バクマツ☆維新伝

【ばくまつ れぼりゅーしょん】

ジャンル ローグライクRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 アクワイア
開発元 ゼロディブ
発売日 2010年6月25日
定価 本編無料
判定 クソゲー
ポイント 課金しないとアイテム所持制限が凶悪
課金しても低ボリューム
ローグライクの良さもモンハンの良さも皆無
「基本無料だから」という甘え


概要

幕末を舞台にしたローグライクRPG(ダンジョンRPG)。「維新伝」は「レボリューション」と読む。
モンスターハンター』シリーズなどの素材収集型アクションゲームを強く意識したことが窺え*1、素材を集めて武具を合成するという要素が取り入れられている。
基本ゲーム部分は無料で、アイテム課金でゲーム拡張という家庭用ゲームにおける「フリー・トゥ・プレイ」スタイルの先駆けとなった作品。
そういう意味では評価されるべき作品かもしれないが、肝心の出来があまりにも……。

システム

  • プレイヤーは「瓦版」で依頼を受注、「○○を取ってこい」「○階に到達しろ」といった条件を達成するとクリアとなるクエスト方式の流れとなっている。
    • 5段階で難易度設定がされているため、受注時におおまかな難易度は把握できる。
  • あらかじめ「剣士」「法僧」「銃士」の3つの職業を選ぶことができ、職業によって能力値や装備可能武器が異なる。職業はクエスト終了後の待機画面で自由に変更可能。
    • 剣士は剣と盾でのオーソドックスな近接戦闘、法僧は杖を装備しての武器固有技、銃士は銃を装備しての遠距離攻撃が中心となる。
  • レベルという概念は無く、一時的・恒常的を問わずキャラクター自身の成長は一切行われない。
    • 武器防具を強いものに替えることでのみキャラクターの強化が行われる。
  • 武器防具はダンジョン内で入手することはなく、クエスト終了後の待機画面において、ダンジョン内で多数手に入る合成素材を一定数消費して合成することで入手する。
    • 待機画面から店で武器防具を買うこともできるが、ごく初期段階のものばかりなので合成が基本となる。
    • 『モンスターハンター』系のゲームと同じく、既存の武具に素材を加えることで新しい武具を作る「強化」の概念も存在する。
  • 歩くことによって体力を回復することはできず、ローグライクでいう満腹度にあたる「技」ポイントも歩きでは消費されない。
    • ○と×ボタン同時押しの足踏みをすることで、はじめて技ポイントを消費して体力の自然回復が行われる(「法僧」の職業では、逆に体力を消費して技ポイントが回復する)。
    • 技ポイントはこの自然回復のほかに、それぞれの武器防具に固有で設定されている技の発動でも消費される。固有技は技ポイントさえ消費すれば無制限に発動可能。
  • 依頼の受託時には、キャラクターとの会話イベントがある。
    • キャラクターは新撰組の組員を中心とする歴史上の人物がモチーフとなっているが、イケメン化・女性化など大きくデフォルメ・アレンジが加えられている。
    • 戦国BASARA』や『戦極姫』などを例に出すまでもなく、今ではそれなりに見られる手法ではある。

賛否両論点

  • とにかくDLC依存
    • 追加クエストのみならずダンジョンからの帰還アイテムや武器防具、倉庫・金庫・アイテム袋の拡張までがDLCで販売されており、Playstation Storeを見ると課金アイテムがズラリと並ぶ。
      • 参考までに値段を挙げると、10個ほどがセットになった追加クエストパックが400円、倉庫の5個拡張が100円、死んでも失われない強力武器が1個200円など。
    • DLCなしではアイテムの所持制限が大変劣悪で、手元に10種類、倉庫に15種のアイテムしか持つことができない(同種のアイテムそれぞれは99個ずつ持つことが可能)。
      • 武具の合成には3種のアイテムが一定数ずつ必要であることを考えてもこれは非常に厳しい制約であり、上位の武具を作ろうと思うとアイテム欄は強烈に圧迫される。
      • ピンポイントで「次はこの装備を作ろう」と決めた場合、目的の素材以外はすべて捨てていく覚悟が必要になる。
    • キャラの死亡時にも「便利なアイテム販売中」というDLCの宣伝が挟まり、死亡によるプレイヤーのフラストレーションを更に煽ってくる。
    • ネットゲームなどではこういう手法もある程度は見られるし、DLC購入者がいないとメーカーに一銭の儲けも出ない設計上しょうがないという見方もできるのだが、やはり基本的には一般的なコンシューマーゲームとしての販売形態を取っているこのゲームにおいてユーザーからの目は厳しい。
  • あまり好感のわかないキャラクター達
    • ちみっ子のショタキャラとなった沖田総司、どぎついオカマキャラになった桂小五郎など、どこを狙っているのか今一つわからないキャラ設定。
    • おおむね好みの範疇ではあるので賛否両論点に記述したが、批判意見として挙げられることも少なくは無い。

問題点

  • 有料DLCを導入しても尚薄い内容
    • 本作はゲーム本体は無料であり、その部分は体験版レベルの内容しかない。それは「とりあえず無料で試して、良かったらお金を払って遊んでほしい」という意図であると思われる。それ自体は特に大きな問題ではない。
    • 課金をしても「無料体験版から有料体験版になった」という程度の変化しかないのが問題なのだ。
      • 課金要素はほとんどが課金用アイテムかアイテム枠の拡張で締められており、ボリュームを増やす要素となっているのは追加シナリオぐらい。
    • フルセットで2,200円の廉価DLCパックが期間限定で配信されたが、内容を考えればそれでも高すぎる。
  • 劣悪なシステム
    • ステータスは完全に装備依存ながら、装備品は当然死んだら失われるため、強化武具で戦うことになる中盤以降はリカバリーがキツすぎて何としても死ぬ訳にはいかなくなる。
      • 比較的手軽に再挑戦できるのがローグライクの特徴なのに、『モンスターハンター』的装備強化のせいで完全に利点が殺されてしまっている。なぜこのような相性の悪い2つを組み合わせたのか。
    • 同じモンスターでもクエストごとに強さが違うので、外見でモンスターの強さを判断することが不可能。
    • アイテムを拾わずに上に乗る、足元のアイテムを使う・拾う、足元にアイテムを置くなど、大抵の現代ローグライクゲームに搭載されている機能の一部が存在しない。
    • アイテムを置くことができないので、手元から離すには投げて床に落とすか、「捨てる」コマンドでまとめて消滅させることになる。
      • 複数個のアイテムが1マスに存在するという概念がないので、同じアイテムを複数個持っていても投げられるのは1個ずつ。
      • 要するにアイテム欄における「回復薬」20個の欄を空けようと思ったら、ひたすら1個ずつ投げて20個辺りに撒き散らすか、20個全て消滅させなければならない。
    • それぞれのアイテムには「レア度」が設定されているのだが、レア度5以上のアイテムは投げて一旦手元から離すことができない。
      • ローグライクゲームでは一旦アイテムを床に置いてアイテム欄を空け、その欄を使って色々するのが定番のひとつだが、上の仕様と併せてそれが面倒になっている。
      • 恐らく『モンスターハンター』に倣って、通信プレイでレアアイテムを他人に譲渡できなくしたのだろうが……。
    • 「○○を手に入れてきて」というクリア条件となっているアイテムは、クリア後即座に消滅するにもかかわらず一旦拾わなければならない。
      • 要するに、クリアするにはすぐに消えるアイテムのために、(ただでさえ圧迫傾向にある)アイテム欄を一個空ける必要があるのである。
      • ゲーム中盤以降でアイテム欄がレア素材や大量の回復アイテムで占められていた場合、床に落とすアイテムが無く泣く泣くアイテム一種類を全捨てする羽目になる場合もありうる。
    • 装備品合成には成功確率が設定されており、失敗すると素材アイテムは全てパー。
      • 最強レベルの装備品を作るには3~4回の合成が必要になるが、完成間近で失敗してしまったら泣くしかない。
      • DLCで確率を上げられるが、どんな武具を作っても絶対に失敗しない状態まで持っていくには計400円必要。
  • 単調なダンジョン
    • 遠距離攻撃や特殊攻撃を使う、移動に特徴があるなどの「特殊な行動を持つ敵」が碌におらず、ただ向かってきて殴るだけの特徴のないモンスターが大部分を占める。
    • 一部の雑魚モンスターとボスモンスターは、属性や状態異常を付加した直線状の遠距離攻撃を使う。このゲームにおける、敵の特殊行動はそれだけ。
    • 落ちているアイテムや敵が落とすアイテムは全て「合成素材」「回復アイテム」「銃の弾」のどれかであり、落ちているアイテムをやりくりして敵を倒すという戦略性は皆無。
      • ダンジョンに落ちているものに限らずアイテム全体で見ても、敵にぶつけると状態異常を起こす各種「粉」や、状態異常系の銃弾が店で買える程度。
      • プレイヤーが取れる選択肢が少なすぎることに加えレベルの概念が存在しないこともあって、どのように進むにしろゴリ押しが基本となる。
    • アイテム欄の空きは合成素材で埋め、戦術は武器ごとの固有技で補えということなのだろうが、この固有技もバリエーションは微小。
      • 固有技は属性・状態異常の付加や攻撃威力・範囲に差がある程度でほぼ全部がただのダメージ技、残るものも状態異常の回復効果だけである。
    • ローグライクゲームの定番である「識別」の要素は一切存在せず、正体不明のアイテムという概念自体がない。
    • ワンフロアが狭く多くても4部屋、更にモンスターの自然発生が存在しない*2という仕様のため展開はさらに単調。
      • この仕様から、敵に囲まれやすい。
      • 「店」「迷路」「モンスターハウス」といった、部屋単位のギミックも一切存在しない。
      • 各ダンジョンの最終フロアは通路のない大部屋構成となっているのである意味モンスターハウス状態だが、これはいわゆるモンスターハウスとは違うだろう。
    • 無料ゲームである本作に既存のローグライクゲームにあった要素が少々ないからと言って責めるのは酷と言いたいところだが、「ローグライクの面白さ」の根本をなす要素が殆ど失われている上に、それに代わる特長となりうる「素材の収集」がただの作業ゲーとなっている現状では批判を受けても文句は言えまい。
  • 難度設定が大味
    • 攻撃力・防御力の変動が大きく、同じ難易度レベルでも「どんな攻撃でも1ダメージしか喰らわないような余裕の状態だったのに、次のクエストに進んだら10も20も喰らうようになってボコボコにされた」ということが当たり前のように起こる。
      • そして武器防具を新調してくると、また1ダメージに戻ったりする。このため武器防具への依存が極めて激しい。
    • 武具に付いている固有技と安い回復アイテムである程度ゴリ押すこともできるが、基本的に弱い武具だとダメージがほとんど通らず、想定より弱い武具で進むのは非常に厳しいと思っていい。
      • 依頼の難易度だけでは想定されている武具の強さを推し量るのは困難なので、新しい依頼に挑むのは少なからずバクチの要素が伴う。
    • 他にも全体攻撃と個別攻撃の威力差が曖昧だったり、毒ダメージがやたら大きかったり*3とにかく練りこみ不足。
  • 微妙なグラフィック
    • グラフィックの程度は携帯アプリレベル。無料作品なのでこの辺りについては妥協するべきだろうが。
    • 銃を装備しているグラフィックがなく、銃による攻撃のモーションは素手のモーションと一緒。
    • 武器を変えてもグラフィックやモーションが特に変わる訳でもないので、ネタ武具だとか格好いい武具などの武具合成のモチベーションを上げる要素は全くない。
  • イベントの乏しさ
    • キャラクターと会話する機会、ひいてはストーリーと言えるものはクエスト開始時の依頼セリフだけとなるのだが、これが余りに稚拙かつボリューム不足。
    • セリフ送りにして10~20回分程度、Rボタンによるスキップを使えば3~5秒前後で終わるような殆ど中身のないものばかりで、とてもじゃないがキャラクターに感情移入できる水準には達していない。
    • クエスト開始時には会話があるが、クエスト終了時には会話などの演出は全く無い。
      • 例えば「○○を取って来てくれ」という依頼をクリアしても、ありがとうのお礼もその後○○をどうしたかという進展も全く描かれず、ただクリアマークがついて終わりというあっけない展開にストーリー上の達成感は皆無。
    • 依頼も取ってつけたようなものが多く、「なんでその流れでダンジョンに潜らなければならないの?」というようなものがいくつもある。
    • システムが上記の有様でまず「ダンジョンで先へ進む楽しさ」がないのに、「ストーリーを先に進める楽しさ」も湧かせないためプレイヤーのモチベーションを大きく削ってくる。
    • 有料DLCの追加シナリオもあるが、数こそ10個程度あるものの質自体は本編の依頼と変わらない。

評価点

  • 「フリー・トゥ・プレイ」
    • 新しいゲーム概念を持ち込んだ意欲や発想は、評価を受けるべきだと思われる。
    • これで内容が伴っていればよかったのだが。

総評

中身のなさのせいかモンハン要素を組み合わせたせいか、ローグライクに戦略性を持たせる要素がほとんど排除され、単にわらわらと殴るだけの敵を強い武器と技攻撃、回復アイテムでゴリ押しながら進むだけのゲームとなってしまっている。
装備品の合成も単に攻撃力・防御力を強化するだけで他に作業感を緩和する要素はなく、合成に失敗するか装備品を持って死んでしまったら当然最初から鍛え直し。
この出来ではローグライクがなぜ面白いのか、モンスターハンターがなぜ面白いのか全く理解できていないと言われても仕方がない。

ローグライクRPGはやりこみ要素の多い名作が多いため、余計にクソゲー感が際立っている。
課金してまともになるならともかく単に不便さが少々解消されるだけで、全体に漂うシステムやストーリーの投げやり加減、ボリュームの少なさは全く改善されない。
これでは「本編無料」という謳い文句とダサい色物キャラで客を釣っただけのぼったくりゲーの謗りは免れないだろう。