ライザンバーII

【らいざんばーつー】

ジャンル シューティング
対応機種 PCエンジン CD-ROM2
メディア CD-ROM 1枚
発売・開発元 データウエスト
発売日 1991年6月7日
定価 6,800円
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント オーバーブースト必至の超鬼畜難度
謎のタイトルコール
ライザンバーシリーズ
ライザンバー/ ライザンバーII /ライザンバーIII


概要

一時ゲーム事業から手を引いたが、2020年1月末にゲーム事業を再開したデータウエスト社のPCE参入第一弾ソフトで、同社がFM TOWNSでリリースした横スクロールシューティングゲーム『ライザンバー』の続編となる作品。
「逆転確率7800万分の1」という冗談のようなキャッチフレーズを持つが、実際にプレイしてみると嘘でも何でもないゲームバランスである事を痛感させられる。因みに前作は「逆転確率5600万分の1」である。 一人プレイ専用、全6ステージ構成。

システム

操作系統

  • 十字キーにて自機の八方向移動。ボタンは2つのみで、IIはショット、Iはオーバーブーストに使用する。
    • ショットは溜め撃ちの関係上オート連射に対応していないので、連射パッドを使用しない限りは手動で連打する必要がある。
    • バックアップユニット(後述)を取得している状態で、ショットボタンを約1秒程押しっぱなしにして離すと溜め撃ちが可能。
  • オーバーブーストは、通常の数倍のスピードで自機を移動させる事ができる特殊操作で、本作を進めていく上で絶対に外せないシステムとなる。
    • オーバーブーストを発生させると、画面下部に表示されている「リミットゲージ」が増加していく。ゲージが一定値を超えるとオーバーヒートを起こし、時間経過でゲージが冷却(減少)するまでは使えなくなってしまう。

バックアップユニットについて

  • 特定の敵を倒すと出現するアイテムを取得する事により、自機の上下に2つの補助オプションである「バックアップユニット」が付く。
    • バックアップユニットは3種類あるが、「自機の攻撃に合わせて専用のショットを放ってくれる」「溜め撃ちが使えるようになる」という点は共通で、ショットの特性のみが異なる。
      • アイスストーム(青):合計4方向へ針のような高速弾を発射する。扱いやすいが特別な強みは無い。溜め撃ちは自機を中心に8方向への単発ショット。
      • ファイヤーボール(赤):着弾点で爆発する弾速の遅い火球を発射する。単発式で爆発の持続も短いが肉薄すれば連射でき火力は高い。溜め撃ちは誘導性のある火球を発射するが、1つの目標には1発しか誘導しない。
      • ライトニングボルト(緑):敵を貫通する電撃レーザー。ザコ敵は貫通するが耐久力のある敵は貫通しない。溜め撃ちは自機の周りを雷球が180°ずつ回転し円を描くもので、射程は短いが地形に影響されない。
    • 本作には多段階のパワーアップという概念はなく、上記以外のアイテムも存在しないため、バックアップユニットを付けた時点で事実上の最強状態となる。
    • アイテムは出現後一定のタイミングで向きが変化していき、取得した時の向きによって前方・上下方向・後方とバックアップユニットの攻撃方向が変わる。
  • ちなみに前作ではライトニングボルトの溜め撃ち(リボルビングボルト)が猛威を振るったが、今作では溜め撃ち機会はほぼ無い。

ミス条件について

  • 敵・敵弾・地形に触れる事による一撃ミスの残機制。ミス後は特定地点からの戻り復活となっている。
    • ミスすると取得していたバックアップユニットは消失し、初期状態に戻ってしまう。
  • コンティニューは無制限だが、そのステージの最初から挑まなければならない。

評価点

  • 描き込まれたグラフィックと疾走感。
    • グラフィックはしっかり描き込まれていて美しく、さらに多重スクロールやスクロールスピードの速さで疾走感を演出している場面が多い。
  • 良曲ぞろいのBGM。
    • CD音源による音質の良さはもちろんの事、ひたすらにシャープな格好良さで痺れるBGMがゲームを盛り上げてくれる。
    • 最終ステージのBGMはエンディング曲と聞き違える程に切なく、言葉にできない程の哀愁を醸し出しており、「物悲しげなラストバトル」という空間を演出している。
      • 最終ステージにおける切ないBGMと鳴らない効果音(バグではなくれっきとした仕様である)はシリーズの共通要素であり、続編の『ライザンバーIII』にも受け継がれている。
  • 適度なステージ構造。
    • 1ステージの構成は適度で、変な間延びは皆無である。
    • 過去ステージの敵の使い回しはほとんどなく、各ステージが個性を持った構造となっている。
  • リトライしやすい設計
    • 自機のパワーアップがバックアップユニットのみのため、復活時はこれさえ取れれば装備が整い、装備不足で復活困難という状況に陥りにくい。
    • ステージの最初に戻されるペナルティー付きだが、コンティニュー自体は無制限に行える。
      • 本作は下記の通り非常に熾烈な難易度なため、これらは数少ない救済要素といえるだろう。

問題点

  • 常軌を逸した鬼畜難度。
    • PCEのゲームは同期のハードの中でもシューティング率が高い事で知られるが、その中でも本作の難易度は頂点クラスに鬼畜である。どのくらいかというと、初見でステージ1をゲームオーバーにならずにクリアできたら誇っても良いと言えるほど。
    • 難度の方向性は主に「高速で突っ込んでくる敵及び敵弾」で、画面上の敵や敵弾の数はさほど多いわけでもない。
  • 自機「エリミネート・スキャナー」の性能の相対的な弱さ。
    • メインショットは連射こそある程度効くが、ショット幅は狭く真正面しか撃てず火力も低い。通常移動速度も速くはない。一方で敵は高速か硬いかで、全て撃ち落とすのは難しい。撃破より突破、もしくはすり抜け生き延びる事が求められる。
      • バックアップユニットがあれば一応は撃ち合える程度になるが、前方以外に付けると対応力は上がるものの硬い敵には余り有利にならない。3種のどれも何かしら不足があり、乱射していればどうにかなる性質の武装でもない。
      • 溜め撃ちは何れもユニットを装着していない方向をフォローする性質のものではあるのだが、溜め時間という隙に対して火力が全く見合っておらず、基本的にほぼ使いどころは無い。
    • 自機自体、敵であるゾウルエンパイアに人類自前の兵器では殆ど歯が立たず、偶然不時着したアタックデバイス(ゾウル製兵器)を鹵獲して有人制御に改造した代物でしかない為、設定や物語をしっかり反映しているとは言える。
      • なお、自機はカラーリングを除けばバックアップユニットを輸送しているアタックデバイスにそっくりである。つまり、人類側の呼称はともかくとして恐らくは元々 戦闘機ではない
    • 因みに初代PCエンジンの場合、標準パッドに連射機能が付いていないので、ゲーム中通して手動連射が必要になり更に難易度が上昇する。(続編では改善されている)
  • 優しさなどない理不尽さ。
    • 本作には「敵や弾の前兆を示す予備動作」はほとんどなく、初見殺しが非常に多い。敵が動き始めるよりも早く回避行動を取らなければならないため、アドリブでの攻略はまず無理と言える。よって、パターンを頭に叩き込んで攻略する必要がある。
    • 本作の最難関としてよく挙げられるのはステージ4道中。自機の体当たりで粘膜を破壊しながら突き進んでいくという内容なのだが…。
      • このステージ道中の各所に配置されている肉団子型のザコがかなりの曲者。動きそのものは粘膜や地形に当たると跳ね返るというものだが、スピードが速い上に耐久値も硬め。迂闊に手を出すとあっさりと体当たりされてやられるので、状況に応じて倒さずにスルーするか、倒す場合は粘膜の壁越しから攻撃するといった対策が必要になってくる。だが、肉団子が粘膜の判定をすり抜けてしまう事も珍しくないので、そういった肉団子を対処するアドリブ能力も要求される。
      • ステージ中盤からは肉団子に加えて高速で移動するヘビ型の大型敵と、自機に目掛けて体当たりしてくる中型敵が出現し始める。これらの敵は自機を同じく粘膜を破壊し、勝手に穴を作ってしまう。そしてそれらのザコ敵が作った穴により肉団子が外に出て穴の中を跳ね返って…という状況になり、ただでさえ高い肉団子が厄介度が更に上昇。ヘビ型の大型敵や中型敵の猛攻を凌ぎながら跳ね返る肉団子をアドリブで対処しなければならず、作中でもずば抜けて難易度が高い場面となっている。
      • 幸いステージ4のボスやこの先のステージについてはステージ4道中のような理不尽さは見られないので、ここさえ抜けられればクリアは見えてくるかもしれない。とはいえ、難しい事には変わりない上にステージ6に関しては開始時に致命的なバグ(後述)が存在するので全く油断できない。
    • とどめとばかりに「難易度調整は一切無し」「ミス後は戻り復活なのでゴリ押しクリア不可」「コンティニューはステージ最初から」という無慈悲な仕様。
  • オーバーブースト前提のゲームバランス。
    • 以上のように敵は強く自機は弱く意図的に設定されており、一般的なSTGのように敵の大半を撃破することで突破していく戦い方は困難である。敵に火力で伍する性能を与えられていない以上、そういった戦い方は却って死を招く。
    • そんな状況を打破するために与えられた武器こそがオーバーブーストという瞬間的な機動力である。従って本作を攻略する上ではオーバーブーストをどうしても使わざるを得なくなる設計になっている。しかし、オーバーブーストは瞬間移動や無敵化ではなく、単に一方向に高速移動するだけの機能に過ぎない。
      • ブースト中に停止はできるものの、発動すればどうしてもある程度の距離は制御できずに移動してしまうため、安易に使えば逆に自機の寿命を縮める。操作に慣れると同時にパターン化も必須である。
      • 前述の様に4面は肉団子のせいでパターン化ができないが…
      • ボスの装甲が比較的薄いため、パターンを熟知すると「わずかな隙をついてオーバーブーストでボスの懐に飛び込んで速攻撃破」と独自の爽快感を味わえる。その快感を味わえるまでのハードルが高いのも事実だが。
  • ひたすらに地味な外観。
    • グラフィック周りが綺麗なのは評価点で述べたが、それと同時に外観が地味になっている面もある。
    • 各ステージの背景は黒が多用され、多重スクロールや3面道中などを除けば派手な演出も少ない。悪くいえば終始地味さ加減の目立つストイックなシューティングである。
  • 致命的なバグの存在。
    • かなりやっかいな問題として、ステージ5をクリアすると高確率でフリーズするというバグがある。
      • こうなるとリセットして最初からやり直すしかなくなる。ここまで到達するのに半端ない苦労が必要なだけに、このバグが発動してしまった時の精神的ダメージはとても大きい。
    • これを回避するにはデータウエスト曰く、「ディスクのクリーニングを定期的に行えば大丈夫」との事だが、確証はない。しかも、今現在PCE実機で本作をプレイ事自体が極めて困難であり、ましてやディスクの状態すら危い現状では尚更危険である。

総評

ゲームそのものは基本的にきちんと作られているものの、全面パターン化が必須かつ4面のアドリブ要素で全領域に対応が求められるプレイヤーの腕前がこれでもかと試される余りにストイックなゲーム性のため、難しすぎてクリアできたプレイヤーは発売当初はかなり少なかった。
鬼畜難度嗜好のシューターにとってはむしろ神ゲーに匹敵する出来ではあったが流石にデータウエストもやりすぎたと思ったのか、続編『ライザンバーIII』は難易度が大きく落とされている。
難易度の面では落ち着いたと言えるが、本作のような鬼畜難度による続編を期待したプレイヤーにはやはり物足りなかったようである。ライザンバーIIIのキャッチコピー"逆転確率0の悪夢"は寧ろ本作にこそ相応しいと思われても仕方がないとも言える。


その他

  • ゲームを立ち上げるとすぐにタイトルコールが聞けるのだが、やたら陽気な「らぁいざんばぁ~ ヒョ~!」という謎のボイスである。
    • 本作はSFとグロテスクが同居した、至ってシリアスな世界観を持つゲームである。間違ってもギャグゲーの類ではない。
    • 本作のストーリーは『初代』のエンディングから地続きとなっており、上記の陽気なタイトルコールは『初代』の作戦成功を祝福する声の1つという説もある。…それを考慮してももうちょっとどうにかならなかったのだろうか…。
  • ゲーム中のアイテム取得にもボイスが入るが、無機質で無感情な「あいす すとーむ↓」という機械音声であり、タイトルコールとの温度差がもの凄い(…というより、タイトルコールだけが飛び抜けて異質なのだが)。

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最終更新:2023年12月21日 11:37