カトちゃんケンちゃん

【かとちゃんけんちゃん】

ジャンル アクション
対応機種 PCエンジン
メディア 2MbitHuカード
発売元 ハドソン
発売日 1987年11月30日
定価 4,900円
判定 ゲームバランスが不安定
バカゲー
ポイント ちゃんと遊べるタレントゲーム
難易度はお子様泣かせ
TBSテレビ関連作品リンク


概要

当時、TBS系で放送されていたバラエティ番組「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」*1とのタイアップで制作された、PCエンジン初期のアクションゲーム。

本人にとてもよく似た表情豊かなグラフィックの素晴らしさと良質なBGMは、ライバルであったファミコンにPCエンジンの性能を存分に見せつけ、本体の売り上げに大きく貢献するほどの大ヒット作となった。

当時当番組で人気があったドラマ仕立て風コント「THE DETECTIVE STORY(探偵物語)」をモチーフにしている。
ただし番組と違って表記は漢字の「加」ではなく、カタカナの「カ」である。略称、愛称は上記番組と同じく「カトケン(加トケン)」。

番組の長編コントパートで2人が遊ぶシーンがあったり、特番で高橋名人をゲストに招いて視聴者代表間でスコアアタックが行われたりした。

探偵のカトちゃん(加藤茶)とケンちゃん(志村けん)がさらわれた資産家を助け出す為に調査に乗り出すというストーリー。 ゲームとしては、同社の定番作『高橋名人の冒険島』にやや近い内容、全6フィールド×4エリア構成。

ゲームのルール

  • 操作キャラクターはカトちゃんケンちゃんのうちどちらか一名。ゲーム開始前に選ぶ。
    • カトちゃんは足が滑りにくい代わりに移動とジャンプのスピードが遅く、その分ジャンプの飛距離が長い。ケンちゃんはその逆。使いやすさではカトちゃんの方が上だと評される。
    • 選ばれなかった方のキャラクターはすねてしまい、ゲーム中にプレイヤーキャラクターの妨害(時々お助け)をしてくる。
      • ある意味番組通りだが、番組では基本探偵事務所のパートナーなのでむしろ協力が多く、そのバランスでは少々異なる。
  • プレイヤーの攻撃方法は主に3種類。オールマイティに有効な攻撃は無く、場面によって使い分ける必要がある。
    • 攻撃ボタンを押すとキックが出せる。ただし、プレイヤーキャラクターが二頭身のため物凄くリーチが短く、敵に接近して出さないと当たらない。また、ボスはキックでしかダメージを与えられない。
      • 道中のオブジェクト(噴水やゴミ箱など)をキックするとコインや回復アイテムの食べ物が出たり、足場が出現したりする。全く無意味なアクションが起こる事もある。
      • 街灯やヤシの木にはハンマーゴング*2が隠されていることもある。
    • 敵をジャンプで踏み付ける事ができる。場合によっては敵数体を連鎖的に踏みつける事も可能。
    • ずっとしゃがんでいると、オナラ攻撃ができる。当然ながら尻から出るので、当てる場合は敵に背を向ける必要がある。
  • 本作は残機+ライフ制で、時間が経過するか、敵に触れるとライフゲージが減り、無くなると1ミスになる。また、ライフに関係無く一撃でミスになる敵もいるほか、落とし穴に落ちても即ミスである。
  • 一部のワープ装置や落とし穴、ドアに入ると、選ばれなかったキャラクターによるコントやゲームのヒントを聞く事ができる(この落とし穴はワープするだけで、ミスにはならない)。
    • ワープの中には逆ワープもある。また、順当なワープでも罠が仕掛けられている場合がある。
      • 2-3終点のワープはライフが回復しないまま2-4の最初に飛ばされる。しかもこのワープスプリングは他のものと違い光っている。さらに近くには1UPハチ助が隠されている為、取ろうとして踏んでしまう事も多い。
    • また、スロットゲームに挑戦できる場所もある。ゲーム中でゲットできるコインを使用、当たりを出せばコイン・ライフ・自機の量を増やせる。
  • ボス戦まで進むには、各エリアのステージ3のどこかに隠されている「鍵」を手に入れなければならない。これを取らずに進むとボス戦に行けなくなるが、救済処置として前エリアに戻れるワープ装置が存在するので、ゲームが詰みになる事はない。ちなみに最終エリアの6−4は、ある方法を使えば「鍵」がなくてもボス戦に行けてしまう。

おバカな点

  • カトケンの二人がゲームキャラクターになっただけにノリもおバカなものが多く、お約束というべき点も数多い。中には「THE DETECTIVE STORY(探偵物語)」のネタとなっている演出もあり、当時を知る人にはニヤリとさせるものも。
  • 例えば、お邪魔をしてくるキャラクターが返り討ちにされると様々な仕打ち(トラップ)を受ける。
    • 頭上から空き缶が落ちてきて、タンコブを作りながら変顔で走り出す。
    • 頭上からたくさんの岩またはヤカンが降ってきてそれを食らう。ここでぼーっとしているとプレイヤーまで巻き添えを喰らう
    • 小便や野○ソという下品なネタは当たり前。さらに、くずかごに入って大量に空き缶を投げまくり、攻撃を食らうと逆さまになってはまる。
    • コースの見えない所で隠れている事もあり、木を蹴ると高いところから落ちてきたり、くずかごを蹴ると上空からパラシュートで降下してきたり。
  • お助け役となる場合は舞台と共に仮装してセリフを言うのもポイント。
    • 大抵の仮装が『8時だョ!全員集合』や『ドリフ大爆笑』や後の番組『志村けんのだいじょうぶだぁ』等で見られるような仮装が多くファンには必見もの。
      • お助け役がカトちゃんだと「加トちゃんペッ!」、ケンちゃんだと「バカ殿様」といった今でも人気のキャラクターが拝めることもある。
    • そして無敵状態になる時には「だいじょうぶだぁ教」でおなじみのアレ(三叉うちわ太鼓)を使うという演出も。「ウィッ、ウワァ、ウォッ!*3
    • あるステージにおいて、クリア必須な鍵を入手するために墓石を蹴る(相方のヒントでも「墓石を蹴ってみろ」と言っている)というバチあたりな方法。
  • カトちゃん、ケンちゃんのグラフィックがPCエンジンのハード(キャラクターの大きさ、色数)を活かして非常に完成度が高く描かれており、本人の顔にとてもよく似ているためこれらの演出がより一層際立つ。
  • 敵キャラクターも総じてバラエティ豊か。
    • 動物系なものが多いが中にはウ○コが存在したりしている。
    • ハッシーという首の長い恐竜もいる。一見巨大に見えるが、実は首が長いだけで体が妙に小さい。
    • おならで倒せる火の玉。(人魂)
    • 後ろから敵が追いかける様はある意味「志村後ろ!」を表現していると言えなくもない。
    • 大量に敵キャラクターまたはサングラスに黒スーツの男が出現するという場面も「THE DETECTIVE STORY(探偵物語)」ではエキストラを用いたよくある演出手法でもあった。
    • よく見ると高木ブーにクリソツな雷様。
  • ゲームをクリアしてエンディングを見終わると英語ながら敵キャラクターの紹介が流れるのだが、中には転がってくる岩は実はゴム製であるとか空面で登場するヘリは実はワイヤーで吊られているなど、笑撃の事実が明らかになるものも。

問題点

  • 難易度が非常に高い。初代『高橋名人の冒険島』と匹敵する鬼ムズゲームとして知られるほど。
    • スタート開始直後は簡単に進められるものの、ステージが進むたびに敵の配置や出現位置、段差などが段々嫌らしくなっていき、フィールド3以降から急激に難易度が上がっていく。
    • 罠配置が多く、リフトに飛び移る際に突進してくる敵に当たって落下死といったものや、タイミングを読み間違えて即死というパターンも少なくない。
    • 平地でも驚くほどの数で敵が大量出現する場合があり、後ろから追っかけてきたり、前から突進してきたりとプレイヤーを引っ掻き回す。
    • 敵も出現するだけのものから攻撃してくるものに変化し、薪が火の粉を撒き散らしたり、落とし穴から長い首を出すだけのハッシーが火を吐いてくる。
    • ステージの後半ともなるとリフト同士の隙間が広くなったり、高い位置に配置されたりする。一発即死の焚き火の密度が多くなり、1~2ブロック程度しか無い足場を渡らなければいけなくなる。
    • 最終ステージともなると鬼畜さは増し、敵の出現も多くなる。連なった浮き島、立ち塞がる壁、ハッシー・コハッシーの猛攻、隠しブロックも多く配置されていて難易度が非常に高い。極めつけは連なって配置された焚き火をハエを踏み続けて飛び越えるという場面。ちなみに1-1に戻されるという隠し罠ワープも存在する。
  • ボスキャラクターは顔違いかつ服の色が違うタンクトップの大男のみ。
    • しかも前述のように、この大男たちはキック攻撃しか通用しない。

評価点

  • 上記のように難易度は高いものの、理不尽ではない。
    • 運ゲー要素は皆無であり、操作技術を身につけ、敵や仕掛けのパターンをしっかり把握していけば、十分クリアできるバランスになっている。
  • カトちゃんケンちゃんでお馴染みのネタを散りばめたコミカルな演出
    • 出典のネタを演出として存分に活かしており、コミカルで楽しい。
  • 良曲揃いのBGM。
    • 特に1-2等で流れる曲は、バカゲーらしからぬ哀愁漂う曲調で人気が高い。
    • 一方でミスをするとまるで志村けんやドリフのコントのオチにつくようなトボけたジングルが鳴る。1-1のBGMもコントチックであり、お笑いからアダルティな曲調までどれもしっかり作り込まれている。
    • 作曲は国本剛章。スターソルジャーやチャレンジャー、迷宮組曲 ミロンの大冒険などでもおなじみである。

総評

芸能人を使用したキャラゲーである事や、見た目のバカさ加減からクソゲー扱いされやすい傾向はあるが、ゲームの出来はしっかりしている。
かなりの高難度であるためアクションゲーム初心者やライトユーザーには手放しで勧めることはできないものの、しっかりとバランスもとられており、高難度アクションゲームが好きなプレイヤーにとっては十二分にやりごたえのある仕上がりになっている。
駄作になりがちなタレントゲームの中でも稀にみる遊べる佳作である。

その他

  • 海外版PCエンジンであるTurboGrafx-16版では、『J.J. & Jeff』という架空のキャラクターを使ったタイトルに変更されている。ゲーム内容はほぼ同一だが、表現規制の関係上、オナラ攻撃はスプレー攻撃に変更されている。*4
  • 有名人の肖像権が絡んだゲームであるため、バーチャルコンソールやPCエンジンアーカイブスには配信されておらず、今後も配信するのは非常に厳しいと思われる(版権作品の配信が皆無というわけではないが)。
    • 本作と同じく版権作品であるPCエンジン版『ガンヘッド』は、バーチャルコンソール、PCエンジンアーカイブスともに版権と無関係な海外版『Blazing Lazers』を日本でも配信するという方法で実質的なプレイを可能にした。
      • しかし本作では同じ事をやろうとしても「文章で攻略情報が表示される」という仕様がネックになってしまう。北米版である『J.J. & Jeff』のヒントメッセージは当然全て英語なので、それをそのまま配信しても英語のわかる人 or 必要な情報を既に全て知っている人以外ではクリア出来ないという欠点がある。
    • ちなみに『J.J. & Jeff』は北米などでは普通に配信されている。
      • PCエンジン miniには海外版である『J.J. & Jeff』が収録されている。
  • コナミのボンバーガールには、運が良ければガチャで入手できるBGMの一つに『J.J. & Jeff』の名義で1面と空ステージの曲が採用されている。
    • ゲームセンターでカトちゃんケンちゃんの曲が鳴り響く日が来るとは誰が想像できただろうか。
  • PCエンジンを持っているなら誰しもが一度は手にすると言うほどに大ヒットしたので、かつてはあらゆる中古ショップに在庫が激安で溢れ、買い取り価格も近年までタダ同然だった事が多く、捨ててしまった人も多いだろう。
    • しかし現在では志村けんの訃報による本作の再注目と、オリジナルでの移植は不可能に近い事が明らかとなった事から中古相場が上昇傾向にあり、店によってはショーケース内のプレミアコーナーに置かれている事が増えてきている。
  • 1988年4月2日放送の同番組はスペシャル企画としてレギュラー放送と内容をガラリと変えて、主に小中学生を対象にしたゲームイベントを行った。
    • 番組中で本作による対戦も企画され、会場に集まった子供たちの中から代表2人が選ばれ、高橋名人とスコアアタックによる対決が行われた。なおこの勝負は高橋名人の圧勝だった。
    • また、この時加藤は「PCエンジンといえばこの人、高橋名人です」と紹介している。
      • 言わずもがな彼は「ファミコン名人」として『全国キャラバン』を通して大ブレイクしたものの、PCエンジン発売に合わせてその広報担当に就任したことでそれまでのように「ファミコン名人」としてファミコン関連の活動ができなくなり、彼自身も発売の少し前にあたる8月あたりからメディアに出なくなっていた。PCエンジンはそこまでシェアがなくファミコンが圧倒的にシェアを占めていたこともあってメディアの注目度はやっぱりファミコンが中心だったため子供たちの間では「急に消えた」ようなイメージを持たれることになった*5
      • 同番組の視聴率の高さもあって、久しぶりに彼を見た子供たちも多かった。
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最終更新:2023年12月27日 22:07
添付ファイル

*1 『8時だョ!全員集合』の後継番組として1986年1月~1992年3月までTBS系で放送。本作が発売される直前の11月21日放送に同番組の最高視聴率36.0%を記録した。

*2 蹴った時のスピードで上がる高さと得点が変わり、一番上まで上がってゴングが鳴れば1UP。

*3 プレイヤーを志村にすると「だいじょうぶだぁ」を加藤が披露する。これは本作のみでしか見られない描写。

*4 他にも下品な表現の一部は改変が加えられていたり、プレイヤーキャラクターの仮装にも改変が見られる。だが、何故か前述にもある「だいじょうぶだぁ教の三叉うちわ太鼓」の演出部分はそのまま英語化されているという謎な点も・・・

*5 それに付随してその少し前にあった逮捕デマ騒動ともごっちゃにされ、それを拡大した死亡説など更なるデマが流れることにもなった。