一面番長』のリリースが告知された。
    • リメイクに近いスピンオフ作とはいえ、一応これで最大往生がシリーズ完結作では無くなったといえる。ちなみに、そちらでは待望の社員ボイスが復活した。
  • ケイブSTGおなじみのイメージソングは今作でも「大往生 ⇒ 大復活 ⇒ 最大往生!」がサントラに収録されているが、従来の楽曲より電波要素は少なめ。
    • 作風に合わせてか、テクノポップやEDM調になっている。
  • 2016年、表隠しボスの陽蜂がPC向けオンラインゲーム『LORD of VERMILION ARENA』(現在サービス終了)へゲスト参戦。
    • ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』のアイアンフォスルと同時参戦。メーカーの枠を飛び越えた夢のSTGコラボはLoVAというステージで一足先に実現された。
    • 両者とも種族は海種に所属*22するため、デッキ次第では共存も可能。
    • 『LoVA』サービス終了後、アイアンフォスルと違い『LORD of VERMILION III』への参戦は叶わなかった。
  • 2020年3月、アーケード用プラットフォーム『exA-Arcadia』にて『怒首領蜂最大往生 EXAレーベル』のリリースが電撃発表された。2020年11月30日より稼働開始。
    • ケイブがアーケード事業から撤退して8年、他社へのライセンス供与*23という形であるとはいえ、まさかの大復活である。
    • モードはHD移植のオリジナル*24、ハイパーショットで敵弾を破壊できるうえランクに大幅な調整を加えた最大復活EXAレーベル。家庭用のNew360モードをアーケード用に調整したXアレンジ、そして100円を投げ捨てて最初から陰蜂と戦えるINBACHIモード(オリジナル・EXA)の4つとTYPE-Dが全モードで使用可能になっている。
    • EXAモードの陰蜂は絶妙な難易度緩和が行われ、「オリジナルで陽蜂が倒せるシューターであれば健闘できる」レベルに引き下げられており、ロケテストの時点でノーコンティニューでの撃破もされていた。

「陰蜂」について

問題点項で書いた通り隠し裏ボスの陰蜂は攻略を放棄されるレベルで強すぎるため撃破不能とされており、後に発売されたEXA版では難易度引き下げ調整が行われていたが、このオリジナル版陰蜂をノーコンティニューで撃破するべく攻略を続けてきたプレイヤー達もまた存在しており、アーケード版稼働開始から11.96年(11年+351日)の2024年4月6日に初めてのアーケード版でのALL-陰のクリア報告が上がっている。
この攻略にはPS2『大往生』のデスレーベルの2周目クリアを達成したプレイヤーも参加しているが、クリア報告までにかかった時間はデスレーベルの7年を上回っている。

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最終更新:2024年04月07日 04:00

*1 厳密にはゲージが溜まり切ってから発動可能になるまで10フレームほどのラグがある。

*2 通称リチャージ、5面後半は後述のオーバーフローを狙わなくとも連続リチャージで弾消ししていかないと追い込まれる場面が続く。

*3 従来作ではTYPE-Aに合わせられていた

*4 初期ボムがS強化3・L強化2・Ex強化1。

*5 わかりやすいところでは、4面BGMはほとんど大往生2面BGMだったり、5面BGMの後半も大復活2面のフレーズになっているなど。

*6 ちなみに出現回数は87回なので陽蜂勝利はわずか16回、さらにプレイヤー側の陽蜂完封が2日起こった。

*7 つまり「陽蜂は普通に倒せるので、陽蜂を相手するより幸龍の練習だけしてさっさと終わらせたい」ということ。

*8 『首領蜂』シリーズには一貫して「味方同士で殺し合い最強の軍隊を作り上げる」という裏の核心が存在している。

*9 今までのケイブ作品を遡ると、ギャグ重視の世界観(『むちポ』『フィーバロン』)、ゴシックファンタジー(『デススマ』)、スチームパンク風(『プロギア』『エスプガルーダ』)、和風(『ぐわんげ』『赤い刀』)等変り種はあれど、いわゆる「無難な遠未来SF」は最大往生が初めてだったりする。

*10 設定上は『大復活』に登場した「エレメントドーター」である。

*11 本作で多い針型の弾の判定が総じてシビアで、自機判定表示の真ん中付近を掠めただけで被弾と扱われるケースもある。

*12 ニコニコ動画では5面単体で4兆点を稼ぐ動画が投稿されている。

*13 『大往生』作中で大佐が登場するのはPS2版のデスレーベルモードの2周目開始前のデモのみ。

*14 当初はTYPE-Zとも呼ばれていたが、後述の最大往生EXAで正式にTYPE-Dと呼ばれるようになった。

*15 前者が『大復活』『ケツイ』『赤い刀』等『弾銃フィーバロン』など、後者『ピンクスウィーツ』『むちむちポーク!』など。

*16 これ以前に凪良氏が発行していた非公式画集の時点でイラストそのものは存在していた。

*17 エアプレイヤーの一種でゲームを遊ばずにプレイ動画を見るだけの層を指す。

*18 実質コスプレに近い物。それに際して『そっちよりもエレメントドール本人を出せよ』と言う声も多く挙がったようだ。…その当時は声優を雇う金が無かったのだろうか?

*19 ショット強化の通常衣装。スキル演出は最大往生のボムをイメージした内容だった。

*20 闇属性枠として期待されていたのだが、そこは前述の四人集合版が入った。次回があれば参戦に期待したい物だが…。

*21 なお、ボイスは最大往生のエレメントドールの三人がそれぞれ担当している他、使い魔覚醒によってエレメントドールの姿を見ることができるようになる。彼女らが中に乗り込んでいる物と解釈すればいいのだろうか?

*22 魚がモチーフのアイアンフォスルはともかく海要素が無い陽蜂がどうして?と思う方もいるだろうが、『LoV』シリーズにおいてメカ系統のキャラは海種に当てはめられるのが伝統である。

*23 開発・発売は『exA-Arcadia』を開発した株式会社Show Me Holdings。因みにライセンス供与は『怒首領蜂II』以来二度目になる。

*24 上記の素点オーバーフローバグは通常は修正されているが、コマンド入力で有効化可能。ランキング上でも別集計となる。