D.D.クルー

【でぃーでぃーくるー】

ジャンル ベルトスクロールアクション
対応機種 アーケード(System 18)
販売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼働開始日 1991年
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 作業ゲー


概要

セガAM1研及びAM3研が開発した、ベルトスクロールアクションゲーム。全7面構成。
ストーリーとしては、LAPDの刑事F.Fの元にギャング軍団から遊園地で爆弾テロ予告の電話が入り、直後に予告通り爆発が発生。
F.Fは中国拳法使いのガン・ホー、軍人のキング、黒人ボクサーのバスターを引き連れてギャング軍団に立ち向かう、というもの。


ゲームシステム

  • 8方向レバー+2ボタン(攻撃、ジャンプ)で操作。
    • 方向レバーを左右どちらかに2度入れするとダッシュとなり、ダッシュ中に2ボタンを同時押しするとダッシュ攻撃となる。
    • ダウンしている敵に重なって攻撃ボタンを押すと敵を持ち上げる事が出来、もう1度攻撃ボタンを押すと投げる事が出来る。

評価点

  • 独特のキャラクター達
    • 本作のキャラクターデザインは斜め上に定評のあるセガによる製作なのか、プレイヤーキャラクターの時点で異様に濃い。
      • 特にダッシュ攻撃で「アチョー」と無駄に甲高い声を上げながら肘打ちを繰り出すガン・ホーは実に印象的。
    • 敵サイドのキャラクターもやはり濃く、ボスキャラクターに至っては対戦前に実写取り込みっぽいアップ画面が登場する。
      • 特に2面ボスのブルース・リーもどきや5面ボスの帽子を被った半裸のリチャード・キールもどきは強烈な輩である。
    • プレイヤーキャラとボスキャラに限ってはドット絵のクオリティが高く、アクション時も意外と滑らかに動いてくれる。
  • 独特のBGM
    • BGM数は非常に少ないが、その殆どは妙なミクスチャーテイストやラップが含まれており、ゲームの濃い雰囲気に合っている。
      謎の念仏がバックで流れる等、セガらしく斜め上なセンスに溢れたBGMもあり、それらはあまり合っているとは言い難いが。
  • 筐体設定によっては3人同時プレイや4人同時プレイが可能
    • 登場キャラクターが割と大きめの本作にしては画期的な試みではなかろうか。
      4人同時プレイでは1Pがガン・ホー、2PがF.F、3Pがキング、4Pがバスターに固定される。

問題点

  • 本作は所謂「ファイナルファイトの亜流」なのだが、本作をそれと同じ感覚で遊ぶとエライ目に遭う事請け合いである。以下の仕様のせいでゲームの難易度は理不尽に高い。
    • プレイヤーの通常攻撃、ジャンプ攻撃は敵1人にしか当たらない。ファイナルファイトのように一度に複数の敵を殴る事は出来ない。
      そもそも、プレイヤーの通常攻撃はリーチ、判定、技の出の早さとどれを取ってもザコより弱く、連続技の最中に平然と割り込まれるので全く使えない。
    • ファイナルファイトのように「近づいて掴んで投げる」という事が出来ない。敵を投げられる条件は、通常攻撃を数発当ててふらついている状態か、ダウンしている状態のみ。
    • 複数の敵を攻撃でき、当たればダウンさせる事が出来るダッシュ攻撃は、攻撃判定が出るまでに若干のタイムラグがあり、その際、敵との距離が近いと敵と衝突してしまい、攻撃が不発に終わってしまう。
      • そのため、かなり遠めから出さなければならず、かなりリスキー。不発の場合はプレイヤーと敵の両方が吹っ飛んでダウンするのだが、プレイヤーの体力だけ減る理不尽な仕様。
    • 何よりも1989年以降の大抵のベルトスクロールアクションゲームに用意されていた、一定量の体力と引換に周囲の敵を攻撃できる緊急回避技が無い。一度敵に囲まれるとフルボッコされやすい。
  • 結局、プレイヤーは「ジャンプ攻撃を当ててダウンさせた敵に重なって投げ飛ばす」「遠目からダッシュ攻撃を確実に当てる」2つのパターンを延々と繰り返す事を要求される。もはや作業ゲーである。
  • 未完成かと疑うレベルに手抜きな演出面。
    • ザコ敵はデブ、ヌンチャク男、ナイフ男、空手家、銃を持った軍人の5種類のみ
      これらの色違いが毎ステージ毎に大量に登場する。非常に単調である。
      他のベルトスクロールアクションゲームなら全員中堅クラスのザコ敵だが、これらは通常のザコである。
    • ドラム缶や樽や木箱などの「アイテムボックス」は存在しない。
      体力回復アイテムは特定の敵を倒した場合にのみ出るが、外見は縁どりが施された「LIFE」という文字
      武器アイテムも使い捨てのナイフと手榴弾のみであり、かなり味気ない印象を受ける。
    • スコアは「敵1人につき1点」。各ステージのボスキャラクターですら1点である。「スコア=倒した敵の数」と考えれば納得はいくが。

総評

所々濃い成分が印象に残るが、ゲームとしての爽快感がまるで無い作品。
出回り、インカムとも振るわなかったので早々にゲームセンターから消えていった。



余談

  • タイトルの由来や意味はゲーム中で一切説明されていないが、25年後の2016年にセガのスタッフが当時のプログラマーに聞いた所、「敵が『どんどん来る』」が由来である事がTwitterで明かされた。ソースはこちら
  • 本作ではエンディングのスタッフロールも無い為、開発した部署は長らく不明であったが、これも上記ツイートでAM1研が関わっていた事が明らかになっている。
    「電脳戦機バーチャロン」シリーズのプロデューサーとして有名な亙重郎氏*1が「セガ入社後の初仕事がこれだった」とも語っており、AM3研も開発に関わっていた模様。
    既に消滅してしまったが、本作から6年後に発売されたセガサターン版ダイナマイト刑事の公式サイトでは、「ダイナマイト刑事クルー」と弄られており、間接的にAM1研の関与を匂わせていた*2
  • 同年8月にメガドライブにて同じくセガによるFF系ベルトスクロールアクション「ベア・ナックル 怒りの鉄拳」が発売。
    • そちらの評価は良好で、以降はセガのFF系アクション=ベア・ナックルという図式が定着する事になり、結果本作は「時代に残された作品」という皮肉なポジションになる事に。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2017年07月08日 01:59

*1 氏はAM3研所属のスタッフだったが、当時のAM3研は他部署と共同開発する事が多かったらしい。

*2 ダイナマイト刑事シリーズの公式サイトはセガ公式とは思えないほどにおふざけ全開だった事で有名で、この件も「刑事年表」ページにて、「AM1研開発のゲームはタイトルに『ダイナマイト』が入っている比率が高い」という弄りテーマで、「格闘もの」「刑事もの」繋がりで引き合いに出された上でのネタだった。