キョンシーズ2

【きょんしーずつー】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 タイトー
開発元 シンキングラビット
発売日 1987年9月25日
価格 5,500円
判定 クソゲー
ポイント 数々の不親切極まりない設定
お使いゲー
有り得ない住人の不快な態度
いくじなしは、わたし、だいっきらいよ!

ストーリー

(※説明書記載の物を要約)
「幽玄道士」1作目におけるキョンシー騒動の後、故郷で師匠の葬式を済ませたチビッ子四人組はテンテンの住む町へ戻ることになり、その途中で野宿をしていた。
しかし町では第2のキョンシー騒動が始まっていた。テンテンが封印の施された霊界門を見つけたがちょっとした不注意からテンテンも気づかぬまま霊界門の封印が解かれた状態になってしまう。
その夜、封印が解かれた霊界門から大悪霊とその子分たちが飛び出し、墓場に眠るキョンシーを街の中へ呼び寄せた上におじいちゃんの魔法道具(仏具)を持ち去ってしまう。
さらに解き放たれた悪霊たちの魔の手は野宿していたチビッ子四人組にも及び、一人は命からがら逃げだせたものの残りの三人は魂を抜かれて連れ去られてしまう。
仲間の魂を取り戻すためには、キョンシーや悪霊たちを倒さなくてはならない。はたしてテンテンやおじいちゃん、そして町の人たちは助けてくれるだろうか。

概要

当時、映画やテレビ番組で子供達に人気のあった「幽幻道士(キョンシーズ)シリーズ」をタイトーがゲーム化。
といっても本ゲームのストーリーは原作とは無関係。テンテンや金おじいさんは脇役として登場し、主役はチビクロ、スイカ(スイカ頭)、デッパ、トラ(チビトラ)の4人。
街にあふれたキョンシーを倒すため、4人(の内の1人)が立ち上がる。
なお、本作は「キョンシーズ2」というタイトルであるが「幽玄道士(キョンシーズ)」の続編という位置づけで製作された物なのでゲームソフトとしての「キョンシーズ1」は存在しない。
また、映像作品としての「幽玄道士2」とも無関係である。

特徴

4人の主役のうち1人を主人公として選びゲームを進めていく。4人にはそれぞれパラメータ面や覚える必殺技、関わる人々に違いがある。
おおまかなメインの流れはRPGで、建物に入るとアドベンチャー形式、キョンシーに出くわしたり迷路に入るとアクション形式と3つの要素を含んでいる。
街中を歩きまわってアイテムを集めて、お使いをこなしたりしてゲームを進め、夜の街中、霊界、地下水路、洞窟を歩き回り妖怪やキョンシーをカンフーで倒して……といったゲームなのだが…。

このゲームの目的…?

  • ゲーム画面でキャラクターを選んだ直後、前置きのストーリーも何も語られぬまま、いきなりフィールドマップに放り出され後はプレイヤーに丸投げの状態というまるでどこかで見たことがある様な展開。なのでまず何をしたらいいかがわからない上目的地はノーヒント。あまりのノーヒントぶりにプレイヤー自身の足の手探りで探すしかないのだが、とにかく目的がつかみ辛い。本作と同じタイトーが去年に出したかの有名なクソゲーに比べれば幾分マシな部類だが、それでも厳しい。プレイ開始早々お寺に入り、テンテンのワガママを叶える為に奔走することからゲームは始まるのだが…。
  • 実際の大まかな流れは、お寺から盗まれた幾つかの仏具を、地下水路や洞窟にいるボス妖怪を倒して取り戻し、重要アイテムや装備を揃えて霊界に行って妖怪の総大将を倒すと言った単調な流れであるが…
    • あまりのノーヒントぶりから「ただひたすらキョンシーと戦い、おじいさんからお小遣いを貰うだけのゲーム」と思った方もいるのではないだろうか。

問題点

展開としては単調ではあるが、とにかくノーヒント。そして幾多の 不親切極まりない謎設定
ヒントを得るにしろ行動や物を貢ぐといったことが(殆ど)要求されるのだが、とある場面を除いてはフラグが立つわけでもなく最初から判っていれば、実質は無駄な労力に終わる。
例えば最初のイベント。お寺に入るとテンテンから二つの品を要求されるが…?

  • 建物が分かりにくい。出入り口も分かりにくい。
    • 買いに行けどもマップの建物はとても多くシンボルも似たり寄ったりで看板すら存在しない、そのおかげでどれがどの店か分からない。結局片端から建物に入って店を探すはめになる。
    • 一見すると正面図に描かれたマップで出入り口が一方になっているように見えるが、実際は建物の出入り口が前後左右に存在するために見落とすこともある。
  • 所持できるアイテムは一個だけ…?! 無駄に設定されている『かばん』の存在。
    • 要求された品は二つ一緒に貢ぐ必要があるが、持ち物は特別なものを除き基本的に一つしか持てない。二つ目を買おうにも『これいじょうもてない』の表示され序盤から路頭に迷うこと請け合い。
      • 解決法としては持ち物を複数所持できるようになる『かばん』を先に買うのが正解。妙に現実的だが、ほぼヒントが無く*1気づく人はまずいない。ゲームジャンル的に複数持てて当たり前な事*2なのだが…。
  • 一部、投げっぱなしも甚だしいイベント。
    • とある八百屋に行くと店主の老婆に「これを息子に渡しな。」と言われて『にんじん』を手渡され、そして主人公は店の外に出る。息子が何処の誰なのかは言ってはくれない。
    • 霊界門を金おじいさんに開いてもらうと「霊界門を開こう。ぬかるでないぞ。」と言われ、そして主人公はお寺の外に出る。開かれた霊界門が何処にあるのかは言ってはくれない。
    • 他にアイテムや進行のヒントは貰えても、実際どの場所にあるか、どの施設にあるかは細かくは教えてはくれない。
  • 住人の投げやりなキャラ設定と酷さ。冷たい態度
    • キャラクター毎に実は、有利に利用できる建物やお店が別々にあったりするのだが、それ以外の場所や無関係な建物にいくと冷たくあしらわれたり、拒否されたりする。
      • 銀行に行けば「ここはお前が来るようなところじゃないよ。」とあしらわれ、
        薬局・商店に行けば「お前には売れないよ。」と非人道的な態度をされ、
        質店に行けば「お前のものは引き取れないよ。」と拒否され、
        飯屋に行けば「お前に食わせるものはない。でていけ!」と罵られ、
        挙句の果てに民家にいけば「何の用だい。」「用がないなら出て行ってよ。」と言われる。(全て原文ママ)
        無論4人はこれらの住人に対して非があるわけでは無い。
      • 一応フォローすると、有利に利用できるお店では「まあ、かわいい子ね!半額で良いわ!」と半額で回復アイテムが購入出来たり
        「こんなにやつれてかわいそうに。好きなだけお食べ。」と無料で食事が出来たりと、打って変わって好意的かつお得ではあるのだが…。
    • アイテムを貢げばヒントは貰えることもあるが、やはり素っ気無い態度。自分より小さい子供にまで言われることもある。
      対話のシステムが重要なRPGやアドベンチャーを取り込んでいるのに対話すらなっていない。ゲームにしてはあるまじき設定、もはや破綻している。ゲームなのに現実に戻される感覚にしてくれる。
    • 「みる」で「何をジロジロ見てるんだい」。「とる」で「何をするんだ!泥棒め!」と大概同じセリフばっかりになる。主人公自身がプレイヤーに投げかけるセリフが少なく寂しさすら感じさせる。
    • 後年になってこれに似たような設定を演出したようなアドベンチャーゲームが発売されている。
  • 街の地下水路や洞窟がキョンシーの巣窟
    • 夜はキョンシーが飛び回る町も昼間となれば全く出現しないが、そのかわり町の地下は昼間だろうが夜だろうがお構いなしに、多くのキョンシー化したモンスターやキョンシーそのものがウヨウヨ。よくこんな町に住めるものだ。
    • フィールドマップのマンホールや塔の穴から入る事ができるが、あるアイテムが無いと真っ暗で何も見えない。敵も見えないので見えない敵にタコ殴りにされ出口も分からぬまま死ぬこともある。
    • 迷路はかなり長大。地図も買えるが迷路が大きすぎて自分の周りしか表示されない。攻略情報でも見ない限り目的地に向かうのは難しい。
      • 長い道のりの最深部にいるボスは総じて弱く、殆どが壁際まで攻め込んでハメ殺すことが可能。あろうことかラスボスまでハメ殺しができてしまう。ボスは複数いるが、数種類同じ敵でスピードや攻撃パターンが違うだけだったりする。
      • 唯一ハメが通用しにくい「幽霊女王(青龍*3)」というボスも存在するが、コイツはランダムでワープを行う際プレイヤーに重なる位置に現れることがあり、こうなるとダメージ確定となるうえ、防具がない場合一撃でライフ最大値の1/3のダメージを受けてしまうという理不尽なボス。回復アイテムを切らしている場合3回ワープが重なるとゲームオーバー確定なので運任せの戦いを強いられることに…
      • 霊界と大霊界のボスは倒しても感慨がわかない。地下水路及び洞窟のボスは倒すと盗まれた仏具を入手する演出があるので一応は「ボスを倒した」という実感がわくのだが霊界のボスは倒しても(四聖獣の護符が手に入るにもかかわらず)ザコ敵と同様に消滅するだけであり、あっさりすぎる。大霊界のボス(ラスボス)に至っては倒すと後述のED画面に直接移行してしまう。悪の親玉の最期、大霊界からの帰還、魂を奪われた仲間たちの復活、平和になった街の賑わい…等の描写は一切無い
    • ちなみに地下水路及び洞窟のBGMはジャン・ミッシェル・ジャールの『OXYGENE part II』のアレンジである。著作権は大丈夫だろうか。
  • 武器や各道場で会得できる必殺技が役に立たない。
    • 必殺技は出し辛く、出せたとしても相打ちか一方的にかわされてしまう事が殆ど。普通に攻撃した方が早いし当てやすい。実は道場によって上段突き、上段蹴り、下段突き、下段蹴りのいずれかの威力が上がるようになっている。
    • その他にも棒や剣、槍、火炎瓶、たまご弾といった武器の攻撃もできるがやはり出しにくい。実は各キャラごとに得意武器が設定されてもいる*4のだが殆ど蹴る、殴る、ジャンプといったアクション攻略となってしまいシステムが台無し。
      • 得意武器はいずれも40000銭*5で売られており、得意とするキャラで使用すると上位武器「しりたたき(60000銭)」に匹敵する威力を発揮する、というもの。
    • 必殺技、武器使用はキーの同時入力をすることで発動するのだがその中にジャンプキーが割り当てられているせいで出しにくくなってしまった。
  • あまり居ない通行人。
    • 町中には道行く通行人がたまに登場するのだが特定の一人を除き、登場もランダム話す内容もランダム。重要なヒントが割と多く用意されているのでもう少し通行人と出会えればノーヒントという印象も和らいだと思うのだが…。
  • 倫理に引っかかる表現。
    • 『とる』コマンド
      建物の中には大体人がいるので、むやみに『とる』を選ぶと泥棒扱いされて追い出されてしまうことが殆ど。正しい表現だが、『化粧道具』と『特別霊の服』は盗むことが可能となっている。(『特別霊の服』は買えるが少し高価でわざわざ盗めるように裏口まで用意されており、どちらもクリアに必須なアイテムでもある。)と攻略に窃盗を推奨するような描写がある。
      • 『特別霊の服』を装備すると今まで謎だったパラメータが「幸運度」である事が判明する*6のだが何故その様な仕様なのかは謎である。「運が良ければ盗めますよ」ということを伏せたかったのだろうか?
    • 酒とタバコ。
      本作では購入が可能。ただしタバコは未成年ということで売ってはもらえない。お金は取られるかわりにヒントをくれるという表現がある。ゲームとは言え、主人公は全員未成年である。飲酒や喫煙といった描写は無いが、今となれば問題になりかねない描写である。(当時は未成年に対する飲酒喫煙の表現規制が緩かった。)
      • ただし酒に関しては「おじいさんはお酒が好きだよ」「師匠は『○○(酒の名前)』が好きなのだ」といったヒントがあるので「他人に渡す為に買っている」という名目はある。
  • 外海の存在
    • 街の四方を囲む城壁の南西部の塔から外海に行く事ができるが、存在するのは地下水路のショートカットとお堂のある離れ島だけ。周りが陸地に覆われて外に行くことも出来ずとても狭い。というか、明らかに容量の無駄遣い。
  • お寺の仏具が何故か盗まれすぎ
    • 原作上、お寺にいる金おじいさんは幽幻道士でテンテンはその孫娘という設定のはず。なのだがどういう訳か妖怪たちに仏具を殆ど盗まれまくっているというマヌケな設定になっている。
    • 実際はストーリーにある通りなのだがゲーム中では説明が無い。気づいていなかったとはいえ張本人であるはずのテンテンは前述の通りゲーム開始からワガママを言い出す始末。
    • 仏具を全て取り戻すと最強の武器「まほうのつるぎ」が手に入るがやはり出しにくいので使われない。
      • それよりもはるかに重要なのは「よくやったのう!つぎは れいかい じゃな。」と次の目的地を明確に教えてくれることである
  • 霊界のグラフィックが怖い
    • 最後に行くことになる霊界のエリアはほとんどがピンク色のオブジェで埋め尽くされているものの、その中には明らかに人柱(死霊)で出来たようなオブジェが散見されカオスさを醸し出している。一説にはトラウマエリアとも言われている。もっとも悪霊の跋扈する霊界なのだから当然ではあるが。
  • 最後の極めつけ、エンディングは…。
+...

なんと1人分のシナリオを終えただけの話で、エンディングにならない。つまり全員分のシナリオを同じ内容で繰り返しプレイしなければ正式なエンディングが迎えられない。というもの。
内容も設定も何もかもが苦行としか思えない不親切設定なのにもう嫌だこのゲーム
ちなみに全員分のシナリオを終えるとテキストの内容が変わり、スタッフリストと切り替わりでループする。…が、その内容も修行の為に都に向かう4人をテンテンが見送るというだけというもの。
そこまでやり込む位ならいくじなしで結構だと思えること請け合い。というか都に行かなくてもこのゲームで既に修行しているのでは…?

評価点

  • 当時としては先鋭的ないくつかの要素
    • アクションRPGにアドベンチャーの要素を取り入れたゲームは少なく、当時としては珍しい例であった。
    • フィールドに昼と夜の概念がある。『ドラゴンクエストIII』よりいち早く導入している。
    • エンディングの項目で述べた通り、クリアデータの概念がある。
      • これも『ドラクエIII』に先駆けての要素である。苦行なのが難点だが。
  • セーブ機能が付いており、お寺に泊まることでセーブができるようになっている。
  • 登場キャラクターは一応原作を踏襲している。チビキョンシーもイベントで出て来るが、作中の唯一の癒しがここだけ
    • ただしこのチビキョンシーも思わぬ罠となっている。可愛い外見と和むBGMによるインパクト、何より一度イベントが起こったということで見落とされがちだが、チビキョンシーを連れて出た後に同じ建物に入ると人が居りヒントを聞くことができる。それも結構重要なヒントが。
  • BGMは出来が良い
    • 通常時の中国っぽさのある曲や、ボス戦の緊迫感のある曲等。
  • アクション面でもそれなりに凝っている
    • プレイヤーはパンチ、キックがしゃがみ状態、ジャンプ状態で変化し、武器を装備すれば攻撃方法も変わる。さらに4人の主人公固有の必殺技も用意されている。
      • 結局使いづらい武器や必殺技もある為、行動としては単調になってしまいやすいが。
    • ボスもそれぞれ独特の動きをしてくるため、BGMも含めて数少ないアクションゲームとして楽しめる箇所である。

総評

幾つかの意欲的な試みは評価しうるものがあるが、不親切な設定や作業感たっぷりのゲーム性、そしてプレーヤの感情を逆なでするようなNPCの態度から、ゲームとしての評価は非常に低いものとなってしまった。
実際のところ、ノーヒントとよく言われるが必須アイテムや目的地などクリアに必要なヒントは全て用意されているので通行人を探したり町中の民家や施設などを訪れるなどして徹底的に情報を集め、ダンジョンを全て制覇するなど根気よくプレイしていけばなんだかんだでクリアできるようにはなっており、もう少しヒントを得やすく操作性が良ければと思わざるを得ない。