歌舞伎Z
【かぶきぜっと】
ジャンル
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ベルトスクロールアクション
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対応機種
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アーケード
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販売元
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タイトー
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開発元
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金子製作所
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稼働開始日
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1988年8月
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判定
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バカゲー
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ポイント
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歌舞伎は1面中ボスだけだった ボスは惨殺END 無念
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ストーリー
江戸中期、諸国に名をはせた一人の剣士がいた。その名は紫音。その剣はもはやこの世界に敵無とまでうたわれたが、紫音はさらにその剣に磨きをかけるため、ついに魔界に足を踏み入れた。次々と襲い来る邪悪な魔物たちを相手に修行を続ける紫音、ついにその肉体にも異変が…また魔界の果てに待ちうける者は…
概要
世界最強の剣士・紫音が、力試しに魔界に赴き、刀を武器に襲い掛かってくる妖怪を倒すベルトスクロールアクションゲーム。全5面。
システム
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レバー方向+防御ボタンで構えを変えることができ、↑+防御ボタンで上段の構え、→+防御ボタンで中段の構え、↓+防御ボタンで下段の構えとなる。攻撃ボタンと防御ボタンを同時に押すとジャンプとなる。
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防御は一瞬だけでき、攻撃の防御に成功すると、相手は怯んで無防備な状態になる。また、ボスも同じく防御ができ、攻撃を防御されると紫音は無防備となる。
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ライフ制で、画面左上に表示されているライフが全てなくなるとゲームオーバー。後半面は穴があるが、穴に落ちてもゲームオーバーとなる。
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スコアの概念がなく、ネームエントリーも攻略ステージ数で競うことになる。
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ゲームの難易度としては、道中はかなり短めで簡単だが、2面以降のボス戦はそれなりの難易度。
変な点
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このゲームは一応は「和風剣劇アクション」だが、無駄にグロい描写が多く、「奇ゲー」と呼ぶに相応しい一品である。何故か、得点という概念は存在しない。
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攻撃の効果音はオープニングでも使われた「ブシャ」という切腹の音。ザコ敵は「キヒヒヒヒ」という、やけに不気味な声を出す。
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ボスの死にざまが結構グロイ。首を切られたり、肉が溶けて骨だけになったり、背中が割れたりと、こんな具合。一方、主人公はゲームオーバーになっても、倒れるだけである。
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ゲームオーバー時、真ん中に現れる文字は無念。
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オープニングは「坊主が切腹をし、介錯人(紫音)が刀を振り下ろした瞬間、障子が両側から閉まって血飛沫が『Z』の形に飛ぶ」というもの。
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タイトルの「Z」はおそらくこの演出のためだけに付けられたと思われる。
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オープニングを見ると、歌舞伎というだけにいかにも和風テイストに思える。しかしその後は、歌舞伎要素がほとんど見当たらない展開が待っている。
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1面:背景に鎧武者がいる荒野からスタートする。中ボスは触れるとダメージとなる青い人形を出してくる歌舞伎役者。唯一の歌舞伎要素。ボスは鎧武者で、クリアした時のフィニッシュ絵は血飛沫を出しながら鎧武者の首が宙に舞っているシーン。
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2面:前半は燃え盛る屋敷の中を進み、後半は床が落ち、背景に亡者がいる洞窟を進む。ボスの第1段階は赤い装束を着た忍者だが、第2段階はムカデの骨のようなものに寄生され、より素早い動きとなる。クリアした時のフィニッシュ絵は白骨化して崩れ落ちるシーン。
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3面:再び荒野を進んでいく。ボスの第1段階は「ウボ、ウボ」と叫びながら爆弾を投げてくる巨人。倒れるとその背中を突き破って2人の少女が出てくる。第2段階はこの少女達との戦い。「ソイヤ」と叫びながら素早い動きで襲い掛かってくる。だがこのボスは、何故か回復アイテムをいくつも落としてくれる親切な相手。トドメを刺すと主人公が唐突に雷に打たれる。
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4面:突然、自キャラが変わってしまう。雷と共に主人公が出てくるのだが、何故かコナン・ザ・グレート風の(タイトー発売のゲーム『ラスタンサーガ』の主人公にも似ている)パンツ一丁の姿となっている。ステージも唐突にステージが古代ローマ風となる。ザコ敵として出てくるチェスの駒を倒しながら進んでいく。中ボスは白いチェスの駒の中から出現する騎士。大ボスは絵の中から実体化する巨大な西洋風のフルメイルの騎士。フィニッシュ絵は騎士の鎧がバラバラになった状態。
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5面(最終面):エジプト。中ボスは金槌を持ったデブ。巨大な鬼の顔を出して攻撃してくる。倒すと、ボコボコと膨れ上がり最後は血飛沫と共にぐちゃっと潰れる。最終ボスは4本の腕に剣を持った阿修羅のような敵。倒すと血柱に包まれ消え去る。
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最終ボスを倒すといきなりスタッフロールとなる。主人公やストーリーなど、舞台設定に関しては一切ゲーム上では語られない。
評価点
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シュールすぎる世界観。どの辺りが歌舞伎なのか分からない。全体的にグロ色の強い作りが余計に、シュールさを濃くしている。
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ザコを倒したり防御させる度に、回復アイテムがでる。体力の回復は比較的容易。
問題点
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ジャンプは、「トアー」という叫び声とともに画面上端に姿の一部が隠れるほど高く飛ぶ。そしてジャンプ中は攻撃できない上、空中制御がやりづらい。このため穴を飛び越すときにしか使い道はない。
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上段、中段、下段と構えは3種あるが、下段以外は隙が大きくて全く使えない。さらに下段は喰らい判定も小さくなる。必然的に最初から最後まで下段の構えで進むことになるが、この構えは片膝を地面に付けた状態となる。じゃあ移動速度が遅くなるとのかと言われればそんなことはなく、他の構えと同じ速度で移動できる。問題はその姿がまるでホバー移動か、何かの昆虫の動きのようであり、プレイヤーは終始この奇妙な移動方法を見ながらプレイすることとなる。
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さらに投げや武器を拾うなどの要素もなく、やる事が単調。
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ザコ敵は種類も攻撃方法も乏しい。しかもかなり雑なプレイをしない限り、ダメージを受けないほど攻撃がいい加減。
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ボスの攻略方法もほぼ同じ。どのボスに対しても、攻撃を防御して怯んでいる隙に攻撃。こちらも単調。
総評
ここまで読んでいただければ分かると思うが、タイトルの「歌舞伎」と関連のありそうなキャラはステージ1の中ボスくらいしかいない。
もっとも、「歌舞伎」の語源となった「傾(かぶ)く」は、「常識外れ」や「異様な風体」という意味もあるので、そういう部分においてはあながち間違ってもいない。
余談
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本作はタイトーのロゴ変更と同じ月に発売された。その為か、タイトル画面では旧ロゴが使われているが、インストカードでは新ロゴが採用されている。
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過去に『天空列伝武蔵』というタイトルでメガドライブに移植される予定だったが、音沙汰のないまま発売中止になってしまった。
また、『タイトーメモリーズ』『アーケードアーカイブス』などにも移植されておらず、現在プレイするのは非常に困難な一品である。
最終更新:2023年12月29日 23:53