THE HOUSE OF THE DEAD III
【ざ はうす おぶ ざ でっど すりー】
ジャンル
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ガンシューティング
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対応機種
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アーケード(Chihiro) Xbox Windows Wii プレイステーション3
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発売元
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セガ
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開発元
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ワウ・エンターテイメント
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稼働開始日
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【AC】2002年12月 【Xb】2003年1月30日 【Wii】2008年3月19日 【PS3】2012年4月19日
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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最大の敵はコントローラー おなじみの高難度気味のバランスは健在 数回の移植で徐々に難易度緩和 今から遊ぶならWii版かPS3版がお勧め
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THE HOUSE OF THE DEADシリーズ
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概要
ガンシューティングゲームの中でも知名度の高い、ゾンビを相手に戦い抜く『THE HOUSE OF THE DEAD』シリーズの第3作。
Xbox互換の新基板「Chihiro」の第一弾タイトル。ガンコントローラーには珍しいショットガン(散弾銃)型を採用している。
シリーズ中唯一、ナンバリングにローマ数字を用いている作品である。
ストーリー
「ゴールドマン事件」の解決から3年後、世界ではイレギュラーな事態が多発。
これにより世界の秩序・人類の文明はほぼ壊滅に追い込まれ、国際諜報機関「AMS」も解体された。
そして、世界秩序の崩壊から16年が経過した2019年10月。
世界崩壊の謎の答えが廃墟と化した「EFI研究所」にあると突き止めた元AMSエージェント「トーマス・ローガン」は、
「ダン・テイラー」を含む私設部隊と共にEFI研究所に突入したが、慣れないゾンビを相手に部隊はダンを除いて全滅。
何とか目的地まで共に辿りついた2人も何者かに不意を突かれ、ダンは死亡、トーマス自身も消息を絶ってしまう。
それから二週間後。
トーマスの娘である「リサ・ローガン」と、トーマスの元相棒「G」はショットガンを片手に車を走らせていた。
父・元相棒であるトーマスの行方、そして世界崩壊の謎の答えを求めて、2人はEFI研究所へと向かう…。
ゲームシステム
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ゲームルールに大きな変更はないものの、コントローラーをはじめとした細かいシステムの変更箇所が多い。
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コントローラー・射撃関連
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本作最大の特徴ともいえるのがショットガン型のコントローラー。ポンプアクション機構を内蔵しており、その重量はかなりのものがある。
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最大装弾数は6。射撃は従来のハンドガンと同様のセミオートで、リロードはポンプアクションで行う。
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現実の散弾銃の特徴を再現してか「近距離では範囲が狭いが高威力、遠距離では範囲が広いが低威力」という特徴があり、前作で不評だった判定の狭さを解決している。
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ゲーム進行
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ステージは全5面。
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ルート選択の要素があり、2面から4面は、計3つのステージを任意の順番で攻略する。
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後回しにしたステージは敵の耐久力が上がるので、苦手なステージは早めに選択するという戦略性が必要となる。
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ステージ・ボス詳細
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Chapter 0 追想-Reminiscence-
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プロローグとなるステージで、ローガン&ダン突入時の回想となっている。ボスは登場せず、ゲームに慣れる為のステージとなる。
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クリアするとステージ結果が表示されることなく次のステージへ進むが、ステージのランク評価はきちんとされており、全ステージクリア時の最終結果表示画面にてようやく確認できる。
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Chapter 1 追走-Chasing Shadows-
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研究所突入から侵入までが内容のステージ。まだ一面なので難易度は低いが、ボスだけは別。
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ステージ開始時に進入するルートを「エントランス」か「パーキング」の2つから選択。ここの選択で後のステージの内容が変化する。
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ボスは巨大なドクロのついた棍棒を振り回し、こちらを執拗に追うゾンビに改造された巨人警備員「Death」。
頭部が弱点だが、棍棒を振り回している為に連射では当たりにくく、攻撃をしてくる直前に連射しなくてはならない為、難易度が高い。
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Chapter 2 混迷-Bewilderment-
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Chapter 3 交錯-Sensory Chaos-
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Chapter 4 突破-Ultimate Challenge-
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先ほどの解説の通り、Chapter2~4はChapter1での選択ルート次第で内容が変化する。
選択ルート
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ボス
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解説
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「管理情報システム部東棟」と「管理情報システム部西棟」
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Death
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一度はシャッターで食い止めたDeathが、再びリサたちを追ってくる。 群れをなして襲い来るゾンビを蹴散らしながら、プレイヤーはDeathに引導を渡さねばならない。 弱点は前と同じく頭だが今回は棍棒が邪魔をする場面は少なく直線で迎え撃つ場合には狙いやすい。 しかし障害物の合間を縫って頭を狙う場面が多く、的確なタイミングでのリロードを求められる。 シリーズで初の、序盤から既にボスが登場し、以降も道中に渡って襲い掛かってくるボスの攻撃を回避しながら進んでいく方式のステージ。
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「L3バイオ実験室」と「L2のバイオプラント」
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Sun (太陽)
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異常成長した植物に覆われたエリアで、意思を持つツタや植物と同化したゾンビが登場する。 ボスの「Sun」は巨大な人面樹で、ツタを伸ばしたり中央の花から種を飛ばして攻撃する。 弱点は植物の表面に浮き出た無数の顔面と、ツタの先端、そして後半の攻撃で中央の花から飛び出すエイリアンのような顔。 植物タイプであるためか耐久力が他のボスと比べても段違いに高く、ひたすら弱点への猛連射が要求される。 また、ボスを倒した後も道中が少し続く変則的なステージ構成のため、油断は禁物である。
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「EFIゲノム研究室」と「D.B.R.研究室」
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Fool (愚者)
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キュリアンが遊びで生み出した「ヤルキモノ怠けないナマケモノ」ことFoolが飼育されているエリア。 Foolは鋭い爪で金網を素早く移動し、引っ掻き攻撃や、餌である死体をかのマジシャンの多数の火球降下を彷彿とさせるかの如く降らせて攻撃してくる。 弱点は両手足の爪だが、キャンセルゲージを減らすにはサイトが出ている部位を撃たなければならない。 終盤に使ってくる飛びかかり攻撃は攻撃スパンが短く、本作の難所の1つとなっている。
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Chapter 5 運命-Wheel of Fate-
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最終ステージ。Chapter0と同じ研究所の最深部が舞台だが、とにかく敵の攻勢が激しくなっており、プレイヤーには緻密なパターンと持久力が要求される。
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最終ボスはキュリアンの記憶を移植した「Wheel of Fate」(運命(因果)の輪)。銀色のボディの周囲に回転する巨大なリングを武器に戦う。
リングをルーレットにして攻撃パターン及び難易度を変えるためパターン化がしにくく、その攻撃内容も苛烈なものとなっている。 弱点はHODの最終ボスの伝統で解説されないが、胸部の紋章が弱点。あまり大きくない割にはちょこまか飛行して動き回る上にリングが邪魔をするため狙い難い。
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システム面での追加・変更要素
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ボス戦は「ボスの弱点を連続して撃ち、ボスの体力バー下の「キャンセルゲージ」を0にすることで大ダメージを与えながら行動を中断させる」方式へ変更。
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弱点以外の場所を撃つか、キャンセルゲージ及び弱点サイトの出現前でもボスを撃てば微量ではあるが一応ダメージを与えられる。しかしキャンセルゲージを0にするまでは怯まない。
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この方式については、本作以前にナムコとセガ(ワウ・エンターテイメント)の共同開発で発売されたガンシューティングである『ヴァンパイアナイト』からの逆輸入となっている。
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世界の秩序が崩壊した為か、従来作における「非戦闘員救出」の代わりに特定ポイントで仲間がゾンビに不意打ちを受けるイベントが発生。
開始前に「BONUS LIFE CHANCE」と表示されたイベントでゾンビを撃って仲間を助けることでライフが1つ回復できる。
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各チャプタークリア毎に6段階のランク評価(E・D・C・B・A・S)が表示され、高評価だとライフが増える(Aランクで1つ、Sランクで2つ)。
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ランクはチャプタークリアまでの時間の速さ、命中率、ゾンビの倒し方で決まる。
そのゾンビの倒し方における評価(ボーナス)は、高い順に並べると、
出現から即座に倒す「GOOD(2秒以内)」<「EXCELLENT(1秒以内)」<また1発で2体のゾンビを同時に倒す「TWIN SHOT」というショットガンならではのボーナスの3種類。
一方で逆に、敵の攻撃を受ける寸前ギリギリ(15フレーム以内)で倒すと通常(評価なし)よりも得点が低くなる「FASTER」なるペナルティーもある。
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一方でゾンビの頭を撃つ事で高得点が得られる「ヘッドショットボーナス」は廃止。どの部分にショットを当てても10点の撃ち込み点が入る仕様になった。
頭部が弱点なのは従来と変わらずだが、ヘッドショットそのものにスコアボーナスが存在しないのはナンバリングタイトルでは本作のみである。
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プレイヤーが所持できる最大ライフ数が「2」までは最大5個だったが、本作から最大9個に増加した。
問題点
コントローラー
本作最大の問題が、本ゲーム最大の特徴であるポンプアクションショットガン型のコントローラーである。
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搭載している機構の為か非常に重く、プレイヤーの腕に負担をかける。またリロード操作をポンプアクションにしているため、腕の筋肉もプレイ時間に比例して酷使される。
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その為、ゲームの腕前だけでなくリアル体力も求めるという、二重の意味で難易度の高いゲームになってしまっている。連射を必要とする場面も所々にあり、体力を余計に消耗しがち。
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おまけに前述の通り最大装弾数が6と少ない為、頻繁にポンプを引かなければならない。これでも連射の仕様だけは従来作準拠なのでだいぶマシなのだが。
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撃ち漏らしたり、敵が連続で出てくる場面では、ひたすらポンプを前後に動かし続けながら撃ち続けるという非常に腕の筋肉を酷使するプレイスタイルになってしまいがち。
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実際のポンプアクションショットガンを再現しようものなら「1発撃つ毎にポンプを引く」「リロードは手動で弾丸を1発ずつ装填」となり、本作のような連射は到底無理。
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根本的な問題だが、ハンドガンならともかくショットガンで「連射を必要とするガンシュー」にするべきだったのか?という疑念がある。
ステージ構成等は基本的に従来作と同じで、更に難易度と連射の必要性が高いだけに、余計にキツイ(詳しくは「難易度」で)。
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スコアアタックではザコやボスに対していかに1発でも多く当てて撃ち込み点を稼げるかがカギとなるため、安定した高速連射が行えることが前提となってしまう。
ヘッドショットのボーナスが存在しないため、弱点である頭を極力撃たないようにしていく点はシリーズでもかなり異端。
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ポンプアクションギミックのメンテナンスも複雑で、本作独自のコントローラーであるためにスペアパーツの調達も難しく、整備の行き届いていない筐体では「割れているなどポンプアクションのギミックが壊れてた」「外見上で特に破損は見られないが内部が壊れており引いてもリロードしてくれなかった」という報告も珍しくない。
本作では銃を画面外に向けてリロードすることはできないので、ポンプアクション機構が壊れていると後述の二丁拳銃モード以外はまともにプレイできなくなってしまう。
実際にインカム面は問題なかったが、ポンプアクション機構の故障によって止む無く撤去…という店舗も少なくなかったそうだ。
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続編の『4』ではゲーム内で説明されるガンコントローラーを振る方法以外に従来通りに銃口を画面外へ向けてもリロード可能になっている。
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隠しコマンドを入力すると二丁拳銃モードで遊べるが、ただでさえ重量のあるコントローラーを片手で一丁ずつ持ってプレイすることになる。
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さらにリロードが自動的で行われるのだが、その速度が遅い為、無闇に撃っているとリロード中に攻撃を受けてあっという間にゲームオーバーになってしまう。
一人で遊ぶ以上にパターン化しないとまともに進む事すらままならないだけでなく、ガンシューティングゲームとは無関係であろう腕の筋力をも鍛える必要がある。
難易度
『HOD』シリーズ自体やや難易度高めのゲームバランスが特徴だが、本作は素の難易度がシリーズの中でも高い上に、前述したコントローラーの問題が加わってかなり難易度が上がってしまっている。またライフ回復機会を多くするなどこれでも総合的には前作よりは緩和されてはいるものの、一方で主にボスなど、前作よりかなりシビアになってしまった面も発生しており、やや荒波寄りな調整となっている。
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今までのシリーズでもあったことだが、うかつにゾンビを撃って部位破壊してしまうと行動スピードが早くなってしまう場合があり、思わぬダメージを受けてしまう。
それに加えて今作のゾンビは頭や両腕が損傷していると中距離からタックルを仕掛けてくることもある。そのため的確に頭部を撃って戦闘能力を奪って行かないと数の暴力に押し負けてしまう。
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逆に言うと一匹ずつきちんと処理をすれば、敵が高速になる突撃モードにならない。本作初心者が喰らいがちな中距離タックルも、この突撃モードへの移行が原因。
中途半端なダメージは逆にプレイヤーを危険な状態にしてしまう。この仕様を知っているかどうかが、道中の難易度を大きく変えると言っても過言ではない。
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リロードをすると硬直時間が発生する為、安易にリロードを行うとその隙に攻撃を喰らう局面も多い。瞬時の判断力や行動パターンの分析力が求められる為、精神的な消耗も馬鹿にならない。
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他シリーズ作品とは銃撃によるダメージの仕様が異なり、攻撃範囲が広い分ダメージが拡散しやすいという特徴がある。
遠くにいるゾンビや部位破壊がされているゾンビに対しては威力が減衰しやすく倒すのに時間がかかる。
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家庭用では部位損傷の表現を一切無くすことが可能なため、その場合は高速タックルを防ぐことが出来る。
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『HOD』シリーズ恒例の「小さくすばしっこいゾンビ」「物投げゾンビ」も健在。要所要所で登場してプレイヤーの体力を余計に奪っていく。
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本作では更にローリングやステップで銃撃を避けてくる私設部隊隊員がゾンビ化した個体が後半に登場する為、その傾向に拍車がかかっている。
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一応ライフを回復するチャンスは少なすぎた前作への反省からか、アイテムボックスや救出イベントで割と用意されている。
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だが敵の攻勢はそれ以上にかなり激しいので、生き延びる為にはAランク以上を獲得してのライフ補給が必須。だがコントローラーのことがある為、後半になるほど高ランクを目指すのも厳しくなっていく。
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前作まではチャプタークリア時のライフボーナスの条件が「非戦闘員の救出成功回数」だけだったため、道中の非戦闘員をきちんと助けさえすれば、あとはどんなプレイをしようがそれほど問題はなかったが、
今作ではライフボーナス獲得には道中のゾンビの出現パターンを把握した上で各ボーナスを多く獲得する、無駄撃ちしないといった無駄の少ないプレイングが要求され、その事も高難度化に拍車をかけている。
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ボス戦の難度もキャンセルゲージの導入で上昇しており、(極一部を除いて)一撃でも当てればキャンセルに持ち込めた以前と違い、高い精度と連射能力の両方を要求される。
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動きが緩慢なFoolや弱点がほぼ常にむき出しのSunはまだしも、弱点が小さい上に振り回す棍棒や障害物が盾になり銃撃を阻むDeathは一面から登場するボスながら多くのプレイヤーに苦戦を強いてきた。
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ファンの間でも語り草になっているのが「Foolの跳びかかり攻撃」と「管理情報システム部後半戦のDeath」である。
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前者はFoolが飛びかかって攻撃してくるのだが、これに対して装弾数6発全てを振りかぶった手の鉤爪に当てないとキャンセルできない。
狙わなければいけない弱点が小さい上にコントローラーの問題があったため、多くのプレイヤーがこの面でライフを削り取られていった。
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後者はDeathが壁を突き破りながらこちらに接近してくるというものなのだが、Deathが壁を突き破っている間は壁が盾となって攻撃を防いでしまう上にキャンセル猶予時間が短い。
うかつにリロードしようものなら数少ない攻撃チャンスを失い、攻撃をキャンセルできない状況にすぐ陥ってしまう。前者と違い、このパターンを繰り返してこないのが唯一の救いである。
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ラスボスのWheel of Fateも当然ながら強い。一部では「シリーズ最強のラスボス」という声も。
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特にリングを高速回転させての突進攻撃は、キャンセルに持ち込めるタイミングがシビアで、ここまでの苦境を乗り越えたプレイヤーに更に連射能力を要求してくる。
そのキャンセルのシビアさたるや、PC版で高速連射ツールを使ってなおギリギリまで突っ込んでくるほど。
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一応、攻撃パターンをプレイヤーの意思で決定することはできるが、非常に分かりづらい。
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何れもこれらの問題は全てAC版の時点で発生していた問題で、移植版ではリロードが遅くなった上でそれに対する敵の調整を行っていない為、この観点に限定した場合は難易度がさらに上昇している。
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さらに一番厄介なバグとして、「L3バイオ実験室」と「L2のバイオプラント」の序盤で登場するSunの触手の当たり判定が消失して無敵状態になってしまう「触手バグ」が存在する。
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触手の攻撃を受ければ無敵状態が解除される事もあるが、運が悪いと無敵が解除されないまま強制的にゲームオーバーにされてしまう極めて理不尽な事態が発生することも…。
バグの発生条件も不明で未然に防ぐ対処法もなく、バグが発生しないのを祈るしかない。
その他
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救出イベントは、前述の通りゾンビに襲われているもう一方のキャラを助けるというものだが誤射というものが無く、相棒めがけてショットガンをぶっぱなしても平然としていて不自然である。
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最も弾の判定がでかいので、誤射を取られてもソレはソレで厳しいのだが。
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ちなみに救出イベントはG(2P側)の方が圧倒的に簡単。「ガンシューティングの接待補正」である。少しでもクリアに近づきたいなら、2P側でプレイすることをオススメする。
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仲間がゾンビに羽交い絞めされたり足首を掴まれるシーンでは、別方向から襲ってくるゾンビが危険表示される。しかしそれをあえて無視して、拘束しているゾンビを倒すことでも救出できる隠し要素がある。
場所によってはその方が非常に簡単なこともある。とはいえ、羽交い絞めで覆い被さってるゾンビをショットガンで倒すのは現実的に考えると余りに無茶である…。
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演出としてはやや不自然ではあるが見方を変えれば、従来作では存在した「撃ってはいけないキャラ」が実質なくなったともいえる。
誤射によるペナルティーを恐れることなくガンガン撃ちまくれるようになったのは評価できる点といえるだろう。
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従来通り本作もマルチエンディングなのだが、エンディング条件がやや釈然としないものになっている。
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「コンティニューの有無」が関わっているのは良いのだが、もう一つの条件として「4ステージ目に選んだルートによって決まる」というのがある。
この為、お気に入りのエンディングを見ようと思ったらルート選択を固定にしなければならず、プレイの選択肢を狭めてしまっている。
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エンディングの描写を見ても、ルート選択による結末の必然性が感じられない。「このルートを選んだからって、何でこのエンディングなんだ?」という疑問を感じたプレイヤーは多いだろう。
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特にストーリーのネタバレを避ける為詳細は伏せるが、「シリーズ恒例の主要人物の1人がゾンビ化」するエンディング(バッドエンド)は、よりによって初代以来の主人公サイドのある人物がゾンビ化する内容。ノーコンティニューでここまで苦労してクリアしたのにもかかわらずこの内容はあまりにも後味が悪すぎる。
評価点
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グラフィックの向上。
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グラフィックが前作に比べて格段にパワーアップしており、荒れ果てた研究所の荒廃や不気味さがよく表現されている。
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特に人物やゾンビのグラフィックは格段に美麗となっており、人物は顔つき・髪の毛と言った生物感、ゾンビはよりグロさが増している。
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前作では抑え気味だった残虐描写が若干『1』よりの過激さに再強化されたのもある意味ポイントだろう。
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筐体やゲーム設定でゾンビの身体欠損具合を3段階に設定可能で、最小では小さな風穴程度のものが、最大では上半身が丸々無くせることも。
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移植版では全バージョンで血の色(人間・敵共通)を「緑」から「赤」へ変更可能となり、よりリアルで過激な描写とすることも出来る。
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HODシリーズ特有の、熱いBGMは健在。
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作曲は従来作とは異なり、櫻井えり子氏が担当。その関係か、これまでとは打って変わって生音が主体で全体的にシリアスかつ緊迫感を煽る曲調となっている。
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一方でステージクリアやゲームオーバーは前作のアレンジとなっている点は健在。
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ラストバトルのBGMはラスボスの設定を反映して前作のラスボス曲のアレンジとなっており、この演出は多くのHODファンから評価された。
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ストーリー面である程度掘り下げが行われた。
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それまでマッドサイエンティストとしか描写されていなかったゾンビの創造主・Drキュリアンがゾンビ研究に傾倒した理由が明かされ、「難病に侵された息子を救うため」という非常に人間らしい姿が描かれた。
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以前より人間味を見せるようになったGと、勝気なリサの掛け合いはクスリと来る。特に各ボスを倒した後の2人のコメントはなかなか秀逸。
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ストーリー上の主人公はリサとGであるが、ゲーム中に主人公キャラが変わる他のシリーズ作では見られない特徴がある。
詳しいことはネタバレになるため避けるが、この主人公交代を生かした終盤からの怒涛の展開はシリーズ中でも屈指の熱さ。最終的に1・2P側どちらの主人公も従来作より若い世代の人物へと交代するため、ストーリー上で世代交代が行われたとも取れる。
またOPムービーもこの世代交代を意識したのか、最初に過去作のダイジェスト映像が振り返る形で流れ、そこから本作へと繋がる構成になっており、ストーリーで記したように絶望的な時代背景・世界観ながら実に熱い展開を引き立ててくれる。
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『1』『2』で猛威を振るった人気ボスキャラの「マジシャン」は本作では未登場…と思いきや、得点アイテムとして小型&黄金化した「ミニマジシャン」に。得点はかなり高いもののその分相変わらず高速移動でちょこまか動き回るので取得はなかなか大変。
また最終ステージ開始時のデモのイントロにも一瞬だが登場している。
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難易度はHODシリーズ屈指のものがあるが、それでも練習すればノーコンティニュー(ワンコイン)クリアが十分可能なバランス調整。
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長期戦になりがちになったボスなど難所はあれど、きちんとパターンを構築し、とにかくゾンビを早く倒して「EXCELLENT」評価を量産&「TWIN SHOT」を狙える場所も覚えて結果的に高ランクを獲得してライフを補給していけば、前作よりも容易にノーコンティニュークリアが可能である。
むしろライフ回復に関してはシリーズ随一の多さである。
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AC版では「ガンコンの重さをものともしない強靭な体力」という前提条件がついているが、それ以外のバランスの良さは家庭版が明らかにしたものといえよう。
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コントローラーに評価すべき点もある
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他のシリーズでは出来ない「敵から狙いを外さずにリロード」が可能な点は便利。
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一般的なガンシューティングでは一時的に射線をゲーム外に向けてリロードした後、再度照準を合わせる必要がある為、それらがなく狙った敵に照準を合わせたままに出来るのはやはり楽。
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ガンコンのデザインやポンプアクションのギミックは評価が高い。
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あまりゲームをしない若いカップルなどからの受けは良く、都市部のアミューズメント店舗では結構多く稼働していた。
総評
これまでの『HOD』シリーズ同様ゲームとしての完成度は高くまとまっているが、「重いコントローラー」と「シリーズ特有の難度高めのバランス」が悪い方向に噛みあってしまった作品。
特にコントローラーに関しては「ゲーム以外の部分で難易度を引き上げてしまった」為に批判が大きく、本作の最大の特徴でありながら大きく評価を下げるポイントにもなってしまった。
アーケード版はまともにプレイできるまでのハードルが筐体の状態にプレイヤーの体力+筋力と高いので、興味のある方はこれらの問題が無いPS3版を購入するのが手っ取り早いだろう。
移植
移植版は「救出イベント成功で確実にライフ回復」「残り時間を回復させながら進むタイムアタックモードの追加」「(一部バージョンで)リロードが遅くなっている」等の変更点がある。
何よりもコントローラの関係上、重さの問題が解決されている。
Xb版
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2003年1月30日発売。家庭用初移植。360でもプレイ可能。
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オマケとしてDC版『THE HOUSE OF THE DEAD 2』を収録している(本編クリアで解禁)。
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劇場版のメイキング&PVも付属、本編を見なくとも酷い出来なのが一目でわかる。
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これまでの作品と違い、ガンコントローラーが出ていなかったためガンコン対応ではない。他社開発ガンコントローラーを利用してボタンなどを当てる必要がある。
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当初はDC版と同時発売予定だったが、DC版は発売中止になった。
Win版
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2005年3月17日発売。ガンコン系のコントローラーは使用出来ず、マウスか矢印キーのみのプレイに限られる。それを差し引けば概ね忠実な移植。
Wii版『THE HOUSE OF THE DEAD 2&3 RETURN』
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2008年3月19日発売。『2』と本作を同時収録。基本的にはXb版の移植であり、『2』もDC版クオリティのままである。
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本作は遠景処理の省略や救急箱の外見変更など、グラフィックで一部違う箇所があるが、新モード(後述)が追加されている。Wiiザッパー同梱版も発売された。
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新モードとしてエクストリームモードを追加。銃の当たり判定が『2』並みに狭くなった代わりに、リロードも速くなっている他、敵の攻撃を無効化する緊急回避攻撃も追加されている。1P専用で、途中参加不可。
PS3版
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2012年4月19日にPSNで1000円で配信。初移植となる『4』と同時配信。『4』と同様PS Moveモーションコントローラー対応でガンアタッチメントも用いればガンコンと同様の操作感を実現できる。弾切れ時のオートリロード(リロード速度はWii版と同様)に残弾有りでのボタンリロード(リロード速度がAC版と同じ)が標準で搭載された。
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それ以外の追加システムはオンラインランキングのほかはベリーイージー時専用の連射機能程度だが、ボタンリロードを活用すれば、移植作品の中ではほぼAC版と同じプレイが楽しめる。
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移植に当たってHD化が施されているが、16:9のワイド画面には対応していない。
この他にも本作をベースにしたタイピングゲーム『THE TYPING OF THE DEAD II』も存在する。
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CS機では展開されておらずWindows版のみ。また、『THE TYPING OF THE DEAD』のマイナーチェンジ版である『ゾンビ打 タイピングラリアット THE TYPING OF THE DEAD』に同作の体験版が付属している。
最終更新:2024年03月07日 18:00