アルナムの牙 獣族十二神徒伝説

【あるなむのきば じゅうぞくじゅうにしんとでんせつ】

注意:ここでは『アルナムの牙 獣族十二神徒伝説』の原作(PCE)版と、リメイク(PS)版の二つについて紹介しています。PCE版はクソゲー判定、PS版は「判定なし」です。



原作(PCE)版

ジャンル RPG
高解像度で見る 裏を見る
※重大なバグあり、購入時要注意!
対応機種 PCエンジン スーパーCD-ROM2
発売元 ライトスタッフ
発売日 1994年12月22日
定価 8,800円(税別)
判定 クソゲー
ポイント バグだらけ
高いエンカウント率
セーブデータが一つしか作れない
アルナムシリーズ
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概要

人種差別をテーマにしたRPGで、人間たちに差別されている亜人類(獣族)の戦士たちの物語を描いている。
本作は『エメラルドドラゴン』や『アルシャーク』で人気を博したイラストレーターの木村明広が総監督を務めている。


ストーリー

一人の少年が相も変わらず燦々と照りしきる太陽を見上げていた。
否、少年は陽を見ていたのではない。その太陽の向こうの、おそらくは彼の目がつくりあげた幻影を見つめていたのだろう。
これから歩むべき刻の流れに、少年は今、最初の足跡を記したのだ。
少年は震えた。そして少年は、遠い目で、彼の置かれた立場を明確に認識した。
もう後へは引けない。少年は、そう自分に言い聞かせた。
少年の名はケンブ。今、彼は旅立つ…。

“清都(せいと)”と呼ばれる中央府に統治されたこの世界は、気の遠くなるほど長い間、平和で安定した日々が続いていた。
しかし、永遠に続くと思われた“人間”達の平穏な生活は、突然の事件によって危機にさらされることになる。異形の怪物“肉叢(ししむら)”の出現である。
生命あるものを無差別に襲う肉叢の脅威は月日を追うごとに増大し、人びとの不安は最早頂点に達しようとしていた。
そして人間達は、彼等が常に“卑しまれた者共”と蔑んできた“獣族(じゅうぞく)”を、肉叢から我が身を守る為の“楯”として利用する策を講じたのである。
獣族の者達が、何時頃どの様にして生まれてきたのかは定かではない。
ジュツ族代表の防人として清都へ赴くケンブにとっても、一体自分が何者かは知る由もなかった。
(PS版説明書より引用)


特徴

  • パーティーに加わるキャラクターは合計13人で、いずれも獣族12部族それぞれの代表である。
    + パーティーキャラクターの紹介
    • ケンブ 年齢:17歳 犬に獣化する戌(ジュツ)族の代表。本作の主人公。意志が強く正義感にあふれているが、マイペースで人の話をよく聞かない。
    • オウケン 年齢:不明 ケンブと同じく犬に獣化する戌(ジュツ)族の男性で、ケンブに戦闘技術を叩き込んだ師匠。
      一族の中でも最強の戦闘能力を有する程の実力者だったのだが、物語の最序盤で肉叢の攻撃からケンブを庇って命を落としてしまう。
      本来ならばケンブではなく彼が部族の代表として、清都に赴く予定であった。
    • トエイ 年齢:17歳 兎に獣化する卯(ボウ)族の代表。快活で心優しい少女。しかし、自分の気持ちに正直な言動がトラブルの元になることも。
    • シャッコ 年齢:23歳 虎に獣化する寅(イン)族の代表。性格は粗暴だが、非常に義理堅い。妹のマトラには頭が上がらない。
    • トバリ 年齢:19歳 鳥に獣化する酉(ユウ)族の代表。真面目で爽やかな青年。この世界では貴重な飛行能力を持っている。ケンブとは気が合うらしい。
    • スズメ 年齢:21歳 馬に獣化する午(ゴ)族の代表。明るくサバサバとした性格のしっかり者のお姉さんで、仲間を元気付ける。
    • バッソ 年齢:18歳 鼠に獣化する子(ス)の代表。ちょっとずる賢くお調子者な男で、シャッコの子分を自認している。非常にすばしこく、盗みの技は天下一品。
    • タランダ 年齢:25歳 蛇に獣化する巳(シ)族の代表。気が強く口も悪いが、根は他人思いで優しい姉御肌な女性である。
    • ランチョ 年齢:35歳 猪に獣化する亥(ガイ)族の代表。猪突猛進で豪快なおじさん。そのため、どんな危険な場面でも突っ込んでいく。代表の中では唯一の妻子持ち。
    • ギユウ 年齢:27歳 牛に獣化する丑(チュウ)族の代表。無口でポーカーフェイスな力自慢の大男。何故か頼りになる。
    • ヨウガン 年齢:20歳 羊に獣化する未(ミ)族の代表。気が弱く戦うことを好まない青年。自分が場違いな所にいると意識しているため、余計に臆病になっている。
    • ヒエン 年齢:16歳 猿に獣化する申(モウ)族の代表。頭脳派でプライドが高い少年だが、どこか抜けている。周りから認められたいという要求が強い。
    • リョウスイ 年齢:不詳 龍に獣化する辰(シン)族の代表。素性は謎に包まれている不思議な青年。この世界のさまざまな謎の鍵を握っているらしい。
    • 彼らはそれぞれ干支の十二支にちなんだ12種類の獣へ変化することができる。
    • ただし、同時に加入するのは最大でも3人で、主人公ケンブ以外のキャラクターはシナリオが進むごとに入れ替わりが強制的に行われる。
  • ステータスはHPに当たる「体」とMPに当たる「気」と分けられる。
  • 戦闘コマンドは「攻撃」「獣化(獣化攻撃)」「合体(合体攻撃)」「防御」「物品(アイテム)」「逃走(逃げる)」があり、「攻撃」「獣化」「合体」は「気力」を消費する。
    • 「攻撃」コマンドは気法(魔法)を使うキャラは気法を使い、気法を使わないキャラは通常攻撃をする。
    • 攻撃の種類によって消費する気力が変わり、通常攻撃でも気力を1消費する。
    • 「防御」を選ぶと気力が回復できる。
  • ロム(お金)に関しては、戦闘で直接手に入るのではなく戦闘で倒した肉叢(魔物)の数などによって換金所でお金と交換するシステムになっている。

問題点

バグ

SFCの『摩訶摩訶』もかくやと思わせるバグの温床。

  • 詰み確定のバグ
    • ウーシェンの村の西にある「西の洞窟」の途中にある、出口に見える所から出ると画面全体がバグったフィールドに出て動くこともできず詰む。
      • しかも「出口に見える所」とは画面の三分の一ほど壁の無い所で、正しい道は半キャラ分ほどしか空いていないため一見行き止まりに見えるという初見殺しの罠。
    • 終盤のダンジョン「マハムの塔」の頂上近くで、イベントが発生し3人目の仲間がパーティを抜けた直後に頂上へ向かわず下の階へ降りると、たった今降りたばかりの階段が登れなくなる。下へ降り続けても行き詰まり、仲間の気法「脱出」も効かないのでハマり確定。
    • 仲間のトエイ、タランダとパーティを組んでいる時に、2人のレベルを上げ過ぎた状態で四天孔のナンゴウに会うとフリーズする。
    • ラストダンジョン最深部に、いるべき筈のラスボスの姿がない場合がある。もちろんクリア不能。
      • 他のボスでも同様の事が起き得る。ただラスボス以外なら一度ダンジョンから出て入りなおせばボスがいることがあるのが救いか。
    • あるキャラとの話を終えて建物を出ようとするとき出口の左側から出ると、入り口に出ずにフィールドに出てしまう。しかもクリアに必須なアイテムが入手不可になる。
  • フリーズの嵐
    • 炎系の最強気法(魔法)「熱炎」を使用するとフリーズする。敵が使ってきた場合もバグる。
    • この気法を使用できる仲間がよりによってタランダ。彼女が仲間にいる時はLVの上げ過ぎも含め注意が必要。
      • プレイヤーが使用する場合、対象決定前に方向キーの左右で対象を変更すればフリーズせずに使えるものの、どの敵が対象になっているのか画面上で判別できない。
      • なお、タランダは戦闘時の初期カーソル位置が気法であり、「熱炎」は覚えれば気法選択後の初期位置。つまり雑魚相手にやりがちなボタン連打戦闘をするとフリーズ確定、という罠がある。
      • 更には、熱炎で敵を倒した次のターンに対象を変えず熱炎を使うと、死んだ敵を攻撃してまた倒せてしまう。
      • また、解毒などの補助気法を味方に使用した次のターンに対象を変えず熱炎を使うと、その味方に誤爆してしまう。
      • これらの特性?を逆手に取り、「熱炎で同じ敵を何度も倒しまくった後に誤爆で仲間と使用者自身を倒し、生き残った主人公に残りの敵を倒させて経験値を独占させる」という強引なレベルアップ手段として活用できない事もない。ただし一度の戦闘で得られる経験値は65535を上限にループしているので、適当なタイミングで切り上げないと骨折り損に終わるが。
    • ゲームの進行上入る必要が無いタイミングで入るとフリーズするダンジョンがある。
    • 奪われた装備を取り戻すため屋根裏から宝物庫に忍び込むイベントがあるが、宝物庫の棚を調べずに出入り口を調べると、キャラクターが勝手に棚に向かって動き、そのままフリーズする。
    • 終盤のダンジョン「肉叢の大穴」からフィールドに出る際、入り口とは違う場所からフィールドに出てまたダンジョンに戻り、バグリまくった画面を一歩歩くとフリーズする。
      • しかも入り口とは違う場所から出たフィールドは行き止まりであるため、ダンジョンに戻るしかない。
      • ただし、ダンジョンに戻った直後に動かずオプション画面を開き、「脱出」を(バグッた画面から手探りで探して)使用すれば、そのダンジョン本来の入口まで戻れて、画面のバグもなくなり無事にやり直せる。
  • アルナムの牙関連のバグ
    • 最強の武器という設定の「アルナムの牙」はイベントで強制的に装備させられ、それまで装備していた武器は消滅する。しかも最強武器のはずが、運が悪いと敵に対してほとんどダメージを与えられない
      • 本作は装備を外して装備なしにする事が出来ないため、メイン武器以外の武器を売るか預けていた場合、「アルナムの牙」強制装備時にメイン武器の消滅を回避できなくなってしまう。
    • そのイベントの少し前に、「通常攻撃からの追撃で、ゲーム中2番目に強力な全体攻撃気法を無条件に繰り出せる」という超強力な武器「翠玉龍小太刀」を入手してきている可能性があるので、それを失ってしまうと悶絶必至。
  • その他のバグ
    • 場面によって顔グラフィックが別キャラの顔になってしまっている場合がある。
      • 中でもスズメという綺麗なお姉さんキャラが、口調はそのままにハゲたおっさんの顔グラで話しかけてくるのはプレイした人はまず覚えているほどの衝撃を与えた。
      • まれに名前も別キャラになることもある。
    • 突然キャラが消えたり出たり、設定上はいるはずなのに、画面には表示されてなかったりする。
    • ダンジョンやとある村に、話しかけることすら出来ないキャラがいる。
    • 何故か重要なイベントアイテムが2つも手に入ってしまう
    • トエイのレベルが50になると同じ気法を2つ覚えてしまう。肝心なときには使えない微妙な「脱出」である。
      • しかもその際、代わりに「結界」(しばらく敵が出なくなる気法)を忘れる。後述通りエンカウント率の高い上に逃げられないこのゲームで、よりによって。
    • あるダンジョンで仲間が「テレポートでダンジョンを出よう」と提案するが、実際にやろうとしても出来ない。
    • 持ち物を確認したり物品屋で売ろうとした時に、持っていないはずのアイテムが表示される事があるが選択はできない。「蹴殺の金具」「滅殺針」「馬蹄鞭」といった、普通にゲームを進めていても出てこない品物の名が並ぶ事もある。
    • 仲間のランチョ・ギユウと別れた後、トバリ・タランダを仲間にして街を出るまでの間にメニューを表示してしまうと文字がバグって判読不能になる事がある。そうなると二度と直らないので、ランチョ達と別れる前のデータからやり直すしか対処法がない。
      • 一応文字化けしたままでもプレイは進められるが、ヒントが読めなくなるため実質詰み確定である。
    • その他にも多くのバグが存在する。

それ以外の問題点

  • ゲームバランスも悪い。
    • 僅か数歩歩けば戦闘になるほどエンカウント率が高い。
      • レベルアップしていくとエンカウント率が下がるようだが、上げすぎると前述した詰み確定のバグに遭遇するため結局エンカウント率が高いままの状況を余儀なくされる。
    • 通常攻撃でもわずか1とはいえ気力を消費する。そのため序盤は、戦闘で楽に勝てたとしても気力切れのため次の町までたどり着けないことがある。
      • 一応「防御」で少しだけ気力を回復できるが、焼け石に水。
  • キャラ関係のバランス調整もなっていない。
    • キャラの系統は戦士系と魔法系があるが、後者の方が圧倒的に強い。
      • 魔法系は最終的に「気法」で通常攻撃の倍以上のダメージを与えられ、中には全体攻撃や、回復気法・補助気法も使えるキャラもいるためである。
      • パーティーキャラ入れ替えは強制で控えのキャラも無い為、戦士系ばかりの時期は冒険が厳しい。
    • 各キャラの出番にも偏りがあり、プレイヤーが初めて戦闘で動かすのがラスボス戦のキャラもいる。
    • 戦士系が装備する武器のバランスも悪い。攻撃気法の追撃効果がある「雷神の小太刀」「火炎剣」などが強力過ぎて、それらをダンジョンで入手したキャラはもう武器を買い換える必要が無くなる。
    • 「合体攻撃」があるが、二人の気力を大量に消費するので効率はよくない。
    • 普通に遊んでいると主人公が仲間のレベルに追いつけず(最終的に仲間より10レベルほど低くなる)、全く戦力にならなくなってしまう。
      • 戦闘で先制攻撃できるかされるかの判定がパーティーの合計レベルに依存しており、パーティーキャラ入れ替え時に主人公のレベルが仲間よりも低いと敵の先制率が上がるため、レベル上げをしないと戦闘が不利になる。
    • 激しい戦闘でボロボロになった仲間が最後の力を振り絞り必殺の一撃を狙うシチュエーションがあるが、ステータス的には体力気力ともMAXの元気一杯状態であるため悲壮感が漂ってこない。
  • ロム(お金)の入手方法が面倒。
    • 獲得できるロムは敵一匹ごとに設定されているが、戦闘で敵を倒した時点では手に入らず、街に戻って換金所へ立ち寄る必要がある。地味に面倒。
    • 更に「○○ロムで新しい武器が買えるからそこまで稼ごう」と思ってもいくら稼いだのかがわからない。
      • 敵の種類と得られるロムを把握すれば手計算も出来なくはないが、そんな面倒なことを望むプレイヤーは皆無だろう。
  • セーブデータが一つしか作れないため、詰み確定のバグに遭遇すると最悪の場合ゲームを最初からやり直す羽目になる
    • また、ダンジョン等にセーブポイントが無く、セーブは基本的に宿屋でしか出来ない。
      • そのため、ダンジョンを攻略して宿屋に着く前にフリーズに遭遇したら、ダンジョン攻略前からやり直しになってしまう。
  • フィールドがとても狭く、ゲームの進行状況ごとに訪れる事が可能な場所や歩き回れる範囲が非常に限られている。
    • しかも乗り物も存在しないので移動手段は全て徒歩である。そのため、他のRPGのように飛行船などの乗り物で世界中を縦横無尽に駆け回るといった事が出来ない。
    • 終盤になると別の世界のラストダンジョン周辺の極めて僅かな範囲しか移動出来ず、また元の世界に戻る事も出来ない。
      • 街が一切ないため、武器やアイテムの購入ができない。回復・セーブは像の前で出来るのが救いか。
      • しかも本作は前述の通りセーブデータが1つしか作れない為、元の世界を歩き回れるセーブデータを残しておくといった事も出来ない。
  • 終盤で「マンダラの盾」と「飛空の鎧」が手に入るが、パーティ内で誰も装備できず、しかもその時点で既に最終メンバーなので他の仲間に渡すことも出来ない。何の為に存在するのかわからない死にアイテムとなっている。
    • メモリ操作で始めから上記の2つの装備を所持してプレイしたところ、マンダラの盾はギユウ専用で、飛空の鎧はトバリ専用だと判明。終盤に何らかの形で全員をフィールド操作できる場面が実装されるはずだったのかもしれない。
    • ちなみに、装備メニューでは装備品以外のアイテム(当然装備不可)jまで表示され邪魔。また、装備できるどうかは実際に選んでみるまで解らず不親切。
  • 音声入りのセリフはムービーシーン以外でも音声のみしかなく、通常のセリフのような字幕は出てこない。
    • しかも音声も妙に小さいため聞き取りにくく、理解し辛い。
  • セリフにある方角の間違いが目立つ。
    • 例えば、ジュウケイの町に行く前に「ジュウケイの町はここ(ギホウの街)から真東だ」とジュウケイの町の場所を教えてくれるが、実際は西なので逆になっている。

評価点

  • 木村氏の手がけたキャラクターや(今の視点で見れば)豪華声優陣の演技
    • 森川智之、冬馬由美、松本保典、篠原恵美、島本須美、千葉繁、速水奨など、当時の若手実力派からベテランまで幅広く起用している。
    • 優れたシナリオを声優たちの熱演がより引き立てている。
  • 綺麗なビジュアルシーンや人種差別をテーマにしたストーリー。
    • ただし獣化表現や残虐表現が含まれるため、やや人を選ぶ。特にラスボス戦での描写は人によってはトラウマ物かもしれない。
  • BGMが良い。

総評

とにかくバグが酷い。「バグさえなければ…」という意見も多い。
せめてプレイヤーに有利なバグだったり遊べる&笑えるバグばかりならともかく、発生するバグがことごとくデメリットを与える物ばかりなので、プレイヤーのやる気が失われ、続編のサブタイトルの如く焼塵の空の彼方へ消えていく。
キャラクターデザインがPCEにも移植された名作『エメラルドドラゴン』の人と一緒だったため、続編と勘違いした人やエメドラのような出来を想像して購入する人が続出、被害を増やすことになった。


余談

  • こんなどうしようも無い程の駄作ではあるが、それでもシナリオだけは非常に高く評価されており、外伝シナリオを描いた小説やファンブックが販売された。
    • なお小説版の後書きには制作スタッフが原作のバグを笑いのネタに使う記述があり、その件について『あんなバグだらけのゲームを世に送り出した反省の弁を述べるならともかく、あの態度は一体どういうつもりだ!』と、当時のゲーム雑誌の読者投稿コーナーでファンに糾弾される一幕もあった。
    • PS版の公式ソフトウェアカタログの紹介によると、本作は8万本売れたらしい。
  • またSFCへの移植も検討されていたが、カセットでは無理があったのか中止になった。
    • …が後述するPS版のようにADVにしていればSFCでも何とかリメイクできたのではないだろうか?
  • 木村明広氏曰く「某工場の焼ミスで致命的なバグが発生してしまった」らしい。
    • しかし、もし本当に焼ミス(CD-ROM製造・記録時のミス)でバグが発生しているなら「バグのないもの」もあるはずだがそれが無い。つまり嘘である。
      • ただし、修正バージョンが持ち込まれたが誤って旧バージョンのマスターディスク(製品版のデータが入った元となるデータディスク)で製造されてしまった例もないわけではない。
  • ライトスタッフが倒産し、さらに著作権の帰属が不明になったため、プロジェクトEGG、PCエンジンアーカイブスにおける本作の配信が困難になっている。

リメイク(PS)版

ジャンル アドベンチャー
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 プレイステーション
発売元 ライトスタッフ
発売日 1996年2月2日
定価 3,980円(税別)
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント まさかのジャンル変更
バグ関係は消滅し、とりあえずは普通に遊べる
辻褄が合わないセリフあり

概要(PS)

  • PCEのクソゲーの移植…と思いきや、RPGだった原作からADVへとジャンルを変更し実質別作品化。

特徴(PS)

  • メニュー画面には「初めから」「途中から」「おはがき」の三つがある。
    • 「途中から」はメモリーカードがなくても始めることができ、どこから始めるかも細かく選べる。
    • 「おはがき」はライトスタッフに寄せられた本作およびその続編『アルナムの翼』のファンイラストを見ることができる。
  • 通常コマンドは最大2つ(「移動」・「会話」または「調査」)しか出てこない。
    • 町や洞窟の中ではこのコマンドを使ってストーリーを進めていく。
    • 町の外に出るとマップ画面になり、途中にある道を通りながら他の町や洞窟へ移動することができる。
  • 肉叢との戦闘パートもあり、攻撃する部位を選んで攻撃し、全ての部位を破壊することで戦闘に勝利できる。
    • 攻撃方法は攻撃する部位や進行度に応じて自動で決定される。

問題点(PS)

  • ジャンルを変更したのにセリフをPCE版からそのまま流用。
    • そのため、エンカウント戦闘がないのに「防人としての報酬は肉叢を倒した出来高払い」、宿屋がないのにもかかわらず「宿屋に泊まれ」など辻褄が合わないセリフも登場する。
    • せめてセリフをADV向けに書き換えるべきだったのでは?
  • 元々はRPGだったこともあり戦闘パートも存在するが、一応存在している程度のものでしかない。
    • よって、選択肢を間違ってもゲームオーバーになる事はない。ただ、不条理な高難易度や選択ミスでゲームオーバーになるよりはいいという意見もある。
  • ムービーは基本的にPCE版からの流用であるため、画質が粗く感じてしまう。
    • 音声もPCE版からの流用であるため、音量が妙に小さく声が聞き取りにくい。
  • 終盤は画面全体が赤や白で激しく点滅する場面がある。このゲームをやるときには体調を万全の状態にしておくことをお勧めする。

評価点(PS)

  • 元作品とは全くの別物と化したが、PCE版で問題だった大量のバグは消滅し、普通に遊べるように。バグを期待して買うとある意味ガッカリする。
    • そのため、評価の高い人種差別をテーマにしたストーリーを最後まで楽しめる。
  • ストーリーやセリフは完全に原作から流用されているわけではなく、一部が修正されている。
    • 明らかな間違いであった「ジュウケイの町はここから真東だ」というセリフは「ジュウケイの町は、ここから真西だ」と正しい情報に修正されている。
    • PCE版では戦闘に参加しなかったシャッコの妹であるマトラも戦闘に参加する。肝心の武器を持ってないのであまり意味はないが。
  • メモリーカードがなくても、各章の途中からゲームを開始できる。
    • PCE版をバグや異様に高い難易度などにより途中で投げた人や未プレイ者でも途中から始めることも可能。
  • ライトスタッフに寄せられた本作およびその続編『アルナムの翼』のファンイラストを見ることができる。
    • ライトスタッフによるコメントも付いているので一見の価値あり。
  • PCE版とは違い音声入りのセリフでも通常のセリフと同様に字幕が出るようになった。
  • メーカーロゴのムービーとスタッフロールは新規ムービーになっている。
    • また、PCE版で没になったムービーも使われており、それを見ることもできる。

総評(PS)

RPGだった原作からADVへとジャンルを変更したため、ゲーム性が全くなくなってしまった。
その代わりプレイを妨げていたバグもなくなっているため、本作のストーリーを最後まで知りたい人はこちらをオススメする。


余談(PS)

  • ジャケットイラストには中央のケンブを除いて他は全て脇役達が描かれている。
    • 十二神徒が描かれているPCE版のジャケットイラストと差別化を計ったものと思われる。
    • なお、本作にも説明書の目次にPCE版のジャケットイラストがある。
  • 本作の付録として1996年のカレンダーが付いていた。そのためか説明書は表紙・目次を含めて8ページと薄いにもかかわらず、ケースは厚めのケースになっている。

その後の展開

  • 『アルナム弁当~牙も翼もてんこもり~』も発売予定だったが会社が解散したため発売中止になった。
  • 2019年、エメラルドドラゴン30周年記念イベントにて木村氏が発表した同人誌「Trinity of After the End」にて本作の後日談が描いた漫画が掲載された。
    • 同誌には他にも木村氏が携わった『アルシャーク』と『エレメンタルドラグーン』*1の後日談も収録されている。

+ タグ編集
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  • 1994年
  • 1996年

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最終更新:2023年03月17日 17:47

*1 『エメラルドドラゴン』の続編として木村氏が脚本・イラストを手掛けたドラマCD。