新人類
【しんじんるい】
ジャンル
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アクションシューティング (公称:リアルサバイバルゲーム)
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売元
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Rix Soft
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開発元
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ハドソン
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発売日
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1987年2月10日
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定価
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4,900円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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役に立たない長州力のアドバイス
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概要
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恐竜時代、人類の大先祖として生まれた「マックス」が、石オノやブーメランを手に、巨大恐竜に立ち向かうという設定の強制縦スクロールアクションシューティング。
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長州力とタイアップしている。「
力
の強さはハンパじゃない!!」や「
力
がすべてだ!!」というキャッチコピーが記された販促チラシや、当時放送されたテレビCMにも長州力が出演していた。
ストーリー
ムカ~シ昔の大昔。恐竜チラノザウルスやプテラノドンが、地上をノッシノッシと歩きまわっていたころ。
我らがヒーローマックスは、石→オノ→ブーメラン→タイマツと4段階にパワーアップする武器を手に、冒険へと旅立った。
ある時は鳥になって池を渡り、またある時は"リキ"となってリキラリアートの分身攻撃をしながら進む。
目指すは、4頭の巨獣の棲む洞窟…。サァ超パワフルな<新人類>の旅へと出発しよう!!
(チラシより引用)
特徴
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全4ステージ、1つのステージは4つのエリアに分けられ、それぞれがミス時の復活ポイントになっている。
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ステージ4クリア後はステージ1に戻るループゲーム。
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無限コンティニューが可能。(コマンドは説明書に記載)
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ボスである超巨獣は、プテラノドン、チラノザウルス、瞬間移動能力を持つ大コブラ、そして多数の手下を操り分身の術を使うマックスの冒険最大の敵(ラスボス)である巨大バエ。
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十字キーで移動、Bボタンで攻撃、Aボタンでジャンプ。
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画面上にある花やツボ、ガイコツといった障害物を攻撃するとアイテムが出現し、得点アップ、パワーアップ、移動速度アップ、ライフ上限アップといったメリットが得られる。
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プレイヤーの攻撃はパワーアップアイテムを取るごとに、投石→石オノ→ブーメラン→たいまつ乱射と派手になっていく。
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自機は原始人の「マックス」、すなわち生身の人間である。『ガンスモーク』、『魔城伝説』、『キングスナイト』など人間が自機のシューティングゲームは当時でもある程度存在はしていたが、人間が自機であることに加えジャンプの概念があるシューティングゲームというのは珍しかったと言えるだろう。
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壁などの地形・物体に当たってもダメージやミスにはならないが、池や谷、砂地獄に落ちた場合はミスになる。
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壁とスクロールに挟まれるとライフとショットパワーが最低値まで減少する。
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最大のポイントは隠しアイテムである「リキ」マークを取る事により、プレイヤーがオタスケマン「リキ」に変身する事である。
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リキ状態になると、長州力の得意技である「リキラリアート」で攻撃できるのだが、その「リキラリアート」は画面上にリキの分身を飛ばすというシュールなものである。敵を貫通するとは言え、画面上に2発しか出せないのでたいまつと比較すると必ずしも使いやすいとは言えない部分もある。
評価点
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強制縦スクロールSTGにアクションゲーム的なジャンプの概念を導入した点。
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後述の問題点もあったが、他STGとの差別化には成功していたと言える。
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BGMは数こそ少ないが、各ステージにマッチしており出来は良い。
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作曲は多くのハドソンゲーに楽曲を提供していた国本剛章氏と井上大介氏によるもの。井上氏はステージBGM、国本氏は短いジングルを担当していた。
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難易度は序盤ステージはゆるめで力押しでも進めるが、後半ステージは攻略法をしっかり固めないとクリアできない厳しさがあり、やりごたえは十分にある。
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無限コンティニューが可能なうえ、コンティニュー時の再開場所がステージ内のエリア単位でステージの最初に戻されることがないのでプレイヤーの根気が報われやすい。
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リキ化すると、チビキャラが筋骨隆々の大男になるため作風・絵柄的にリアルではないとはいえ強くなった実感が得られた。攻撃方法も自分自身を飛ばすというものだが、大男の攻撃方法としては違和感がなかった。
問題点
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ハドソンのゲームらしい敵の意地悪な配置、動きもあいまってゲームの難易度は高い。
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ライフ制+残機制を併用しているとは言え、敵や敵の弾に当たると1段階移動速度及び攻撃がパワーダウンしてしまうのでかなり苦しくなる。
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敵編隊も高速で自機に突っ込んでくるタイプや自機の周りを包囲して近づいてくるタイプ、通常のショットでは動きを止めるだけで倒せない敵などが存在し手強い。
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後半は敵の量、敵弾の量、トラップの数もかなり増える。またジャンプの操作性が悪く、落下判定の大きさ、分かりづらさもあって、狭い足場をジャンプして進んでいくシーンはかなり難しい。
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説明書でも「羽を使って飛ばなければクリアするのは難しい」と書かれているくらいだが、Aボタン押しっぱなしで空を飛べるようになるアイテム「羽」マークという救済処置がある。
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ただし、「羽」マークはすべて隠しアイテム扱い(あてずっぽうに撃ちまくって探すが必須)というなかなかに酷い仕様。
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この頃のハドソンは「子供は上達が早くてすぐに解いてしまうから難易度は高い方がいい」という考え方があった。
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CMを見てキャラが巨大化して見た目も強さも手に入れられることを期待してプレーしたら、実はリキ化は隠し要素で見つけられないと巨大化できないままでプレーを進めなければなかったため、CMとのギャップがあった。
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リキ化すると攻撃のインパクトはあるものの、最大2連射しかできないため通常時のたいまつと比べると連射性能に劣る部分がある。
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リキラリアートは全ての敵を一撃で倒せる貫通攻撃のため、連射せずとも敵を蹴散らすには十分である。
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また、リキ化はボス戦に持ち越すことができず解除されてしまう。「リキの強さはハンパじゃない!!」ことをボスに見せつけることはできないのである。
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アイテムが自機のショットを遮断してしまう。
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本作は特定の障害物や隠し場所を撃ってアイテムを出すシステムなのだが、出現後のアイテムにも当たり判定が残るため、自機の全てのショットを遮断してしまう。このせいでショットが満足に敵編隊に届かないという状況が発生しやすい。
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移動速度アップは取得デメリットもあるため、邪魔な存在になりやすい。まさに最大の敵はアイテム。
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説明書記載のコンティニュー方法の記述に不備がある。
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説明書にはゲームオーバー画面で「十字キーとスタートボタンを同時に押す」とあるが、実際は「十字キーのいずれかを押した状態でスタートボタンを押し、スタートボタンを離す」が正しい。
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同時押しの場合、スタートボタンを押すタイミングが十字キーよりも早いとコンティニューに失敗しやすい。
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エンディングが無い。
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ラスボスを倒してもその後何事もなく、すぐ2周目が始まる。苦労してクリアしてもこれでは…
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1987年発売のゲームでエンディング無しはさすがに古臭いと言わざるを得ない。
総評
CMでは大きくプッシュされていたリキ化が実は隠し要素だったという誇大広告な部分はあったものの、ジャンプによる地形の対応方法はこれまでのシューティングゲームとは違うゲーム性を体験できた。
ただ、後半の高難易度に加えて、落下でミスとなる池や穴といった地形の多さや、見た目との実際の判定がわかりにくい面があったことは当時のハドソンらしい作品だった。
余談
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パッケージアートは「魔物ハンター妖子」などで知られる、アートミック所属時代の宮尾岳である。
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なおパッケージに描かれている女性キャラはゲームに登場しない。
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まだ開発中画面すら公開されていなかった頃は『ファミカセ新人類』という仮名で載っていた時期があった。
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まるでディスク時代に反旗を掲げるようなタイトルである。因みにハドソンはディスクシステムのハードそのものを提唱しながらも発売したソフトは『ボンバーマン』を後の1990年4月に書換専用移植として出したのみ。
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ハドソン開発なのに何故か別のメーカーから発売されているが、これは当時の任天堂がファミコンソフトの販売メーカーに対して粗製乱造を防ぐために課していた「年間に販売できるタイトル数に上限を設ける」という制限回避のため。
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発売元の「Rix Soft」とは株式会社リコーの子会社「リコーエレメックス社」がファミリーコンピュータ用半導体を製造していた関係でゲーム事業への本格参入のために立ち上げたゲームレーベルで、両者の利害が一致してこのような形態でのソフト販売がなされることとなった。ただし、ハドソン提供番組等でCMが打たれたり、高橋名人がCMに登場するなど、ハドソン開発であることが半ば明かされていたようなものだった。
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海外版ではタイトルが「Adventures of Dino Riki」となり、ゲーム内容に大きな変更はないが、設定上の主人公の名称が「Dino Riki」変身後の名称が「Macho Ricky」と設定され、タイトル名とは裏腹に長州力もリコーエレメックス社も無関係なハドソンオリジナルソフトとして発売された。
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「Macho Ricky」のグラフィックもハドソンつながりで高橋名人をモデルにしたような風貌のキャラクターに書き換えられている。
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これが『高橋名人の冒険島』にも逆輸入されたか1992年発売の『高橋名人の大冒険島』(SFC)『高橋名人の冒険島III』(FC)ではゲーム中の武器にそれまでの石斧に加えてブーメランが導入された。
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岩崎啓眞氏のブログに関係者の証言が掲載されており、それによれば「新人類」というタイトルは「当時の新人プログラマー中心で制作されたため」、縦スクロールシューティングになったのは「MSXの『魔城伝説』を参考にしたため」とされている。
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リキの「自分の分身を飛ばす」攻撃方法は前年稼働のアーケードSTG『ダーウィン4078』の隠し進化形態「BLACK DEAME」に似ているという指摘がネット上で散見されている。
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説明書の最後には「長州力のワンポイントアドバイス」が記載されている。
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心の中でのツッコミはご自由に。
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やあ、みんな、毎日元気にあそんでいるかい? ちゃんと勉強もしてるかな?
あそんでばかりでも、勉強ばかりでもヒーローにはなれないぞ!
じゃあここで、リキがキミだけにゲームがうまくなる方法をちょっとだけ教えてあげよう。
まず第1は、ファミコンも体力だ、ってこと。
青っちょろいモヤシっ子は、いくらゲームだけやってもダメ。
まず外に出て、サッカーでもやって体力をつけろ。
キャラクターのフットワークもみちがえるように軽くなるぞ。
第2は、ファミコンも集中力だ、ってこと。
だらだらと何時間もやったってうまくはならない。
1日1時間なら1時間、集中してガッととりくめ。
リキは、集中力では誰にもまけない。キミもガンバレよ。
そして最後は、ファミコンも頭だ。
自分の頭を使って、いろんな攻略法や可能性を見つけ出すんだ。
人に頼ったりしないで、自分で考えて、応用力を身につけていこう。
そうすれば、初めてプレイするゲームだって高得点がマークできるようになるぞ。
このアドバイスをしっかり守って、キミもヒーローめざしてガンバレ!!
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最終更新:2024年02月07日 09:06