姐(あねさん)

【あねさん】

ジャンル ベルトアクション
対応機種 PCエンジン スーパーCD-ROM2
発売元 NECアベニュー
発売日 1995年2月24日
定価 7,800円
判定 バカゲー
ポイント 女性版『超兄貴』
伝説の「怖い顔グランプリ」


概要

NECアベニューがPCエンジン末期に放った異色作。レディース*1の抗争をモチーフにしたファイナルファイト風スクロール格闘ゲーム。
葉山宏治の音楽やアクの強い強烈なグラフィックなどから見るに、かの名作バカゲー『超兄貴』の女性版を狙って作ったものと思われるが…


ストーリー

いじめられっ子だった主人公・愛は一匹狼のレディースである姉の優子にいつも助けてもらっていた。

そんな優子に対し「須賀飛露Z會」というチームから誘いの声がかかり、それを断り続けた結果、後に「一番紅い一日」と呼ばれる抗争に発展し、優子は行方不明になってしまう。

数年後、優子と同じレディースの道を歩み始めた愛は仲間*2と共にチーム「EDEN」を結成。優子を探すべく関東各地のレディースチームに戦いを挑む。


ゲームの流れ

  • 主人公の「愛(AI)」とそのマブダチ二人である「CHIKA」と「MAKOTO」の中から*3一人を操作キャラに選び、次に攻め込むチームを選ぶ。
    • ステージはチームの居る関東の街をモチーフにした物で前後2部に分かれており、それぞれの最後にボス(前半ボスが副長、後半ボスが総長)が待ち受けている。
    • 倒したボスはマブダチとなり、以降は操作キャラに選べるようになる。
      • 後述の通信販売で特定のアイテムを買っている必要が有るなど、条件を満たさなければマブダチにならないキャラもいる。
  • 残機等は存在しない。体力が0になるとそのキャラはしばらくの間使用不能となり、別キャラで再挑戦することになる。操作キャラが全滅するとゲームオーバー。
  • ステージをクリアすると主人公の自室に切り替わる。セーブとロードもここで行う。
    • 「通信販売」でアイテム*4購入してステータスを強化したり、部屋の内装やBGMを変えたり、寝て体力を回復したりできる。
      • 販売しているアイテムには一部「不幸のアイテム」があり、購入するとマブダチが増えなくなる。
      • 眠ると珍妙なグラフィックをバックにフルボイスで謎のポエムを聞かされる。どうやら主人公の見ている夢らしい。
    • 自室ではボーナスゲーム(ミニゲーム)に挑戦することも出来る。
      • 「怖い顔グランプリ」ボタン連打によるガンの飛ばし合い。元々のアクの強い顔に凄みが加わっていく様は、伝説に残る恐ろしさ。多くの人物は最終的に例えではなく本当に化け物の顔になる。おかげで「姐」の知名度の割にこの「怖い顔グランプリ」の動画、画像はこれでもかと多く検索に引っかかる。
      • 「チキンレース」通信販売でバイクを購入すれば挑戦可能。事故らないギリギリの所での停車テクを競う。ゴール地点にはDEADENDの落書きと花束が…

特徴・評価点

  • とにかくカオスで強烈なグラフィック
    • アクの強いグラフィックに混じって普通にエロさや可愛らしさを感じるグラも同居しており、余計にカオスさを増している。そういう意味では『超兄貴』の二番煎じに留まらない個性を出す事には成功しているとも言える。
  • 個性的で細かいキャラのモーション
    • ゲームとして純粋に評価できる数少ない部分。戦闘中のキャラのモーションはなかなか細かく作られており、基本コンボも個性的。
      • オーソドックスな性能である筈の主人公「AI」でさえ「フリッカー気味のジャブ→ストレート→パチキ→全力のローキック」という、いかにも喧嘩らしい独特のコンボ。
    • 他にもつかみからの攻撃が「髪引っ張り」だったり、倒れた相手に追い打ち攻撃で蹴りまくれたり、ヤンキーらしい喧嘩を堪能できる。効果音もゲーム的だが、その分爽快な弾ける音がする。
    • 中にはマイクを片手に踊りながら戦う美少女「RURI」*5や、バレリーナのような動きで戦うブ○「HIRAME」*6、見た目はそうは全く見えないが実は男の娘「OKITA」など、いろんな意味で個性的なキャラだらけ。
    • 数はとても少ないが、喧嘩中に画面下に「オラッ!」「タコ助がぁ!」の様なキャラのセリフが出てくる*7、キャラそれぞれに固有モーションがあるなど、色々なキャラを動かす楽しみはある。
      • ちなみに通信販売では主人公AIとCHIKAの掛け合い風商品解説台詞が有る。
    • 倒されたザコが文字通り「くの字」になって飛んでいくなど、喧嘩特有の生々しさを緩和している要素も。
  • 葉山宏治の音楽
    • バイクの爆音演奏から「なめとんのかコラァ!」のシャウトで始まるOPを始め、妙艶かつダイナミックに独特の世界観を表現しきったBGMは健在。
    • 各キャラごとに専用BGMも用意されており、シンナー片手にイカレた目つきで襲い掛かってくるキャラは「ラリパッパ ラリパッパ」というヤバ過ぎる歌*8が流れ、前述のバレリーナのような動きで戦うブ○には「白鳥の湖」のディスコ風アレンジが流れるなど、いわゆる葉山節を存分に堪能できる。ファンならばそれだけでも価値があるだろう。
    • 「喧嘩中に流されて盛り上がる曲か?」と聞かれると首をかしげたいものも中にはあるが…
      • サントラも発売されているので、音楽のみを堪能したい方は是非。

問題点

  • 肝心のアクションパートの完成度が低すぎる
    • 亜流『ファイナルファイト』というレベルではなく、よほどベルトスクロールゲームの初心者でもない限り、本当に適当にやってるだけでクリアできてしまう。せっかくの個性的なモーションもほとんど意味がない。
    • ジャンプ攻撃が判定・威力共に強過ぎるため、ほぼジャンプ攻撃だけでクリアできてしまう。
      • ダウン追い討ちを入れやすくするためなのか、ダウンする攻撃を当てても吹っ飛ばずにその場でダウンする。それはまだしも判定の強いジャンプ攻撃でも吹っ飛ばずにダウンするため、起き上がりにジャンプ攻撃を重ね続けるだけでもハメれてしまう。
    • つかみ状態から延々髪を引っ張りまくれるなど、リアルと言えばリアル、ゲームとして大問題な要素も…
    • ザコの種類が少なく、どのステージも代わり映えしない。せめてチーム毎の特徴くらいは出して欲しかったところ。
    • 敵も味方も最初は体力ゲージが短く、しかし最後まで双方受けるダメージは大き目のため、普通に進めてしまうとボス戦も盛り上がらないまま、アっというまに終わる。
    • 気を付けるべきは、道中に出現することのあるスクーターで特攻してくるザコの存在と、序盤は体力の低さゆえに油断すればプレイヤーも一瞬で体力0に追い込まれること。
      • この辺りはおそらく通信販売によるキャラ強化、特に体力・防御力強化を行う前提でゲームの調整が施されているのが理由と思われる。
  • 意味不明なエンディング
    • 最後は無事に姉と再会するが、真の敵はまだ存在しており「伝説はここから始まる」といった感じで終わるのだが…
      • 次の瞬間には唐突に主人公が結婚式を挙げ、仲間達に祝福されている。あまりにも脈絡がなさ過ぎて意味がわからない。オチだけ考えて最後に追加したのだろうか?

総評

超兄貴』以上に人を選ぶ題材であった上にせっかくの個性的な要素もゲーム性に全く結びついておらず、ただ変なだけで終わってしまったゲーム。
ゲームの個性的な部分というのは骨子がしっかりしているからこそ評価されるものなのだろう。『超兄貴』を参考にしていながら、その売りを読み間違えたゲームとも言える。基礎部分をしっかり作りこんでいれば、もう少し違った評価が得られたかもしれない。



余談

  • 「美食倶楽部バカゲー専科」にて、本作と同じレディースを扱った作品である『美神伝説Zoku』を本作の後継作として紹介しているが、発売日は本作の方が後である。また両作品は別にシリーズでも続編でもなく、単に同じジャンルを扱ったという以上の接点はない。
  • 本作と同年の9月29日に同じく『超兄貴』を意識したベルトスクロールアクション『美食戦隊 薔薇野郎』がスーパーファミコンで発売された。
    • こちらの方は奇怪な世界観やキャラクター達はもとより、快適な操作方法に加えて「ディナータイム」での体力回復の戦略性からバカゲー史に残る伝説の一作になり、結果的に本作の肩身を更に狭めてしまう事となった。

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最終更新:2022年06月03日 10:06

*1 女性を主な構成員とする不良・暴走族の俗称

*2 OPの回想シーンで不良に目を付けられ「茶巾縛り」をされる三人の姿がある

*3 ちなみにこの三人のキャラクター特徴は元ネタと思われるファイナルファイトとほぼ同じ、AIがコーディー、CHIKAがガイ、MAKOTOがハガーである。

*4 明言こそされていないが、中には『超兄貴』のビデオと思わしきアイテムも…

*5 芸能関係の学校に通うアイドル崩れで、必殺技は追っかけによる援護攻撃。ただしルックスは芸能学校に通える程度には良い

*6 ルックスの問題でバレリーナを挫折したという悲惨な設定。ちなみに本名は「香」と割と普通。

*7 キャラの性格をかなり反映していてCHIKAやRURIは割とブリッ娘寄り、AIやMAKOTOは如何にもなドスの利いた不良台詞だったりする。

*8 「ローリポップ ローリポップ」という歌い出しで知られるロナルド・アンド・ルビーの楽曲『ロリポップ』のパロディ。