このページでは2009年発売の『Call of Duty: Modern Warfare 2』と、その日本語版について解説します。
ほぼ同名の作品が2022年にも発売されているが、本記事では2009年に発売された作品について解説する。



Call of Duty: Modern Warfare 2 (2009)

【こーるおぶでゅーてぃ もだんうぉーふぇあ つー】

ジャンル FPS

対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
Windows XP/Vista
発売元 Activision
開発元 Infinity Ward
発売日 2009年11月10日
価格 59.99$
レーティング ESRB:M(17歳以上対象)
備考 PC版のみ要ネット接続及びSteamクライアント
判定 良作
ポイント 難解なストーリー&何故か生きてたキャラクター
オフラインのボリュームは減少
マルチプレイヤーのバランスは世紀末
しかし、それをすっ飛ばしても面白いゲーム性
本作で『CoD』シリーズの最盛期を迎えた
Call of Dutyシリーズ


特殊部隊タスクフォース141出動せよ。



概要(共通)

2007年に発売された現代戦FPSの傑作『Call of Duty 4: Modern Warfare』の続編*1
前作の戦争映画的な作風からアクション映画に近い方向性に急転換したことで賛否両論を生み、大味気味であった『CoD4』と比べても武器バランスが崩壊していたが、派手な演出や良質な楽曲で現在でも非常に人気が高い。
評価が鰻登りとなっていた『CoD』シリーズは本作と次作の『BO』で最盛期を迎えることになった。


評価点(海外版)

従来の『CoD』シリーズにはない音に注力した作り。

  • 本作ではBGMの作曲に『ザ・ロック』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『ダークナイト』などで有名なドイツの作曲家であるハンス・ジマー氏をゲーム業界で初めて起用している。
    • マルチプレイヤーのスポーン時の音楽やキャンペーンで掛かるBGMなど、耳に残りやすくどれも良曲である。
  • マルチプレイヤーのアナウンサーもゴースト役のクレイグ・フェアブラス氏を筆頭に、いわゆる「イケボ」声優を起用しているためキルストリークのUAVを出すだけでもかなり雰囲気が盛り上がる。
  • 銃声も合成音ではあるが撃っていて気持ちの良い音がすると好評である。

評価点(共通)

前作から大幅にパワーアップした演出・グラフィック

  • 特に今作は中盤からアメリカが侵攻を受けるシーンがあるため、現代アメリカの住宅地での戦闘、果てはホワイトハウス奪還戦が描かれることになる。
    • 今作より増えたセントリーガン、プレデターミサイルの頼もしさ、定番の自分たちが乗ったら落ちるヘリ、後半のEMPにより落ちてくるヘリなどから逃げるシーンなど中盤から最後のフレアを焚くシーンまで怒涛の展開となる。
+ ネタバレありのため折りたたみ
  • ラストミッションも派手な兵器はないものの隠密ミッションから新装備やアタッチメントを駆使し戦うシーンが多く、新要素を積極的に取り込んでいる。
    • 最後は痛々しくも刺されたナイフを抜いて投げてキメ。後のソープのことを考えると切ないがヒロイックである。
      • 当然投げナイフもマルチプレイで採用。どの距離でも刺されば即死というロマンあふれるアイテムなから盾を絡めた実用的なキャンセルなどもあり。後作品でもコンバットアックスなどいわゆる投擲刃物系として1つの装備カテゴリとして生き残ることとなった。

問題点(共通)

バグ問題

  • オンラインプレイに致命的なバグが多く存在した。PS3/360版で(ハードメーカーの)対応が異なる等も物議をかもした。
    • 弾数無限バグ、舞空術バグ、加速装置バグ、高速移動バグなど。戦争は変わった…。
    • バグによって105mm機関砲なる超兵器が誕生した。
    • 対戦部屋のホスト側でバグが起こるとその部屋に参加したプレイヤー全員に伝染する。
      • 感染したプレイヤーがホストとなるとさらに…ウィルスかよ。
  • 「(プレイ動画を)見てる分には面白そう」なんて意見も多いが、こんな状態では当然ながらまともな対戦はできるはずがない。
    • そもそもキルストリーク(連続で相手を倒すと得られる支援)の異常強化や装備品の補給が自前でできる能力があるなど、バグなしでも火力が若干インフレ気味。かつ篭りプレイとの相性も良いため、今作のオンラインをあまり評価していないプレイヤーも少なくない。
    • レビューサイトXBOXmk2ではバランスの平均点がもっとも低く、レビュアーの指摘も対戦に関する点が多い。
      • またTreyarchは次回作の話に絡めてこれらの要素を暗に批判していた。
  • バグ修正後でも悪名高い戦術の例:
    • 爆発系武器(急所に直撃しなくても即死あり)の爆発範囲を「危険察知(Danger Close)」能力で底上げし、先述の補給能力等でガンガン補充して乱射しまくる「ワンマンデンクロ(Danger Close + Oneman Army)」「スカベンデンクロ(Danger Close + Scavenger)」「グレポン*2
    • 「マラソン」「ライトウェイト」能力で移動速度を、「コマンドー」能力でナイフの攻撃範囲を底上げし、ナイフ主体で戦う「マラライコマンドー」
      • 大抵のゲームでは銃相手にナイフで戦うのは無謀とみなされ、それゆえにナイフスタイルも(たとえ高威力であっても)容認され易い。
      • しかし、この「コマンドー」Perkを付けてナイフが命中するとプレイヤーがワープして攻撃するという謎仕様があり、多少距離があっても接近を許してしまうと銃側がまず撃ち負ける。バランス崩壊ものである。
    • 当然、こういったものは「FPS好き」にしてみれば邪道極まりないものである。
  • 今回はアンロックするための条件が厳しいアイテム・称号なども多く、指定した場所に復活できるようになるアイテム「戦術マーカー」や、レーダーに映らなくなるPerk「冷血」などを利用してサクラと一緒にキルを稼ぐ「談合」行為の多発もマルチプレイが嫌われる理由の1つ。キルログで同じ人間が同じ相手に殺され続けていたら談合の可能性が高い。
  • キルストリークの中には「どんなゲームルールであっても発動すれば全員死亡でゲームを終了させる」最終兵器戦術核*3があり、陣地取りなどのルールで空気を読まずにこれを発動させる人間などもいたりする。純粋なゲームの実力が結果に反映されなくなりつつあるという批判もある。
  • パッチを出すのが、日本版ではスクウェア・エニックスのために海外版とずれる、バージョンが違うと当然マッチできなくなる、そのためしばらく海外版と日本版で隔離されることがしばしば。

Win版の問題

さらにWin版でも、以下に述べる仕様により、不買運動・販売中止・その他多くの非難と混乱が巻き起こった。

  • 価格が$59.99(前作までは$49.99)
    • PS3/360版ではそれぞれソニーとマイクロソフトへのロイヤリティとして販売価格に$10を上乗せしなければいけないが、Win版ではその必要がなく、CS版よりも安く入手できるのが普通である。しかし今作ではCS版と同じ$59.99で販売された。
    • さらに、2種類の特別版がPC版にはまったく用意されなかった。
  • プレイするためにはValve社が提供するSteamクライアントのインストールとSteamアカウントの取得が必須。たとえパッケージ版を買ったり、Steam以外のDL販売サービスから購入していても同様である。
    • 本作起動のたびにSteamクライアントの起動とユーザー認証を自動的に行うため余計な時間がかかり、ネットに繋がっていないPCではシングルプレイでさえ遊ぶことができず、さらに本作終了時もSteamクライアントが自動終了せず起動したままになってしまうなど、不満が多い。
    • しかも、日本のSteamアカウント所有者が海外版の本作(DL版、パッケージ版問わず)を購入した場合、ユーザー認証が弾かれてしまい通常の方法ではプレイ不可能である*4。この情報はプレイヤーはおろか輸入代理店にさえ全くアナウンスされておらず、発売当時は大混乱を巻き起こした*5
      • 一番巻き添えを喰ったのが日本駐在の米軍兵士*6を筆頭とした英語を母国語とした人々。買ったは良いが起動できない、仕方なく日本語版を買ったら今度は音声だけでも英語化出来ない=実質的にプレイ不能となるケースが多発した。
    • 現在も日本のSteamからは購入不可。歳末セールなどの告知では「お住まいの地域ではご利用いただけません」とのつれないメッセージ。
    • まだSteamがメジャーで無かった頃に起きた、有名タイトルにおける「おま国」だったこともあり、批判の矛先がSteamにも向けられてしまった。
  • 過去の作品で使用可能だった覗き込み動作が削除された。またコンソールを開けなくなった。
  • マルチプレイヤーの仕様に不満が多い。
    • Dedicated Server*7を使用できない、P2P通信のためラグが頻発する、サーバーを自分で選ぶことができない。
    • 加えて、MODやカスタムマップなどユーザがゲームをカスタマイズすることができない。そのために大会などを開催することが非常に困難。
    • マルチプレイの参加可能人数が家庭用と同じ18人に制限された*8
  • PCと家庭用では環境、プレイヤー、要求される最低限の機能が全く違うため、家庭用メインで作られた作品は総じて評価が低い。
    • 特に、潰す理由がないPCの利点をほぼ潰し、家庭用の仕様をそのまま持ち込んだためWin版の評価は非常に低く、売り上げも非常に少ない(全体の10%程度)。
    • もっとも、売り上げそのものは前作を大幅に上回っていた。また2009年当時はPCゲームユーザーの数はコンシューマーよりも少なかったため、本作の10%という割合も特別に低いというわけではなかった。
    • なお上記の不評を受けて、『Call of Duty: Black Ops』シリーズのデベロッパーであるTreyarch*9は『BO』用のMODを本作に流用可能にする措置を行い、大好評を博した。

賛否両論点(共通)

ストーリーや展開

  • 激戦続きの怒涛の展開、迫力の演出などに誤魔化されてはいるが、冷静になって見てみるとおかしな部分がかなり多い。
+ ネタバレを含むので格納
  • あまりにも手際がよすぎるロシア。
    • ロシアでの空港テロの翌日にロシア軍がアメリカ本土を奇襲。報復テロのためにテロリスト数人を送るのとは違い、大量の正規軍を送り込むにしてはいくらなんでも早すぎであり、テロが発生した時点で送り込む準備が済んでいたというくらいの手際の良さ*10
  • ザルすぎるアメリカ防衛網。
    • 上記の奇襲時にロシアは墜落したアメリカの衛星の装置を使って、識別を隠しながら易々と米国本土へ奇襲を仕掛けているのだが…。
    • ステルス機でもない未確認機影がレーダーに大量に写っているのに、周辺国やEU諸国すらも気づかないとかあり得ない程の油断振り。
      • 装甲車両やヘリもかなり来ていることから海路にも大量のロシア軍がいるということが推測される。いくら何でもそんな大艦隊がいたら目立つだろう。
    • 最終的に首都ワシントンにまでもつれこむ乱戦状態に。
  • 何故か生きていたプライス。
    • 『CoD』シリーズでは重要人物でも割かしあっさり死ぬことが多い*11のだが、前作のラストでは明らかに助かっていない状況でありながら特に何の説明もなく生存していた。
    • 一部のファンからは死亡したまま、出しゃばらない方が良かったという声もある。元々旧作ファンに対するサプライズとして『CoD4』のみにゲスト登場するだったはずが、キャラの人気にアクテイビジョンが押し込んだという説が濃厚。
    • その後、『MW』と『MW2』の空白を補完するサイドストーリーとしてファンによって作られた実写二次創作動画の内容が公式設定として組み入れられた。
      • ちなみに、プライスは動画の時系列内で捕まってたらしく、前作ラストでは助かっていたことが発覚する。
  • 核によるEMP攻撃*12
    • プライスが急速にアメリカ国土を蹂躙するロシア軍の電撃戦に対する切り札として、ロシア原潜の戦術核ミサイルを打ち出してアメリカの大気圏外上空で爆発させて発生したEMPでロシア軍の機甲部隊や命令系統を麻痺させようとした。
    • しかし、EMPの影響はロシア軍のみならずアメリカ軍も受けており、それどころか何の関係もないISSの宇宙飛行士や味方パイロット、旅客機に乗った民間人を何千人、下手すれば何万人も虐殺していることになる。ハッキリ言って正気の沙汰ではない。
      • しかも、アメリカのインフラも影響を受けてしまうわけである。そんな荒っぽい方法でいいのだろうか。ロシア軍に打撃を与えられれば、イギリス人のプライスにとってアメリカの被害などどうでもいいということか?
  • シェパードがタスクフォース141を突然裏切る展開は衝撃的ではあるが、伏線らしきものがそれほど無く急な展開のために理解が追いつかず混乱を呼ぶ。
    • シェパードの今回の事件を起こした理由すら、上の理由共々唐突にミッションブリーフィングで明らかになるので混乱に拍車をかける*13
  • 他にもシェパードの階級が中将なのに海兵隊の総司令官になったり(海兵隊の指揮権は大将以外には無い)、ある人物の年齢から前作のプリピャチでの出来事の年代に矛盾が生じているなど細かい粗がある。
  • 前作プレイ大前提のシナリオ
    • 当たり前といえば当たり前なのだが、前作をプレイしていないと理解しづらい点が多い。
      • 作中ロシアの情勢、タスクフォースが生まれた経緯含め『CoD4』プレイ前提に近く、プレイしてもなお補完する。
    • 上記のシェパードの行動の理由も前作に起因しているため、『MW2』から始めてしまったプレイヤーは本当に突然裏切ってくる。
  • 作中、マクタビッシュと再会したプライスが『4』のエイリアスである「ソープ」と呼ぶのだが、『MW2』ではソープは常に「マクタビッシュ大尉」や「マクタビッシュ」としか呼ばれない。
    • そのため、NPCキャラのウォームが「ソープって誰だよ?」というセリフを直後にぼやくのだが前作をプレイしていないとウォームのように話に置いてけぼりになる。
    • 一応『MW2』のオープニングの回想シーンで「ソープとは妙な名前だな」というシーンの回想が出るが、前作をプレイしていないと前作のプレイキャラがマクタビッシュであるということを自体を知りえないためわからない。

総評(海外版)

マルチプレイヤーのバランスこそ世紀末であるものの、映画的なストーリーや良BGM、現在まで続く人気キャラを作った功績は非常に大きい。
本作の売り上げはギネス級のものであり、結果として『Call of Duty』シリーズの名を全世界に轟かせ、名実共に世界最高峰のFPSとなった。


Call of Duty: Modern Warfare 2 (日本語版)

【こーるおぶでゅーてぃ もだんうぉーふぇあ つー】

ジャンル FPS


対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
Windows
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 Infinity Ward
発売日 2009年11月10日
価格 7,980円(税込)
レーティング CERO:D(17才以上対象)
備考 PC版のみ要ネット接続及びSteamクライアント
判定 劣化ゲー
ポイント エキサイト翻訳使った奴出てこい
日本語吹き替えなのを発売の直前まで公表せず
Call of Dutyシリーズ

概要(日本語版)

ゲーム自体の内容は海外版からほぼ変わりなし(後述する一場面を除いて)なのだが、誤訳だらけのローカライズで発売前から大不評を買ってしまった。
なぜこのような事になったのかについては、こちらに顛末が書かれている。


問題点(日本語版)

致命的なまでの誤訳・吹き替え

オンラインオフライン共に大量に存在する誤訳

誤訳の形態は「文意、スラングを無視した直訳」「複数の意味を有する単語を不適切な方に訳した物」「単語本来の意味や文章を完全無視」と多い。
加えて、分類もまた「弱音と化したなど意味が逆転した」「かっこ悪い言い回しと化したもの」「ネタバレと化したものや逆にシナリオの正確な理解を妨げるもの」「ゲームの攻略にまで支障をきたすもの」と様々である。
以下にその一例を記載しておくが、それ以外は攻略Wiki内の記事を参照してもらいたい。

英語 本来の意味*14 本作の和訳 解説
Pfc (Private first class) 上等兵 二等兵 本来の階級から降格させられたアレン氏&ラミレス氏&ダン氏。
しかも『兵長』は現代アメリカ軍には存在しない階級である。
Cp (Corporal) 伍長 兵長
this is the Wild West. この辺りは無法地帯 ここは荒野のウエスタンだぞ 直訳過ぎて全く意味が伝わってこない。
strung out! 隊列が延びてる! 頭がどうにかなりそうだ! もう1つの意味である「麻薬が切れて苦しんでいる」と履き違えたその頭が本当にどうかしている。
It will cost you a piece of yourself. (犠牲には)君自身も含まれるかもしれんがな 犠牲には君も含まれるがな 作戦前のブリーフィング。未来形である「will」の意味を主観性のある「起こると予想していること」では無く「(客観的な)断言」と間違えてる。
些細な言い間違いだが、全く意味が異なってくるのは言うまでもないだろう。
ただし、「will」は助動詞ゆえに主観的だが確信度が高い予想なので『キャンペーン リマスタード』の訳である「かもしれんがな」という訳も弱すぎて本来の意図から離れすぎているか。客観的に聞こえないように訳す前提なら「だろうがな」のほうがより適切だろう。
Remember - no Russian. いいか…ロシア使うな 殺せ、ロシア Russianの「n(対象)」を間違えており、述語としての「no」も間違えてる。
そしてこの誤訳が巻き起こした重大な問題もあり、それについては後述する。
He supplied the assault. (奴は)武器の調達人 テロの実行犯 「assault」はまだ「テロ」と読めそうだが、supplied(供給)をどう読んだら「実行犯」になるのやら。
しかもこの誤訳が出るのはよりにもよって↑の直後の話なので…。
PRINCE GEORGE'S COUNTY RESIDENTS(略) プリンスジョージズ州にお住いの皆さんは(略) 緊急警報放送 日本版に限り、下部のテロップが表示された時に字幕が出る。
だが、その字幕が「EMERGENCY BROADCAST SYSTEM」の訳になっているため、肝心の本文が分からなくなっている。
We will cut off all avenues of escape. あいつの逃げ道を完全に塞ぐぞ 背水の陣で臨もう 「誰の」退路を断つのかを言っていなかったからとりあえず自分達と決め付けた可能性あり。
Take out the guard having a smoke,or wait for him to move along. あの煙草を吸ってる警備をやるか、やり過ごせ スモークを持っている警備をやるか、やり過ごせ 一概に「スモーク」と言われたら煙幕か発煙筒かを連想してしまうが、
当の警備はその類の煙を発するものを持っていないため混乱を招く。
Overgrown Overgrown 「草生す廃墟」 何故かこの2つのマップ名だけ翻訳した結果がこれである。
Crash 墜落地点 「クラッシュ」
Danger Close デンジャークローズ(友軍近くへの爆撃) 危険察知 敵の設置した兵器を透視できるPerkが別にあるので紛らわしい。

吹き替え声優の演技力

  • 本作の吹き替え声優は素人を起用している。その演技力は正直言って優れているとは言い難いレベルであり、その点に不満を持つユーザーからは「棒読み吹き替え」として徹底的に叩かれた。
    • その最たるものが、空爆までの十秒間を告げる台詞の吹き替え音声「10秒! 10秒! じゅううううううびょおぉぉぉぉぉぉ!!」であり、「重病」とも揶揄されている。
    • 仲間NPCが悲痛な叫び声で主人公の名を呼んでは、ケロっと敵の位置を指示している有様である。
    • レンジャー側主人公も、上官のフォーリー軍曹から終始下手くそな吹き替え音声で命令を下されるハメになる。
  • しかし、全キャラクターが素人吹替というわけではないため、極端に叩かれる程の酷い演技をしているわけでもなく、人によってはそんな不快感も感じず普通に聞ける。
  • 声優の演技力については、ファンの間でも非常に賛否の分かれる部分であり、この点をどう感じるかによって作品自体に対する評価もかなり変わってくる。
  • 上記にもある誤訳の問題と合わせて扱われることが多いため、ローカライズさえしっかりしていればこの点に関しての評価もまた違ったかもしれない。
  • インタビューでは「素人でも原音に声質に似ている声優を起用した」と語られていたが、どう考えてもミスマッチとしか言いようがない吹替も存在する*15
  • なお音声は吹き替えのみであり、英語版音声は存在しない。
    • 元々のシステムが切り替え機能に対応しておらず、Activisionとの契約上システムの根本的部分は弄ることが許されていない。
    • この点については、どちらかというと上記のような吹き替えの演技力が気に入らない層からの指摘が多いと言われている。

字幕と音声の不一致

  • これも誤訳と棒読み吹き替えに次いで多く存在する。
    • 先述の「10秒! 10秒! じゅううううううびょおぉぉぉぉぉぉ!!」も字幕は「10秒!!」だけである。
    • もう1つの例としては、フォーリー軍曹の「違うか?」という台詞の字幕に対して音声は「違う?」である。

中途半端な規制

  • とある局面で民間人を殺害するとゲームオーバー。
    • 本作以外でもこう言ったケースは見受けられるが、本作のあるステージは規制が状況と噛み合っておらず、批判の対象になっている。
    • そのステージではプレイヤーは無差別テロへの参加を余儀無くされる。しかし、プレイヤーの周りでは他の連中による虐殺が繰り広げられる中、プレイヤー自身はそれを行ってはいけないと言う不自然な状況になっている。
    • この規制自体はドイツ語版にも施されてはいるが、よりにもよって上記の「殺せ、ロシア人だ」の誤訳が生じているシーンであることによって日本語版特有の問題と化している。
      • 誤訳で殺せと言われたので殺したら規制でゲームオーバーにされる光景は、日本語版の劣化ゲーぶりを象徴する一幕と言えよう。
      • 後半で戦う機動隊員に関してはセーフだが、彼らもロシア人であるため規制対象と誤認しうる側面もある。しかもこちらは撃たないと臆病者呼ばわりされ味方に始末されるという理不尽仕様。

総評(日本語版)

海外版は破天荒なストーリー、バランスと動作安定性の悪いオンラインと多くの問題点を抱えながら「雰囲気ゲー」として辛うじて良作判定を得ていた。
だが、スクエニのローカライズにあたり生じた大量の誤訳と棒読み吹き替えによりその雰囲気が台無しになり、結果ただの悪い冗談のような代物と化してしまった。
しかも日本国内ではPC海外版のsteam認証が悉く拒否されてしまう等で英語音声のハードルを不必要に高めた事が事態を深刻化させた。


余談

  • 場面の状況といまいち合っていない翻訳に関してはスクエニだけが悪いのではなく、Activision(現:Activision Blizzard)社側にも責任の一端はあると思われる。
    • スクエニのあるイベントでの公式の発言によると当時Activision側はスクエニ側に日本語訳を依頼する際、台本のみを渡しただけでキャンペーン中の映像は流出を恐れて一切見せてくれなかったらしい。
      • そのため翻訳家はどのような訳にするか苦労したらしく、上記のように実際の映像と和訳がちぐはぐな場面が生まれたという。
    • もともと「デンジャークロース」を始めにどうしても日本語に訳しづらい単語・ジョークやスラングを用いた会話も多く、さらに版権スレスレのネタまである*16
      • これらを考えると、スクエニとActivisionで上手く連携がとれていないがために招いた問題点とも言えるかもしれない。
  • 公式側の不手際の多さも問題に。本作とは直接関係ないが、発売前のスクエニ社長和田氏の痛い発言もかなりの話題を呼んだ。
    • パブリッシャーであるActivisionにも非があり、ファミ通XBOX誌上の『Call of Duty: Black Ops』のインタビュー記事にて製作プロデューサーが日本国内のユーザーへ謝罪を行っておりローカライズの製作体制を始めとする相互連絡等の改善をすると語った。
    • とある『CoD』コミュ(非2ch)には嵐が吹き荒れ、批判文を書けばたちまち袋にされていたスクエニコミュ(非2ch)から擁護が蜃気楼のごとく姿を消した。
  • その急遽と言っても過言ではない吹き替えの起用の背景には、劇中で主人公側が核兵器を使用するシーンがあるからなのでは? と推測するユーザーもいる。
  • 先述の「テロシーン」の存在が発売前に発覚し、各方面で物議を醸した。委細はNo Russianの記事が詳しい。
    • 何しろストーリー上必要且つ、実行するのは悪役側とは言え、無抵抗の民間人を虐殺するミッションなのだから批判が無い訳が無い。流石に子供や家族の殺害シーンこそ無いものの、熊のぬいぐるみが落ちていたり*17、撃たれて助けを求める犠牲者などまでも克明に描写しているので尚更。
    • 各国でそれぞれの規制が行われ、先述通り最も厳しいドイツ版でもゲームオーバー規制が施されている。ロシア版についてはステージそのものがバッサリ削除された。
    • 公式がこれらの批判が来る事を想定していたかは不明だが、原語版含めこのステージだけはスキップすることができ、実績・トロフィーのアンロックに全く影響しない。途中で耐えられなくなった時のためにメニュー画面にも常にスキップの項目が完備されている。
      • そもそもプレイ前に「不快なコンテンツ」として確認メッセージが2回表示される念の入れよう。ただ、何故か日本語の確認メッセージは「ミッション後半のコンテンツを不快に感じる~」になっている。上記の民間人虐殺は前半に行われるもので、後半は警備隊とのいつもの銃撃戦なのだが…。
  • 完全な余談であるが、開発元のInfinity Wardと発売元のアクティビジョン(親会社)は本作の開発報酬等に関してひと騒動起こしており、結果Infinity Ward側のスタッフが大量に退職するという事態に発展している*18
    • 本作はあちらでも企業問題と無縁ではないようだ。実際、本作も「Call of Duty」の名前を外して発売されるという噂があった。
  • 布施文章氏のライトノベル『思い出したくもない人生最悪の96時間』(アスキー・メディアワークス刊)には本作(及び前作)からのパクリ疑惑が存在している。
    • 大まかに説明すると「登場人物の外見も名前も起こる出来事も(だいたい)そのまんま」である。
    • しかもアスキー・メディアワークスはこれ以前にも盗作作品を刊行しており*19、これがクロだとしたら1年に2冊も盗作作品を出してしまったことになる。
      • このパクリ疑惑に関してはこちらを参照。公式発表はないが、作者がTwitterにて『MW2』をプレイしているようなTweetをしていたなどでクロの可能性が高いと言われている。

吹き替えそのものの是非について

  • スクエニ側は日本語吹き替えであることを発売直前まで発表しなかった(店頭や公式サイトのPVでも英語版が流れていた)。
    • 上記の演技力に関する問題抜きにしても、吹き替えに関する発表が発売直前までなかった点は公式に対する不満点とされている。
    • その影響で、一部小売店では発売直前に予約のキャンセルが大量発生してしまった*20
  • 吹き替えは「ユーザー層(年齢層も)を広げるため」に行ったというが、吹き替えで万人に通じるようにという発想は正直意味がよく解らない。
    • 当時低年齢のみならず一般ユーザーですらFPS・洋ゲーが浸透しているとは言えず、またCEROレーティングも高くなる傾向から無意味ではないか? と言われることもあった。
  • 字幕の場合だとゲームをしながら字を読むことになるので、慣れていないと見落としてしまったりとプレイするのに難しい部分もあると思われるため、この吹き替えは低年齢向けというよりはFPS初心者に向いていると言えなくもない。
    • とはいえ、そうなると余計に上記にあるような誤訳や分かりにくい訳はゲームとして問題になってくる。
  • ただし、吹き替えになったことは元々Activision側の意向であり、ドイツなど他の国では、その国の言語による吹き替え版のみが発売されている。
  • 現在は年齢やプレイヤー層問わず洋ゲー・FPSの浸透度も高くなり、また吹き替えが付属することも増えたことを考えれば、この試み自体は正解だったと言えるだろう。

その後の展開

  • 結局、翌年の『Black Ops』から2014年の『Advanced Warfare』までの、本作以降『CoD』5作品のローカライズもスクエニが担当した。
    • 今作での批判を受けてか、これらは「レーティングがCERO:Z(18歳以上のみ対象)となり規制を緩和される*21」「字幕版と吹き替え版の2バージョンで発売され*22、吹き替え版のトレーラーも配信」「『Black Ops』の吹き替えでは堀内賢雄氏、井上和彦氏等のベテランが多く起用される」「『Modern Warfare 3』の字幕監修には『亡国のイージス』『機動戦士ガンダムUC』などで知られる小説家・福井晴敏氏が起用される」など、反省の色が現れているローカライズとなった。
  • 発売から11年が経過した2020年、本作のキャンペーン部分のみを現行機種(PS4/One/Win)向けにリマスターした『Call of Duty: Modern Warfare 2 Campaign Remastered』がDL専売タイトルとして配信された。開発はInfinity Ward監修の下、同じActivision傘下のBeenoxが手掛けている。
    • グラフィックの向上及び細かい演出の変更・調整が施されており、問題点とされていた日本語訳もほぼ修正*23、一部音声の新録も行われている*24
    • また、ゲーム機本体の言語設定を変更すれば英語音声・日本語字幕で遊ぶことも可能になった。
    • テロシーンで民間人を撃ったら規制でゲームオーバーの点はそのままだが、これを誘発するような誤訳も先述の通り改善された。
  • 本作でソープの吹き替えを担当した岡林史泰氏は比較的好評だったためか、『MW3』の吹き替え版にてソープ役を続投したため今作と『MW3』で同じキャラを演じた数少ない声優となった。
  • 2022年10月28日には2019年に発売されたリブート版『MW』の続編として、本作と同タイトルの作品が発売された*25
  • 2023年7月27日に本作のオンラインサーバーが突如として閉鎖された。
    • 理由について公式からの言及はないが、マルウェア感染によりワームウイルスの温床と化したことが原因という説が有力視されている(参照)。
    • 現在はサーバーが復旧に伴ってアップデートが行われたことで、隔離サーバーへ繋がっていた日本語版が海外サーバーに繋がるようになり、ラグはあれど日本人口の少ない360版での過疎問題が解決された。
  • 本作以降毎作登場するほぼ無反動のアサルトライフルというカテゴリを築き上げた最も印象的な武器の1つであるACRは、以前より「当初は実装予定ではなかったがレミントン社からのマーケティングによって登場した」という話があった。
    • 当初、これはただの噂でしかなかったのだが、2023年10月17日に公開されたレミントン社の社内文書にてこれらの契約が実際に行われていたことが判明している(参照 ※リンク先は英語のみ)。
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最終更新:2024年04月13日 20:44
添付ファイル

*1 世界観やキャラクターを引き継いだ続編という意味で。『CoD4』と本作の間には、太平洋戦争を舞台にした日本未発売の『World at War』(開発は『BO』のTreyarch)が存在するが、ストーリー上の繋がりはない。

*2 グレネードランチャーの発射音から。

*3 日本語版は規制のため「戦術爆撃」に変更されている。

*4 要は特定国からのアクティベーションを弾いているというもの。ただし、ある手段を用いればすり抜けることは可能。

*5 これも現在で言うところの「おま国」の一種である。

*6 本職故に彼ら軍人達の中においても『CoD』シリーズのファンは多い。

*7 一台のPCをマルチプレイ専用のサーバーとして使用する機能。PCでゲームサーバを作るときの一般的な方法。

*8 Win版のマルチプレイヤーでは最低でも24人以上が主流。

*9 こちらも同じActivision傘下のデベロッパー。

*10 実際、アメリカ侵攻の理由付けとして企図された自作自演のテロではある。なお、こうした戦術は「偽旗作戦」と呼ばれ、現実のロシアも相手国を侵略する口実として歴史的に幾度となく行ってきた。

*11 『BO』では作品内時系列上の前作にあたる『WaW』のソビエト編主人公を化学兵器の実験台にして登場からモノの数分で退場させている。

*12 核ミサイルを意図的に上空で起爆し、強力な電磁パルスを発生させる攻撃。核爆発による放射能の影響は無いが、一定範囲内の電子機器を破壊しつくすため、攻撃を受ければ「一瞬で原始時代に戻る」とされている。これは電子機器に依存した現代社会においては致命的な被害となりうるため、核EMPは直接的な核攻撃よりも脅威だとされている。

*13 前作でアル・アサドの仕掛けた核攻撃で海兵隊が大きな損害を出したにもかかわらず国内の厭戦的な風潮に失望し、ロシアとの軍事的衝突を起こして愛国的な世論でアメリカを誘導しようという理由。そのため利用するつもりで敵である筈のアル・アサドと手を組んで事を謀っていた。

*14 後述の『キャンペーン リマスタード』からの引用も含む。

*15 マルチプレイヤーでのブラジル民兵アナウンサーは原音では威厳のある黒人司令官の声なのだが、なぜか日本語版ではさわやかな青年ボイスになっている。ほかにもTF141のアナウンサーは原音ではゴーストが行っているのだが、本作でゴーストの吹き替えを行っている佐藤拓也氏はアナウンサーとして起用されていない。

*16 Activisionが『トランスフォーマー』のゲームを開発していたことにちなんだと思われる実績「Transformer」が「ザ・ムービー」にある。

*17 その「ぬいぐるみ」自体を「子供の犠牲者」の代役とするのは各界隈でもメジャーな技法である。

*18 この件で退職した者の多くは、後にIWの元創業者たちによって設立されたRespawn Entertainmentに移っている。

*19 こちらは公式に謝罪され、回収騒動にまでなった。

*20 外国人ゲームショップ店長のつぶやき No.12『2009年に売れた洋ゲー』- ファミ通Xbox360 2010年 02月号より。

*21 2013年に発売された『Call of Duty: Ghost』のみ、一切の規制が無い状態でレーティングはCERO:D(17歳以上対象)である。

*22 例外として、発売の時期が遅れた『Black Ops 2』のWiiU版は吹き替えのみ。また、『Ghost』の場合はWiiU版が字幕のみで、PS4/One版は吹き替えのみである。

*23 ゴーストの台詞「ヤンキー共め!」→「アメリカ軍め!」などの蔑称も修正されている他、地味に「ビューティフル」を「ビューティフォー」と発音するファンサービスも加わっている。一部キャラクターの名前を間違えるなどのミスも所々存在しているが。

*24 声優は基本的には当時担当していた声優となっており、旧作とリマスターとの演技力の差も確認できる。

*25 ただし、ナンバリングの数字が英数字からローマ数字に変更されている。また、本作とストーリーの繋がりは一切ない。