THE KING OF FIGHTERS '94

【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ないんてぃふぉー】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 アーケード(MVS)
発売・開発元 SNK
稼動開始日 1994年8月25日
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2007年11月6日/926ポイント
アーケードアーカイブス
【PS4】2016年10月27日/823円(税8%込)
【Xbox One】2017年3月9日/823円(税8%込)
【Switch】2017年3月16日/823円(税8%込)
判定 なし
ポイント SNKオールスター対戦と3on3ドリームマッチの原点
システムも同社作品の集大成とアレンジ
キャラ絵の濃さに時代を感じる
KOFシリーズ関連作品リンク

ストーリー

1994年。
KING OF FIGHTERSを開催する。
なお、今大会は特別ルールとして
3人1組のチーム対戦形式にて取り行う。
以上……。 [R]

世界中の格闘家たちに、またもやキング・オブ・ファイターズの招待状が届いた。
しかし差出人は不明。主催者はギースでもクラウザーでもないはずだ。それでは一体だれが?

疑惑と期待の中、格闘界歴戦のスーパースター達が、新たな対戦方式のもと、強力なチームを結成し始めた。
歴史に残る豪華な顔触れがどんな対戦を見せてくれるのか?
人々のボルテージがすでに最高潮に達している中、大会はついに開始の時を迎えようとしている…。


概要

これまでSNKがリリースした人気タイトルのプレイヤーキャラクターが集結し参戦するオールスター・ドリームマッチ対戦格闘ゲーム。
後に年代をまたいだ大型シリーズとなる、SNKを代表するゲームタイトルの記念すべき第1作目である。


参戦チーム

  • 各国を代表する8つのチームにそれぞれメンバーが3人、計24人がプレイヤーキャラクターとなる。メンバーはチームごとに固定でエディット(組み替え)は無し。
    • チームと出典は以下の通り。(本シリーズのオリジナルキャラは太字)
日本最強チーム 日本 草薙京 二階堂紅丸 大門五郎
餓狼伝説チーム イタリア テリー・ボガード アンディ・ボガード ジョー・ヒガシ
龍虎の拳チーム メキシコ リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア タクマ・サカザキ
チーム ブラジル ハイデルン ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル
サイコソルジャーチーム 中国 麻宮アテナ 椎拳崇 鎮元斎
女性格闘家チーム イギリス 不知火舞 キング ユリ・サカザキ
アメリカンスポーツチーム アメリカ ヘビィ・D! ラッキー・グローバー ブライアン・バトラー
キムの教育してやるチーム 韓国 キム・カッファン チャン・コーハン チョイ・ボンゲ
最終ボス ルガール・バーンシュタイン(CPU専用)
  • この頃からすでにステージ背景やバックストーリーはチームごとに用意されていた。
    日本代表チーム、及び同チームの筆頭メンバー「草薙 京」が本シリーズ固有の主人公キャラとなる。
    主人公の京を始め、本作のオリジナルキャラもこの時点で既にそこそこの人数が存在していた。
    • ただし、本作の初期カーソルは1P側が『餓狼』チームに、2P側は『龍虎』チームに合っている。
      これに合わせてか、本作のあらすじも間接的に『餓狼伝説』シリーズの流れを汲んだものに近く、『THE KING OF FIGHTERS』(以下『KOF』)としてのストーリーの大局といったものは、まだはっきりとは存在していなかった。
  • なお、最終戦は本作オリジナルキャラ「ルガール・バーンシュタイン」との3vs1となるが、一人あたりの体力には相応の差がある。

特徴・システムなど

  • 3on3の勝ち抜き戦(=3ラウンド先取)方式。相手を一人KOすると残り時間に比例し若干体力が回復する。相手チームを全員倒したら勝利。
    • 設定により、それまでの格闘ゲームと同じ1on1方式にすることも可能。
    • ドローになった場合は両者とも負け扱いになり、次のメンバーが登場する。
      両チームの3人目がドローになった場合は再び3人目同士の対戦になり、そこでドローになると両チームともゲームオーバーになる。
  • システムもオールスター作品らしく、同社の「『餓狼伝説』+『龍虎の拳』」といった感じであり、これに細かいアレンジと肉付けを行っている。
    • 1ライン制を採っているため、『餓狼』シリーズの「ライン移動」は「攻撃避け(A+B同時押しで、投げ以外に対し長時間全身無敵になる)*1」となり、「ライン飛ばし攻撃」は「ふっとばし攻撃*2」に変更された。
    • 餓狼伝説2』や『餓狼伝説スペシャル』にあった「避け攻撃」こと「スルーアタック」も採用。自分が防御モーションを取っている間にレバー前+AorBと入力すると出る専用の特殊攻撃であり、必殺技でキャンセル可能+上半身無敵効果がつく。ただしスルーアタック自体の攻撃力は0。しかも相手は吹っ飛ばないので、状況によってはスルーアタックの硬直中に逆に攻撃を喰らってしまうこともある。
    • 「パワーゲージ」のシステムは同社の『サムライスピリッツ』のような逆転要素を持つものだが、これに『龍虎』シリーズの気力システムを加えて戦略性や攻めの方向性を付加している。攻撃を食らう・攻撃をガードする・「パワー溜め」(A+B+C長押し)のいずれかで上昇し、相手のパワーゲージは「挑発」(遠距離でレバーニュートラル+C)で減らせる。
      • パワーが最大まで溜まると攻撃力が1.5倍になり、「超必殺技」を使えるようになるが、超必殺技の使用または一定時間(パワー溜めでゲージをMAXにした場合は10秒、それ以外は5秒)で解除されてゲージが0に戻る。
        また、体力が1/4以下になっている時はゲージにかかわらず超必殺技を出せる。これは『餓狼』シリーズのシステムに近い。
      • なお、超必殺技のコマンドはまだインストカードに記載されない隠し技扱いだった。
      • パワーMAXかつ体力が1/4以下だった場合は、超必殺技の攻撃力が1.2倍になる。これは『龍虎』シリーズの隠し必殺技(ゲージを多めに所持かつ体力がギリギリの状態で出せる)に近い。
      • パワーMAX時は先程までに記した通り攻撃力が上がり超必殺技も使えるなどのメリットが目立つ一方で、ヒットバックが通常よりも大きくなるため、通常時に繋がる連続技が繋がらなくなるというデメリットも存在する。しかし逆に、通常ではガードされると反撃される必殺技も、パワーMAX時は間合いが離れるため反撃を受けなくなるというメリットもある。
      • 体力ゲージが0ドットかつパワーMAX時だと、異様に攻撃力が上がる。例を挙げるとチャンの通常投げだけで9割のダメージとなり、ヘビィ・D!の超必殺技「D・クレイジー」に至ってはこの技だけで10割となる。
      • 挑発はレバーやボタン入力でいつでもキャンセルできる。この点は『餓狼』シリーズの挑発に近い。
    • 「ガードキャンセル」は本作では「相手の攻撃を5回以上連続でガードすると、ガード硬直を必殺技でキャンセルできる」という仕様として採用。
    • 格闘ゲーム出身キャラの必殺技のコマンドや性質は原作とほぼ同じだが、変更・削除されたものもある。
      • 「龍虎乱舞」など『龍虎の拳2』で隠し必殺技だったものが超必殺技になり*3、「覇王翔吼拳」など超必殺技だったものが通常必殺技になっている。
      • 本作ではテリーの「ライジングタックル」やキムの「飛燕斬」など無敵必殺技が軒並み弱体化しているが、ゲーメスト増刊のインタビューで「無敵必殺技は強すぎて、ゲームバランスを崩す要因となるので弱くした」とスタッフが語っている。
    • 『餓狼』シリーズ出身キャラはしゃがみ歩き(レバーを前斜め下に入れることでしゃがんだままゆっくり前進)もあるが、あまり使えない。
    • 『龍虎』シリーズ出身キャラは三角跳びが削除されたが、逆に『餓狼』出身の舞は新たに使えるようになった。
    • フロントステップは全キャラが同じ仕様というわけではなく、舞と鎮は転がりモーションとなっている。
      • 浮くタイプのフロントステップは空中扱いのため空中必殺技を出せる。中でもブライアンのスクリューボディプレスは実戦的。
    • 『龍虎』シリーズ出身の女性キャラには脱衣KOがある。残念ながら舞やアテナの服は破けない。
  • 特定の条件下で待機メンバーによる「援護攻撃」(A+B+C)が使える。条件は、「気絶状態」もしくは「相手の掴み技で掴まれてから起き上がるまでの間」であること、待機状態のメンバーが画面内にいること、相手より体力が少ないことの3つ。
    • 援護攻撃はガード可能、ダメージ無し、ヒット時ダウン効果あり、援護に来たメンバーは無敵という性質を持つ。
    • 敗北したメンバーは画面奥でダウンし、援護で呼べなくなる。
    • ラスボスのルガールには待機メンバーがいないため、代わりに背景にいるペットの黒豹が援護攻撃を担当している。
  • コマンド投げを連続技に組み込む事ができる。この仕様は、後のシリーズ作品にも実に様々な形を取って継承されている。
    • といっても本作ではコマンド投げを連続技に組み込むととんでもないことになるのだが…(詳しくは後述)。
    • 本作におけるコマンド投げは、「投げ間合いを含む条件が満たされた場合のみ、コマンド成立と同時に(=0フレームで)発動する必殺技」という概念と思われる。よって、投げスカりの固有モーションはまだ存在しない。
      • このためか、コマンド投げが成立しない状態(相手がガードポーズを取っている、あるいは投げ間合いの外)で通常技をコマンド投げでキャンセルすると、何も技が出ずに通常技のモーションのみがキャンセルされる*4
  • キャラクターごとの性能の強弱はかなり格差が大きい。本作はキャラクター単位ではなくチーム単位での総合戦闘力でバランスを取っている節が大きい。
  • 3ラウンド先取が基本設定であることの兼ね合いのためか、平均的なダメージが対戦格闘ゲームの平均より大きい部類であり、気絶もしやすい。1チャンスからのお手軽コンボで大逆転などが日常茶飯事の大味なバランスである。
  • 連打で出る必殺技(ジョー・ヒガシの爆裂拳など)は、全ての地上通常技をキャンセルして出せる。
  • タクマの強飛燕疾風脚、クラークのバルカンパンチ、ラッキーのサイクロンブレイク等一部の必殺技は空中コンボ判定となっており追撃が可能。

評価点

  • 総勢24名というキャラクター数は当時では抜きん出たラインナップだった。そして2本先取が基本だった格闘ゲームにおいて、3本先取を原則とした(=1クレジットで体力ゲージ3本分戦える)というのもかなりの大盤振る舞いだったといえる。
    • ただしその分一人あたりの体力は低い。また「操作キャラを3人も覚える必要がある」ととらえる事もできるが、『龍虎』チームのように全員コマンド体系が似ているチームや、『怒』チームのように全員溜め系あるいは連打系の簡単なコマンド体系のチームを用意するなどの配慮もあった。
  • キャラは『餓狼』や『龍虎』をはじめとしたSNKの色々なゲームから選出されており、今でこそ定番キャラとなったものの、当時はやはりオールスター色が強く非常に華やかだった。
    • 本作オリジナルキャラの日本チーム、特に草薙京も、そういった面々の中にいても決して埋もれていない。
    • 各キャラクターの原作再現も忘れずに行われている。特に『龍虎』や『餓狼』が出典のキャラクターは、あの「龍虎音」などのヒット音があり、コマンドもほぼ同じですんなり扱えたりとゲーム的な利点もあった。
  • チーム選択制で、チーム内のキャラクターの強弱がはっきりしているため、3人をそれぞれどの順番で戦わせるかが勝敗を左右する駆け引きの一部となっていた。アーケードの格闘ゲームとしては新鮮な感覚だったと言える。

問題点

  • 概要項を見ての通り、『サムライスピリッツ』からの参戦は無し。
    • 世界観の問題や得物の有無によるバランスの問題など、様々な理由が挙げられてはいたものの、結果的に『KOF』シリーズ自体が出典との設定の違いやキャラバランスなどの細かい事をあまり気にしない方向での進化を遂げたため、その判断が正しかったのかどうかは何とも言えない。
    • この点については、続編で『KOF』独自路線のストーリーが展開されるようになるまで、いの一番に指摘される問題となっていた。
    • その後、『XIV』発売前のインタビューにて同作のプロデューサーである小田泰之氏は「ナコルルは開発側でも当時から出したかったという要望はあった。しかし、サムスピ自体KOF'94と同時期の開発であったことに加え、ナコルルがあそこまでの人気キャラになるとは(当時は)誰も予想していなかった。だから、ゲームエンジンの基礎部分に武器やママハハ等といったキャラクターとは別のスプライトを被せる仕組みも組込まれておらず、KOF'95以降もそうした基礎部分を引き継いでいたので、(ナコルルは)出したくても出せなかったというのが実情だった」と述べている。
      • 「ゲーメスト」増刊では攻略ライターの一人が「サムスピのキャラがいない所に、メーカーのうまさを感じられる」と語っていた。
      • 後の『'97』では三誌合同企画として、読者投票による参戦キャラを決める企画が開催されたが、『サムスピ』シリーズからは「世界観を考慮して」という理由で黒子のみがノミネートされた。
      • その後も長らく本編シリーズでのサムスピからの参戦はなく、派生作品である『熱闘KOF'95』や『MI2』などで登場するのみだったが、『XIV』にてようやく本編でナコルルが参戦、さらに『XV』ではDLCながら「サムライチーム」としてチーム単位での参戦を果たした。
  • 小技連打が強力。
    • 強攻撃はヒットバックが大きく連続技をつなげにくいが、逆にしゃがみ弱Kの連打は一発のダメージが馬鹿にならないくせに入る手数が多く気絶まで狙える。
      「めくりで飛び込み→小足連打→気絶」には萎えるプレイヤーも少なくなかった。特に紅丸やキムは小足連打からキャンセル必殺技に繋げられるためこれを露骨に狙うプレイヤーが続出した。
    • もっとも酷いのは鎮。連打が完璧or連射装置付きなら立ち弱P連打だけで気絶→気絶になってしまう。多少連打が甘くても、鎮はジャンプ強Pが2ヒット技のためここから弱P連打に繋げばめくらずとも気絶→気絶。
    • 小技連打とはやや異なるが、アンディは画面端で「しゃがみ弱P→弱斬影拳」×nという永久連続技が存在していた。
  • 一部のコマンドの必殺技が出しにくい。
    • いわゆる「昇龍拳コマンド*5」の必殺技が、京の「百式・鬼焼き」や拳崇の「龍顎砕」など一部の技はレバーを入力した後一旦ニュートラルに戻さないと、必殺技が出ずに通常技が出てしまうという謎の現象が存在する。一方、リョウの「虎咆」などは斜め下で止めてもちゃんと必殺技が出たりする。
    • キングの「トルネードキック」はきちんと斜め下で止めないと死に技の「猛襲脚」が暴発してしまったりする。
  • チームメンバーを自由に選択、結成できない。
    • シリーズで唯一、まだチームエディットができなかった作品だったため、あるキャラが使いたくても同じチームの他の2人は使いたくない、という事態が発生する例も少なからず見られた。
  • CPU戦の高難易度
    • やはりというか、この時期のSNK格ゲー同様の超反応ぶりを有する。
      • 一面から飛び道具の避けやガード固めに対する投げでの崩しなんて当たり前。ガードで反撃ができる局面なら容赦なく攻勢に出てくる。
      • CPUのヘビィ・D!とクラークは、実は連打の利く小技を連打し続けるだけでパーフェクト勝利が取れてしまう(連射装置が無いと手が疲れてしまうが)。
      • ラッキーは隙の小さい飛び道具「デスバウンド」でCPUの攻撃避けを誘って投げてしまうというパターンが有効。またロバートの「飛燕龍神脚」やキムの「飛翔脚」を出し続けるパターンも対空技を持たないCPUには有効である。
    • 中でも本作ボスのルガールは凶悪なボスとして良く名が挙がる。
      • 最初は上着を着た第一形態で、この状態では投げ技と必殺技を持っていない(立ち強Pはガードしても必殺技同様に体力を削られる)。投げ技を持っていない弱点を突いて、飛び込みを誘うor起き上がりに攻撃避けを出して投げ、というパターンにはめられる。
      • 上着を脱いだ第二形態は高性能な技に加えて、この当時のSNKの代名詞とも言える超反応で襲ってくるため倒すのは至難であった。特に彼の必殺技「ジェノサイドカッター」は通常の必殺技でありながら、パワーゲージMAXの状態で2段共に食らうと体力MAXから9割減らされてしまう事から語り草となっている。
      • とはいえ近づいてきたところを投げたり、しゃがみ強Pが横方向に強いキャラ(餓狼チームや怒チームなど)は近づいてきたところにそれを連発するだけでかなり戦える。またパワーゲージ溜め中は反応が鈍くなるため、その隙に乱舞や突進系の(超)必殺技、投げなどが入りやすい。
      • 舞だけは、弱ムササビの舞を出すとジェノサイドカッターの空振りを誘発できるため、すぐに必殺忍蜂を出すとジェノサイドカッターの隙にヒットさせられるというパターンが存在していた。
      • キングでは少し離れてイリュージョンダンスを出すだけで勝ててしまう(技の出だしの回転動作に反応してジェノサイドカッターを空振るので、技後の隙にヒットする)。

その他

  • 何かとバグが多かった。
    • 一定の条件下で投げられ判定が消えてしまい、攻撃避けが万能無敵状態になるといったやや危険なものもある。
    • が、面白いバグも数多く、好意的に受け止められた部分もある。
+ 代表的なバグ
  • 「投げてからダメージが入るまでに自分のキャラを動かせる猶予がある通常投げ」を決め、投げのダメージが入るまでに超必殺技を出すと、その通常投げのダメージと得点が超必殺技のものになる(有名なのはアテナの投げ→シャイニングクリスタルビット。他にも鎮、ブライアン*6、キムも可能だがキムは鳳凰脚の最初の一撃分のダメージしか入らないため逆に攻撃力が減少してしまう(得点は稼げるのだが))。
  • リョウ、キム、ブライアンは特殊なコマンドを入力すると、空中で超必殺技が出せる(後の空中鳳凰脚の元ネタ)。*7
  • 飛び道具を出してから前後にステップをしてからまたすぐに飛び道具を出すと、画面中に2個飛び道具を出せる。
  • ハイデルンのストームブリンガーの一段目の攻撃値と気絶値が、直前の攻撃(または決めた投げ技)のものになる。特に1P側でムーンスラッシャーを空振りした後に決めるとダメージが異常に上がる*8
    • このバグは印象的だったためか、『'95』以降でも再現されている*9。ちなみにこの数値はタイトル画面を表示しない限り初期化されないため、CPUルガールを含む全キャラの攻撃でダメージが変化する。
  • ハイデルンではもう一つ、1P側のムーンスラッシャーが相手の攻撃と相打ちになると、ダメージが激増する。これも『'96』以降で、カウンターダメージが大幅に増加するという形で再現されている。
  • ジャンプ攻撃ヒットまたは通常技キャンセルからのコマンド投げの連続技を決めた後、ダウンした相手に前ステップ等で近づいてコマンド投げを入力すると、ダウン中の相手を投げてしまえる。投げ硬直の短い大門がやりやすく、凶悪な連続技として有名*10
  • 弱ボタンで入力した技のコマンドを、発動中にもう一度強で入れなおすと、弱の性能で発動し強の効果を持つようになる。その逆もできる。今作で実戦的だったのはアテナのフェニックスアロー切り替え(スキの無い弱で出し、ヒット時のみダウンを奪える強に切り替える)ぐらいだが、次回作『'95』で猛威を振るうことに。
  • グラフィックはそれまでの原色に近い色使いと丸みを帯びたSNK作品と異彩を放ち、シャープなライン・ドットの組み合わせと淡い色使いによる濃い画風になっている。
    • というのも、本シリーズのドッターはゲーム事業を撤退していたアイレムからの移籍組だったため。当時業界最高峰と言われていた彼らは、このシリーズの他にも『メタルスラッグシリーズ』を手掛けることになる。
    • キャラ人数を重視する作品だけに一人一人のモーションパターンの数量は餓狼伝説などには劣るため、必殺技・超必殺技の動きは粗く見える場合が多かった。それでも本作のキャラグラフィックにおける評価は、後作での評価のハードルを図らずも引き上げてしまうほど高いものとなった。
  • 一部のチームの代表国の割り当てが妙なことになっている。
    • 日本、アメリカ、韓国は問題なく、3人中2人が出身国として該当する中国や、その国の傭兵部隊という括りで当てはめたブラジルもまだ言い訳が立つ。しかし、それ以外のチームは割り当てられた代表国の出身者が一人もいないため、無理矢理当てはめた感が強い。
      • イタリア代表(餓狼伝説チーム)は『餓狼伝説シリーズ』でアンディがイタリア代表にさせられていたため*11、それを流用した可能性がある。もっとも、アンディはアメリカ人であり、他の2人もアメリカ人と日本人である。
      • メキシコ代表(龍虎の拳チーム)は2人が日本人で1人がイタリア人だが、「極限流道場の支部がメキシコにある」という理由でメキシコ代表扱いになっている*12
      • イギリス代表(女性格闘家チーム)は2人が日本人で1人がフランス人であるが、キングの経営するバー「イリュージョン」がイギリスに支店を出しており、『KOF』シリーズでのキングは主にそこで活動しているというやや強引な設定。
      • しかしいずれも各国代表と言うにはこじつけ感が強い。イタリア人のロバートがいる龍虎の拳チームをイタリア代表に出来なかったものだろうか。
        なおイギリスチームについては企画段階ではキング、ビッグ・ベア(ライデン)、ビリー・カーンとなる予定であり、そのうちビリーがイギリス人だったのでその名残とも考えられる*13
      • 一応設定上では、そもそも招待状が個人単位で届く事から、その人物が指名したメンバーであれば経緯や招待状の有無も問われない様子であるため、メンバーの事情などで成行きに代表となってしまったとも考えられる。
      • ゲーメストムックの開発者インタビューでは、代表国の割り当てについてはスタッフが「営業的な兼ね合いで決定した」と語っていた。
    • 次回作以降は、登場キャラクターの増加に伴い、国という括りで分けることが困難になったため、主人公チーム(日本)とキムチーム(韓国)以外は代表国の割り当てがなくなった。『XIV』では本作とは異なるメンバーで中国チームとメキシコチームが結成された。

総評

「豪華なのか地味なのかわからない」この中途半端さが本作の泣き所である。
SNKゲームのラインナップは超能力や銃火器の飛び交う破天荒な世界観が当たり前のようにあったが、一堂に会するにあたって非日常性がやや薄れたことも重なり、1作内へのすり合わせの結果過去作から参戦してきたキャラたちが良くも悪くも大人しくなってしまった。

本作の新キャラクターたちもまた確かに魅力的だった。そこに加えて、同社のスターキャラ同士が同じ土俵に上がり、格闘ゲームのチーム戦を演じる。
「サムスピもあれば…」との声も確かにあるが、それを差し引いてもお祭り気分は申し分ない。

サムスピキャラ以外に足りないものを挙げるなら、自由にチームを組める自由度と、大味なバランスの改善、またはそれを吹き飛ばすほどの華やかな本作ならではの独自要素だろう。
後者の課題をクリアし、『KOF』がシリーズとして花を開かせるには、来年の発表までもう少し時を待つ必要があったようだ。


その後の展開

  • 続編の『'95』が、ほぼ1年後である翌年の夏にリリースされた。以降、『KOF』シリーズは毎年夏にリリースされていき、『2001』で一旦様々な諸事情(詳しくは前述にリンクした作品の紹介ページを参照)により時期こそズレが生じたものの年号通りの年内にリリース、その後も『2003』まで毎年、年号通りの年内にはリリースされ続けたが、2004年に本編のリリースがついに途切れたため、翌年2005年リリースの『XI』以降はナンバリング形式に移行している。
  • '97』では、本作から受け継がれたシステムをベースにキャラクターを操作する「EXTRAモード」が実装され、『'96』風+ストックパワーゲージの「ADVANCEDモード」の2種類から選択できる。

余談

  • 「元々はオリジナルチームとオリジナルキャラがメインのゲームになるはずだったが、(チームバトルの格闘ゲームとして成り立つ分の)キャラ数が多すぎた理由で既存キャラを使う事になった」というのが本作のできる発端だったらしい。
    言われてみると主人公が1P・2Pの2人というゲームが多い以上、作品ごとにチームを組むなら2人1組が自然なのに3人1組で、なおかつ『サイコソルジャー』や『怒』はオリジナルキャラを追加して無理やり3人組にしているなど、原作ありきでは不自然な構成が多い。*14
    • 以前『餓狼伝説スペシャル』に『龍虎の拳』の主人公が隠しボスとして登場するといった夢の競演もあり、この頃から『餓狼』のキャラと『龍虎』のキャラで対戦したいという要望は少なからずあったが、本作がそれに応えて生まれたわけではなく偶然の一致なのである。
    • そして、初期構想では「リーダー+似た性能の二人」というシフトが中心になる予定だった。
      • リーダーの存在が大きい韓国チームやサイコソルジャーチーム、他それぞれ必殺技性能やコマンドの傾向が似通った龍虎・怒チームにもその片鱗が見て取れる。
  • 本作から約11年後に、本作と同じSNK及び(同社や版権を所有しているメーカーの)ネオジオオールスター・ドリームマッチ路線の対戦格闘ゲーム『ネオジオバトルコロシアム』が発売・稼働開始した。
    こちらは前述で記した通り当初はSNKオールスター路線として企画されてはいなかったKOFと違い、最初からオールスター路線として企画されていたこともあり、本作では出場できなかった『サムライスピリッツ』シリーズのキャラも多く参戦、他にも『月華の剣士』シリーズなどのKOFシリーズに参戦したことがない格闘ゲームのキャラや、『キング・オブ・ザ・モンスターズ』シリーズ、『メタルスラッグ』シリーズなど格闘ゲーム以外のジャンルのキャラ達に加えてさらに、当時既にADKの版権を所有していたこともあり『ワールドヒーローズ』シリーズ、『痛快GANGAN行進曲』といったADK作品のゲームのキャラ達も参戦、一堂に会している。
    • その後、『KOF』自体でも『XIV』でようやく『サムスピ』出典キャラの本編参戦が叶った。
    • 格闘ゲーム以外では、後にリリースされた携帯アプリ向け恋愛ゲーム『デイズ オブ メモリーズ』シリーズでも『KOF』『餓狼』の現代勢と『サムスピ』『月華』の江戸勢の競演が実現した。「やっぱり“夢の競演”といったらこのくらい大胆な方がいいか」という路線に考え直したという事だろうか。
      • 『DOM』については後にニンテンドーDSにも移植されている。
  • 発売・稼働当時に放映された本作のCMは、本作がオールスター格闘ゲームというセールスポイントを前面に出した内容となっており、「餓狼とか、龍虎とか....」「その噂は本当なのか!?SNK歴代キャラクター達が集結!!?」などと如何にもそのセールスポイントを強調した台詞が飛び交っていた*15
  • 原作では『龍虎』が『餓狼』のおよそ10年前という設定だったが、本作では両作品のキャラクターが同時代の人物として大会に参加しているなど、原作とは似て非なるパラレルワールドの設定となっている。*16
    • 元々は「夢の共演」であり原作の年代差などは考慮せずに制作されていたのだが、『KOF』が人気となりシリーズ化されたことで独自のストーリーを展開していくことになり、各キャラクターにも原作に無い『KOF』独自設定が付加されていった。
      • 本作時点でも、オリジナルキャラや時代の合わないキャラに対して原作を持つキャラが面識を持っていたりする。
    • その後各原作が事実上終了して『KOF』だけが継続した結果、『KOF』でのキャラ付けの方が有名になってしまうという逆転現象も起きている。
  • 「ゲーメスト」において1994年のゲーメスト大賞を受賞している。
    • ちなみにゲーメストムックではやはり通常運転レベルともいうべき誤植が多く、本作に関するものでは「ジャンニーキックプ」「ハキデるン」「シマイニングクリスタルビット」「ブライマン」などが存在している。
      • しかもハイデルンの名前に至っては、(ムックを含めた)ゲーメスト誌上において、「ハキデるン」「ハイデルソン」「ハンデルン」と計3回も誤植されていた。ハイデルンが何をしたというのだ。
  • 実は草薙京は開発の初期段階では暴走族のヘッドで「霧島 翔」と呼ばれていた*17。紆余屈折を経て改造学ラン姿の現行デザインに変更され、更に開発終盤になってからキャラ名が「草薙 京」に変更されて「ヤマタノオロチを退治したという草薙流古武術の使い手で留年高校生」という設定も追加された*18
    • もし霧島翔のまま主人公として登場していたら、『KOF』シリーズの展開がどうなっていたか気になるところではある。その霧島翔もDC版『'99』のエクストラストライカー、『2000』の京のアナザーストライカーとしてゲームに登場している*19
  • チョイ・ボンゲは本作の発表当初のイラストでは縞模様のシャツを着用していたが(ゲーメストムックではこのイラストが掲載されている)、元ネタである『エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガーに酷似し過ぎて海外スタッフからクレームが来たため、半袖の緑Tシャツにサスペンダー付ズボンという服装に変えられている。
    • その割にはプロフィールの「大切なもの」の項目では、「フレディのツメを真似て自分で作ったツメ」と紹介されているが。
  • 本作のタイトルは『餓狼伝説』および『龍虎の拳2』でギースが主催していた格闘大会の名前に由来する。(海外版『餓狼伝説』のサブタイトルでもある)
    • ただしそれら由来元は、「KING OF THE FIGHTERS」とTHEの位置が異なっていたり、「KING OF FIGHTERS」とTHEが冠されてすらいなかったりなどと、表記にブレも見られた。
    • 本作の少し後の1995年2月1日に稼働開始した、ザウルス製作のSNKクロスオーバー作品『クイズ キング・オブ・ファイターズ』のタイトルも同じ由来を持つが、本作との関わりは薄い。*20
    • 他にも、本作との関係性は薄いとはいえ、同社SNKには『キング・オブ・ザ・モンスターズ』シリーズなるアクションゲームや、『リーグボウリング』というボウリングゲームの作中で「KING OF LANE」と表記された床や看板が出てきたりなど、「KING OF(キング・オブ)」という表記や表現を好んでいた傾向が見られた。
  • 第一作目当時のタイトルの略称はまだ『KOF』が定着していなかったが、『KOF』の略称は既にゲーム内に登場していた(アメリカチームのステージ背景に、『KOF』のロゴが入った旗が存在する)。
    • その後『'96』で劇中の大会ロゴマークに『KOF』と描かれていたり、OPなどのデモにその略称が登場したりと、公式でも割と速い段階で定着させていた。
  • ラスボスのルガール・バーンシュタインは『餓狼伝説』シリーズのボスキャラであるギースの「烈風拳」とクラウザーの「カイザーウェーブ」、また本作の麻宮アテナの「サイコリフレクター」に似た「ダークバリア」を使うのだが、
    これは企画当初の「プレイヤーの技を見ただけで完全に使いこなしてしまう」という設定が実現できなかったため、その名残として「優れていると思った技をなんでも取り入れる」という形として既存の必殺技などを使うようになった、ということである。
  • 勝利メッセージ画面のバストアップイラストのうち、餓狼・龍虎勢のうち3名(アンディ、ジョー、ユリ)については、各種出典の公式イラストからのトレスだったりする。
  • 本作が漫画化された作品が真行寺たつや氏によって描かれ、この年の12月に創刊された角川書店の月刊漫画誌『少年エース』の創刊号から連載された。
    • 後に全4巻で単行本化もされている。

家庭用移植

  • 1994年10月1日にネオジオROM版が、同年11月2日にネオジオCD版が発売された(発売元は共にSNK)。CD版は激長ロードがアレな事とアレンジBGMに変更されている、パワー溜めのボイスが通常の攻撃時のボイスに差し替えられている事を除けば、それ以外は両者共にほぼ完全移植となっている。なおCD版のロードは後発の『KOF』と違い、試合開始前に6人分のキャラをロードするため試合中のロードが無い(その分ロード中は極長だが)。
  • ネオジオ以外のプラットフォームにおいてはしばらくの間は一切移植がされなかった*21が、2004年12月28日に10年ぶりのリメイク移植『THE KING OF FIGHTERS '94 RE-BOUT』が発売された(詳しくは下記にて)。
    • 2007年11月6日からネオジオROM版がWiiのバーチャルコンソールにて配信されている。要900Wiiポイント。
    • 2010年12月22日からプレイステーション・ポータブル/同3のネオジオステーションにもネオジオROM版基準が配信されていたが、2016年7月27日を以て本作を含めた全タイトルが配信終了となった。要700円(PSP)/要900円(PS3)。
      • PS3版に限りネット対戦も可能であった。
    • 2016年10月27日、PS4にてMVS版が配信開始。ハムスターが展開する『アーケードアーカイブス』から派生した『アケアカNEOGEO』の第一弾としてリリースされた。
    • 2017年3月16日、Nintendo Switchの方でもハムスターよりアケアカNEOGEOの一つとして配信が開始された。こちらはSwitch発売日である3月3日に同時に配信されていた『'98』より、ほんのわずかに遅れての配信となった。
      • ネオジオROM版ではなくMVS版の完全移植はこれが史上初となる。クレジット投入やレベル表記なども再現、他の配信タイトル同様に5分間でどれだけスコアを稼げるか競う「キャラバンモード」も搭載されている。ただしサービスの主旨からか、残念ながらネット対戦は搭載されていない。*22
  • また、2009年5月21日に発売されたオムニバス集『SNK ARCADE CLASSICS Vol.1』、及び2010年6月24日に発売された『THE KING OF FIGHTERS PORTABLE'94~'98 Chapter of Orochi』(発売元は共にSNKプレイモア)にも本作が収録されている。

THE KING OF FIGHTERS '94 RE-BOUT

【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ないんてぃふぉー りばうと】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 SNKプレイモア
発売日 2004年12月28日
判定 なし
ポイント 初のネオジオ関連以外の『'94』移植
リメイクと原作移植の二本立て

概要(RE-BOUT)

  • 『'94』(以下、主に「原作」と表記)のリメイク移植であり、ネオジオ以外では初の家庭用移植でもある。KOFシリーズ10周年記念作の一つとして発売された*23
    • 当時、家庭用ゲーム機が16ビット機から32ビット機への移行期であった94年から95年にかけての約一年ほど、SNK・ADKのネオジオ作品が他社のハードへの移植作を取りやめていた時期があった*24
      セガと契約し初めて自社制作及び発売で他社ハードに移植したネオジオ作品が『'95』であり、PSにもソフトを提供するようになり以後はその空白期間の作品も徐々に移植されるようになっていったが、年一本ペースで発売される『KOF』(及び『サムスピ』)に関しては最新作を移植するのが精いっぱい(アーケード→ネオジオ→ネオジオCD→他機種という順だがその間隔は相当な短さ)であり、『'94』に関しては長い間他社ハードへの移植が行われる機会が与えられなかった。
    • 然るに、本作のリリースは隔年リリースに変わった後のシリーズの10周年を記念した企画として行われたものであり、ハードはPS2になってからであった。
  • ドットをハイレゾ化し背景を3D化するなどグラフィックをPS2相当にすべてリニューアルし調整を加えたリメイクと、原則として原作のネオジオROM版をベタ移植したオリジナルの2本が収録されている。
    • リメイク版は原作では不可能だったチームエディットが可能となり、原作では主人公チーム使用時限定のデモに登場していたが、プレイアブルとしては本来は『'95』から登場する草薙柴舟が新たに追加された。また、原作ではCPU専用ボスだったルガール・バーンシュタインも使用可能になっている。
      また、リメイクといっても、共通システムは若干の変更が行われているだけで(詳しくは次項「変更点」に記述)、操作性と共に原型・根本は変わっておらず、既存のキャラの技構成も一切変更されていない。原作に存在していたバグについては危険性の高いものは削除する一方、プレイの幅を広げたり面白みがあるものについては残されているなど、完全に作り変えてしまうのではなく、あくまで『'94』の雰囲気を残したままのリメイクとなっている。勿論?脱衣KOも健在。ついでに草薙柴舟本人が操作キャラとして新たに追加されたにもかかわらず、主人公チームのデモでも台詞テキストにおいて表示される人物名が「父」なのもそのまま。
  • 初回限定盤はネオジオCD付属のパッドをPS2用にボタンを増やすなどリファインしたコントローラー『ネオジオパッド2』と記念に作成されたゲーメストムックが付属していた。ちなみにこのネオジオパッド2は後に単品販売は行われていない*25
  • マルチマッチングBB対応第一弾タイトルであり、ネット対戦可能だった。後のNEOGEOオンラインコレクションシリーズの前身とも言える。
  • OPも原作のドット絵のものではなく新規アニメが作成されている。キャラクターデザインは原作当時のキャラクターイラストの濃い画風が忠実に再現されており、2004年発売の作品とは思えないほどに90年代(見方によっては80年代とも)アニメの雰囲気を醸し出している。

変更点(RE-BOUT)

追加要素やグラフィックの画風の変更などは前項で記しているため、主にシステム面における原作こと『'94』からの変更点を以下に記す。

  • パワーゲージの場所が変更された。
    • 原作は現在のシリーズと同様に*26画面の最下段に表示されていたが、本作は体力ゲージの横のキャラアイコン(円形)の周囲を囲うように曲線状で表示されている。
    • パワーMAXになると、MAX状態終了までの間、キャラアイコンが「MAX」のテロップ表示に置き換わる。
  • 背景に待機中/倒された控えメンバーが表示されなくなった。
    • これに伴い、援護攻撃で援護してくれるキャラクターは、ネスツ編のストライカーの如く、画面外から飛び出して登場する仕様に変更された。
    • 画面内に映っていなくても援護できるようになったため、使用可能範囲自体も大幅に拡大されており、ほぼステージ中央から分かたれる形で、左側エリアが1P側、右側エリアが2P側の範囲となっている。
      • なお、設定で背景をリメイクからオリジナルに戻した場合は控えメンバーが表示される形式に戻り、使用可能範囲も原作通りに戻る。
    • 続編『'95』以降のようなキャラ相関による相性は一切存在しないため、使用条件(控えメンバーが残っており、相手より体力が少ない状態で気絶or掴まれる)さえ満たせば柴舟やルガールなども含め100%援護を行ってくれる。
  • パワーMAX中にガードキャンセルが使用可能になった。
    • システムにおける一番大きな変更点。これは続編『'95』で採用されているシステムそのままで、そちらで対戦バランスを崩壊させたシステム(詳しくは『'95』のページを参照)をそのまま導入してしまっていることに首を傾げてしまうかもしれないが、これは恐らくリメイク版でも健在の脅威的な小足・小技連打への対抗手段として、あるいは初心者の敷居を下げるために導入したものと思われる。
    • 使用してもMAX状態を打ち切らずMAX状態時間内なら使い放題なのも『'95』と同様。強いて違いを挙げるなら、MAX状態の有効時間がそちらより短い(これは原作も同様)ことくらい。
  • 連続技を決めた際にヒット数がカウントされて表示されるようになった。また、前述のガードキャンセル使用時にも同じ場所にテロップが表示される。
  • 攻撃避け使用時に画面が奥に若干動くようになった。背景の3D化を活かした演出。
  • 超必殺技を使用した時に画面が停止して暗転するようになった。
    • 本シリーズにおいては本来は『'97』以降で導入された演出。
  • ルガールの必殺技、「ゴッドプレス」が超必殺技に変更された。
    • 原作ではボスのルガールのみ超必殺技がなかったが、リメイク版では原作で必殺技の一つだったゴッドプレスが超必殺技に変更される形で搭載された。
      • これは、本来原作をそのまま再現しているはずのネオジオモードでも同様に改変されて同様の仕様となっている。
      • 後の『'95』以降のルガールの新規超必殺技であるギガンティックプレッシャー*27に似せての選出と思われる。

評価点(RE-BOUT)

  • 良くも悪くも原作『'94』と殆ど変わらない操作性や感覚、システム、雰囲気。
    • まるごと作り変えてバランスも根底から調整するのではなく、あくまでも当時の原作を出来るだけそのまま再現することに重点を置いており、原作を遊んでいた人へのファンサービスとしては及第点。
    • また全て原作のままというわけでもなく、例えば対人戦でのみ気絶耐久値を原作の1.5倍に引き上げ気絶しにくくなる(CPU戦はそのまま)など、バランスを配慮した面も見られる。
    • 原型を極力守りつつも、対戦に支障をきたす危険なバグの除去を行っている。
      • 例として空中で非ダウン技を食らうと投げられ判定が無くなるバグなど、一部バグが修正されている。
      • 一方で空中超必殺技バグなど面白味のあるバグはそのまま残っている。
  • グラフィックもハイレゾ化や背景の3D化を行いつつも、当時の画風をそのまま残している。
    • 新規アニメのOPムービーに至っては最早、あえて時代を逆行しているようにも見える
    • リメイク背景は原作から一新されており、今後のシリーズに登場することになる者も含む歴代SNKキャラクター達が多数登場している。
      • また、設定でオリジナル版の背景に戻すことも可能。

賛否両論点(RE-BOUT)

  • 原型を尊重しているのは評価点でもあるのだが、それと同時に、「シリーズや格闘ゲームが発展した今やると技もキャラも少なくて物足りない」/「小足・小技連打が脅威でキャラ差が目立っているなど大味な対戦バランスは変わっていない」といった欠点も同時に抱えて/引き継いでしまっている。
    • とはいえ、これは元々オリジナルを尊重し、原型を出来るだけ残して先の時代にも遊べる出来にすることに重点を置いて作られたリメイクであるが故にコンセプトを大幅に逸脱するわけにもいかなかったことは察しがつく。逆にそこが(主に当時のファンに)嬉しいという意見もあるので、一概に問題点とは言えない。
    • また、小足・小技連打が脅威なのはそのままな一方で、それへの対抗手段として「パワーMAX中はガードキャンセル使い放題」というシステムを設けたのは、初心者の敷居を低くもした純粋な評価点であり、原型を留める形で調整を施したともとれる。
  • チームエディット導入
    • システム等はほぼ原作とほぼ変わらない状態で新たにチームエディットを導入した結果、『'95』以降と同様に強いキャラクターのみで固めるチームが組めるようになった。
    • 原作ではチーム固定だったからこそのバランスもあったのだが、今回はそれが崩壊してしまった形にもなっている。追加キャラクターの柴舟とルガールが揃って強キャラなのもそれに拍車をかけている。
    • もちろん好きにチームを組めるというのはメリットも大きく、原作に無い新たな要素かつ後続のシリーズでは当然のシステムでもあるため、本作独自の売りであるとも言える。
  • 攻撃避けで背景まで動く演出がやや過剰
    • 確かに3D化を活かした演出ではあるのだが、いちいち避ける度に背景全体が動いてしまうため、実際の対戦ではかなり気になるものとなってしまっている。

問題点(RE-BOUT)

  • デザイン変更されたパワーゲージが見づらく、視認しにくい
    • 変更点で述べたようにパワーゲージが体力ゲージ横の円形のキャラアイコンを囲うように曲線状になって配置されたのだが、これが元々小さいキャラアイコンに合わせたサイズである上に小さくて細く、しかも最上段の左右端それぞれに配置され、デザイン自体も湾曲した独特の形状になっているせいで、極めて見づらいものになってしまっている。テストプレイで気付きそうな不便な点だと思うのだが……。
  • 追加されたエディットチーム用のエンディングが非常に簡素
    • エディットチーム用の汎用エンディングが新たに追加されたのだが、基本的なストーリーをなぞるだけで、特にエピローグも無く尻切れトンボ気味で終了となる。
      • 確かに元々の『'94』には本来存在しなかったものではあるが、『'95』以降のエディットチーム用の汎用エンディングと比較してもあまりにシンプルすぎる内容になっている。
    • 柴舟やルガールが新たに使えるようになったものの、彼らを使用した場合の特殊エンディング等も特に無しで、上記の簡素なエディットチーム扱いとなる。

総評(RE-BOUT)

『'94』を現代風に蘇らせたリメイク作品。
よくも悪くも原作の持ち味がそのまま残っており、原型を尊重したリメイクとしては合格と言える。

+ タグ編集
  • タグ:
  • AC
  • SNK
  • FTG
  • 1994年
  • ザキングオブファイターズ
  • 2D格闘

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月13日 23:37
添付ファイル

*1 実は本作よりも先に『餓狼2』でCPU専用キャラだったローレンス・ブラッドが使用していた。

*2 C+D同時押しで、ダウンを奪える攻撃を出す。空中でも出せるが、本作ではジャンプDとグラフィック・判定を共用

*3 ただし、キングの超必殺技は「サプライズローズ」ではなくオリジナル技の「イリュージョンダンス」になっている。サプライズローズは後に『'95』で通常必殺技として実装された。

*4 『サムライスピリッツ』の通称「モズキャン」と同じ原理。

*5 テンキーで「623+ボタン」or「421+ボタン」のコマンド。

*6 ブライアンのみ投げ→ビッグバンタックルで勝利すると何故か体力が回復せず、そのまま次の対戦相手と戦うことになってしまう。

*7 パワーMAXが切れる瞬間に超必殺技を出すと必殺技に化けるバグを併用すると、飛燕疾風脚・半月斬・ハイパータックルが空中で出る。

*8 ヒット・ガードさせると補正の影響で攻撃値が半減するため、空振りの方がダメージが高くなる。

*9 『'98』以降はムーンスラッシャーの空振りでのみダメージが増える。

*10 クラークやラルフでも同じ事は可能だがタイミングはかなりシビア。また、ハイデルンも通常技キャンセルストームブリンガーの最中に溜めを作り、ネックローリングでダウンした相手に近づいて再びストームブリンガーで投げることが可能。

*11 ホームステージがイタリアであり、BGMをそれを意識してか「パスタ」という曲名であった。

*12 ちなみに新声社発行の半公式の謎本では、メキシコ支部は極限流道場初の(海外)支部であり、「メキシコの風土を好ましく思ったタクマが海外進出の足掛かりとしてメキシコを選んだ」と語られている。

*13 ビリーはその後次回作の『'95』で参戦を果たし、以降も度々登場しているが、ビッグ・ベア(ライデン)は長らく参戦の機会を得られず、『2003』でライデンとして登場する予定があったものの最終的にグリフォンマスクに差し替えられることになり、その後『XⅡ』と『XⅢ』でライデンとして晴れて参戦を果たした。

*14 『餓狼伝説』のみ主人公が3人だったが、キムまで入れるなら2人づつ2チームにすればいいだけの話である。

*15 また、SNKがネオジオのキャッチコピーとして当時展開していた「100メガショック」はこのCMで使われたのが最後となった。

*16 この余波で一番時代が動かされたのが『怒』チームのラルフで、FCの『グレートタンク』が1944年(箱の裏に明記)が舞台でこの時に歴戦の勇士だったことを考えると20世紀初め頃の生まれのはずだが、KOFでは39歳の壮年の男として登場している。

*17 更にその前は「良牙」だったという。

*18 資料集に記載されている本作のOPデモの絵コンテの指示では、現在の京のデザインとなった主人公を「ショウ」と記載している。

*19 それら出演作では、霧島翔及び草薙京の声優の候補の1人として挙がっていた岩田光央氏が担当。

*20 一応、『QKOF』の舞のエンディングが本作『KOF'94』へと続く内容になっている。

*21 理由の一つに、本作発売直後にSNKがMVS及びネオジオゲームの他機種への移植を取りやめることを発表したことがある。これは、ハイエンド機であるネオジオのいわば廉価版であるネオジオCDを、SSやPSのライバル機のような位置づけとして構え、それまでのネオジオゲームを自社独占とし、いわゆる32ビット機戦争に参戦していた経緯がある。しかしアクションゲームがメインなのに読み込み時間が長いネオジオCDの売れ行きは芳しくなく、この発表から約1年後にセガとクロスライセンスを結んでSSに参入、後にPSにも参入した。しかし本作と『真サムライスピリッツ』は時期の都合から、長らくネオジオ以外には移植されなかった。

*22 元々アーケードアーカイブスは「当時のタイトルを忠実に再現すること」をコンセプトにしていることから、付加要素については最小限に留めている。

*23 ジャケットやOPムービーの最初などに、「KOF10周年アニバーサリー」のロゴマークが描かれている。描かれているキャラは当然ながら初代主人公でありシリーズの看板・皆勤賞キャラの草薙京。

*24 理由はネオジオCDを当時発売した直後であったため。

*25 一方で後に、ネオジオROM本体に付属、ネオジオCDでも使用できた「ネオジオスティック」が「ネオジオスティック2(及び3)」の名で、PS2用コントローラーとしてリメイク、発売された。単品販売の他PS2版『餓狼MOW』と『KOFオロチ編』それぞれの限定版にも付属(どちらも限定版オリジナルのそれぞれ異なる限定デザイン)。

*26 最下段にストライカーボムが表示されていた代わりにゲージが体力の真下に表示されていた『'99』と『2000』のみ例外。

*27 ゴッドプレスの強化版でもある。