ガンパレード・オーケストラ 白の章 ~青森ペンギン伝説~

【がんぱれーど・おーけすとら しろのしょう あおもりぺんぎんでんせつ】

ガンパレード・オーケストラ 緑の章 ~狼と彼の少年~

【がんぱれーど・おーけすとら みどりのしょう おおかみとかのしょうねん】

ガンパレード・オーケストラ 青の章 ~光の海から手紙を送ります~

【がんぱれーど・おーけすとら あおのしょう ひかりのうみからてがみをおくります】

ジャンル リアルドラマシミュレーター





対応機種 プレイステーション2
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 アルファ・システム
io-spiral
ダイス
発売日 白の章 2006年1月12日
緑の章 2006年3月30日
青の章 2006年7月20日
定価 通常版 各7,140円(税込)×3
(定価なら計21,420円
限定版 各13,440円(税込)×3
(定価なら計40,320円
プレイ人数 1人
レーティング 白の章/緑の章 CERO:12歳以上対象
青の章 CERO:B(12歳以上対象)
判定 クソゲー
ポイント 2006年クソゲーオブザイヤー次点
分割商法
戦闘バランスがガタガタ・100時間単位の作業ゲーム
イベントコンプ放棄と戦闘カットでまあ遊べる
無名世界観リンク
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧


概要

学園生活+ウォーシミュレーションという斬新なゲーム性により、PS後期の傑作として知る人ぞ知るものとなった『高機動幻想 ガンパレード・マーチ』の続編。白の章、緑の章、青の章の三部構成になっている。
企画原案・シナリオは、マーチの世界観設定やAI設計を担当したとされている芝村裕吏氏。

世界観を恐ろしくざっくり言えば、「並行世界の日本で起こっている人類対謎の生物との戦争について、作品ごとに違う戦場にスポットを当てて描く」というもの。
プレイヤーたちは兵士である一方学生でもあり、平時は学校で授業受けたり友人と遊んだり訓練したりして、敵が現れたときに出撃する…という生活を送る。


特徴

戦闘パートが大幅に様変わりし、3D視点のアクションシューティングとなった。
プレイヤーが自ら出撃して敵を撃破するほかに現場指揮官も兼ね、部下のNPCに指示を飛ばして戦闘を行うという、シミュレーションの要素も併せ持つシステムとなっている。

  • 各ユニットの耐久力に「致命部位」「装甲部位」「武装部位」「移動部位」の4種類存在し、そのうちどれにダメージが入るかはランダム。即死することもあるが、紙装甲ザコが2、3発耐えることもあり安定しない。
    • 武装ごとに「戦力予算値」というものが設定されており、また作戦ごとに予算値の上限が存在している。
      これが結構カツカツになっているため、完全武装で出撃させられるメンバーは5人中1人か2人になる。上限をオーバーしても一向に構わないのだが代わりに戦闘で得られる発言力(予備の兵器を回してもらったりNPCと交流したりするのに必要)は減る。
      • 救済措置(?)として、学園パートで待機休養を願い出れば出撃しなくて済むようになるが、発言力が消費される。
  • ゲーム開始時に選択する「シナリオ」によって、ゲーム中に発生するイベントや戦闘発生の頻度に変動があるが、根本的にシステムが変わることはない。
  • 今回1ゲーム中に登場するキャラはプレイヤー(小隊長)、戦闘員4人、整備士4人の計9人に教師1、2人と動物1匹。
    • 戦闘の結果小隊員が戦死したりプレイヤーの裁量で除名処分されたりした場合、整備士の1人が戦闘員に繰り上がり、整備士に1人補充される。キャラが全員出尽くしてなお欠員が出た場合、予め用意されていたパーツや口調、声優を組み合わせた「自動生成キャラ」が穴埋めをする。
      • 基本的に1周目は初期メンバーが勝手に選定(ただし緑と青には固定メンバーあり)され、2周目は戦闘員、それ以降は全人員を自由選択できる。
  • 敵の総戦力に限りがあった『マーチ』とは違い、基本的に無限に湧く。
  • プレイヤー小隊は活躍すればするほど激戦区に投入されることになり、難易度が跳ね上がる。かといって負け続けると敵前逃亡の罪で処断されゲームオーバーである。
  • ゲーム中に発生するストーリーイベントを完遂するか、休養し続けてもいいからとにかくゲーム期間の3ヶ月を生き残ることにより1周クリアとなる。2周目以降は任意のタイミングでゲームを終了させることが出来るようになる。
  • 学園パートで行える「提案」の内容が結構増えており、平時の訓練の内容を詳細に指示するマジメなものから、エッチな雰囲気用と思われるいかがわしいものまで登場する
    • 人間関係を示す値は従来の「友好」と「愛情」のほか「信頼」が増えており、仕事の提案が通ると上がりやすい。もっとも緑まではアレを上げるとコレが下がることが多いので、ある程度は提案のバランスを考える必要もある。
  • 今作もプレイヤーキャラクターは「キャラクター自身」ではなく「キャラクターの体を乗っ取ってゲーム世界に介入しているプレイヤー」であるという体裁をとっている。
    • 一部NPCはイベントに際しその事実を見越した発言をしてくることがあり、PC自身も時々キャラクターの「地」と不釣合いな発言をするので、戸惑わないように。

章ごとの特徴

  • 白の章は冬の青森が舞台。大雪と敵により主力から孤立させられてしまった二線級部隊が、生き残るべく戦いを始める内容。
    • 戦果を積むことで発生するイベントをこなしていく「戦闘記録」シナリオか、何かに与えられた使命をこなすことでクリアとなる「神話」シナリオのどちらかをプレイする。
    • ストーリーイベント完遂もしくは3ヶ月生き延びることでグッドエンドを迎えたプレイヤーキャラは、緑or青の章でもプレイヤーとして使用可能となる「転属」が行われる(引き続き白の章でも使える)。青に限ってはNPCにすることも可能。ただ生き延びた場合はエンディングがランダム分岐の模様。
  • 緑の章は春の広島が舞台。敗走中に逃げ遅れた傷病兵及び民間人を発見し、見捨てる選択をした隊長を謀殺、代わりにプレイヤーが現場人事で隊長となり、「民間人を守る軍人の本分」を演じて戦いを繰り広げる。
    • 「戦闘記録」と「神話」の他に、英雄となることが目的の「ヒーロー」シナリオがある。
    • 撤退命令を握り潰して独断で戦地にとどまる格好のためか、直属の大隊から補給はほぼ来ず、自ら発言力を消費して陳情しなければならない(その割には昇進や勲章授与などは普通に行われるが)。
      また武装の都合に必要な発言力も大きく増額している他、山がちのために使える車両の数が白より少ない。代わりに戦闘用に調教された「動物兵器」がおり、これを駆使して戦うことも可能(一部キャラクターは最初から持っている)。同時に歩兵の装備バリエーションは豊富にされている。ただ最初はともかく2ヶ月目からは歩兵プレイは厳しいものがあるのだが。
      騎乗タイプは乗って移動速度を上げることが出来るほか、歩兵でも移動しながらの攻撃が可能になる。降りた場合は個々の判断で戦う。飛行タイプは飛ばして索敵させるくらいであり、貧弱なので半ば使い捨てとなる。
    • 白では配置換え不能であったが、本作から「作戦会議」を開くことで戦闘員と整備員の入れ替え、及び除名が可能になった。
    • 「転属」はNPCとしてキャラクターイベントを完遂すれば行われるようになった(逆にプレイヤーは転属不能)。2周目以降にやるとキャライベ完了即ゲーム終了ですぐに転属エンドを見られる。
  • 青の章は夏の小笠原が舞台。既に撤退が決まっている父島の天文観測班が、最後にこの世界の異変に関わる「黒い月」を観測すべく、放棄された巨大天体望遠鏡「たんぽぽ」を起動させるために奔走するものである。完結編のため転属は無い。
    • 「戦闘記録」のほか、望遠鏡を修理するための「天体観測」及びプレイヤーとヒロイン*1との恋愛関係を進める「ラブコメ」シナリオがある。
      • 天体観測は本作にしては珍しく一本道のシナリオで、プレイヤーやNPC達の技能レベル、および人間関係によって最後の観測イベント成否が決まる。
      • ラブコメでは最終的に結婚エンディングもあるのだが、異性同性を問わない。…さすがに動物キャラと教師はNPC固定なので結婚できないが。
      • PC、NPC全員を前作『マーチ』からのゲストキャラである「参戦者」で埋めて「天体観測」で始めると、常に敵が最大物量、かつ常に建物を防御しながら戦わなければならない隠しモード「最高難易度ゲーム」が発生する。全章揃える必要アリ*2なので、全部プレイしてくれたプレイヤーへのご褒美…というには苛烈極まりない。
    • 夏は敵が出ないとされていたはずが、観測阻止のためか総力を挙げて天文台を叩き潰しに来る。そのため敵は強力だがこちらも青の章独自の車両がチート並であり割と渡り合える。
    • 隊員を水着に着替えさせてのプレイが可能だったりもする。

問題点

  • 白は三部作中でも最悪の操作性を誇り、メニューを開くなどの処理がいちいち重い。また戦闘記録イベントの発生率がやたら低い。
    • 初回プレイではNPCが適性を考慮せずデタラメに配置され、初期技能が整備向けなのに戦闘員にされることもあるが、白の章に限って作戦会議での配置換えや除名処分が不可能である(前作は上官が最大限便宜をはかっていたから好き勝手出来た、という設定)。配置換えには謀殺するしかないが、ご丁寧に本作ではやられても重傷で生き残る可能性がある。
    • また白は単純に人間関係値の総和だけが参照されているのか、三角関係の当事者同士が鉢合わせて大惨事となる「嫉妬大爆発」が妙に起こりやすい。「お前らあくまで友達or仕事仲間じゃないか!」と言いたくなる。
      • 同性でも発生するので、男同士がPC男を巡ってけん制し合うアレな展開にもなりうる。
      • 悪いことに「自身を含めた5人同時攻略」をやらないとイベントの進まないNPCがおり、イベントコンプリートを目指すに当たっては障害となっている。
  • 緑は戦闘記録イベントがかなり起こりやすくなったが、緑限定の「ヒーロー」シナリオが白の戦闘記録イベントなみに起こらない。「熱血ストーリー」とゲーム内の説明にあるが熱血と言える内容ではない。
    またイベントの内容が「独断で傷病兵と地元衛生兵の撤退援護」の背景を反映したものでもない。
    • 「戦闘の緑」と芝村氏が言ったとおり戦闘の難易度が暴騰状態で、リセットゲームになりがち。特に「こっちを数発で殺せる小さい敵が100匹近く出て、そのうち40を倒さないと勝てない」という敵出現パターンがあるが、いくらなんでも擁護不能と思われる。
      友軍や市街地を防衛する任務でこのパターンが出ると、9割がた自軍が接敵する前に友軍や市街地がフルボッコになり、詰みである。
      • 白に比べて、飛行型幻獣の数が激増。しかもこちらの航空キャリアは有効打を与えるミサイルの装弾数が少なく(一撃離脱が航空機の持ち味であり正しいと言えば正しいのだが、基本的に敵物量が凄まじい本作では押し込まれるだけ)、撃墜された時点でキャラが死亡するため*3、相手にもならない。追加された生物兵器「雷電」も、空の敵にはほぼ無力。
      • ただしどうでもいい戦闘員を始末するには最適の仕様でもある。最弱の戦闘ヘリ「はやかぜ」にちなんで、航空機で謀殺するプレイは「HAYAKAZE」と呼ばれていた。
    • 最初から動物兵器を持っているキャラはともかく、それ以外は陳情しなければならない。しかも物によっては幼生から1ヶ月かけて育てなければならず、成体になる頃には飛行型の敵に蹂躙されるのがオチ、という罠のような扱いになってしまっている。
      イベントで主従関係になる個体(動物兵器というより猫神)は強力だが、強力ゆえに攻撃を受けまくるとプレイヤーの方が先に死ぬ。
  • 青は異常に物価が高い上に薄給で、自前で弁当作れないキャラだと食費だけで首が回らなくなる(作れたって五十歩百歩だが)。出会ったNPCの第一声が「金を貸せ」なんてザラ。
    しかも前二章では2周目以降に配置される高額換金アイテムが何故か削られる。おまけに上記の待機休養にかかる発言力も高く救済になっていない。
    • 「ラブコメ」シナリオがあるのに(むしろ「だからこそ」なのだろうか)、愛情の値が上がりづらくなっている。恋人っぽいことを意図的にやらなければならないのだが、それには金がかかる。ただでさえ給料安いのに。
  • 実は、今回のメインスタッフである裕吏の名は前作のスタッフから確認されていない。「芝村起吏」ならいたが、同一人物かどうかは不明。
    ちなみに芝村起吏の名は今作では「仕様作成サポート」にクレジットされている。
  • やることが多くてややこしいゲームなのに、チュートリアルがややおざなりで説明書も薄い(前作は120ページと丁寧すぎるくらいあった)。
  • 戦闘パートの動きがやたら重かったり、突然NPCが動かなくなったり、難易度上がると詰みパターンが普通に出てきたり、とにかくストレスが溜まる。ソフトリセットがない仕様もイライラに拍車をかける。
    • 広いフィールドで数十体もの敵・味方をAI制御で動かすゲーム性のためかゲーム速度が遅い。味方を支援する系統の作戦や敵の数が多い場合に友軍を手配するとフリーズする可能性すらある。敵が殆ど撤退するなどでフィールド上のキャラが少なくなると処理が軽くなる。
    • 敵の物量がすさまじいにもかかわらず範囲攻撃武器が頼りない。前作のNEPのような、範囲内の敵をまとめて抹消出来るものは無い。
      • グレネードのような破片被害武器は、直撃弾はともかく爆風の威力があまり強くなく、小型ザコすら巻き添えで倒すのが難しい。
      • ミサイルパックは青の章限定で復活するものの、敵の部位を選んで攻撃できない仕様のため、殲滅力が落ちている。
      • 雲霞のごとく押し寄せる敵を、一体ずつ潰していかなければならず、心が折れる。
    • 強力な武器ほど次弾装填に時間がかかるのだが、この仕様と敵物量、さらに敵の部位を選んで攻撃できない仕様が見事にケンカした結果、一撃必殺の重火器より連射が効く軽火器や機関砲の方が有効である、という事態になってしまっている。
      • もっとも軽火器の場合は防御の薄い背面を突くか、ユニット自身の攻撃力を改造で上げてダメージ貫通させやすくするのが前提になる。
    • 「精霊手」が非常に使いにくくなった。武器リストの三段目に常に置かれているにもかかわらず、最大使用回数は3回で出撃中の補充は不可。また、使用してから攻撃発生までが長すぎて、大型(もしくは超大型)相手でなければ当てられない。
      • 誘導性はなく、狙った場所めがけて一直線に飛ぶだけ。途中にほかの幻獣がいると、それに当たる。
    • NPCは使用武器が弾切れになるといちいちプレイヤーに通信で知らせてくる。そのたびに補給車両をそちらへ向かわせてやらねばならず、テンポが悪い。自分で補給しにいったりはしない。
    • 何故か武器がランダムで故障する。歩兵とか人型戦車とかの携行火器ならまだしも、緑以降は戦車の固定武装すら故障する。
    • しかも『ガンパレ』と違って素手では戦えないし、故障した火器の交換も出来ない。もちろん戦車で小型ザコを轢ける仕様にはなっていないので、武器が壊れたらただの動く的か囮である。
    • そもそも、今作の人型戦車は「歩行ユニットは移動しながら攻撃できない」という迷惑仕様、何するにしてももさっとしたモーションのお陰で、ただのデカい的。
      前作では的がデカい弱点を人間顔負けの運動性能でカバーするという運用がなされていたのだが、本作ではそんなこと出来ない。
      • 上記の有様にも拘らず、人型戦車は高い開発技能と膨大な発言力が必要、一部機体以外は固定武器がなく別途武器を用意しなければならない、戦闘後高確率で故障して廃棄される、とデメリットが多すぎる存在になっている。
        青の章では、特定の条件を満たすと前作の人型戦車「士魂号」の装甲を取り付けたものが使えるようになるため、悪い意味で前作ファンを泣かせている。
  • 何も考えずにダラダラやる分にはいいが、イベントコンプリートをしようとした途端に苦行を強いられる。
    イベントの進行条件が良く分かっていない上にランダム、失敗のパターンまで達成率に影響する。そこまではまだいいが、これをテキストアドベンチャーではなく、たまに戦闘が発生する学生生活シミュのシステムでやることになるためものすごい時間と労力がかかる。
    • 物によるが、同じイベントが発生し続けるループもある。
  • 戦闘の難易度やランダムイベントにはNPCの習得スキルも影響するため、下準備としてNPCを成長させるために複数のキャラで何周もする必要がある(過去の周でPCとして使ったとき時の能力が継承される仕様)。
    • 本作の売りの1つであった前作『マーチ』のキャラクターを出現させる為には避けられない苦行である(実際の出現条件はコンプではないが、下準備に手間がかかりすぎるため)。
      • 特に「白の章」の厚志の出現条件は「勲章のコンプリート」という過酷なもので、やっと出現したころにはゲームに飽きているレベルである。
        例えば「黄金武士団勲章」は、戦闘メンバー全員が「黄金突撃勲章(撃墜数200以上で入手)」を持っていなければ入手不可。そして撃墜数は操作キャラの物しか引き継げない。つまり、部下候補全員で周回プレイを数回ずつクリアする必要がある*4。更に「黄金剣翼突撃勲章」は撃墜数400必要。それを同じように集めないと「黄金剣翼武士団勲章」が入手出来ない…。加えて部下を戦死させないと手に入らない「傷ついた獅子勲章」なんていうのも。
      • しかも厚志は全く外見が異なっており、ゲーム版『マーチ』しか知らない人間は驚愕させられる。
  • 上記の仕様だと言うのに、セーブデータとシステムデータが兼用。緑でも全員転属させようと思ったら、一人転属させるたびに同じデータで最初からやり直さなければならない。
  • メインイベントをクリアしても、殆ど達成感がない。イベント達成率を上げてベストエンドを見ても、何をやり遂げたのか殆ど分からない。
    • エンディングに限らずストーリーイベントやキャラ別イベントの内容が素っ気ない。
  • イベント中はPC、NPC問わず本来のキャラではなく「役割」に応じたセリフが与えられていることがあり、違和感がある。極端な例を言えば、ネアカのお喋り屋が突然「私は憲兵だ。○○は幻獣共生派(大雑把に言えば大反逆者)の容疑がかかっている」とか言い出す。
  • シリーズ最終作「青の章」では、ゲームの謎に迫るシナリオがある…とか言っておきながら、実際には情報統制されて何も分からない。
    ガンパレ系統のほか作品でも明らかにされてるから、らしいが、GPOしかやっていない人間は完全に蚊帳の外。
    • そもそもアルファ・システムの作品は、 抽象的で難解かつ正答の与えられていない謎が多いクロスオーバーシステム を用いられており本当の意味での"真相"の解明は期待するだけ無駄であるが。
  • ベストエンドの条件を三部作の全てで満たしたときに見られる「グレートエンディング」があるが、「青の章」の人物が独りで仲間のことを回想するだけ、という三部作である意味が疑わしい内容。
    • 一応、プレイヤーの戦いが「青の章に出る、ある人物を助けるための戦い」であることは白の章に登場する「小島空」というキャラクターの個別イベントで示されており、グレートエンディングが青の章だけで完結する内容であることも全く分からない訳ではない(ただし当の回想する人物が救うべきキャラではない)。
    • 演出も、黒地の背景にテキストが流れるだけのシンプルイズベストも過ぎるもので、最後に表示される一枚絵も使い回し。テキスト自体、パッと見は壮大な物語のエピローグのように見えなくもないが、本編の流れとは特に繋がらない内容なので感動も何もあったものではない。
  • なお前作(GPM)のプレイヤーから期待されていたシナリオは、人類史上最大の反抗作戦から幻獣との和平への道に繋がる戦争の転換点である「茜作戦・銀環作戦」、あるいは次々世代型の人間が宇宙に出て幻獣発生の元凶の1つを討伐しにいく「黒い月遠征作戦」であろう。

評価点

  • 有効な編成が限られていることは事実だが、部隊編成の自由度自体は高い。
    • 極めれば「自分は一切攻撃せず、索敵、陽動、部下の指示に徹する」という戦法でも絢爛舞踏章*5取得は可能。そこまで達する前にゲームに飽きなければ。
  • (前作から引き継いだ要素ではあるが)無駄に部下を呪ってみたりマイナスアイテムを押し付けて困らせたり、愛に生きたりハーレム築いたりの、人類の勝利そっちのけプレイは健在。もっとも負けまくるとゲームオーバーなので完全にふざけきるのは無理だが。

総評

箱庭ゲームとでも思えばそれなりに遊べるかもしれないが、戦闘パートを見ればバランスが崩れたもっさりゲーであり、下手すれば『THE 地球防衛軍』以上のチープさを発揮している。
またイベントコンプをしようと思えば退屈な苦行を強いられ、さらにその苦労は殆ど報われず、達成感もあまり感じられない。
イベントも多くが三部作の全てで使いまわされている。
止めとばかりに「名もなき騒動」が発生し、クリエイターの意味不明な言い回しとやたらに上から目線な振る舞いも浮き彫りとなった。

もっとも、特殊な戦闘パートに惹かれてか、同性同士でも出来てしまう擬似恋愛に何かを刺激されたか、ハマる人はハマる。
巨大な敵を相手に、等身大の人間やロボットが広大なマップで戦うというゲームは意外と少ない。完成度はともかく、独自の魅力がないわけではない。

なお、芝村氏はこの作品の前後に『エヴァ』や『ガンダム』を題材にしたゲームを手がけているが、大抵がクソゲー呼ばわりもやむなしというものとなっている。


余談

  • 限定版では、資料やインタビュー記事を収録した大版の特別冊子がついているが、何故かソフトのパッケージと一体になっている(ついでにマニュアルも巨大)。
    • しかもディスク3枚組(限定版特典のサントラ付)のうち2枚は半分ずつ重なり合う形で収納されており、非常に出し入れしづらい。使い勝手を頭から度外視している。
  • 芝村氏によれば、一本をコンプするのに二、三百時間かかるとの事。しかも実際にやるとランダムイベントのお陰でさらに時間がかかる可能性がある。
    • また氏は「苦行を無理にしなければならないゲームにはなっていない」とも言っている。要は遊び方を自分で見つけろということで、言っていることは理解できるが。揚げ足取りだがイベント探しを「苦行」と認識していたのか…?
    • 『エヴァ2』で個人的にインタビューを受けた時でも言っていた通り、芝村氏はエンディングのためにゲームをプレイしないとしている。TRPG好きがうかがえる彼ならではとも言えるし、この方法論は一面では正しいが、もう少しエンディングのために遊ぶユーザーの事を考えても良かったのではなかろうか。また本シリーズが「過程」を楽しめるかというと、テキストの素っ気なさを補う高い脳内補完能力を備えていないと難しい。
  • 公式攻略本がユーザーが一番求めているであろうストーリーイベントの進行条件を載せないという始末(特に白)。ついた蔑称が略本
  • 実は本作はネット上で展開した小説『Return to Gunparade』の世界から続く物語となっている。
    • 一部キャラクターの容姿や設定が異なっているのはこれによるものも大きい。
  • ゲーム発売に先駆けてアニメ版『ガンパレード・オーケストラ』が放送された。
    • 前作のアニメ版『ガンパレード・マーチ ~新たなる行軍歌~』はゲーム発売からかなり経ってからの放送であり、原作の裏設定を無視したり登場人物を削減するなど、敢えて原作とは異なった作品として作られていた。対して本作は逆にゲーム発売前からアニメを放送し、ゲームのキャラを極力登場させたり、雰囲気も比較的ゲーム本編に近付けるなど、メインであるゲームとの違和感を解消する戦略を取っている。
    • 話数も前作の12話から倍の24話に増え、白、緑、青とそれぞれの章を3シーズンに分けて描いている。
      • 白の章は人型戦車での戦闘、緑の章は動物兵器を伴っての白兵戦を中心に描き、青の章は全編に渡って登場人物達の青春物語となっている。
      • 青の章に至っては戦闘シーンが回想を除いてゼロというゲームとは正反対の構成*6。前作も途中から戦闘描写が皆無となっていたが、1シーズン丸々というかなり思い切った事をしている。
    • しかし実際の所はゲームとの相違点が多く、特にキャラクターの性格は多くが別人の如く異なっており、アニメから入ると却って混乱するという本末転倒な事になっている。また、ゲームと違ってアニメの設定では九州が既に陥落している
      • 結末も、本土での決戦に備えて白、緑、青のそれぞれの部隊が東京に向かうというもので、典型的な「戦いはこれからだ」的なラスト。もっとも、ゲームに比べれば綺麗に終わっていると言えるか。
    • ゲームにはOVAが同梱されているが、これはこのアニメのサブエピソードであり、当然ゲームとは設定が違う。アニメを見ていない人からすればやはり混乱の元に。
      • また、このOVAのエピソードはアニメの方の映像ソフトにも収録されていないので、アニメのみの視聴者が観たかったとしてもゲームを買う必要がある。

こちらの「名もなき騒動まとめ」も参照されたし。 青の発売から約二ヵ月後に、すぐにでもグレートエンディングを見られるデータが「電撃Playstation」に載り、 それを皮切りに発生したゲームの内容やらグレートエンディングやらレベルデザインやらへの不満の爆発、またそれに対する開発者対応の記録である。
GPOを知らない人でもうんざりしたくなるかもしれない。

事例の1つとして、人型戦車のコストに関わる問題がある。
「青の章」では今まで割高だった人型戦車の戦力予算値が半分になると雑誌等で公表されていた。
だが実際には据え置きかむしろ物によっては微増すらしていた。
当然ユーザーは「半分になっていないじゃないか」と掲示板で抗議したのだが、これに対するスタッフの回答が

「人型戦車の運用できる武器が増えたので、開発当初は戦力予算値を2倍にする予定だった。だが検討の結果その半分にすることにした」

というものであった。
つまり「これまでの半分」とは「前作の半分」ではなくて「開発段階の半分」だった、ということになる。
要は開発スタッフの内輪で完結していた話がインタビューの形で外に出たため、ユーザー側には意味が通じなかったのである。
この説明では怒る気にもなれなかったユーザーが続出した模様。
手持ち武器が『故障』したら只の巨大なカカシになってしまう上に、予備の武器も持てない人型兵器が「使用できる武器が増えたから戦力評価を倍に」というベラボウな発想に至っては、突っ込みも起きない。

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最終更新:2023年11月01日 16:18

*1 NPCを配置するときに設定するポジションのことで性別は無関係…というかガンパレシリーズの公式ヒロインは男も女もいて、公式ヒーローは女の方が多い

*2 ソフト1本につき参戦者は4人のため、3本持っていないと9人全員を参戦者に出来ない。

*3 他のキャリアの場合、脱出してウォードレスで戦闘を継続する。「航空機が落ちればパイロットが死亡するのは当然」と思うかもしれないが、高度やスキルなどを一切考慮せずに即死というのは……

*4 強力な戦闘向きキャラでも、一度の周回で達成するのは困難な数なので複数回必須。

*5 人間の域を超えたスーパーエースに与えられる勲章で、栄誉どころかもはや化け物、死神扱いされる。GPOでは個人の武勲ではなく、プレイヤー部隊全体の活躍いかんによって授与される。

*6 最終回では人型戦車が出撃するものの、これは戦闘ではなく台風への備えの為である。