爆笑!愛の劇場

【ばくしょう あいのげきじょう】

ジャンル ボードゲーム
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 ココナッツジャパン
開発元 ビッツラボラトリー
発売日 1990年12月29日
定価 7,300円(税別)
判定 バカゲー
ポイント やたらと多いマイナスイベント
いちいち入る余計な一言
嫌な部分だけ無駄にリアル


概要

本作は大学生活を舞台にしたボードゲームである。タイトーから発売された『爆笑!!人生劇場』シリーズとタイトルが酷似しているが、ゲームジャンルが同じボードゲームである以上の関連性は全く無い*1。間違えて買ってしまったユーザーも割といたらしく、伊集院光のラジオで経験談のハガキが紹介されたことがある。

プレイヤーは田舎から上京してきたという大学生という設定であり、カレンダーに見立てたボードの上でコマを進めていく。

  • 次に進むマスは「明日~3週後の土曜日」の間でルーレットを行うことで決まり、止まったマスに応じてイベントが発生する。
  • 特定のイベント日は強制停止ポイントになっており、コマを進める過程で必ずイベントが発生する。長期休暇前後やクリスマス、バレンタインなど。

変な点

キャラ作成

最初に名前・性別の入力を終えると、出てくるのは伏せられた左右4枚ずつのカード。左の4枚から1枚を選ぶことで父親の顔が、右の4枚で母親の顔が決まる。

  • プレイヤーの顔グラフィックは両親ゆずりとなり、フュージョンのごとく両親の顔パーツを半分ずつ持ってきたような顔に勝手に決まる。
    • 具体的には顔型と口は自分と同性の親と一緒、目は異性の親と一緒。
  • それと同時に、家の裕福度(毎月の仕送りの金額に影響)、知性、好感度、体力といったパラメーターも両親の組み合わせによって決まる。
  • ちなみに父親のうちの一人が大○巨○に酷似しており、もし出てしまうとパラメーターも悪くなりやすく、母親によっては全組み合わせ中最低になる。

試験

ゲームが始まると、まずは入学試験という名のミニゲームを行う事になる。ミニゲームは以下の3種類からランダムで選ばれる。

  • ひらがな並び替え:バラバラに配置されたひらがなを五十音順に入力する。
  • 反復横飛び:十字キー左右でキャラを素早く動かしてなるべく多くの回数左右両端を往復する。
  • 計算:2ケタ+2ケタの算数の計算をする。

簡単そうなものばかりだが、時間制限に対するノルマはやや厳しめに設定されており、難易度は意外に高い。結果によって入学する大学が国立の「とうとだいがく」、私立の「あきやまだいがく」、三流大学の「にちなんだいがく」のいずれかに分岐し、あまりに点が低いと50万払って裏口大学に入学することになる。

このミニゲームは夏休み明け、冬休み明け、卒業試験でも「テスト」として行われ、3度失敗するとペナルティが課される。

入学後

大学に入るとまずはどこかのサークルに入る事になるが、マリンスポーツ、ゴルフ、卓球、相撲、ファミコンクラブといった定番サークルの他に、宗教サークルという非常に危険なものが存在する。

  • 宗教サークルには白い被り物をして「おんむ おんむ」と言っている男がいるが、明らかに某尊師がモデルである*2

イベント

このゲームは、他のボードゲームと比べるとかなりマイナスイベントが多い傾向にある(CPUも含めて全員そうなので、別にバランスが悪いというわけではない)。後述するが、現実でもそうそうないような不遇・不運が多々起きる。しかも、いちいち癪にさわるような余計な一言が多い。それこそ「やかましいわ!」と言いたくなること請け合いである。以下に一例を挙げる。

  • 「ぶーいんぐ」なる雑誌でアルバイトを探すイベントがあり、運が良ければ家庭教師などの高収入が見込めるバイトに就けるが、運が悪いと、「~に出来るバイトは一つもありませんでした」と言われてしまう。
    • ゲーマーのアルバイトに就ける場合もあるが、「~は根暗だけど身体が丈夫なのでゲーマーになった」といちいち余計な一言をかましてくれる。
    • 男性限定で、渋谷でヤクザらしき人に無理矢理スカウトされ、夜の店、すなわちオカマバーでバイトさせられる場合もある。ちなみに、「仕事が板についてきて5万円に上がる」「女っぽくなってきてしまって給料が7万円に上がる」「店を任されて20万円に上がる」という昇給イベントも存在する。

大学生活も多種多様の苦難が待ち構えており、一筋縄ではいかない。

  • 「五月病になり学校をズル休みした」「今時ファンシーケースを買い、何故か好感度が下がった」「騙されて20万円もする物(羽布団や化粧品など)を買わされた」「友達に(講義の)ノートを借りたら1万円を取られた」「クーラーの無い部屋で暑くて(寒くて)死にそうになった」なんて事はまだマシな方である。
  • 「通学途中に急にトイレに行きたくなって結局漏らしてしまう」(男女共通)「~は英検の3級に今頃合格 バカにされる」という事や、「~は役に立たない秘書検定に合格した」というイベントや、「父が彼女をつくり(不倫をしたために)家は貧乏になってしまい仕送りが止まる」「ディスコで外人の誘いに乗ると、5000円貰って外人と共に『一夜を過ごす』」というイベントまでも起こったりする。
    • ちなみに、前述の大学のサークルに入ろうとするイベントでも、「ひ弱な人はダメ」と言われたり、「運動神経がないので断られた」り、「~は太いので断られた」りする。大学のサークルなんて、実際はそうそう入部を断られたりしないはずだが…

恋愛イベント

タイトルに「愛の劇場」とある通り、このゲームは恋愛関連のイベントが豊富に用意されている。…とは言え、現実でもなかなか起きないような苦難まで起きるこのゲームにおいて、そもそも現実でも一筋縄ではいかない恋愛というイベントを成功させるのは厳しい。

  • 恋人ごとにハートマークという恋愛値が設定されており、ゼロになるとフラれてしまうが、ミニゲームをクリアするとヨリを戻せる。また他人の恋人を略奪出来るチャンスもある。複数恋人がいる場合、あまりにもデートとデートとの期間が空くと、「最近デートに誘ってない」と怒られて好感度が下がる。
    • 恋人獲得のチャンスは多種多様である。「ねるとん」で告白したり、昔の文通相手と知り合ったり(翌日会うと約束したのにすっぽかされる場合もある)、ナンパに成功すると恋人を得られる。
      • ナンパ可能な場所は非常に多種多様。大学の構内・池袋・浅草・六本木・渋谷・湘南海岸・東京ドーム・縁日・田舎の田圃道・テニスコート・合コン・学園祭・アイドル歌手のコンサート・スキー場・ハンバーガーチェーン店・他大学のコンパ・温泉宿・電車の車内等々。
      • 一日中街でナンパしても誰も相手してくれなかったり、ナンパ先で食事や映画やお茶に誘っても失敗することもある。ナンパ失敗のメッセージもキツく「あなたの顔変!」→「~は第一印象で嫌われてしまった」、「アホは嫌いよ」→「~はバカなのがバレてしまい友達になれなかった」、「タイプじゃない」→「~は背が低く嫌われた」、「あっちいけ」→「ダサイ格好なので一発で嫌われてしまった」と多種用意されている。
    • 首尾良く恋人獲得に成功してもすんなり行くわけではない。デート先や食事先でどうするかの選択肢が出るが、成功するかは完全にランダムであり、確固とした攻略法は存在しない。
      • 「アメフトを見に行ったはいいがルールを知らずに恥をかいた」、「バードウォッチや釣りを勧めたら『ダサイ遊び!』と言われるなんて事があったりする。
      • 成功しても、「湘南に泳ぎに行っても 汚れた海ではしゃぐ二人だった」、(動物園にデートに行くと)「二人は田舎モン丸出しだったが楽しかった」と、ここでもきっちり余計な一言をかましてくれる。
      • その他、「デートで胸毛を自慢したら嫌われてしまった」(男女共通)、「デート中オナラをしてしまい、クサーと言われる」、「デートの待ち合わせ中に腹を壊してトイレに行き、恋人と会えずじまい」、「恋人が家に来ていい雰囲気になったと思ったら緊張のあまりオナラをしてしまった」といった下品なマイナスイベントが妙に多い。
  • 後にタイトーから出た『大爆笑!!人生劇場 ドキドキ青春編』は恋愛が重要なテーマとなっており、ある意味本作に対する意趣返しと言えなくもない。

里帰りイベント

プレイヤーは田舎から上京してきた大学生という設定なので、年始には田舎に一旦帰る。

  • 運が良ければ親がお年玉をくれるが、「家が雪に埋まり入れなくなってしまった」り、「おしょうがつ しんせきの くそがきに おとしだまをとられる」(原文ママ)という事が起こったり、「田舎に帰ったら親父が破産していて仕送りが止まる」なんて事もある。クリスマスだから、正月だから、ほぼ確実にグッドイベントが起こると思っているであろうプレイヤーに豪快な肩すかしを食らわせてくれる。

ゲーム終了

プレイヤーが入った大学は短大という事なのか、このゲームは2年目の8月末で卒業試験を受けた後、得点の精算がされて終わりとなる。

  • 夏場に就職先が見つかるチャンスがあり、ファッション業界、ファッションモデル、運送業界、アイドルタレント、ゲームメーカー、アニメーター、航空会社、出版業界、テレビ局、極道といったものがある。
  • モデルのオーディションに落選すると、「何たる顔だ、怖い夢見そうだ」、ファッションモデルに落ちると「貴方足首太いわね!」とボロカスに言われる。
  • 余談だが、「いかてんバンド」*3のオーディションを受けて落ちると「~は歌がおとこくみ*4より下手だった」と表示される。

得点は所持金、単位数、大学、知性、好感度、体力、恋人の好感度の合計で決まるのだが、最後に「ほんとうの しあわせは こんなものでは はかれません! これは あくまでも げーむのけっかですので あしからず お わ り」と表示され、スタッフロールも無しにゲームは終了する。

評価点

  • ボードゲームは本来二人以上で遊ぶことを想定して作られているが、本作は一人プレイが可能。
  • BGMは曲数が少なく、1ループが非常に短いものの、旋律は良く妙な中毒性がある。

賛否両論点

  • やはり上記にあるようにとにかくマイナスイベントが多すぎることだろう。陰鬱なイベントやセリフがあまりにも多く、人によっては不快感を示す。
    • 普通のボードゲームのイベントは、プラス要素もマイナス要素も適度にあるが、本作は減点方式でボードゲームを作ってるのか、マイナスイベントが多すぎるせいでパラメーターもほとんど上がらない。

問題点

  • とにかく生まれた時の能力が全て。運ゲーなうえ逆転要素も少なく、パーティゲームとしての完成度は正直低い。
    • ある意味リアルといえば、リアルなのだが…。
  • まだ過激な活動が表に出る前だったとはいえ、あのオ○○をネタにしていること。
    • 当時でもここまでのブラックジョークはなかなかの物であったといえる。

総評

これでもかこれでもかと用意されまくったバッドイベントを、ネタとして笑い飛ばせる感性を持ち、その上で多人数でプレイすればそれなりに盛り上がる事の出来るゲームではある。

その後の展開

このタイトルがそれなりに売れたのか同社は数年後に同ジャンルの『1999 ~ほれ、みたことか!世紀末~』を発売した。
またタイトーの仕返しなのか、数年後に学生生活をテーマにした『大爆笑!!人生劇場 ドキドキ青春編』が発売された。
その後なんだかんだで仲良くなったらしく、開発元・発売元タッグを組んで『かわいいペットショップ物語』シリーズを発売したりしている。

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最終更新:2023年08月24日 22:32

*1 ただ、人生劇場2までの制作にココナッツジャパンが関与していたこと、パッケージイラストはどちらも同じイラストレーターを起用していることから、タイトーと何らかの取引があった可能性は考えられる。

*2 当時は様々なメディアに露出しており、宝島社の「QA」という雑誌に「飲料療法の専門家」として出たこともある。

*3 発売当時人気番組だった音楽オーディション番組「三宅裕司のいかすバンド天国」が由来。

*4 ジャニーズ系グループ「男闘呼組」が由来。