サムライスピリッツ (MD)

【さむらいすぴりっつ】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 メガドライブ
メディア 24MbitROMカートリッジ
発売元 セガ・エンタープライゼス
開発元 ザウルス
システムビジョン
発売日 1994年11月25日
定価 8,800円
プレイ人数 1人~2人
周辺機器 ファイティングパッド6B対応
判定 劣化ゲー
ポイント アースクェイクのリストラ
削除された技・要素多過ぎ
斬鉄閃が無いなんて覇王丸じゃない!
サムライスピリッツシリーズ


概要

SNKがMVS及びネオジオでリリースした同名ゲームのMD移植作。
発売元はセガだが、移植は後にネオジオ/MVSで『神凰拳』を手掛けたザウルスとシステムビジョンとの共同開発。


問題点

ボタン数

  • MD純正コントローラーは3ボタンしか無かったため、斬りが「A=弱斬り・B=中斬り・C=強斬り」であるのに対し、蹴りは「A+B=弱蹴り・B+C=中蹴り・A+C=強蹴り」と全て同時押しとされている。
    • しかし、MD純正コントローラーでボタン同時押しは非常に難しく、まともに遊ぶには別売の6ボタンパッドまたはジョイスティックは必須だった(コンフィグで6ボタンへの割り振りは可能。)。

様々な要素の削除・変更
ハード性能や容量の制約がきつかったのか、様々な要素が削除・変更されている。中にはゲームバランスに影響が出るものも。

  • ハードの制約で、NG版の売りだった拡大・縮小が削除された。
    • そしてキャラサイズを大きいままに保つために、アースクェイクがリストラされた。対戦モードのキャラセレ画面のアースクェイクの位置には、デフォルトで使用可能になっている天草四郎時貞が入っている。
      • だが元々アースクェイクファンが少なかったため、この件での批判は殆ど無かった。徳間書店の「メガドライブFAN」の記事にも、「でも全然悲しくないのはなぜだ」とまで書かれてしまっていた。グヒ?
      • 同時期にタカラが出したSFC版では、キャラ全体を小さくして全員を出すという手法をとっている。
    • キャラサイズが大きいままなので迫力はあるが、NG版・SFC版と違って間合いを広く取れないので若干バランスが変わったといえる。また処理落ちもわりと起きてしまう。
  • 勝利画面の削除。試合終了後、NG版・SFC版での勝利画面の1枚絵は無く、試合画面のまま勝利メッセージだけが出る仕様になっている。
    • なので黒子が死体を運ぶシーンは見られない。
  • OPも黒バックに桜の花びらと文字のスクロールだけ。つまり心頭滅却し灯篭を斬る覇王丸のビジュアルは一切無い。SFC版やGB版熱闘は再現している。
    • EDでも、ナコルルの生足が見られないなど省略された箇所が多い。
  • 服部半蔵・ガルフォードのうつせみ技で消える煙のアニメなども省略されて、ぱっと消えてしまう。…ここまでならまだいい。
    • グラフィックに関して細かい所では、タムタムのアハウ・ガブルが情けないグラフィックに劣化したり、幻庵の吐く毒吹雪の色が赤系になっていたり、右京ステージの花火が上がらなかったり、覇王丸ステージで波が打ちつけられなかったり、王虎ステージで雨が降っていなかったりなどの削除がある。
  • ボイスも容量節約のためか削除されているが、主要なもの(必殺技など)は極力残されている。
    • そのかわり、BGMに使われていたボイス(「イヨォォー」やお経、遠吠えなど)やSE(波や雷の音など)は一切無くなった。
    • 勝負が決まった時の断末魔の叫びもカットされてしまった。代わりに黒子のボイスはほぼ全て採用されているのが幸い。
  • 削除された技が多すぎて、サムスピらしい戦い方ができなくなっている始末。
    • 技のモーションや勝ちポーズなどかなり使いまわしが駆使されている。中技と強技のモーションが同じなんてザラ。中には以下などのようにGB版熱闘にすら劣るものもある。
    • 例えば覇王丸の代名詞である「斬鉄閃」(遠距離立ち強斬り)は別の技に差し替えられてしまい、リーチが全然無くなってしまった。また中斬りも同様で、けん制にすら使えない。このため覇王丸は非常に使いづらいキャラになってしまった。
    • 服部半蔵で言えば、ジャンプ強斬りが振り下ろすモーションから中斬りと同じ横に斬るモーションになってしまったため、性質自体が変わってしまった。
    • ナコルルでは、NG版で使えない技だったしゃがみ強斬りがアッパー系のモーションに替わり、強力な対空技として使えるようになっている。
    • ほとんどのキャラがこのように技自体が変わってしまっていて、ゲーム全体に違和感を作っていると言える。
      • この辺はもう少しキャラの持ち味を生かす形で移植して欲しかったとしか言いようが無い。

その他

  • 何故かガードキャンセルができたりする。

評価点

  • ラスボスの天草四郎時貞が最初から使用できる(NG版では使用不可、SFC版は隠しコマンドが必要)。
  • 他にも、対戦では5対5のチームバトルができたりと、サービス精神はある。
  • ボイス・SEの音質がメガドライブとしては後期発売作品のためか、高音質でよく再現されている。
  • 特にSEの斬った時の「ズバッ」という音や、刀のはじく「カキィィン」という音はNG版をほぼ完璧に再現。
  • SFC版では再現されなかった真赤な血しぶきや真っ二つも再現されている。
  • SFC版ではかなり不満のあった演舞(ボーナスステージ)では、わら人形の出現場所に矢印が出る上、後半ではちゃんと上からも出現(これについてはGB版熱闘も同じ。)。さらに無音だが成功時には黒子が立ち上がって拍手する。

総評

ハードの性能上劣化は免れなかった事は仕方のない話である。しかし今作はその目立つ劣化部分がよりにもよってキャラ性能に出てしまい、他の移植作と比較しても叩かれる事となってしまった。他の移植版では再現されなかった部分が再現されているなど評価できる部分もあるが、肝心のゲーム部分の影響が尾を引くことになった作品といえる。


余談

  • ちなみにメガCD版も別途開発されていたが、日本国内では発売されず海外版『SAMURAI SHODOWN』のみ発売された。移植はMCD版『餓狼伝説スペシャル』で移植を手掛けたノルウェーのFuncom。
    • あちらはSEが何故か劣化している他、相変わらず拡大・縮小は再現されず、当然アースクェイクはリストラされたままだった。
    • だが、削除された技や勝利デモの復活に加えて楽曲もネオジオ版の物を収録している点から、本作の完全版に近い立ち位置の作品になっている様子。
  • 初代サムスピの移植はその後、3DO『SAMURAI SHODOWN』(北米版ベースの移植)、PS『サムライスピリッツ 剣客指南パック』、PS2&Wii『サムライスピリッツ 六番勝負』などでも行われている。
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最終更新:2023年03月31日 21:12