SIMPLE2000シリーズ Vol.60 THE 特撮変身ヒーロー

【しんぷるにせんしりーず ぼりゅーむ60 ざ とくさつへんしんひーろー】

ジャンル 3Dアクション
対応機種 プレイステーション2
発売元 D3パブリッシャー
開発元 ダフト
発売日 2004年9月2日
定価 2,000円(税別)
判定 クソゲー
バカゲー
ポイント 敵が堅過ぎ
無意味な自由度
コンプできるかっ!?
SIMPLE2000シリーズ



改造人間、再改造しまくりだ!



概要

D3パブリッシャーによる廉価版ゲームシリーズ『SIMPLE2000』の1作。
70~80年代の特撮番組を意識したストーリー。悪の怪人に襲われ一度死に、改造人間として生まれ変わった主人公が、組織を叩き潰す為に戦う。

条件を満たすと、「あのヒーロー」の姿にも変身できるとパッケージで銘打たれている。
なお、そのすぐ真下に「©映画『ゼブラーマン』制作委員会」と書かれているが、気にしてはいけない。

ストーリー

悪の組織「メメデス団」が、世界征服を狙い活動を開始した。果敢に怪人に立ち向かった主人公だが、返り討ちに遭い死亡する。
しかし謎の老科学者・道玄坂博士の手により、主人公は変身ヒーローとなって蘇った。
組織の野望を打ち砕く…ことはどちらかと言うとついでで、あくまで自分を殺した怪人に復讐し元の人間に戻るため、孤独な戦いがいま始まる。

新番組『(題名はプレイヤーが付けます)』、このあとすぐ!!

特徴

  • まず主人公の性別を選択し、ヒーローの「番組名」を入力する。
    • 接頭語*1は、用意された単語を組み合わせることで付ける。「戦士」「超人」「英雄」といったいかにもな単語以外に、「いじめ」「老人」「人妻」「幼女」「変態」など、謎の単語も使える
    • ヒーローの名前は、カタカナで9文字まで入力する事ができる。なお、変身前の主人公の名前は性別によって決まっており、変える事はできない。
  • 全12話(ステージ)からなるTV番組仕立てのストーリー。まず戦闘に至るまでのストーリーがナレーションで紹介され、バトルが始まる。基本的に「戦闘員を一定数撃破→ボスの怪人が出現し、倒す」という流れ。その後「次回予告」が始まり、ステージクリアとなる。
    • 主人公は変身前の姿で登場し、好きなタイミングで変身できる。変身するとライフが全快するが、そのステージ中は変身解除できない。
      • 変身前に行える攻撃は、パンチ・キックと、これらを組み合わせた連携技、そして投げ技。変身すると攻撃力・防御力がアップし、更に必殺技・武器の使用も可能となる。
      • 必殺技は、使うと自分のライフを消耗する。
      • 飛び道具系の武器は、撃ち尽くすとリロード時間が終わるまで使えなくなる。接近戦用の武器は使用回数が有り、一定回数以上敵を殴ると壊れる。
  • ステージクリア後、「ヒーロー改造画面」に移行する。変身後のデザインをパーツ単位で変更でき、更に投げ技・必殺技・武器の装備変更も行える。
    • 一定の条件を満たす事で、新しいパーツや技が手に入る。
    • クリア済みのステージを再プレイする事も可能。
  • 声は主人公・ナレーションを含め、全てフルボイス。

問題点

  • 設定から分かる通り「古き良きB級特撮ヒーロー」をオマージュした世界を目指したかった様子…なのだが、展開・キャラクターの言動・ヒーローや怪人のビジュアルなど、一部を除きほとんどが薄ら寒く、目標には程遠い内容。正直、バカゲーとして見ても滑っている部分が多々ある。
    • 初期の面では、「ご町内レベルの悪事を行う怪人を倒す」というストーリーは一応あるものの、後半の面になる程あらすじも次回予告も短く投げやりなものになって行く。
      • 中でも酷いのが4面から登場する「謎の戦士ヤバイダー」。『人造人間キカイダー』のハカイダーのパロキャラなのだが、本人の登場前のあらすじでいきなり正体がバラされるため謎でもなんでもなく、主人公のライバル的存在になるのかと思えばそれっきり姿を消し、最終面の直前で久々に登場したかと思えば倒すとあっさり死ぬ
  • セーブデータが1つしかない。最終面をクリアしても主人公の性別は変更できないので、変えたければ別のメモリーカードを用意するか、データを消してやり直すかしかない。
    • 更に、一度付けたヒーロー名も変更できない。
      • ヒーロー名は各ステージ冒頭のアイキャッチに表示されるのみ。主人公のライフゲージには「ヒーロー」としか表示されない*2
  • 新しく入手できるパーツは、殆どが只の色替え。しかも投げ技・必殺技・武器以外は、装備しても見た目が変わるだけ。
    • 必殺技は、使っても「行くぞ!」「必殺!」などと叫ぶだけで、技名コールは存在しない。
    • 各パーツの入手条件は、一応ヒントが表示されるのだが、曖昧な記述ばかりで役に立たない。
      • 攻略本では明記されているが、「1歩も動かないで敵を倒せ」「1分40秒から50秒の間にクリアしろ」など、無茶なものばかり。そこまでして手に入れてもただの色替えパーツだった日には…。
    • レベルアップやお金による改造といった概念は無い。
      • 公式サイトには「面をクリアする事で『ヒーローポイント』が貰え、これにより新パーツを入手できる」とあるが、実際はポイントなどまったく登場しない。むしろそちらの方がまだ楽だったのでは?
  • メーカーロゴをスキップできない。
    • パーツを選択する度にいちいちロードが入る。しかもPS2本体がゴウンゴウンと凄まじい音を鳴らし続ける。しかし、これは他のps2のCD-ROM媒体のソフトでも発生する現象[リッジレーサーVなど]なのでこれは仕方のないことである。
  • どのステージも、障害物が幾つか有る程度で、トラップやステージ特有の仕掛けなどは存在しない。
    • そしてBGMも殆どの面では同じ。戦闘員戦でもボス戦でも同じ曲。
  • 3Dアクションだというのにターゲットロック機能は無く、しかも当たり判定もおかしい為、飛び道具系の武器が見当違いの方向に飛んでいく事はザラ。
    • 接近戦用の武器は逆に極端に便利で、倒れている敵にも攻撃がヒットする為、一方的に殴り続ける事もできる。とはいえ使用回数の都合上、これだけで怪人は倒せないが。
  • 主人公の動きはもっさりしており、ジャンプもできない。戦闘員の集団と戦っていると確実に他の戦闘員に殴られる。
    • なので、殴っては逃げ…というヒットアンドアウェイを繰り返さざるをえない。そもそもヒーローものを謳っておきながらストーム・トルーパー効果*3が無いってどういうことなんだ。
    • 通常技を組み合わせる「コンビネーション」を設定できるが、パンチ技とキック技を組み合わせる事は出来ず、同じ技を複数回組み合わせる事も出来ない。
  • 戦闘員の動きにパターンが少なく、しかも同時に出現した戦闘員は揃って同じ動きをする。まるでシンクロ度100%のダンスの様だ。
    • しかも戦闘員は1ステージに何十人も出現する。
  • ヒーロー改造画面では、博士がどーでもいいセリフを壊れた機械のようにボイスで延々延々のたまい続けており、とにかく鬱陶しい。
    • 「どうじゃ、メシでも食うか?」「肩が凝るわい」「最近、物忘れが激しくてのう」など。
    • 果ては突然笑い出したり、「はぁぁ~っ!」と謎の奇声を張り上げたりする。
  • 怪人の耐久力が異常に高い。5面辺りからは、怪人戦だけで何十分もかかる。
    • 必殺技を使おうにもこちらの体力の消費の方が激しいので役に立たない。ステージ中にアイテムなどは存在しないので、変身後のライフを回復する方法は一切無い。
    • 怪人の攻撃パターンに使い回しが多い。特に2面と3面の怪人の必殺技は単なる色違い
    • ダメージを減らす「防御」は存在するが、なぜかボタン入力ではなく「棒立ち時に攻撃を受けると自動的にガードする」というもので、敵の攻撃にタイミングを合わせにくい。
      • しかも怪人の使う投げ技と飛び道具は防げないので、攻撃手段がますます限られてしまう。
      • 怪人戦では、主人公と怪人を取り囲む結界の様なものが現れる為、間合いも満足に取れない。
  • ラスボスが簡単にパターン化する。
    • ラスボスは頻繁に範囲攻撃を放ってくるが実は「主人公の周囲全方向が爆発」なので一歩も動かなければ攻撃が当たらない。銃を装備して動かずに撃ち続ければ時間はかかるが無傷でも勝利できる。
      • なお、銃の残弾は時間経過で回復するがラスボスの範囲攻撃は弾切れがあるらしく、途中から攻撃モーションを取るもなにも起こらないため隙だらけになる。
    • とはいえ、最終面はやたらと堅い中ボス2体と連戦した後でラスボスに挑む事になるので、ラスボスまで辿り着くまでが一苦労なのだが。
  • BGMは、後述の主題歌とそのアレンジ版以外殆ど存在しない。メニュー画面やあらすじ紹介画面ではBGM自体が流れない。
  • なおゼブラーマン「あのヒーロー」のパーツは、4種類存在する難易度全てでゲームをクリアしないと入手できない。最初の難易度ですら怪人1体倒すのに何十分もかかるというのに…

評価点

  • 出演声優に関しては、棒読みやミスキャストは見当たらない。
    • プロなんだから当然と思うかもしれないが、同シリーズには『おまカフェ』や『美少女SRPG』という前例が有るので…。
  • 「特撮番組を自分で演出できる」というコンセプト自体は、他にあまり例を見ないので悪くなかった…んじゃないかなあ?
  • エンディングテーマはしみじみさせられる曲である…ような気がしないでもない

総評

ご覧の有様である
後の『大奥記』のプロデューサーインタビューによれば、開発元はプログラマー1人による個人会社だったらしいので*4、これが限界だったのかもしれない。

その他

  • オープニングテーマとエンディングテーマが存在する。どちらも当時のD3パブリッシャーの社長が作詞・作曲・歌を手掛けている。熱い…というより悲壮感のある歌で、ある意味ゲーム内容には合っている
    • 主題歌はOPデモ(デモプレイ)の際に流れるのだが、このデモプレイがはっきり言ってヘタ。戦闘員に背中を向けておかしな方向へ延々パンチを出したり、ひたすら逃げ回ったりしており、動きと歌詞もまったく合っていない。それとも歌の長さに合わせて尺を稼いでいるのか?
      • ラストバトルでは歌詞付きで流れるが、3番まであるはずなのに1番を延々繰り返すだけ。
  • 最初から選べるボディパーツの中に、『宇宙刑事シャリバン』のパロディの様な赤いメカ風のスーツが存在するあたりは「わかっている」と言えるかもしれない。
    • とはいえ前述の通り、ゼブr「あのヒーロー」のパーツの入手は至難の業なのだが…。
      • 2017年現在、z「あのヒーロー」が出演しているゲームは後にも先にも本作のみである為、彼を動かしたければ本ソフトをプレイするしかない。
  • 本作の2面のボスである「軟体怪人ナメデスガー」は、『THE ALL★STAR格闘祭』にも出演している。また同社の開発による『THEミニ美女警官』にも声のみ登場する*5なぜこいつが?
    • 『お姉チャンバラvolteX』の公式ネタサイトにも「ナメですが」という名前でゲスト出演。開発元違うのに
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最終更新:2024年01月26日 14:16

*1 『宇宙刑事ギャバン』でいう所の「宇宙刑事」の部分。

*2 女性主人公でも「ヒーロー」のまま。

*3 主人公が雑魚戦闘員と戦う際、1対1でも1対100でも戦闘シーンに割かれる時間が同じ(≒人数が増えるほど弱くなる)と言う、創作作品における演出上の都合を揶揄した言葉。

*4 本作はその2年前なので、当時からそうだったのかは不明だが。

*5 声優は3作とも同じ。