突然! マッチョマン
【とつぜん まっちょまん】
ジャンル
|
アクション
|
|
対応機種
|
ファミリーコンピュータ
|
発売元
|
ビック東海
|
開発元
|
エイコム
|
発売日
|
1988年12月2日
|
定価
|
5,500円(税別)
|
判定
|
バカゲー
|
ポイント
|
マッチョ必須
|
プロローグ
一粒でターザンになれる秘薬「マッチョマックス・ペレー」を開発したMr.ジャクソンは、
無線で注文を受け謎の島「トロッポ島」にセスナで向かっていたが、島の砂浜に不時着してしまう。
そしてその島は怪生物のひしめく狂気の島であった。ジャクソンは機関銃を手にモンスターに立ち向かう。
ピンチの時は島中にばらまかれてしまったマッチョマックス・ペレーを使って突然! マッチョマンとなるのだ!
概要
プロローグを見ても分かる通り、ビック東海らしい何かがおかしい設定の横スクロールアクションゲーム。各面2シーン×6面。
ゲーム内容(及びおバカな点)
-
十字ボタン+2ボタン(攻撃、ジャンプ)で操作する。
-
パワーアップアイテム「マッチョマックス・ペレー」を取得しかつ特定条件を満たした状態でセレクトボタンを押すことにより、任意のタイミングでマッチョマンに変身できる。
-
ステージ内の敵を倒すと、得点アイテム(500~10000点の6種類)、銃弾の補充アイテム、マッチョマックス・ペレー、エクステンドを出す事がある。
-
通常時のジャクソンは非常に貧弱。連射式の機関銃で攻撃するが、銃弾は一定距離しか飛ばず、威力も低い。また、通常時では敵や敵弾に当たると即ミスとなる。
-
機関銃には弾数制限があり、ミス後の再スタートでも弾数は回復しない。撃ち尽くしてしまうとジャクソンの目は点になり、銃を棍棒のようにして振り回して戦うしかなくなる。威力こそ銃弾と同じだが攻撃判定が極めて小さく、こうなったが最後、プレイ続行は非常に困難となるので、銃の無駄撃ちは許されない。
-
なお無駄撃ちさえ慎めば弾薬は豊富に出現するため、慣れれば弾切れに悩むことは少ない。
-
マッチョマックス・ペレーを取得し、かつ5000点以上の得点を取得した状態でセレクトボタンを押すと通常よりもはるかに強いマッチョマンに変身できる。
-
変身中は体力ゲージが設定され、5000点ごとに体力ゲージ1メモリ分の耐久力となり(最大14メモリ)どんな攻撃を喰らっても1メモリずつしか体力は減らない。
-
攻撃方法はアッパーカット系の「パンチ」で、アイテムが得られない代わりに銃の8倍の威力を持つ。また↑+Bで体力1メモリと引き換えに「マッチョレスビーム」を放つが、威力はパンチのさらに倍で貫通性があり、アイテムも出るという至れり尽くせりの性能。
-
もはやマッチョというかアメコミヒーロー、もしくはこの作品の先輩の様な感じになっているが気にしてはいけない。
-
一度変身すると穴や水に落ちてミスするか、耐久力が無くなるか、ステージクリアまで変身を解く事は出来ない。また変身中は減った体力を回復する手段も無い。ステージクリア後、耐久力が残っていれば体力ゲージ1メモリ当たり5000点が得点に戻ってくる。
-
本作の舞台トロッポ島は冒頭で「CRAZY ISLAND」と紹介される。その形容に違わず、ジャンプする茶色のキノコ、二足歩行のライオン、ゾウ、ワニ、スーツケースのような物を持ったテレポートする宇宙人、両サイドに顔の付いたライオンの頭、巨大なカバの顔面など、出現する敵にはおかしな物が多い。
-
宇宙人が無線で科学者に新薬の買取を持ちかけ、科学者自らセスナで売りに向かうという設定も味わい深い。
問題点
-
ゲームの難易度は高く、自分なりのパターンを組まなければクリアは難しい。
-
得点を稼ぎつつ、どのタイミングでマッチョに変身するかを適切に見極める必要がある。
-
立て直しが面倒。
-
前述の通り射撃では弾薬を、マッチョマン化では70,000点を消費し、これらはミスしても回復しない。つまり消耗しきってからミスするとしばらく丸腰でのプレイを要求される。
特に泣くに泣けないのが体力全快のマッチョマン状態で穴に落ちた時でアッという間に70,000点が一気にムダになってしまう。
-
ジャンプの挙動が独特。
-
Aボタンを押す長さによってジャンプ高度を調整できるシステムだが、ボタンを離した瞬間に慣性を無視して急速落下を始めるため、慣れないうちは目測を誤りやすい。
評価点
-
上述の通り開幕から難易度が高いが、ゲーム全般に渡って理不尽というレベルではなく、序盤がクリア出来れば十分クリア出来る。
-
後半面に行くにつれ攻撃も激しくなる反面、マッチョマックスペレーも潤沢に出現し、爽快なマッチョ無双プレイが可能となる。
-
逆に敵の配置を覚えて計画的な射撃を行えばマッチョなしクリアも可能。
-
BGMは普通に良い出来。序盤は不自然に明るい曲調だが、ホラー面では陰鬱な曲になる。
-
特にマッチョ時専用BGMは、短いループの中にハイテンションさと力強さ、一抹の哀愁を漂わせる良曲。バカゲーには似つかわしくないほどカッコイイ。
-
作曲はエイコムやシーピーブレインで活躍した横山清氏。
総評
マッチョマックス・ペレーさえあればいつでもマッチョマンになれる、名は体を表し過ぎなゲーム。
ただ見た目のハジケっぷりとは裏腹に、ゲーム性としては硬派で高難度な横スクロールアクションとなっている。
やや癖のあるゲーム内容だが、遊ぼうと思えば普通に遊べる出来である。
余談
-
マッチョマックス・ペレーは当時のチラシによると一瓶3万ドルもする代物。Mr.ジャクソンがモンスターまみれの島に単身セスナで乗り込んだ理由は、黒幕である宇宙人からこれを1グロス(12ダース)も注文されたためである。
-
説明書に書かれているジャクソンの行動目的も、島の脱出でなく薬の回収である。曰く「なんとしても薬を見つけて売りさばいてやるゾ」…本当にマッチョなのはジャクソンのたくまし過ぎる商魂かもしれない。
-
海外では『AMAGON』と改題されて発売された。
-
作品名のみならず設定も異なり、「南太平洋で謎の島の調査を命じられた熟練の海兵アマゴン」というより勇ましいものになっている。
-
宇宙人が無線で詐欺を行うというシュールな展開はカットされたが、代わりにマッチョ化はアマゴンの超能力とされた。
マッチョマックス・ペレーは「Mega-Key」、マッチョマン形態は「MEGAGON」という呼称になっている。
-
この辺りの変更はアナボリック・ステイロイド系薬剤による薬害被害などの米国内の事情によるものらしい。
-
同年のPCエンジン作品『魔境伝説』や、翌年のアーケード作品『ザ・ロードオブキング』とも一部スタッフが共通している。
-
本作のデザイナーである竹森得泰氏が企画したためか、練り込まれた歯応えのある難度、ターザン風のマッチョ主人公、洋ゲーテイストと言った数々の共通点が見られる。
-
よほどネタとして使えたのか、『ファミリーコンピュータMagazine(通称「ファミマガ」)』で2号連続でウソテクが掲載された。どちらも実用性はあるだけにウソなのが少々勿体なく感じられる。
-
89年1号(1月6日号)タイトルで一分放置してスタートするとマッチョマックス・ペレーが緑色になり、とるとマッチョマンが緑色になり無敵に。1-1のみ可能。
-
このウソテクは正解率なんと13%という大金字塔的なワースト記録となると思われた。
-
89年2号(1月20日号)タイトルで隠しコマンドを入力してスタートすると残機と銃弾が無限。
-
まさか同じタイトルから2連続で使われるとは読者もウラをかかれたか正解率はなんと10%と、前号の驚異的ワースト記録をすぐ塗り替えた。
-
更にこの次の3号では『スーパーマリオブラザーズ3』の「ファイアしっぽマリオ」が正解率37%、4号では『グラディウスII』の「オプションが2つしか付けられなくなる」がなんと12%と1989年は実に始まりから4号連続(しかもそのうち3つが10%代)で低正解率を記録した。
5号のウソテク(『キャプテンシルバー』の「トクマソフトオールスター」)は正解率64%と特別高かったわけではないが、それまで4号立て続けにこの通りだったので「久しぶりの高正解率」と言われていた。
最終更新:2022年03月25日 21:13