注意:このページでは、『infinity』『INFINITY cure.』(判定なし)及び、『Never7 -the end of infinty-』(良作)を扱っています。


  • infinity :シリーズの原点。しかし最終シナリオが全てを台無しに…。
  • INFINITY cure. :補完シナリオ集。
  • Never7 -the end of infinity- :『infinity』に『cure.』の補完シナリオを加えた完全版。無印の汚名を返上し、シリーズの路線を確立。


infinity

【いんふぃにてぃー】

ジャンル 恋愛アドベンチャー
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対応機種 プレイステーション
発売・開発元 KID
発売日 2000年3月23日
定価 7,140円
備考 修正版ディスクが存在
判定 なし
ポイント 最終シナリオ進行不可能バグ
最終シナリオの酷いオチのせいで
それまでの展開が全部台無し
infinityシリーズリンク

概要

  • メモリーズオフ』に続くKIDオリジナルの恋愛アドベンチャー。
  • オーソドックスな恋愛ものである『メモリーズオフ』に対し、こちらは時間のループを始めとするSF要素を含んだミステリアスなストーリーとなっている。
  • 原案は『メモリーズオフ』でシナリオデビューし、後に次回作『Ever17』や極限脱出シリーズなどで名を馳せる打越鋼太郎。中澤工の初監督作品でもある。

ストーリー

大学のゼミの合宿に参加することになった主人公・石原誠は、目の前で大切な女性が死ぬという悪夢で目覚める。
その直後、合宿班長の川島優夏が部屋に飛び込んでくるが、誠の姿を確認するとすぐに出て行った。
そんな事があった翌日、「地震が来る」と思った直後に本当に地震が起こってしまう。
誠は自分に予知能力があるのではないか? と考えるが…。

特徴

  • 選択肢で展開が変化するアドベンチャーゲーム。
    • ある程度仲良くなったキャラクターとエンディングを迎えられる。

評価点

  • 最終シナリオを除くキャラ別シナリオ
    • 「特定のヒロインを選択してそのヒロインとの物語を描く」といういわゆるギャルゲー形式をとっているが、「ループもの」などのSF設定をうまく絡めヒロインとそのまわりの問題や悲劇を解決していく形をとっており、本作独自の雰囲気を醸し出している。
      • 後述の他ヒロインのEDを見た後に解放される最終シナリオには難があるものの、それまでのキャラ別のシナリオに関してはよくできている。
        + ループについて(以下ネタバレあり)
      • 本作は1ルートにつき合宿で過ごす一週間をループによって2周する事になる。1周目は所謂「共通ルート」にあたり、その途中から各ヒロインのルートに分岐していき、ルートに応じた2周目に突入する。
        • 基本的には1周目は最後に起きた悲劇によってヒロインが死んでしまい、最終日を迎える事なく終わってしまう。2周目ではその悲劇を回避するために行動し、その末にハッピーエンドを迎えるという形を採っている。
          • 一度悲劇を迎える事でより強く「ヒロインを助けたい」と思わせ、それを経験してのハッピーエンドは感慨深い。
    • また、当時のギャルゲーはルート内では主人公と当該ヒロイン以外が殆ど登場しない作品が多かったが、本作はルート突入後も他のキャラにそれなりの出番が与えられている。また、ルートをクリアしていく事で徐々に物語の全貌が明かされたりなど、ルート間にもある程度の関連性を持たせている。
  • 豊富な立ち絵
    • 本作は発売時期としては珍しく、顔だけの表情差分ではなく表情ごとに立ち絵も変化する。
      • 後に原画家の影崎夕那が同人誌で出した原画集によると「スタッフは表情差分のつもりで依頼を出したが、勘違いして全身描いてしまった。」との事。結果としてゲームの表現力は上がった。

問題点

  • 最終シナリオの内容
    • 一通り他のヒロインルートを攻略することで解放される最終シナリオ「いづみルート」であるが、他のキャラクター編におけるそれまでの積み重ねを全部台無しにするシナリオになっており、拍子抜けするか呆れるか、とにかく盛り下がる。
+ 以下ネタバレあり
  • 「ループしているというのは予知ができるというのは嘘で、実は自分以外のみんながグルになって自分を騙していた茶番劇でした」
    • しかし、「2周目」最終日の前日から日付の表記がなくなり、ループしていないなら起こる確率は低い「地震」と「大雨」が発生しているため新たな謎を生んでいる。
  • 単純に「オチとしてそれはどうなんだ」という事もあるが、それでは説明のつかない矛盾点や他のヒロインのシナリオで発生していた現象の正体も不明なまま等、色々と問題のある終わり方だった。
    • 「いづみシナリオ」が他のヒロインたちを攻略し終えないと解放されないとはいえ、他のルートと同じ世界の出来事とは説明されていないためパラレルと擁護することはできる。
  • また、それまでに攻略してきたヒロインたちの性格からしてそのような行動をとるようには思えず、いづみを含めたヒロインたち全員に醒めかねない。
  • 初期ロット版のバグ
    • 初期ロットでは最終シナリオにバグの為に入る事が出来なかった。
      • セーブデータのバグ修正や初期ロット版と修正版CD-ROMの無償交換で対応が行われた。

総評

一見すると当時、粗製乱造・大量生産されていたギャルゲーの一つにしか見えないが、「ループもの」などのSF設定を絡めた各シナリオはよくできている。
とはいえ、最終シナリオが、拍子抜けし、それまでのシナリオにも萎えかねないすべてを台無しにする残念な出来だった事で、今一つ盛り上がらずに終わりを迎える。
また、「ループ」などの世界設定の種明かしが十分になされておらず、結果として「恋愛メインなギャルゲー」にとどまっている。

しかし後に補完シナリオや、完全版が登場した事で評価は見直され、「SFアドベンチャーゲーム」路線のシリーズ化への礎を築いた。
新規にプレイするなら、本作でなく下記の完全版をプレイすることをおすすめする。

その後の展開

2000年11月に補完シナリオ(優夏キュア、いづみキュア)のみを収録したネオジオポケット用ソフト『INFINITY cure.』が発売。
さらに、同年12月にはネオジオポケット版のシナリオを盛り込んだ完全版『Never7 -the end of infinity-』がドリームキャストで発売され、後にPS2、Windows、PSP、スマートフォンにも移植された。


INFINITY cure.

【いんふぃにてぃー きゅあ】

ジャンル 恋愛アドベンチャー
対応機種 ネオジオポケットカラー
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売・開発元 KID
発売日 2000年11月23日
定価 4,800円(税別)
判定 なし
ポイント 真の最終シナリオを収録
infinityシリーズリンク

概要(cure.)

infinityの優夏シナリオを優夏の視点から描いた「優夏cure.」と、最終シナリオをリメイクした「いづみcure.」の2つの新シナリオのみを収録した携帯機用ソフト。
タイトルの「cure.(キュア)」とは、作中に登場する用語に関連した意味を持つのと同時に、『メモリーズオフ』の外伝『メモリーズオフ ピュア』との対比になっている。
ネオポケでの発売である為、音声は収録されていない。

評価点(cure.)

  • 真の完結編「いづみcure.」。
    • 原作において最後の謎解きが拍子抜けする残念なシナリオだったが、それを元に作り直された本シナリオは緻密なSF考証による真の種明かしが行われる。更には他のルートも巻き込んだ伏線回収と真相解明による驚きのカタルシス、ミスリードなど、これらを活かしたミステリアスな展開によって引き込まれる内容になっている。
    • このシナリオは無印の悪評を見事に覆す高評価を獲得し、その後の『Ever17』、『Remember11』へと繋がるKIDのSFアドベンチャーゲーム路線を確立することになる。

問題点(cure.)

  • ボリューム
    • 携帯機である以上容量の問題で仕方ないが、シナリオが二つのみ、音声なし、と、ADVとして物足りない。

総評(cure.)

原作での最大の問題点、「残念な最終シナリオ」をリメイクして非常に読み応えのあるシナリオにしている。
ただし携帯機ゆえに容量の問題から二つのシナリオのみの収録となっているのは残念である。
翌月にはこれらも同梱された『Never7』が発売される事もあり、実質的に先行限定収録、といった方が正しいだろう。


Never7 -the end of infinty-

【ねばーせぶん じ えんど おぶ いんふぃにてぃー】

ジャンル 恋愛アドベンチャー


対応機種 ドリームキャスト
Windows 98/Me/2000
プレイステーション2
プレイステーションポータブル
開発元 KID
発売元 KID(DC〜PS2)
サクセス(PS2廉価版)
サイバーフロント(WIN〜PSP)
5pb.(WINダウンロード版)
発売日 DC:2000年12月21日
WIN:2001年10月26日
PS2:2003年6月26日
PS2廉価版:2004年9月2日
WIN(4作同梱):2008年4月4日
PS2(同上):2008年10月9日
PSP:2009年3月12日
PSP(4作同梱):2009年8月13日
WIN(DL版):2015年12月25日
判定 良作
ポイント infinityの集大成
infinityシリーズリンク


……永劫の哀しみにピリオドを。



概要(Never7)

  • 『infinity』に『INFINITY cure.』の2シナリオなどを加えた完全版。タイトルの「ネバー7」とは「7日目が決して訪れない」「7人が決して無事にそろわない」という意味が込められている。
  • 一般公募のアペンドストーリーも収録されている。
    • シリアス部門・ギャグ部門などに分けた一般投票において上位の作品が収録されており、本編の出来事を別の登場人物視点で見たり、ループものであることを使い違った世界へと誘ったり、荒唐無稽なギャグシナリオがあったりと内容は多岐にわたる。シナリオの長さはマチマチ。こちらは台詞に音声が付いていない。
    • 「優夏キュアシナリオ」は監督の中澤工氏の作品と言う形でこちらに収録されている。
  • 「いづみキュアシナリオ」
    • いづみキュアシナリオは『INFINITY cure.』収録のA(トゥルーエンド)に加え、ノーマルエンドのBが用意されている。Bエンディングは映画『シックスセンス』の結末を意識して作られたと言う。
    • 無印の最終シナリオも別に収録されている。

評価点(Never7)

  • ようやく完成したシナリオ
    • 『infinity』及び『INFINITY cure.』の全シナリオが収録されており、ようやく一つのソフトとして完成した。

問題点(Never7)

  • 一部シナリオに残る謎
    • 「いづみキュアシナリオ」において、ゲーム全体に関わる謎は明かされるものの、それでは説明のつかない事もある為、一部には謎が残ってしまっている。
      • KID時代に存在した公式サイトのネタバレQ&Aにおいても「ご想像にお任せします。」と濁していた。
      • 後年、中澤氏は「本作の各シナリオにはそれぞれの真実があり、全体としての明確な解答は存在しない」とも語っている。
  • 誤字・脱字
    • 最後に追加された所為で校正が足りなかったのか、よりにもよって最終シナリオの「いづみキュアシナリオ」に他のシナリオよりも脱字が多い。せっかくの最終シナリオなのに気が散ってしまう。
  • くるみの立ち絵の一部にゴミが映る。
    • 立ち絵以外の部分を透明にする段階でゴミを取り除けていない。
  • 追加シナリオの音声
    • 「いづみキュア」は他のシナリオ同様に音声が収録されているのだが、「優夏キュア」はアペンドストーリーと言う位置付け上、音声が無い。

総評(Never7)

最初に発売された『infinity』は各シナリオこそ出来はいいものの、物語を締めくくる最終シナリオがそれまでの話を締めるには問題のあるシナリオだった。
本作の直前に発売された『INFINITY cure.』で作られた新シナリオでもって締めるにふさわしいシナリオが搭載されたが、携帯機ゆえにシナリオ構成は変更。
そして本作でもってようやく全シナリオが収録された『Never7』として完成した。
他のシリーズ作品に比べるとギャルゲー色が強い辺りは少々人を選ぶかもしれないが、後に『infinityシリーズ』として展開されていく基礎は本作の時点で出来上がっていると言っていいだろう。