Superman

【すーぱーまん】

ジャンル アクション
対応機種 ニンテンドウ64
発売元 Titus Interactive
開発元 Titus Software
発売日 1999年5月29日
備考 日本未発売
判定 クソゲー
ポイント リング(くぐり)にかけろ
操作性悪すぎの心折設計
ファンもびっクリプトンなクソゲー
ヒートビジョンで破壊してやりたい…


概要

鳥だ! 飛行機だ! いや、クソゲーだ!
Game TrailersのTVゲームワースト10で1位を獲得した、海外におけるクソゲーの代名詞。
それだけに日本未発売なのが非常にありがた…悔やまれるところ。
64ソフトのネーミング傾向に倣い『スーパーマン64』の通称で呼ばれることが多いが、正式名称はあくまで『スーパーマン』である*1
また、ゲームの世界観や設定は1996年から2000年まで米国でTV放映された『Superman:The Animated Series』が元となっている。

ゲームの流れ

全14ステージで、奇数ステージと偶数ステージで構成が異なる。

  • 奇数ステージでは、まずメトロポリスの空中に配置されたリングをくぐりながら制限時間内に終点に飛んで向かう。終点に着くとその地点でミッションが課される。
    ミッションをクリアするとそこから次のミッションに向かうためにまたリングくぐり…ということを複数回繰り返す。
    • リングは道を作るようにやや狭い間隔で配置されており、ちゃんとくぐって行かないとゲームオーバーである。
      • リングの色は3種類で、緑は次にくぐるリングで、黄色いリングは残機のようなもので、黒いリングはくぐるとゲームオーバーになる。
  • 偶数ステージでは前ステージ最後のリングくぐりで到達した拠点に乗り込み、仕掛けを解きながら進んでいく。

問題点

  • プレイ時間の半分近くを、リングくぐりにかける無限連環地獄に引きずり込まれる。正に賽の河原状態。
    • ゲーム開始時からいきなりリングくぐりである。『スターフォックス』のチュートリアルを想起させるが、あちらとは比べるのもおこがましい。
      • ゲーム開始時に流れるボイスが「There is no time to waste! (時間を無駄にするな!)」である。無駄にさせているのはどっちだ。
    • 徐々に難度が上がっていくなどということは全くなく、最初のステージから制限時間ギリギリ。感覚を掴む余裕も無いまま高精度の空中操作を求められる。
      • リングは1回につき3~4個ほど飛ばすこともできるが、リングの総数が平均60~100個ほどはあるため、大した助けにはならない。
      • リングは道を作るように並べられてはいるものの、必ずしもリングをくぐった時点での視界に入るところに設置されているとは限らない。特にカーブでは、その時点で「左に曲がる」ことを知っていればすぐ見えるものの、知らずに真っ直ぐ進んでしまうと視界に入らないままスルーしてしまうような初見殺しめいた事例も度々発生する。
    • しかも操作性が劣悪で、特に上下の入力に対して非常に過敏であり、スティックと違う方向を簡単に向いてしまう。クイックターンをした日にはどこを向くかわからない。
      • 自分が動かずにカメラだけを操作することができないため、一度リングを見失うと飛びながらではルートへの復帰が難しい。
    • ステージ3以降は制限時間自体はいくらか余裕が出てくるものの、リングが水中に置かれていたり(空中からは水中のリングは見えず、逆に水中からは空中のリングが見えない)、リングが小刻みに跳ね回っていたり、配置がとっ散らかっていて次にどこを通ればよいかわからなかったり、挙句判別不可能な偽ゴール(通ってしまうとその時点でミス)が設置されるようになったりとクリアさせる気0の凶悪難度になっていく。
    • そんなリングくぐりを奇数ステージでは1ステージに何回もやらされる。やる気をどんどん削がれていくだけでたまったものではない。
    • ゲーム終盤になるとスタッフも制作意欲が途切れてしまったのか、リングの配置がただの一直線ばかりとぞんざいになっていく。もっとも凶悪な難易度とつまらなさが相まって、このレベルに普通に到達できる人などまずいないだろうが。
    • そもそも、スーパーマンでリングくぐりをやる必要など全く無い。
      • 一応、ストーリーの最初にスーパーマンの宿敵であるレックス・ルーサーが「友人を救いたければリングの迷宮を突破してこい」などとのたまってくるが、リングくぐりをさせる理由がさっぱり分からないため無意味も同然である。
    • このようにリングくぐりこそが本作を有名たらしめた最大の問題点なのだが、実は難易度設定をイージーにしてプレイした場合、リングくぐり自体を全部カットできる
      • 高難易度に対する救済策なのかもしれないが、「だったら最初から別のミッションを作れ」という話である。
        なんと救済策としてステージセレクトとステージスキップコマンドもそれぞれ用意されている。つくづくリングくぐりの意味がない。
  • もちろん、問題点はリングくぐりだけではない。
    • ミッションの内容説明はステージ開始時に唐突に表示され、かつ1秒ほどで消えてしまう。
      • 例えば最初のリングくぐりのクリア後だと、「LIFT THE TWO CARS BEFORE THEY CRASH THE INNOCENT PEOPLE!*2」と出る。読ませる気あるのか。
      • リングくぐりの成功後、息つく暇もなくパッと次のステージに進んでしまうことも相まって、唐突な説明文に何をすべきかも理解できず失敗に繋がることは珍しくない。
    • 「敵を全部倒せ」というミッションは敵の居場所がわかりづらい、「民間人を救え」というミッションは成功条件がわかりづらい…と、作り自体も不親切。
      • そしてミッションクリアに失敗すると、やり直しは直前のリングくぐりから。
    • N64であるということを差し引いても全体的に処理落ちがひどい。スーパーブレス等の特殊能力を使うだけで確実に発生する。
      • リングくぐり面はこの処理落ちとただでさえ悪い操作性が相まってマトモに操作ができない。
    • 以上のように道中は凶悪な難易度のわりに原作でスーパーマンを苦しめて来たヴィランたちはやたら弱く、適当に攻撃を連打すれば難なく倒せる。
      • 特に強敵と知られるダークサイド*3遠くからヒートビジョンを撃ってるだけで簡単にくたばるのは失笑モノである。
      • しかも、撃破した後にダークサイドを警察へ引き渡すというシュール極まりない展開になる。ダークサイドの次の敵がパラサイト*4というのも戦う敵の順番としてイマイチ順当ではない。
    • スーパーマンのモーションもとにかくダサく、浮遊霊のような飛行、投げやりなパンチ等、プレイヤーのやる気を奪ってしまいそうな脱力物。
    • ザコ敵はたったの2種類。うち片方は奇数ステージのミッションにしか登場しないため、偶数ステージに登場するザコ敵は1種類だけ。
    • エンディングムービーのカメラが何故かやたら荒ぶっており*5、吐き気を催す可能性あり。もっともそこまで到達できる人など(ry。
  • バグも多数存在。妙なところで引っかかったり、スーパーマンやザコ敵が壁や床を抜けてしまったり、意図せずとも普通にバグが発生する。
    • タイトル画面で流れるデモプレイから既にバグっており、最初こそ順調にリングをくぐるものの、途中から急に明後日の方向に移動を始め、障害物に引っかかったまま終了してしまう。
    • 特定面の開始時に高確率でカメラバグが発生し、やたら遠くからの引き絵になることがある。
    • 建物に引っかかった際に内部的な数値がおかしくなるのかステージの端っこまで一気に飛ばされてしまうことがある。もちろんリングくぐり中に発生したらそのステージは諦めるしかない。

評価点

  • 無理にでも評価点を挙げるとすれば、ブルース・ティムのキャラクターデザインが好評な『スーパーマン:ジ・アニメイテッドシリーズ』のゲーム化というところか。
    • 一方で、同じくブルース・ティムがキャラクターデザインを担当している『バットマン:ジ・アニメイテッドシリーズ』のゲームが良作尽くしなのと比べると非常に悲しくなってくる…。

総評

スーパーマンという半世紀以上の歴史を持つ偉大なヒーローものの初祖は、無数にある(いる)「物語」「技」「仲間」「敵」など*6当にゲームネタの宝庫である。
その極上の題材を使ってスッカスカの駄作を作ったスタッフは、スーパーマンの如何なる敵よりも壮大な邪悪である。
ある意味一番恐ろしいのは、元々ソフト数が少なくクソゲーの比率も低いN64でこれだけの核弾頭が生まれてしまった事か。

もしスーパーマンが現実にいたなら過去に戻ってでも開発を阻止するであろう…*7


余談

  • PS版について
    • 実はPS版も制作*8されており、N64版の失敗からシステムや内容を新しく作り直し、完成までこぎ着けたものの、発売直前に版権元であるワーナーとのライセンス契約期間が満了となってしまい、契約更新もできなかったことからお蔵入りとなった。
    • PS版は製作中の映像を見る限りはグラフィックや処理落ちに関してある程度改善されており、出ていれば多少は汚名も返上出来ていた可能性もあるが、お蔵入りとなってしまった以上評価のしようはない。
  • 本作に関わったTitus Interactiveだが、N64では本作の他に、PCゲーマーの間では残虐カーアクションゲームの代表格として知られる『Carmageddon』のN64版である『Carmageddon 64』をリリースしている*9
    • だが、こちらも原作の残虐表現がかなりオミットされ、通行人がゾンビに置き換わってたり*10、轢いたときの血が緑色に変更され、操作性やゲームシステムの改悪がひどかったことから本作同様の酷評を受けている。

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最終更新:2024年03月12日 15:17

*1 一応、パッケージの裏面には『Superman:The New Superman Aventures』と書かれている。本来はこれが正式タイトルかと思われるが推測の域を出ない。何せ、実際のタイトル画面もスーパーマンのロゴマークの上に「SUPERMAN」としか書かれていないのである。

*2 和訳すると「2台の車が衝突して罪のない人々を巻き込む前に、車を持ち上げろ(持ち上げて、止めろ)!」である。

*3 一言で原作設定をまとめると「別次元の神」であり、スーパーマン単身では歯が立たずジャスティスリーグのフルメンバーが揃ってようやくまともに戦えるレベルの強敵。

*4 触った相手の能力を吸収できる元人間のヴィランだが、はっきり言ってダークサイドよりも遥かに格下。

*5 引きと寄りを激しく繰り返す動き。かの谷啓氏の鉄板ギャグ「ガチョーン!」を想像していただければわかりやすいかもしれない。

*6 1938年から現在まで幾度のリブートを挟みつつ物語が続いているだけあって、文字通り天文学的な数の「物語」「技」「仲間」「敵」などの設定が作られては消えていった。

*7 映画スーパーマンでは地球の周りを光速で回転することによって過去へタイムトラベルした。瀕死のロイス(スーパーマンのガールフレンド)を想っての奇跡であり、常時できるわけでは無い。

*8 開発はタイタス傘下のBlueSky Softwareが担当。

*9 開発はなんと『ソルスティス』などでお馴染みのSoftware Creationsが担当。内容自体は2作目である『Carmageddon 2:Carpocalypse Now』の移植。

*10 さらに言うとドイツ版はゾンビすらご法度だったのか通行人が恐竜やマンモスに差し替えられている。