実況パワフルプロ野球13

【じっきょうぱわふるぷろやきゅうじゅうさん】

ジャンル スポーツゲーム(野球)
対応機種 プレイステーション2
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 コナミデジタルエンタテインメント
(パワプロプロダクション)
発売日 2006年7月13日
定価 7,329円(税込)
判定 賛否両論
ポイント 第二世代の過去を描いたサクセス
六道、東條、猛田の第三世代が初登場
不具合が多い(開幕版のみ)
バッターを優遇し過ぎなゲームバランス
ストーリーは好評、システム面はかなり低評価
ノベルゲームとして見れば良作との声は多い
実況パワフルプロ野球シリーズリンク


概要

  • 言わずと知れた人気野球ゲームのナンバリング13作目。久々のPS2単独販売。
    • 前作までに比べ、マイライフ、応援曲の仕様が強化された。
    • また、シリーズ初心者のために打撃を重視した調整がなされた。しかし…。
  • 今作のサクセスは高校野球編であり、4つのストーリーが用意されている。猪狩守などの第一世代がプロ入りした『9』の数年後を描いており、時系列順では第二世代が初めて登場する作品となる。正史ではこの後『10』に繋がるが、プレイ次第で『11』のルートにも分岐する。
    • 新システムとして「気合システム」が導入され、育成においては常にこのシステムを意識する必要がある。
    • また育成開始前には、出身地となる「都道府県」を設定できるようになった。
    • サクセス中には、実在の選手と対決するイベントも用意されている。

サクセスの紹介

  • パワフル高校
    • 弱小高校で、同じ地域にある帝王実業高校に勝利する事が目標。大会は従来の試合ではなく、オーバーヒートゲームと呼ばれる、コマンド選択と気合システムを駆使した形式で進んでいく。
  • 帝王実業高校
    • 友沢亮の過去が明かされるサクセス。男子校で地域内屈指の強豪校。完全実力制を敷いており、部内最強の男が「帝王」として野球部を纏める。2軍からスタートし、実技試験によって1軍ベンチ入り、1軍レギュラーへと昇格し、レギュラークラスになると一定条件で「帝王勝負」に挑む事ができ、帝王に勝利すると新たな帝王となる事ができる。名門ということもあって世界大会編でも最多の(固定キャラクター)代表3人が選出されている。
  • 聖タチバナ学園高校
    • 『10』の時点で構想があった橘みずきの過去が明かされるサクセス(公式HPの制作者コラムを参照)。生徒会が教師以上の絶対的な権力を持つ高校。部員3人の野球部からスタートし、生徒会との交渉を活用して部員、練習設備、部費の拡充やコーチの招聘、合宿や練習試合の開催を行い、甲子園優勝を目指す。
  • 灰凶高校
    • 野球部は東西に分裂して抗争している。主人公と矢部は西野球部の救世主として野球部に招聘される。東野球部四天王の各メンバーとの対決に勝利する事によって、四天王のメンバーが西野球部の仲間に加わり、大会への出場が可能になる。慢性的に水が不足しており、定期的に「水くみ」(300リットルが満タン)を行なわないと、部員が練習にこなくなってしまう。 時々、ゴウ軍団に水汲み場を占拠されるイベントが発生し、他の部活から水と引き換えに練習設備のレベルアップ(サッカー部)やアイテム(園芸部及び工芸部)、お金(株部)を入手できる。

評価点

  • ストーリー性が大きく強化されている
    • これまでのパワプロはシナリオが薄めで、内容もあまり練られているとは言い難かった。
    • 本作は旧作と比べると凝った内容であり文章量もパワポケ並みに増加。ノベルゲームとしても楽しめるようになっている。
  • シリーズの謎や伏線の回収を意識したサクセス
    • 帝王実業高校編、聖タチバナ学園編は第2世代の過去を掘り下げた内容で、これらを理解するとキャラの印象が変わって見えるなどストーリーの完成度が高い。かといって知らないと面白くない訳ではなく、知っていればより楽しめる程度にきっちりと抑えられている*1
    • 旧シリーズは基本的に本作のプレイを前提にしたような内容が多いため、むしろストーリーを楽しみたいなら先にこちらをプレイしておいた方が流れが掴みやすい所もある。
  • 正史ではここから『10』に繋がるが、両方とも『11』に繋がると思われるルートも用意されている。
    • 例として帝王実業は11の友沢と久遠との関係に確執が残るルートに加え、両者が和解を果たす展開が存在する。どちらを辿るかによって、ストーリーの流れも変化する。
    • またこちらは更に友沢亮と神高龍の対立など『12』に繋がると思われる伏線も用意されている。
    • 聖タチバナ学園は全体的にラブコメといった雰囲気で何も考えず普通に進めていくと明るいまま終わるのだが、10に繋がる真の結末の場合は一転して切ない展開を迎える。
      • 最初はどこに暗い要素があるのかと思うほどコメディだが、気が付くと徐々にシリアスになっていく流れがなかなか秀逸。
  • EDテーマ「虹を見たかい?」はシリーズED中でも屈指の高評価。
    • ED映像もフィルム映像をモチーフにしたレトロ風味なタッチで主要キャラの幼少期と現在を書いており、感慨深いものになっている。
  • 応援曲が大幅に増加。その数なんと240曲。
  • これまで10年だったペナントが最長20年になった。
  • 校歌
    • 今回4つの高校の校歌が追加された。特に灰凶、聖タチバナ学園、帝王などギャグ要素が強く笑えると評価されている。
  • マイライフモードがさらに強化。
    • 通常のモードの他、プレイングマネージャー編*2、優勝請負人編、憧れ現役選手編の3つのモードが追加された。それに伴ってか、セーブデータが3つに増加。
    • 『早送り』機能が追加。シーズン中でしか出来ず試合はカットされるがプレイ時間が短縮出来るため概ね好評。試合成績はCPU任せになるが、リアル感が出ているという意見もある。
    • フリーターンに『道場』が追加。これでキャンプ中以外でも基礎能力上昇に加えて特殊能力・特殊変化球取得が可能、更に通い続けることで能力値の限界を越えて成長できるようになった。
      • ただ、キャッチャー◎やチャンスメーカーなど、道場では取得が難しく、伝承アイテムでも取得できない特殊能力もあるため、これらが欲しい場合は古田や石井琢朗などをコーチにして就任球団へ行くほうが取得しやすい。*3
    • 優勝請負人編以外では活躍の有無でチーム全体に影響を与える「雰囲気システム」が追加された。
      • 後述するように野球バランスは芳しくない本作だが、『早送り』『道場』はマイライフ好きにも評価されており、以後のPS2・パワポタシリーズ作品でも見かけるようになった。
  • 灰凶高校
    • 灰凶高校は水がないと練習できないため水汲みが重要となってくる。また日照り、くもりなど天候によって水の量が変化して、左右されるのでかなり運要素が強い。
    • 前述の気合システムもからむイベントもありかなり戦略性の高いシナリオで評価されている。
    • 固定キャラは大会前に東野球部に勝つとその時の対戦相手が仲間になる、その為自分の同じポジションの選手が一年生で揃う事もあれば二年になる時もありこれまた運要素が強い。
      • 友情タッグも矢部以外速球と筋力という剛腕投手やパワーヒッター向けの高校である。
  • テキスト早送り
    • 同じ高校を三回クリアするとL1でのテキスト早送りが可能になる。
    • 各段にテンポがよくなるほかボタン連打での選択ミスなど防げるようになった。
  • 交通事故イベントの削減
    • パワプロの理不尽要素と有名だった交通事故が今作にてなくなった。

賛否両論点

  • 本作のサクセスはあまり明るい展開ではないものが多く、シリーズとしては異色な内容となっている。
    • 特に賛否が分かれそうなのが本作のメインと言えるサクセスの帝王実業と聖タチバナである。
    • この2つは条件によってエンディングが分岐するが、どちらのエンドを選んでもあまり良い結末を迎えない。ざっくり言うと両方バッドエンド*4というある種前代未聞の内容になっている。
    • 前述の通り本作は時系列としてはパワプロ10の前であり、上記の2つはどちらもメインキャラの過去を描いた話であるため安易に展開を変える事ができなかった事情は見て取れる。だが、それでもちゃんとしたグッドエンドを用意して欲しかったプレイヤーは多い。
      • 特に聖タチバナは通常では少し後味が悪いだけで終わるのだが、正史に繋がる真のエンドは更に後味が悪い。そのため、頑張ってグッドエンドを迎えようとしたプレイヤーを追い打ちするかのようなタチの悪い作りになってしまっている。
    • また本サクセスの2つは結局どうプレイしようと何かしらのモヤモヤを残してしまい、上記のようにグッドエンドと言えるものがない。そのため決まった展開になるように「やらされている」といった印象も強い。
      • そもそもサクセスは成功という意味合いであるが、上記のようにこの2つのサクセスはそれとは程遠い内容のものである。サクセス(成功)していないサクセスストーリーとは...?
    • ストーリーは第二世代の過去編として非常に上手く出来ていて『10』に繋げてもほぼ矛盾がない内容となっており、作品のコンセプト自体が悪いというわけではない。またこの暗い内容もこれはこれで斬新であり、サクセスにインパクトを出すことには成功していると言える。
  • スタミナの減少が早くなっており、スタミナFの投手を登板させたら10球でスタミナ切れということも。
    • これに関しては、リアルでいいという評価意見もある。
  • イマイチ作りこまれていない「気合システム」
    • 練習やイベントなどで気合ゲージがたまっていき、イベントで消費すると有利に進められるというもの。消費する際に連打が求められる。
    • サクセスの一つ、パワフル高校での試合はオーバーヒートゲームと呼ばれる選択肢と連打のみで進んでゆく。
    • また聖タチバナ学園でのご要望会議は生徒会のご機嫌取りをしつつ提案をして部員を増やしたり、練習器具を上げる。ここではこのシステムが特に重要となってくる...のだが、結局どの場面でも気合を溜めて連打し続ければいいだけであり作業感が強い。
    • 一応会議の案が通るか否かはみずきの評価が関係するが、これだけですぐに評価が上がるため全く意味を成していない。
    • 後半はみずきの加入で別の人物に変わるが、以降は気合をあまり上げなくても通るなど更に適当。
    • 攻略本では初心者向けを意識していて好評なら次回作以降も取り入れると語られていたが、結局不評が多かったため本作だけで終わってしまった。
    • 気合を練習に使用すればもらえる経験点が増え、無計画に使用すれば経験点が下がる。この部分は戦略性があり評価されている。
  • 運要素が強く空気な彼女システム
    • 彼女候補はパワフル高校マネージャーの藤乃なつき、灰凶高校マネージャーの須神絵久、聖タチバナ高校マネージャーの三条院麗菜、自称スポーツライターの抜け忍の森野木乃葉の4人。
      • 彼女候補自体はこれまで以上に濃いキャラ性が評価されている。特に絵久の人気は高く、『9』の四条澄香以来となる「プロ入りできなくてもそのまま付き合い続ける彼女キャラ」であり、本作彼女の中で唯一後の作品で再登場を果たしているほど。
      • ただし、なつきは他校では主人公の幼馴染という形で登場するがパワフル高校やそれ以降では特にそういうイベントはなく、麗菜もみずきの幼馴染でライバル心を持っているという割に聖タチバナ高校は仕様上彼女が作れないなど、個性をいまいち活かしきれていない部分も。
    • だが、本作は「付き合えるかは運」「デートコマンドがなくラブパワーや定期イベントでしか登場しない」「全体的にイベントが少ない*5」上に、「イベント毎にランダムでフられる」といった要素から、いまいち良い印象が残りにくい仕様となっている。
      • クリスマスなどのイベントにおいてはプレゼントを購入可能であり、金額が高いものを持っていくと大きな見返りを得られるが、この際に一定確率でフられる。しかも、高級なプレゼントを用意するほどフられる確率が上がるという無駄にハイリスクハイリターンな仕様。
        良い見返りを求めると資金以外に運用素も絡むことになるのだが、そもそも資金面でのリスクが大きいのにわざわざフられる確率まで高くする必要はあったのだろうか。
      • このため結局影が薄い。しかもなつきと麗菜は後述の破局理由もあり、余計に良い印象が残りにくい。
    • フられる理由は、なつきと麗菜は「他に好きな人が出来たから別れる」と言われて笑顔で見捨てられるというこれまた理不尽な展開。
      ちなみに絵久は受験勉強のため、木乃葉は仕事の都合で別の地方へ行かなければならないという比較的真っ当な理由であり、他2人にもこういった理由付けが欲しかったところ。
      • 麗菜は聖タチバナ高校における野球部への入部動機も「みずきの彼氏(と思っている)主人公を見る目がないと小馬鹿にしつつも、その主人公をみずきから奪えば勝ったことになるという浅はかな理由*6」となっており、このせいで余計に尻軽な印象を強めている。
  • 六道聖
    • 聖タチバナ学園では橘みずきのクレッセントムーンを捕球できる女キャッチャー・六道聖が初登場。みずきの相方として登場する彼女だが、あおいやみずきに比べて能力が高くいまだに賛否がある。
    • パワーアップさせるとキャッチャー◎がついたり女性らしからぬ強肩になったりする。キャッチャー◎を持ってるのは実在選手では古田敦也氏しかおらず、今までの常連キャッチャーライバルである猪狩兄弟の弟・進に比べても遜色ない性能を誇る。
    • 14』では主人公を鈴本という人物に投影している事が明言され、その鈴本があまりに何も考えてないような適当な高スペックである事からパワプロファンから鈴本は嫌われている。
    • あおい・みずきに存在するマイナス特能を聖は持っていない事や、その性格から「ささやき戦術」は合わないのではないかという意見もある。
    • そのためかサクセスの登場回数は少なく、旧作ファンは彼女を嫌う層も。ただし金つば好きのクーデレキャラで萌え人気自体はあり現在ではあおい・みずきに並ぶ三人娘として位置づけられている。
  • 新登場「ミーティング練習」
    • ミーティング練習はかなり強力な練習であり、これだけでオールAのような強力な選手がお手軽に出来あがってしまう。
    • 『13』開幕版といえばミーティングだけをし続けるサクセスと言われるほど拙いバランスである。
    • あまりにも強力すぎたためか、決定版ではかなりの調整が入り、ミーティングだけでは強い選手を作りにくくなった。
  • マイライフモードにおける一枚絵が3Dのポリゴンに。
    • 上記の影響か、ロードが遅くなってしまいゲームのテンポを損ねている。

問題点

  • 全体的に打高投低なゲームバランス
    • パワーの低い選手でも芯で打てば大体スタンドイン。ちなみにミートの高さによって強振のカーソルも大きくなるため、高いほど有利。
      • ルーキーのお守りを購入すればロックオンができるため、これで味方側が不利になる事はまずない。
      • 余談だが、本作と同時期に発売された『パワポケ9』も同様の問題点が指摘されている。
    • コントロールが他作品より安定しない。Cの選手でも割と球がブレる事も。
      • プレイに悪影響を及ぼすほどではないのだが、やや煩わしい。
  • キャッチャーウインドウシステムの廃止
    • 従来の投球はバッティング画面より上に表示されたミットを動かして投げる位置を決めるシステムであり、打撃の時にもこのウインドウで敵の球が来る位置を確認できたが、本作は『パワプロクンポケットシリーズ』のように打撃と投球を一つの画面で行う。
    • これにより投球は投げる位置が表示されなくなり、打撃の時もどこに球が向かうのか分からなくなったため、お守りを使わない場合は難易度が高くなってしまうなど以前よりもシステムが劣化している。
    • 上を見ながら投球したり打撃をする従来の仕様が不便だったのではあるが、ただ廃止だけするのではなく代わりに何かプレイしやすい調整をして欲しかった所である。
    • 決定版ではウインドウが復活 し、投球は従来の仕様に戻った。しかし打撃はミットが全く動かなくなっており、改善はあまりされないままであった。
  • マイライフのプレイングマネージャーモードの問題点
    • 「憧れ現役選手編」の古田以外では1年で強制終了となるため、博打性の高い外国人選手以外の戦力強化が実質不可能に近く、現有戦力で戦う必要がある。監督の成果が出るのは3年と言われる(戦力の補強と育成に2年、それが実を結ぶのが3年目と言われる)中で、実際に古田敦也氏も2年は就任しているのだが。
    • そうでなくとも、行えることがペナントモードと比べると非常に少ない。自身の操作以外で出来ることといえばチームへの戦力補強及び2軍からの昇格要望への大まかな指示、投手起用と試合開始時のオーダー、試合中の代打提案への対応くらいである。
      • そのため、試合の流れを見て、柔軟に選手を交代するようなことが不可能である。また、代打の提案1つ取っても「相手投手」「ランナーの有無」「アウトカウント」「打順」などが全く表示されず、「マイライフの試合経過を示すスコアボード(すぐに隠されるのでよく見えない)」と「交代候補選手の能力(特殊能力などは見れない)」だけしか情報がない中で強制的に選ばされる(あえて代打を出さず、9回に代打攻勢をかけると言うようなことが不可能)。しかも起用の結果はスコアボードと試合後の詳細画面を見るしかなく、起用が成功したのか否かが非常に分かりづらい。
  • シナリオモードの削除。
    • サクセスが登場する以前の初代である実況パワフルプロ野球'94から存在していたモードであり、史実をひっくり返すなどの楽しみもあった。
    • 以後のパワプロシリーズではシナリオモードは『2018』まで復活されず、惜しむ声も大きかった。
  • 開幕版は問題点が非常に多い。本作で最も批判されている点。
  • 以下に挙げられるバグは開幕版のものであり、 後に発売された決定版では全て改善 されている。
    • COMの打撃が強い。批判されるのが早打ちと選球眼。ストライクゾーンに投げるとバットに当てる事が多く、際どい球には見向きもしない傾向にある。
    • 打ちやすくするためか、投手の能力が下方修正されている。
      • ストレートの体感速度が極端に遅くなっている。球速160km/hの投手の速球でも過去作のスローボールにしか見えないほど。このため、対人戦においては速球の選手が全く使えなくなった。そしてCPUの打撃も上記の有様なので、今作で球速を上げる必要はほとんどない。
      • 変化量も小さくなっており、ミートが高い選手にはあっさり打たれる。
        + サクセスのイベントの不備※ネタバレのため格納
      • 本作の友沢は、これまで語られていた通り「高校時代は投手として活躍していたが、悪役の先輩・蛇島桐人の嫉妬と彼の陰謀によって肘を壊され、野手(ショート)へのコンバートを決断する」という筋書きを辿る。しかし、上記の投低バランスのせいでシナリオ中の扱いに反して炎上しまくるイメージが付き、さらに蛇島も「後輩の炎上投手・友沢を気遣ってポジションコンバートを勧めている」とネタにされ、総じてシナリオと実際の印象が一致しないという弊害が生まれてしまっている。
      • 同じく帝王実業編に登場する犬河と久遠も作中で強いと語られるが、両方とも初登場の11から赤特能が多く弱いという問題が変わらなかったため本作をきっかけに上記の友沢と合わせて「炎上3兄弟」と呼ばれ更にネタ扱いされることに。
      • 帝王実業ではこれ以外にもシナリオ上違和感のあるバグやストーリー展開が発生することがある。
        • 友沢が肘を壊して投手→野手にコンバートするイベントがあるのだが、その後にもかかわらず友沢が投手として帝王防衛戦に挑んで来る。
        • ケガをして病院に居る状態で友沢の肘が壊されるイベントを見ると、野手転向したはずの友沢が投手のままで得意練習も変化球のままになるバグが起こる。本来は転向後に打撃練習が出来るはずだが、このバグが起こると出来なくなる。
        • 猛田との友情イベントにて、友沢がスライダーを投げる展開があるのだが、友沢の肘が壊れた後でもこの展開は変わらない。バグというほどではないが違和感は強い。
    • 帝王になっていると、入れ替え戦のイベントが起きても固有キャラしか一軍にあがってこない。
      • この場合は二年目以降に入る継承選手とタッグが組めなくなり、また蛇島が引退してから友沢がコンバートするまでの間は二塁手が守れる選手がいなくなってしまう。
      • バグを解消するために帝王からわざわざ落ちて入れ替え戦イベントをこなす必要がある。
    • 2年生7月に帝王の時、帝王勝負を挑まれると地方大会が発生しない。一回戦負けしたことになっているが、蛇島などの3年生が引退せず最後まで残るため、まるで留年したように見える
      • 蛇島が留年すると後輩の犬河・猫神がレギュラーにならない。
    • 帝王になっているとき甲子園に勝ち進んだ際に帝王勝負を挑まれると、チームが甲子園から帰ってこず試合がなくなる。
      • 帝王勝負は1軍じゃないと出来ないはずだが、2軍に居る頃の久遠が帝王勝負を挑んでくる。仮に帝王から降格した身でも何故か帝王勝負を挑まれる。
    • その他システム面の不備もそれなりに多い。
      • ランナーが出ているときに処理落ちしやすく画面がカクカクになる。
      • サクセスのBGMの音が飛ぶ。
      • システムデータを保存されますかで「いいえ」を選んだのに作った選手が継承選手として保存されてしまう。
      • 木製バットでボールを打つと何故か金属音がする。

軽度の問題点

  • サクセスの難易度が順番通りではないため、最初から全てのサクセスを選べない開幕版では序盤で詰む事がある。
    • 『パワフル高校』はこのサクセスのみ試合がコマンドの選択と気合ゲージで決めるシステム*7のためランダム性が強く、初見ではプロ入りがやや難しい。
    • 『帝王実業』は打撃や投球などのテストを定期的に行ういつも通りの内容なのだが、本作はキャッチャーウインドウがまともに使えないためこのテストのクリアが厳しい。
      • ただし試合はお守りを使えばヌルゲーと化すため、これでも旧作と比べると簡単な方ではある。
    • それ以降のサクセスである聖タチバナや灰凶はそれほど難易度が高くなく、真ルートに向かうとやや厳しめといった程度であるため上記2つの難易度が高いサクセスをなぜ最初にしたのか疑問である。
  • シナリオとシステムの噛み合わせが悪い
    • 聖タチバナ学園は橘みずきが事実上メインヒロインであり、シナリオもラブコメ要素が強調されている。
      • しかしこの内容と彼女システムが全く噛み合っておらず、みずきが主人公を婚約者と親に偽るイベントがあるのだがこの時もし彼女を作っていると自動で別れてしまう不自然な仕様となっている。
      • それ以降なら彼女を作っても問題ないのだが、そもそもこのサクセスは最初から彼女を作れない方が展開としてスムーズだったはずであり、なぜ無理にこの仕様にしたのかがよく分からない。
      • またここまでヒロインと言えるほどクローズアップしておきながらみずきが相変わらず彼女にできない仕様である事もかなり不自然で、製作者の方針が定まっておらず迷走している事が窺える。早川あおいは特に主人公に好意を持っていないので大した問題点ではなかったのだが...
      • そもそも当時は特に本作のコンセプトが理解されていなかったため、ファンからは「普通に彼女と付き合おうとしたら何故かみずきに邪魔された」と不快な印象を抱いてしまった人も。
    • 更にこちらは展開が多少変わるだけの友沢のシナリオと違って正史ルートに向かうフラグ*8を立てないとストーリーの重要な部分が変わってしまい、OPの映像が全く意味不明になるという問題点がある。
      • 橘みずきはこの作品でどちらのルートを辿ったかで性格が変わるというただでさえ複雑なキャラとなっているのだが、この仕様のせいで更に彼女がどういうキャラなのかが理解されにくい所がある。実際把握できていないファンもいまだに数多い。
  • サクセスのシナリオに主人公がイマイチ介入できていない部分がある。
    • 特に帝王実業編で感じやすい。本シナリオでは主人公は基本的に友沢の行動を見ているだけの役割である。
      • ゲーム中は甲子園優勝でルート分岐したりと変化があるが、実際のシナリオでは主人公の行動によって特に何かが変わるという事もない。そのため存在意義が薄い。
    • 聖タチバナ編では主人公がみずきの好感度を上げることが分岐に関係するが、この部分もやや難点がある。
      • 基本的に主人公の起こす行動は「野球のため」で一貫しており、エンディングでも主人公の考えはほぼ変わっていない。上記の分岐に関しても意図せず影響を与えただけという印象が強い。
      • 正史に繋がる真ルートでは主人公の行動が彼女を成長させることに繋がっており、シナリオ上では非常に重要な役割となってはいる。とはいえ、もう少し話に積極的に関わって欲しかったと言われる事が多い。
      • 特にストーリー後半はフラグを満たすと橘みずきの心情が徐々に明かされていくのだが、肝心の主人公があまり興味を持たないのも感情移入のしづらさに拍車をかけている。
  • 帝王実業編のストーリーについて
    + ネタバレのため格納
  • 本作は今までの各作品で語られていた通り友沢亮が肘を故障してバッターに転向するイベントが起きるのだが、作中の展開を照らし合わせると友沢の取った行動にかなり不自然な部分がある。
    • 彼が肘を故障した理由は悪役の先輩である蛇島桐人やルート次第で登場する神高龍などの陰謀に騙され、肘に負担がかかるスライダーを投げ続けてしまった事によるものである。
    • しかし蛇島桐人を倒す神高ルートでは最初から蛇島の陰謀に気づいていたと友沢が明かすシーンがある。結果的に友沢はその後に肘を故障して同様の展開となるのだが、この場合だと負担がかかると知っているスライダーを何故投げ続けたのかという疑問が発生してしまう。
    • 劇中では特にこの友沢の行動理由が特に語られずにストーリーが終了するため、結局彼は何がしたかったのかよく分からない。後輩の久遠ヒカルが友沢の投手としての才能を慕っていたためにこの期待に答えようとしてわざと無理をした....という推測もできなくはないが、これも後の展開を考えるとやや無理のある解釈になってしまう。
  • ルート次第では伏線の一部に消化不良な所がある。
    • 神高ルートの最後に神高燐が暗躍するような描写がある。一応本作の話から分岐する『12』でその後が描かれるが、正史では完全に投げっぱなしでストーリー上やや不自然である。
  • 都道府県システム
    • サクセスの開始時に学校の所在地を指定しておき、選んだ都道府県によって固有のイベント(と言ってもテキストが若干違う程度の焼き直しではある)があったり
      その都道府県の野球熱*9が高いといい事がおこりやすくなったりするシステム。
      • 1打席勝負のイベントで入手出来る勲章を47都道府県で集めるといい事が…と言われるが実際はガッカリな内容。*10
    • と、その都道府県システムも生かされているとは言い難く、わざわざ細かく分類するぐらいなら地方ごとに大きく分け、その分イベントを濃くするなどで良かったのでは?
  • マイライフの『道場』
    • 車を持っていれば自分の所在地の1つ隣の地域の道場にも行けるが、セ・リーグだと北海道の道場には車があっても行ける回数が極端に少なくなる。*11そのため、道場制覇はパ・リーグが圧倒的に有利となる。
    • よって、野手プレイ時に当時フルイニング出場を続けていた引退後にコーチ就任で特別練習の鉄人精神指導*12ができる阪神・金本知憲をFAでパの球団に移籍させることがケガしにくさ4取得と道場制覇の両立に必要不可欠となる。
  • 『12』よりもさらに悪化したみずきの扱い
    • 聖タチバナでのサクセスでは、みずきの事情や機嫌に振り回されるイベントが多い。
    • 機嫌が悪い時だと、愚痴を聞いたりや使い捨ての練習機材を壊すなどマイナスイベントが起こる事がある。とはいえ、みずき評価を上げれば要望が通りやすくなったり機嫌がよいときは練習機材やアイテムをくれたりと悪いイベントばかりではないが。
    • みずきと付き合う展開になっても、『12』のように自由にデートする事が出来ない。ランダムイベントが起こるのみ。

総評

初心者に配慮してシステムの大幅変更を行った結果、当時のファンから大きな批判を浴びた。
ペナントやマイライフの強化など、決して改悪点ばかりではないのだが...
決定版では上記の不具合が解消されたが、打高など一部の問題点は改善されておらずゲームバランスは悪め。
サクセスの新要素も「連打」「ミーティング」は色々と粗削りで、あまり評判が良かったとは言い難い。

その一方で、サクセスの話は10からの伏線をしっかり回収しており非常に作り込まれた出来である。
第二世代の切ない過去を描いたシリアスな作風は良い意味でパワプロらしくなく、『9』の恋恋とは違ったドラマ性がある。
また古いシリーズの中では難易度が低いため、初心者がやる分にはとっつきやすい部分も多い。
野球ゲームとしては難点が多いが、パワポケのようなストーリー重視の作品をやりたい人はプレイしても良いだろう。

余談

  • 今作のOPテーマ「ONE」は『ポップンミュージック』でお馴染みの岡めぐみ、EDテーマ「虹を見たかい?」は「ポップンミュージック」のほか「beatmania」などにも参加し、「KONAMIの歌姫」とも称されるSana(新谷早苗)が歌っている。作曲は両方とも広野智章(劇団レコード)。
  • 本作で初登場した先輩・悪役キャラの蛇島だが、続編で再登場した時には世代が整理され主人公と同年代に変更されている。
    • 再登場以降も、他選手を蹴落とそうする本性は相変わらずだが基本上手くいかない…といったある意味悪役らしい扱いが続いていた。しかし『2018』の名将甲子園では再び先輩となり、「自分を純粋に良き先輩として慕い続ける主人公の態度に毒気を抜かれた結果、真面目に野球に取り組むことを決意する」と改心する姿も描かれている。
    • ちなみに本作のプレイヤーからは、本作の投打バランスとバグの影響によって悪役以上にネタキャラとして見られがちであり、「炎上しがちな後輩投手を気遣ってコンバートを提案した先輩の鑑」「留年してまで野球部に貢献を続ける聖人」などと語られることも。
  • 敵チームとして登場する極亜久高校に新キャラクターとして善斗薫が登場している。現状で唯一のパワプロ版極亜久高校にのみ所属経験のあるキャラクターである。
    • パワポケ版には1にてパワポケ限定のキャラクターが多数登場していたが、遅れること8年、パワプロの方にも登場したことになる。
    • 「パワプロ2020」以降のパワフェスでも外藤と2人で参戦している。
  • 2019年のアプリ版パワプロのキャンペーン「パワプロの日」にゲーム内で矢部君がキャッチャーウインドウの廃止について触れていた。
    • 「パワプロ13で捕手ウィンドウを廃止にしたら、多くの意見を頂いたでやんす!」と困り顔で言っていることからスタッフの後悔の程が窺える。
  • 最新作「パワプロ2022」のパワフル高校ライバルズ編では本作を元にしたイベントが追加された。
    • それに伴い「日比野慎一郎」がシリーズに再登場した。
  • ゲームキューブ版では何故か本作が発売されずWiiでも飛ばされて『14』が発売されたため、任天堂プレイヤーは第二世代の話を知る上で一番重要な部分が抜けた状態となってしまった。
+ タグ編集
  • タグ:
  • SPG
  • 野球
  • コナミデジタルエンタテインメント
  • 実況パワフルプロ野球

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年09月06日 23:05

*1 ただし友沢のシナリオは神高親子も登場するため、『8』や『12』をやっていないとやや分かりにくい面も

*2 当時のヤクルトスワローズの選手だった古田敦也選手がプレイングマネージャーに就任した為の特別モード。OPでもそういった演出が取られている。

*3 ただし、古田はマイライフ開始時は監督であるため、コーチに就任させてシーズン中でもID野球指導をできるようにするにはまず監督をクビにしなければならない。なお、監督だと信頼度☆4個以上のときの春季キャンプ中にしかできない。

*4 真エンドは一応キャラが納得して終わっており、厳密に言うとメリーバッドエンドに近い作りと言える

*5 一応、決定版では修学旅行イベントが追加されている。

*6 一応、マネージャー欲しさにみずき達が口車に乗せた部分もある

*7 パワポケのカード野球に近い

*8 みずきの好感度を最大まで上げて2年目の甲子園を優勝し、三日月のペンダントを入手することが条件。

*9 試合で結果を残す、ドラフト指名されてクリアするなどで上昇

*10 練習にランダムで野球仙人が登場、そこで練習をすると低確率で能力大幅上昇というもの

*11 厳密には、交流戦の日本ハム戦で札幌へ行った時と、楽天戦で仙台へ行ったときの計2回だけ

*12 ケガしにくさの経験ゲージアップ。道場では伸ばせる場所がない