汽車でGO!
【きしゃでごー】
ジャンル
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シミュレーション
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対応機種
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プレイステーション Windows
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発売元
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PS
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タイトー
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Win
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アンバランス
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開発元
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タイトー アクセス
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発売日
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PS
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2000年3月23日
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Win
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2001年2月9日
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プレイ人数
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1~2人
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定価
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5,800円(税別)
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廉価版
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Win
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爆発的1480シリーズ 2007年1月19日/1,480円
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判定
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クソゲー
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シリーズファンから不評
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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中途半端に再現された操作方法 それゆえのあまりに複雑な操作性 少なさすぎる収録路線 ACで出せばよかったのでは? 発想とやりたかったことは伝わってくる
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電車でGO!シリーズ
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概要
PSで発売された電車でGO!シリーズの外伝。
その名の通り今作では蒸気機関車を運転するのが最大の特徴だったのだが…。
収録路線・車両
収録路線
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京浜東北線 品川→上野
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快速ダイヤで走行。京浜東北線でSLが運転されたことはなく、列車名もこの路線のみついていない。
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信越本線 高崎→軽井沢
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快速「SL碓氷号」として運転(ただし発車標などは「鈍行」表記で、各駅に停まる)。高崎~横川は現在もSLが運行されている区間で、2018年より「SLぐんま よこかわ」と名前を変えて運転中。
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磐越西線 新津→津川
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急行「SLばんえつ物語号」として運転。現在も運行されている列車である(実際は快速だが、なぜか本作では急行扱い)。
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磐越西線 郡山→上戸、磐梯町→会津若松
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鈍行「SL磐梯・会津路号」として運転。年に数回ではあったものの、2010年代前半までは運行されていた列車である(実際は快速だが、なぜか本作では鈍行扱い)。
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列車自体は会津若松までの通しだが、上戸→磐梯町は省略されており、別々のダイヤとなっている。
収録車両
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C57 180
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1999年に復活。本作発売のわずか1年前のことであり、当時はかなりホットな車両だった(PS版パッケージにも採用されている)。現在は「SLばんえつ物語」を中心に運行されている。
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C58 363
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1987年に復活。同年中に秩父鉄道に譲渡されたものの、当初はJR東日本への貸出運転も積極的に行われた。現在は秩父鉄道の「SLパレオエクスプレス」として運行中。
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D51 498
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1988年に復活。「デゴイチ」として名の知れたエース的存在で、大半の在来線路線で運転可能。現在も高崎地区の「SLぐんま」を中心に幅広く活躍する。
特徴及び問題点
理不尽に複雑な操作体系
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本作は従来のシリーズ作品と同じ「電車操作」(初期設定ではこちらになっている)のほかに「汽車操作」が選択可能。後者はその名の通り蒸気機関車の運転を再現しているのだが、これまでのシリーズに比べて操作系統が非常に複雑となっている。一応入門編である程度の解説は受けられるものの、リアルな操作ができると思って選択すると痛い目を見る。
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蒸気圧の概念があるが投炭は自動で行われる。ところが総合評価では「蒸気の使い方」という評価項目が設けられているにもかかわらず評価基準は一切不明。
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2Pモードにすると投炭を自分で行うことになるが、蒸気圧をどの程度に保つか等の目安は一切示されない。
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ノッチ数の概念がない自動空気ブレーキ操作を再現しているだが、ブレーキ圧は5.0~3.5の15段階(3.5がいわゆる非常ブレーキに相当)、ブレーキ弁の操作は加圧(弱・強)・保ち・減圧(弱・強)の5段階となっており、『旅情編』である「すぐにGセンサーを振り切って減点」は起きにくくなっている。
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ただし画面上のブレーキ圧の表示は実際のブレーキ圧の強さとはリンクしておらず癖が強くなっている。3.7から4.7等の解除しない程度に一気に緩めた時に顕著に出る。
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実車再現が完璧かといえばそうでもなく、ブレーキ弁を弱で入れ続けると加圧が3.7で止まったり、単独ブレーキ弁が再現されていなかったりとおかしい点はある。
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更にPS版ではブレーキを強めるボタンと弱めるボタンが従来のシリーズと真逆になっている。
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これは電車でGO!専用コントローラを使えば解決できるが、その場合は電車操作と同様となるので一気に没個性と化す。
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本作は警笛の他にドレーン・砂まき操作も再現されているが、ドレーン操作は隠し警笛と同様、隠しボーナスを得る為の操作となっている。
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砂撒き操作は一部ダイヤで頻発する、空転を防ぐ操作になるのだが、音がするだけである(ただし入門編で「この音が鳴ったら空転する前兆なので砂を撒きましょう」というアドバイスは受けられる)。だが実際は一緒に性能低下が起こるはずだし、空転の音も実際の音の再現ではない。
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なおこの空転を放置すると自動車並みの減速力で停車するという意味不明な仕様となっている。
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どれをとっても最早専門知識が無いと操作が意味不明なレベルに達しているのだが、PSコントローラのボタン配置の関係で非常に操作を覚えづらい。コンフィグもできるが焼け石に水。
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残念ながら、頼みの綱とも言える専用コントローラーも今作では発売されなかった。もっとも専用コントローラーを作ること自体が非常に難しいと思われるが…。
余りにも少なく一部意味不明な収録路線
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選択できる蒸気機関車がD51形498号機、C57形180号機、C58形363号機のわずか3形式のみ。日本で動態保存が一番多いC11をはじめとしたタンク機関車は一切出てこない。
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路線も複数あるように見えて、実際は京浜東北線・信越本線・磐越西線(2系統)の4路線を別の機関車で運転するだけである。
JR西日本のSLやまぐち号、真岡鐵道のSLもおか、大井川鉄道のかわね路号など、導入できそうな路線は他にもあったのだが…
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しかも前述の通り磐梯・会津路号とばんえつ物語号は本来快速列車なのに前者は「鈍行」(普通列車)、後者は「急行」になっているなど、設定が実際と大幅に異なる。
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初級路線と中級路線に選ばれたのは何と京浜東北線。当然山手線とSLが並走していく。そもそも京浜東北線は1914年の開業当初から電化済みの路線であり、蒸気機関車が運転されたことは一度もない。
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快速碓氷号は本来高崎~横川(碓氷峠の麓側の駅)間の運行なのだが、今作では碓氷峠を超えた軽井沢まで行く。どうやってこの国鉄最急勾配区間を運転するのかと思えば、横川駅で最後尾にEF63を連結し、蒸気機関車牽引列車が碓氷峠越えをする。
無論碓氷峠の新線を蒸気機関車が通過したことは史上一度もない。ある意味現実からのアレンジが効いていると言えなくもないが…
なお蒸気機関車+電気機関車推進形式は、信越本線で運行される「SLぐんま」でD51 498とEF64の組み合わせでの運行が存在する(西松井田~横川間に25‰の勾配がある為)。
無駄な難易度上昇
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ナビゲーションシステムが廃止されたため、旧作で抱えていた「いきなり信号や制限速度が表示されて減速が間に合わず減点される」という一度解決したはずの問題点が再浮上してしまった。しかも今作では「直線では速度制限が掛かる割には曲線では掛からないことが多い」ことをはじめ、駅間の中途半端な場所にやたらと速度制限が多い。
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更に言うと全く同じ路線・走行ルートなのに上級・特級等の難易度が違うだけで制限速度が掛かる地点も変わるため、低難易度の方で予習する手法も通じない。
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また駅間が長い割に速度があまり出ないため、従来のシリーズに比べ駅間の適正な運転速度が掴みにくいことも手伝って、ますます運転がしにくい。
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実車再現ではあるのだが、運転台の位置の都合上、前方の見通しが悪い。視点切り替えが可能だが、視点を切り替えると圧力計や加減弁の数値が見えなくなってしまう。
その他
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車内放送の声が非常に小さく、何を言っているのかわからないレベル。
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ただし同じ車両内で運転している電車や気動車と違い、客車から遠く離れた蒸気機関車の運転台まで車内放送が聞こえることは本来あり得ない。それを考えると非常に中途半端な再現ということになる。
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蒸気機関車が機関士と機関助手の2人1組で運転する事を考慮し、2人プレイモードも導入されているのだが、2Pである機関助手の仕事は、火室の状態を見て延々と石炭を投入するだけの作業ゲー。現実の機関助手もほぼそういう役目なので間違いではないのだが…
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なお2Pプレイの場合、各停車駅の運転評価で「蒸気の使い方」ボーナスが3秒貰える場合があるが、貰える基準もこれまた不明。
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オープニングのイントロの汽笛の音がとてつもなく大きく、心臓に悪い。
ある意味現実再現ではあるが…
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オープニングそのものはこれまでのシリーズにない方向性で概ね好評である。
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エンディングムービーが従来のシリーズに比べてやたら短い。
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そのくせBGM自体はロングバージョンがありサウンドテストで聴ける。エンディングをその長さにしようとは考えなかったのだろうか…
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快速碓氷号で運転する信越本線に磯部駅があるのだが、磯部の字を「磯辺」と間違えるミスをしている。
評価点
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「蒸気機関車を運転する」という発想自体は悪いものではない。
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ただ、運転をPSのコントローラーで再現するのは無理があった。後述するようにアーケード向けとして稼働していればまた別の評価になったかもしれないのが惜しい。
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収録された路線は京浜東北線以外全て初収録の路線・区間で、現在も他作品で収録されていない。
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また、信越本線では今はなきEF63と189系の協調運転、磐越西線ではあかべぇカラーの455系とすれ違うなど、ファンのハートを掴む演出もバッチリである。それだけに操作の煩雑さやボリューム不足が悔やまれるところである。
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中山宿駅ではスイッチバック運転のボーナスゲームが発生する。
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スイッチバック自体は『プロフェッショナル2』でも実装されているが、本作ではアウタービューですさまじい臨場感がある。運転方法も実際のものに近い。
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なお当駅のスイッチバックは本作発売前の1997年3月22日に解消されている。
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蒸気機関車のグラフィックはかなり作り込まれており、違和感がない。
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資料館が非常に充実している。
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先述の通りとても新しいニュースだったC57 180の復元工程を徹底的に密着取材しており、資料としては大いに価値がある。
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他にもD51 498とC58 363のほか、本編には登場しない真岡鐵道のC11 325とC12 66について、運転台や動輪や図面まで非常に細かな解説がなされている。
総評
「SLを運転する」という発想自体が悪いわけではなかったはずなのだが、実車以上に難解な操作に加え中途半端な再現度と収録路線が仇となり、残念な1作となってしまった。
路線の再現率の悪さや蒸気機関車である事を逆手にとって無理に現在を舞台にせず、昔を舞台にして規制やシステムの簡略化で難易度を下げるという手もあった。
なんとかして専用コントローラーが出来ていたか、いっそのことACで出していれば難易度は高くなっても再現度は高くなっていたと思われる。
後の作品である『旅情編』においても自動空気ブレーキによる操作が再現されたが、こちらは再現度が高い上に専用コントローラーも導入されており、本作ほどの低評価とはなっていない。
余談
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登場するのは全てJR東日本の路線だが、前述の通りC58形363号機が秩父鉄道所属のためか、SLパレオエクスプレスのムービーも収録されている。
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蒸気機関車保存のパイオニアである大井川鉄道(現・大井川鐵道)は一切登場しない。ただし『名古屋鉄道編』にはムービーとして登場する。
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キハ8000系の現存車両がなかったこと、大井川鉄道が名鉄グループであることから実現したゲスト出演である。
最終更新:2023年12月31日 03:09