戦国BASARA CHRONICLE HEROES
【せんごくばさら くろにくるひーろーず】
ジャンル
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チームバトルアクション
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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発売元
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カプコン
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開発元
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アクセスゲームズ
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発売日
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2011年7月21日
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定価
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4,800円(税込)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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使いまわしだらけ&薄いゲーム内容 キャラゲーとしても失格 "あの"バトルヒーローズの続編!(謳い文句) 『戦国大戦』プレイヤーからはカードのオマケ扱い
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戦国BASARAシリーズ
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概要
『戦国BASARA』シリーズの派生作品の一つだった『バトルヒーローズ』の続編として発売された。
『ガンダムVS.』シリーズのシステムを流用した作品で、『戦国BASARA』のキャラクター達がチームバトルを繰り広げる。
通称「パクリニクル」「パクロニクル」「パクリクル」。
発売前の状況
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まず根本的な所から言うなら、『バトルヒーローズ』の"続編"という点。
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本筋から外れてしまうので事細かに語るのは避けるが、前作は「本編とは似て非なる物」と評された作品である。これは単純にゲームシステム的な違いを表した評ではなく、あらゆる面で似ても似つかずお粗末な出来だったという意味である。その出来にファンからは怒りや呆れといった感想をもって迎えられた。
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そんなわけで、ストーリーの『戦国BASARA』らしさやOPの歴代でも屈指のバカっぷり以外は正直微妙と評するファンも少なくなかった。
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ただ、続編があるならしっかり作り直して欲しいという声も少なくは無く、もっと作りこめばそれなりには良くなるであろう部分も少なくは無かった。
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しかし、ベースがその微妙な代物な本作は発売前から相当に不安がられ、初めは期待するものもそこそこいたが、「薄っぺらい新要素」「なんかおかしいスクリーンショット」「使いまわし」「ボイスなどの新録無し」等々、次々と明かされる不安要素がボディブローのようにジワジワと見る者の精神を侵食していった。
問題点
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そもそもクロニクル(年代記)とは「ある期間の出来事を年代順に並べた歴史書」の事である。
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本作の「クロニクルステージ」は過去作品の名場面をピックアップしただけで、全く意味が合っていない。
ゲーム面
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ステージが使いまわしな上少なく狭い。
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上述したように『ガンダムVS.』シリーズのシステムを用いているので、ステージが狭いのは仕方ないとしても、『ガンダムVS.』シリーズのノウハウがまるで活かされておらず、ただ狭いだけという問題点につながっている。
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せっかく複雑な地形を用意されても遠距離戦はまず起きないのであまり意味が無い。むしろ段差はコンボの妨げになるので邪魔ですらある。
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空中コンボが主体の『ガンダムVS.』シリーズではこのような問題はまず起きない。
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爽快感がない。
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通常攻撃のパターンは原作準拠の1種類、基本これ1つで戦わなければならず単調さを助長させる。バサラ技は存在しない。
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前作にもある全キャラ共通コンボの「通常 → ステップキャンセル → 通常」は健在。それらしく戦うことは可能だが…。
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固有技はステップキャンセル不可、前作と同じくせっかくの固有技がほとんど無用の長物と化している。一部の有用な技以外は使いものにならない。
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せっかくキャンセルシステムがあるのに『ガンダムvsガンダム NEXT』のような自由度の高いコンボは不可能。前作の不満点を丸ごと継承してしまっている。
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牽制技という名の飛び道具はほとんど役に立たない。性能も低けりゃダメージも雀の涙。いったい何のために『ガンダムVS.』シリーズのシステムを用いたのか…。
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苛烈な飛び道具の打ち合いは『ガンダムVS.』シリーズで最も面白い要素の一つである。それが丸ごと除外されてしまっている。
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ステージが狭いので敵も少なくワラワラ感皆無。そもそも土台のシステムが1対大多数というものではないのだが。
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そもそも、1対多の無双系アクションゲームを題材にしているのに、チームバトルをするというコンセプト自体がずれているともいえる。
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新しい境地を開拓しようとしたと好意的に解釈出来なくも無いが、一作目のバトルヒーローズならともかく二作目な上、まるで変更も追加も無い今作では流石にそんなことは出来ない。
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ゲームバランスが悪い。
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単純な性能やコストパフォーマンス等でキャラ格差が激しい。
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場合によってはパターンで簡単にハメ殺しができてしまう。
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テキトーに殴って吹っ飛ばしたら近寄って待機、起きたら(略) → 以下ループ(誇張抜き)。
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忠勝など硬い武将を相手にする場合、削りきれずにタイムアップしてしまうこともしばしば。そうなると問答無用で敗北となる。
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これでも前作の凶悪な難易度に比べるとかなりマイルドになっている。
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それはそれで物足りないというユーザーも中にはいるらしい。
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キャラの台詞が全く噛み合っておらず、掛け合いがぐちゃぐちゃ。
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話の流れを無視した台詞を延々しゃべることも多い。これは今作用のボイスを一切使用せず、ボイスが過去作の使い回しであるため。
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苦戦しているわけでもないのに突然嘆き出す、○○軍と戦っているのに△△軍と呼ぶなど、プレイヤーをひたすら混乱させる。
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以上のような何かの病気にしか見えず、情緒不安定と揶揄されるキャラクターの言動は意味がわからない。各キャラクターの関連性なども新規の人間ではさっぱり掴めない。
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特にお市はヒドい。そもそも精神が徐々に崩壊してしまうキャラであるのだが、今作だと最初から崩壊してる上にさらにさらに病みっぷりが強調されてしまう。ある意味唯一正しく描けたと強引に解釈出来なくも無いが無理があるだろう。
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天下統一モード。
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お供の武将が固定、選ぶことができない。
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しかも、弱すぎるのですぐやられてしまうためコストを無駄に消費していく。
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そのため、単騎出撃がもっとも効果的な戦術となり、ジャンルのチームバトルアクションを1人プレイだと全くと言って良いほど体験することができない。
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クロニクルステージ。
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本作の売りで、過去作の名場面を再現するという内容。
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しかし、実際は唐突に最終局面に突入するという超展開ステージでしかなく、再現ができていないため何が何だかよくわからない。
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ゲーム内容が薄い。
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『3』からの参戦キャラが徳川家康(青年)と石田三成だけ。せめて既存キャラの『3』での新技を出すぐらいのサービスは出来なかったのだろうか。
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ステージも上述したようにほぼ使いまわしのみ。
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公式が「新録はない」と堂々と宣言したのもファンを落胆させた。
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せめて対戦ツールとして使えたらいいのだが、『ガンダムVS.』シリーズの評価点を尽く潰されているこのゲーム、本家を遊んだほうがマシである。
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グラフィックが粗い
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キャラの顔が潰れていてさっぱりわからない。携帯機だからとフォロー出来る限度を明らかに超えている。
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これも発売前のスクショ公開の段階でかなり突っ込まれていたのだが、結局そのままGOサインを出してしまったようだ。
キャラゲーとして
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元々キャラクターで売っている側面の強いシリーズであり、ゲームとしてはいまいちでもキャラゲーとしての体裁が保てていれば(尚且つメインターゲットであるファン層が納得できる物ならば)それで問題なかったはずである。
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しかし、上述のように本作は新録ボイス無しの使いまわしだらけである。ナンバリングの最新作からも碌に出典がなく、この時期に出た意味がまるでない。
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さらに各武将の掛け合いの適当さ、顔が潰れたグラフィックと突っ込み所だらけである。
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こんなので萌え、もとい燃えるわけがなく、キャラゲーとしても需要を満たせていない。
評価点
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OPは曲、ムービーともにウケがいい。ただし従来ほどのバカっぽさはないのでその点は悪しからず。
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今作のOPソングはシリーズではお馴染みのT.M.Revolutionの『FLAGS』で、劇場版『戦国BASARA』の主題歌でもある。前作は当時放送していたアニメ第1期の主題歌を使用しており、それと同じ流れである。
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ただ、これまでのこともあり「やはり使いまわしなのか」というイメージがどうしてもつきまとう。
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追加キャラはよく出来ている
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『3』から徳川家康(青年)と石田三成が参戦しているが、限られた制限のなか可能な限り作りこまれている。
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家康のタメ攻撃や三成の時間差で追加発生する攻撃判定等、『3』独自の仕様を再現しようと頑張った跡は見て取れる。
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それだけにこのお粗末なゲームシステムが残念でならない。
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収集要素は一応ある。
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しかし、それも使いまわしが多い。一応徳川家康(青年)と石田三成のお楽しみ武器と防具は新規の為、『宴』で使用したいという声があったが、結果的には実現しなかった。
総評
前述の通り、前作の『バトルヒーローズ』は一応ストーリーは悪くなく、システム面も一作目という事もありファンからはそこそこ大目に見られ、続編では問題を解決して欲しいとある程度の期待はされていたのだが、力の入れどころを間違えてしまった。
ゲームとしてもキャラクターのコンテンツとしてもひどい出来であり、一見さんも馴染みのファンもお断りなゲーム内容はまさに誰得。
発売前から問題が露呈しまくり、それを散々指摘されていたにも拘らず売り出したのだから手抜きの誹りを受けても文句は言えないだろう。
いつものノリで大量のコラボなど大々的に宣伝を行っていたものの、完全に空回りする結果となった。
発売後の状況
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発売直後から値崩れの目撃情報が寄せられ、ついには発売から数週を経たずして新品1,980円という最安値更新の店が現れる。
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後日、アマゾンがあっさり最安値を更新し、1,000円程度で購入可能に。店舗によっては900円ちょいという非常にリーズナブルな価格で在庫の山を作ってしまった。
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こんな状況であるにも拘らず、カプコンは業績発表にて「おおむね計画通りの販売数でした」と語っていた。
余談
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本作には初回特典としてセガのアーケード用TCG『戦国大戦』とのコラボにより、このゲームで実際に使用できる「EX真田幸村」のプロモーションカードが同梱していた。
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キャストは本編の声優と同じ保志総一朗氏を起用しており、ポリゴンモデルは他の武将とは段違いの再現度の高さなどからカプコン側の許可を得て『戦国BASARA』から流用されていると思われる。
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この特典カードは武田家の高コスト槍兵として発売前から戦国大戦プレイヤーから注目されており、実際にゲームが発売されると今度はそのカードの性能の高さが評価されることとなる。
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本作の発売日翌日の頂上対決において、この手のEXカードとしては異例の即日で登場。さらにその翌日の全カード使用率ランキングにおいて、その入手難度の低さと性能面が高く評価され初登場にして19位という位置についた。
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カードの性能が優秀、且つ入手が比較的容易であること、ゲームの出来が上記のような内容であったため、『戦国大戦』のプレイヤーからは「ゲームがおまけ」の作品という扱いになり、PRカードが単品で3,500円以上もする場合もあった。
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ギャルゲー顔負けの大量の店舗別特典が存在したが、特典に使用されているビジュアルは既存の流用だった。
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いつき役の川上とも子氏は本作発売前の2011年6月9日に卵巣癌で死去。
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本作でのいつきの声はライブラリ出演であり、その為、事実上の川上氏の遺作でもある。
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ファミ通クロスレビューではなんと9/8/8/8の33点という高得点を獲得し殿堂入りを果たした。
最終更新:2023年10月15日 19:45