CRUISE CHASER BLASSTY

【くるーず ちぇいさー ぶらすてぃー】

ジャンル RPG
対応機種 PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM/UM以降、X1
発売・開発元 スクウェア
発売日 1986年4月26日
定価 7,800円
分類 クソゲー
ポイント ロボットアニメを詰め込むには容量と気配りが足らなかった
宇宙で現在位置が分からなければ当然迷子
配信 PROJECT EGG:2014年5月2日/500円(税抜)

概要

スクウェアが独立以前に出した変形ロボットRPG。RPGでは稀な、ロボットと宇宙を舞台としたゲーム。
アニメをふんだんに使った演出。「戦闘が全てアニメーションする」という当時には全くなかった演出がされている。
日本サンライズ(現:サンライズ)が製作に協力している。

ストーリー

反物質で囲まれた階差閉宇宙。人類のほとんどはその狭い宇宙で、「コミューン」と呼ばれる中枢統括局に管理され生きていた。一方、そのコミューンに対する反乱分子「インバース」と呼ばれる勢力がいた。コミューンは、一定年齢に達した男子を賞金稼ぎ「インカー・マース」に割り当てる事で、インバースに対抗する。そんな中、インカー・マースに与えられる試作のクルーズ・チェイサー(巡航追撃艇)「ブラスティー」が完成した。

特徴とシステム

  • 宇宙を舞台にしたゲームなのだが、実はウィザードリィタイプの3DダンジョンRPG。本作の宇宙には端があって、壁や通路があるのである。一応設定上は、宇宙の端を閉宇宙とし、壁をアステロイドベルトが原因としている。しかし移動は前後左右のみで、上下には行けない(理由は特に説明されていない)。
    • マップはいくつかの閉宇宙空間からなり、ゲートを経由して他の閉宇宙空間へ向かう。つまりゲートは、ウィザードリィでの階段と同じ。
    • ブラスティーはエネルギー「POWER」が必要で、動いたり戦闘すると徐々に減っていく。ゼロになるとゲームオーバー。
    • ブラスティーには変形機能があり、ロボット形態の「GUNNER」と、航空機(宇宙船)形態の「SHOOTER」の二種類の形態を取れる。GUNNERは武装が豊富だがPOWER消費が多い。SHOOTERは武装に乏しい(前半は武装無し)がPOWER消費は少ない。戦闘ではGUNNER,移動ではSHOOTERの形態を取るのが基本。
      • でも変形に1ターンかかる(1ターン一方的に攻撃される)ので、結局GUNNER形態のまま移動する人も多かったとか。勿論強くなったら低階層をSHOOTERのまま戦いつつ進み、高階層に到着してからGUNNERに変形となるが。
      • SHOOTER用の武装は後半にならないと手に入らない。デザインを見る限り格闘以外の武装は共用出来そうなのだが…。
  • 戦闘は1vs1。システムはコマンド選択式。
    • 基本的にはよくあるコマンド選択式だが、一風変わっているのが3ターン分のコマンドを先に入力する点。コマンドは「攻撃」と「防御」の二種類しかなく、魔法に相当するものやアイテム使ったりなどはない。逃げる事もできない。
    • 被害を受けると、戦闘能力が落ちていく。被害箇所によっては経験値が削られていく事もある。
    • 武器は「バルカン」「ミサイル」「キャノン」「ソード」の各系統があり、敵にはそれらに対応した弱点がある。弱点を突いた武器を選択すると、大ダメージを与えられる。一方で距離の概念はない。防御の武装としてシールドがあるが、これは防御コマンド時しか効果を発揮しない。
  • 経験値に応じて、徐々に成長するシステム。
    • 戦闘データーをコンピューターが蓄積し成長するという設定になっている。経験値はメモリがある分だけ蓄積できる。つまりメモリを増設していかないと、経験値に天井が来てしまうようになっているのだ。レベル相当するものは一応あるが、クリティカルヒット率が増加するのみ。
  • 武装強化は購入で。
    • 武装の強化は人間が住んでいる巨大母船でできる。そこの装備売買所で売られているものを購入するのだ。またLABOでは新たな武装を開発している。時間が経てばやがて店頭に並ぶのだが、投資する事により店頭に並ぶのをかなり早める事ができる。

評価点

  • フルアニメーションの戦闘シーン。
    • 当時はゲームの一部がアニメーションするだけでも注目されたが、それが戦闘シーン全てに使われている。その衝撃はかなりのものだった。主役機ブラスティーの変形も当然フルアニメ。ロボットアニメのロマン満載である。
    • アニメ部分を担当したのは、機動戦士ガンダムなどを製作したあのサンライズ。メリハリのついた動きの良さは流石。
      • ただし当時のパソコンの性能なので現代の様な美麗ムービーとは行かず、サンライズから渡されたセル画を一枚ずつ手作業でCGに変換した上でのパラパラ漫画である。
    • デザインもなかなかいい。ただ、SFテイストの高い非人間タイプが半数以上いるのは人型タイプのロボットが好まれる昨今的に少々残念。
      • メカデザインは明貴美加 *1 。ノイエジール(ガンダムシリーズに登場する非人型ロボ)等のメカデザイナーとして知名度が高い。
  • 終盤、一変するストーリーは好評だった。
    • コミューンの正体をインバースから明かされ、信じてインバースに付くか、信じずにインカーマースに残るかを選ぶ、当時としては珍しいマルチシナリオ。

問題点

  • 3Dダンジョンタイプなのに、マッピングそのものが厳しい。
    • ウィザードリィの3Dダンジョンと言えば、迷路が目の前にあり、目に映る左右に壁やら先の方に扉やらを元にマップの作成、マッピングしていくのが基本プレイスタイル。
      なのだが、本作はその基本が難しい。というのも目の前には壁も扉も見えないからだ。見えるのは彼方できらめく星々だけ。壁にあたるアステロイドベルトは、目前の、しかも真正面にあるものしか見えない。ただの真っ直ぐな通路をマッピングする場合も、1歩進んでは左右を向き、壁があるかどうか確認しなければならないのである。
      確かに宇宙は広い。見える範囲に壁であるアステロイドベルトが並んでいるのは変かもしれないが、演出でゲームの本質を失っては本末転倒である。
  • すぐ迷子になる宇宙。
    • マップは壁が見えないだけではなく、実際に壁が少ない。宇宙なのだから当然なのかもしれないが。だがそれでは、目印のない広い砂漠を進んでるようなもの。
      • つまり普通の3DダンジョンRPGは、周りの壁の配置と(自作した)マップとを照らし合わせて現在位置を割り出したりするのだが、本作では目印になる壁自体がないのでそれが出来ない。このためあっさり迷子になる。
    • しかもただ迷子になるだけではなく、本作は移動するだけでPOWERを消費するシステム。迷子になるとPOWER切れで遭難死してしまうのである。
    • 批判を受けて(おそらくはデバッグ用と思われる)現在位置を知る隠しコマンドが公開される事態に。
  • テンポを悪化させる邪魔なアニメ。
    • 最初こそ、もの珍しくかっこいいアニメも、パターンが少ないため慣れれば鬱陶しいだけとなる。しかも余計な所までアニメするのだ。
    • 移動にすらアニメがある。一歩進む度に星が流れていくのだが、そのせいで進むのがやたら遅い。確かに宇宙を移動している雰囲気は出ているが、進むだけで時間を取られるとさすがに邪魔。これがマッピングをさらに苦痛なものにしている。
    • 戦闘も、何かする度にアニメを描写するため、システム上の間が発生しテンポが悪い。
    • 一応、アニメOFFの選択ができるのだが、OFFにできるのは敵の攻撃だけでブラスティーの攻撃、移動中は変わらないのでないよりマシレベル。
  • 面白みのない戦闘。
    • 武装はいろいろあるものの、結局ただの殴り合いである。距離の要素もない、一般のRPGの魔法のような特殊効果がある攻撃もない、さらに1vs1なので、やる事自体が少ないのだ。
    • 敵の種類自体が少ない。アニメに容量を割り過ぎたのか *2 最初期のRPGより敵が少なく、合計8種類。内3種類は強化型と言う名の色違い。
      • そして一つの閉宇宙に、出る敵が2種類程度というありさま。しかも攻撃アニメが容量を食うせいか敵の攻撃の種類も各2種類しかない(最後の敵であるエリクセンだけは変形機と言う事で例外)。一応、基本型と強化型とでは別のアニメーションが用意されおり使いまわしではないが。
      • ロボット物なのに敵8種類中4種類が宇宙戦闘機。エリクセンも腕と尻尾の生えた戦闘機であり人型は3種類だけ。
  • リセットするしかないMISSバグ。
    • たまにだが、戦闘中お互いの攻撃が全く当たらなくなる事がある。強さに関係なく双方の攻撃がMISSを連発し、まるで当たらなくなる。こうなるともうリセットしか手はない。
  • おかしな謎のメッセージ。
    • ストーリーを形作る上でかかせないのが、耳に届く話である。本作ではその一つが、PUBで聞く話。そしてもう一つが、宇宙を移動してると突然表示されるメッセージ。これが脈絡なくいきなり現れるのだ。
      いったいどこから誰が何のために、そんなものを伝えようとしているのか全く不明。そもそもどうやって伝えたのかも分からない。内容も、奇妙な状況とは似つかわない現実的な告発じみたものやプレイアドバイスで、不自然極まりない。
      • せめて突然の通信が入ったと一言加えれば、不自然さは大きく減ったと思うのだが…。

総評

ガンダム以降のロボットブームの流れに乗ったゲームで、RPGとしては異色のSFロボットもの。しかもキャラクターの一部分がアニメするだけで注目された時代にフルアニメである。
初めて目の当たりにしたそれは確かに衝撃的だったが、プレイを続けていくと、やがてその印象も失せていく。慣れると粗ばかりが見えてくるのだ。
マッピングもままならないシステム。単調な戦闘。アニメは最初のインパクトから一転、テンポを阻害する要素となる。
結局、ロボットアニメでRPGするという上辺ばかりを気にしすぎたのか、ゲームとしては不都合ばかりのものになってしまった。

本作は、スクウェア(現:スクウェア・エニックス・ホールディングス)が電友社の一部門時代(本作発売と同年に独立)のゲーム。ファイナルファンタジーシリーズ等で、何かとビジュアル偏重が話題になる同社だが、実は設立以前からその傾向があったのだ *3

メカデザインで協力した当時のサンライズはゲーム開発に相当乗り気だったようであるが、評判の悪さからゲーム市場から足が遠のいたと噂されている。

余談

  • 本ゲームの敵は世代順に頭文字のアルファベットが決まっている。以下のような具合。
    基本型 強化型
    アグレス(A:人型) バグレス(B)
    バブレイ(B:宇宙戦闘機 *4 クラブレイ(C)
    クラスター(C:宇宙戦闘機) ダグラスター(D)
    D.D(設定のみでゲームには未登場:人型) E.D.D
    エリクセン(E:可変機。腕の生えたエイと言うか何というか)
    • この法則だとブラスティー(B)は5世代中2世代目の旧式機となってしまう。尤も1面の敵を考えれば配備時は最新鋭だったと言えたのかもしれないが。
      • 後述の小説版だと「第2世代に開発が始まったものの要求性能を満たすには技術不足として開発凍結、後に開発再開、第5世代の技術をもって完成を果たした」として「第2世代の名を持つ第5世代機」と言う設定になっている。
  • 後に模型雑誌「ホビージャパン」で誌面連載やガレージキット化されたり小説化もされている。
    • ただし登場メカの名前が同じだけの別物で、舞台も地球やアルファケンタウリ *5 と言った既知宇宙。
      • メカは特徴的な個所をより鋭角的にしたデザインとなっている。いわゆる「常に宙に浮いている足首の無いロボ」の先駆けか。脚なんて飾りです偉い人には(ry。あくまでも足首がないだけで脚自体はある。
    • 86~87年に連載していた「ホビージャパン」版はこの当時 *6 流行していた、『1から制作された立体物&小説&設定資料』形式での連載。連載終了後にはムックとして纏められている。
      • 同様の形式による連載物の代表例としてはライバル誌「モデルグラフィックス」の『ガンダムセンチネル』等がある。と言うかセンチネルの対抗馬を期待していたのだろう。
    • 加筆修正の上で、朝日ソノラマ文庫から単行本化された。続編も出ており、計2巻。
  • 『ファイナルファンタジーIX』の召喚獣「アーク」の元ネタとされている。
    • ただし、足首の無い細身のデザインと変形パターンから、ゲーム版ではなく小説版の方が元と思われる。 サンライズとの版権問題だろうか?
  • 『ファイナルファンタジーXIV』にて何故かボスとして採用されている、FF9の「アーク」名義ではなく「クルーズチェイサー」名義で登場する。
    「コードネーム・ブラスティー」と名乗っており完全にこっち側が元ネタの状態である。
  • 発表から発売までが(当時としては)長かった為、パソコン誌『テクノポリス』でゲームレビュー漫画を描いていた矢野健太郎氏は、所謂「出る出る詐欺」の事を「ブラスティ・シンドローム」と呼んだ事がある。