アクウギャレット

【あくうぎゃれっと】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
販売元 バンプレスト
開発元 ガゼル
稼働開始日 1996年3月下旬
プレイ人数 1人~2人
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 演出は豪華
遊べなくはないが消化不良なシステム
井上淳哉、レニー・ハートの無駄遣い気味


概要

バンプレスト製としては珍しい、版権が絡まないオリジナルシューティング*1。東亜プランの息吹を受け継いだメーカーの一つ、ガゼルが制作している。
バンプレストとガゼルの組み合わせは『美少女戦士セーラームーン (AC)』の時と同様である。
後にケイブに移り『エスプレイド』の世界観設定を手がけた井上淳哉氏がキャラクターデザインを担当しており、背景グラフィックなどの絵柄にエスプレイドとの関連が垣間見られる。
また、総合格闘技PRIDEの入場コールなどで知られるレニー・ハート氏が作中のボイスを担当している*2
海外版は『Air Gallet』のタイトルで稼働している。

レバー+2ボタン(ショット、ボム)で操作する。4種類のショット(後述)と、2種類のボンバー*3がある。

スコアアイテムである勲章は出現させてから時間が経つと色が徐々にくすんでいき、それに連れて取得できる点数も下がる(2000点→1000点→500点→100点→10点)が、色がくすみきった後に少し待つと出現直後の色に復帰する*4*5

エクステンドは(デフォルト設定で)150万点になると1UPアイテムが上から流れてくるのでそれを取得することで残機が増えるが 残機を増やせるチャンスはこれ1回のみである。

1P側は「F-15XX ミッドナイト・イーグル」、2P側は「F/A18G キラー・ホーネット」となっているが、初期所持ボムの種類の違い以外は同じである。


問題点

  • 肝心のゲーム部分は全体的に敵弾が速い上に量も多めである。また、自機の当たり判定が大きく、ケイブ系や彩京系のゲームのつもりで多WAY弾の間に入り込むと呆気なく死ぬ。1面のボスからしてこの多WAY弾をバンバン撃ってくるため、かなり難易度が高い。
    • ランク変動も勿論有り、基本はタイマーランクで徐々に難易度が上がっていく。
    • 上記の通り、エクステンドが『工場出荷設定で一回のみ』と言うのも高難易度に拍車をかけている。
  • 道中も面倒で、耐久力の低い雑魚はそこそこ速い弾を出現即撃ってくるので封殺しにくく、ダラダラと回避を強要される。そして中型の敵の耐久力は結構高く、これまた拡散弾を撃ってきて雑魚弾との混合になるという厳しさ。
    • 更に言うとアイテムキャリアも耐久力固めな上に3Wayで弾を撃ってくるのでアイテム取得がやりにくい。
  • そこで武器の火力の問題となるが、そのバランス調整にも大いに疑問が残る。
    • 武器には「F」(ガトリングファイア:赤)、「L」(シャイニングレーザー:青)、「M」(トレーシングミサイル:黄色)、「S」(ハンターシーカー:緑)の4種類があるが、「M」は発射間隔が長めなミサイルの切れ目が若干存在する以外は、ホーミング✕高火力✕多数なミサイル+おまけの幅広ショットと拡散・収束両面に弱点がなく、本作を少しでも楽にプレイしたいならこれ一択となる。
      • 「F」は見た目こそ『雷電』シリーズの赤同様のワイドショットだが、敵機がその弾幕のわずかな隙間をかいくぐり、なかなか当たらない。また火力も耐久力ある敵にはやや微妙なレベル。
      • 「L」は威力がある代わりに横幅が狭く、あちこちから敵機が猛攻撃してくる本作とは相性が悪い。
      • 極めつけの「S」は、オプションをレバーで上下左右に少しずつ回転させて弾の発射方向をゆっくりと変えるという使いづらいものであり、また威力自体も異様に低いため、うっかり取ってしまうと一気に死亡率が上がる。『鮫!鮫!鮫!』の緑武器(シャークビーム)、『究極タイガー』の黄色武器以上に罠と言える存在で、何故こんな武器を作ったのかと疑問が残る。
  • 本作の調整ミスについて井上氏は『エスプレイド』の設定資料集のインタビューで「作業スケジュールの全てをグラフィックに費やす事で肝心の面白さ(ゲーム性)部分を作りこめないという本末転倒な事態」になってしまったと語っている*6

評価点

  • 1面が始まる前に自機のコックピット席の描写が映し出されるシーン、デモ画面でのプレイヤーキャラ(パイロット*7)や背景などのグラフィック全般、2面ボス背景の自機の位置によって角度が変化して見える東京タワー等、演出はかなりレベルが高い。
    • 最終面のボス手前で警報音が鳴った後、ゲーム開始デモに登場した空母が下から登場したかと思えば、画面上部より現れた5面ボスに向けて特攻を仕掛けて大破させ、そのままラスボス戦に移行すると言う演出も光る。
  • BGMもサントラ化がされていないにも拘らずそれなりの高評価。音楽を担当しているのは東亜プラン時代に『BATSUGUN』のBGMを担当した坂井義達氏。

総評

得点アイテムの取り方を工夫する稼ぎ要素等も有り、決して遊べない出来ではない。
だが業界全体がSTG衰退期にある中でリリースされた本ゲームは、上記の問題点もあって注目される事は無かった。
グラフィックや演出面は高水準であっただけに、ゲーム部分が作り込まれていれば評価もまた違っていた事であろう。


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最終更新:2023年04月21日 16:12

*1 他に版権が絡まないシューティングには『マクロスプラス』も手掛けたMOSS開発の『銃弾嵐(ガンダーラ)』がある。

*2 当然だが、氏特有の巻き舌ナレーションではなく貴重な(?)普通の英語アナウンスである。

*3 威力は弱いが画面上の敵弾を消すことができる上に無敵判定もある「エナジースパーク」と範囲は狭いが前方に強力な攻撃を放つ(但し、無敵判定はない)「サンダードライブ」。アイテムの色は前者が緑、後者が青。

*4 但し、この後にまた色がくすんでいく

*5 ステージ内の勲章を1つも逃さず全て取るとステージクリア時に「各色の勲章ごとの点数×取得数」と「ボムの残数×5000点」とは別にパーフェクトボーナスの10万点が追加される

*6 開発中盤にスケジュールが早まってしまった状態且つOPの膨大なデモ製作に追われてしまい、マスターアップまで2~3ヶ月なのにステージ製作が半分も進んでいない上に1ステージもまともに動いていない状態だった。

*7 ちゃんと名前も設定されており、井上淳哉氏がかつて即売会で出したカレンダーの絵に1P側パイロットが起用されていた事もあった。