ダークシード

【だーくしーど】

ジャンル アドベンチャーゲーム
対応機種 セガサターン
プレイステーション
Macintosh
Windows3.1
発売元 【PS/SS】ギャガ・コミュニケーションズ
【Mac/Win】ナムコ
開発元 CYBERDREAMS
発売日 【Mac】1994年7月29日
【Win】1995年3月4日
【PS/SS】1995年7月7日
定価 【PS/SS】5,800円
【Mac/Win】9,800円
プレイ人数 1人
レーティング 【SS】セガ審査:18歳以上推奨
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 徹底したノーヒント
説明書に完全攻略記載という新境地


概要

  • 大元は1992年にMS-DOS、Amigaで発売された洋ゲー。
  • 頭にエイリアンの胚を埋め込まれてしまった作家の主人公マイク・ドーソンが、自身の生存の為ノーマルワールドとダークワールドという表裏一体の2つの世界を行き来して解決の糸口を見つけていくというゲーム。形式は『マニアックマンション』や『クロックタワー』のようなクリック探索型アドベンチャー。
    • 高次存在である「古き神々」など、クトゥルフ神話がモチーフとなっている部分もある。
  • ダークワールドやその住人のイラストを映画『エイリアン』『スピーシーズ』で有名なH・R・ギーガーが手掛けている。説明書の表面に氏の名前があったり、説明書内にもギーガー自身の説明があったりと、ストーリーというよりは彼のイラストが売りとなっている。
    • ギーガーの描いた怪物達がズバリ「エイリアン」と呼ばれていたり、タイトルロゴも『エイリアン2』を意識したようなフォント。
  • ダークワールドは悍ましい世界になっており、そこに住む者達も異形ばかりだがそちらにも善悪は存在し、見た目に反して友好的な住人もいる。
  • それほど露骨ではないが多少グロテスクな描写も含まれており、セガサターンでは年齢制限あり(18歳以上)に区分されている。

問題点

ゲームバランスが不安定

  • 兎にも角にも「ノーヒント」。スタートしたプレイヤーは「何が起こっているのか」「何をしなければならないのか」一切わからないままゲームに放り出される。説明書も後述する「禁断の章」を除けば操作説明にギーガー氏の紹介、物語が始まるまでの序章、登場人物だけで役に立たない。そのくせ序章は5ページ、登場人物の欄は6ページもあるという無駄な凝りよう。
    • 開始後、ドーソンの「頭が痛い!」「頭が痛くて死にそうだ」「頭が破裂してしまいそうだ」というけたたましい訴えに、プレイヤーの頭も痛くなるであろう事請け合い。プレイヤーがアスピリンを発見するまで、ドーソンは延々と頭痛を訴える。
    • このゲームの期間は3日間だが、やらねばならない事は1日ごとにほぼ完璧に決まっており、前日の遣り残しを翌日に回収…というのは不可能と言っていい。
    • 作中ではドーソンはモノローグでしか喋らず、他者との会話は描写されない。そのモノローグも基本的に現状や現在地の説明だけなので、彼自身の目的や行動原理は分からない。後年、同じように怪異に巻き込まれる作家のような当人の強い意志も描写されず、ただ漫然と彷徨いているだけに見えがち。
  • 加えてリアルタイム方式になっており、プレイヤーが迷っている間にも時間は無情にも過ぎていく。この為プレイヤーは「何がなんだかわからないままゲームオーバー」という事態によく陥る。ノーヒントと相まってこのゲームの難易度を理不尽に押し上げているシステム。
    • やらなければならない事は1日目においてはそれほどなく時間的にも余裕があり、勘のいいプレイヤーならばノーヒントでもこなせる可能性はある。しかし2日目のスケジュールは探索範囲の拡大に伴いより過密になり、特定時間で発生するイベントをこなす必要もありとてもじゃないが数回やっただけで達成できる内容ではない。3日目はさらに時間制限がきつく、攻略手順を完璧に理解していても余裕のないプレイとなる。無論最後までほぼノーヒントっぷりは変わらず。これをノーヒントでクリアできる人間がいるのだろうか。
    • ご丁寧に途中から即死トラップも登場。勿論回避の為のヒントなど無く、初見ではまず引っ掛かる。
      • 手袋をはめず素手でレバーを触ると感電死、などは当たり前。終盤に家に普通に出入りすると警官に逮捕されて詰むので予めベランダからロープを垂らして裏口を作っておかなければならないなど、嫌らしいトラップも。
  • アイテムの配置も一部はかなり嫌らしく、とても目視が難しいアイテムが何点か存在する。
    • 図書館の床に落ちているヘアピンを拾ったり、警察から釈放された帰りに拳銃を勝手に持ち出すなど、普通に考えたらまず思い至る事は無いであろうアイテムも。
    • 使い道もこれまたノーヒントの物があり、プレイヤーの頭痛の種となる。誰が車のガソリンタンクにウイスキーを注ごうなどと考え付くだろうか。
  • 上記のゲームバランスのためか、このゲームの説明書には禁断の章なる項目がある。これはスタートしてからクリアまでの手順を全て記載した、ヒントどころではなく完全攻略手順。こんなものがある時点でこのゲームの難易度がいかに理不尽なものか窺える。
    • 当然ながらうっかりこれを見てしまうと、後は指示された場所に行き、指示された行動をするだけの単なる作業ゲーと化す。ヒント程度に止めてプレイヤーに探索の余地を残すなど、もうちょっと工夫できなかったのだろうか。
    • しかしアイテムの使い方によっては、そのアイテムが消滅してしまい完全にクリア不可能な状態になってしまう。

ストーリー

  • 全体的に説明不足で消化不良気味
    • 本筋から離れた所には世界観の掘り下げや考察の材料になるような情報が仕込まれている事はある。問題はクリアを目指すならそんなものを調べ回っている暇など無いという事である
      + ラストも…(ネタバレ)
    • 最終的にドーソンはエイリアンの宇宙船を追放し、ダークワールドとの繋がりを断つことにも成功するのだが、肝心の頭にある胚については放置したまま終わる。
    • 続編ではドーソンは生存しているので解決はしたのだろうが、事態を収束したら胚も消えたのか、ラストシーンである人物が持ってきた薬で対処できたのか、何も分からないまま終わる。
      • ラストシーンはドーソンの「やっと分かってきたぞ」という台詞で終わるのだが、プレイヤーは何も分からない。
  • テキストが直訳っぽく理解しづらい。主人公の独白、登場人物の台詞、資料の文章は全体的に日本語が怪しく、英語の教材のような不自然さが目立つ。
    • 「家政婦が消毒してくれるまでこのキッチンの食べ物は食べたくない!」「町は気味が悪いほど静かだ!」と、不自然な感嘆符も英文の直訳を窺わせる。
    • 「原作の雰囲気を大切に」という意図らしいが、その一方で新聞や看板の文字が日本語で書かれている(そこかしこで挿まれるボイスは英語)。
      • 本などプレイヤーに読ませる資料ならともかく、「警察署」「理髪店」「共同墓地」などとストレートに書かれた看板が並ぶ街中はかなりシュール。
+ 序盤で読む日記の例

何か恐ろしいことが起こっている。私はそれを「別の世界」で見てしまった。
それを防ぐ為に私は鏡をかたずけてしまった…

  • これはメッセージウインドウに表示されるテキストである。これで鏡と別の世界が繋がっていることを知るのだが、正直分かりにくい。
    • 画面に表示されている日記にはもっと詳しい文章が書かれているが、やはり日本語の怪しさは同じ。

評価点

  • ギーガー氏のイラストを売りにしているだけあって、背景、建物、住人に至るまで氏のイラストで構成されたダークワールドはその名の通り何とも暗くおどろおどろしい雰囲気を醸し出していて完成度は高い。氏のファンならば見る価値はあるだろう。ゲームというよりイラストギャラリーと考えればそれなりに楽しめるかも。
    • 先の通りリアルタイム式なのであまりゆっくりもできないのが残念だが。

総評

 ノーヒントではお手上げだが攻略をみれば(当たり前だが)作業ゲー、というどうにもこうにも酷すぎるバランスがこのゲームの評価を落とす最大の原因だろう。結局自力ではどうにもならず攻略通りに進めて何の感慨もなくクリア、となったプレイヤーも多い。
 イベントが総じて短めで会話シーンも少なめのためストーリーが淡々としていて盛り上がりに欠けるのも難点。



余談

  • 続編の『ダークシードII』も存在する。本作同様、PCで発売された後にPS、SSに移植された。
    • これまた難解なアドベンチャーで、公式に攻略情報が閲覧可能という仕様。開き直っている気もしなくもない。
    • 日本語版は音声が日本語吹き替え。主人公のドーソンはよく喋るキャラになっており、会話シーンも大幅に増えている一方でメッセージスキップも可能になるなど進歩している点はある。しかしいちいち面倒な迷路に挑戦させられたりなど、やはりプレイヤーに厳しい姿勢は変わらない。
  • これを模倣したというわけではないだろうが、この一年後に発売された『サイベリア』も説明書に詳細な攻略の手引きを記載という歪んだ親切設計で有名である。

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最終更新:2023年08月20日 12:34
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