武田信玄
【たけだしんげん】
ジャンル
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ベルトスクロールアクション
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対応機種
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アーケード
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メディア
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メガシステム1
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販売・開発元
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ジャレコ
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稼働開始日
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1988年
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象) ※アーケードアーカイブス版より付加
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配信
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【PS4/Switch】アーケードアーカイブス ハムスター発売 2021年6月24日/838円(税込)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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大河ドラマに便乗 大味すぎる出来栄え 『天地を喰らう』より1年早い 後ろ突きを食らえっ
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概要
当時NHKでは大河ドラマ『武田信玄』が放映されており、それに便乗して開発されたと思われる。
1P側のプレイヤーは武田信玄を、2P側は実弟の武田信廉を操作したった1人(或いは2人)で戦うアクションゲームとなっている。
特徴
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操作系統は8方向レバーで奥行きのある画面を移動し、ボタンは左攻撃右攻撃、ジャンプという操作感覚。
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フィールドがあまり広くなく、敵を全滅させると自動で次のシーンに移行する形式で、『熱血硬派くにおくん』に近い形になっている。アーケード版は2人まで同時プレイ可能。
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全4面で、前衛その1→ボーナスステージ→前衛その2→ボスと一騎打ち、という流れ。
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中型雑魚を倒すと出る風林火山の文字を集めるとパワーアップできる。「風」で移動速度上昇、「林」で軍配を構え正面の防御力上昇、「火」で攻撃力上昇、「山」で体力の最大値が上昇する(それぞれ一度だけ)。
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フルパワーになると自キャラの攻撃に短刀投げが追加されリーチが強化されるのだが、その状態で場面移動するとすっぴんに戻される謎仕様。
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その代わり四つ揃えさえしなければ場面が変わってもミスをしても、果てはコンティニューしても効果が持続する。
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他には得点が増える甲州金(らしきもの)、体力が少し回復する青い武田四ツ菱、雑魚を一撃で倒せるようになる赤い四ツ菱がある。
問題点
単調で無駄に高い難易度
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雑魚キャラは一撃で倒せるのだが中型キャラはガードが堅く、カウンターで攻撃を当てないと真っ当にダメージが通らない。
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しかもそういうキャラは鎖鎌や大太刀で武装しているためリーチ差があり過ぎ、斬りや防御程度の単純な物ばかりで緊張感にも今ひとつ欠ける。
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そんな敵と戦う信玄はリーチが短く、敵から攻撃されると大ダメージをもらってしまう。中型敵に攻撃されると体力が4割残ってても一発でお陀仏に。
せっかく回復アイテムや、最大値上昇アイテムがあるのに焼け石に水である。
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更にダメージを受けた時の無敵時間や敵に囲まれた時用の緊急回避攻撃がないので、敵に囲まれてしまうとこちらはほぼ何もできずに一方的にハメ殺される事も。
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後ろ突き(向いている方向と逆の攻撃ボタンで出す)が正面攻撃よりも明らかにリーチが長く強力。敵に背を向け、近づいてきた敵にカウンターで後ろ突きを当てるという侍らしからぬ戦い方をしないとクリアするのが辛い。
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しかも、後ろ突き以外のアクションと言えば斬りや構え、ジャンプ程度でバリエーションに乏しい。まるで普通のアクションゲームである。
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ジャンプ斬りは威力が高いが、攻撃判定が見た目よりも後ろにあり当てにくい。敵を飛び越えるようにして出すと当たる。
雑でツッコミ所が多すぎるビジュアル面
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アクションシーンのグラフィックも、円熟に達していた1988年当時のグラフィックとはかけ離れた貧相な物になっている。
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本作はタイトルの名義上、一応「史実の再現」という事にされているが、軍配を盾にして攻撃を防御し、敵本陣へ1人で挑みに行っている信玄や、人間サイズの信玄に対して上杉謙信をはじめとする敵将がロボットのようなゴツくデカい体型だったり、大将が史実ではまず使っていない武器を使っている(3面の村上義清が長槍ではなく、何故か携帯できるサイズで連射可能な大砲を担いで戦いを挑んでくる等)等とツッコミ所が多く、歴史に忠実とは言いがたい有様。
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敵もプレイヤーも死ぬとゆっくりと崩れ落ちるのだが、そのせいでもったり感が助長されている。
ボーナスステージの仕様も変
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ボーナスステージは流鏑馬で的や伏兵を倒していく物だが、連射速度が遅い割に的の間隔が短い。
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なぜか道中に丸太が転がっていたり、地面から槍が飛び出ていたりするので回避行動も必要になってくる。
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3回ダメージを受けると有無を言わさず終了。しかも通常ステージ同様に無敵時間が存在せず、鳥や伏兵にボコられて大抵のボーナスステージはあっという間に終わってしまう。何の為のボーナスステージなのか分からない。
評価点
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ボス出現のデモは妙な味のある敵将の顔グラがアニメーションする。
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ゲーム全体のBGM自体は悪くは無いどころか、全体的に漂う重厚感がゲームの雰囲気にマッチしていると好評。
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あえて言えばカプコンの『天地を喰らう』(1989年)を先取りしたとも言える。
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『天地を喰らう』は三国志をモチーフとした同名漫画を基とするベルトスクロールアクション。『ファイナルファイト』ほどではないとは言え『2』が出たほどのヒット作品。
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『三国大戦』のレジェンドカードにも採用されている。更に(モチーフの所為か)台湾等では日本以上の大ヒットとなったそうな。
総評
雑なグラフィックやツッコミ所の多すぎるキャラデザ、技数の少なさ…と、ビジュアル面は貧相。
加えて、ゲームの難易度も高すぎるどころか全体的に単調な攻略を強いられ爽快感もケレン味も足りず、当時の人気コンテンツに便乗した「お察し」な出来の一作であった。
移植
PCエンジンにアレンジ移植されている。買い物や必殺技などのフィーチャーを取り入れ、それなりに遊べるようになっている。
出来が悪いうえ知名度が非常に低いことから、PCエンジン版をアーケードのアレンジと知らずに紹介するサイトもいくつか存在するほどである。
ちなみに滅多なことでは20点(40点満点)を割らないことで有名なファミ通のクロスレビューでは、本作は5・4・6・3の合計18点という実に正直な点数が付いている。同レビューにおいて3点は基本的に最低点である。
この他、2021年6月24日にSwitchとPS4の『アーケードアーカイブス』にてアーケード版が移植された。
余談
この時期、ホットビィもファミコンで同名の戦略シミュレーションゲームを発売しており、そちらもお察しな出来であった。
最終更新:2024年01月06日 05:49