機動戦士ガンダム戦記

【きどうせんしがんだむせんき】

ジャンル 部隊統率型アクションゲーム
対応機種 プレイステーション3
発売元 バンダムナムコゲームス
開発元 ベック(浪川組)
発売日 2009年9月3日
価格 7,980円
廉価版 PlayStation3 the Best:2010年9月16日/3,990円
判定 クソゲー
ポイント 敵がバカ、味方もバカ
疑問だらけのストーリー
MS(武器)の性能の差が戦力の決定的な差
劣悪極まりないオンラインシステム
ゲームとリアルのダブルマネー
ガンダムゲームリンク

各機、援護しろ!
とどめは俺が決める!!



概要

PS2で発売された『ガンダム戦記』と同じタイトルを冠したガンダムゲーの1作。
副題を含めたタイトルは「 機動戦士ガンダム戦記 MOBILE SUIT GUNDAM BATTLEFIELD RECORD U.C.0081 」であり、PS2版と区別するために本作は「PS3版」「水天の涙 (作中の作戦名および漫画版の副題より)」などと呼ばれる事もある。
発売前は続編が発表されただけでも驚きであった上、マイナー機体参戦(ガンダム7号機、RX-81等)、宇宙面の存在、オンライン対応、シナリオに力を入れていると思わせる宣伝など、そんなこんなで結構期待されていたのだが…。


問題点

シナリオ上の問題点

  • 全体的に突っ込み所が多く、はっきり言ってひどいの一言
  • 連邦編は基本的にジオン側の行動に対応しているだけなのでまだマシなのだが、それでもアラが目立つ。
    • 中盤にて、スパイ容疑で拘束されているはずの人間がいきなりMSに乗って現われ、隊長(プレイヤーキャラ)を庇って死ぬ。
      • 後述の漫画版にてこの経緯が描かれたが、ゲーム中では説明がなく本当に唐突である。
    • 連邦編ラストの流れは「敵のエースと一騎打ちに勝って目標施設を破壊しようとするが間に合わない!」→「後から来た戦艦が目標施設を破壊してくれました」という展開で、プレイヤーの戦闘に意味はあったのか?と言いたくなる結末。
      一応「主人公が敵エースを(施設の砲台も含めて)倒したからこそ、後続の艦隊が無事目標施設を砲撃できた」と解釈できなくもないが、それを示唆する明確な描写はない。
  • ジオン残党編では、話の根幹に関わる設定がおかしい。
    • 「マスドライバーという月面にある射出装置を占拠して、そこから巨大な隕石を打ち出して地上施設を狙撃」という作戦。この作戦の阻止・遂行が両軍共に物語の根幹に関わるものなのだが…。
      • 月面から地上を無誘導弾で攻撃するのに、その途中の宙域が連邦側の勢力圏内なので不意打ちの1発目はともかく2発目以降は失敗がほぼ確実*1
      • 同様の理由で、宇宙空間や月面で観測されればどこからどこへ向けて発射されたかが丸分かりなので*2作戦自体の意味がまるで無い*3
    • さらにストーリーが進むと、「攻撃目標の敵基地に対空砲台があるので排除してください」と指示されるのだが…。
      • そもそも少数の対空砲台だけで無力化される*4ような隕石落とし装置に意味はあるのだろうか?毎回目標付近の対空砲台を全て排除してからでないと使えないのでは、実用性などないはず。その基地が主要レーダー施設であるということはあるのだが、レーダーを全て破壊した上に対空砲台も無力化できたなら 既に基地を制圧したも同然であり、隕石を落とす必要がない
      • おまけに、最終的には対空砲台の撃ち漏らしが存在したという流れとなり、司令官がガウ攻撃空母で特攻して破壊する。ガウにはビーム砲も機銃も爆撃装置も付いているのになぜ特攻するのか*5。と言うか、レーダー全破壊してる上にその程度の対空砲台で迎撃されるような隕石なら(ry
    • この作戦の目的は、連邦に交渉の席に着かせるためであることが説明されるが、軌道修正を無視しても基地を奪還されればお終いなので連邦は交渉より反撃に出る可能性の方が高い。戦力不足のジオン残党相手ならなおさらである。
    • 漫画版では、本作戦により「主要都市・施設の7~8割を狙撃可能」と設定のアラ・描写不足をある程度カバーしている(もちろん上記の根本的な欠点はどうしようもないが)。
    • 一応「月面からのマスドライバー攻撃」自体は『ギレンの野望』シリーズで既に登場しているものだが、こちらが行われたのは地球降下作戦の直前だったため 制宙権はジオン側が握っており、しかも降下地点の対空防衛網沈黙のために行っている 。これを踏まえれば、今作のマスドライバー攻撃がどれだけおかしいかがわかるだろう。
  • それ以外でも、ステルス性能が必要だからという理由で機体固定の強制出撃を行う場面があるのだが、着いてくる部下のMSは通常のまま。1機だけステルスにしても僚機の所為で敵のレーダーからは居場所が丸見えではないだろうか。さらにステルス機の強制出撃の内2回はストーリー上仕方ないとはいえ防衛任務*6であり、ステルス性を活かしにくい状況である。

システム上の問題点

  • 前作と比べ一度に多数のMSをマップに表現できるようになったのは良いが、そのせいで「敵は10機以上いるのに味方は3機」と言う、1年戦争時のジオン兵の気分が味わえるような事態を招いた。結果、敵と同等の兵器に乗ってるというだけでは、僚機は一瞬で袋叩きの目に会い、結果僚機が使い物にならないと言う印象が根強く刻まれる事になった。
    • じゃあ僚機は要らないのか? というとそういうわけでもなく、撃破されても時間経過で自動復活するのである程度装備を整えればデコイとしては役に立つし、武装を格闘&射撃に特化させれば次々に敵を撃破して報告してくる頼もしい無線が飛んでくる。
      • もっとも、このような状況を作るには良い機体&武器を獲得するという準備が必要であり、どちらにせよ終盤のミッションでは超強化された敵集団の前にボコボコにされるのだが…。
    • AI面での技術力に乏しいらしく、僚機はCPUのオート操作に任せきりだと効果的な行動をほとんどせず、敵機と同じようにのったりした行動しかしないため頼りない。一応細かい指示は出せるのだが、被弾すると思考がオートに戻ってしまう。
      • こうした頼りなさ故、上記の威勢のいいキャッチコピーも「各機、(邪魔だから)援護(じゃなくて見物)しろ!とどめ(も含む全ての敵への攻撃)は俺が決める!!」などと皮肉られることに…。
      • なお、これでも細かく指示が出せる、武器を自在に持ち変えることが出来るシステムや、進路方向に障害物があればそれなりの対応をしてくれるといった点で、ロンチタイトルの『機動戦士ガンダム Target in Sight』に比べれば僚機としての機能は大幅に強化されている。
  • 敵の耐久力、攻撃力が極端に違う。同じMSでも、ビーム2発で撃破できるミッションと10発必要なミッションが有ったりと非常に不安定。酷いときには、同じミッションで耐久力が極端に違ったりもする。
    • エース扱いなのだろうが、いくらなんでも硬く強くなりすぎである。AIも多少強化されているが、前述のようにAI面の技術力がないため、強さをいじることで補うほかなかったのだと思われる。その癖こちらの攻撃にはとても敏感であり、「ほぼ接射のビーム・バズーカをステップでかわす」という、ニュータイプもびっくりな挙動をすることが多々ある。
  • 敵機は弾数が無限のため、特定のミッションは弾幕が非常に濃く、格闘機では後述のバグを駆使しないとまずクリアできない。
    • また、敵の弾が無限なのに対しこちらは僚機含めて有限。弾数を回復できる補給所も簡単に破壊される仕様であるため、初心者は補給所が破壊されて弾がなくなって泣く泣くやり直すと言う事もある。格闘武器を持っていけばこういうことにはならないが、ゲームの仕様上装甲の薄い機体では接近することすら危険を伴う。
  • このゲームには特定の武装は「チャージ」する事で威力を増大させる事が出来る。だがプレイヤーはチャージに時間がかかるのに対しCPUは一瞬でチャージができるという理不尽仕様である。近接戦で「お互い同時にサーベルを装備したのに、一方的に敵からチャージ攻撃を叩き込まれた」という場面も。
    • 自機が高性能であるのならいいが、初めのころはジムやザクに毛が生えた程度の性能の機体である。未チャージのビームですら致命的な装甲において各チャージ攻撃は即死技に近く、この仕様に嫌気がさし辞めていった初心者もかなり多い。
    • 先に述べたように、CPUはチャージが一瞬で完了するが、さらにCPUはブーストやレーダー範囲が無限だったりする。幸い実戦で無限ブーストやレーダーを活かしてくることはないが、敵機のみ弾数無限の仕様といい、プレイヤーとはシステム面で格差が付いており、これも爽快感を削ぐ要素となっている。
      • ちなみにこの仕様は僚機にも一部適用されており、弾数こそ有限ではあるがブーストやレーダー範囲は無限。なので僚機のブーストやレーダーのカスタマイズは意味がなかったりする。
  • シナリオの都合上、度々MS固定で出撃させられるのに、その強制出撃MSが微妙+強制出撃MAPの難易度がやたらと高い(任意でのカスタマイズが出来ず予備のマガジン、エネルギーパックが付けられないのに補給所がない、それなのに敵が硬いので格闘を挑まないとまずクリア出来ないなど)。
    • 酷いものとしてジオン側には「強力なスナイパーライフルを持ったガンキャノンの群れに、イフリート・ナハトと刀のみで立ち向かえ」というものがある。せめて盾くらい持たせてください。
    • ゲームシステムは機体強化をメインに組まれているのに、難易度の高い戦闘で機体強化ができないという矛盾。連邦側シナリオの最終話等は特に酷く、味方を捨駒にするのが推奨されるほど。
    • おそらく機体選択を自由にすると作ったハイエンドムービーと矛盾が出るため、機体固定の強制出撃をさせていると思われるが、せめて機体・武装だけ固定でパーツは自由、ということはできなかったのだろうか?
    • 逆に機体固定ステージでない事が災いとなるステージも存在し、特に酷いものとして連邦軍のステージ5が挙げられる。港湾基地を防衛するミッションなのだが、実は後半戦が存在し「物資を奪って水中へ逃亡した敵部隊を追撃しろ」と、前触れも無く水中戦に駆り出されてしまう。前ステージのクリア報酬として水中戦用オプションパーツと水陸両用機(低スペック)が出る事以外に一切の事前情報が無く、さらにモビルアーマーとモビルスーツ両方を同時に相手にしなければならず、陸戦機体+通常装備のままステージを開始した場合、後半戦で鈍重な動きしか出来ないまま海の藻屑と化す事態に陥ってしまう。
  • 前作にあった好感度や成績による機体支給システムも無し。特定MS支給時にアニメキャラから一言コメントなどもあったのだが、それも排除されている。
  • 目玉機体の重装フルアーマー7号機は、シナリオのわずか1ステージ、強制奥スクロールSTGの面でしか使えない。しかしこれに関しては「機体の特性上どうしても仕方がない」という意見もある。
  • オフラインでは、難易度設定をハード以上にすることが出来ない。
    • この仕様のせいで、オフラインでは獲得できないパーツが多数存在する。
    • 何とガンダム(RX-78-2)を作るのに必須のパーツすらオンラインでないと獲得不可能。ガンダムゲーなのにガンダムが作れないという異様な状況となる(前例はある)。
    • ストーリーモードで使用できた機体がフリーモードではオフラインでは使用不可、という機体もある(RX-81ライトアーマー等)。これは流石に論外である。
  • ゲームバランスも酷い。
    • ビーム兵器が弾速が早くノックバック有りで連射できるため、両手にビームライフルを持って乱射していれば大抵の敵は抵抗できずに沈む。
      • これは敵にも言える事である。敵もビームライフルを乱射してくる時があり、そうなった場合盾を持っていなければまず撃墜される。
    • オンライン対戦でも、当然一発喰らえばハメ殺しされる。パッチによる修正前は「復帰場所が殺された場所と同じ」だったので、復活して即ハメ殺しという状況すらあった。
    • 一応ダメージだけならバズーカなどの方が高いが、弾速が遅いため接射しか当たらないような状態(前述の通り、撃った瞬間ステップでよける事が多々あるため)。更にバズーカは装弾数が非常に少ないのが欠点となる。一応、予備のマガジンの数はバズーカは多いものの、元の弾数が少ないのだから意味があまりない。
    • ゲームバランスを総じて言うなら「MS間に補填できないだけの性能差があり、ビームライフルが強すぎる」のである。ある意味原作に忠実とも言えるが、ゲームとしていかがなものか。

オンラインモードにおける問題点

  • オンラインマッチの部屋を表示するだけで20秒~1分ぐらいかかる。
    • その状態で一回に表示されるのは8部屋のみ。
    • 「次のページへ」を選択するとまた20秒以上のロードが入って8部屋表示されるが、この時表示される次の8部屋は最初に読み込んだ状態で表示される(その部屋が満室になっているかなどの情報は全く表示されない)。
    • このため通常の部屋探しは全く役に立たずクイックサーチ(その時参加できる部屋からランダムで8件表示)を連打するしかない。
    • 検索機能も対戦or協力ミッション、ボイスチャットの有無しか判別できないとまるで役に立たない。
  • このゲームは上記の通りオフラインでは取得できないパーツが非常に多いため、オンラインで一人プレイするプレイヤーが続出。
    • 「一人プレイ専用」の部屋が乱立したため、地獄のロード後に表示された8部屋全てが一人プレイで乱入お断りの事態も普通であった。
  • チャットログなし+一定時間で発言が勝手に消える+自分が文章を打っている間はチャット更新されないという何を考えているのか分からない仕様。
  • 対戦部屋でのボイスチャットは敵味方共有。つまり喋った内容全部敵側に筒抜け。
  • 更にクソゲーのオンラインに標準搭載のラグももちろん完備。
    • 格闘をビームで迎撃したら当たったはずの攻撃のノックバックを無視して切りかかられるなどは日常茶飯事(もちろんヒットエフェクトや着弾音は出ている)。
    • 「空中でいきなりダウンする」「横を通り過ぎたビームに吹き飛ばされる」「当たってヒットエフェクトが出ているのにダメージなし」「空中を跳んでいたらAP100%からいきなり0%になった」「撃たれていないのにダメージを受ける」「当たらない位置にいるのに当たる」「敵に弾が命中したのに、ステップされてノーダメージになっている(これはオフラインでも稀に発生する)」など、もはやなんでも有り状態。
    • その結果、乱戦状態では常にランダム回避を取り続けるというある意味非常に戦争らしい行動を取らざるを得ない。
    • 固定砲台に戦闘開始直後から狙われているステージでは、ローディング中にダッシュを入力しておかないと画面が切り替わった時には既に攻撃を受けて倒れた自機と減ったHPが表示されているなど、もはやギャグの領域になることもある。
  • モンスターハンター』等の協力プレイができるゲームは、味方が死んだり戦闘不能になった場合、味方全体にペナルティが課されたりするが、このゲームの場合「味方全員が戦闘不能にならなければ何度でも復活できる(一応、APの最大値は減るが前述の仕様によって殆ど意味を成していない)」という、寄生に甘い仕様になっている。このため、最高難易度であるHellの、それも全ミッション中最高難易度と評されるDLCミッションに寄生目的で入ってくるプレイヤーも多い。
  • 機体や武器の値段が高い。
    • ミッションの報酬に比べ、機体や武器を購入するのにかかる金額が妙に高い。
    • そのため高性能な機体・武器を買おうとすると、高額で売れる武器を取得できるミッションや、短時間あるいは放置で終了する時間効率の良いミッション、またはDLCで追加された稼ぎ用と思しきミッションを延々と繰り返すことになる。
      • ちなみに上記の高額で売れる武器の中で特に高価なのが連邦側のビームサーベル系であったため、本作の稼ぎは「刀狩り」などと形容されている。
      • こうした設定は「金額を吊り上げることでやりこみの水増しをしている」と批判された。
  • DLCにはリアルマネーで購入しないと入手できない機体*7も存在。価格は1種類につき300円~500円。全部購入すると合計5700円と、ソフト本体に匹敵する価格となる。
    • しかも購入したからといってすぐに使える訳ではない。購入したのはゲーム内でのMS購入画面にその機体が現われる権利だけで、リアルマネーとは別にゲーム内で(途方もない額の)お金を貯めて買わないといけない。使用するにもゲーム内で金が必要とは…。
      • 別の問題点として、一部のDLC機体は総合性能が高機動型ゲルググ(エース専用機)に劣っている。これはDLC機体のキャパシティ(モンハンで言う所のスキルスロット)の数値が非常に少ないのに対し、ゲルググ系は元が高性能な上に設定ミスといえる程の高いキャパシティを持っているためである。元々ゲルググは「ガンダムに匹敵、或いは凌駕する性能を持つ」という設定なので、RX-78ガンダム等は劣っていても問題ないが、ガンダム試作1号機やリック・ディアス等が劣っているのは如何ともしがたい。これではDLC機体の意味がないのでは…?
    • ゲーム内で必要なお金の量は、最も効率がいいと思われる稼ぎプレイをしたとしてもDLCの機体全てを買おうとすると10時間以上はかかる計算。そして後述の傭兵モードなら更に倍である。やってられるか!
    • 一応、上記のようにDLCミッションには稼ぎ用と思しきものも存在するが、条件を満たさないと規定の報酬が支払われないという誰得仕様である。
      例として「撤退する敵部隊を追撃する」というミッションでは、撤退する敵を全機撃墜出来ないと報酬が減る。これはまだ筋が通っている方だが、酷いものになると「目標のHLVを破壊する」ミッションなのに、周囲に配置されている固定砲台を全て破壊しないと報酬額が激減するという、誰得を通り越して笑えるものも存在する。恐らく簡単に稼ぐのを防いでいるのだろうが、ゲームとしてそういう事をするのは間違っていると言わざるを得ない。
  • シナリオとは直接関係のない一個完結のミッションモードであるが、それでも敵として出てくるMSに一部謎な部分がある。
    • 基地防衛隊として ワンオフの試作機であるパワード・ジムが群れを成して 出てくる。
    • 月面で遭遇する、明らかに見覚えのある 真紅や白に塗装された高機動型ゲルググや黒いザクIなど のエース機体集団。
    • 手持ちにマシンガン、近づくと専用ビームサーベルを 2本 取り出す謎装備のギャン。
      • 極めつけは月面における ビグ・ザム×3 との決死戦。主武装のメガ粒子砲はまともに食らえばほぼ即死であるため、ビグ・ザムの周囲を飛び回りながらの戦いを強いられる。いろいろと突っ込みどころ満載だが、難易度は高いので突っ込む余裕はほとんどない。

賛否両論点

  • 根本的な所として、宇宙世紀0081年に大規模な紛争があったという設定にかなり無理があるという声も。
    • 本作は設定面に強引な部分があり、ガンダムを題材にしたゲームとしては原作の再現性が低いと批判する声が多い。
    • 例として、アニメで描写されたジオン残党軍の1つであるデラーズフリートは戦力不足に悩まされており、『0083』のデラーズ紛争でそれを綿密に練られた電撃作戦で補っている。ハマーン率いるアクシズもデラーズフリートに手を貸せる状況になく、ユーリー・ハスラーの艦隊を派遣しノイエ・ジールの譲渡、残存兵の回収のみに留まった。キンバライド基地のノイエン・ビッター率いる第3突撃機動師団を見ても、ジオン残党がどれだけの戦力不足に悩まされていたかが見て取れる。
    • さらに、前述のキンバライド基地の戦力は継ぎ接ぎだらけのザクIIとドム・トローペンが合わせて10機+HLV1機。今作のような圧倒的な戦力で攻めてくるジオン軍残党とはかけ離れている。
    • これには、「設計段階で終戦を迎えたため手付かずだったガンダム7号機を出す」「U.C.の空白期を埋める」「コロニー落としもどきを物語の核にする」と欲張り、これらをすべて満たそうとして無理が生じたのではないかとも噂された。
    • ただし例に挙げられたデラーズフリートやアクシズなどの組織はあくまでジオン残党軍の一部でしかなく、本作のジオン残党は他の勢力のものと考えれば無理はない可能性があるため一概に問題点とも言えない所はある。
    • 公式として大規模な戦争は起きていないという矛盾も、本作がパラレル的なものと考えれば納得はできなくもない。
    • また仮に矛盾があったとして、ガンダムのアニメにおける宇宙世紀は割と外伝の設定に自由度があり、上記のジオン残党の描写がある外伝作品『0083』もまた違った点で本編との矛盾点が指摘されているが正史扱いとされる傾向はある。
  • ゲームの仕様上仕方ないとも言えるが、異様な物量で攻めてくるジオン軍残党
    • 敵機の出現量や配置が多い場面があるのはアクションゲームとして普通の調整ではあるのだが、本作の残党設定とは全く噛み合っておらず、「残党のくせにどれだけ出てくるんだ?」と思わずにはいられない。
    • ただしガンダムのアニメ作品に登場するジオン残党(ガンダム0083のデラーズフリート、ガンダムZZのアクシズなど)も名称の割に数が多い描写があり、さほど問題ないという意見もある。
  • 原作キャラやMSV、他の外伝シリーズのキャラクターが一切登場しない。
    • 前作でも原作キャラの出番が少ない傾向はあったが、一部ステージや合間のムービーで最低限登場したりしていた。しかし今作ではそれすら無しである。
    • 時系列的にこの年代では軟禁中のアムロ、軍を退役したカイ、行方不明のライデンやマツナガ、戦力不足故に手を貸せないガトーやハマーンなど参戦できないような事情を抱えたキャラが多いという事情はある。
    • 今作では専用機が実装されているので、シナリオとは無関係のゲスト出演ぐらいはして欲しかったという声も。

評価点

  • 自分に合ったキーカスタマイズをすればという条件付きではあるが、MSの操作性はなかなかのもの。
  • カスタマイズ性の高さ。
    • 出費はかかるものの、MSに好きな装備をさせることができる、というのはやはり面白い。機動力重視、鈍重・高火力・超装甲などの調整だけでなく、地上専用機を宇宙に持っていったり、本来格闘武器を持たないキャノン系MSにサーベルを持たせられるなど、自由自在。
    • 大型ヒートホークを振りかざし超スピードで突進するガンキャノン、スナイパーライフルにミサイルランチャーを装備した遠距離仕様のギャン、ジェネレーターをガン積みしてビームライフルで暴れるザクI、宇宙でどたばた走り回るアッガイなど、好きなMSで好きな戦場をとことんまで味わいつくせる。
    • しかしながら、装備が自由なのは敵もまた然りで、前述したように時々びっくりするような装備を持って出てくる敵もいるため注意がいる。
  • シナリオモードの連邦とジオンを両方クリアすると、ミッションモードの所属に「傭兵」が解放される。宇宙世紀のゲームにしては珍しく、二足の草鞋を履けるゲームでもある。
    • 傭兵は双方の軍のMSと武器を使用でき、軍属を問わずすべてのミッションに挑戦ができるが、MSや武器の購入にかかる費用が2倍になる。
    • コストはかかるが、傭兵に限ってはMSに敵の武器を持たせることも可能となっている。
  • ダムゲーにありがちな、格闘が死んでいるということがない。
    • 本作は機体の射撃値/格闘値がそれぞれの防御力にも影響するため、射撃に特化した機体は格闘に弱いことが多く、このバランスの取り方は評価されている。
      • もちろん格闘特化だと射撃に弱くなるが、この点は下記の盾を持ち込むなどでフォローできる。
    • 盾を利用したバグで、格闘チャージを連続で行うというものがある。これを利用すれば、格闘中心の戦いも十分に可能となっている*8
  • 盾は持っているだけでも正面からのダメージをある程度軽減し、構えることで70~99%のダメージをカットすることができる。持ってさえいれば前述のビグ・ザムのメガ粒子砲にも軽く耐えられる、ダムゲー有数の高性能な仕様となっている。
    • ただし、正面しかガード出来ない上にガード後即反撃というのは出来ない。対戦で2人以上のプレイヤーから攻撃を食らう、或いは機動力の高いMSに狙われた場合は盾は無意味になってしまう。
    • とはいえ、2丁ビームライフル×2で火力・継戦能力を重視、ライフル2本にライフル&盾のバランス型、装備は2丁ライフル×1のみだが高機動…といった装備分けなど、盾に関してもきちんとバランスを取っているのは評価できるだろう。
  • 上記の問題点こそ無視できないものの、アップデートによってオンラインプレイのやりやすさは発売当初に比べ確実に向上している。
    • 対戦モードでのアッガイやイフリート・ナハトへのステルス機能付加、補給所の耐久力の大幅強化など、細かいバランス調整もされている。
    • 公式ブログでは発売後も漫画版などの宣伝を兼ねた更新を長らく続けていたほか、カスタマイズの参考例や隠しパラメータなどの内部数値を細かく解説した小ネタ記事を公開するといった工夫もあり、サポート体制の手厚さには一定の評価をすべきと言えるだろう。
  • シナリオモードのビジュアルそのものは良好。ハイエンドムービーではMSや地形・背景などの3Dモデルと、手描きアニメによるキャラクターの2Dモデルを合成するという独自の方式を採用している。
    • また、各キャラクターの声優は洋画吹き替えで定評のある実力派が揃っている。なお、これらに関する制作秘話も公式ブログにて細かく解説されていたりする。
  • マイナー機体であるガンダム7号機とRX-81ジーラインの参戦、そしてイフリート・ナハトといった新規機体とそのビジュアルは好評。
    • ガンダム7号機とRX-81の初出は「M-MSV」であるが、本作においてはカトキハジメ氏によるリファインデザインで参戦している。そのマイナーな出自故にこれまでのダムゲーには『GジェネF』などでしか登場しておらず、アクションゲームへの参加は本作が初。
      • RX-81は本作以降「ジーライン」というコードネームが設定され、新たに「アサルトアーマー」などの追加装備も描き下ろされている。
    • イフリート・ナハトは本作初登場のMSで、ダムゲーではお馴染みのイフリートシリーズの1体。紫色の外見に日本刀型の実体剣「ナハト・ブレード」を装備するなど忍者のような特徴を持っており、実際にゲーム中でも希少なステルス能力を有する。
      • ちなみにナハト・ブレードと表記しているのは本作のみで、他媒体では「コールド・ブレード」と呼称されている。また、本作のシナリオモードでは二刀流を披露することもある。

総評

いつものバンナムのダムゲーかと思いきや、いつも以上のダムゲーだった
PS2『ガンダム戦記』はダムゲーの中でもかなり評価の高いゲームだったが、本作は新型PS3のロンチタイトルという事もあり、何と累計売り上げ23万と壮絶な数のユーザーが釣られてしまった。ただ、ゲームとしてはかろうじて成り立っているため、少なからずファンは存在していたようだ。


余談

  • 初回特典にはOVA【機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル】が付属されている。
    • 僅か7分の映像作品だが、既存設定や1stガンダム本編の流れにしっかりと則った内容になっており、ファンからの評価はかなり高い。
      • 特にジム・キャノンやキマイラ隊所属のゲルググ・キャノンは本作が初めての映像化であり、その他にもゲルググを圧倒するガンキャノン*9や、近接戦闘におけるリック・ドムの拡散メガ粒子砲の有効性等、地味ながらも見所は多い。
      • また、ア・バオア・クーにおける原作最終決戦時のジオンパイロット視点でのガンダムとの遭遇も描かれており、ビームライフルの照準を合わせた段階で回避する(つまり撃つ前に避ける)という当時のアムロのNT能力の高さと敵に回した時の恐ろしさが描写されており、アムロのトンデモなさの話題になるとこの動画が流れてくる事も多い。
    • ゲームを低く評価する人でもこのOVAだけは高く評価する人が多い。
  • 本作のテレビCMはいくつか種類があるが、その中でもジオンサイドのものは正に「公式が病気」と言っていい出来。
    • その内容とは、白い悪魔こと「ガンダム」を目撃したエリク(ジオン編主人公)が、部下2人に「じゃあ、お前らだけ突撃…」と指示を呟き、狼狽える部下に「いいから突撃〜!!」と情けなさ全開で叫ぶというもの。しかも、直後にエリク本人は「怪我しないでね〜!!」と叫びつつ1人後方へ離脱を始めているなど、ツッコミ所満載。
      • ちなみにこのCMに登場するガンダムは手持ち武器を持っていないが、それもそのはず、これは当時お台場に建てられたばかりの「実物大ガンダム」を起用しているからである。
      • CM後半では「ワガママに、部隊を操れ。」とキャッチコピーが出るが、もはやワガママというレベルではないだろう。もちろん、シナリオ本編のエリクはこのような性格ではないので安心しよう。
  • 後に『月刊ガンダムエース』にて本作のコミカライズ版「 機動戦士ガンダム戦記 U.C.0081-水天の涙- 」が連載された。作者はPS2『ガンダム戦記』の漫画も手掛けた夏元雅人氏であり、氏の過去作に登場したキャラがゲスト出演しているのも特徴。
    • PS2戦記では「撃つなラリー!」などの展開で散々叩かれた漫画版であるが、今回はおおむね良い方向に改変されており、上記で突っ込まれている「拘束中のはずのスパイが隊長を助けるシーン」の背景を描いたり、ユーグの過去などゲーム中で詳細が描かれなかった部分の掘り下げ、一部キャラが死亡せずに生存する展開に変わっているなど、描写・設定面を手厚くフォローしている。
  • 本作の発売以降、GジェネシリーズではPS2版のメンバーと入れ替わるようにPS3版のメンバーが参戦している。

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最終更新:2024年01月14日 02:51

*1 宇宙空間を数時間~1日は漂ってから地球に落下するので軌道変更が間に合ってしまう。また、軌道変更も外部から少し力を加えればいいので極論ミサイル一発発射でカタが付く。

*2 ロシアの隕石事件より発見はできないのでは?などという人がいるが、あれは「どこから来るのか分からない」隕石の発見であり、発射場所が明確な上に月面上という観測しやすい場所であれば現代ですら容易に観測が可能である

*3 ただし避難はされても施設(インフラ)は破壊出来るため、まるっきり無駄というわけでもない。前述の理由で目標に落ちることは絶対に無いだろうが

*4 地上砲台からの射撃ということは宇宙空間での軌道変更ですらなく単なる破壊である

*5 敗戦のために補給や修理がままならないという状況に加え、戦闘の消耗によって使用不能になったと考えられなくもないが、ゲーム中で明言はされていない。

*6 一方は危機的状況で悠長に機体を選択している余裕が無いため。もう一方は宇宙へ上がるHLVの防衛で、地上用のステルス機は今後活用できないため

*7 ゲーム本編で登場する機体の別装備版や、フルバーニアンやリックディアス、ガンダムMk-IIといった『0083』や『Z』に登場の機体。

*8 ただしバグ故に、オンラインでは使用を嫌う人もいることは注意したい。

*9 しかもこのガンキャノン、劇場版やPS2のめぐりあい宇宙に登場した、パイロット不明の「203」のガンキャノンである。これも既存ファン向けの地味ながら心躍るワンシーンである。