SIMPLE DSシリーズ Vol.32 THE ゾンビクライシス

【しんぷるでぃーえすしりーず ぼりゅーむさんじゅうに ぞんびくらいしす】

ジャンル シューティング・アクション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 256MbitDSカード
発売元 D3パブリッシャー
開発元 ドリームファクトリー
発売日 2008年1月31日
定価 2,800円(税込)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 クソゲー
ポイント 2008年クソゲーオブザイヤー携帯機部門次点
THE HOUSE OF THE DEAD』系のゾンビガンシューティング
異様に冗長、かつ壊滅的につまらないステージ
理不尽な難易度
無限ループを疑うようなルート選択
現代版『死霊の盆踊り』
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SIMPLE DSシリーズ


概要

画面に出現するゾンビや野獣などをタッチペンで撃っていく、一人称視点のガンシューティング(FPS)。
視点固定で自動移動するレールシューティング式であり、『THE HOUSE OF THE DEAD』などのアーケードガンシューティングに近い。
SIMPLEシリーズのゾンビ掃討ものは『THE お姉チャンバラ』シリーズが有名で他にもいくつか作品が出ているが、本作はそれらの水準には程遠い。


あらすじ

某日、某国の市街地にて一部市民による暴動が発生との情報が政府に入る。
付近の警察機構も参加した鎮圧作戦が行われるも以降情報がもたらされなかった。

諸外国への影響も考慮して最少人数の軍特殊部隊が派遣される。

しかし同部隊を輸送したヘリは何者かの攻撃で森に墜落、
生き残った2人の特殊部隊員はかろうじて残った武器で装備を整え、
状況打開の為、今までの情報を基に作戦を立てるのであった。

そして2人が立てた作戦とは、
まず1人が当初の予定通り市街地に赴き、状況を偵察した上で増援の要請を行い、
もう1人が輸送ヘリに攻撃を仕掛けてきた者達の正体とその目的を突き止める為、
攻撃が仕掛けられてきた方角、即ち廃村方面の調査に赴くというものであった。

こうして2人は二手に分かれ、それぞれの行動を開始するのであった――
(オープニングより引用)


特徴

  • 全7チャプターで、1チャプターは3ステージで構成されている。
    • 各チャプターの最終ステージにはボスが待ち構えている。
    • 各ステージには「1-1 接触」「2-3 指標」などと、サブタイトルが付けられている。
    • 最終チャプターは1ステージのみであるため、全ステージ数は19ステージとなる。
  • ゲーム開始時に男主人公のアレン、女主人公のセリアのいずれかを選んで進行する。
    • どちらを選んだかで、各ステージの進行や使用可能になる武器が異なる。
    • 各ステージ開始時に、選んだ主人公の独白がある。
    • ステージをクリアすると、撃退数/命中率/被ダメージ数/クリアボーナス点/総得点が表示される。
  • 武器は全9種で、各ステージ開始時に4種を選んでセットし、ステージ中にその4種から切り替えられる。
    • 武器は最初はハンドガンとアーミーナイフだけで、以降は各チャプターのボスを倒すことで1つずつ解放されていく。一部の入手武器は各主人公で異なる。
    • それぞれの特徴は以下の通り。
      • ハンドガン…弾数が無限で、弾薬アイテムが不要。弾倉は6発であり、撃ち切るか任意タイミングでリロード。
      • アーミーナイフ…ナイフなので弾切れもリロードも無いが、射程は短く威力も低い。
      • ショットガン…威力が高く、耐久力の高い敵も一撃。ただし、弾倉は1発で毎回リロードが必要。
      • 手榴弾…威力が非常に高く範囲も広いが、ショットガン同様リロードは1発ずつ。近い距離で爆発させると自分も巻き込まれる。
      • マシンガン…弾倉は90発。画面をタッチし続けている間は連射できるが、1発当たりの威力は弱い。
      • ツーハンドガン…二丁拳銃。ハンドガン同様に弾薬アイテム不要。弾倉が12発とハンドガンの倍だが、威力は半分。
      • スナイピングライフル…スコープを覗いて遠くの敵をズームできる。弾倉は5発、威力はハンドガンより若干高い程度。
      • ランチャー…アレン専用。威力は最高クラス。
  • ライフ制で、ライフポイントを2つ持った状態でスタート。
    • 攻撃を1回受ける度にライフポイントが1減り、0になるとゲームオーバー。
      • ライフポイントのゲージは4つ分しかなく、5以上になった場合は横に表示されている「ライフリミット」の数字がライフポイント4つ分を表し、これが1つ加算される。
    • ライフポイントは、敵を倒すと加算されるステージポイントが2000の倍数に達する度に1回復。道中に置かれている回復ボックスを撃つことでも1回復する。
    • ゲームオーバーからコンティニューした場合、初期ライフポイントが1つ増える。
  • レールシューティング方式で、任意の移動はできない。画面が止まって出て来たゾンビを全て倒す→画面が移動する、を繰り返す。
    • 多くのステージに2択のルート分岐が複数設置されており、左右の矢印の付いた道標のところに来たところで、いずれかの道標を撃つことでルート選択を行う。
    • ルート選択を間違えた場合は「ループして、しばらく敵を倒した後やり直しになる」か、即死するかのどちらか。
  • ボス戦では画面上に緑色の体力ゲージが表示され、それを削り切ることでクリアとなる。
    • 本作では移動ができないため、攻撃は回避できない。攻撃モーション時に弱点に攻撃を当てると攻撃がキャンセルされるため、これによるカウンターが重要となる。

問題点

  • 「9種類ある武器を駆使して」とパッケージでも強調された多数の武器だが、ほとんどの武器が役に立たない
    • 攻撃モーションの敵に攻撃することでカウンター効果となり動きを止める事が出来、そうやって足止めすることを前提にした敵配置であるにも拘らず、 武器がそれに対応していない。
    • 一見強力そうなショットガンだが、一発ごとにリロードが発生する点が致命的。本作は一対多の状況が多い上、上記の通り、射撃が防御を兼ねている本作では連射の効かない武器は使い物にならない。手榴弾も同じく。
      • 一部の倒しても復活する敵を1回で倒せるという特徴はあるのだが、到底デメリットには釣り合わない。
    • それより更に酷く、そもそもの取り回し自体に無理があるのが スコープを覗かないと撃てない スナイパーライフル。この手のゲームで目の前に敵がいるのに、狙撃銃のスコープを覗く余裕があるか。
    • ナイフは射程が狭い上に当たり判定が掴みづらく、弾薬不要というメリットが意味をなさない。
    • 強力そうなロケットランチャーは、ハンドガン4発分程度のダメージでしかない。専用の弾薬も手に入りにくく、ボス以外でメリットがない。
    • マシンガンは使いどころ自体は少ないものの、連射性能を活かして後述のネズミゾンビなどに対しては活躍できる。
      • ただし、本作は一瞬でリロードされる訳ではなく、弾数の多いマシンガンはリロードが長くなる。特に残弾(90発)を使い切る形でリロードすると、3秒近くのリロード時間が発生し非常に危険。
    • 初期装備であるハンドガンによる画面連打が一番安定している。見た目オートマチックなのに6連発なのが欠点だがその分リロードが短い。ただしツーハンドガンは、「二丁持ちだが攻撃力半減」という謎の設定により手間ばかりかかってしまうトラップ武器。
  • ゲームバランスは破綻しまくり。普通に遊ぶことさえ困難なレベル。
    • 当たり判定がおかしく、小さな敵に当たりやすかったり大型敵相手に上手く当たらなかったりする。そもそもタッチ感度が良くない。
    • どの敵からでも貰うダメージは1ダメージであるため、斧を持った大男でも小さなネズミでもダメージは同じ。前者は耐久力を持つものの、大したしぶとさは無く、後者が複数登場すれば同じことである。
      • 一部ステージではネズミゾンビが徒党を組んで突撃してくるため、このゲームでは、大型敵よりネズミゾンビの群が恐怖の対象となる。タイトルをネズミクライシスにした方がいい
    • 全体的に敵が固い上こちらにダメージ後の無敵時間がなく、連続攻撃で即死しかねない。ラスボスも怖い が、やはりネズミの(ry)
  • 各ステージのプレイが長い上、極めて単調。
    • とにかくどのステージも冗長の一言。ルート選択をミスせずに進んでも、 どのステージも軽く10~15分近くは掛かる。
      • そして ルート選択を間違えると、1ステージで軽く数十分を要する。 ルート選択のヒントも何も無いにもかかわらず、である。
      • そもそも 選んだルート選択が合っていたのか間違っていたのか、という判断も難しい。 さっきも見た敵がさっきも見た構図でやって来るのを見て、ああループしちゃってるな、と気付けるだけである。
    • マップも無く風景もほぼ変わらないため、 どのように進んできたのか、全体のどれぐらいが終わったのか、あとどれぐらいでこのステージは終わるのか、といったことも全く分からず、 精神的にかなり苦痛な状況が長く続く。
    • 6-1のトロッコで進むステージでは、実に 18回 も正しい左右選択を求められ、1度でもミスすると即死。ノーヒントでクリアできる確率は1/262144 (約0.0004%)である。
      • 実はこのステージでは画面上の天井部分に 矢印のパネルが現れ、そこで左右の正しい進路が判別できる。 敵も少なく、選択が正しければ2分程度で終わるほど短いステージになっている。
      • しかし、それまでのステージでの分岐にそんなヒントは無かった上、トロッコに乗っているため常に道がハイスピードで動き続けており、画面中央で敵が出たり攻撃のエフェクトも出ている状況で、パネル自体も1~2秒小さく現れるだけのため、存在に全く気付かないということは十分あり得る。
      • また、パネルは「左→右→左」のように選択肢数回分がまとめて数枚現れるため、1枚当たりは0.5秒程度の猶予しかない。初見では、例えパネルの存在までは気付けたとしても、急に現れた複数枚分の矢印を全て判別するのはほぼ不可能だろう。
    • 正しいルートでもバグで無限ループするという報告もあるが、上記の通りループ自体が多く分かりづらい上にプレイヤーに対する情報が少なすぎるため、 単に無駄にループしているのをプレイヤーが無限ループと誤解してもおかしくない ような有様であり、情報が少ないのも相まって実際のところは定かでない。
  • 中盤以降はプレイヤーの不意を突いてくるような場面が頻発する。
    • ゾンビが急にカメラに飛び込んできて先制攻撃を行ってくる。即座に反応して撃てば防げるものの、非常に初見殺し的で気が抜けず、常に一定の被弾は覚悟しておかなければならない。
    • その時だけ異様に俊敏でゾンビの動きとしてもおかしかったり、さっきは居なかった場所にカメラを戻したらゾンビがいる、という理不尽さを感じる場面もあったりと、演出としても疑問が残る。
  • モーションや演出も非常に貧弱で、ゾンビがまったく怖くない。
    • ゾンビを撃ち殺しても血飛沫が出ない。 ただ、何故かこちらが攻撃を受けたときは血が出る。
      • そのためか、本作のレーティングはCERO:B(12歳以上対象)となっている。ゾンビ物は殆どの場合CERO:DかCERO:Zに分類されており、SIMPLEシリーズを代表するゾンビ物作品である『お姉チャンバラ』も同様である。ゾンビ物でこのレーティングは悪い意味でリアリティの無さが目立つ。
    • 動きのパターンは少ない。
      • 同じタイミングで現れた同じ種類のゾンビは同じモーションで向かってくる ため、 まるでダンスでも踊っているかのよう なシュールな光景である。
      • 『お姉チャンバラ』でも同じ姿のゾンビはモーションはほぼ同じではあったが、そちらは3Dアクションという形であるためにさほど目立つことはなかった。
    • ゾンビの種類自体も道程の長さに対して少なく、色違いによる水増しも行われている。
  • キャラクター性やストーリー性もほぼ無い。
    • ゲーム開始前に主人公2人は別行動となっており、エンディングで合流はするものの、台詞はなく地の文だけである。そのため、折角2人キャラがいるのに 絡みは全く無い。
    • サブキャラクターの類も全く居らず、最初から最後まで主人公の独白を聞くだけ。
      • 特にアレン側は、「ようやく」「やっと」といった単独行の辛さを語る台詞が多い。内容自体は プレイヤーの代弁でもしているのではないか と感じるほど、この単調で辛いゲーム構成には合っているのだが…

評価点

  • モーションも演出も酷く色違いの水増しも多いが、ゾンビのグラフィック自体は雰囲気は一応出ている。
    • かと言って取り立てて良いという訳でもなく、「DSの低価格作品としては普通」というレベルの域は出ないが、とりあえずこの作品の数少ないマシな部分である。
  • コンティニューするとライフが増えるため、ゴリ押しでもクリアは可能。
    • 単調過ぎる構成ながら嫌がらせのような不意打ちめいた配置なども多い本作において、この措置がなければやり直しの回数も増え、苦痛の積み増しにもなっていたことは想像に難くなく、結果的に本作を辛うじて最悪の事態からは救っている。
    • そもそもその前に、ノーヒントでの進路選択に飽きてロムを割りたくなるだろうが…。
  • 主人公の顔グラはそれなりに美男美女。
    • 若者のアレンとグラマーな短髪美女のセリアは雰囲気があり、ゾンビ物の世界観にもマッチはしている。

総評

単調かつ冗長で終わりの見えないステージ構成、無駄に多いが結局基本のハンドガン以外は大して使わない武器、ゾンビが同じ動きで追ってくるチープすぎる演出。
それ以外にも問題山積で、愛されるクソゲーになれるようなズレた方向性の頑張りもほぼ無く、どうしようもないとしか言えない出来である。

こんな商品として成立していないレベルのクソゲーが、大手を振って流通していること自体が恐怖である。
ゾンビゲー数あれど、これを買う意味はまず無いだろう。金を溝に捨てたいなら、リアルに溝へ叩き込む方が発展的だ。


余談

  • 『ファミ通wave』DVDの一コーナーにてルパン小島がプレイ&レビューしたが、プレイ中は「全然楽しくないなコレ」など不満しか漏らしていなかった。
    • プレイ後のレビューは(わざと)10点満点を付け、終始営業トークで終了させた。
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最終更新:2023年11月29日 18:26