Stalin vs. Martians
【すたーりん ばーさす まーしゃんず】
ジャンル
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リアルタイムストラテジー
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対応機種
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Windows
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発売元
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Mezmer Games(Paradox Interactive)
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開発元
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Black Wing Foundation Dreamlore N-Game
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発売日
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2009年4月9日
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定価
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$20
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備考
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現在は販売停止につき入手不可能
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判定
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クソゲー
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ポイント
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一見バカゲーに見えるが擁護もできない完成度 発売数日も待たず値段も急降下した超問題作
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概要
突如火星からソビエト連邦を侵略してきた宇宙人を、スターリンが赤軍を率いて迎え撃つという異色のRTS。レビュー集積サイトMetacriticでは100点満点中25点というスコアを付け、PCゲーム歴代ワースト5入り(当時)を果たした問題作。
本作は当初から「低俗でやり過ぎ」(trashy and over-the-top)なゲームとして宣伝されており、典型的な第二次世界大戦RTSのパロディを意図して開発された。ゲームエンジンには『Blitzkrieg 2』などで使われたエニグマ・エンジンを改良したものを採用している。タイトル画面では「第二次世界大戦の知られざるページ」(The Unknown Page of The Second World War)という副題に加え、Game of The Year Editionの表示も。
ストーリー
ナチス・ドイツとの戦いが激化しつつあった第二次世界大戦の只中、シベリアで火星人による突然の侵攻が始まった。ソビエト連邦の指導者ヨシフ・スターリンはソビエト人民、ひいては地球全ての人々を守るため、自らの指揮のもと「サターン」作戦の開始を宣言。プレイヤーはスターリンの特命を受けた赤軍司令官として、母なるロシア、そして地球を救うための戦いに身を投じることとなる。
システム
本作はカジュアルさを意識したデザインのRTSである。一般的なRTSと比べて、多くの部分が簡素化されている。
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各ミッションでは「村を守れ」や「増援を見つけろ」などの目標が与えられており、達成することで次の目標が指示される。最後の目標を達成するとミッションクリア。ミッションクリア後の評価、次ミッションへのユニット引き継ぎ等はなし。
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初期に配置されているユニットのほか、画面上のメニューからいつでも増援を要請することができる。
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増援は各マップに固定で設置されている増援ポイントから出撃する。生産の待ち時間などはなく、要請直後から指揮できる。
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燃料等の概念はなく、プレイヤーが管理しなければならないリソースは増援要請で消費する資金のみ。
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基地の設営や技術ツリーなどの要素はなし。
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最初は歩兵とBT-7戦車のみ使用可能だが、ミッションが進むと新しいユニットのほか、自軍を一時的に強化する「国歌」などの特殊能力がアンロックされていく。
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敵を倒すとコインやパワーアップアイテムを落とすことがある。資金は拠点生産などではなく、このコインを拾うことで入手する。
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全12ミッション。
妙な点
例としてわかりやすいものを示す。このゲームは徹頭徹尾「妙な点」で構成されており、全てを列挙することはできない。
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ゲームを起動すると「国歌斉唱のためご起立ください」(Please stand up for the national anthem)というメッセージが表示され、大きなソビエト連邦の国旗に切り替わった後、ソビエト連邦国歌がフルで流れる。
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演奏中は画面に国旗が映されたまま。アニメーションはしないし、何らかの展開も一切ない。演奏後には「感謝します、同志諸君!」(Thank you Comrades!)と表示される。
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ちなみに音源はスターリン批判後のバージョンで、本作の主役?でもあるスターリンへの言及が歌詞から除去されている。
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赤軍側のユニットはいずれも従来の第二次世界大戦RTSと同様に実在の戦車や歩兵を模したモデルが使われている一方、火星人側は『トイストーリー』に出てきたような三つ目エイリアンや童話に出てきそうなキノコのお化け、『ピクミン』のような歩兵など、デザインも世界観も不揃いなキャラクターばかり。これらのユニットが対峙する構図はなんともシュールである。
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ミッション開始前のロード画面で唐突に始まる間違い探しコーナー。大戦中の記録写真を使ったもので、間違い側には雑にエイリアンが紛れ込んでいる。
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クリア後に幕間(Intermission)としておまけムービーが流れるミッションがある。宇宙人がデスボイスを効かせながら歌うS.T.A.L.I.Nという曲や、ミハイル・ゴルバチョフ書記長を題材としたGORBACHEVという曲のPVなど。
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エイリアンに対抗すべく赤軍が出す最強兵器は巨大スターリン。エイリアンを踏み潰して進む様はインパクトがある。
問題点
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リソース管理や生産など様々な要素が簡素化されたことによる戦略性の薄さ。
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ユニットの種類は少なく、性能が価格に釣り合わないものも多いため、実際に使うものは自ずと限られてくる。
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そのため、手頃な価格の戦車をとにかく増援として要請し、これらをひとまとめにして目標に突っ込ませるという雑な戦術一辺倒になりがち。
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敵を倒した後に出現するコインの消滅が早い。回収のためには接近戦を挑むほかなく、戦い方の選択肢を一層と狭めている。
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各ミッションはうまくやれば10分程度で終わる。RTSとしては非常に短く、単調さも相まってボリューム不足を感じさせる。
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ミッションの舞台となるマップはどこも似通ったソ連の田舎の風景が広がっており、ロケーションの幅は狭い。後半の火星の風景も代わり映えしない。
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ユニットの挙動について。
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移動中のユニットは、ルート上に障害物があったとしても当たり判定を無視して貫通していくことがある。
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経路探索が貧弱。複数のユニットをグループ化して移動させようとしても、纏まって移動せず蜘蛛の子を散らすように四散したり、勝手に遠回りしようとして逸れる者が現れたりする。
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攻撃を命令したのに棒立ちだったり、明後日の方向へ移動し始めて無防備に攻撃を食らって犬死にすることも。むしろ命令せず自動で反撃させたほうが効率がいい場合も多い。
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大抵のRTSに実装されているキーボードを使ったショートカットなどは用意されていない。RTSでは大量のユニットを管理する必要があるため、これの有無は快適さに大きく関わる。
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ただし、本作はそもそも1ミッションが短く、管理が煩雑になるほど大量のユニットを使う場面も多くはない。
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全く充実していないオプション。
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カテゴリはゲームプレイとサウンドのみ。それぞれマウスの反転やカメラ感度、各種サウンドの音量など最低限のもの。
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グラフィック関係のオプションは一切ない。解像度は1024x768で固定。
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明らかに必要なオプションが見当たらない一方、『猫は好きですか?』というジョーク項目はしっかり用意されている。Yes/Noを切り替えられるが、当然ながらゲームプレイに一切の影響はない。キーボードレイアウトを「革命的」にすることもできる。
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些細なことでフリーズやクラッシュを起こす。目標が決定される前に目標確認ボタンを押すと落ちる、ユニットの挙動でフリーズを起こすなど非常にイラつかされる。
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さして豪華なグラフィックというわけでもないのに非常に重い場面がある。
評価点
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ゲームとしての出来はともかく、本作を彩る皮肉やジョーク、悪ふざけのユニークさには評価の余地がある。ゲームとしての出来はともかく……
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踊るスターリン
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発売前に投稿されたプロモーションムービーは非常に力が入っており、軽快なダンスミュージックに遭わせて踊るスターリンが話題を呼んだ。ゲーム内でも幕間ムービーの一部として使われている。
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幕間ムービーのPVで使われているものも含め、BGMの出来はよい。
総評
突飛な設定や独特のユーモアはバカゲーやB級カルト作品にもなりうるポテンシャルを十分に秘めていたが、バグの多さやバランスの悪さ、ボリュームの不足など、ゲームとしての出来の悪さがそれを阻んだ。いくら悪ふざけを披露されても、製作者自身も後に認めた出来の悪さの中では笑えるものも笑えない。「買うな」という言葉が踊ったレビューは1つや2つではないが、今となってはそもそも買うことが出来ないのが救い。
余談
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発売して10日後に60%割引。わずか3ヶ月後の2009年7月にはSteamでのダウンロード販売が中止され、以後新規に購入する事は不可能となってしまった。
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既に購入済のアカウントでは販売終了後も再ダウンロード及びプレイが可能。図らずも、Steamのユーザーサポートの手厚さを示す事となった。
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販売中止後、公式サイトに「アップデートされたバージョンが近日中にダウンロード可能になる」という告知が掲載されたが、その後は何の音沙汰もない。
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レビューサイトでの評点は軒並み低評価。レビュー集積サイトMetacriticでは100点満点中25点というスコアを付け、PCゲーム歴代ワースト5入りを果たした。
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なお、後により低評価のゲームがいくらか現れたことで、2023年時点では惜しくもワースト5からは外れている。
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パブリッシャーであるMezmer Gamesは元々Paradox Interactiveが低価格のインディーゲームをリリースするためのレーベルとして新たに立ち上げたものだったが、本作以外にはターンベースストラテジーの『Legio』を2010年5月にDL配信でリリースしたのみ。
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以降の動向が全く見られないことやParadoxのWebサイトにも一切の情報がないことから既に事業自体も終了したものと見られている。
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2013年、本作の開発チームが再集結、続編『Stalin vs. Martians 3』のための出資をKickstarterで募っていた。
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目標金額は125,000ドルだったが、最終的に集まった資金は2,270ドル。ファンディング失敗に終わった。
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Kickstarterの記事は「オーケー、『Stalin vs. Martians』は実のところゲームではなかった」という衝撃的な書き出しで始まる。曰く、本作はゲームではなく「時々プレイできるアートインスタレーション」である。
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実際には本作は驚くほどの低予算で開発が始まった上、当時の世界的な金融危機の影響でリリースが急がれた結果、開発者らにとっては不本意な形ながらベータ版に近いものをそのままリリースする他になかったらしい。
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ちなみに『2』はない。FAQによれば、ただ『2』を作るのはつまらないので、1つ飛ばして『3』を作ろうとしたとのこと。
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2019年4月にKREMLINCORP Entertainmentから『Stalin vs. Martians 4』を2020年に発売予定との発表があり、開発中のゲーム画面も公開された。その内容は本作とは打って変わり、俯瞰視点のアクションシューターとなっている。動画内ではコミカルなスターリンが二足歩行のロボに乗って敵を蹴散らす様子が見られる。
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その後の続報はなく、Steamのストアページでは発売予定が2021年、後には「近日登場」に変更されたものの、2023年現在になっても音沙汰は無い。
最終更新:2023年01月05日 20:33