プロゴルファー猿

【ぷろごるふぁーさる】

ジャンル バラエティーゴルフゲーム
対応機種 Wii
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 エイティング、タムソフト
発売日 2008年10月23日
定価 6,090円(税込)
判定 クソゲー
ポイント 2008年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門次点
ストーリーモードなし
原作ファンも理解不能な人選
ゴルフゲームとしても成立していない
開始10分でエンディング
仕様どおり問題なく完成されているのにクソ
ファミ通クロスレビュー歴代最下位タイ
ワイは詐欺や! プロモーション詐欺や!
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概要

  • 藤子不二雄Ⓐ作の『週刊少年サンデー』掲載のゴルフ漫画が原作。貧乏な家に生まれた野生児・猿谷猿丸は類稀なるゴルフの才能を持っていた。賞金稼ぎのゴルファーとして生きていく事を決心した猿丸は影のゴルフ界の帝王・ミスターXの放つ刺客達に、兄弟達の応援を受けながら手製の木製クラブ一本で立ち向かう…という物語。
    • 奇想天外なゴルフコースと影のゴルファー達、「旗包み」「岩返し」といった荒唐無稽な必殺技が受けて大ヒットした。
  • 通称「猿」「ドギャー*1」。2008年KOTY七英雄の一つである。同じ年KOTY大賞や候補に上がったほかの七英雄とは違い、バグやフリーズ、原作レイプ、処理落ちや長いロードといった要素はない。そしてゲームバランスが悪いわけでもなく、メーカーの思った通りにきちんと作られている(はず)。
    • つまり、「仕様どおり問題なく完成されているのにクソ」なのである。その英傑ぶりは、「ストロングスタイル」「不条理ではない純粋なる無価値」と呼ばれ、今までクソゲーと言えば大なり小なり「バグによって台無しにされている」と言う側面があったクソゲーの新たなジャンルを開拓した。
  • なお、メーカー側はスポーツゲームを自称しているが、実際はプロゴルファー猿なりきりゲーム(バラエティーゴルフゲーム)にすぎない。

システム

  • ゲームモード
    • 1対1でホールごとに勝敗を決める「マッチ」、2~4人で合計打数で勝敗を決める「ストローク」、チュートリアル要素を含んだ「練習」がある。
      それぞれホール数や1ホール目の天候等を設定できるが、CPUとのマッチにおいては6ホール制でランダムな対戦相手となる。
      なお、CPUとのマッチに勝利すると、必殺技・使用キャラ・コースが解禁されることがある。
  • ショット方法
    • Wiiリモコンのポインタで打球の狙う場所を指定し、Aボタンでショット体制に入る。
      その際、キャラクターの調子や天候・現在位置によって必殺技などの特殊ショットに挑戦することができる。
      ショット体制に入ると「ギリギリ」といったグリップ音の文字(ドギャメーター)が現れて大きさが変化するので
      制限時間内(通常時は5~6秒、特殊ショットは約3秒)に文字が大きくなったときを狙ってリモコンを振ることで球を打つことができる。
    • パッティングは現在地からカップまでのラインが表示され、ボールの軌跡がカップに重なったところを狙ってスイングする形式。
      一般的なゴルフゲームにある「ラインを読んで左右に微調整する」といった要素はなく、残り1ヤード以内の場合「オートパット」となり自動的にカップインされる。

問題点

  • 誰がどう打っても数ヶ所しかない定位置に球が落ちるという、ルート分岐のある双六のようなシステム。
    • 要するに「A点からB点までのショットはこう飛んでここに落ちる」といったようにあらかじめ完全にモーションが決まっており、それ以外のショットは一切打つことができない
    • わざと打てないようなところに打とうとすると「打てません」と表示されたり、強制OBになったりする。OBになるのはスイングの操作をミスしたときのみで、ショットの方向は最初から数パターンに決まっているも同然の状態。
    • パットも方向を選ぶことができず、やることはタイミングよくリモコンを振るだけ。
  • キャラゲーなのに、ストーリーモードが存在しない
    • モードは「マッチ」(規定ホール対戦)と「ストローク」(自由対戦)と「チュートリアル」の3つだけ。
    • それが功を奏しているというのか、1回の対戦ですぐにEDが始まる(その時間わずか10分)。スタッフロールすらスキップ可能。
    • 対戦相手をCPUにする場合、好きな相手を選ぶことができずランダム選択しか用意されていない。このため、自分が対戦したい相手がいる場合は何度も繰り返して選択し直さなければいけない。
  • 使えるキャラクターは「猿丸、紅蜂、ドラゴン、ジェロニモ、タイタン、帰ってきた紅蜂」という6人。タイタンと帰ってきた紅蜂は隠しキャラ。
  1. ・猿丸:漫画の主人公。パッケージの中央にいる、分かりやすい猿顔の少年。
  2. ・紅蜂:ミスターX配下の影のプロゴルファーの1人。パッケージ左中段の女性。
  3. ・ドラゴン:ミスターX配下の影のプロゴルファーの1人。パッケージ左下段の半裸のマッチョ男。なお原作では「ドラゴン打ちの竜」が正式名。
  4. ・ジェロニモ:アメリカのゴルフ場から来たゴルファー(ミスターX無関係)。カウボーイのような恰好をしている。
  5. ・タイタン:ミスターX配下の影のプロゴルファー…ではなく組織所属の科学者が作ったロボット。なお原作では彼のみかなり後のキャラ。
  6. ・帰ってきた紅蜂:名前でわかると思うが紅蜂と同一人物。服装などが異なる。
    • ドラゴンボールで例えると「孫悟空、孫悟飯、ヤジロベー、サイバイマン、ビーデル、ビーデル(髪切ったver)」と揶揄されるようなメンツ。
    • 猿以外は主にミスターX率いる影のプロゴルファーから選出されており、その基準で言えばドラゴン、紅蜂は順当ではある。タイタンも劇場版で再抜擢されたりしているのでまだ分からなくはない。
    • 一方で原作の猿のライバルである正統派のゴルファーである剣崎、鷹巣、大神といったキャラは一人としていない。ジェロニモが選ばれたのには疑問の声が多いが、コーラ瓶をクラブ代わりに使う見た目のインパクトで選ばれたと思われる。
    • 人選的な問題以前にそもそもキャラゲーなのに6人というのは少なすぎる
      • うち2人は隠しキャラクターであり、最初から使えるキャラクターはわずか4人。しかも6人のうち1人が紅蜂のマイナーチェンジ、というあたりには脱力させられる。
      • 説明書にはCPUとのマッチに勝利することで解禁されることがある旨の記載があるが、出ないときは何回やっても出ない。
    • なおパッケージの人間の内、左上の覆面(ミスターX)や右の3人(猿丸の弟たち)はプレイヤーキャラではない*2
  • ホールは隠し含め12しかない
    • ゴルフとは本来1コースにつき18ホールあり、1ホールごとのスコアを合計して勝負するスポーツである。従って12ホールしかないというのはゴルフとして成立していない
      しかも次のホールが全然違うゴルフ場になることがあり、野球に例えるなら1イニング目は東京ドーム・2イニング目は甲子園で6回裏で試合終了するようなものである。
      • もっと古いゴルフゲームでもきちんと1コース存在するゲームはいくらでもある。
      • 一応本物のゴルフにも「ハーフラウンド」という、1コースを9ホールずつに分けた前半(アウト)のみ、もしくは後半(イン)のみというプレイ方法もあるのだが、それにしても中途半端である。
      • 参考までに、同じくWiiで発売されたゴルフゲーム「スイングゴルフ パンヤ」ではプレイヤーキャラ8人・11コース(198ホール)収録されている。
    • ステージ終了後、毎回ミスターXが話しかけてきて選択肢を選ばされる。
      • 上記の通り10分そこらですぐクリアできるため、何度も話しかけてくるので段々うざったくなる。
      • 選択肢によって次のステージの難易度が変わったりするようだが、あまり実感できるほどのものではない。
      • 内容も辻褄があっておらず、さっき勝ったばかりなのに「どうだね猿くん、もう諦めるかね?」と聞いてくる。どうやら勝ったときと負けたときの台詞が逆になっているようだ。
+ 画像
  • 個別の問題点
    • (猿丸限定)アプローチショットが最大の難関であり、ナイスショットをすると大きくOBする。
      • その他のキャラについてはウェッジに持ち替えることで普通にグリーンオンできる。
      • 猿丸は自作のドライバーしか持っていないのでより精密さが求められるアプローチが困難なのは分かるが、それでもナイスショットの判定を変えるなど工夫できたはず。
    • (紅蜂限定)必殺技が全く役に立たない
      • 相手のクラブを使い、わざと地面を打つミスショットをしてクラブを破壊しコンセントレーションを下げる効果があるのだが、自分もミスショットなので全く有利にならない。
        しかも相手のペナルティは1打限定で紅蜂自身もコンセントレーションが下がるのでむしろ損である。
      • 原作にもクラブを破壊するエピソードはあるのだが、「試合前に猿と面会して初心者を装って壊す」のであって、対戦中に相手のクラブを使うのは不自然である。
    • プレイ中に話す台詞に相手のプレイ内容が考慮されていない。
      • ホールインワンしたのに、グリーンオンしただけの相手から『あれより近くに寄せる自信あって?』と言われたりするなど、会話が支離滅裂になる場合がある。
    • Wiiのゲームなのにロードが地味に長い。
    • キャラ個別のEDなどもない。

評価点

  • 元のアニメの声優を使っていること。
    • 特にベテラン声優の方々は本当に頑張っているので残念でならない。
  • 演出は比較的良いレベルであり、工夫も見られる。
    • グラフィック自体はWiiにしては綺麗な部類。アニメ画と3Dグラフィックが混在しているが、違和感はほとんどない。
    • 効果音は小気味よく、原作を再現した「ドギャッ」「ギリギリ」などの効果音文字も演出を助けている。
      • 洞窟のコースだとちゃんとボイスに反響音がかかるほか、アドレス時にはWiiリモコンから「ギリギリ…」とグリップ音が聞こえる仕掛けがある。
    • アニメ版OPソング「夢を勝ちとろう」は収録されなかったものの、BGMは良質なものが揃っている。
  • そもそも原作の魅力は、到底ゴルフなどできそうにないコース(塔のような岩山の上のグリーンに乗せろとか、曲がりくねった崖路の上を通っていけとか)を一か八かの尋常じゃないコース割や必殺ショットで切り抜けて行く点である。こうしたゲーム性にしたのは原作再現としては間違っていない。
    • しかし、漫画を忠実に再現したとしても、それがテレビゲームとして面白いか否かは、無論別の話である。結果はご覧の有様だが

総評

とにかく(自称)ゴルフゲームとしてすら成り立っていない
普通のゴルフゲームのシステムで「猿」の奇想天外なゴルフを再現しようと思うと、既存のゲームでは高難易度にあたる特殊ステージばかりになってしまい、よほどゴルフゲームに慣れた人でもないと難しいゲームになってしまうだろう。
かといって安心して遊べる普通のゴルフコースだと「猿」でやる意味がほぼない。
そういう意味では題材選びからして荷が重かったとしか言いようがない


余談

  • PVやCMの出来は非常によく、「ファミ通の点数低いけど実際はガッカリゲーどまりなんじゃ」と期待した人もかなりいた。
    • そのため、「細部までしっかりと作り込んでいれば良作になったかも知れない」という声もある。
  • 発売前のファミ通クロスレビューでは、オール3点・総得点12点という歴代最下位タイを記録した。
    • 2000年以降のクロスレビューにおいて、2点以下を付けられる事はまずないため、これが実質最低点という事になる。そして最高点3点という記録は同じく12点の『パチンコCR 大工の源さんGB』(GB/1998年3月/ 日本テレネット)と『修羅の門』(PS/1998年4月/講談社)も成し得ていない現在唯一の記録である
    • 加えてレビュアーの一人には「現代で、こういうゲームに出会えるのは、ある意味貴重」とまで評された。
  • そして、結果はご覧の有様。さすが低点数には定評のあるファミ通である。
    • 同雑誌内で連載中のゲームエッセイ漫画「いい電子(現:いいでん!)」でも取り上げられた。プレイ後に涙を流しながら「軌新すぎる(原文ママ)」「これはゴルフゲームではなくプロゴルファー猿というジャンルのゲーム」という感想を述べており、婉曲に『これはクソゲー』と言いたかったのだろう。
    • そして、発売前にもかかわらず買い取り価格が1,500円にまで下落した。
  • 上述の通り、ゲーム中の映像を上手く編集した本作の発売前PVは出来が良く、これだけを見るとわりと面白そうなゲームに見えてしまう。
    • このことから、有名な猿のセリフ「ワイは猿や! プロゴルファー猿や!」にかけて『ワイは詐欺や! プロモーション詐欺や!』という言葉で知られるようになった。
    • ちなみに、PVですでに全部のホールとキャラが出ていたりする。面白そうに見えるのはPVでゲームの全てを出しきってしまってるからか。
    • 本作は「サンデー&マガジン50周年」企画の一環であり、PVの冒頭でもサンデーロゴが登場する。しかし肝心のゲームが完全に泥を塗ってしまっている
  • 実は本作以前にもディスクシステムでプロゴルファー猿のゲームが発売している。*3
    • こちらとは違い割と平凡なゴルフゲームなのだが、CPU対戦や2人対戦はできない。
    • 原作同様に現実ではありえないようなホールもあるが、ディスクシステム版はちゃんと18ホールあり、全体的に見ても一応ゴルフゲームとしての体裁は保っている。
    • 必殺ショットも「旗包み」「モズ落とし」の2種類のみではあるが実装されている。
  • 他にプロゴルファー猿のキャラが登場するゴルフゲームとしては、ドリームキャストで発売された『熱闘ゴルフ』が存在する。
    • ただし、そちらは隠しキャラとして猿丸が登場するのみで、他のキャラはもう一人の隠しキャラを除くと全て藤子不二雄Ⓐデザインのオリジナルキャラである。