ACE COMBAT ASSAULT HORIZON

【えーすこんばっと あさると・ほらいぞん】

ジャンル 超音速・大破壊シューティング

対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
発売・開発元 バンダイナムコゲームス
発売日 2011年10月13日
定価 8,380円(税込)
廉価版 PlayStation3 the Best / プラチナコレクション
2013年2月21日/3,800円(税込)
判定 シリーズファンから不評
ゲームバランスが不安定
ポイント 『エーコン』の皮を被った『CoD』
シナリオ・演出に振り回され快適さ&自由度減
内容を変え過ぎて経験者を中心に不評の嵐
DLCでオンラインのバランスが崩壊してしまう
エースコンバットシリーズ



もがれる翼の断末魔!



概要

有名フライトSTGの据置機版最新作。通称『AH』で、シリーズ国内11作目。
久々の据置機(しかも『6』とは異なりPSでも発売)である事、不評だった『X2』とは違いPROJECT ACES*1が開発を担当している事などから期待されていた。

本作は「Rebirth(リバース)」のテーマを掲げ旧作からシステムや設定を一新し、映画的演出を取り入れた作品になった。ある意味この“映画的演出”が最大の評価点であり同時に最大の問題点でもある。

作風の変化からか、本作のレーティングはシリーズ初のCERO:C(15歳以上対象)となっている。


特徴

  • “キャンペーンモード”は現実世界を舞台とし、シナリオ内容も現実世界である事を最大限に活かしたものとなっている。
    • これは、ストーリー構成に海外の軍事小説家であるジム・デフェリス氏を招いて製作されているため。
      • 故に『X2』とは世界観の繋がりは無く、シリーズ恒例のトンデモ兵器やトンネルくぐりが無いのもそう言った理由からである。
      • 唯一「トリニティ」と言う架空の新型爆弾が登場するが、それ以外の架空の超兵器は一切登場しない。トリニティ自体もあくまで「驚異的な爆弾」と言う形に留まっている。
    • 尚、最終ミッションに登場する友軍アンツィオ実在する巡洋艦である。
  • ゲームシステムも一新されている。
    • ダメージを受けると画面が赤くなる表現や機体の自動回復機能、ドアガンナーのようなFPSを思わせるミッションなど、どうやら『Call of Duty:Modern Warfare』シリーズのようなFPSを意識している節がある。
    • 新たな戦闘システム“CRA(クロスレンジアサルト)”を採用。敵機との緊迫した至近距離戦闘を楽しめる“DFM(ドッグファイトモード)”と眼下の地上目標を殲滅する爽快感を味わえる“ASM(エアストライクモード)”があり、近距離戦闘において発生するダイナミックな破壊描写の数々はプレイヤーに強烈なインパクトを与えた。
    • おなじみの戦闘機(攻撃機・マルチロール機)だけでなく、戦闘ヘリコプター・爆撃機・ガンシップ・ドアガンナー*2と言った様々な航空兵器を操作できるようになった。

評価点

  • CRAは『トップガン』などの戦闘機映画の航空アクションシーンのような、迫力のあるダイナミックなシーンを演出するのに一役買っている。
    • 本作から兵器や建造物などにダメージ表現がなされるようになった。
      • 旧作では敵機を撃墜すると戦闘機などが“そのままの形状で”炎を上げながら墜ちていくのに対し、本作では撃墜すると文字通り機体の主翼や尾翼がもげ、多数の破口を生じ破片やオイルを撒き散らしながら墜ちていくのである。まさに作品コンセプトである「もがれる翼の断末魔!」を体現した演出であると言える。
      • 目の前で崩れ落ちる建築物、バラバラにもがれる戦闘機、真っ二つに折れて沈みゆく艦船など、「破壊のカタルシス」や爽快感を存分に味わう事が出来る。
  • 旧作と比較して低空での戦闘が主であるためか、地上建造物などのグラフィックはかなり美麗。
    • 特に“オンラインモード”専用マップ“東京”の作り込みの素晴らしさは驚嘆の一言に尽きる。新宿、汐留、お台場といったお馴染みの地域は勿論、話題の新スポットである東京スカイツリーや東京ゲートブリッジ、『X2』には無かった東京ビッグサイトを始めとした有名建造物もちゃんと再現されている。
  • デモシーンで視点を移動できるようになり、さながら自分自身がゲーム内に居る気分が味わえるようになった。
  • 参戦機体が15機しかいなかった『6』に比べ31機(ドアガンナー、ガンシップ含む)と、実に2倍近く増加している。更にDLC(ダウンロードコンテンツ)で8機が追加できる様になっている(DLCの問題点は後述)。
    • ロシアのステルス戦闘機PAK-FA(Su-57)が初登場。外見・性能共に、F-22のライバルに相応しい機体として扱われている。ラスボス機でもあり、本作で鮮烈なデビューを飾ることになった。
    • コラボレーションとして、『マクロス』シリーズでお馴染みのメカニックデザイナー河森正治氏がデザインしたオリジナル支援戦闘機“ASF-X 震電II”がDLC配信されている。「支援戦闘機」という区分からも分かる様に、「航空自衛隊の新型」という設定。
  • 音楽に関しては相変わらず評価が高い。『X2』とは異なり『エスコン』らしさもある。
    • 代表的な曲としては、のちの作品でも採用された“White Devil”やメインテーマである“Gotta Stay Fly”をインストゥルメンタル調にした“Fighter”など。
  • 声優も『X2』とは異なり有名所を起用している。
  • シリーズ初、自機・ミサイル煙のカラーリングを自由に変更可能になった。
    • 超時空要塞マクロス』生誕30周年を記念してコラボカラーセットもDLC配信された。
    • また、スキルシステムを採用し、複数のスキルを組み合わせる事により航空兵器の性能を変化させられる(キャンペーンモードを除く)。
  • オンライン対戦は比較的好評。単なる撃ち合いだった旧作と違い、CRAを用いた攻防という新たな駆け引きが生まれた。
    • 「まるで透明なチューブの中を飛行しているようだ」と形容されるDFM(後述)や、「何回やっても同じルートで一方通行しかできない」と言われるASM(後述)も、実は対戦だと攻撃するチャンスと撃墜されるリスクが表裏一体となった合理的なシステムになっている。
    • 現実の大都市を舞台に敵のHQを破壊しあう「首都攻防戦」が今回のウリ。ゲームの結果が反映される「ゲーム連動Web」によってさながら「バーチャル世界大戦」を体感することができる。
      • 対戦の舞台となる都市も、“ワシントンD.C.”“モスクワ”“パリ”“マイアミ”“ドバイ”と有名な都市が一通り揃っている。更に後述する「オンライン強化パック」を購入すれば前述の“東京”と“ホノルル”の2都市でも対戦可能。

賛否両論点

  • 戦闘ヘリ・爆撃機自体は目立った不満は無く中々の出来。しかし、「戦闘機で飛び回りたくて『エスコン』を買ったのに何故戦闘機以外を操作しなきゃならないのか」という意見が無い訳ではない。
    • ヘリは「ミサイルを回避すると勝手にミサイルを撃った敵の方に向く」「対空機銃によってチマチマ削られて落とされる事も多い」「建物にぶつかっても無傷なのは不自然」などの批判意見が見られる。
      • ついでに言うと、事前の紹介で「かなり面白い」と説明されたにもかかわらず、オフではチュートリアル含めてたったの2ミッションしか収録されていない。ミッションの内容はむしろ従来式で自由度があるため、どうせならドアガンナーを全廃してミッション数を確保してくれても…
    • 爆撃機も「主観視点にできない」という不満はある。また、キャンペーンのミッション数もたったの1つでリプレイ性が低い。
  • 新たな機能として特定のシーンで△(Y)ボタンを押す事で動作を行う機能、所謂“QTE”が実装された。リアルタイムな状況描写が利点であるが、「これ『エスコン』に必要な機能か?」との声も。
    • たまに押さないとミッションに失敗する場合もあるが、対応ボタンは常に固定のため、簡単にクリアできてしまい緊張感が薄い。
  • リアリティ追求のためか敵や一般人の無線は(回線の割り込み以外は)一切聞こえない。が、そのせいで「敵や一般人がどう思っているのかが分からずつまらない」と感じるファンも居る。
    • 実際一部の主要人物しか台詞が入らないため、一般の敵機に人間味が一切感じられない。「原点回帰」と言えなくもないが…。
  • ウィリアム・ビショップはシリーズで初めて明確な人物設定がされた主人公となった。こういったキャラ構成も映画的演出に一役買っているのだが、一部の旧作ファンは「主人公=プレイヤー本人」という意識*3があり、主人公が赤の他人になってしまった事で感情移入が出来ず、拒否反応を示す者も少なからずいた。
    • 尚、シナリオ構成からもわかるようにプレイヤーはビショップ以外にも複数人を操作する事になる。
  • 初登場のフランカーシリーズ機として2代目Su-35(Su-35BMまたはSu-35S)が登場。しかし、このフランカーは『2』で主役機を務めた初代Su-35(Su-27M)とは別の、カナード翼のないSu-35である。
    • 本機はSu-37を上回り、ステルス戦闘機に次ぐほどの高い性能を持つフランカーなのだが、外見はSu-27とほぼ変わらない。要するにSu-35(27M)/37のように「三面翼故に派手で強そうな印象を与える」機体ではないため、見た目と性能に大きなギャップがある。
      • 『6』初登場で本作でも使用できるSu-33が本機とは真逆の特徴を持っているため、尚更そのギャップが強調されている。
      • 敵エースのマルコフが中盤まで愛用するライバル機でもあるのだが、カナード翼がないために黄色中隊やシュトリゴン隊のような威圧感がない。ライバル機のフランカーは三面翼機であるのが通例だったため、シリーズを通してプレイしている人ほど違和感を覚えやすい。
    • 現実的に考えれば、本機が最高性能のフランカーという立ち位置にいるのは間違いではない。しかし、長年Su-37(『2』のSu-35も含む)がその地位にいたこと*4や、それ故にSu-37に非常に高い人気があること、試作機・実験機が優遇されやすい傾向にあることを考えると、Su-37という機体に思い入れがあるプレイヤーにとって2代目Su-35は「Su-37の立場を奪った邪魔者*5」のような存在であり、『6』で「劣化Su-37」と呼ばれたSu-33とは別ベクトルで批判されるフランカーになってしまっている。
  • コラボレーションとして登場した架空機“震電II”は賛否両論。河森作品をよく知るファンからは「河森テイストが出ていて良い」という声もあるが、そうでないファンからは「余りにも不格好過ぎ」という声も。
    • しかも震電IIはゲームのみならず、設定資料集、小説、プラモ化など数々のメディア展開がされているという力の入れよう。よって後者のファンからは「だったら歴代架空機のプラモ等も出してくれ」などの意見が多い。
      • 歴代架空機は、『2』に登場した「ADF-01F ファルケン」がバンダイからプラモ化、『3』に登場した「R-101 デルフィナス#1」と「R-103 デルフィナス#3」がハセガワからガレージキットとして製品化されているが、航空機の模型の標準である1/72や1/48ではなく、1/100スケールと言う中途半端なスケールで、2014年現在、前者は入手困難、後者は廃盤になっている。
  • 『6』では有料だった歴代エース機体カラーが(オンライン対戦によるアンロックが必要とは言え)最初から収録されている。カラーも『4』のメビウス中隊、『5』のラーズグリーズ、『ZERO』のガルム隊、『6』のガルーダ隊、『X2』のアンタレス隊と揃い踏み。
    • しかし、何故か『X』のグリフィス隊は収録されなかった。
  • 実質CRAはソロプレイではなくマルチプレイを重視したシステムになってしまったため、『X2』といい本作といい最近のマルチプレイ偏重主義に「このままいくと次回作は『エースコンバットオンライン』になるな」と現状を揶揄するプレイヤーもいる。
    • 実際本作のキャンペーンには問題点も多いため、対戦にのみ没頭するプレイヤーも多い。

問題点

そこかしこで感じる強制感

  • 快適さと自由度が低い。プレイした者が真っ先に挙げる最大の問題点。
    キャンペーンでは「ここに行け」「ここで攻撃しろ」「ここでこの演出を見ろ」といった事を最初から最後までやらされる。
    • 一応過去作でも「ここへ行け」等の強制プレイは無いではないが、大抵はミッションアップデート後など1ステージ内で僅かにあるぐらいであった。
      • また倒さなければいけないTGTの数に対して一度に出てくるTGTがかなり少ないので「1~3機のTGT出現、撃破→別の場所で1~3機のTGT出現、撃破→別の場所で1~3機のTGT出現…」という繰り返しになり(その間に下記の強制的な演出が入る)、それがクリアまで何度も続く。更にTGTも基本的に密集し普通の敵も同じ場所にいるため、尚更自由度が低い。
      • しかも、条件をクリアする度に敵の残党から勝手にハッドのコンテナが外れたり、あまつさえ突然爆発したり消えたりする。
    • 低速度感や理不尽な超機動など多くの問題点を抱えた『X2』でも「プレイの快適さ」「自由に空を飛ぶ楽しさ」はあった。そのためプレイヤーによっては本作を『X2』未満だという人も。
  • 登場機体はカテゴリ毎に調整が加えられ、戦闘機は対空戦闘、攻撃機は対地戦闘しかできなくなった。またマルチロール機専用ミッション、攻撃機専用ミッションなどのようにミッションの目的によって使える機体が制限されるようになった。
    • 確かにリアリティはあるのだが、「A-10で対空戦に挑む」「全ミッション同一機体縛り」といったネタプレイができなくなってしまった。
    • 『X2』では低機動で不遇の扱いだった攻撃機は、なんとキャンペーンではたったの1ミッションしか使えない。
      • 本作には要塞戦や精密爆撃ミッションなどもあるのに、攻撃機が使えるのは対艦戦のみ。対地戦闘は…?
      • オンラインで使おうにも、味方の援護がなければまともに攻撃することすらままならないため、非常に扱いづらいカテゴリになってしまった。DFMで狙われた場合、腕が良くないとまず撃墜されるので過去作よりも扱いが酷いという声も。
  • 戦闘機(攻撃機・マルチロール機)は一応CRAを使用しない従来の戦闘もできるが、キャンペーン“フリーミッションモード”だとTGT_LEADとマークされている敵戦闘機はDFMを使わなければ倒せない*6。当然倒さなければ話が進まずプレイヤーはDFMを強いられる*7。おまけに一部のDFMとASMは飛行ルートが制限されており、全く同じ場所で破壊描写が発生する(後述)ため“自由に飛べる爽快感”は薄く、周回プレイの意義が著しく低下する原因となった。映画的演出を取り入れたために起きた弊害である。このように、CRA強要が悪い方向ばかりに働いてしまった。
    • 上記の「破壊描写が定められている」DFMやASMでは、イベントが一通り終わるまで追跡を続けなければ“絶対に”落とせない。機銃やミサイルを何発撃ち込もうが、イベント引き延ばしのために何度も回復し、黒煙を吹いていた筈の機体がいきなり無傷になる。なまじリアリティ重視なだけに違和感が強い。
      • ラストミッションは強制感がかなり顕著、特にラスボスはDFMを使わなければミッションに失敗するどころか、DFM中の飛行ルート&破壊描写が固定されており何回やっても同じプレイしかできない。これが特にジェットコースターと揶揄されやすい。
    • DFMを発動した状況によっては、時折敵機が“特定のルートに乗るために”地面や建物の中をすり抜けたり、海面スレスレで急速反転したり等のムチャな機動をする。よって、自動追跡する自機が地面に叩きつけられるという弊害が起こる。
    • 場合によっては展開の都合上、DFMを使っても撃墜できないTGT_LEADまで出てくる。プレイヤーは指を咥えて見送ることしかできない。
    • また、DFM中明らかに「4(6)AAMを使え!」と言わんばかりに多数の敵戦闘機が不自然に目の前に自分からやられに出て来る。
    • TGTのみのものはDFMを使わずとも倒せるが、一部の敵爆撃機は一通りイベントが終わらなければ倒せない。
    • CRAを発動中に味方(敵)や建物の破壊演出が挿入されるのだが、これがスキップできない。演出を見ている内にも自機は前進しているので「演出が終わった時には破壊目標の上を通過していた」なんて事も。
      • 過去作ではミサイル発射ボタンを押しっぱなしにすると発射したミサイルの視点になったが、今作ではそれを強引に見せられるのである。
+ 参考映像:ラストミッション一騎討ち
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ストーリー・ゲームシステムの問題

  • ストーリーそのものはよくある「外国人作家が書いたロシアクーデター軍とアメリカを中心とした多国籍軍の軍事衝突を扱った、劣化orしょぼいトム・クランシー」の範疇を出ていない。ざっくりと言えば「ロシア人が起こしたクーデターを世界の警察官アメリカ軍が鎮圧する」という、FPSにありがちなもの。
    • 故に同じ現代戦を描き発売日が近い『BF3』『COD:MW3』と比較される結果となってしまった。
    • 「流行りのミリタリーFPSをまるまる戦闘機に置き換えて真似しただけ」という意見もある(本来はジャンルが違うので一概に比較できるものではないが、比較してしまう程酷い出来であると言える)。演出もそれらを意識している節が見受けられる。
    • 他にもキャラクターデザインに『inFamous』のスタッフを起用する等、明らかに洋ゲーを意識している。
    • また、序盤のドアガンナーミッションに『COD:MW』シリーズの「ゴースト」というキャラクターに酷似したキャラクターまで(少しだが)登場する。
      • ただし、ゴーストの格好は現実でも欧米圏の20代の兵隊を中心に流行している。平和維持活動で不要な恐怖を活動地域の民間人に与えたり、ナイロン製マスクに引火して不要な負傷者を増やす行為として問題視されている。
  • 作家の名前で売るにしても、ジム・デフェリスを起用した理由も不明。この作家は海兵隊や陸軍の歩兵を題材としたノンフィクションでは強いが、フィクションに弱い作家で、代表作として紹介されていた小説版シックス・センスも映画のスピンオフ作である。
    • ついでに言えば日本人作家でも、破綻が目立たない現代戦を題材としたポリティカルサスペンスや仮想戦記を作れる作家なら、クオリティーの下限を『サイレントコア』シリーズの大石英司としても専業で10人前後は居る。『亡国のイージス』『機動戦士ガンダムUC』の福井晴敏とか『宣戦布告』の麻生幾とか。
      • 納期が10年単位で当てに出来ない『皇国の守護者』『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』の佐藤大輔*8…は除外するとしても。
    • なお『04』や『5』のシナリオを担当した片渕須直氏は、当時はトヨタ自動車関係の作品にかかりきりで動けなかった模様。
  • 前述のように、今回のストーリーは「ロシア人がクーデターを起こす」というものであるため、登場する敵機は全てソビエト/ロシア製の軍用機である。ストーリーがストーリーなだけにそれは理解できるのだが、従来は西側機も敵機として出てきただけに、これでは余りにも物足りない。
    • また敵機のバリエーションが余りにも少ない。例えばMission01は敵機がフランカー(Su-27)しか出てこず、Mission02はフィッシュベッド(MiG-21)しか出てこない。
    • それ以降も、キャンペーンに登場する敵機の90%はMiG-21、MiG-29、Su-27の3種類だけと言っても差支えは無い。残りは数ミッションだけMiG-31やSu-25といった戦闘機・攻撃機、Tu-160といった爆撃機が出てくるくらいである。
    • なお最終ミッションでどの機体を選んでも、クリア後のデモシーンでは何故か自機がF-22になる。
  • ゲームの構成にも問題がみられる。
    • ブリーフィング(事前指示)・デブリーフィング(事後報告)が無くなった。特に前者が無いと具体的に何をしていいかが分かり辛く、自然と「とりあえず現れる敵を片っ端から潰す」ノリになってしまう。
      • なぜこうなったのかというと、ブリーフィングに類するものをデモ内で説明しているため。これも映画的演出を取り入れたが故であるが、そのムービーが無いミッションもあるためあまり褒められた物ではない。いきなり「攻撃機で首相を救出しろ!」なんて言われても困る。
    • 1ミッションの時間が長い(20分超えもザラ)。
      • 『6』等でも長ミッションはあったが、そちらは1つのマップに複数のミッションが同時進行していたため、先に制空権を確保するか味方部隊を援護するか、といった戦略的要素があった。が、前述の通り本作は終始同じプレイの繰り返しなので、作業感が強い。
    • ミッション中、新システムを使う場面になると説明のためにゲームが一時的にストップする。なので一々プレイがぶつ切りになりテンポが悪い(このような「チュートリアル」は、過去作には独立して存在した)。
      • 通常の操作確認もミッション中に(機体トラブルという理由を付けて)イベントとして挿入される。経験者や2回目以降のプレイとなると煩わしい。
    • 旧作でもあった問題点としては「特定のデモシーンでスティックをニュートラルにすると、ミッション中と同様に視点が正面中央に戻る」というものがある。
      • 場面によってはスティックを倒す力加減が必要になる。やはりデモシーンなのだから視点を固定したほうがプレイヤーにとっては見やすい。
  • システム面で不便さが増した点もある。
    • ボタン配置の変更が自由にできない。飛行機の種類毎に操作方法が異なる今作では特に致命的である。
      • おまけにマップ切替と兵装切替のボタンが今作では逆になっているため、慣れるのに時間が掛かったファンも多いだろう。『X2』でもそうだったが、こちらの場合は自由に変更できたため問題は無かった。
    • 戦闘機ミッションでは僚機の機体・特殊兵装が選べず、作戦中指示すらも出せない。
      • 相棒であるガッツはウォーウルフ隊2番機でありながら、ミッション中は特に目立った活躍をしてくれない。一方で、ストーリー上の都合とは言え、勝手に敵砲火の中に突っ込んでいって手を煩わせたり、挙句ストーリー後半で撃墜されてフェードアウト。邪魔しかしていない*9
      • ウォーウルフ3・4に至っては名前も出ない上、ビショップに頻繁に別行動を指示されるため、居るか居ないかすらわからない。
  • 機体ダメージは、FPSよろしく画面の色具合で示されるようになった(ダメージを受ける毎に赤くなっていく)。そして、FPSのように時間経過で回復する
    • 要は『X2』のパーツ「タリスマン」が永久発動しているようなもの。プレイヤーからは「DG細胞やナノマシンでも積んでいるのか」「FPSとフライトゲーを同列に考えて製作するのはまずいだろ」という突込みがあった。
      • またこのシステムを導入したからか、一定条件を満たすと地面や輸送機に激突しても弾んでダメージを食らうだけで済むという事も起こる。確かに過去作でも地面にキスしても墜落にならないという事はあったが、それは非常に浅い角度で地面に掠った場合のみであった(難易度と作品次第ではその条件でも墜落するほど)。この作品では垂直に落ちても生き残る場合もある(大抵大破の一歩手前まで持っていかれるが)。
    • 最高難易度の“エース”では回復しなくなる。本作は「自動回復ありき」のゲームバランスのため、攻撃を全て回避するのが事実上不可能に近い場面が多い。それ故、難易度エースでは序盤でダメージを受け過ぎると、ミッション終盤や難所でダメージが蓄積し過ぎてクリア不可能になる可能性すらある。つまり、攻略には運が関わりやすい極めて理不尽で劣悪なゲームバランスとなっている。さらに、激しい攻撃を行う敵を遠くから安全に攻撃しようにも、一部場面では強制CRAによって、嫌でも敵の攻撃の真っ只中に突撃しなければならなくなり、ダメージを受ける可能性が激増する。以下、攻撃回避が極めて難しい場面の一例。
      • ガンシップミッション(後述)
      • 対艦攻撃ミッション。ここでは、強制ASMで艦隊の対空砲火の中に入らなければならないことがある。
      • 発射されたICBMをDFMで追撃して撃墜するミッション。ICBMは高機動を行うため、注意していても噴射炎に当たりやすく、全くダメージを受けずにICBMを撃墜するのは至難の業。また、DFMを解除すると即ミッション失敗になる上、噴射炎を恐れるあまり距離を取り過ぎると、それがDFM解除に繋がる。 現実的に考えても、ICBMがクネクネ曲がりながら上昇する訳がなく、制御にエラーが起これば自国に墜ちてくるリスクがある。軍事小説家がいながら何も言えなかったのだろうか……
        続編のエースコンバット7ではまともな飛び方をするICBMが登場するようになった。
      • 最終ミッションにおける対マルコフ戦。マルコフ機が放つ対空ミサイルは誘導性能が非常に高く、全速力の状態で回避機動をとっても回避できない。しかも、DFMで背後を取りながら追撃しても、こちらにミサイルを発射できる。「4AAMや6AAMのような連続攻撃能力」「SAAM並みの誘導性能」「QAAMの後方攻撃能力」を併せ持ったミサイル攻撃を行えるようなもの。回避には使用回数に制限のあるフレアやECMPに頼らざるを得なくなる。DFMを解除してすかさずDFMを再発動させることで、ミサイルの誘導を止めさせるテクニックはあるが、素早い操作を行ったからと言って、必ずもう一度DFMを発動できるわけではない。このテクニックを使っても、やはり少なからず運は関わってしまう。加えて前述のとおり、マルコフ戦ではDFMで必ず同じ演出を見せられるので、必然的に長期戦になりやすく、運要素の強さに拍車がかかっている。難易度エースに限っては、ある意味『X2』のスレイマニ以上に理不尽なラスボスである。
  • HUD表示が簡略化。自機の耐久値やロックしている敵の情報などが表示されない。特に自機の耐久値に関してはプレイの快適さに支障が生じる。ちなみに過去作では表示のオンオフ切替ができていた。
    • 耐久力が減ると画面に「LIGHT DAMAGE」「HEAVY DAMAGE」「CRITICAL DAMAGE」と段階的に表示され、これがある程度の目安になる。画面の赤具合や自動回復もあるので目安程度で十分という考えもできるが、前述の通り“エース”の場合は回復しないためやはり表示切替は必要だろう。
    • また過去作にはあった、「HIT」等の表示も視点が正面を向いていない時にのみ表示される仕様になっている。そのためオンラインでは味方と同時に攻撃した場合、どちらが撃破したのかが非常に分かり辛い。
  • おなじみの離着陸はあるのに、空中給油が無い。空中給油機自体はきちんとグラフィック付きで登場し、終盤では「給油機の位置をくれ」という台詞まであるのに、給油ミッションは未搭載。
    • ちなみに給油機の出番だが、ミッション2冒頭で墜落して出番終了
  • DLCなどの追加機体はフリーミッション・オンラインで使う事ができるが、キャンペーンでは自由に使用できない。
    • 「フリーミッションでできるからいい」と思うかもしれないが、フリーミッションはデモシーンがカットされるので見所が台無しになってしまう。
      • シリーズの他作品で例えると、「緊迫感のある敵エースや超兵器の登場シーンなどが全てカットされている」と考えると分かり易いかもしれない。当然プレイヤーは肩透かしを食らう事になる。
  • 据置機版恒例のフリーフライトは無くなってしまった。美麗なグラフィックで描写された現実世界をじっくり堪能できなくなってしまった事には残念という他ない。
  • メダル(勲章)、アサルトレコードといった収集要素はオミット。
    • このため、機体カラー・勲章獲得に密接に関わりがあったネームド機がオンラインCOーOPのみの登場となった。
    • 代わりにスキルが登場したが、オンライン対戦を利用しないなら必要性は薄い。
      • また、オンライン対戦限定でしか効果を発揮しないスキルやオンラインをプレイしなければ入手できないスキルもある。

登場兵器・兵装などの問題

  • 本作の重要なキーである「トリニティ」の脅威感が薄い。旧作での超兵器・架空兵器といえば、艦隊を瞬く間に沈めた散弾ミサイルや航空部隊を容易く葬り去ったSWBMなどがあるが、それらに比べてトリニティは下記の要素により恐ろしさがあまり伝わってこない。
    • 作中でもヘリ部隊を壊滅させたり、モスクワを吹き飛ばしたりはしている。だがそれ程の威力にもかかわらず、至近距離での爆発に遭遇したウォーウルフ隊やシューター隊は無傷。ゆえに兵器の威力や脅威に違和感を感じてしまう。
      • 実際、序盤のミッションで目前で爆発するのだが、作中で語られる程驚異的な威力には見えない。ついでにミッション中とムービー中とでは描写から見て明らかに威力に差がある。
    • 描写としては「残留放射能のない核兵器」といった所。現実世界とのマッチングを重視したのであろうが、上述の威力不足描写ばかりが目立ってしまっている。特に「撃墜しても大爆発を起こすがその場合に限り被害はない」というのはご都合主義的な一面が強い。
    • さらに兵器の出自や設定も作中でほとんど語られない。ミサイルに数発耐える異常な強度を誇ることにも全く言及が無い。
  • ガンシップ・ドアガンナーはオンライン対戦で使えなかったり、ミッションが1回しかない*10など、扱いが悪い。この2つの場合、機体そのものを自由に操作できる訳ではないため「自由度が低い」と言われる要因の1つでもある。もっとも、これは、「FPSやガンシューティングでやるはずのガンシップやドアガンナーはエースコンバットに必要か」という根本的な問題点でもある。
    • ドアガンナーは既に『タイムクライシス4』で似たような事をやっている事もあり「ガンシューティングでやれ」とよく言われる。
      • ドアガンナーで操作する兵士が右側に寄っている(つまり左利き)。普通は逆だろうが、視点を反転できない…。
      • 後述のガンシップで挙げられている問題点と共通している部分はあるが、操作が簡単で、敵配置を覚えれば何とかなるミッションなので、難易度エースでもそれほど難しくはない。
    • ガンシップに至っては最早問題点しか存在しない。「赤外線画面のせいで見辛い」「120mm迫撃砲は視界が広過ぎて解らない」「25mm機銃は逆に近過ぎて解らない」「故に頻繁に切り替えを余儀なくされるが初見では策敵が間に合わず失敗しやすい」「味方はマーキングされるのに敵はマーキングされないので余計敵がどこにいるか解り辛い」「ミサイルが飛んでくるのにフレアの一つも無い」「25mm機銃で撃ち落とせるミサイルは見辛い上に大量に飛んでくるので対処しきれない」「後半になると画面揺れが激しくなりスクロールが早くなる」など。仮にもフライトシューティングなのにFPSに細かい仕様で負けている。勿論、本家の『COD:MW』に登場する同様のミッションと比べ爽快感は薄い。
      • ガンシップは頑丈な上に自動回復もあるのでミサイルの集中砲火を食らっても強引に突破できるのが救い。しかし、“エース”の場合は回復しないため「敵ミサイルの出現位置を完全に把握しやられる前にやる」という覚えゲーになる。
      • 覚えゲー自体は悪いことではないが、前述の「激しい画面揺れとスクロール」のせいで、ただでさえ難しい25mm機銃によるミサイル迎撃には運が関わりやすく、覚えゲーでありながら運ゲーという要素をはらんでいる。序盤でダメージを蓄積し過ぎていた場合、終盤で詰んでしまいかねない。
      • そもそもガンシップは専ら夜間に任務を行う機体であって、制空権が確保されていない真っ昼間に堂々と飛行するような機体ではない。軍事小説家まで招いたリアル寄りの作品でありながら、違和感を覚えやすい展開となっている。
      • また、ガンシップではミッション時間が非常に長く、ノーミスでクリアした場合でも約15分かかる。
      • 難易度エースにおいては、純粋なミッション攻略だけでなく、Sランク獲得、被ダメージボーナス獲得共に難しく、歴代ミッションの中でも最難関と言えるほど激烈かつ異常な超高難度を誇る。それも、歯ごたえのある難しさではなく理不尽要素の多さによる不愉快な難しさである。戦闘機の操作を楽しみたいプレイヤーにとっては苦痛以外の何物でもない。
      • エースコンバットに必要なのか分からない非戦闘機ミッション、無駄に長いミッション時間(待機時間も長い)、主人公ではなくサブキャラクター主体の作戦(他シリーズ作品ならムービーで済ませているようなもの)、流れているかどうかも分からない地味なBGM、赤外線画面による見辛い画面、使いにくい武装、迎撃しなければ絶対に避けられない攻撃、完璧に近い状態で敵位置を覚えないと攻略不可能であること、運要素の強さ、そして理不尽極まりない難易度と、何一つとして褒められる要素がないため「シリーズ史上最低のミッション」という声まである。
  • また、上記2種や戦闘ヘリのミッションでは、登場する敵ユニット“兵士”が小さ過ぎて狙いにくい。ガンシップの敵兵以外はカーソル付だが、そのカーソルも小さ過ぎるため、大して意味が無い。
    • 特に戦闘ヘリでは多数の敵兵がばらばらになって現れる上にミサイルはロックしてくれないため、機銃でちまちま倒して行くしかない。
  • 一部の特殊兵装が使い辛くなっている。
    • 前述の4(6)AAMで分かり易く説明すると、従来は1つの目標に対しマーカーを1つ合わせればミサイルを連射する事により全て当てる事ができ、複数相手でも一気にロックオンできたのだが、今作では複数はおろか1つの目標に対してもミサイル1発につきシーカーが一々1つずつ順番にロックオン、ボタンで一斉発射という方式になった。
    • 全てのロックオンに時間がかかるようになったためマルチロック中に何度も蜂の巣にされ、味方に獲物を奪われる。途中発射の場合も未ロック分まで発射され、ターゲットも狙わず真っ直ぐ飛んでいくため無駄撃ち感が否めない。
    • そして、無駄撃ちした物が民間施設などに当たることも。現実であれば取り返しのつかない大惨事である。
      • ただ、「4・6発の一斉発射で弾数1消費」という仕様になり、結果的に総弾数は増えている。ゲーム的にはいい事かもしれないが…。

マルチプレイ・DLC

  • オンラインにおける問題点として槍玉に上がるのは“チームデスマッチ”が無い事だろう。そのため、本来は戦闘機と攻撃機の連携が必須の首都攻防戦をチームデスマッチ代わりに参戦するプレイヤーが続出した。
  • 「バンナムゲー」の例に漏れずDLCは高額。追加機体は1機720円~960円もする。この価格設定に憤るプレイヤー多数。“東京”も1800円(1200MSP)も出して購入するかどうかはプレイヤーの判断次第である。
    • 新規機体や新規カラー、新規スキルは続々と配信されているものの、『6』にもあった新規ミッションの類が未だに配信されていない。機体やカラーが悪いという訳ではないが、いくら揃えてもやる事が一緒であるためその内飽きてしまう。
    • またその新規機体も8割が過去作に何度も登場している機体であり、「過去作で使えた機体を何故態々DLC販売にした?」と批判を受けることも多い。
    • さらに、本来ゲーム内で最初から使えるべき架空機もDLCでの登場である。また様々な広報活動で使われている震電IIもDLC機体。
    • 懲りずに痛戦闘機をまたやった。やっぱり高額。とは言え痛戦闘機自体は賛否両論であり、「いい加減『アイドルマスター』はもういいよ」と言う意見もあるが「安ければいい」という人も多い。しかし、如何せん高額である。
      • そもそもこの世界観では完全に浮いてしまっている。今作はプレイヤーにも明確な人物像が存在するため、パッケージ絵のあのキャラクター達がそれに乗っていると考えればかなりの違和感がある。
    • バランスブレイカーに成り得る強力なスキルをDLCのみで配信してしまった。オンラインが可能なゲームでは致命的である。
    • また、「オンライン強化パック」という名目で新マップ・新機体をまとめたDLCを販売(先の“東京”もこの中に含まれる)。その結果、DLC購入者と非購入者の二極化によって過疎化が一気に進む事になった。前述の通りマルチプレイ推しの割に、オンラインの過疎化を助長している。
      • しかも、同梱されている『6』の架空機“CFA-44ノスフェラト”が『6』同様ADMMとEMLが強力すぎてバランスブレイカーとなってしまった。“東京”や“ホノルル”で遊べるプレイヤーは同時にCFA-44を持っているという事であり、同マップではADMMとEMLの嵐が吹き荒れる事態に(一応オンライン対戦用に調整されてはいるがそれでもEMLは敵を一撃で撃墜しうる性能を持つ)。
      • ただし、CFA-44に関してはマルチロール機の高ランク機体をホスト側で使用不可にすれば使わせないようにすることは可能。しかし、高ランク機体の中にはラファールやPAK-FA等も含まれるため、どうしてもこれらの機体を使いたければプレイヤーの良心に任せるしかない。
      • それ以外にも、「互換データパック」というものを設定しなければ追加機体は使用できなくなるが、これによって普通に追加機体を使っていた人は巻き添えを食らってしまう。特に最近はこのデータパックの使用を禁止している部屋が多く、せっかく追加機体を買ってもまず使えない事態に陥っている。自分で部屋を立てた場合、現状では互換データパックありの部屋にはあまり人が入ってこないという問題がある。
  • 評価点の項目で「オンラインは素晴らしい」と先述したが、現状は「今までプレイしてきた上級者」か「素人」の二極化が進んでいるため、一方的にやられたり、一方的な試合展開がなされて何も出来ずに試合終了という事も多い。

総評

「Rebirth」した結果、『エースコンバット』シリーズの方向性が悪い方向へと大きく脱線してしまった。

発売前や発売当初はその迫力ある演出を評価する声が多かったが、その中身が安易な洋ゲーの模倣ではどうしようもない。
旧作からの作風やシステム改変の問題が大きく、ファンからは概ねクソゲー扱いされることとなった。
ストーリーや設定・ミッションなどのリアリティと、「超本格的ヒコーキごっこ」たる『エースコンバット』本来の自由度と、自動回復やDFMのジェットコースターなどの新要素が両立することなく錯綜してしまっている、 映画的演出という観点でも、『5』などと比べて大きく見劣りしてしまっている。

総じて本作は、スタッフが本シリーズに求められるものを大きく見誤ってしまった例と言えよう。


発売前の経緯及び発売後の評価

  • 公式サイトのスタッフコメントによると、元々本作は以下の理由から一念発起したACESが起死回生を狙い開発した物だったらしい。
    • 本作開発の2年前にバンナム上層部から「『エースコンバット』はもう必要ないのでは?」と宣告された事*11
    • とある海外のファンから「我々は『エースコンバット』に投資してきたのに、変わらないでいるのはそれに対する裏切りだ」ともっともらしい?意見を言われた事。
  • 発売の結果、『X2』をも下回るシリーズ最低レベルの評価となったため、「今度こそ上層部に見限られてしまうのではないか?」とシリーズの今後を不安視するファンが数多く発生した。

余談

  • 海外では『ACE COMBAT ASSAULT HORIZON Enhanced Edition』がWinで販売されているが、パッケージ販売はされておらずSteam等でのダウンロード販売のみ。バンナムの例に漏れず日本からは原則購入不可。
    • もっとも、映像がとても滑らかに動くだけだが。一応日本語には対応しておりトーネードGR.4と『マクロス』カラーセットを除くDLCが同梱済み。
  • のちに稼働が開始された『マッハストーム』では、本作で不評だったDFMの技術が流用された。
  • その後、2014年にダウンロード専用オンラインゲームとして『インフィニティ』の配信が開始。
    • 露骨な課金仕様などの批判点こそあるが、良質なバランスや過去作のいいとこ取りをしたゲーム性もあり、少なくとも本作よりは評価は高い。
  • 『6』は360専売、オンライン環境必須の『インフィニティ』は運営が終了した事を考えると、本作は「PS3で唯一ネット環境無しでプレイできる『エースコンバット』」と言える。
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  • 2011年
  • PS3
  • Xbox360
  • STG
  • バンダイナムコゲームス
  • エースコンバット

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最終更新:2024年03月27日 09:50

*1 プロジェクト・エイセス。『エースコンバット』開発チーム。

*2 輸送ヘリの側面から据え付け機関銃(ドアガン)を扱う機関銃手

*3 今までの『エスコン』主人公は、プレイヤーに感情移入させるためコールサイン・性別などを除くプロフィールが設定されていなかった。

*4 過去のSu-37はF-22に匹敵する最強の実在機の一つとして扱われていた。本作ではタイフーン程度の性能に弱体化されている。

*5 さらに始末が悪いことに、『INF』では『2』のスカーフェイス仕様特別機のモデルに本機が採用されている。前述したように、『2』の主役機はカナード翼のあるSu-35であり、そういう意味ではSu-37を採用した方が再現度は高い。しかし、カナード翼の有無という戦闘機のことをよく知らない素人でも見分けが付くレベルの再現もされておらず、再現度の低い旧主役特別機になってしまった。

*6 倒せるものも居るが、大抵超機動や無限フレアで回避される。

*7 一応、特殊兵装をかなり巧みに使えばDFMを使わずとも倒せるが、過去作の敵エースは特殊兵装を使わなくても十分撃墜できるように調整されていただけに、擁護点には全く成り得ないどころか改悪でしかない。

*8 仮想戦記では『征途』や『レッドサンブラッククロス』等がある。

*9 撃墜された件に関しては主人公をかばっての事だが。

*10 ドアガンナーは厳密には2回だが、最初の方はフリーミッションでプレイできない事からミッション扱いではない。

*11 2009年にユービーアイソフトから発売された『Tom Clancy's H.A.W.X.』は『エースコンバット6』の売り上げ本数を大幅に上回るセールスを記録している。