戦極姫 ~戦乱に舞う乙女達~

【せんごくひめ せんらんにまうおとめたち】

ジャンル 本格戦国シミュレーション恋愛アドベンチャー

対応機種 プレイステーション2
プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 システムソフト・アルファー
販売元 イエティ
発売日 2009年11月12日
価格
(通常版/限定版)
【PS2】6,800円/8,800円
【PSP】5,800円/7,800円(いずれも税抜)
廉価版 システムソフトセレクション
【PS2】2011年8月4日/3,800円
【PSP】2011年12月1日/2,980円(いずれも税抜)
判定 クソゲー
ポイント 2009年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門・携帯機部門大賞
素人レベルのグラフィック
戦国ゾンビ
18禁要素を削った分の代替要素がほとんどない
戦極姫シリーズ(家庭用)
初代 / 2 / 3 / 4 / 5 / 7
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧


概要

  • 通称「姫」。歴史上の人物を萌えキャラ化したWin用18禁ゲーム『戦極姫 ~戦乱の世に焔立つ~』のCS移植版。2009年の 年末の魔物 であり、PS2版の方は2009年KOTY四天王の一つである。
    • いわゆる「女体化(女性化)」ジャンルで、最近のゲームでは良くあるパターン。PCゲー界では2000年の『行殺新選組』がパイオニア。2007年1月の『恋姫†無双』のヒット後から増え始めた。
      • ただしシステムソフト・アルファーは2007年12月に、雑誌『MC☆あくしず』*1と組んで『萌え萌え2次大戦(略)』(武将女体化ではなく兵器擬人化だが)を出している。
    • 最大の問題は、ガチの歴史シミュレーションとそれを組み合わせた事である。
      『本格戦国シミュレーション恋愛アドベンチャー』……シミュレーションなのかアドベンチャーなのか*2(プレイしている人には解るだろうが)。
      • グラフィックのクオリティや多数のバグなどの上っ面が注目されるが、この点が話題にされる事はほとんど無い。
  • バグにさえ目をつぶれば、そこそこ遊べないこともない。

特徴

天下統一を基にした歴史シミュレーションパートと恋愛アドベンチャーパートからなる。

  • 歴史シミュレーションパート
    • 季節単位のターン
      • ターンは1年4回で四季単位に行われる。1ターンは更新フェイズ、軍備フェイズ、政略フェイズ、作戦フェイズ、合戦フェイズの5フェイズからなる。各フェイズで行えるコマンドは必要CPが決まっている。
      • 更新フェイズは武将の登場、災害、季節のイベント、疫病などが起こる。イベントのフラグがたっているとアドベンチャーパートが始まりシナリオの進行が行われることもある。
      • 軍備フェイズは徴兵、鉄砲購入、俸禄ができる。徴兵できる兵の数は石高が多いほど増えるがバグがある。
      • 政略フェイズは城の普請、治水開墾、楽市楽座、臨時徴収、武将移動といった内政と同盟、武将の引き抜きの交渉が行える。「女の子に会う」ことでサブキャラのイベントを起こすこともできる。
      • 作戦フェイズで計略や作戦命令を決定し、合戦フェイズで野戦や攻城戦が行われる。
    • CPシステム
      • コマンドの実行は、ターン開始時に与えられるCPのポイント数の内で行われる。このCPは、君主の智謀の値によって割り当てられる。そのため有能な君主なら多くのCPが与えられ様々なコマンドが実行できる。逆に智謀の値が低い君主ではCPが少なく、あまり多くのことができない。「女の子に会う」にもCPを消費する。
    • 国について
      • 一つの国には複数の城が存在し道で結ばれており、計略や作戦命令は隣接する城にしか行えない。武将の引き抜きは同じ国内であれば行える。
      • 国内の城を一定以上の支配することで国を支配下に置くことができ、治水開墾や楽市楽座が実行できるようになる。そうでなければ勢力混在となり実行できる内政が制限される。
    • 合戦システム
      • 縦5×横6のマス盤が戦の舞台である。両軍は向かい合うように配置される。主力部隊は中央の3行に配置。その他別働隊を1部隊、上下に余っている行に配置。計4部隊(武将)までが戦に参加できる。
      • 操作はターン制。1ターンにできる行動は、移動、攻撃か予備部隊との交代のいずれか。1ターン内の先攻、後攻はランダムで決まる。このため前のターンで後攻、次のターンで先攻の場合は、連続して攻撃なんて事もできる。逆に機先を制するつもりで敵の目前に迫ったら、先に相手に攻撃され交代を余儀なく、なんて事も。この辺りは完全に運。
      • 各部隊の移動は左右のみ。そして中央の3部隊が攻撃できるのは正面の敵のみである。別働隊だけが、同じ列の敵部隊いずれかに一度だけ攻撃できる。この行動選択肢の少なさが、コンピュータと人間との差を出にくくしている。
      • 攻撃は突撃、長槍、鉄砲で行われる。突撃は隣接した敵に大ダメージを与える攻撃。その代わり自分も多少のダメージを受ける。長槍は隣接した敵に小ダメージを与える攻撃で自分はダメージを受けない。鉄砲は離れた敵にもダメージを与えられる攻撃。ただしダメージは距離に反比例する。
      • 戦に参加した4部隊の他に予備部隊がいる場合、その部隊と交代できる。ただし最後列に到達してしまった場合はできない。
  • 城への攻撃は包囲と強襲のどちらかを選べる。包囲は費用はかかるが、兵士に被害がでない。強襲は兵士に被害がでるが、費用はかからない。また堅い城に少ない兵力で、強襲すると討ち死にする事がある。一方で、籠城側にはできる事は撤退の是非のみ。
  • 恋愛アドベンチャーパート
    • シミュレーションパートでフラグを立てると更新フェイズでシナリオが進行する。石高と威光が一定以上になることでエンディングを迎える。

問題点

  • SLGパートのチュートリアルが不親切すぎる。
    • 中身は各勢力の簡単な紹介と序盤のアドバイスのみ。SLGパートの解説やFAQなどは一切ない。
      • ちなみに、近年では信長の野望シリーズなどもチュートリアルを備えるようになった。どうでもいいが、チュートリアルでおこなわれるカオスなやり取りは名物となっている。
  • シナリオモードでは、シナリオに深く関わる主要キャラが死亡するとゲームオーバー。
    • 群雄モードでは大名が死なない限り大丈夫。
    • 初期のVerだと大名が死んでもOKな場合がある。修正パッチを当てることにより死ぬとゲームオーバーに。
      • もっとも、大概のゲームでも重要人物が戦闘で死なせてしまうとゲームオーバーなので、プレイヤーには不都合だろうが、これはむしろ通常の状態ともいえる。
  • 「女の子に会う」は、フラグを立てていないと1クリックで終了。フラグが立っているかどうかは事前に確認不可能なので、CPの乏しい大名家では、いちいちセーブする必要がある。
  • バグが非常に多い。それもゲーム進行に支障をきたすものが多いというのが最悪。
    Win版のバグはほぼ消滅しているのだが(というかパッチで修正済み)、コンシューマー移植版にて新たなバグが大量に発生した。
    まれに「PC版でユーザーにデバッグさせた」などと揶揄される。ただしこれはあくまでも揶揄であって、PCと家庭用ゲーム機とでも仕様やスペックが違うため、どうしてもそのまんま移植というわけにはいかず、あちこちで変更を加える必要がある。この手間のためにバグが生まれたり消えたりするというわけである。
    • 致命的なもの
      • 滅亡した大名家の(すでに存在しないはずの)一族の武将が、突如もともとの居城でお家再興することがある。こうなると、その城は送り込んだ武将が出てこられなくなる(通称「 ブラックホール城 」)。
      • 顔グラフィック無し、ステータス全て0の武将(通称「Null武将」「 幽霊 」)が出現することがある。引き抜きをかけるとフリーズする。自軍の武将も条件によってはNull化する等、条件不明なのが厄介。
      • 一つの城には武将を6人までしか配置できず、この状態では引き抜きや他からの移動ができないが、なぜか6人いても引き抜きを行えてしまう場合がある。実行すると定員オーバーを起こして7人目の武将は操作不能になる。
    • 厄介なもの
      • 城攻めの際、退却すると、同じターンに兵が全て補充される場合がある。プレイヤー・CPUどちらにも起こる可能性がある。自分の場合は嬉しいが、敵に起こると危険。
      • 石高は千石単位かつ256で割った余りで管理され、26万石だと4千石と同等の扱いになってしまう等。異様に収入や徴兵数が少なかったりする。
      • 周囲が全て自領で囲まれている自城に、どこからか突如敵襲が起こる
    • まだマシなもの
      • 死んだはずの仲間武将が敵将として復活する
      • 同じ武将が2人に増える。
      • 野戦なのに城の一枚絵だけが表示され、戦況を把握できなくなることがある。
      • 軍備フェイズが無いことがある。
  • その他
    • 一部の文字が、プレイ中に突然表示されなくなることがある。
      • プレイヤーの分身「天城 楓馬」が「天城  馬」となったり、「六角家」が「 角家」になるなど、プレイに支障はないが気分はよくない。特に楓馬の場合、ADVパートで「 馬」と呼ばれてしまい、かなり情けないことになる。
      • 一回プレイを終了して再び始めれば、たいていの場合は元に戻る。が、違う字まで消えてしまうこともある。
    • ADVパートでキャラクターのグラフィックが分裂したり、別のキャラクターと入れ替わったり、立ち絵の表情が変わる際、下にズレて表示されることがある。
      • プログラムのミスではなく、誤字の類。DNML等を作った人なら簡単に分かるだろう。
    • 武将が、所持兵よりも多い鉄砲を持っている状態になると、城攻めで超強化される(通称「鉄砲バグ」)。
      • これは「メーカー公認の裏技」と言われている。元になった天下統一シリーズから存在した事、Win版のWikiに書いてある事(スタッフはWikiを見ている)などがその根拠。
        意図しなければほぼ起きる事はなく、起こっても簡単に復元できる事、弱小勢力のための救済策にもなっていることから、プレイヤーから問題視される事はほとんどない。
    • 軍資金がマイナスになると負の方向にオーバーフローを起こし、上限値(65536)からマイナス分を引いた値にまで増えてしまう。
      • 鉄砲バグと同じく意図しないとほぼ起きないため、問題にされる事は少ない。
    • セーブ画面が激しく縦揺れする(PS2のみ)。
    • シナリオが適当。
      • どの勢力もやっている事は同じである事、プレイ時間の99%がシミュレーションである事などから、プレイヤーの行動がシナリオであり、いわゆるアドベンチャーゲームと同じシナリオを求めるのが間違いとも言える。
      • 18禁要素等をカットした部分に補足・補正がほとんどない。
      • 織田家シナリオを書いたライターは、家庭用移植にあたって追加されたシナリオである伊達政宗シナリオを、「キャラが気に入らなくて手を抜いた」(要約)と自身のブログで暴露している。
      • なぜか武田家のみ、本当に家庭用か? というくらいギリギリな追加テキスト&CGがある。

評価点

  • テーマ曲「火群」は評価が高い。

総評

細かい不親切が目につくが、何よりもバグラッシュによりプレイヤーの心を削ったバグゲー。加えて、シナリオも薄味とすべてのシナリオをプレイする意欲を削いでくる。
ただし、粗方アップデートで修正するなど改善の余地と意欲がある分、放置してすっとぼけるようなどうしようもないバグゲー&そのメーカーよりは幾分ましな部類である。


余談

  • 当初メーカーの対応はなかったが、2010年4月6日より、問い合わせればディスクを修正版に交換してもらえる。ただし、公式サイトには記載されていない。
    • 鉄砲バグやブラックホール城バグが改善されているらしい。それ以外もともとのバグの報告が少ない上、交換してもらった人はさらに少ないので、どこまで手が加えられているのか詳しくは不明。
  • 据置、携帯部門の両方でKOTY2009大賞
  • 上記の通りいろいろと凄まじい要素を持つ本作ではあるが、妙な魅力を持っているのか続編が出続けていた。
    • しかしその続編についても、第2作『戦極姫2~葉隠の乙女、風雲に乗ず~』は相変わらずのバグの多さでKOTY2010据置次点、さらに第6作『戦極姫6 ~天下覚醒、新月の煌き~』では公式メアリー・スーの超絶ゲス新主人公・榊月冴が攻略対象キャラ88人中 82人を落とし性格を悪女化させるという あまりの優遇のしすぎから非難が殺到し、KOTY2015エロゲー大賞となるなど、SSαの開発力は低いと言わざるを得ない。
    • 汚名返上のために『戦極姫7~戦雲つらぬく紅蓮の遺志~』も発売したが評価振るわずシリーズは打ち止めとなった。
      • 一応新シリーズ『真§戦極姫』を2019年11月29日を目途に発売する予定だったが度重なる延期で遂には未定。2020年1月1日で日本一ソフトウェアの子会社『システムソフト・ベータ』に企業・事業継承発表によりSSαはゲーム企業を撤退。
      • 同年の8月で各通販サイトで発売中止が記載したことでシリーズは完全に停滞した。

  • SFマガジン2018年6月号にて本作を題材にした短編小説『姫日記』(作:柴田勝家)が掲載されている。ノベライズではなく所謂プレイ日記だが、毛利元就の軍師(作者本人)が戦国の世で遭遇する理不尽な現象(バグ)の数々は爆笑モノ。2022年11月、短編集『走馬灯のセトリは考えておいて』に収録。是非一読を勧める。
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  • 2009年
  • KOTY大賞
  • SLG
  • KOTY携帯大賞

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最終更新:2023年12月05日 18:24
添付ファイル

*1 2006年創刊。第二次世界大戦頃の兵器を「萌え擬人化」して紹介するミリタリー雑誌。実は『ミリタリークラシック』誌での萌えオタ兼ミリオタと純ミリオタの軋轢を防ぐために、萌えオタの隔離先として創刊されたもの。

*2 ただし同様のシステムを持つゲームとしてはアリスソフトの『戦国ランス』と言う名作が既に存在していた。