SIMPLE2000シリーズ Vol.44 THE はじめてのRPG 伝説の継承者

【しんぷるにせんしりーず ぼりゅーむ44 ざ はじめてのあーるぴーじー でんせつのけいしょうしゃ】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 D3パブリッシャー
開発元 ヒューネックス
発売日 2004年1月29日
定価 2,000円(税別)
判定 なし
ポイント ある意味タイトル詐欺
ある意味タイトル通り
SIMPLE2000シリーズ



乱世に舞い降りた英雄、旅立ち行く継承者たち。君は伝説となる。



概要

D3パブリッシャーによる廉価版ゲームシリーズ『SIMPLE2000』の1作。
オープニング・エンディングテーマは声優の原田ひとみ氏がボーカルを勤めるバンド『galapagos』が担当している。

ストーリー

400年前、1人の勇者によって統一された地方「ロルデニアス」。
人々は勇者の子孫が治める3つの王国ミッドアース・シャバル・シルベニアの元、平和な生活を送っていた。
しかしその平和は突然終わりを告げた。シルベニア国王「マグラ」が、モンスターの軍勢を率いてシャバル国を襲撃したのだ。
邪神復活を企むマグラ王に対し、シャバル国の王女、ミッドアース国の王子、そしてミッドアース王の妾の子である主人公が立ち上がる…。

特徴

  • パッケージには「誰でもクリアできるRPG」「ノスタルジー溢れる内容」という表記があり、ファミコン時代のRPGの内容を意識した作りになっている。
    • ストーリーは「勇者の子孫が悪者を倒して世界を救う」という王道のもの。
    • 魔法の名前は「かみなり」「じしん」「いんせき」など、ストレートで分かりやすいものになっている。
  • ファミコンの有名RPG『ドラゴンクエストII』を思わせる設定が散見される。
    • パーティは、かつて世界を救った勇者の子孫で、王子・王子・王女の3人。また、王女は故郷を滅ぼされている。
      • 但し2人目の王子は魔法使いで、王女は武器も魔法も使える(つまり『ドラクエII』とは逆)。1人目が魔法を使えないというのは『ドラクエII』と同じ。
      • ちなみに3人とも台詞は一切喋らない。『ドラクエII』では、仲間に加わる時とエンディングで台詞があったが、それも無い。
    • 乗り物は船のみ。
    • 「大量の経験値を持つが防御力が高くすぐ逃げる」という、メタルスライムの様な敵キャラも存在する。
  • グラフィックはテーマに合わせてなのか、2Dドット絵で描かれているなど簡素な作り。分かりやすくいってしまえば『RPGツクールXP』とほぼ同等。

評価点

  • SIMPLEシリーズで純粋なRPGは貴重である。
    • クリアするまでのボリュームもそれなり。
  • 遭遇したモンスターが記録される図鑑モードが存在する。
    • コンプしても特典は無いが。
    • また、閲覧するたびに最初のモンスターから1種類ずつ順番に見て行かねばならない。
  • ストーリーは、町の住人の話を聞いて行けば、詰まる事はまずない。
    • …後述のラストダンジョン以外は
  • 戦闘で手に入るお金が多めであり、所持金で苦労することはあまりない。
  • ボス戦などの逃げられない戦い終了後にはHPとMPが全回復する。
    • このため、戦闘後の回復やダンジョンからの脱出のことを気にせずにボスと全力で戦える。

問題点

システム面

  • 「誰でもクリアできるRPG」という触れ込みだが、手強い敵が多く、ゲームバランスはそれこそファミコン時代のRPGのようなシビアなものになっている。
    • 序盤から「ただひたすら仲間ばかり呼ぶ敵」がゴロゴロ出現するため、いくら倒しても数が減らずに全滅に追い込まれる事も珍しくない。
      • 酷い時には、仲間を呼ぶ敵が10体以上出てくる事も。何かのイジメかと。
    • 一部のボスが極端に強く、同じダンジョンのザコに楽勝できるレベルでもまるで勝てない。
      • 特に後半に登場する全体攻撃を連打してくるボスは強く、レベルを上げても運ゲーの面は残る。
      • このため、プレイ時間の多くはレベル上げのための経験値稼ぎの時間になる。
    • ほとんどのダンジョンの宝箱には、なぜか役に立たないアイテムばかり入っている。
      • ラストダンジョンで「やくそう」とか「どくけしそう」を拾ってどうしろというのか…。
  • キャラの覚える魔法とステータスの傾向が合っていない。
    • 魔法使いの王子は、素早さやMPが高いため回復を任せたいところだが、全体回復魔法や復活魔法を覚えない。
    • 王女は全体回復魔法を覚えるが、素早さやMPが王子より伸び悩むため回復が後手に回ったりすぐにガス欠したりする。
  • モンスター図鑑を完成させるためにはラスボスに一度負ける必要がある。
    • ラスボスの前座の相手が図鑑に登録される最後の敵であるため。
  • 各キャラクター固有の最強装備として「でんせつの剣」「でんせつのつえ」「でんせつのゆびわ」があるが、装備するためには対応する「~王のもんしょう」を道具として持つ必要がある。
    • 無駄にアイテム欄を圧迫するだけであり、プレイヤーに何のメリットもない仕様である。単純に装備できるか否かでよかったのではと言わざるを得ない。
  • ラストダンジョンで通路を塞いでいる「結界」は、あるアイテムを使えば壊せるのだが、このアイテムが個数限定。一応使い切っても別の場所で入手できるのだが、その事がほぼノーヒント。

グラフィック面

  • 戦闘画面での敵キャラは、同シリーズの某ギャルゲーの立ち絵のごとく上下に引き延ばしたようなグラフィックになっている。
    • 更に中盤の大ボスはパーティのHP・MPウィンドゥで顔が見えなくなっている
  • ゲーム全体を通してエフェクトやSEが貧相。
    • 最上位の魔法でも派手さはまったくない状態である。
  • キャラクターデザイン・OPデモのクオリティは中々高いが、ゲーム本編のグラフィックはそれに釣り合っていない。

シナリオ面

+ エンディングのネタバレあり
  • 終盤に「邪教」なる存在が語られ始めるのだが、それからはもうなんでもかんでも結局邪教が悪いという話になっていく。しかもその邪教自体とは戦う事なく物語は終わってしまう
    • かと言ってエンディングは「めでたしめでたし」で終わるので、続編を作る事を意図していたとも思えない。結局邪教の存在は中途半端になってしまった。
    • 「モンスター図鑑」では色々なモンスターに「邪教のせいで」とか「邪教により」とか書いてあるモンスターもいる為、尚更気になる。
    • そもそもゲーム最初期から「敵は邪神復活を狙っている」と言っていたのに結局邪神は復活しませんでしたで終わってしまう。王道ストーリーのRPGとしてはある意味斬新である。

総評

ストーリーや魔法・アイテムの名前などは確かにRPG初心者を意識した様に見えるが、ゲームバランスの悪さが原因で難易度はかなり高い。
それも含めて「ファミコン時代のRPGのようだ」とも言われており、本作の売りはむしろそちらにあると言えよう。
しかし出来の悪さを、レトロRPGがそうだったからという言い訳で逃げているという印象も受ける。

余談

  • 「キマイラ」というモンスターの色違い上位種に「メイジキマメラ」という名前のザコ敵がいる。「キマイラ」の誤植であろう。
  • 本作の王女は『THE ALL★STAR格闘祭』に出演している。
    • デフォルト名が存在しないため、「シャバル王国の王女」という事で「プリンセス・シャバル」という名前になっている。声は新井里美氏が担当。
  • 本作はSIMPLEシリーズの攻略本『THE攻略本 キャラクター編』で扱われているのだが、簡単なフローチャートが載っているのみ。
    • 同書で扱われている他のソフトはギャルゲーばかり。『バトル編』という攻略本も出ているのに、なぜそちらに収録しなかったのだろうか?
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最終更新:2022年12月22日 19:25