ファンタシースターユニバース

【ふぁんたしーすたーゆにばーす】

ジャンル オンライン対応RPG (Windows版は接続必須)



対応機種 プレイステーション2
Windows 2000/XP
Xbox 360
メディア PS2/360 DVD-ROM 1枚
Win DVD-ROM 2枚
発売・開発元 セガ
発売日 PS2/Win 2006年8月31日
360 2006年12月14日
定価(税抜) 6,800円
プレイ人数 1人
レーティング PS2 CERO:12歳以上対象
Win以降 CERO:B(12歳以上対象)
周辺機器 PS2 PlayStation BB Unit*1
専用ネットワークアダプター2
USBキーボード
オンライン対応
Win キーボード、ゲームコントローラ対応
360 ヘッドセット、USBキーボード対応
オンライン、ボイスチャット対応
廉価版 PS2 PlayStation2 the Best
2007年7月26日/2,000円(税抜)
配信 360 ゲームオンデマンド
2010年8月17日/2,000マイクロソフトポイント
判定 クソゲー
備考 PS2 オンラインサービス終了済み
現在はオフライン部分のみプレー可能
Win オンライン接続専用タイトル
ポイント 共通 リリース直後は「イチロー」との戦い
基本的なシステム面も問題点多数
水増しここに極まる
PS2/Win 2006年クソゲーオブザイヤー大賞
Win nProtect GameGuardが追い討ち
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
ファンタシースターシリーズ


すべてのRPGを過去にする



概要

セガの看板RPG『ファンタシースター』シリーズおよび、コンシューマ機初の本格的なオンラインマルチプレイ機能を搭載した『ファンタシースターオンライン』の流れを組む作品であり(以下ファンタシースターをPS・オンラインをPSOと略す)、そしてセガハード以外でリリースされた初のPS作品ということもあって“本家”からのファンとPSOからのファンに多くの期待を寄せられた。
同時にPSOと同じくオンライン仕様であることがアナウンスされ、プレイステーション2において『FFXI』に続く数少ないオンラインRPGとなったことで、PSファン以外からも高い期待を寄せられていたのだが……。

  • ちなみにオンライン限定というわけではなく、本作にはオフラインモードとして、ユーザーに世界観導入させるべくストーリー仕立てのアクションRPGも収録されている。
    • ただし開発者が言ったように「オフラインだけでも大作RPG」ではあるが「オフラインはオンラインのチュートリアル」でもあり、オンラインモードではオフラインの「その後」が語られるストーリーが存在する。
      そのオンラインで語られる「その後」がパッケージに同封されていたチラシ、続編である『イルミナスの野望』のオフラインモードなどへの導入部となっていた。
    • 本作のオフラインモードは専用のシナリオが存在しており、他のモードや続編では一切遊ぶことが出来ない。

リリース直後のサーバー不調問題(通称イチローオンライン事件)

経緯

  • 当作は 発売直後からオンラインに繋がりにくい状態が続き、多くのPSU購入者らがログインすることができなかった
    ログインしても短時間で落とされる・マップ移動すると落とされる・ロビー移動すると落とされる・マイルームに入ると落とされる・戦闘すると落とされる、そして一度落ちたらリログインは非常に困難(その日はログインをあきらめた方がよいというレベル)かつそれが何日も続くという状況のうえ、ログイン時に他人のアカウントのキャラクターがロードされる、アイテムが増殖できるという、オンラインゲームでは致命的な不具合が続発した。
    このため9月3日からサーバを停止、9月6日から試験サービスという名のβテスト再開をパッケージ発売後に行うという前代未聞の事態に陥った。しかも前述の致命的な不具合の影響でデータベースの復旧が不可能と判断された事から、再開時にはすべてのゲームデータクリアを余儀なくされ、アイテムやレベル、フレンドリストはもとより、キャラクターデータまでデリートされることになった。
    この時点でユーザーの不満が爆発し、多くの購入者たちはそれ以降戻ることはなかった。
    この状況は接続できない時に表示されたエラー番号「No.51」と当時MLBで活躍していた選手・鈴木一朗の背番号「51」をかけてイチローオンラインと名付けられた。

原因

  • この不具合は、開発者が「想定以上のユーザーが一気にサーバアクセスしたため」というようにサーバキャパシティの見誤りが原因と弁明していた。
    開発は「サーバに繋ぐのは精々PSO後期程度の人数」と考えていたらしく、その後行われたクローズドβテストでもその想定で問題なかったため、サーバ容量を増やすことなくリリース。
    そして想定の数倍の人口がサーバに流れ込むフロー状態となって緊急事態に陥ったのだという。
    しかし、クローズドβの人数など運営側が予めコントロールしているものであるし、オンラインモードのストーリー自体がオフラインの直接の続編、オフラインモードクリア後にオンラインプレイを促すショートムービーが流れるなど明らかにオンラインへユーザーを誘導する構成となっている。 更に言えばこのソフトは初週だけで10万本以上出荷しており、この事態が予測できなかったという主張はあまりにも不自然。

その後の経緯

  • 一旦すべてのゲームデータを消去し、接続を制限したOpβIIが始まり、接続するユーザーも激減したおかげで初期の混乱時に比べれば格段につなぎやすくなったものの、それでも人によっては接続に何度もトライ&エラーをくり返す状況が続いた。
    そんな中、度重なる緊急メンテナンスが行われ環境は整備されつつあったが、ゲームサーバにつなぐという最初の関門がなかなか改善されなかったため、ようやく運営側は「エントランスを二つに分け、それぞれを独立させる」ことで事態を収拾させた。
    これはゲームサーバを“ワールド1”“ワールド2”と分け、キャラデータも各ワールドに準拠させるというもので、どちらかのワールドに登録されたキャラはもう一つのワールドに移動することもできず、また他のワールドにいるユーザーにメールを送ることもできないというものだった。それでもようやくストレスなく遊べる状況になるということで残ったユーザーからは比較的好意的に受け取られ、また人口の少なさゆえに快適なプレイを期待してワールド2に移民するユーザーも多く見られた。
    こうして最初の混乱から2週間の無料期間を経て、ようやくPSUは静かに再出発することになった。
  • PC版とPS2版の同一サーバー運営によるデータ共用はこのゲームのウリの1つであったが、この大規模接続トラブルの影響かは不明だが、すでに発表されていたXBOX360版や後に発売される海外版は別サーバーでの運営となった。

ゲーム自体の問題点

PSUはゲームの出来自体にも様々な問題があった。ゲームシステムが相互に干渉しあって利点を食い潰していたり、仕様として疑問符がつく幾つかのシステムでユーザーが遊び辛かったり、オンラインRPGにもかかわらず交流しにくい面がみられ、それらは総じてPSOからの劣化と見られた。
明らかに開発者の思惑と実態がずれているものも散見し、前作に位置するPSOにくらべれば格段にマップフィールドが拡張され、その数も増え、エネミーの種類も多くなりシステムも増加したにもかかわらず、PSOを進化させた正当な続編(世界観が同じという意味ではない)を望むユーザーからは不評であり、互いに温度差があった。

戦闘システムについて

戦闘システムの改悪

  • 前作PSOの戦闘はアクション形式になっていて、特に初期は極めてシンプルな操作性ながら、間合いの取り方と敵の種類ごとに的確な攻撃を要求される練りこまれたものだった。
    PSUでは、そのシステムをさらに親しみやすく、かつ無双系アクションのような派手さと爽快感を追求する試みが行われた。しかし出来上がったものは…。
  • プレイヤー側が自発的に取れる戦闘アクションは「武器を使った攻撃」「歩く」「アイテムを使う」の3種類のみ。
    緊急回避動作やガードといったものはない。前作を踏襲したものではあるが、アクションゲームとしてしっかりと調整されていた前作に比べるとあまりにも進歩がなく適当に作られている。
    • 攻撃動作が全体的にモッサリしていて敵の攻撃と少しでも噛み合えばまず相打ち。のけぞらない敵なら避けてから攻撃をあてたのに硬直が長すぎて動けず、次の攻撃を食らうという事が平然とありえる。
    • 近接武器は強攻撃の代わりに追加されたフォトンアーツ(略称PA)があまりにも強すぎる。種類にもよるが、大抵の場合1~3セット当てれば大型の敵も難なく倒せてしまう。また、PAにも強力な物と使い物にならない物の格差が大きく、みんな同じ武器で同じ動き、という単調作業になりやすい。
    • 射撃はEXと強攻撃が削除されただけで追加要素なし。武器にセットするバレットによって属性や転倒効果などを付与できるが、一度セットしたら後は敵から離れてボタン連打するのみ。
    • 魔法は武器ごとに使用魔法をセットする方式に変更された上、パレットにないアイテムを使用するサブメニューが撤廃されたので結果的に一度に扱える魔法が少なくなった。さらに魔法自体の威力も大幅に下がり、杖を振るモーションも遅い為、ダメージ効率は全職業中最低。射程も射撃ほど長くないため、最も打たれ弱いのに射撃職より被弾率が高い。
    • そして敵のアクションの作りこみがあまりにも雑。『高速+ホーミングで突っ込んでくる』などは当たり前で、『バックを取れば高速の背面攻撃』、『吹き飛ばし技に対する反撃で即死魔法』、『食らい判定が完全に消滅する長時間の回転ラリアット』、『魔法のエフェクトと攻撃判定が張り付いたまま動き出す』など、プレイヤーのアクションと対峙する楽しさを全く考えていない投げやりな攻撃パターンばかり。そのクセに『方向転換がまともに出来ないため壁に向かって走って少しずつ方向調整する』、『いきなりあさっての方向に走り去っていく』、『ある程度の間合いを取ると同じ攻撃を繰り返す』というお粗末振り。適当な作りのAIに超性能の攻撃を詰め込んだだけという杜撰さが透けて見える作りの甘さが、プレイヤーのイライラに拍車を掛けた。
  • 敵の攻撃判定が見た目と全く一致しておらず、爪に触れてないのに引っかかれたり、一人分以上横にずれた衝撃波に巻き込まれるなど、仮に調整した結果だとしても理不尽にしか感じられない。PC側の運動性能と敵の杜撰な攻撃判定の相乗効果により、何かの硬直中でなくても、視認してからの回避行動ではかわせない攻撃ばかりだった。
  • 事実、サービス開始から程なくしてガードや緊急回避の追加を切望する声で溢れた。それから間もなく「どうせ攻撃を避けられないので突っ込んでPAボタンを連打していれば良い」という結論に達してしまい、PSU世界においては「骨を切らせて肉を絶ち、折れた骨は薬で瞬時回復」という身も蓋もない戦いが繰り広げられ続ける事になった。
  • 「火力偏重」「死な安*2」のゲームバランス以上に、その凄まじい単調さが大きな不評を買い、抑揚のないBGM(BGMのシームレス変化もない)も手伝って「一周しただけで眠くなる」「最大の敵は眠気」と散々な評価を下される。戦闘以外のコンテンツも薄い上も工夫する余地がない(後述)という事も飽きを助長し、人口は減り続けていった。
    • 後の「イルミナスの野望」でタイミングよく次の技を出すとダメージが増える「ジャストアタック(JA)」、回避中にボタンを押すことで無敵状態でPAが出せる「ジャストカウンター(JC)」が追加されたが、単調さの改善に関してはあまり意味がなかった。
      • JAは全ての武器において、単純に最強PAの二段目から入力するのが最も効率的な上、タイミングは常にモーションの後半なので覚えたり、練習する必要がない。
      • JCは回避自体がランダム判定なので、回避の高い職でステータス調整をしないと狙えない上に、攻撃特化職で普通に戦った方が早いので自己満足の域を出なかった。
      • 職・武器間のダメージ格差は幾度ものバージョンアップで段々と調整されていったものの、大味で単調な戦闘システムへの改善はサービス終了まで成されなかった。何事も土台が破綻していたら、いくら後付しても無意味という普遍的な教訓の最高の見本だったと言える。

PS2問題

前作のPSOは同じハード同士でしかオンラインモードは楽しめなかったが、本作ではPC版とPS2版とでネットワークモードのデータが共用できるようになり、それは本作のウリの1つでもあった。
しかしながら、このようなマルチプラットフォーム形式のゲームにありがちなハード格差はやはり存在しており、しかもPSUのそれは他のゲームよりも遥かに深刻なレベルだった。

  • アクションゲームなのに、PS2版は常時処理落ち状態。
    • さらにプレイヤーの移動処理が画面の書き換えと並行ではなく同時に行われるという不可解な仕様が災いして、移動速度60fpsのPC版と30fps+処理落ちのPS2版の間には二倍以上の速度差がついていた。知識や腕でカバーできない深刻な差である。
  • 武器をクイックチェンジしながら戦うゲームにもかかわらず、PS2版は武器を変更するごとに異様に長いロードがあり、その間は攻撃が不可能。
    • 予めパレット全ての武器変更を済ませておけば僅かではあるがロードを軽減できた…が、オンラインの6人PT+敵3体の場面ではせっかく読み込んだキャッシュデータが上書きされるので焼け石に水。全くゲームにならなかった。
  • ネットワークモードのデータはPC版とPS2版では共用できるのだが、PS2版はハードディスクに対応しておらず8MBのメモリーカード内にネットワーク関連のデータを保存する形をとっているため、必然的にパッチファイルに使える容量が小さくなってしまう。当時はクラウドといった少ない容量でアップデートできる技術もなかったので大規模アップデートと銘打たれてもディスクに入っている素材以外は使用できない為に後述で述べる既存の使い回しといった内容に乏しいものにならざるを得ず、データの共用化が完全に仇となってしまっていた。
  • 明らかにスペック不足を感じる挙動・アップデート不可能な供給形態と、マルチプラットフォームとしては問題外。後々の大問題よりも目先の売上を優先したのだろうか。
    • ウリとなるはずだったPC版とPS2版のデータ共有化も初期のサーバートラブルの影響もあって、XBOX360版や海外版は別サーバーによる運営と実質的に方針転換されハードの壁を越えたオンラインゲームとしてのPSUは事実上頓挫した。
  • イベント期間中の高報酬ミッションなどでは『いかに早く周回出来るか』が稼ぎの肝となる為、足手まといにならざるを得ないPS2ユーザーは煙たがられた。パーティーコメントに『PS2 ×』と書かれる事は当たり前で、ユーザー側も半ば諦めて受け入れていた。
  • それでも長らくPS2版に合わせたアップデートが続いたが、PC版・PS2版との共用運営に限界を感じたのか2008年秋ごろから、ゲーミングPC講座やPC版のクライアント無料配布、PSU推奨PCが当たるキャンペーンといったPC版への移行を促す動きがみられた。そして2009年4月の大規模アップデートではPC版優遇の内容*3となり、事実上のPC版メインの運営へと舵を切る形となった。
  • 第3回大規模アップデートの告知が公式HPで発表時、新マップや新エネミーの追加をはじめとしたPS2版イルミナスの野望のパッチファイルの仕様では対応できない内容*4だったために第3回大規模アップデートの2011年4月14日*5を以ってPS2版のオンラインサービスが終了となり、完全PC専用オンラインゲームとなった。

属性値問題

PSUには武器と防具、敵、射撃、テクニック(魔法)にそれぞれ「属性」がつく。
「属性」とは炎・氷・雷・土・光・闇に分かれ、各々に相反する属性が存在し、属性が同じならダメージが減り、対になる属性ならダメージが上がる。
すなわち、プレイヤーは炎属性の敵と戦うときはたいていプレイヤーは炎属性の防具と氷属性の武器をつけることになる。この時、防具・武器共に設定されている「属性値」に比例して、ダメージへの影響は大きくなる。

ここで問題なのは、

・属性の影響が大きすぎること*6
・あらゆる攻撃全てに属性が1つだけついてしまうこと
・プレイヤーは一度に一つの属性耐性しか持てなくなったのに対し、魔法を使用する敵の増加により一度に複数の属性攻撃にさらされるのが常態化するようになったこと。

である。
これらのせいでプレイヤーは1つの属性をカバーする=反属性に対し同じだけのリスクを抱える事になり、属性の恩恵を得るには全ての属性をカバーし、対応属性以外での被ダメ・与ダメを極力避けなければならないというジレンマが生まれてしまった。 前作PSOでは武器にも防具にも複数の対属性を持てた上、反属性は存在しなかったので、これは明らかな劣化とみられた。

  • 敵が別の属性攻撃を出したとき、そのダメージを緩和するには鎧を着替えないといけない。鎧を替えるには
    メニュー画面を開く→鎧の項目を開く→攻撃と同属性の鎧を選択しセットする。
    武器はパレット操作で瞬時に切り替えられるにも関らず、鎧の変更はサービス開始数年後のアップデートまでUIによるサポートは存在しなかった。
    • 毎回敵の攻撃属性に合わせていちいちサブ画面を開け鎧を着替えるのは非常に手間で、殆どのユーザーは無関係の属性に着替えてやり過ごしていた。
  • 「各々反対の属性を持っている敵が同時出現」「一体の敵が、相反する属性の魔法を両方とも持っている」「魔法でなくとも複数の属性攻撃をランダムに使い分ける敵がいる」「自分の属性を変える雑魚敵の登場」などの時も多く、「対応したいのにシステムの不備で出来ない」というクレームは、「反属性の敵が同時に出てくるミッションを増やさない」というコンテンツの調整でやり過ごされた。
  • 対処の為には同種で他属性の装備を大量に持ち歩く必要があった。
  • なお、射撃職及び法撃職はバレットやテクニックの付け替えで属性をコントロール出来た為、前衛と後衛では装備にかけるお金が倍以上の差がついていた。
    • PSOでは各属性を底上げするアクセサリが用意されていたが、PSUでは廃止された。このためプレイヤーは「現在自分の持つ属性を強化する」「自分に欠けている属性を補う」といった事が出来なくなった。(合成品の価値を上げるためだと思われる)
      • 属性攻撃を受けた際それに応じた状態異常(氷=凍結・雷=麻痺など)を無効化するユニット(レア)だけは継承されている。
    • 上記の属性とは違うが、敵には「物理に強い・射撃に強い・魔法に強い」などの特性が与えられている。しかしゲーム中では射撃や魔法に強い(あるいは無効化する)敵が多く、物理やPAに強いという敵は数えるほどしかいない。「遠くから攻撃できるから」という理由だろうか?

タイプ問題

PSOでは戦闘タイプ(いわゆる職業)は3種と少なく、種族である程度固定されていた。その代わりジョブ(種族)=個性が強調され、利点や弱点が明確であった。
内訳はハンター(戦士)、レンジャー(銃火器使い)、フォース(魔法使い)となっている。PSUではタイプにおける種族固定を廃し、タイプセレクトカウンターでいつでも変更できるよう変更され、これは進化と受け止められた。しかし…

  • 職格差はこの手のゲームで良くある話ではあるが、PSUにおける職格差はゲーム性と密接に繋がっている為より深刻だった。
    ゲーム自体は大味で単調であり、バランスも緩やかで強さに関する優劣はあまり意味を成さなかった。
    その代わり『ゲームとしての楽しさ』が職によって左右されていたのである。
  • 前述の3タイプは下位職と定められ、職レベルをアップさせる事で上位職にチェンジできるようになり、上位職は特化職・複合職に分かれる。特化職のレベルを上げることでさらに超特化職にチェンジすることが可能になる。それぞれはパラメータ・使用可能な武器・フォトンアーツのレベル上限・攻撃速度によって特徴付けられていた。
  • 超特化職と一部の特化職は攻撃偏重のこのゲームにおいて、それぞれの得意分野で最高の性能を有している上に攻撃速度の上昇という圧倒的なプロパティを持っている。
    • 当然ながら、攻撃速度は超重要項目である。『戦闘システムの改悪』でも述べたが、
      このゲームは攻撃を避けてから当てたという有利な状況でも、自分のモーションが遅すぎて次の攻撃を回避できない位もっさりし過ぎている。
    • 攻撃速度の上昇は、DPSの上昇だけではなく回避もしやすくなりゲームとしての快適度が劇的に向上する。そもそもの基準をこちらにするべきという声すら挙がった程。
    • さらにこれらの特化職はフォトンアーツのレベル(攻撃倍率・命中率・段数)が最高クラスまで上昇するため、火力も高い。
    • 攻撃速度の上がらない特化職も存在するが、こちらはステータスが高く、補助として別種の武器を使用できるため
      攻撃速度の上がる職と比べてそこまで劣るものではない。(快適さの面では太刀打ちできないが…)
  • 一方複合職は打撃と射撃、射撃とテクニックなど複数の攻撃手段を持つが、フォトンアーツのレベルが途中までしか上がらないため、コンボのフィニッシュが出せない・テクニックが中途半端な性能と悉くカタルシスを削ぐ調整がなされている。
    しかもパラメータが低く敵を倒すのに時間がかかる・耐久力も低いなど、デメリットに対してメリットが非常に薄い。*7
  • これらの理由により、殆どのプレイヤーは一部の職に集中していた。
  • なお種族間・職業間のパラメーターだが、ステータスの数値が4ケタにも及ぶ上、職による補正は職固有のステータス倍率と種族ステータスの乗算だけで算出される為、職レベルが上がるほど種族格差が広がるというジレンマを抱えている。

PP問題

PSUでは攻撃するのにフォトンポイント(以下PP)をコストとして使用する。これはフォトンアーツ(以下PA、必殺技のこと)を使用するとき、魔法・射撃を行うときに消費される。またPPはキャラクター本体ではなく武器(刀剣類・杖類・銃類)自体のエネルギーとして設定されている。

  • 前衛は武器をふるうだけならPPは消費されないが、威力が非常に低いのでPAがメインの攻撃手段となるため使用頻度は低く
    さらにフォース系・レンジャー系のジョブは通常攻撃するだけでPPを消費する。もちろん武器のPPが尽きれば魔法や射撃はできなくなる。前衛もPAでなければダメージは雀の涙であるため、連発することになりいずれはPPが尽きてしまう。
  • PPの回復はアイテムや有料回復ポイントを除けば、時間経過でごくわずかずつ回復していくのみである。言い換えれば、『打撃はタダで攻撃できるが弱い。強攻撃か間接攻撃がしたければ、待つか金を払え』ということである。
  • プレイヤーは皆やむを得ずこのルールに従っていたが、やはりフラストレーションの溜まる作りであることに変わりなく、このシステムの変更は改善要望の上位に食い込む事になる。
    • そして続編のイルミナスの野望では『打撃の通常攻撃を当てるとPPが回復する仕様の追加』であった。つまり打撃以外はサービス終了までこのルールを継続させられた。

ロビー問題

PSOでのミッションの流れは
「多数のプレイヤーが集まるオンラインロビーからミッションを受注」→「準備拠点である「シティ」へ移動」→「シティからフィールドに赴きミッションをこなす」という形式であったが、
PSUではこのロビーのシステムを一新。 「シティ」にロビーの機能を加えてプレイヤーの交流の場と準備拠点を統括し、さらにMMORPGにおけるエリアの役割を果たす「中継地点」が生まれた。
これによりPSUにおけるミッションは「シティでミッション1を受注し、出発」→「クリアすると中継地点に移動。中継地点からミッション2を受注」→「クリアすると新たな中継地点へ…」→「ミッションのない最奥拠点に到着」という流れになった。 MMORPG的な世界の広がりを表現したかったのだろうが、それはもう大きな問題を抱えていた。

  • 1.希望のミッションを遊ぶ為に関係のないミッションを強制的に遊ばされる。
    • まず第一にこれである。特に初期は、レアアイテムや経験値の多いミッションは最低でも一つ先の中継地点に設置されており、
      シティから受注できるミッションは邪魔な通過儀礼でしかなかった。
    • ゴール地点に行けば何かしらの利益があるのかといえば、そんなものは全くない。
    • ミッションをクリア後にゴールを通過してしまうと強制的に次の拠点に進んでしまうので、目的達成後に『ミッションを放棄』で元の拠点に戻ることが風習化。
    • この余りにも無意味なシステムに対抗した有志ユーザーが「別の拠点にPTメンバーがいれば、シティからそこへ移動できる」「PTメンバーがどのロビーに居たかはミッション受注時点で保持される」というシステムを利用して、タクシーと呼ばれるロビー間移動用のパーティーを形成し、多くのユーザーがこの恩恵にあずかった。
    • 後にイルミナスの野望で「一度行った事のあるロビーに有料で移動できるようになる」機能が追加され、この風習は消え去る事になる。
  • 2.ユーザーが一点集中する
    • 1.の問題のせいで、目的の中継地点に着いたらそこから動かないプレイヤーが続出。効率的なミッションが知れ渡るにつれてさらに人口が集中し、大賑わいか過疎地の超二極化が進んだ。この為、後続の低レベルプレイヤーは無人のシティでレベル上げをするが他人に会う事すらなく、いつの間にか辞めていくという事態が頻発した。
    • ゲーム内イベントが開催され、非常に有益なミッションが追加されるとプレイヤーが殺到した。
      逆に言えば、常にイベントを起こすことで人の流れをコントロールできるといえ、実際に運営は有益なイベントを頻繁に開催して人が集中するような措置をとり続けていた。
    • サービス開始後2年以上経ってから、ストーリー上の重要拠点から全てのミッションが受注できるようになるという投げやりな対応がなされ、この問題も解決した。

チャット問題

ファンタシースターシリーズのチャットは比較的高機能かつ、表現が秀逸で、シリーズでも評価されている部分である。 しかし、MMORPG的なエリアの広がりを意識したにも関らず、それに即した機能の拡張を行っていないために至らない点が散見されてしまう。

  • PSUにも、他のネットワークRPGのようなサーチ機能が実装されている。
    • しかしPSUでサーチできるのは「フレンドカード(自分のプロフィールが記載されている)」を交換した相手を検索するフレンドサーチのみで、不特定多数をサーチできるユーザーサーチが実装されていない。このため自分のレベルにあった仲間を探したり、欲しいジョブ人材を探す事ができない。
    • さらに上記のロビー問題もあり、道中に成り行きでパーティに参加なども難しく、そもそも他人と出会うことすら困難。クエストを遊ぶ仲間を探すためにいくつものクエストをクリアしてロビーを渡り歩くという本末転倒なハメに。
    • また、ギルドやチームと言ったコミュニティ補助機能が一切搭載されていないため、固定のコミュニティを作る負担が大きかった。*8

合成問題

MMORPGの要素を取り入れ、プレイヤーがアイテムを合成するシステムが追加された。
一般的なゲームであれば、ユーザー間の仮想貨幣による取引のメインステージとなる重要なシステムだが、PSUのそれは世界観に合わせて適当に掻い摘んで導入したようないい加減な様相だった。

  • 誰でも簡単に合成が出来てしまう為、運が全てを左右する。
    • ゲームによっては戦闘での強さを求めてキャラクターを育成するとアイテムを合成・作成するスキルが満足に習得できず、そのようなキャラで強力な合成アイテムを求めるには他人に作ってもらう必要があったり、戦闘での強さを諦めてアイテム作成関連スキルに特化させて育成したキャラは生産者として需要がある、と言うゲームバランスになっているゲームは多々存在するが、このゲームでは誰でも簡単に上限値に到達する事が出来る。上げられる能力には限りがあるが、ユーザーは4キャラクター作る事ができ、合成スキルも4種類なので何も問題はない。
    • この為、生産確率の低さだけがレアリティの高さに直結し、同じ防御力でも属性値の低い防具は捨て値なのに、高い防具は何百倍もするという事が平然と起こっていた。
  • 素材のアイテムが多すぎる。
    • 武器の種類が大量に存在するのは良いが、それをカバーするための素材アイテムが余りに多く、しかも大量に出土するためミッション中にランダム分配でかばんが満タンになる事が多い。レアアイテムもランダム分配なので、うっかり満タンになっていると抽選から除外されている事もある。これを狙って、レア彫りPTではわざとゴミ素材を拾い他人のかばんを埋めようとするプレイヤーや「レアリティの低い素材は拾うな」と主張するプレイヤーが存在した。
    • サービス開始から時間経過により当時レア素材だったアイテムがただのクズアイテムになっている事もあったが、それを拾った場合でも『プレイヤー○○がレアアイテム××を取得』と言ったメッセージが表示されるため、地味に鬱陶しい。
  • 合成に時間が掛かりすぎる。特に武器の作成に掛かる手間がとんでもなく多い上に運次第で報われない。
  • 武器完成までのプロセス

    武器の設計図である基板を手に入れる(店売りorレア 使用回数制限あり)。

    作成に必要な材料を集める(レア品含む)。

    基板に材料をセットし、数十分間~24時間待つ。

    一定確率で作成に失敗し、素材が失われる。
    高いもので成功率80~100%、低いものだと成功率5割を切る。

    作成した武器に指定した素材によってランダムな強度の属性値が付与される。
    (属性値の影響がとても高く、属性値の低い装備は使い物にならない。)

    一定確率で失敗する武器強化を行う。最大10段階。
    レアな強化素材ほど成功率が高くなる)
    失敗すると武器自体が完全に失われる。

    完成! おめでとう! 他の属性の武器も頑張ってね!

  • 『イルミナスの野望』では少しだけ緩和、サービス後半では直接的なレアドロップで武器を追加するようになり、基板システム自体が廃止されたPSPoシリーズと同様に形骸化した。

使いまわし問題

  • 武器の種類だけは馬鹿みたいに多いが、武器グラフィックの大半は色変更か使いまわしだった。
  • マップのテーマも殆どが使いまわし。それぞれのステージには火事風のモードと凍結風のモードが用意されているが、単なる水増し。
  • 通常版が発売されると同時に拡張パック発売が決定していた点は特筆に値する。しかも内容がほぼ通常版の使いまわしで変化が無い。
    • 前述のPS2問題で触れたアップデートのしにくさも使い回しを助長させている原因となっていた。
  • エネミーもボスも、姿かたちや攻撃モーションに使いまわしが非常に多く手抜き感が漂う。
    • 例を挙げると、ディ・ラガン、ゾアル・ゴウグ、ビル・デゴラス、ディ・ラグナス、アルテラツゴウグという五体の巨大ドラゴンは、全て四足歩行・首が長い・小さめの翼・二股に分かれた尻尾を持つという全く同じ骨格を流用している。(一応、ディ・ラグナスとアルテラツゴウグは首も2つになっている。)
      攻撃技も、突進、ブレス、尻尾薙ぎ払いといった全く同じ動きばかりで、目新しさが感じられない。強いて見られる違いと言えばブレスがビームか弾状かという程度。それでいてビジュアルや属性はバラバラであるため、装備やステージと同じく、水増しだとの評価が強い。
    • なお、上に挙げたのはほんの一例であり、PSUのボスは殆どが同じ骨格を流用したものがそれぞれ2~3体存在している。
    • シリーズのラスボス格であるダークファルスも、第一形態は骨格と攻撃技、戦闘時のステージがディー・ロレイという蛇の姿をしたボスの使いまわし。第二形態はダルク・ファキスなる、オフラインストーリーモードのラスボスの最終形態から流用している。
      この2体は名前が紛らわしいばかりかビジュアル面も非常によく似ているために、混同する事態が多発し「ダークファルスとダルク・ファキスの違いって何?*9」という質問が飛び交う事態になった。
    • 因みにダルク・ファキスの第一形態の骨格はマザーブレインのものと全く同じ(ステージから生えた人型の上半身、肩から伸びる巨大な腕、バリアーや地面を這うように進む飛び道具を放つ…等々)。

その他の問題

  • 舞台となっている3つの惑星のうちの1つが初期のオンラインでは解放されていなかったり など出し惜しみもひどい。
  • ミッションごとに難易度が4段階設定されており、難易度を上げると敵が劇的に強くなるのだが、その経験値は敵の強さに全く見合っていない。
    • ドロップアイテムの質がよくなるという利点もあるが、ただ単にオンラインゲームの悪習であるプレイ時間の水増しを狙った感が強い。
  • PC版では不具合が多発しているといわれる「nProtect GameGuard」を使用しており、ただでさえ低いこの作品の評価をさらに落としている。
  • 1年後に続編バージョンとして『イルミナスの野望』が発売されたため、ストーリーEpisode 1がやりたい人以外にとっては無用の長物と化した。
  • ネットワークモード専用のストーリーEpisode2は作成したプレイヤー視点で参加することになるのだが、物語にかかわるというよりはNPCたちの活躍を俯瞰するような展開で一貫している。
    ぶっちゃけ「空気」といって差し支えないほど存在意義がなく、ユーザー間からはキャッチコピーをもじって「英雄はお前じゃない」など、散々に揶揄される結果となった。

評価点

豊富な感情表現・チャット機能

  • お礼、お辞儀、喜ぶなどのアクションは非常に良く作りこまれており、ダンスやキックなど種類も非常に豊富。
    チャット中に出せるカットインも表情や向き、背景などを選択できるため会話の盛り上がりに一役も二役も買っていた。
    このゲームでのチャットを楽しむためだけにインし続けるユーザーも存在するほどだった。

多彩なキャラクタークリエイト・カスタマイズ

  • PSOで好評を得たキャラクタークリエイトはさらに進化し、体系のほかにも顔のバランスも変更可能に。
    服装に至っては前作と違い戦闘タイプに縛られなくなり、爆発的に選択肢が広まった。 個性的なキャラクターを作る、という面にかけてはこの時点で卓越した素質を持っていたといえよう。
  • パラメータを増減する装備としての防具は『シールドライン』という装備アイテムになった。
    服の一部の発光色がこの防具の属性に反映されるようになっているが、ほとんどは最初からこれを前提にデザインされているため特に問題にはならなかった。
  • キャラ造形・服装を戦闘面からほぼ完全に分離した構造を持つ3Dゲームは、本シリーズを除けば数えるほどしか存在しない。
    本作以降、根強いファンプレイヤーをつなぎとめる大きな要因になったことは間違いないだろう。

簡単に進められるストーリーミッション

  • 一般的なネットワークRPGではメインストーリーにかかわるミッションは多数のNPCに話しかけてフラグを立てたり、
    大勢で強大な敵を倒すなど、メインコンテンツ相応の骨太な難易度に位置づけられている事が多いが、
    PSUでは専用のミッション群にメインストーリー関連は全て集約されている。
    これには難易度も複数段階用意されており下限もそこそこ低く抑えられているため、ライトユーザーでも手軽にストーリーの本流を楽しむことが出来た。
    • ストーリークエストでしか手に入らないアイテムや、EP3では選択肢による分岐も存在するなど独自の要素も盛り込まれている。
    • なお、EP3終盤のストーリーミッション最高難易度には一定時間内に特定条件を満たしてクリアすると手に入る限定アイテムがあったが、あまりの厳しさに高性能PCがないと不可能とまで言われるほどであった…が、有志の研究により低スペックPCやPS2版でも入手できる方法が確立されていき、条件は厳しいけど工夫すればクリアできる範囲に落ち着いた事で、問題点に挙げられることはなんとか回避された。
  • ストーリーの展開やプレイヤーキャラの扱いこそ評価されなかったものの、一新された世界観の設定は細部まで練り込まれており、これまでと同様にスピンオフや続編を生み出す土台として十二分に機能した。
    • 上記「シールドライン」などシステムとして使う作中の技術の多くにも、ゲーム内での設定解説が用意されている。

総評

見吉氏はPSO発売当時から『 (PSOの)どこにそんなに皆がハマる要素があるのかわからない 』とインタビューなどで発言していた事があった。
その彼が率いる開発チームが何年も費やして出来た代物は、他の作品から本質も理解せずに適当に掻い摘んだ要素を詰め込み、見せ掛けだけグレードアップして手抜きと水増しに終始した、アクションとしてもRPGとしても中途半端な出来のオンラインソフトである。

純粋にネットゲームとして見れば、初期の中途半端な出来を早急にアップデートで補うことができれば、携帯機での続編が証明してみせたように程ほどのゲームに落ち着く可能性を秘めていた事はユーザー自身が肌身で感じていた。*10
にも関らず根本的な問題点、本来修正されるべき点は全て携帯機での続編にのみ適用され、PSU自身にメスを入れられる事は一度もなく、イベントや課金コンテンツなどの水増し・延命措置ばかりが取られ一度も盛り返しの努力はなされないまま、後継作であるPSO2がサービス開始してから約2週間後にまるでタイミングを見計らったようにPSUが2012年9月27日をもって全サービス終了が告知された。

多くのフィードバックをやりとりし、それまで長い間遊んでいたユーザーたちに対して何か出来る事はなかったのだろうか…
今となっては全てが後の祭りだが、せめてこの作品の失敗がこれからのセガの作品に活かされる事を望むばかりである…


余談

  • 2006年度のクソゲーオブザイヤーでは『聖剣伝説4』との激戦の末、見事大賞を受賞。KOTYでは「全てのクソゲーを過去にする」と称された。
    • ただし、KOTY本スレのテンプレに「2006年あたりまでは割と適当に選考されてたので、あまり過去の受賞作にツッコまないであげてください」とあるように選考基準が激変する以前の受賞であり、この後に出た受賞作に比べれば、明らかにゲームとしての体裁はしっかりと固まっており、クソゲーとしては明らかに見劣りする大賞作品となっている。
      「全てのクソゲーを過去にする」と評価された本作が次の年に過去にされる皮肉を予想できた者は少なかっただろう。
      厳密に言うと本作の悪評は「前作や、一般的なレベルのRPGやMMORPGと比べた場合」の落差が著しい、という点に立脚している。
    • とはいえ、本作のXbox360版発売から間もなく別の看板シリーズでも同程度の落第作が世に出てしまったことを鑑みるに、2006年末はセガにとって悪夢の冬だったに違いない。
  • 初期、度重なる不具合に耐えかねたプレイヤーはプロデューサーである見吉隆夫氏のブログに殺到。にもかかわらず当の見吉氏はバランスボールで遊ぶ旨を同時期に公開しブログが炎上(通称「バインバイン」)。同ブログは2006年11月20日を最後に更新が途絶え、コメントも放置されている。
    • ちなみにその後見吉氏はシリーズチームから外され、2009年に「珍道中!!ポールの大冒険」、2016年に「Crazy Open Car」「僕と私のキズナモンスター」のプロデューサーを務めたのち、2020年より株式会社トライエースのプロデューサーとして活動中。

運営の拙さ

ルーム型のMORPGに過ぎなかったPSOと異なり、 サーバー保存型のキャラデータ、ゲーム内経済などMMORPGの要素を多数盛り込んだPSUの運営は比較になるものではないのだが、運営側は雑誌インタビューで『6年間のノウハウ』を豪語し、自信を覗かせていた。 しかし、いざ運営がスタートするとイチローオンラインに代表される失態を重ねた上にその対応もワールド分割・有料ベータテストという最悪手を繰り返した。

  • さらにイベントを盛り上げるため、期間中限定ミッションに通貨流通量を遥かに上回る報酬とレアアイテムを詰め込む事を繰り返した結果、元々かなり強烈な絞り込みの中で必死にレベリングや金策を行っていた多くのプレイヤーがイベント期間以外のプレイに価値を見出せなくなり、平常時のプレイヤー人口が激減。
    • この対応として、何かしら理由を付けて頻繁にイベントを開催するようになり、2008年ごろからはイベントをやっていない期間の方が短くなった
  • 2009年6月には課金要素のガーディアンズキャッシュ(GC)を導入。
    GCでミッションプレイ権を購入し、そのミッション内で装備の確定強化や修復、限定装備を取得できると言うもの。
    初期のGCミッション限定装備はそれまでの最終装備を遥かに上回る装備ばかりで、それまでまがりなりにも(イベント中の)プレイ時間が報われる形になっていた物が破綻する形になり、多くのユーザーが難色を示した。
    • クレームが多かったのか、その後のGCミッションで手に入る装備は見た目やエフェクトが特殊なものである程度で、性能面で既存装備を完全に上回るものは殆ど追加されなくなった。

その後の展開

  • 携帯機向け移植作として『ファンタシースターポータブル』がPSPで発売された。
    • 当時大ブレイク中のMHP2Gの勢いに便乗するかのように共闘プレイ・アイテム収集をメインに調整したのが功を成し、PSP版は売上ハーフミリオンを突破。
      独自の路線を築き本家から孤立してしまう形になったとはいえアクションなどのゲーム性を大幅に改善したまで作られ、これらもそれぞれハーフミリオン突破するほどの好評を得た。
    • 当時の本家『イルミナス』は小康状態とも言えるローテション運営が続いていたが、PSP版の発売後に大幅アップデートが決定し、その移植シリーズの売上のおかげで延命がなされた事は誰の目から見ても明らかだった。その経緯から、追加アイテムやミッションにはいわゆる逆輸入も少なくない。
  • 実質拡張パックともいえる『イルミナスの野望』発売後も、ネットワークモードは無印版と並行して運営されてきたが、2009年10月以降は『イルミナスの野望』がないとネットワークモードがプレイできなくなった。
    • その後、上記にもあるが2010年3月31日にXbox360版を除く海外版、2011年4月14日にPS2版『イルミナスの野望』のオンラインサービスが終了した。
    • そして、Windows版シリーズ新作(+Playstation VITA初進出作)である『ファンタシースターオンライン2』のサービス開始に伴い海外版を含むXbox360版のオンラインサービスが2012年9月7日、Windows版のオンラインサービスが2012年9月27日に終了した事によって、PSUのオンラインサービスは全て終了した。
  • サービス終了発表前には1日50人程もアクティブプレイヤーが居なかったと有志の人口調査で推測されている。
    • PSO2への移行や2012年10月にはWindows 8という新OSが控えていた事による対応も含め採算的にもやむを得ない処置だったのだろうが、サービスの寿命を出し切ったとは到底言えない幕切れというほかないだろう。
  • 2020年東京オリンピック開会式のゲーム音楽メドレーに同作の「Guardians」が使用された。
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  • Xbox360
  • Windows
  • ファンタシースター
  • 2006年
  • KOTY大賞
  • RPG

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最終更新:2022年11月07日 19:00

*1 専用ハードディスクドライブは使用しない。

*2 死ななければ安い、の略。元は格闘ゲーム『ギルティギア』シリーズのキャラクター・チップを使うプレイヤーの間で生まれた言葉で、素早さと手数が多い代わりに防御力が非常に低く設定されているこのキャラは、ある程度以上の威力のコンボなら他のキャラクターだったら死んでない所からでも即死する事が珍しくなかった。そのため、予想に反して生き残った時に(たとえそれが体力の大半を持っていかれる大ダメージでも)「死んでいないのだから安い」と表現したもの。そこから転じて、死にさえしなければいくらでもリカバリーが効いてしまう状況・ゲームバランスを「死な安」と表現するようになった。

*3 追加される新規グラフィック装備はPS2ではすべて初期服に見える、など。

*4 当初はEP3のストーリー部分をオフラインでもプレイできるようにPS2版も追加ディスクで対応させる計画はあったが、初動運営の失敗の影響で断念せざるを得なかったとPSOブログに書かれている。

*5 当初は3月末の予定だったが東日本大震災の影響で延期された。

*6 後に影響度は減少されたが属性以上に影響のある要素が無かった為、属性偏重の方針は変わらなかった

*7 後の調整である程度緩和されたが、もっさり感がそのままなのはサービス終了まで。

*8 それでも全盛期には多くのコミュニティが存在していた。

*9 ネタバレしてしまうと、「ダルク・ファキス」は「ダークファルス」の劣化コピーのような存在だそうな。これに引っ掛け同作で模造品を意味する接尾詞がつき「ダークファルスック」と揶揄されたことも。

*10 ディスクが出せない=システム周りの修正や追加が出来ないという事ではない。開始当初猛威を振るったシフキャンの修正や、イルミナス発売前に先駆けてJA・JCの追加が行われている為、モーションやシステムレベルで手を加える事はPS2稼動中ですら可能のはずだった。