本項ではプレイステーション2用ソフト『かまいたちの夜2』とその移植版の紹介をしています。



かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄

【かまいたちのよるつー かんごくじまのわらべうた】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 チュンソフト
発売日 2002年7月18日
定価 6,800円
判定 賛否両論
ポイント メインシナリオの構造が前作から大きく変化
グロ・鬱・電波要素満載のサブシナリオ
ミステリーの皮を被った怪奇ホラー
チュンソフトサウンドノベルシリーズリンク

概要

SFCで大ヒットしたサウンドノベル『かまいたちの夜』の、8年ぶりの新作。
ただし単なる続編でも全く別の世界でもなく、「前作を劇中劇(ゲーム中ゲーム)としたパラレルワールド」という、極めて特殊な位置付けの作品となっている。
ゲームは、物語が始まる以前の背景を語るプロローグから始まり、ミステリーシナリオ『わらべ唄篇』を中心とする各シナリオが、クリア段階に応じて展開していく。

あらすじ

『かまいたちの夜』というゲームがある。

1年前にペンション「シュプール」に滞在していた実在の人々をモデルに、「シュプール」で起こる惨劇を描いたテレビゲーム『かまいたちの夜』。
その大ヒットの礼として、透たちは『かまいたちの夜』の原作者である「我孫子武丸」の別荘・三日月館があるという絶海の孤島・三日月島に招待された。
しかし、そこで透たちを待ち受けていたのはゲーム『かまいたちの夜』さながらの惨劇であった…。

+ 登場人物(長いので折りたたみ)

登場人物

  • 矢島 透(やじま とおる)
    • 前作から引き続き主人公を務める。名前は変更可能。同じ大学に通っていた真理に想いを寄せている、という点は『かまいたちの夜』の作中と同様。
  • 小林 真理(こばやし まり)
    • ヒロイン。名前は変更可能。透とは『かまいたちの夜』の作中同様友達以上恋人未満の関係だが、家庭の事情で北海道に引っ越しており、今回の旅で透と久しぶりに再会する。
  • 小林 二郎(こばやし じろう)
    • 信州でペンション「シュプール」を営む真理の叔父。実は我孫子から招待を受けておらず、数日前に友達と旅行に行った妻の今日子に留守番を任されていたのだが、今回の話を真理から聞いてゲームの舞台のモデルとなったペンションオーナーの自分を招かないとは何事だとシュプールを臨時休業にし、強引に真理に同行して三日月島にやってきた。
  • 香山 誠一(かやま せいいち)
    • 大阪の会社社長。『かまいたちの夜』の作中にも登場した妻の春子とは既に離婚しており、現在は夏美と再婚している。招待状は本来なら当時の彼ら夫婦に来ていたのだが、別れた春子とは流石に今更来れないということで新妻の夏美と共に来た。
  • 渡瀬 可奈子(わたせ かなこ)
    • 19歳のOLで、気の強いロングヘアの美女。
  • 北野 啓子(きたの けいこ)
    • 可奈子と同い年の親友兼同僚で、色気より食い気が勝るぽっちゃり体型の女性。
  • 美樹本 洋介(みきもと ようすけ)
    • フリーのカメラマン。長身で口髭を蓄えた山男のような外見だが、振る舞いは紳士的。自家用クルーザーを持っている。
  • 久保田 俊夫(くぼた としお)
    • 「シュプール」で住み込みのアルバイトをしていた男性。みどりとの結婚を機に大学を中退し、現在はスポーツ用品店で働いている。妻のみどりを連れて三日月館を訪れた。
  • 久保田 みどり(くぼた みどり)
    • 旧姓は篠崎。「シュプール」で住み込みのアルバイトをしていた女性。俊夫と結婚し、彼と同じスポーツ用品店のパートとして働いている。
  • 香山 夏美(かやま なつみ)
    • 香山の新しい妻。派手な見た目に気の強い関西弁と、前妻の春子とは正反対の女性。
  • 正岡慎太郎(まさおか しんたろう)
    • テレビゲーム『かまいたちの夜』を手掛けたゲームプロデューサー。軽薄な女好き。閉所恐怖症のため、宿泊場所である三日月館が窓のほとんどない監獄じみた建物であることに参っている。
  • 村上つとむ(むらかみ つとむ)
    • 自称「大物作曲家」。『かまいたちの夜』の続編のBGMを手掛けることになり、打ち合わせのため島に呼ばれた。プライドが高く激昂しやすい性格。
  • 菱田キヨ(ひしだ キヨ)
    • 三日月館の管理を任されている老婆。
  • 我孫子武丸(あびこ たけまる)
    • 『かまいたちの夜』の原作者。ゲームが大ヒットして大金を得たため三日月島の別荘を買い付けたとのことで、当時の関係者らを島に招くが、肝心の本人は一向に姿を見せない。ゲームの内容から1年前の吹雪の日に「シュプール」に滞在していた誰かかその関係者だと思われるが、その正体は謎に包まれている。

その他、メインメンバーではないものの、前作の登場人物であった河村 亜希(かわむら あき)小林 今日子(こばやし きょうこ)香山 春子(かやま はるこ)らも異なる形で登場している。
前作同様、サブシナリオで設定が一部変更されたり、新たな登場人物が出現することもある。

シナリオ

  • わらべ唄篇(田中啓文):「三日月館」で起こる連続殺人事件を解決するメインシナリオ。

事件を解決してトゥルーエンドを見ることで、新たなサブシナリオにつながる選択肢が段階的に解放されていく。
それと同時に「わらべ唄篇」にも本筋から外れたバッドエンドが多数追加される。

+ サブシナリオ、微ネタバレ注意
  • 底蟲村篇(田中啓文):不老不死の伝説が残る廃村「底蟲村」にまつわるホラー調のシナリオ。
  • 陰陽篇(牧野修):到底人間には不可能な方法で人が次々と殺されていく、ホラー色の強いオカルトシナリオ。
  • サイキック篇(牧野修):ヒロインの真理が主人公となり、彼女の超能力サイコメトリーで事件を究明するサスペンスシナリオ。

以上のトゥルーエンディングを全て見ると「ピンクの栞」が解放され、以下のシナリオが出現。

  • わらび唄篇(我孫子武丸):何かの事件に巻き込まれることを危惧した透が奔走するパロディギャグシナリオ。
  • 官能篇(牧野修):透が何故か色仕掛けの誘惑に巻き込まれていく官能的シナリオ。
  • ぼくの恋愛篇(田中啓文):短編ストーリー。招待され島に訪れた主人公と真理の前に現れたのは……。
  • ぼくの青春篇(田中啓文):短編ストーリー。透は真理に長年の想いを伝えるため島を目指す。
  • ラブテスター篇(我孫子武丸):PS2版限定。本編とは独立した二人プレイ専用おまけシナリオ。透と真理が本格的なデートをする。

以上のトゥルーエンディングを(ラブテスター以外)全て見ると「黒の栞」が解放され、以下のシナリオが出現。

  • 妄想篇(牧野修):まるで悪夢の中のような不可解な描写がなされるホラーシナリオ。詳細は後述。
  • 惨殺篇(牧野修):館で起こる連続殺人の中で狂気に侵されていく、題名通り残虐要素の強いシナリオ。
  • 洞窟探検篇(牧野修):岸猿家の財宝を求めて地下迷宮を進む謎解きシナリオ。
  • 陰謀篇(?):厳密には独立したシナリオ扱いではない。特定の場面で暗号を解くと現れる隠しメッセージ。

以上のバッドエンドを含む全てのエンディングと上記の隠しメッセージを見ると「金の栞」が解放。
ただしこれで解禁されるのは新たなシナリオではない。詳細は後述。

特徴・評価点

  • ハードがPS2になったことで、SFCだった前作と比べて表現力が格段に向上した。
    • 登場人物がシルエットなのは前作同様だが、のっぺりとした「影」だった前作とは違いクリスタル状のポリゴンとなり、前作では限られたシーンでしか使われなかったキャラクターのアニメーションが随所で挿入されるようになった。それでいて、容姿はプレイヤーの想像する余地が残されている。
    • 人物とは逆に、背景はよりリアルな実写風になった。中でも、打ち寄せる波や風に揺れる樹木といった動きのある背景ムービーは、ループの継ぎ目がわからないほど自然なものに。
    • 舞台となる三日月館は3Dモデルで制作されており、前作よりも凝った演出が可能となった。
  • 脚本家が3名に増加。
    • 前作はミステリー作家の我孫子武丸氏*1一人が担当していたが、本作では我孫子氏が脚本監修と一部シナリオのみに回っており、新たにメインライターとして田中啓文氏*2と牧野修氏*3の2名を迎えている。
  • 『○○篇』と分類されるシナリオの筋は全11本(内2本は短編)と、ボリュームが大幅に増した。
    • 本作では各シナリオのルートに入ると『○○篇』と明確にタイトルが出るようになり、フローチャートにも同様に記載されるため、別シナリオに入ったことが一目で分かるようになっている。
    • 初回から遊べるメインシナリオ『わらべ唄篇』をクリアすると、一人称視点がヒロインの真理に移るサスペンスシナリオ『サイキック篇』、ホラー色の強いオカルトシナリオ『陰陽篇』、舞台となる孤島の秘密を描く『底蟲村篇』の3本が開放される。その後は、各シナリオのトゥルーエンドを迎えていくことで、ピンクの栞→黒の栞→金の栞*4を獲得し、順次シナリオが開放されていく。
      • ピンクの栞は、お約束のピンクシナリオ『官能篇』を始めに、ギャグシナリオや短編といったバラエティ豊かな内容。黒の栞で開放されるシナリオは、それ以前のシナリオと比べて異質なほどにブラックなシナリオを含む他、ノベルADVでありながら捻った謎解き要素を持つ『洞窟探検篇』が登場する。
    • 本作では1本のシナリオにおけるトゥルーエンド(最後に「完」と出る正規終了)以外の結末を、その内容の良し悪しに関わらず「バッドエンド」(「終」と出る本筋から外れた展開)と呼ぶ。それらを全て合わせたエンディングの数は100を超え、ボリューム増の一端を担っている。
      • 該当のシナリオを一度「完」でクリアしてからでないと現れないバッドエンドもいくつかある。
  • 細密なフローチャート・バッドエンドリスト機能あり。
    • チャートはシーンをつなぐラインが可変式であり、分岐構造のネタバレを多少緩和させている。
      • 例えば、フラグが複雑で大きくラインが迂回する箇所も、実際にチャートが埋まるまでは最短距離をつなぐようにラインが描かれる。
  • わらべ唄篇解決シーンの真犯人の動機の告白には、悲しい運命を背負った人間の悲哀が感じられ、またそこで繰り広げられる人間ドラマも必見。
    • 特にクライマックスのシーンでは、主人公がこれまで見せたことの無いヒーローぶりが良い味を出している。
    • 語り部の主人公の最後の台詞から、エンディングテーマにうつる瞬間は感動的である。
  • BGMをパッパラー河合氏を始めとする著名クリエイターが手がけている。BGM自体も好評。

問題点

前作との比較における問題

  • 『1』の設定はあくまで「『2』の登場人物達をモデルにして作られたゲーム」の話とされたため、一部のキャラの背景設定などは前作から大幅に変更されており、中にはその場にはいなかった事にされたキャラまでいる。
    • また本作で重要な過去などが後付されたキャラも多く、前作に愛着を持っているファンの中には受け入れがたいという反応も。
  • メインシナリオ(わらべ唄篇、前作のミステリー編に相当)の構造が前作から大きく変化した。
    + ※メインシナリオについてネタバレあり
  • 前作のミステリー編は、作中で最大3回行える犯人選択の推理の結果によって、犠牲者が徐々に増えていき物語の展開が大きく変化するという特徴があり、それが大きな評価点でもあった。
    • 具体的には1回目の推理で成功するとグッド(トゥルー)エンド、2回目で成功するとビターエンド、2回目で失敗するとそれ以降は次々と人が死ぬ凄惨なバッドエンド確定(3回目で成功しても既に手遅れだが主人公とヒロインのみ生存できる)という具合であった。
  • しかし本作では、犯人選択の推理場面こそ序盤と中盤に存在するものの、いずれもこの段階で犯人を当てて推理を正解してもトゥルーエンドにたどり着くことはできず、「終」=バッドエンド扱いとなる。
    • そもそも前作のグッドエンドは最初の殺人が起こった直後に犯人を突き止めて以降の事件を防ぐと、事件の全貌こそ明らかにならないものの一応綺麗な終わり方になったのに対し、今作で同様のことをしても謎はほとんど何も分からないままで、あまりにもあっけなく非常にすっきりしない終わり方になってしまう。
    • さらに、前作では第二の殺人直後の時点で犯人を突き止めると事件の全貌が明らかになるビターエンドだったのだが、今作ではここで犯人を突き止めてしまうと真相について何も分からないどころか逆に新たな惨劇を招く理不尽なバッドエンドになってしまう。
      • つまり、トゥルーエンドである「完」を目指す場合は、例えそこまでに犯人の目星が付いていても最初と2回目の犯人当てパートを失敗しなければならない(=序盤の犯人当ての存在意義がほぼ無い)のである。
        一応、1周目の段階ではヒントが少なすぎるため序盤で犯人を当てるのは非常に難しく普通に進めていればまず失敗し、自力で早期から上記のバッドエンドに辿り着くケースは少ないだろうとはいえ、仮にもミステリーでそれはどうなのか……。
    • さらに、最後の推理パートは犯人指定を間違っても何度もやり直すことが可能(=総当たり可能)な上、推理中の選択肢はどれを選ぼうが勝手に正しい推理でどんどん進むため全く緊張感が無い。
      唯一、クライマックスでプレイヤーがきちんと推理して名前入力をしなければならない箇所もあるのだが、ここは総当たりこそできないもののやはり何度でも入力をやり直すことが可能で、例え失敗してもあからさまなヒントが現れ、事件の振り返りの中にもさりげないながら該当人物のヒントが明示されている等、何がなんでもプレイヤーに謎を解かせる方に誘導する仕様となっている。
      • 一応、2周目以降は特定の人物を指名したり一部の名前を入れた場合にギャグ調やシュールな内容のパラレルバッドエンドに分岐するようになるが、あくまでも一度クリアした後のオマケ要素である。
      • 上記のごく一部のバッドエンドを除けば、前作のように残った登場人物が次々と殺されていくようなサバイバルルートなどは用意されていない。
  • 一度クリアしてからの2周目以降では、最初の殺人すら防いで犠牲者を出さずに終わらせる展開に進むこともできるのだが、そちらはもはや推理も何もなく、ただ運に近いものとなってしまう。
  • 本作のパッケージ裏には「連続殺人を止められるのはあなたしかいない」とあるが、実際にはトゥルーエンドである「完」に繋がるルートでは殺人の被害者が出る展開を変えることはできない。しかも上記の犯人当ての仕様もあり、連続殺人はゲームシステムの関係で勝手に止まってしまうため達成感も薄い。
  • 「プレイヤーの推理で惨劇を回避する」という前作と同様の作風を期待していたプレイヤーからは肩透かしとして不満が大きく、『かまいたちの夜』の続編として失格だという声も上がった。
  • グロ・残虐・鬱要素が山盛りのサブシナリオ
    • 前作のサブシナリオはどちらかというと雰囲気や設定で恐怖感をあおるシナリオなどが多かったが、今作のサブシナリオは(ギャグテイストの短編を除き)いずれもグロテスクな残虐・スプラッタ描写や、虫の蠢く描写、電波な展開やテキストなど、とにかくプレイヤーに生理的嫌悪感・不快感を与える悪趣味な類のものばかりになっており、極めて好みが分かれる。
    • また恒例の「ピンクの栞」で解放されるちょっとHなシナリオは、今回は映像面の描写が直接的なため、下品と受け取られることも。
  • トゥルーエンドの仕様
    • 本作では各シナリオの本筋が予め決められており、本筋のみ「完」が出るトゥルーエンド、それ以外の結末は全て「終」が出るバッドエンドに分類されている。
    • しかしトゥルーエンドとして分類されているものは作中の登場人物の結末に関係なく、小説のように「物語としてきちんと完結した」完成度の高いものを本筋としているものが多いため、「バッドエンドはハッピーな終わり方なのにトゥルーエンドは悲惨な結末」という逆転現象がしばしば起きている。
      • サブシナリオはトゥルーエンドにたどり着いても救いの無い内容が多いのも陰鬱さに拍車をかけている。
      • このため、主人公達を幸せな結末に導こうと思ってもあっさりとした内容の薄いバッドエンドで終わってしまうこともしばしばあり、逆に悲劇的な結末こそトゥルーエンドとして重厚な内容が用意されているパターンが見られる。さらに、新たなシナリオを開放するにはトゥルーエンドを見る必要があるため、例え悲惨なルートであろうが一度はそちらの結末に進まなければならない。
    • 前作同様に主人公とヒロインの名前をプレイヤーが自由に付けられることもあり、前作のグッドエンドは二人が生き残って綺麗な終わり方をするものが多かっただけに、本作のトゥルーエンドはそのギャップが大きい。
      • 例えば前作の「ミステリー編」では第一の殺人の時点で事件を解決すると謎が完全には解けないままグッドエンドとなり、第二の殺人で解決すると事件の全貌が明らかになるがPS版以降バッドエンド扱いになるのだが、おそらく今作の基準に当てはめるなら前者は物語として不完全なため「バッドエンド」、後者は犠牲者が出たものの謎が明らかになったため逆に「トゥルーエンド」に分類されることになるだろう。
      • プレイヤーが自分の選択で物語を切り開くというのがサウンドノベルならではの特徴であり、前作ではプレイヤーが主人公となって「主人公主体」で危機的状況を乗り切るという一体感があったのに対し、今作ではまるで「物語主体」で正しい結末に向けてシナリオを進めさせられているような感じになってしまっている。
  • 数は増えたが脈絡のないバッドエンド
    • バッドエンドの数が増えたことでボリュームや話の展開は広がっているが、中には展開の前後に脈絡のないエンドも多い。その大半はメインシナリオクリア後の追加選択肢によるお遊び的ギャグエンドなのだが、人によっては悪ノリと感じることも。
    • 前作のバッドエンドはそれまでのシナリオの流れと矛盾しない現実的なif展開のような形で描かれることが多かったのだが、今作のバッドエンドはシナリオの設定そのものが大きく変わってしまったり、ギャグやシュールさを狙った理不尽な流れになる事が多い(ほとんどが矛盾をはらむ一発ネタ的な超展開)。
      • 一例として、犯人を自分だと言った場合、前作では激昂した登場人物に殺されるというものだったが、本作では自白したことを褒められ、さらに外に待っていた警察に連行されるというそれまでの流れからはありえない展開になる。
      • 前作の後に出たサウンドノベル『』は同じく荒唐無稽なギャグエンディングも多く、このノリが今作にも引き継がれたものと思われる。
    • 「わらべ唄篇」を一度クリアすると増える多数のバッドエンドの中には、本筋の事件と全く無関係なオカルト系のものもいくつか存在する。
      • 本作には大量のサブシナリオがあり別のシナリオでオカルト要素が展開されているにもかかわらず、本格ミステリーを謳ったメインシナリオにまで世界観を完全無視してオカルト要素を強引にねじ込んでくるのは謎である。
    • サブシナリオ等で「選択肢を間違えると即バッドエンド」というケースも頻繁にあり、これが何度も連続するとまるで「完」に向けて正しい選択肢を選ばされているという強制感が出てしまっている。
    • またエンディングのバリエーションの一環として、ヒロインが主人公を裏切るような行動に出る事がしばしばある。意外性はあるものの、やはりやや賛否が分かれる作風。
  • 前作のメインライターであった我孫子武丸氏は本作では脚本監修を主としており、シナリオ自体の執筆については、パロディ色の強い『わら唄篇』と、オマケ要素の『ラブテスター篇』しか担当していない。
    • 本作のシナリオの大半は田中啓文氏と牧野修氏の手によるもののため、前作のような文章の雰囲気を期待した場合はやや毛色が変わってしまっている。
    • 我孫子氏自身は前述のように「作中の登場人物」のひとりとして多くのシナリオで登場しており、スタッフロールの脚本でもトップに彼の名前が出るため、本作の情報に詳しくない人からは前作同様に我孫子氏がメインライターだと勘違いしてもおかしくない状態になっている。

シナリオ面

+ 『わらべ唄篇』における各種設定、展開の強引な点・矛盾点(一部ネタバレ注意)
  • メインシナリオのわらべ唄篇は「本格ミステリー」と銘打たれているのだが、謎解きや展開が非常に無理矢理で、各所で散々突っ込まれていた。そのためか、続編『×3』のシナリオはこれらをフォローするかのような内容となっているが、それでもフォローし切れていない。
    • 50年に一度の大風の日「鎌イタチの夜」にあわせての犯行だったわけだが、50年前とそっくり同じ状況にならなかったら成立しないトリックを使っている。大掛かりな犯行の割りには運任せがすぎる。
    • 本作の殺人トリックの大筋は、前作で「いくらなんでもそれは無いな」と主人公自身に一蹴されたミスリード選択肢の1つと内容が近いため、反則だろと感じるミステリーファンもいた。
    • 真犯人の指名の後、犯行に使用された大きなトリックの1つが明かされるが、これも反則級の超テクノロジーが用いられている。前述のように推理は選択にかかわらず強制的に進むため、強引な理由が明かされてあっさりと片付けられてしまう。
    • その後に犯人が語った行動の説明の中にも「さすがに無理あるだろ」と思えるような点がいくつもある。
  • 「この人は他の部屋で殺されて、ここに運ばれたんじゃないか?」「じゃあこの部屋にダイイングメッセージが残ってるかもな」という意味不明な会話がある。死ぬ寸前に残したメッセージなら、殺害現場に残るものだろう
    • 一応、この会話は2周目以降に追加されるギャグバッドエンドに繋がる選択肢からのものなのだが、選択によっては再び本筋に戻れるため内容が適当過ぎると言わざるを得ない。
  • 登場人物の1人である村上が、キヨに「電話で話したなら我孫子が男か女かぐらいわかるだろう」と問いかけるシーンがあるが、彼自身も初登場シーンで「自分は我孫子から直接電話を貰ってやってきた」と発言している。しかし他の登場人物は誰一人その点に言及しない。
    • 一応、この時点で他の登場人物から既に「電話の我孫子はおそらく男だった」という言質は取れており、キヨがはっきりしない言動でおどおどと言いよどんでいたため、質問自体には特に意味はなく村上がしびれを切らしてキヨに突っかかったとも取れるシーンではある。
  • 犯行は古くから存在するわらべ唄に見立てた殺人であり、最初の犠牲者が出た時点でわらべ唄を知っている登場人物が早々に一番の歌詞と状況の一致に気付き、続く二人目も同様にわらべ唄の二番との符合を認識して既に全員に周知されている筈なのだが、わらべ唄の内容から次に狙われる人物を予想する、というよくある流れ……にはならない。
    • そのような発想が無かった……と思いきや、終盤で次のわらべ唄に該当するであろう人物が行方不明になってから急に歌詞と照らし合わせ、「まさか、次に狙われるのは○○さんか!」と登場人物がようやく気が付いて殺人を阻止すべく動き出すなど、ご都合主義もしくは登場人物らがあまりにも鈍感すぎるとしか思えない展開になる。
    • その他、最初の犠牲者は殺される直前に他の人物と部屋を交換していたことが明らかになっているのに、誰も「その交換相手が狙われていたのではないか」とは考えない。
  • そもそも今回の事件は、警察が劇中のチュンソフトに「我孫子って誰なの?」と尋ねればおしまいなのだが。犯人は招待客全員を殺すつもりはなかったはずだし、仮に皆殺しにしたとしてもその家族や知人の口から彼らの行き先が判明するし、いずれ警察に知られるはず。
    • 事件を起こしその後自らの命を絶つつもりだったのならいざしらず、真犯人は実は完全犯罪を企んでおり、事件後も何食わぬ顔で普段の生活に戻るつもりだったと作中の推理で明らかにされている。実際、バッドエンドの一つでは真犯人が完全犯罪を成し遂げて元の生活に戻っているものもある。
    • これに対するフォローなのか、劇中では序盤から「メーカーに問い合わせたが、『外部からの持ち込み企画だったので、詳しいことはわからない』と言われてしまった」という情報が出ている。しかし、そうなると今度は劇中のチュンソフトは氏素性もわからない誰かに、ヒットの報酬として島を買えるほどの大金をポンと渡してしまっていることになる。いくらなんでも丼勘定すぎるのではないだろうか。ゲーム業界はそこまでずさんではない筈だが……?
      • なお、実際には三日月館は犯人の先祖由来の持ち物でありそれを利用しただけであるため、そもそも「ゲームのヒットで大金を得て島を買った」という話自体が嘘だった可能性もある(島を買ったという話を聞いているのは招待客と渡し船の船長のみ)。
    • 「実在の人物(有名人でもなんでもないペンションの一般客)を実名でキャラクターとして使用するだけでなく、その細かい行動や性格・背景まで詳細にゲームに取り入れる」という手法を取っているにも拘らず、モデルとなっていた登場人物達はそのことを全く知らされておらず、ほとんどの登場人物が『かまいたちの夜』というゲームをよく知らない。ゲームで主人公にされていたはずの本作の主人公(透)は今回招待状を受け取るまでプレイしたことすらなかった。
      • ゲームの絵はシルエットだったとはいえ幾らなんでもおかしいし、本人の承諾も得ずにそんなことをしては、色々と法的に問題があると思うのだが。
      • しかもこのゲームは「殺人事件」を扱ったものであり、実在の人物をモデルとしたキャラクターが無残に殺害されている上、殺人者にされてしまった人物まで居る。さらに、ゲーム内で本来と異なる描写をされたことで実際に作中の登場人物が迷惑しているシーンもある。
  • 今回の事件の発端の1つは、ある人物が猛吹雪の中、ペンションシュプールに向かって雪道を歩いている最中にシュプールの関係者に車で轢かれて死亡したことである。
    • が、そもそも現実的に極限下での登山等行っているなどの経験も無いそこらの一般人が吹雪の中の雪道を遠い距離があるペンションまで歩く(本作の設定を見る限り、シュプールは車で移動しないとキツいレベルの距離にありそうに思える)とは思えず、通常ならば「ペンションに連絡して、ペンションのスタッフに車で送迎してもらう」というのが普通であろう。
    • 一応「途中で吹雪に巻き込まれて進むことも戻ることもできず立ち往生していたところで車が突進してきて足を滑らせて崖に落ちたに違いない」といった台詞があるため、雪がそれほど強くない時に徒歩で来ようとしたが猛吹雪で遭難した(前作の「雪の迷路編」のような状況で車が故障した可能性もある)のかもしれないが、それにしたって流石に無謀過ぎる。
    • 作中では詳しい状況についてのフォローが一切ないので、まるで犯人の動機形成のために作られた強引な設定に思えてしまう。
+ その他のサブシナリオの強引な点・矛盾点
  • わらべ唄篇の途中から派生する『惨殺篇』『サイキック篇』は、途中からわらべ唄篇で語られた設定・描写を次第に無視して整合性の取れない展開に進んで行く。
    • 惨殺篇では、それまでまったく出てこなかったわらべ唄の歌詞が観光パンフに載っている。主人公達も「こんな歌詞あったの?」とは思わない。
    • サイキック篇では、わらべ唄をなぞった殺人事件に登場人物が怯えている展開がその後も独自の描写で引き継がれているにもかかわらず、物語が進むと登場人物達が何故そのように振舞っていたのかが分からなくなってくる。
      • 唐突に「部外者を気にして芝居をするのはここまでだ」というセリフを皮切りに皆が演技を辞めて本性を現すのだが、実際にはその場に部外者なんて2人しかいなかった。殺人を行った人物は「わらべ唄」で関係者の心を揺さぶる作戦だったと言い、記憶を失っている人物に対しても働きかける意図があったらしいのだが、お互い既にほとんど素性がバレている相手だらけの中、なぜそこまで気を使ってずっと凝った芝居を続けていたのかが謎である。
      • また、香山がわらべ唄篇内で「春子とは離婚した」と語っていたのに、このシナリオの途中から急に「死別した」という設定にすり替わっている。主人公がこれに対して「死別?離婚じゃなかったのか?」と疑問を抱くものの、特に本編には絡まないまま結局最初から死別だったということになり、何故香山が最初に嘘を吐いたのか等の理由は一切明かされない。
      • そもそもサイキック篇は、設定も展開も凝ってはいるものの、「『かまいたちの夜』でやる必要はあったのだろうか?」というシナリオでもある。ただし、前作にもスパイ編など本編と毛色の大きく違うシナリオはあった。
    • なお、両シナリオ共に派生元のわらべ唄篇と書き手が異なる(わらべ唄篇が田中啓文氏なのに対し、惨殺篇とサイキック篇は牧野修氏)ため、多少つながりの強引な部分は仕方ない面もある。
  • 『陰陽篇』では、推理をした上で多くの人間が生き残り綺麗に大団円で終わるエンディングが、全ての謎を解いていないためかバッドエンド扱いにされる。一方、物語として完結するトゥルーエンドでは大量の死者が出る上に救いのない結末である。
    • このためトゥルーエンドを目指す場合は、このままだと人がどんどん死んでいくと分かっていながら全く食い止められず、ただ為す術もなく進んでいくしかない。例えるなら『1』のサバイバルルートを正規エンディングとしているような状態。
    • 確かに陰惨で伝奇ホラー色の強いこのシナリオの結末としてはハッピーエンドより後味が悪い結末の方が相応しいという製作者の意図もわからなくもないが、そうは言ってもやはり後味が悪すぎてどうもすっきりしない。
    • 携帯アプリ版では上記のバッドエンドがトゥルーエンド扱いに変更された。

ヒロインの扱い

  • 今作では色々なことが原因でヒロインに対するイメージが悪化してしまい、ヒロインのファンからすれば不満が残る点かもしれない。制作者はどうもヒロインに対する扱いをぞんざいにしてはいないだろうか?
    + 以下詳細なネタバレ
  • シナリオによっては、ヒロインの身勝手な言動が目立つシーンが多い。余りにもワガママがすぎて、賛否両論が大きいものがある。また、所謂「NTR」展開が作中に何個もある。
    • わらべ唄篇においては、最速で到達できるバッドエンドで主人公を放置して別の男性と婚約してしまう*5。一応(前作の通称「大阪エンド」の様な)ギャグエンドといった趣ではあるが、見る人によってはあまりにも不条理な流れに気分のいいものではなく、話の本筋に入る前に興を削がれた、ヒロインに嫌悪感を抱いたなんて事もザラ。
      • その上、このエンディングに到達する選択肢自体も一見まともなものである故に、意図せずこのエンディングを迎えてしまうプレイヤーも続出し、下手すると「初プレイでいきなりこのエンディングになってしまった」なんて話も。
      • バッドエンドのひとつでは、パラレル設定ではあるものの彼女の恐ろしい一面を見られる。
    • 底蟲村篇では、個人的な我侭で周囲を散々振り回し、事あるごとに泣き落としを使い、事態を悪化させ、そのくせ最後は「私達にできる事は何もないわ、帰りましょう」と言い出す。
    • ぼくの恋愛篇ではギャグ的な描写であるものの、こちらもイメージを大きく落とす悪女となってしまっている。
    • 決定的なのが、妄想篇。妄想篇をプレーすると、ヒロインのイメージがガタ落ちになること必至であろう。前作のファンからしてみれば、「前作ではあんなにいいコだったのに、なんでこんな扱いをするんだ。」と怒りを覚えた人もいるだろう。
    • 一方で、まともな性格である陰陽篇や惨殺篇では、彼女が殺されたり、彼女殺されたりするのがトゥルーエンドだったりする。
  • ヒロインが主人公となるサイキック篇では、真逆に本来の男性主人公の方が(設定上仕方なくはあるが)身勝手な行動をしてしまうシーンが目立つ。
  • 前作と比べ、主人公とヒロインが引き裂かれるような展開も非常に多い。
    • むしろ恋人同士でプレイするのを推奨していないのでは……、と思いきや、男女二人の相性を計る「ラブテスター」なるシナリオが用意されている。一体どこを対象に向けて作っているのだろうか。

システム面

  • ムービーやスタッフロールのスキップ機能が無い。『』や『弟切草 蘇生篇』にはあったのだが。
    • それほど長いムービーは無いものの、同じようなムービーが連続で流れるシーンもある為、煩わしい。

賛否両論点

妄想篇

  • サブシナリオの1つ『妄想篇』は、それまでのグロ・電波展開ともまた次元の異なる、本作随一の問題児シナリオ。主人公の行動も選択肢の内容も、プレイヤーを完全に置いてけぼりにする。
    • 奇妙な明るさと不気味さを併せ持ったBGMや背景、シュールで狂った世界観など、まるで悪夢のような異様な空間に放り込まれる。
    • どの選択肢を選べばトゥルーエンドに至るのか全くわからない。それ以外の選択肢はほぼバッドエンド一直線、表現の過激さも一層増している。
      + 『妄想篇』のバッドエンド ※ネタバレ グロ・電波 閲覧注意
      • ドアを開けるとそこは血の海。ふと気付くと自分の腹に大穴があいている
      • ドアを開けるとそこはまるで冷凍室。部屋には床、壁、天井問わず部屋一面に人が凍りついている
      • ドアを開けるとそこは真っ白。その空間にあらゆる言葉があふれ出る
      • ドアを開けるとそこは暗闇。その中であらゆる人たちに全身を噛みちぎられる
      • いつのまにか自分が昆虫になっている。虫ピンで固定されて失血死
      • いつのまにか自分が昆虫になっている。殺虫剤を自ら吸い込んで自殺
      • 自分の目の前に選択肢が見える。見たくないので目玉を潰す
    • これらの悪趣味なバッドエンドをかいくぐっても、最期には前作の設定と絡む哀しく救いようのない結末が待っている。
      妄想篇の選択肢やバッドエンドは、何故主人公はこんな悪夢のような世界をさまよっているのか、その真相を暗に示す内容である。
      トゥルーエンドを見る事で理解不能だったシナリオの意味もおぼろげにわかるようになるのだが、知れば知るほど救いの無さが深まるばかり。
  • ただし、全てのバッドエンドを含んで1つのシナリオになっているなどその完成度は今作でも随一と言え、また、テキストの表示法、背景絵、音楽など、サウンドノベルとしての特性を非常に効果的に活かして本シナリオの狂気的な世界観を作り上げている。
    良い意味でも悪い意味でも他シナリオと違う前作との深い関わり方もあり、そこに起因する真相の鬱さや内容の電波さからこのシナリオを嫌う人も多い半面、構成の巧みさや高い演出力を評価するファンは多い。人間の醜い部分や狂気の部分をこれでもかと見せつけられるシーンもこのシナリオでは多い。

最後の隠し要素

全エンドを見る事を含む特定の条件を達成する事で、サウンドノベルシリーズ恒例の「金の栞」が出現する。

  • これによって追加されるのは、隠しシナリオではない。プレイ中、特定箇所の画像がバグのように突然乱れ、気持ちの悪い選択肢が表示される、というもの。
    • 選択肢を選ぶと、意味深な電波文などなどが表示される不気味な演出が4パターン用意されている。全て見ると、この選択肢は現れなくなる。
    • 出現演出を見ての通りバグを意識したものであり、全エンドを出して『2』のグロ・電波世界に浸りすぎたプレイヤーには非常に効果的なものだが、当然、前作のノリとはあまりにも毛色が違う。
+ ネタバレ(?):金の栞の演出が示すもの
  • 各選択肢の内容から支離滅裂なりに断片的な要素を拾うと、「テレビゲームにまつわる怪奇現象」をイメージした、現実とゲームを重ね合わせるような演出と言われている。
  • ちなみに、その文の中で、新宗教「大本」の二大教祖の一人である出口王仁三郎を話題にしている。
    • あまりに電波すぎる内容からか『検索してはいけない言葉』のひとつに入っている事でも有名。
+ 参考動画:金の栞の追加選択肢

SFC版やGBA版のかまいたちでも似たような電波文は登場しているが、こちらは更に強烈。

  • 後に、この電波文の真相(?)は『真かまいたちの夜 11人目の訪問者』の金のしおりで語られている。
    • そこまで見て得をするものでもないので見たければ見て見る程度で良い。

総評

本作の賛否両論点は大きく分けて2つある。
まず1つ目はメインとなるわらべ唄篇(ミステリーシナリオ)の構造が前作と大きく変化したこと。
前作の「プレイヤーの選択によってシナリオの展開が大きく変わる」という要素が薄まり、良くも悪くも普通の推理ノベルゲームのような一本道展開に近くなったことには、前作のファンからの批判が少なくない。
とはいえ本作の構造は一般的な推理ノベルゲームとしてはオーソドックスなものであり、その観点から見れば決して出来が悪いというほどではない。
バッドエンドの中にも、ハッピーエンドに近いものがあったり、作中の推理をひっくり返すようなものがあったりと構成もなかなか考えられているため、そのあたりをどれぐらい割り切れるかが評価の分かれ目になるだろう。

2つ目はグロ・電波等の要素が非常に強いサブシナリオ群についてである。
数・分量ともに多いサブシナリオの殆どが、スプラッタ&バイオレンス要素が強いかなり人を選ぶものである上に、救いようのない悲惨な結末が多いため、怪奇ホラーノベルや激しい暴力描写を伴ったバイオレンスノベルといったジャンルを好むかどうかによってこれらのシナリオの満足度は大きく変わってくる。
前作のライター及び今作で一部シナリオとシナリオ監修を務めた我孫子武丸氏は、前作『かまいたちの夜』を「いろんな話に分化することが重点であり、ミステリーはあくまで起点にすぎなかった」として本格ミステリー作品とは捉えておらず、「同じことをせず、新しいものを届けたい」という考えからメインライターに田中啓文氏と牧野修氏も招いて今作の形となったのだが、前作ファンや「かまいたちの夜=ミステリー」と認識していた(前作の内容・本作の宣伝文句から考えて、当然であろう)プレイヤーからは拒否反応が出る結果となってしまった。

いずれにしても、前作と方向性が違う今作に『かまいたちの夜』の名を冠し、同じキャラクターを登場させたことが賛否を分けた最大の理由と言える。「オリジナルのホラー作品として出せばよかったのに」という声も少なくない、まさに様々な点で賛否が分かれる作品である。


かまいたちの夜2 特別篇

【かまいたちのよるつー とくべつへん】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 セガ
開発元 チュンソフト
発売日 2006年5月26日
定価 5,040円(税込)
レーティング CERO:18才以上対象
廉価版 SEGA THE BEST
2007年8月30日/2,625円(税込)
判定 賛否両論

概要(PSP)

「サウンドノベル・ポータブル」第2弾として『街 ~運命の交差点~ 特別篇』に続いて発売。

変更点(PSP)

  • 画面比率がPSPに準じた「16:9」(ワイド)に対応。従来の「4:3」にも変更できる。
  • サウンドが再構成され擬似サラウンド化されている。
  • 同時期にPSPへと移植された『街』同様、サウンドプレイヤーが追加されている。
    • 『かまいたちの夜2』で使われたほぼ全曲に加え、前作『かまいたちの夜』の曲も収録されている。
  • 「ピンクの栞」で出現する新録のサウンドドラマ『ちょっとHなかまいたちの夜2』が収録されている。条件を満たすとサウンドプレイヤーに出現。
    • キャストは初代から一新されており、『2』のドラマCDとも一部異なる。
    • 代わりに、仕様の違いにより『ラブテスター篇』は未収録となった。
  • 本編シナリオの内容自体はPS2版とほぼ同一のままだが、暴力や官能など一部の過激描写が削除されており、その関係で細かい表現が差し替わっている箇所がある。
    • 特にグロテスクな表現の多かった惨殺篇が顕著であり、死体や殺人に関する描写の文章や画像が直接的な表現を避けたマイルドなものになっていることが多い。
  • エンディングでは移植スタッフ及びサウンドドラマの声優等のスタッフロールが追加されているためか、PS2版であった演出はオミットされずっと黒背景のみになっている。
    • カットされた演出は多くの場合シナリオ中の特等的な場面の背景絵が表示されるだけだったものの、『惨殺篇』では本編後から繋がる内容の専用ムービーが用意されていたため、これらが無くなったことを惜しむ声もある。
  • 細部を除けばPS2版のほぼベタ移植であり、PSP版独自のメリットは携帯機でプレイできることやサウンドプレイヤー、音声ドラマ程度のみ。

携帯アプリ版(参考記述)

  • 2004年に携帯電話アプリ(フィーチャーフォン用)として移植された。
  • 『わらべ唄篇』『底蟲村篇』『陰陽篇』『サイキック篇』『わらび唄篇』の5シナリオのみプレイ可。
    • 初代と同じくそれぞれのシナリオが個別に分かれて配信された。
    • 容量の関係で選択肢やシナリオが削減・一部変更され、エンディングも大幅に減っている。*6
      • エンディングの大幅削減に伴い、わらべ唄篇はシュールなバッドエンドが一掃され、数少ないバッドエンドも新たに文章を改稿した新規のものになっており、PS2版の矛盾を解消したものになっているものもある。*7
    • 不評だった『陰陽篇』のトゥルーエンドと解決バッドエンドがそれぞれ入れ替わっているなどの変更もある。
  • ケータイ小説として、小説版収録の独自シナリオを掲載。『三日月島奇譚』より田中啓文氏書き下ろしのゲームブック『香山さん探偵帳』、『あなただけのかまいたちの夜2』より大賞受賞作『聖母篇』を掲載。
  • 初代と違い、スマートフォン版はリリースされていない。


その後の展開

  • 次作の『かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相』は、この『2』本編における設定を引き継いだ直接の続編かつ完結編になっている。
    • メインシナリオの脚本が再び我孫子氏に戻り、構造も『1』のものを踏襲して「プレイヤーが連続殺人を防いでいく」タイプのミステリーに戻っている。
    • 『1』と『2』の本編も同時収録されている。
  • 本作の「ラブテスター篇」と同様の形式を採用した二人プレイ専用シナリオが、PS Vita版『真かまいたちの夜 11人目の訪問者』にも「ふたりでかまいたち」として収録されている。
    • シナリオは新規で登場人物も異なるが、ペンション「シュプール」が少し登場している。
  • のちに発売されたサウンドノベル『忌火起草』では、本作の一部シナリオを執筆した牧野修氏がシナリオを手がけている。

余談

  • PS2の限定版には特典として、本ソフト発売と同年に放送されたTVドラマ版のDVDが付属しているのだが、これもアレな内容で突っ込まれていた。
    • むしろ「『2』が電波な内容になりますよ」という予告だったのではないかとまで言われた。
    • 単独でソフト化は一切行われていないので、見たければ限定版を入手するしかない。出演者自体は豪華なのだが、シナリオや演出がほぼミステリーを投げ捨てたサイコホラーなので…。
    • 最近ではTBSオンデマンドやHuluなど一部の動画配信サイトで視聴出来るようになった。
  • 本作のみ、各シナリオの「へん」の漢字表記が「~」ではなく「~」になっている。
    • 続編『×3』や『真』では再び「~編」に戻された。
  • 本作でメインライターを担当した田中氏と牧野氏の両名はゲームにほとんど縁がなかったらしく、公式ファンブックで田中氏が「前作はギャグゲームだったんでしょ?本編からの分岐はすべてギャグだと思った」等の旨を発言している。
    • 後に『かまいたちの夜×3』の初回限定特典小説に収録されたゲームブック「〆切り編」が、本作制作当初に我孫子氏が田中氏・牧野氏に対してサウンドノベルのシナリオ構造を説明するために書いたものとなっており、これも同様に選択肢を間違えると即バッドエンド系の作品であったため、これを参考にしたがために「本筋から外れるとバッドエンド」という方針が染み付いてしまったのではないかと言われることもある。
  • 前作同様にユーザーからの公募シナリオを募集する企画があり、優秀作品が『あなただけのかまいたちの夜2』として書籍化されている。
    • 大賞を受賞した『聖母篇』は、その完成度から上記のように携帯サイト公開シナリオとしても登場するまでに至った。
    • また、同書籍発売に合わせて惜しくも入選を逃した作品を特設サイト上で公開する『あなただけのかまいたちの夜2 another side』という企画も期間限定で行われていた(現在は公開終了)。
  • 上記以外に、本作のシナリオを手がけた3名の作家による書籍『かまいたちの夜2 オリジナルノベルズ 三日月島奇譚』も発売されている。
    • こちらの一編であるゲームブック『香山さん探偵帳』も後に上記のように携帯サイト公開シナリオとなった。
  • ドラマCD『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄 オリジナルストーリードラマ』も発売されている。
    • 俊夫を主人公にしたオリジナルストーリーだが、謎の空間で囚われた彼の独白を中心に他の人物が一人ずつ現れるという変わった内容であり、本編のサブシナリオ同様に陰鬱かつシュールな雰囲気。キャストはPSP版と一部異なっている。
  • 本作で『1』が架空の出来事とされてしまったため、それに反発した『1』に思い入れのあるファン達によって、当時「『1』の殺人事件が本当にあった出来事とした上の"続編"」や、「『2』を架空の出来事とするパロディ作品」等が独自にフリーソフトで作られたりもしていた。