「判定不一致修正依頼」が出ています。対応出来る方がいらっしゃいましたなら宜しくお願いします。
バウンサー
【ばうんさー】
ジャンル
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アクションRPG
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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スクウェア
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開発元
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ドリームファクトリー
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発売日
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2000年12月23日
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定価
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6,800円(税抜)
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セーブデータ
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62キロバイト
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判定
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クソゲー
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ポイント
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ゲーム本編の半分以上がイベントムービー 周回前提のゲーム本編の短さ ストレス要素多し ビジュアル・サウンド面は良好 世界初の5.1chサラウンド対応ゲーム
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概要
スクウェアがPS2発売年の2000年末に発売したソフトである、3D格闘アクションRPG。
キャラクターデザインはPS1時代の『ファイナルファンタジー』シリーズでお馴染みの野村哲也氏、ディレクターは同社で数々のゲームを手掛けてきた時田貴司氏が担当。
開発は過去に『トバル』シリーズや『エアガイツ』を手掛けたドリームファクトリー。
発売前は美麗なグラフィックや「DVDでゲームを」という点を過剰にアピールした挑戦的なCMでユーザーの興味や期待を寄せていたが、いざ蓋を開けてみると様々な問題点が露呈し、期待に応えたとは言い難いゲームとなってしまった。
ストーリー
(説明書5ページから引用)
超巨大国際企業「ミカドグループ」の中心、「ミカドビル」を望むドッグストリート
その地域のBARには必ず「バウンサー(用心棒)」がいる。
シオン、コウ、ヴォルトの3人もそのバウンサーとして、自分たちの店、Bar「FATE」をゴロツキどもから守っていた。
以前、街で倒れているところをシオンに助けられたドミニクは、いつのまにか「FATE」のマスコット的な存在になっていたが、
彼女の素性は誰も知らなかった。
退屈な、それでいて平和な日々を送っていた彼ら。しかし、ある日ドミニクはミカド特殊工作部隊により拉致されてしまう。
ミカドの目的とは? ドミニクに隠された秘密とは?
果たして、シオンたちはドミニクを救うことができるのだろうか……。
3人の長い夜が、今始まる!
ゲームモード
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ストーリーモード
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本ゲームのメインモード。物語に沿って戦闘をこなしていき、バウンサーポイントを稼いでキャラクターを強化していくモード。
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強化したキャラクターや倒したボスキャラクターは下記の2つのモードで使用できる。
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バーサスモード
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1~4人まで参加できる対戦モード。人数が足りない分はCPUに操作を担当させることもできる。
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バトルロイヤル・バーサス戦:4人がそれぞれと戦い、最後まで残ったプレイヤーが勝ちとなる。
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チームバトル:プレイヤー操作のリーダーキャラとCPU操作の2キャラ同士で戦い、相手チームを全員倒したプレイヤーが勝ちとなる。
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サバイバルモード
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操作キャラ1人でザコ敵と戦うステージをクリアしていき、倒した敵の数とタイムを競うモード。
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全10ステージ。ステージクリアしても体力は回復しない。
システム・特徴
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戦闘は多対多の3D格闘アクション。セガの『スパイクアウト』を意識したような内容になっている。
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方向キーか左スティックで移動。左スティックを強く倒しこんでダッシュが可能。
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敵に近寄ると自動で相手の方向を向き、構えをとってゆっくり移動するようになる。
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△ボタンで上段攻撃、□ボタンで中段攻撃 ×ボタンで下段攻撃、○ボタンでジャンプ攻撃を繰り出す。
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コンボ技もあるほか、PS2コントローラーの感圧機能に対応し、各ボタンを強く押し込むことで強攻撃を繰り出せる。
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L1ボタンを押しながらの各種攻撃ボタンで後述のエキストラスキル(特殊技)を発動できる。
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R1ボタンでガード。上下段の区別なくガードできる。背後からの攻撃や投げ技には無効。
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ガードには耐久値が存在し、一定以上の攻撃をガードして耐久値が無くなるとその戦闘中はガードができなくなる。
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R2ボタンで挑発。ストーリーモードでは3人による合体技「トリニティラッシュ」の発動ボタンにもなっている。
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CPU操作の他キャラが挑発を行っている時にボタンを押すことで発動し、全ての敵にダメージを与える。
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吹き飛ばし・打ち上げダウン技で他の敵を巻き込んでダメージを与えることができる。プレイヤー側も吹き飛ばされた仲間キャラに当たるとダメージを受ける。
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戦闘中、プレイヤーキャラが敵にとどめを刺すことで「バウンサーポイント(以下、BPと表記)」が獲得できる。後述のポイント・エクスチェンジ・システムで使用する。
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連続で敵にとどめを刺すと獲得BPに倍率がかかり、通常よりも多くのポイントを獲得できる。
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BPは戦闘終了後のボーナスでも一定の量を獲得できる。
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Active Character Select System
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戦闘開始毎にシオン・ヴォルド・コウの3人から使用キャラを選択し、戦闘後のシナリオ・イベントが変化するシステム。
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選ばなかったキャラクターはCPU操作となり、CPUキャラが倒されてもゲームオーバーにはならない。
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Point Exchange System
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戦闘終了後毎に使用キャラが獲得したBPを消費して、キャラクターのステータス強化やエクストラスキル(特殊技)を修得するシステム。
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強化できる項目はライフアップ(体力の最大値)・パワーアップ(攻撃力)・ディフェンスアップ(防御力)の3つ。
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キャラクターの強化の状況によってそのキャラの強さの目安である「バウンサーランク」が上昇する。
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システム終了後はデータセーブもできる。
問題点
ストーリーの問題点
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ストーリーモードのボリュームが薄い。
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イベント、ムービーシーンの時間はスタッフロールも含め約1時間強、それに対しゲーム本編の戦闘回数は約20回、時間にして約40~50分程度。
「ムービーの合間にゲームができる」「ゲームの方が幕間と化している」と感じるほどに操作可能なパートは短い。
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ストーリー自体は最低限の体裁は整ってるものの、上記のボリュームのため駆け足気味で突っ込みどころのある展開もあり、ストーリー面で高い評価を得ることはできなかった。
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Active Character Select Systemの問題点。
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パッケージ裏では「選択キャラによってシナリオが変化」と記載されているが、実際の所は直後のイベントのやり取りの変化がメインで、誰を選ぼうとストーリーのほとんどは共通ルートでシナリオの本筋は変わらない。
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ゲーム後半に各キャラ固有の単独操作パートがあり、目立つ変化はそれ程度。
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一部のローディング画面で選択したキャラクターに対応した過去のエピソードが会話文形式で表示され、ストーリー本編を補完する内容になっているのだが、数秒しかないローディング中にじっくり読むことは不可能で、後でまとめて閲覧する機能も存在しない。それは本編でやるべきだろう。
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またシステムの都合上、操作キャラを変更するとエピソードの表示が飛び飛びになるため、初見プレイでは理解し辛くなってしまう。
UIの問題点
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ストーリーモードでゲームオーバーになった後、その場でのコンティニューができず、セーブデータのロードを手動で行う必要がある。
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セーブのタイミングの都合上、データロード後は戦闘直前のイベント・ムービーシーンが挟まれる。スキップ可能ではあるが、イベントごとのディスクローディングは飛ばせないため鬱陶しい。
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説明書・ゲーム中のエキストラスキルの技表において、上段攻撃ボタン(△)を「H」、中段攻撃ボタン(□)を「M」、下段攻撃ボタン(×)を「L」、ジャンプ攻撃ボタン(○)を「J」と本作独自の表記しているため、解りづらくなっている。
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通常技の技表がゲーム中で確認できない。説明書にもわずかしか載っていない。
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セーブデータに言語設定が記録されない。日本語音声があるのにデフォルト設定は英語音声のため、日本語音声を楽しみたい場合はゲーム起動の度に設定し直す必要がある。
戦闘面の問題点
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Point Exchange Systemの問題点。
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強化できるのはその戦闘で使用したキャラのみで、獲得BPを全キャラクター均等に消費する事はできない。
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さらに今までに消費したBPを基準に敵が強化されるため、キャラクターを強化してもいまいち強くなった感じがしない。
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修得できるエキストラスキルの性能差も激しく、打ち上げダウンを取れる有用なものに対し、投げ技は後述の理由で地雷スキルと化している。
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カメラワークが悪い。
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常に操作キャラをアップ気味に映した俯瞰視点で、周囲…特に画面手前の視野が狭い。
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『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のような注目機能や『スパイクアウト』のようなレーダー兼マップの表示もなく、仲間キャラや敵を見失いやすい。
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PS2コントローラーの感圧機能で弱攻撃・強攻撃の判別を行っているため、一部の通常技が出しづらかったり、暴発してしまったりする。
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オプションで感度設定が可能だが、それでも出しづらい。
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敵を倒した時に獲得できるBPはプレイヤーキャラがとどめを刺さないと獲得できないため、CPU操作キャラがとどめを刺すとその分が丸損になってしまう。
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キャラクターの挙動に不自然な部分がある。
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特にゲーム性に関わる重大な問題として、本作の投げ技はモーション中に壁に接触すると失敗して強制ダウン、相手はノーダメージとなってしまう。また、ロボット系などの一部の敵を投げることができない。
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エキストラスキルの大半が投げ技のヴォルドはこの仕様のせいでメイン3人の中ではかなり割りを食ったキャラになってしまっている。
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同開発の過去作『トバル』シリーズのクエストモードでは壁と接触している状態でも問題なく投げ技が出せたため、どうしてこうなった…と言わざるを得ない。
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吹き飛ばし・打ち上げダウン技での巻き込みダメージで、不自然に多段ヒットして大ダメージを与える・受けることがある。
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キャラのダウン時のモーションが全体的に糸の切れた操り人形のように気味が悪く、関節がおかしい方向に曲がったりすることがある。
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階段上でダウンすると滑り台のように階段の下までキャラが滑って行ってしまう。
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後半に登場するロボット系のザコ敵は撃破時、その時とっていたモーションのまま硬直して動かなくなるため、手抜き感が否めない。
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同開発の『トバル』シリーズからの流用と思わしき技モーションが目立つ。ロボット系のザコ敵など、モデルをそのまま流用したようなものも存在する。
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ネタバレにつき格納
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ラスボス戦は2連戦かつ途中で体力が回復しない仕様だが、3周目以降はラスボス戦が3連戦となり仕様もそのままなので難易度が跳ね上がる。
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評価点
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多対多の3D格闘アクションとしての体裁はある程度整っており、CPU操作キャラを攻撃していて後ろが無防備の敵を狙ったり、吹き飛びダウン技で複数の敵をまとめて攻撃するといった多対多ならではの戦いができるようになっている。
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比較的まともな内容のバーサスモード。
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ストーリーモードに登場したボスキャラが形態違いも含めすべて使用可能。
高バウンサーランクのメインキャラでボスを倒すことで連動してボスキャラも強化・エキストラスキルが解放される仕様になっている。
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同キャラ対戦に対応するため、通常コスチュームの色違いだけでなくアナザーコスチュームも存在。一部のキャラクターは過去の素性に基づいた容姿になる。
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ストーリーモードでは劣悪だったカメラワークも、バーサスモードではカメラ視点が固定かつ各キャラの位置によってズームイン・アウトが行われ、相手を見失うことはほとんどない。
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本来の楽しみ方ではないが、問題点の項で記述した挙動の不自然な部分も仲間内での対戦ならネタ要素として笑いながら楽しめるかもしれない。
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グラフィック面は美麗。PS2発売初期のゲームでありながらPS2中~後期レベルのムービーグラフィックを実現している。また、アクションパートも「PSのムービーを動かしているようだ」と称賛された。
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メインキャラクターのモデリングも良好。表情の変化による感情表現は中々のもの。一部の女性キャラには乳揺れもあり。
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一応、周回による隠し要素などがあり、やりこみを前提とした作りになっている。条件を満たすことでバーサスモードで使える隠しキャラも存在する。
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サウンド面のクオリティが総じて高い。
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松枝賀子、江口貴勅両氏による映画劇伴を意識したようなBGM群は各場面にマッチしていて評価が高い。
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『フロントミッション』シリーズや『レーシングラグーン』など、両氏が過去に担当した作品を彷彿させるような曲もあり、バラエティ豊か。
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各操作キャラやボスキャラにはそれぞれテーマ曲があり、ストーリーモードの戦闘やバーサスモードなどで流れるようになっている。
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英語音声と日本語音声が切り替えられる。また、字幕も両言語に対応している。
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単に切り替えられるというだけでなく、エンディングテーマの言語まで変化する。海外のユーザーがプレイすることを想定し、音声だけでなくジェスチャーなどが変化する場面もあるため、その点は作り込まれている。
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一部のムービーは5.1chサラウンドに対応。意外と知られていないことだが、本作は世界初の5.1chサラウンド対応ゲームとなっている。
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日本語声優はメインキャラ三人に櫻井孝宏氏、郷里大輔氏、中尾隆聖氏、ヒロイン役に柚木涼香氏、敵役に若本規夫氏、上田祐司(現:うえだゆうじ)氏など豪華な顔ぶれ。演技もキャラにピッタリなものになっている。
総評
グラフィック面は期待通りで音声面も良好であり、この点はメーカーの強みをPS2でも発揮することができたと言える。
だが、肝心のゲーム内容はストーリーモードの薄さやカメラワーク・挙動・UIの悪さが目立ち、いわゆるムービーゲーの悪い部分が発揮されてしまった。
周回プレイを前提としてもこれでは一度クリア、もしくはクリア前からプレイヤーから見切りをつけられても仕方がない内容である。
こうして本作は「DVDでゲームを」という挑戦的な宣伝に見合わない残念なゲームとなってしまった。
余談
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上記の内容のせいか早期に値崩れが起こり、PS2時代のゲームショップのワゴンコーナーの常連のひとつだった。
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映像DVDソフト「バウンサー・ミュージッククリップ FOEVER MORE」がパイオニアLDCから発売されている。
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収録内容は主題歌のビデオクリップとゲームのOPムービーの効果音なし版、コウのテーマ曲のリミックス版の3つ。時間にして15分程度とゲーム同様にボリュームが薄い。
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同じ「野村哲也氏がキャラデザイン」という事もあってか、ストーリーやゲーム全体のデザインが特に『FFVII』に似てしまっている、という指摘も多い。
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本作の悪の組織にあたる超巨大企業ミカドはもろに神羅カンパニーと重なる等、どうにも『FF』シリーズを意識した設定が散見される。
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本作でゲームプランナーを務めた高井浩氏は後年、『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサーレターLIVEにおいて同氏が関わった作品として本作が挙げられた時、自虐的な笑いを見せている。やはり心残りがあったのだろうか…
(参考リンク)
最終更新:2024年02月01日 00:32