青春クイズ カラフルハイスクール

【せいしゅんくいずからふるはいすくーる】

ジャンル クイズ
対応機種 アーケード (SYSTEM10)
販売元 ナムコ
開発元 エイティング
稼動開始日 2003年
判定 なし
ポイント 『アイマス』のご先祖様


概要

クイズゲームと恋愛シミュレーションを組み合わせ、それをアーケード市場で出したギャルゲー。略称は『カラハイ』。
同コンセプトはカプコンの『クイズなないろDREAMS 虹色町の奇跡』があるため、全く新しいわけではない。
アーケードでギャルゲー、キャラクターデザインは窪岡俊之氏といったことから、『アイドルマスター』のご先祖様と呼ばれることも。


開発経緯

  • 1998年のAMショーで初めて出品された際のタイトル名は『恋愛QUIZ ハイスクールエンジェル』で、元々は『子育てクイズマイエンジェル』の派生の新作として雑誌で紹介されていた。
    • しかし、その後数年の間全く音沙汰が無く、凍結状態だったものが突如復活したいわくつきのタイトルが本作であり*1、その時の生産に使われる予定だったパーツ類は『鉄拳タッグトーナメント』に流用されてしまったと言われている*2
    • 一度開発が凍結された影響からか、開発もエイティングに変わった上、キャラクター等の素材を流用した上で作り直しとなり、使用基板もPS互換基板でありながら2Dゲームに特化したSYSTEM12ベースの廉価版にあたるSYSTEM10*3に変更された。

システム

  • 主人公は高校三年生。卒業までにヒロイン4人のうち、1人と恋人関係になることが目的。
    • 1ヶ月ごとの進行で、1月が2パートに分かれており、前半は学校パート、後半はデートパートとなる。
    • 意中のヒロインを探す→意中とは限らないが誰かが登場しクイズ→遭遇したキャラとの会話選択…を繰り返すことでゲームが進行する。
    • クイズに正解すること、及びヒロインとの会話で適切な選択を選ぶことにより、運命のハート(好感度)を高めていく(会話で誤るとハートが下落する)。問題ジャンルの引きが悪かったり、狙った子に会えなかったりでいるとゲームの行方は怪しいことになる。
      デートパートの会話は冒頭とクイズ後の2回あり、冒頭の会話では正しい選択をするとクイズの選択肢が減ったり制限時間が延びたりする恩恵を得られる*4
      好感度が高いほど意中のヒロインと会いやすい仕様のため、特に序盤戦はジレンマに悩まされる。
      • 出題してくるヒロインの好感度が変わるわけではないが、出題ヒロインと出ている問題のジャンルが一致しているときに正解すると相手がオーバーリアクションで喜ぶ。
      • クイズの回答速度に応じて、好感度の上昇値が変化する。
        また『マイエンジェル』と違って出題中にヒロインのアイコンが画面右上に表示されており、問題に対応したアイコンは顔が表示されるようになっている。
        このため「どの問題が誰対応かわからない」…というような事態をある程度防げる。
    • 各月の一つのイベント(クイズ)をクリアしたり、コンティニューをすると「プレゼント」がストックされる。プレゼントはクイズ中にスタートボタンを押すと使用することができ、以下の効果がランダムで現れる。最大ストック数は3。試験や最終ステージなど、使えなくなる場面もある。
      • ライフが1回復する。本作でライフを回復できるのはこの時のみ。ただしかなりレアな効果で、なかなか引かない。ライフが残り1の時は多少確率が上がるようだ。
      • 出題されている問題をパス、ペナルティなしで違う問題に移ることができる。
      • 選択肢が変化し、どの番号を押しても正解できるようになる。
      • タイマーの減りがスローになる。
      • 「ノルマ-2チャンス」という表示が出て、現行のクイズ問題に正解するとノルマを一気に2減らせる。
    • 条件次第でイベントが発生。ヒロイン視点の独白イベントというものもある。
    • 一定期間が経過すると、各ヒロインの好感度表が表示される。
      • 教師が黒板に書いて説明してくれるという、中々素敵な晒しプレイ*5
        ちなみに担任候補も3人おりそれなりに個性的。もっとも彼らのことは公式サイトに触れられていないが。
    • 7月、10月、1月は期末試験となり、10問以内で一定数正解できないと補習を食らう(当然間違えるごとに普通にライフが減る)。合格すると全員の好感度にボーナスが入る。
      • ただし補習では任意のヒロインの得意ジャンルのみが集中して出題されるので、意中の好感度を稼ぐチャンスでもある。試験をパスしても自由参加可能である。
    • エンディングは各ヒロインにつき3種類(GOOD、NORMAL、BAD)のマルチエンディング。
      • エンディングを迎えるヒロインは任意に選択できる。ただし1プレイで一人のみで、ハーレムルートなどはない。
  • クリアまでの所要時間はノーコンティニューで1時間ほど。
    • 当然、難易度にムラがあるのでワンコインクリアは至難の業。100円で1時間遊べるというわけではない。
    • アーケードのクイズゲームでは難易度は低い方。お助けアイテムのプレゼントが強力なので、迷ったらどんどん使うべし。

登場人物

  • 神崎 未来(かんざき みく)CV:那須めぐみ
    • 3年生になって転校してきた黒髪ロング美少女で誰にでも優しい…というベタなポジションのヒロイン。通称ミク。
    • 一般常識や基礎教養の問題に対応している。マイエンジェルで言うと「まじめ」傾向。
  • 九条 彩華(くじょう あやか)CV:たかはし智秋
    • 金髪巻き毛のお嬢様でミクに対抗心むき出し。通称アヤカ。
    • 流行やセレブ関連の問題に対応している。「おいろけ」傾向。
  • 猪戸 恵(ししど めぐみ)CV:斎藤千和
    • 茶髪ショートのオレ娘で快活なおバカ。通称メグ。主人公とは中学からずっと同じクラスの腐れ縁。
    • スポーツや乗り物関連の問題に対応している。「わんぱく」傾向。
  • 高村 真理絵(たかむら まりえ)CV:植田佳奈
    • 黒紫セミロングの眼鏡っ子でノーパソを携帯する関西弁娘。自称マリエル(定着していない)。
    • 専門的知識やサブカルチャーの問題に対応している。「おたく」傾向。

評価点

  • 窪岡俊之氏によるキャラクターはかわいらしく、立ち絵はわずかだがぐりぐり動く。
    • ただし、一部イベントシーンでは絵が崩れたりする。
  • 那須めぐみ、たかはし智秋、斎藤千和、植田佳奈といった豪華声優陣。
    • とはいえ、当時は全員駆け出しで「豪華声優陣」という印象は無かった。
  • BGM、展開が90年代後期に流行した恋愛シミュレーションの流れを組む物で、その雰囲気は高く評価されている。
    • ただし、当時恋愛系ゲームは18禁・一般向けを問わず、Keyの『Kanon』や『AIR』などの所謂「泣きゲー」のヒットによりストーリー重視のノベルゲーに流れが傾いていたため、本作はあまり話題にはならなかった。

問題点

  • 問題の答が間違っている物がある。
  • よりにもよってメインヒロインの神崎未来のエンディングで表示される一枚絵は、目の位置がおかしく可愛くない。
  • クイズに素早く正答して運命のハート(好感度)を稼げるようにならないと、GOODエンドを見るのがなかなか厳しい。
    • 特に『意中の攻略ヒロインが、前半に出て来るかどうか』はランダム要素が強く、プレイごとに大きく変化するためにどうしようもない。
      • 好感度が相当高くなっていく中~終盤においても、選んだヒロインと別のヒロインが出てくることは珍しくないため、場合によってはかなり「お祈り要素」が強くなる。

総評

本作の評価は、後々に影響を与えたという一点を除くとそれほど高いものではない。
後に有名になる声優の起用や甘酸っぱい雰囲気と良いところはあるものの、時事ネタに重点を置いた問題の多さ、時々崩れる絵、エンディングのような重要シーンでしゃべらない等、難点も多い。
今なお現役と言えるような要素は少なく、ACに数多い、レトロクイズゲームの一つと言った評価に落ち着く。


余談

  • 『アイドルマスター』の先祖
    • 全てのゲームを系譜にすると、『アイドルマスター』は紛れも無く本作直系の子孫である*6
      • 本作にミニゲーム集の要素を付与させれば、確かにそうなるが、どちらかといえば『クイズでアイドルホットデビュー』(彩京)の方が与えている影響は強いようにも見える。強いて言うならば、プレイヤーにゲームセンターでギャルゲーをやらせるという豪胆さ、窪岡俊之氏とのつながりが後々に強く影響を与えたと言うべきか。
  • 黒板に書かれている各ヒロインの好感度表の右下にある日直の名前を見ると「石原」「深見」と書かれているが、これは後のアイドルマスターの「ディレ1」こと石原Pと『アイドルマスター』で音無小鳥のキャラデザを担当した「ディレ3」こと深見氏のこと。 「マイエンジェルの系譜でありアイマスの原点」と言われることがあるのも納得がいく。
  • 前述のように派生元の『子育てクイズ マイエンジェル』シリーズ自体が人気作でもあり、ナムコファンやクイズゲームファンからは割りとすんなり受け入れられた。
    • その一方でマイエンジェルと違い、所謂ロリキャラが好きな層やカップル含む女性客は見向きもしなかったが…
  • この頃はゲームセンターバブルがはじけたというのもあるが、最大の要因は本作が稼動した数ヶ月後にコナミから『クイズマジックアカデミー』が稼動したことであろう。
    • 同じ学園物のクイズゲームでありながら豊富な出題形式でオンライン対戦を行えるなど、ゲームセンターのビデオゲーム自体に求められるものがはっきり変わった瞬間であった。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 2003年
  • AC
  • QIZ
  • ナムコ
  • エイティング

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年12月09日 09:23
添付ファイル

*1 この難産ぶりは、『アイドルマスター』も同様である。

*2 実際、当時の広告では鉄拳TT同様、ナムコのPS上位互換基板「SYSTEM12」で作られていたことが記載されている。

*3 ナムコ作品では『ことばのパズルもじぴったん』『太鼓の達人』『ミスタードリラー2』などが同基板を使用している。

*4 場合によってはクイズ後と同じくハートが増減するものも。

*5 ついでに言うと、主人公とヒロイン4人は全員同じクラス。

*6 もう一方の「ご先祖様」に当たるのが『ドラゴンクロニクル』である。