魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-

【まほうしょうじょりりかるなのはえーすぽーたぶる ざぎあーずおぶですてぃにー】

ジャンル 魔法対戦アクション
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ウイッチクラフト
発売日 2011年12月22日
価格 GOD BOX版:13,629円
通常版:5,229円
判定 なし
ポイント 前作から大幅に改善
きっちりと練られたストーリー
コンボや読み合い、ゲージ管理等などの要素が強化されたアクションパート
マテリアル娘は相変わらず好評


概要

前作『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE BATTLE OF ACES-』と同じく、TVアニメ『魔法少女リリカルなのは』シリーズの第2期作品、『~A's』(エース)を題材にした3D格闘ゲーム。通称『なのポGOD』。
未来から「アミティエ・フローリアン」と「キリエ・フローリアン」が現れる所から物語が始まり、過去未来現在の登場人物が一堂に会する物語が描かれる。

システム

  • 近距離と遠距離を行ったり来たりしながら殴り合ったり撃ち合ったりする、魔法対戦アクション。
  • 近距離では横向き視点でアタック・ブロック・キャッチの三竦みの格闘戦を行い、遠距離では後方視点で遠距離魔法を撃ち合う射撃戦を行う。
  • 魔法やアクセル(回避行動)でMPを消費し、MPを使い切ると一定時間チャージ状態になってこれらの行動ができなくなる。MP回復のためには格闘攻撃を当てる必要がある。
  • 戦闘ごとに定められたドライブストックを消費し、一定時間MP無限/フルドライブバースト使用可能のフルドライブモードに移行できる。
  • 今作から「近接攻撃で浮かせて追撃」や「近接で吹き飛ばして遠距離魔法で追撃」といったコンボが可能になった(受身を取れるため、対人だとここで読み合いが発生する)。

評価点

  • シナリオやボリューム、登場キャラやゲームモード等、前作に比べ大きく改善されている。

大幅にボリュームアップしたストーリー

  • 前作と違いチャプターごとに指定されたキャラクターで戦う形式。そのためシナリオはかなり長くなっており、感覚としては番外編の劇場版を見ているよう。
  • 前作で倒されるだけの存在だったマテリアル達に大きな出番が与えられており、キャラクターが掘り下げられている。
    • 終盤はもはや彼女達のためにあると言っても過言ではない。胸が熱くなる展開を見せてくれる。
  • 『A's』時代の人物に対しそれぞれ因縁のある人物たちが過去や未来から転移してくるため、この手のお祭りゲーで望まれるであろう夢の競演がきっちりと叶っている。
    • 特にテスタロッサ一家絡みは力が入っている。丸々1チャプター割かれたリニスとプレシア絡みのエピソードは非常に印象的。
    • ただし、プレシアは原作本編ではフェイトを虐待する毒親に等しいキャラクターである上、本作に於いても直接的な制裁が下る訳では無いので、彼女を嫌っているプレイヤーも少なくはないが。
  • 『A's』本編と分離したところできっちり話が完結しており、単品で見ても楽しめる物語となっている。

大幅に増えた登場キャラクター

  • 過去や未来からの参戦組が居ることによって、人数が大幅に増えた。
    • その数23名。前作の9(+コンパチ3人)と比べると雲泥の差である。
  • 外伝または第4期として展開されている漫画作品『ViVid』や『Force』の主役たちもしっかり参戦しており、映像化されていない技を見られるのも嬉しいところ。
  • 前作でなのは/フェイト/はやての色違いコンパチだったマテリアル達は完全に別物と言っていいキャラになっている。モーションも技特性も何もかも違う。

改善されたアクション性
基礎骨子は前作と変わらないが、随所に改善が見られる。

  • まず大きいのはシステム面でも書いたコンボ要素の存在。
    • お手軽なお手玉から吹き飛ばしにバインドを絡めた物までなかなか爽快なコンボが組める。
    • 対人では受身されるが、それを踏まえた受身狩りを仕込んでおくことも可能で対人の読み合い要素がかなり増えた。
  • 魔法をアクセルでキャンセル等の要素も増えており、どうにももっさりしがちだった前作よりもかなり軽快に動ける。
  • 相手との距離を一気に詰めるEXアクセルや、相手の裏に一瞬で回りこむアクセルターン等の要素でスピーディな展開を楽しめる。
  • フルドライブバースト(いわゆる超必殺技)の使い勝手が大きく向上。発生が早くなりコンボに組み込むことが可能になった。
    • CPU相手であればフルドライブ時の衝撃波で吹き飛ばしてそのまま繋げられるため、お手軽に大技の演出を拝めるのもキャラゲーとしては嬉しいところ。
  • 前作のやる気がないCPUが改善され、こちらの行動に合わせてアンチ行動を取ってくるため非常に手ごわくなった。
    • それ自体はやりごたえが生まれたと概ね好評なのだが、最高難易度モードだともはやただの超反応であることと、超反応を逆手にとって釣ってしまえば簡単に倒せる点には問題がある。

強化されたゲームモード

  • サバイバルモードやタイムアタックモード等、一人で遊べるモードが増えた。
    • 上記モードでポイントを稼ぐことによって解禁される要素や、条件を満たすことで解禁されるキャラが居る。
  • トレーニングモードが追加された。
  • ストーリーモードも結末は変わらないものの分岐があり、見ていない会話を見るために繰り返し遊ぶ事も出来る。
    • ストーリーモードで条件を満たすことにより開放される後日談等もあり、この辺も見ていない会話を見るための理由付けになっている。

BGM

  • 前作と同じく、水樹奈々氏の歌うオープニング曲と田村ゆかり氏の歌うエンディング曲もある。もちろん両方とも新曲。
  • これに合わせてか、キャラクター全員分の専用BGMが用意されている。
    • 更にストーリーの山場では、前作・今作の主題歌インストや『A's』本編主題歌のインストが流れるという盛り上がりを見せてくれる。

問題点

なのはゲーなのになのはの出番が少ない

  • いろいろな時代から主人公格がやってきたりマテリアル達が掘り下げられたりした影響の割を食ってか、なのはの出番がやや少ない。
    • キャラクター全員にある程度出番を持たせた弊害、またはマテリアル達に終盤全部持っていかれた結果のどちらとも言える。
    • ラスボス戦で彼女を使用すると非常に「なのはらしい」言動を見せてくれたり、ヴィヴィオと絡みがあったりと冷遇されているわけではない。
    • 性能面では色々と自重していない。出し得性能のアクセルシューターと高火力なディバインバスターを引っ提げて大暴れしてくれる。
      • そのせいでストーリーモードで彼女と戦うシナリオでは苦戦する事もある…。特にシークエンス6-3のクロノvsなのは戦は、技巧派のクロノで通常より「強化された」なのはと戦う事になるため、鬼門として良く挙げられる(大方の人がクロノをこのシークエンスにて初めて使用するので、動作にも不慣れであることも大きい)。
    • 付け加えておくならば、なのは本人はTV版無印やシリーズ全体の主人公ではあるが、A'sやStrikerS、VividやForceにおいては別のキャラが主人公である側面も存在するので、出番が少ないというのはこのゲームに限った話では無い。(TV版無印のリメイクであるMOVIE 1stにおいても、なのはの出番は激減しフェイトに関するシーンが大幅に増えている)

通信ラグ

  • 前作ほどではないにしてもやはり通信対戦でラグは起きる。
    • 特に3ラウンド目で顕著。やりこんだ者同士の対戦は特殊入力やEXガードを多用するため、ラグが勝敗を左右してしまうことがかなりある。
    • PS3のアドホックパーティ時だけではなく、対面対戦でも多少のラグが発生するため、回線速度等の問題でもないと思われる。

対戦のハードルが高い

  • 基礎骨子はシンプルなシステムだが、浮かせの後は必ず二択をかけられるシステムであることや、ガードキャンセルを駆使したテクニックなど、初心者殺しが非常に発生しやすい。
  • 一部技はEXガード以外に対策がなかったりする割に、その発動のタイミングがかなりシビアなこともハードル上昇に拍車をかけている。
    • 上記のラグ込みで考えると、尚更「EXガードをもっと出やすくすれば…」と思わされる。
  • ゲージ管理が非常に重要なゲームなので、この辺を意識していないとあっという間に息切れしてしまう辺りも初心者に優しくはない。
    • 尤も「初心者に厳しくなる」のは本作に限らず対戦ゲームにとって避けられない問題なのだが。

キャラバランス

  • 性能的に尖っているキャラが多いのも手伝って、バランスはかなりカオスなことになっている。
  • 上位筆頭のアインハルトは、このゲームの根本をガン無視する強烈な性能を誇る。
    • 具体的に言うと射撃に対するスーパーアーマー持ち。射撃魔法メインなこのゲームでこれがどう働くのかはもはや説明不要だろう。
    • 遠距離戦は不得手というかまったくできないが、上記のスーパーアーマーにより自分の得意レンジである近距離に簡単に持ち込める。
    • リリカルスーパーアーマーからのマジカル撲殺により一体何人の魔法少女が葬られたのか。
  • 恐らく1弱であると思われるリーゼロッテ・リーゼアリアは逆の意味で強烈な性能をしている。
    • 発生が遅く火力もそれほどない格闘に、火力のない射撃、扱いが難しくリターンも少ない設置技と操作プレイヤーに対して全く隙がない。
    • キャラクター性能を引き出して設置技と格闘攻撃を駆使した連携を行うと高確率でフリーズする。…全く隙がない。
    • 魔法に対する当身技はかなり優秀。むしろ遠距離のメイン技は射撃ではなく当身である。
  • 上記の他にも色んな意味で尖ったキャラが多い結果、対処が分かっていないと一方的に轢き殺される状況が増え、ゲームのハードルがさらに上がっている部分がある。
    • ただし、ブロックキャンセルを駆使することによって無類の格闘能力を手に入れたアルフや、バインドキャンセルによりゲージ効率が大幅に上がったクロノなど、ハードルは高いもののやり込んだ分応えてくれる部分も多く、やり込み甲斐はある。

StrikerSのキャラが登場していない

  • 第3期に当たる『StrikerS』名義での参加キャラが存在しない。夢の競演となった今作ではあるが、少し物足りない印象を受ける*1
    • 原作者である都築真紀氏が『StS』は主要キャラ4人が全員主人公*2と述べており、明確な主人公格が居る『ViVid』『Force』と違って出し辛かった可能性がある(ただし『StS』公式サイトには、なのはが"シリーズ"主人公であり、スバルが"StrikerS"新主人公との記述がある)。
    • ほかにも『StS』の主人公達は限定的な飛行能力しか無いためゲームシステム的に無理という意見もあり、攻略本のスタッフインタビューでも言及されている。
    • またスタッフインタビューでは他にも「角川書店さん枠」なる大人の事情があったことにも触れられている。*3
    • ちなみに、参加し損ねた『StS』の主要キャラ4人だがアニメディア付属の特典CD「サウンドステージA」にて『ViVid』時代のミッドチルダに転移させられたマテリアルと共演を果たしている。

総評

前作から大幅に改善された結果、非常によく出来たキャラゲーとなった。
3Dアクションと格闘ゲーム両方の特性を持ったシステムなので、プレイ感覚には割と独自性もある。
人によっては対戦ツールとしてやりこむ事も出来るだろう。
欠点としてバランスを挙げたが、キャラゲーである程度キャラ格差があるのは基本なので、そう言った点を受け入れられる人ならば対戦も十二分に楽しめる。
少なくとも前作とは別物の出来と言い切っていいので、前作の評価で足踏みしている方は是非購入して楽しんでいただきたい。


余談

  • 本作にはワイルドアームズシリーズを意識したと思われる設定、演出が散見される。
    • 語尾に「ッ!!」が多用される事や、フローリアン姉妹絡みの設定辺りがそれ。
    • これは偶然ではなく、シナリオ担当の都築真紀氏が意識したことを語っている。
      • 本作プロデューサーの金子彰史氏は、過去ワイルドアームズシリーズのトータルゲームデザイナーという役職であった。
    • アミタやキリエが妙に愉快なテンションなのはこの辺の影響だと思われる。
  • 劇場版『THE MOVIE 2nd A's』のCMで、マテリアル三人娘・フローリアン姉妹・ユーリ単独と計3週に渡りCMの乗っ取りを行っている
    • PSP版自体がA's後の、しかもIFの話の為であるせいか、三人娘登場時には『闇王(ディアーチェ)・星光(シュテル)・雷刃(レヴィ)は、当然ながらThe MOVIE 2nd A'sには登場しません』のテロップがしっかり入っていた。
      • そしてこのCM自体が色々とネタバレである*4
  • 2017年公開の劇場版第3弾『Reflection』と、その続編『Detonation』にはフローリアン姉妹、マテリアル三人娘とユーリが登場、ストーリーも本作のエピソードをベースにしている。
    • しかし、世界観・キャラクターともに大幅な設定の変更がされた。特にキリエは、ゲームのキャラクターからは考えられないような問題行動を起こすキャラクターにされており、キャラ崩壊であるとの批判が強い。
  • そしてソーシャルゲーム『魔法少女リリカルなのはINNOCENT』ではフローリアン姉妹とマテリアルにユーリを加えた一大派閥『インダストリー』として登場している。
    • A's時代をベースとしているため白羽の矢が立ったのだと思われるが、『StS』や『ViVid』、『Force』のキャラ達を差し置いての参戦となった。*5
    • 『INNOCENT』は既存シリーズとは全く異なる魔法の存在しない世界観が特徴であり、正史に当たるTVシリーズや、リインフォースの生存をきっかけに分岐したIFの世界であるPortableシリーズ、劇中劇にしてIFの世界の一つである劇場版シリーズとは一線を画す並行世界となっている。

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  • 魔法少女リリカルなのは
  • 2011年

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最終更新:2024年03月21日 23:10

*1 スバルやギンガなど一部キャラはトーマの回想における一枚絵で顔見せしている。そしてViVidから参加しているヴィヴィオは元々StrikerSが初出のキャラである

*2 「キャラ☆メル」創刊号より。4人とは、フォワードのスバル・ティアナ・エリオ・キャロの事。

*3 なお、この枠は本来2枠(4期それぞれの主人公であるヴィヴィオとトーマ)の予定だったが、都築氏が無理を言ってさらにもう一枠(『ViVid』からアインハルト)を追加したとの事。

*4 ディアーチェがエルトリアに続き~等の台詞を放っていたり、真エンディングのCGを使用したり。ユーリに至っては何もかもがネタバレという有様

*5 ただし『ViVid』だけは掲載誌であるコンプエースとのコラボレーション企画により現在はゲスト扱いではあるものの参戦を果たしている。また、『StS』も一部キャラを年齢変更や設定を変更した上で後に参戦を果たしている。