恐怖新聞【平成版】怪奇!心霊ファイル
【きょうふしんぶん へいせいばん かいきしんれいふぁいる】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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コナミ
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開発元
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アトリエドゥーブル
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発売日
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2003年8月7日
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定価
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6,800円
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判定
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クソゲー
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ポイント
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ダラダラのストーリー 見づらいだけの画面
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概要
つのだじろう氏の同名漫画が原作だが、ポルターガイスト(恐怖新聞を届ける悪霊)以外の登場人物はオリジナル。
また、ストーリーもオリジナルとなっている。
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一応付け加えると、70年代におけるオカルトブームの火付け役となった「恐怖新聞」ではなく、近年になってセルフリメイクされた『恐怖新聞平成版』を基にしている。
特徴
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ゲームは章立て
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サウンドノベルの様にテキストを読んでいくパートと、主人公を操作して探索を行うパートからなっている。
問題点
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テキストパートは文章スキップ不能。またやたらと回りくどい表現が多くテンポが悪い。選択肢も登場するが、どれを選んでもストーリーは結局一本道である。
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主人公の言動にも問題があり、相手の女子と会話している最中に胸を見つめたり、別の女子が話し始めたら今度は胸を見比べたり……と最序盤からこの調子である。ほかの章では、告白しようとする友人の様子を見に行こうとし、
「フラれた時にからかうネタも用意しなくては」
と普通に性格が悪い。
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ちなみにテキストパートの文章速度は固定で、決して早くはない。縦書きで一行ずつ表示され、早送りしたければボタン連打するしかない。
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探索パートは方向キーではなくスティックで操作するが入力判定がシビアで、すぐに真後ろを向くなど操作性は悪い。またこちらのパートも一本道で、ある場所を調べたら話が進みまた別の場所を調べ…という風に完全な「お使いゲー」となっている。
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画面の明暗調整機能が付いているのだが、説明書に書かれている「お薦めの暗さ」でプレイしていると確実に撮影所のマップで進めなくなる。
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というか見学に来ているのに明かりを点けずに懐中電灯持ってウロつく主人公…見学というより、むしろ「肝試し」に近いような。
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ちなみにオプションも画面の明暗調整、振動、音量の三項目だけ。ゲーム中は変更不能。
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どの章も上記のような理由で冗長かつ進めにくい上、セーブは各章のクリア後にしか出来ない。
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学校に行くことで心霊写真撮影モードに移行するが、校舎内の特定の場所でしか撮影できない上に撮影回数も決まっており、しかも撮影しても何も写らないこともある。
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さらに、この心霊写真の解説テキストが酷過ぎる。
「詳しく知りたければ、霊能者を呼んで、とにかく解説させるしかない。しかし解説させても、それが絶対正しい意見だとは言えない。霊能者だからといって鵜呑みにはできないのだ。間違うことだってある。結局のところ、どう受け取るかはそれぞれの感性次第という事だ」
「そもそもこの写真が何か霊障に関わってのものなのか、あるいは光学的なものなのかもわからない」
「誰もいないところでドンって音がするから行ってみると、後で食べようと階段の途中に置いておいた出前が、下へ落ちていた。そう簡単に落ちないって思っていたからそこに置いてあったわけだが」
賛否両論点
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本作のストーリーは終始恐ろしく救いのない内容になっている。
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PS1版はマルチエンディングでハッピーエンドもあったが、本作にはハッピーエンドはない。
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ただし原作もこのような救いのない内容であるため、忠実な原作再現ではある。
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ストーリーの詳細
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主人公は父親と2人暮らしだが、ポルターガイストによって親友2人を殺され、ヒロインも首を切り落とされて死亡。父も会社が倒産した上に崩れてきた天井に潰される。理解者になってくれたかと思われたナースも実はガイストの手先であり、心身ともズタボロに…。
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最終章、主人公は父や友人達の霊に助けられ、ガイストを除霊するべく山の祠に向かう。そこでスティックを操作するミニゲームをやらされるのだが…
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このミニゲームはスティックの入力判定がシビアで、失敗しやすい。しかもここに来て突然登場するので当然練習する場などない。一定の回数失敗すると「敗北」、一度でも成功すれば「勝利」のエンディングに分岐するのだが…。
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どちらのエンディングの場合でも、スタッフロール後に「セーブしますか?」と聞かれるが、セーブして再開するとまた同じエンディングを見るか、前述の心霊写真撮影モードをプレイするか以外何もできなくなる。
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ミニゲームのやり直しはできないし、2周目も存在しない。もう1つのエンディングを見たければ、セーブデータを消して最初からやり直すしかない。
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心霊写真をコンプリートしても、エンディングが変化するなどの特典は何も無い。
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「敗北」エンドの場合、主人公は祠で生き埋めになって死ぬ。では「勝利」エンドではどうかというと、結局主人公は力尽きて死んでしまう。そして「ポルターガイストは不滅だ。今度は君の家に恐怖新聞が届けられるかもしれない」と表示されて終わる。
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つまりどの道主人公は死ぬし、ガイストは倒せないのである。確かに原作通りだが、ゲームならではのif展開は無いので、人によってはガッカリするだろう。
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第1話は、ガイストに狙われたヒロインを主人公が救助するという内容なので、その後のシナリオも選択肢次第で助けられると思った人もいるのでは?
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キャラクターは実写にもかかわらず、所謂バリバリのアニメ声なので、人によってはかなり違和感がある。
評価点
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実写グラフィック、ムービーの質は高く、バリエーションもそれなりに多い。揺らめく霊体(ポルターガイスト)の雰囲気などもよく出来ている。
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女子高生2人が旅館の脱衣所でパンツを脱ぐ実写ムービーがある。……足元しか映らないが。
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本編の文章は回りくどいが、何を言ってるのかわからないような低品質ではない。せめて既読スキップや早送りができれば……。
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BGMはクソゲーのお約束なのか良質であり、不気味な雰囲気を醸し出すのに一役買っている。
しかし全体的におどろおどろしい雰囲気のBGMなので、長時間聴いていると
眠くなる可能性
が……。
総評
主人公が酷い目に逢うゲームは数多く存在するが、本作が特に悪質なのは、選択肢・マルチエンド・ミニゲームなどで
「もしかしたらどうにかできるのではないか」と希望を見せた上で絶望に叩き落としてくる事だろう。
単純にゲームとしても、単なるお使いゲーなのに操作性が悪い・画面が見辛いなど、褒められるところが少ないのも評価を落としている。
「主人公がとにかく不幸な目に逢う」という作品が好きなプレイヤーもしくは原作の雰囲気そのままが好みという人以外にはあまりお勧めできないゲームとなってしまった。
最終更新:2022年08月03日 20:32