涼宮ハルヒの激動

【すずみやはるひのげきどう】

ジャンル 非日常系学園振り付けアクション(リズムアクション)
対応機種 Wii
メディア 12cm光ディスク 1枚
発売元 角川書店
開発元 ドロップウェーブ
発売日 2009年1月22日
定価 7,140円(通常版)
9,240円(超DXパック)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 クソゲー
ポイント ただの人間にはクリアさせません!
劣悪な操作性と薄いボリューム
ダンスCGのクオリティは高い
かみまえあきら
涼宮ハルヒシリーズゲームリンク


概要

  • 人気ライトノベル『涼宮ハルヒシリーズ』を原作とする、テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』を題材としたゲーム。
  • 「ダンスの特訓」という設定のもと、アイコンに応じてWiiリモコンを動かして、リアルタイムで振り付けを指示していく。画面には3DCGでキャラクターたちのダンスが描かれ、大きな魅力となっている。
    • 「ダンス体感ゲーム」とは呼べない内容であり、「入力をWiiリモコンの動きで行う音ゲー」と考えたほうがよい。
  • 「超DXパック」には「海洋堂フロイラインリボルテック:涼宮ハルヒ 制服ver」&「平野綾 Premiumムービーディスク from 涼宮ハルヒの激動」がついてくる」*1

特徴

ストーリー

  • 商店街主催のダンス大会のチラシを見たハルヒは、優勝してSOS団を世に知らしめるために、団員たちにダンスの猛特訓を命じる。
    • ダンサーは涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、長門有希のメインヒロイン3名。主人公のキョンは振り付けの指示担当となり、これをプレイヤーが操作することになる
    • 古泉一樹はレフ板持ち係などを担当。ゲーム内では、チュートリアルでの説明役を担当する。もちろんADVモードにも登場する。

ゲームシステム

  • 操作は全てWiiリモコンで行う。
    曲に合わせて、画面下部のレーンに、右から左へと人型のシルエットが次々と流れてくる。これが判定ポイントに達するよりも先に、シルエットのポーズが示している方向にWiiリモコンを動かす。
  • 指示される方向は、上下左右ナナメの8方向+ニュートラル。後半の章(ステージ)では、WiiリモコンのABボタンも操作に加わる。
  • ストーリーモード
    • 本作のメインとなる一人用モード。全12章で構成され、各章の開始前には物語を展開するADVモードが、終了後にはキョンとハルヒによる「次回予告」が挟まれる*2。また「ボーナスゲーム」が発生する場合もある。
      ミスによるライフ減少が規定値に達するとゲームオーバー。また第十章終了時に総スコアが30万点に達していなかった場合は「ダンス大会中止」という結末を迎えてしまう。
  • フリーモード
    • ストーリーモードでクリアした章の楽曲を、自在な難易度、衣装、背景設定でプレイできる。全クリア後はオートプレイ(PV鑑賞)も可能。
  • 対戦プレイ
    • 2~6人用の対戦モード。ルールや難易度を細かく設定可能。

収録楽曲

  • 『涼宮ハルヒの憂鬱』(TVアニメ第一期)のテーマ曲、挿入歌、イメージソング、そして本作のための新曲などが収録されている。既存曲の音源はCDに収録されているものをそのまま使用。
  • 恋のミクル伝説(第一章)
  • 冒険でしょでしょ?(第二章)
  • 雪、無音、窓辺にて。(第四章)
  • ◎みらくるアンコール(第五章)
  • ◎Greed's accident(第六章)
  • ◎空前未満は見せないで(第八章)
  • 最強パレパレード(第九章)
  • ◎とろでん(第十章)
  • ハレ晴レユカイ(第十二章)
  • ハレ晴レユカイ TVサイズ(クリア後にフリーモードで使用可能)
  • ()内はストーリーモードにおける章。
  • ◎付きの曲は本作オリジナルの新曲。他にプレイ対象外の新曲(EDテーマ曲)として「BE BE BEAT!!」を収録。第三、七、十一章の使用曲はインストBGM。

問題点

  • Wiiリモコンによる操作が難しい。 このたったひとつの理由により、本作はクソゲーと呼ばれている。
    • そもそもWiiリモコンは、あまり精密な動きを感知できるデバイスではないのだが、本作はそれを無謀にも音ゲーの入力に用いている。そのせいで操作難易度が極めて高く、多大なストレスを招くゲームとなってしまっている。
      • 単に難しいというだけでなく「正しく入力したはず(つもり)なのにミスと判定される」「自分のプレイのどこが悪いのか全くわからない」という理不尽さを感じさせることが多い。
    • 「ハルヒと一緒にレッツダンシング!」というキャッチコピーやPVなどを見ると、Wiiリモコンを手に画面に合わせて踊る体感ゲームのような印象を受ける。だがそれは大きな間違い。そんなことをするとミスの連発となり、ゲームオーバーが待っている。
    • 本作では常にWiiリモコンを垂直に保持することが要求されるので、画面に合わせて踊るようなことができるはずもない。垂直を崩さないように注意しながら、迅速かつ正確に、無駄のない動きでキビキビとWiiリモコンを動かなくてはならない。
      その姿は「まるでロボット」「ライトセーバーで敵の攻撃を防御する動き」「祈祷」等に喩えられた。
    • 3DCGで描かれた女の子たちが、画面の中で楽しそうに踊っているのを見ていると、ついこちらも気分がノってきてダンス的な動きをしてしまいがちだが、そこは心を平静に保ち、機械のような動きに徹する必要がある。
    • さらに、どうやら一度でもミスをすると、その動きを基準に判定が狂っていくようで、以後は正確に操作してもミス判定が頻発するようになる。動きをあれこれ変えてみても状況は一向に好転せず、もはや訳のわからない状態に陥ってしまう。
  • Wiiリモコンの操作性の悪さは、ボーナスゲームにも及んでいる。
    • 「あっちむいてホイ」と「ホームラン対決」(野球のバッティング)の2種類があるのだが、後者の操作性は劣悪で、ほとんどプレイ不可能に近い。前者もWiiリモコンの指した反対方向に判定されることが多く、またそれ以前に何度もジャンケンを繰り返す必要があるため精神的な徒労感が大きい。
    • 開発関係者の証言によればボーナスゲームは当初は存在せず、本来の発売日が過ぎた時期(マスターアップの1ヶ月前)に、企画側の要望でいきなり追加することになったという。
  • 譜面の質が低い。
    • コマンドを入力するタイミング(拍)が、ボーカルや特定の楽器に合わせたものではない。ダンスの振り付けの指示タイミングなのだと言われても、デタラメに決められているとしか思えない。そしてWiiリモコンを動かす方向も、ダンスの動きを反映していない。
  • 効果音のセンスが悪い。
    • 入力に成功した際のSEが「ファッ」という間抜け音であり、気分が削がれること著しい。ダンスの特訓なのだから手拍子にするか、あるいはタンバリンの音にでもしておけば雰囲気が保たれただろうに。
  • ボリュームが乏しい。
    • ストーリーモードはADVパートを飛ばすと小一時間ほど、ADVパートをちゃんと観ても二時間程度で終わってしまう程度の分量である。
      もっとも操作性の悪さに悪戦苦闘することになるので、よほど慣れた人でなければ、実際にはもっと時間がかかるのだが。
  • 「対戦プレイ」ではレーンが縮小表示されるため、一人プレイ時以上にシルエットの見分けがつきにくい。
  • ダンスCGのクオリティは高いが、次のような問題点もある。
    • 衣装の一つ「学校制服」のスカートが不自然に横に広がっている。腿の動きと干渉することを避けるための措置なのだろうが、最も頻繁に目にする衣装なだけに違和感が大きい。
      • これがPVなどで広く公開されたため、本作のビジュアル面までも過小評価される一因となってしまった。
    • キャラの身長差がほとんどない。本来であれば、ハルヒとみくるは約6センチの差があるはずなのだが。
      • 胸サイズや骨盤の大きさなど「横」の体格差はちゃんと再現しているのに、なぜ「縦」がおざなりなのか。おそらくこれも技術上の問題なのだろう。
    • 振り付けのクオリティが均一ではない。「冒険でしょでしょ?」「ハレ晴レユカイ」などの有名曲には質の高いダンスが用意されている一方で、最初から最後まで3人の動きが全く同じという、ちょっと手抜きっぽさを感じるダンスも多い。
  • ADVモードの問題点として、立ち絵CGの枚数が少ないことがあげられる。そのせいで休日や深夜でも全員が制服を着用しているなど、違和感を覚える箇所がちらほら。
    また、音声と口パクが大きくずれるというミスが目立つ。
  • よりにもよって、あの名曲「God knows...」が収録されていない。
    • 元々ダンスのない曲だという事情はあるのだが*3、似た境遇の曲が数曲収録されているため、是非入れてほしかったという声は残っている。

評価点

  • 3DCGで描かれたキャラクターたちのダンスは、非常にクオリティが高い。Wiiというハードの中では間違いなく最高クラス。
    • 各ダンスは専門家に振り付けを依頼し、ダンサーに踊らせてモーションキャプチャーしたもの。躍動感にあふれ、とても楽しく可愛らしい。
      • 全体的にステージングを強く意識しており、各人の立ち位置が動的に変化していく、見所たっぷりのダンスである(互いに手がぶつかるはずの距離に立っているのはご愛嬌だが)。
      • 全員が同じ振り付けで踊っているシーンでも、よく見ると長門は脚の開き幅が小さく、みくるは時々ステップがもつれるなど、それぞれのキャラクター性までもが動きの中に盛り込まれている(もっとも先述の通り、全ての曲のダンスがそこまで細かく造りこまれているわけではない)。
    • 「曲のサビで花びらや雪が舞う」「見せ場で指先から光の五線譜のようなものが出る」など、各種の美しいエフェクトも雰囲気を盛り上げてくれる。
  • 新曲の多くは既存曲と同じ作詞家・作曲家によるもの。いずれも隠れた名曲として、ファンから高く評価されている
    • ただしハードコアテクノの曲調を取り入れた電波曲「とろでん」は賛否両論。音ゲーとして考えれば、多彩なジャンルの曲を収録することは決して間違いではないのだが。
  • 多彩な着せ替えが可能。制服、私服、体操服、チア服、メイド服*4、「激奏」衣装、さらには水着やバニーといった眼福なものまで、全12種の衣装が用意されている。
    • アニメでは見られなかった「長門バニー」も登場。イラスト等では白で描かれることが多いが、本作では青色である。
  • クリア後のフリーモードではSOS団員だけでなく、鶴屋さん、朝倉涼子、喜緑江美里、そして朝比奈みくる(大)などにダンスを踊らせることもできる。
  • 原作ファンには嬉しいおまけモード。
    • 占いモード「涼宮ハルヒのお告げ」、読書する長門をただ見守るだけの「長門ビューワー」、WiiリモコンのABボタンに音声を割り当て、ゲーム進行とは無関係にリモコン側のスピーカーから声が出る「みくるリモコン」など、馬鹿馬鹿しくも楽しいおまけを実装。さらに「お告げ」と「リモコン」は、条件を満たせは他のキャラも使用可能。
  • ADVモードは全員フルボイス。絵のクオリティも標準レベル。
    • ただし、ADVに関しては上記の「音声と口パクが大きくずれるというミスが目立つ」という問題点があるので…。
+ 参考動画

総評

  • Wiiリモコンによる操作性の悪さが全てを台無しにしてしまっている、一点突破型のクソゲーである。他の部分、特にダンスシーンのCGが優れているだけに、残念なことこの上ない。
    • もし操作性が良かった場合は、良作まではいかないものの、かなりの評価が変わってた可能性もありえる。
  • 「このソフトが悪いというよりも、Wiiリモコンというデバイスに問題があるのでは?」などと言われることもある。
    しかし、本作より以前に発売された『ハッピーダンスコレクション』(2008年10月23日)では、Wiiリモコンを手に持って画面に合わせて踊るというコンセプトを(多くの制約つきではあるが)ほぼ実現させている。また『メジャマジ・マーチ』(2009年4月23日)では、Wiiリモコンの動きを単調な往復運動に限定し、その運動速度を検知することで、ゲームとして成立させている。
    それらと比較すると、本作のコンセプトやプログラミング技術には、稚拙な部分が目立つと言わざるをえない。

余談

  • クソゲーオブザイヤー2009(据え置き部門)のスレッドに選評が投下され、審議の対象となった。
    しかし「難しすぎる操作性も、そういうものと思って対処すれば遊べないことはない」「キャラゲーとしてのポイントは押さえられており、満足している購入者も多い」ということで、選外となっている。
    • 原作やアニメに出ている「SOS団」が「そう簡単に お前らに サービスはしない涼宮ハルヒの団」の略ではないのか と言われた*5
    • その他原作のセリフになぞらえて「ただの人間にはクリアできません」などと揶揄された事も*6
  • 長門のスカートが“消失”するという、再現性の高いバグが発覚し、多くの紳士淑女たちが色めきたった。しかしその下には、パンツや尻も存在していなかった……。
  • ダンスの背景をグリーンバック(緑単色)にする裏技が発覚。MAD素材として喜ばれた。
  • エンディングテロップにおいて、作曲家である神前暁(こうさきさとる)氏の名前に「かみまえあきら」というふりがなが振られている。難読であることは確かだが、一文字たりとも合っていないというのは残念すぎである。
  • 書籍「超クソゲー3」(2011年)に本作の開発関係者のインタビューが掲載されている。プログラマーは新卒とWii未経験者の2名だけで、はっきりした仕様も固まらないまま開発をすることになって相当苦労したらしい*7
  • 同じWiiソフトに『涼宮ハルヒの並列』があるが、こちらは良作である。しかし『激動』の影響で売り上げが思うように伸びなかったため、良ゲーなのにワゴンセールになるという、とんだとばっちりを受けている。
  • 涼宮ハルヒシリーズの楽曲で構成された音ゲーという触れ込みの本作だが、『太鼓の達人』や『Dance Dance Revolution』といった他社の音楽ゲームでも同作出身の楽曲をプレー出来るので、ハルヒの楽曲目当てに本作をプレーする意義は殆ど無いだろう。