Plumbers Don't Wear Ties
【ぷらまーず どんと うぇあ たいず】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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3DO Interactive Multiplayer、Windows3.1
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発売元
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【3DO】Kirin Entertainment 【Win】United Pixture
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開発元
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United Pixture
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発売日
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【3DO】September 30, 1994; |
レーティング
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Rating:17(17歳以上対象)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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シナリオ短すぎ&電波すぎ プレイヤーをいらつかせる冗長な演出 スライドショーばかりで動画はどうした そもそもエロくない ネクタイ締めとるやんけ 寒いメタ発言
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概要
要所で選択肢を選んでシナリオを進めていくオーソドックスなアドベンチャーゲーム。
タイトルを直訳すると「配管工はネクタイを締めない」。
親から結婚を急かされている配管工のジョンと求職中のジェーンを中心としたドタバタコメディ。
特徴
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プレイヤーは、要所で出る選択肢で2人の行動を選んでいくことでハッピーエンドを目指す。
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当時の最先端ゲーム機らしく、実写(動画・静止画含む)を全編で使っている。
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ゲームのパッケージ裏面には「Plays like a game …feels like a MOVIE!!!(映画のようなゲームプレイ!!!)」という文がある。
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1つあるベストエンディング以外は全てバッドエンディング(ゲームオーバー)である為、不正解の選択肢を選んだ場合は直前(またはそれ以前)の選択肢からやり直しとなる。
問題点(注:ネタバレ含む)
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シナリオが短すぎる。
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全編通してプレイしても約3時間で終わるボリューム。
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しかも、その時間の大半はストーリーの本筋とは関係ない人物の世間話や長々と表示される選択肢メニュー、シナリオ進行を補佐するナレーターによる冗長な説明によるもの。
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シナリオ&演出が電波過ぎ。
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ゲームのパッケージの表には「A Plumber(配管工)」「A Daddy's Girl(パパ大好き娘)」「Chickens(ニワトリ)」「Crazed Yuppies(ノリの良い都会人)」「Evil Bosses(悪の親玉)」
「Shower Scenes(シャワーシーン)」「Race Cars(レースカー)」「Pandas(パンダ)」「A Nun(修道女)」といった文字が並んでいる。
パッケージを逆さまにすると「Get it?(わかった?)」の文字が。お前は何を言っているんだ?
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オープニングに出てくるレースカーの静止画がモザイク入りだったりネガ画像。この時出るスタッフロールの文字色が背景色に似ている為、極めて見辛い。
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上記オープニング時にジョンがベッドで寝ているシーンがあるのだが、そこにレースカーに乗ったパンダが何の説明も無く唐突に現れる(もちろん静止画)。
コラ写真を作る上で当然の技術を一切使っていない為、異常にパンダの存在が浮いている。
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ジョンが上半身裸でネクタイを着け、便所スッポンでエアギターを始める。
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ちなみにこのゲームのタイトルは日本語で「配管工はネクタイを締めない」という意味である。したがって、このシーンとタイトルが矛盾している事になる。
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演出の一環として、シナリオ進行を説明・演出するナレーターが出てくるのだが、これが電波な上に非常にうざい。
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彼らの喋り&演出はいちいち長い上に飛ばす事が出来ない。これが更にストレスを感じさせる原因になっている。彼らの説明中は選択肢が表示されても何も操作が出来ない為、喋り終わるまで待つ必要がある。
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あるシーンでは、何のフラグもなく謎の空手女が最初からいたナレーターを襲って倒し「やっとうざい奴と酷い音楽が消えた」と言ってナレーター職を乗っ取る。
後半では、また何のフラグもなく元のナレーターがこの女を射殺して復職する(しかも犬が拍手して迎える。犬…?)。
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求職中のジェーンが面接を受けるシーンの選択肢が「仕事を承諾する」「仕事を拒絶する」「面接官が変態になる」の3つ。
最後の選択肢を選ぶと、ここからは18歳以上対象だとの説明をされる。本作は17歳でも出来るゲームでは無かったのか?
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ちなみにこの選択肢を選ぶと、面接官がジェーンに服を脱げと強要してくる。この時ナレーターに「君の病的好奇心がジェーンに危機をもたらした!」と言われる。うるさい。
その後「脱衣を拒絶する」「脱衣を承諾する」の選択肢が与えられるのだが…。
「脱衣を承諾する」とSMプレイ(のスライドショー)が始まる。言うまでもないが、この選択肢はバッドエンディング直行ルートであり、待ち受けるものはゲームオーバー&やり直しである。
その後、チキンマスク男から説教される。パッケージの「Chickens(ニワトリ)」ってこれのことなのか…?
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シナリオ全編におけるギャグ&シナリオ展開のスベりっぷり。
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「意味不明な展開=シュールで面白い」と脚本家が勘違いしているらしく、中盤以降は寒い超展開が多く続く。ウィットに富んだジョークや下ネタで笑いを取る一般的なコメディを期待すると非常に落胆する。
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エロ要素のガッカリ&クソっぷり。
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本作はゲーム・ビデオのレンタルショップのアダルトコーナーに陳列されることが多かった作品であり、プレイヤーは勿論そういうものを期待していた。
余談だが、店の陳列基準等により差異はあるが、基本的に同コーナーに陳列されるゲームは性表現メインの18歳以上対象(現在のESRBレーティングだと「AO」(Adult Onlyの略)になる。)ゲームか、17歳以上対象のゲームの極一部に限られていた。
ちなみに本作は前述の通り17歳以上対象。
何が言いたいかというと、本作はエロ要素を売りにしていたということである。
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ゲームのパッケージに記載されていた「A Daddy's Girl(パパ大好き娘)」「Shower Scenes(シャワーシーン)」「A Nun(修道女)」等から屈強な10代男子ならその内容や展開を妄想して十分期待できた。
それが普通の反応だ。
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実際は、ヒロインのジェーンがストーリーの簡単な説明をしてくれる際にアングルが彼女の胸(というかおっぱい)に集中したり、微妙なアングルのシャワーシーンや下着シーンがあったりする程度。
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アメリカでは若年層でも日本並にAVが簡単に入手または視聴出来る為、本作程度のエロ要素はゴミに等しかった。
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結果、ゲームとしてもつまらなく、エロ要素もゴミ扱いという救いようのないゲームになってしまった。
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当時の最高水準の綺麗な動画が売りの3DOなのに、ほぼ全編が静止画によるスライドショーで構成されている。
評価点
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シナリオ(超展開)の好意的評価。
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前述の問題点(超展開は不評)の指摘と矛盾するが、「バカゲー」として見た場合、前述の通りシナリオ展開のぶっ飛び具合が凄まじい為、一種異様な魅力を持つことに成功している。
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バッドエンド後のシナリオ復帰までのレスポンスは良い(直前の選択肢等まで戻される為&ロード時間も短め)。
総評
実写シーンを多用することで映画のようなプレイを可能にした、数少ない3DOのアドベンチャーゲーム(エロ要素有り)という触れ込みにより悩める男子のハートを掴んだゲームではあったが、その実態は意味不明なシナリオ&超展開、行動原理&正体不明な登場人物達、眠いBGM、レスポンスの悪いゲーム進行&操作、エロ要素のガッカリぶり、と全ての期待を裏切るゲームでしかなかった。
余談
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ヒロインのジェーンを演じた女性はアメリカの女子プロレス団体GLOWで「ハリウッド」のリングネームで活躍した、ジーン・バソン(Jeanne Basone)という人物である。
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実は3DO版の前年にWindows3.1版が発売されている。主な違いは3DO版で追加された冒頭のムービーシーンがない代わりにゲームの簡単な概要が表示される、操作はマウスオペレーション、静止画は3DO版に比べると鮮明。PC(Win3.1)版プレイ動画
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このゲームには
なぜかスコアの概念がある
。これの多寡がゲームにどう影響するかについては説明書にも書かれておらず謎のままである。
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アメリカのゲームパブリッシャー兼ディストリビューターであるLimited Run Gamesは2021年6月に開催されたE3でのイベント「LRG3 2021」上にてPS4/PS5/PC/Switchへの移植版が発売されることを発表した。パブリッシャーのツイート
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その後、2023年9月22日より「Definitive Edition」して、パッケージの予約販売を開始。オーディオコメンタリーやインタビューの追加が行われている。更にパッケージはリバーシブル仕様となっており裏面は
なぜかアニメ風味の絵面になってる上、「配管工はネクタイをしない」と日本語タイトルも書かれている。
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当初はDL版の発売も予告されていたが現時点では不明のままとなっている。
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クソゲーとしての知名度から逆に需要が増大してしまったらしく、中古市場では法外な価格が付けられている。
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3DOは希少なレアソフトでさえ10万を超えるのは稀なのだが、今作は日本円にして約14万で取引されている(2023年2月現在)。
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3DOはリージョンフリーなので、入手さえできれば日本でもプレイ可能。
関連リンク
最終更新:2023年11月15日 18:39