遊☆戯☆王 ダンジョンダイスモンスターズ

【ゆうぎおう だんじょんだいすもんすたーず】

ジャンル ボードゲーム
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売元 コナミ
開発元 KCEジャパン(EAST)
発売日 2001年3月21日
定価 5,80円
判定 クソゲー
ポイント 異常なまでの運ゲー
バランスを悪化させるダイスの能力差
遊☆戯☆王シリーズ


概要

GBAで初めてリリースされた遊戯王のゲームで、原作『遊☆戯☆王』のDDDもといDDM(ダンジョン・ダイス・モンスターズ)編で行われたボードゲームがモデルとなっている。


問題点

一言で言ってしまえばこのゲーム、ほとんどの要素(とシステム)が運ゲーである。
ゲーム構成上ダイスのご機嫌が勝敗を分けやすく、プレイングで打開できる要素が少ないことが大きな欠点だろう。

  • このゲームはダイスを振って、自分のダンジョンを展開しながらモンスターを召喚したり、ダイスを振った時に出る各種クレスト*1を活用しつつ、最終的には相手のダンジョンマスターを三回攻撃すれば勝ち、とルールだけ聞けば面白そうなボードゲームに思える。
    • しかし上記のとおりダイスでいい出目が出なければどうしようもないことが多い。
      「モンスターはたくさんいるが、進行クレストや攻撃クレストが無くて何も出来ない」や「クレストは腐るほどあるがモンスターが出せなくて不利」といった状況が頻発する。
      • 振れるダイスは一回につきダイス15個のダイスプール*2から自ら選ぶか条件指定で選ばれた計3個のみで、目的の出目が出るかは結局運による。原作でも、初プレイとなった遊戯が序盤から召喚クレストを揃えられずに苦戦するシーンがあった。
      • 前者はクレストが豊富な高レベルモンスターの投入、後者は召喚しやすい低レベルモンスターの投入である程度は防げる。
        召喚クレストが揃ってもレベルがあってないとならないので主軸のモンスターレベルは多めに入れるなど構築の幅はそれなりになるが、最終的にはどうやっても運がつきまとう。
      • ちなみに、原作では特別試合なためか好きにダイスを選ばせてもらっていたが、本作では(本来の仕様通りなのか)入手制。ただし、パックではなくドロップか任意購入の2パターン。
  • ダイスの種類は124種類、これだけ聞くとそこそこ多めだが、似たような能力の効果無しに加えてクレストもほぼ同じなど、明らかな水増しが多くレアなダイスを手に入れる妨げになるだけ。
    • 一応カードで登場したモンスターは似たような強さで再現されている。切り札級のモンスターは軒並みレベルが高い。
      ただしカードゲームでは同じレベル(攻撃力や防御力も同じ)である「真紅眼の黒竜」と「千年竜」は、こちらではそれぞれが異なるレベル(前者が4、後者は2)になっているなど例外もいくつか見られている。
      とは言え高レベルモンスターは高いステータスもオーバースペックになりやすく、クレストで選ばれやすいため優遇されているとは言いがたい。
      むしろ低レベルだが入手しやすいわりにはそこそこクレストや効果が優れたモンスターのほうが活躍の場が多かったりする。
      • 余談だがラスボスの使うモンスターのほとんどが露骨なほどクレストの質が良かったりする。
    • アイテムのダイスも10種類あるが、内4種類はあって無い様な物、「ワープホール」や「タイムマシーン」は鬱々しいだけで活用しにくい。
      • クレスト不足の可能性のある本作で、取得できるクレストを削ってまでアイテムに割くべきかは微妙である。*3
      • 「タイムマシーン」は踏むと直前の移動位置まで戻されるが、手前で一度止まってから踏めばほとんど被害無しで済む。
      • だが「核爆弾」はモンスターとアイテム全破壊、「グラビティウェーブ」は進行にクレスト2倍、「蘇生の経文」はモンスター復活、とチートクラス。
    • ただ、しょぼいアイテムがレア入手の邪魔になる、というのはどんなコレクター要素のあるゲームでは当たり前ではある。
  • ゲームは自分あわせて16人でトーナメントをやることで進み、ストーリーはない。
    • トーナメントでは後半になればなるほど、自分の方に不利になるように障害物があったり長いバトルを何回もやったりととても苦痛。
      • 原作やアニメでの強さに関係なく、CPU同士での勝ち負けはランダム。静香に負ける城之内だったり。お兄ちゃん…
    • 「世界一決定戦」や「最後の審判」などタイトルはかっこいいが特に意味は無い。
    • 優勝すると賞金が貰え、ダイスを買えるが、強いダイスは異常に高く何回も戦わないと買えず、弱いダイスは2桁の値段しかない。
    • しかもこのトーナメント、4回で優勝なのだが、1回の勝負が長いくせして、途中セーブがない
      • 一応このゲームはオートセーブ機能があるが、トーナメント戦で途中終了してしまうと不戦勝扱いで、また1回戦からやり直し(途中の試合で入手したダイスだけが保存される)。アドバンスSPやDS等でやる時は充電をちゃんとしておこう。
  • 戦いについては前述の通りだが……
    • 相手も自分も攻撃クレストが出ず膠着状態になったり、マス目がほぼ埋まりきった状態で先述の核爆弾が発動すると互いに何も出来なくなるなどゲームバランスは非常に悪い。
      • クレストは6種類あるが、そのうち2つはモンスターの効果を発動させるだけにしか使えないため、使用モンスターによってはハズレに等しい。
      • モンスターを召喚すると同時にダイスの展開によって自らのダンジョンを拡大させるための戦術を組み立てることが一つの醍醐味ではあるが、上記のとおりダイス目次第ではプレイングが入る余地もなくダイスを振るだけでターンを終えることも珍しくはない。
    • モンスターを通り抜けられるトンネル能力、攻撃が当たらないが足が遅い飛行能力、飛行モンスターに攻撃できる飛行攻撃能力くらいしか特殊能力が無く、アイテムも戦略に関係ないのが多いので結局は力押しになりやすい。
      • 飛行攻撃能力を持つのは3種類しかなく、飛行能力持ちはとても多い。一応飛行能力無効化が出来るダイスはある。
      • モンスターの一部の効果が全くの無意味。
        例えば防御クレスト2つ消費で20ダメージ軽減を持つモンスターの元々の守備力が20なので普通に防御すれば良い、など。
      • 本作の最強であるはずが役に立たない《ブルーアイズ・アルティメットドラゴン》。*4*5原作の愛用者である海馬が不憫でならない。
    • ただし、純粋なパワーゲームではなく、レベル1しかないようなデッキでも上位プレイヤーに勝利することは可能である。
      • むしろ高速召喚しまくって相手がモンスターを召喚するよりも前に陣地に到着し、周りを自陣で埋めてしまうほうが勝ちやすかったりする。*6
        終盤になると高レベルのダイスを振るためよほど運が悪くなければ序盤から展開されることが少なく、一方的に勝つことも狙える。
        低レベルモンスターはクレストが稼ぎにくい点も、塞いだ後高レベルダイスを振ってゆっくり溜めれば良いからだ。
        運悪く強力モンスターを1体呼ばれてしまっても何とかなることがあるが、そもそもこちらが一切展開出来ないことも比較的ありえる。
    • 相手のAIが致命的に低い。キャラクターによってプレイングが若干異なるが大差はなく総じて微妙の一言。
      • 攻撃できる状況で攻撃しない、召喚位置から動かさず守りを固めない、無意味な移動を繰り返すなど戦術とは言いがたい行動を行う。
      • 特にこちらが敵の目前まで進行するとAIの酷さが顕著になり、自分の周りにモンスターを出して何とかしようとすることは分かるのだが、
        自分のダンジョンマスターに隣接されたこちらのモンスターを倒すどころか何故か攻撃されているダンジョンマスターに隣接するだけで終わってしまう。
      • 一部のキャラクターはこちらの展開を妨害するようにダンジョンを展開するが苦戦する点はそれくらい。
  • 《ブラック・マジシャン・ガール》のダイスが、出にくいにも程がある。
    • 《ブラック・マジシャン・ガール》のダイスを入手すると最初に出てくるOPが少しだけ変わるのだが、(一応)このゲーム最強のキャラに勝たないと入手出来ない。勝っても、入手出来る確率が相当低く、ここでも運任せを強いられる。試合が長くなることもあって、苦痛の一言。
    • これ以外のダイスは全て店で買うことができるのだが…
    • ただし《青眼の白龍》《ブラック・マジシャン》といった強力なダイスは入手に大きな手間を要する。
      いちばん優勝賞金の高いトーナメントでも1500~2000G程度にも拘らず30000G程度を要求されるからである。
      平均1750Gもらえるとして計算すると、約68試合を消化する必要がある。一試合が長引くこのゲームでそれは無茶と言わざるを得ない。
      • 尤も、前述の通り、本作はTCGのそれと違って高レベルキャラの召喚難易度はかなり高い。これだけの大金を積んで有効活用できるかと言われると微妙だったりする。付け加えるなら 、低レベルダイスでも意外と使えるので、無理にそういったダイスを集める必要もない。

評価点

  • 原作のキャラが全員と言っていいほど登場している。
    • マイナーキャラの花崎や牛尾、蛭谷の子分など複数いるキャラも全員登場している。
      • これら、マイナーキャラが出てるのはこのゲームだけであり、特にアニメの東映版でレギュラーキャラとなっていた野坂ミホが登場しているのもこのゲームだけである。『遊戯王7』や、『遊戯王8』にも登場するキャラはいるにはいるがたった数名程度である。
    • これだけでもかなり多いのに、原作やアニメに出てない(一人除く)*7キャラも「ゲストキャラクター」として出ている。
    • 違うゲームからの参戦などではなく、完全にこのゲームだけのキャラであり、初見は「誰?」という人もいる。ここに力入れるより、違う所に入れたほうがいいのでは…
      • (ゲストキャラ含め)合計、92名もいる。当時登場していて出ていないキャラはモブを含めても数えるほど。
      • だがトーナメントや やたら長い試合などの仕様のせいで全てと対戦するには膨大な手間がかかる。
    • モンスターも原作で実際に登場したオリジナルだけではなく、原作のカードやOCGで登場している人気モンスターも多く収録されている。
  • アニメ
    • バトル時のアニメが結構よく出来ている。
    • GBAにしては、OPがかっこいい
      • さらに、上記の通り《ブラック・マジシャン・ガール》を手にいれると少しだけだが変わるのでぜひとも手に入れて見てほしい。
      • もっとも手に入れるには、かなりの根気と時間と運が必要だが…。
    • 《エクゾディア》(両手両足がLV3、本体が一番出しにくいLV4)のムービーがかっこいい。

総評

「カードを買ったらゲームがおまけで付いてきた」と言われる出来であることも多い遊戯王のゲームだが、案の定であった。
原作の遊戯王が好きな人はやってもいいかもしれない。
だがその際は頭を悩ませる内容と付き合うことになるだろう。
学園編に登場したカプセルモンスターズチェスが既にゲーム化されているのでそちらのほうがオススメできる。


余談

  • 超が付く程の人気カード、《ブラック・マジシャン・ガール》が描かれたカードが付属。ただしOCGでは使えないカードなので注意。
    • 初回限定版がアルティメットレア又はシークレットレア、通常版ではスーパーレア(ピンク箔)と、レアリティが異なる。
  • DDM自体は、ボードゲーム及びフィギュアとして実際に商品化されており、スターターボックスやブースターパックが発売されていた。
    だがカードに比べると人気が出ず、スターターボックスが2セット必要なため、すぐに市場から姿を消している。

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最終更新:2023年09月08日 15:11

*1 モンスターに行動させるためのエネルギー、召喚クレストが3つ揃えば召喚、召喚以外には攻撃、進行、守備、魔法、罠クレストが有る。

*2 対戦時に使う一つの束。カードゲームで言う「デッキ」

*3 クレスト目的での投入は例外

*4 ステータスは高いが強すぎるためか、「移動クレストの数に関係なく1マスしか移動出来ない」というデメリット能力を持っている。しかも飛行ユニット(飛んでいるモンスターの事。通常のモンスターに攻撃されないが、移動に進行クレスト2個必要)に対して何も出来ない(飛んでない&攻撃が出来ない)。キチンと羽の生えたモンスターなのに…。

*5 ちなみに、融合前の《ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン》に関しては、能力無しでちゃんと飛行能力もついている。攻守も、他の飛行能力モンスターと比べると高い方。

*6 要は原作の御伽龍児が行った相手のダンジョン展開を塞ぐ戦術である

*7 原作やアニメに出ていないにも拘らず、1作目から出ている謎キャラだった。実は名前の「ン」を取るとプロデューサーの名前になる。だがそれ以外謎で、毎回ゲームに出てくる(6,7除く)にも拘らずアニメに一切出ない為謎キャラとなっていた。後に所謂「記憶編」で明らかになった。