ギガンティックドライブ

【ぎがんてぃっくどらいぶ】

ジャンル 3Dアクション
対応機種 プレイステーション2
発売元 エニックス
開発元 サンドロット
発売日 2002年8月29日
定価 7,140円
判定 なし
ポイント 90年代ロボットアニメ風アクション
ゲーム上の自由度が非常に高い
プレイスタイルによってはバカゲーとなる
地球防衛軍シリーズとは意外な関わりが…


概要

 「機人」と呼ばれる巨大ロボットをリモコンによる遠隔操作で操り、「ヴォルガーラ」と呼ばれる侵略者の巨大ロボットと戦う3Dアクション。
 ロボットの四肢それぞれに対応したキーを操作する独特の操作性は、1999年にヒューマンから発売された『リモートコントロールダンディ』のものを、ほぼそのまま受け継いでいる。
ゲームの構成や展開にも似た点があり、実質的なリメイクとも言える作品である。*1

プロローグ

1969年 人類初の有人月面探査。人類は月へと降り立つ。

だが、月からの帰路、探査隊が謎の死を遂げる。

1975年 人類初の有人宇宙ステーション建設。

1976年 ステーションの全乗務員……死亡。

1980年 ネクタル放射線、発見。

ネクタル放射線は、宇宙を漂う、有害な放射線である。
あらゆる生命体はネクタル放射線を浴びると、例外なく死に至る。
宇宙を彷徨い、あらゆる金属を貫通し、生命を死に至らしめる恐怖の放射線。

ネクタル放射線がある限り、生物の宇宙進出は不可能であった。
有機生命体は、大気によって守られた惑星上でのみ生存が可能なのだ。
ネクタル放射線によって閉ざされた宇宙。

人類は、それをネクタルの障壁と呼んだ。

1981年 宇宙開発計画の無期延期が決定。

人類は宇宙に進出することはない。
異星生命体が、宇宙から地球へとやってくることはない。
人類は孤独な存在である。

しかし……


特徴・評価点

システム

  • 最大の特徴は 3Dで構成されたマップ内でまずは主人公を操作し、さらにその主人公が持っているリモコンで今度は巨大ロボット=機人を操作して迫りくる敵と戦う 、二重の操作が要求される独特のシステムである。
  • 主人公を操作するモードと機人を操作するモードは、それぞれボタン一つで一瞬で切り替えることができる。
    • 主人公操作モードは背後からの三人称視点。オーソドックスなアクションゲームのようにマップを移動することができる。そしてセレクトボタンを押すことで今度は機人操作モードに移行、このとき視点は素早く「機人を画面の中心に捉えた主人公の一人称視点」となり、その視点のまま機人を操作することとなる。 そして主人公を操作している時も機人を操作している時も、常に時間は一貫してリアルタイムで流れている。
    • 主人公にも当たり判定があり、機人敵双方の攻撃に巻き込まれたり下敷きになったりするとダメージを喰らう。そして機人の耐久値とは別に主人公にも耐久値があり、どちらかがゼロになるとゲームオーバーになる。
    • 前述した通り機人操作モードは主人公がその時いる位置から機人を見ている視点で固定されるため、極端なはなし建造物の向こうへ機人が行ってしまい完全に見えなくなる場合もある。
      • よって機人や敵に近すぎると戦闘に巻き込まれやすく、離れすぎると戦闘が見えにくいリスクが出る上、リアルタイムで進行する戦局次第でベストな位置は常に変わってくる。そのため状況に合わせた主人公の位置取りが重要になるが、機人の操作をやめて主人公を操作している時も時間は止まらず、敵は動き襲い掛かってくることも念頭に置かなくてはならない。
      • 前作ではロボットの上に乗ることはできなかったが、本作は頭などに乗ることができる。頭上だと普通のロボットアクションに近い感覚で操縦することができるが、ダウンしたりすると主人公までダメージを受けてしまう。
    • 主人公はグラビティ・ドライブと言う装置を装備しており、短時間飛行する事が可能である。そのため、建造物の上など高い場所に位置取ったり、自機の上はもちろん敵機の上にも乗ることができる。ただし、上下に揺れて見にくい上、ジャンプ時のカメラワークが極端であり、さらに慣性が働くためなかなか操作が難しい。
      • 前身であるリモートコントロール・ダンディでは不可能だった「ロボットの頭部に乗る」と戦況が把握しやすい上に迫力もある。もっともロボットがダウンしない前提になるが……。
  • 機人の操作は右腕・左腕・右足・左足がそれぞれ違うキーに対応しており、まさしく「一挙手一投足」まで操ることが可能。
    • 本作を除く殆どすべてと言っていいロボゲーのように、十字キーを前に押すことやスティックを前に倒すことで前進するのではない。 L1(左足を前に出す)とR1(右足を前に出す)を交互に押して、一歩ずつ歩くのだ!
    • 両腕は両のスティックに割り振られており、スティックを倒した通りに動く。動かし方によって繰り出されるパンチの威力も違う。強い攻撃をあてられると中々爽快。
    • ゲーム内に登場する機人を動かすコントローラーは、PS2のコントローラーのようなデザインになっている。*2
    • プレイし始めはこの独特の操作と操作時のキャラ視点など、癖まみれの為上手く立ちまわれないことも多いが、プレイしていく過程でどんどんと上達を実感することができる。
    • どうしても操作に慣れないプレイヤーの為に、方向キーで機人の移動を行えるなど、操作を簡易化した「イージー・コントロールモード」が用意されているが、こちらだと腰の回転と屈伸が使用できなくなる。
  • 戦闘で得た報酬を使って自分自身や機人を強化することもできる。新技を使えるようになったり、消費武器の弾数を増やせたりする。
    • 機人は3機あり、それぞれ特性が違い覚えられる技も違う。使用可能なのは以下の3機。
      • ヴァヴェル…バランスのとれた標準タイプ。シナリオ上重要な存在で、他2機を主人公機に選んでいても出番は多い。
      • ライオール…機動性重視の機体。反面で攻撃力と耐久力は低い。飛行形態に変形できる。
      • グラング…高い攻撃力と耐久力、多数の搭載兵器が特徴。反面で非常に鈍重。戦車形態に変形できる。
  • マップ内にあるものは地形以外、全て破壊可能である。敵をビルが乱立している方へ吹っ飛ばすと爽快。
    • 『リモートコントロールダンディ』では、街が損壊した場合修繕費を払う必要があったが、今作では街の損壊度や一部建物が無事か否かで報酬の増減はあるが、マイナスのペナルティが発生することはない。事故か故意かを問わず壊し放題。正義のロボットヒーローになるも良し。破壊神と化すも良し。
    • ただし、話によっては特定建造物の防衛ミッションもあるので、時と場合によっては立ち周りに注意。
    • 友人のバイト先や恋のライバルキャラの会社や工場など、破壊することでイベントが発生する建物もある。ただし、これらは壊さずにいることによって得られるメリットも存在する。逆に壊す事で得られるメリットもあったりする。
    • ストーリーを進めると主人公がグレネードを使うことができるようになるのだが、そうなると主人公単独でも街の破壊が可能になり、後述のバカゲー要素が華開く。

シナリオ

  • ストーリーはかなり王道的。シリアスな部分も多いが、主要キャラで死ぬ人はほぼいない。*31人だけ死ぬことのあるキャラがいるが、これも余程狙わない限り死なない。
    • 主人公が機人と心を通わせて覚醒させるシーンや最終話の展開などは、ベタだが熱い展開とも言える。
    • 設定もしっかりしていて、序盤から謎めいた部分もちらちら見せてくるため、ストーリーも先が気になる作りになっている。
    • キャラクターはフルボイスかつ声優陣もかなり豪華。いずれも中々の個性持ち。
    • ちなみに、登場キャラの内、女性2人と男性1人には恋愛値が設定されている。

素晴らしきかなバカゲー要素

  • 基本真面目なストーリーと設定だが、ギャグ要素や製作会社がやけくそになってしまったために、シュールで笑える要素などバカゲー的な部分も多い。
    • 「こんなこともあろうかと!」「ドリルです!」
    • 舞台となる架空の街「千丈市」内は、AI操作による無人パトカーが巡回しているのだが、これが人を撥ねまくる。主人公の場合は撥ねられるとダメージも食らう。また、ヴォルガーラに突っ込んで勝手に爆発炎上することも多々。なんなんですかコレ。というか、AIの動作じゃない。
      • 会話イベントなどが発生するときキャラの立ち位置をうまく合わせるとイベント中に撥ねさせることも可能。イベント中はキャラが固定される仕様なのか、撥ねられても押されるだけで吹っ飛ばないためパトカーと接触し続け、断続的に悲鳴が響き続けるというかなりシュールな事態になる事も。
    • 友人の1人・奈々穂はとにかく不幸属性に設定されており、バイト先を破壊する事で生活を困窮させられたり、冒頭で電車に撥ねさせる事が出来たり*4と、寧ろプレイヤーに苛めて下さいと言わんばかりの役回りになっている。
      • バイト先を壊す度にイベントが発生し、あんまり続くとショーパブの求人に応募しようなどと考えだす始末。女子高生に何させてんですか
      • しかし実はこのバイト先の破壊を続ける事で明らかになる事実や、受けられる恩恵があったりもする。どうするかはプレイヤー次第…。
      • 貧乏の果てに、パンを油で揚げ、水で煮て塩を振っただけの「パンの水スープ」なる料理(?)で生活していたことが判明する。しかもそれを主人公にご馳走するなどと言い出す
      • 彼女のバイト先の八百屋がスーパーに客を取られていることを知り、本編中の台詞でスーパーを壊そうか悩む主人公。実際に壊してもOK。勿論、逆に八百屋を潰すのも…。
    • ライバルキャラの会社を破産させてはじめてわかる実は凄く良い人要素。なんて言うか、その、ごめん。
    • 機人では、車はおろか人間すら掴むことが可能。しかも、遠くに投げ飛ばすこともできる。
      • この操作についてもレクチャーを受けるが、その時に博士はわざわざ人間も掴めると補足してまで教えてくれる。しかも「危険だから注意しろ」と言うだけで決して「やるな」とは言わない。…それは「やれ」という事ですか?
    • オペレーターの住んでいるマンションを破壊すると嫌味を言われるイベントが起こる。何回か繰り返すとイベントは起きなくなるが、壊す度に通信で愚痴を言われる。
      • 実はオペレーター嬢はヒロイン候補の一人であり、このイベントは好感度の増減の名残である。
    • 戦闘が始まると一般市民が逃げ回るのだが、これらを踏み潰しても何のペナルティも無い。
      • 海外版の『Alchemic Drive』では、市民の皆さんは血飛沫と断末魔の悲鳴を上げて動かなくなる。怖いわ。
      • ちなみに、ムービー内ではヴォルガ―ラの後方から股下を通って前方へ逃げ惑い、当然のごとく踏まれて吹っ飛びまくっているのがよく見られる。いくらパニックでもそこまで血迷うこともないだろうに。
    • 電撃プレイステーションでは、このようなバカプレイを集めて紹介していた(両手に花と称してヒロイン二人を掴む、敵ロボット目掛けて市民をぶん投げる、かなりの高さを誇る庁舎のてっぺんまでロボを持っていく、など)。また、その内容は攻略本にも掲載されている。
    • また、サンドロットが後に開発した『鉄人28号』ではこれに似たバカプレイを公式サイトに列挙する有様であった。本作においてもこれらは意図された要素である可能性が高い。

ハンドグレネード

  • プレイヤーの個人装備「ハンドグレネード」は、威力こそ低いものの地面以外で壊せない物はない。
    • 爆発するため、色々なものを巻き込んでしまうが、戦闘開始前にも使用できるため、慣れればなかなか便利である。
      • 繰り返すが、壊せない物はない。製作の意図通りの使用にとどまるも良し、解脱した爆弾魔になるも良し。
  • ストーリーによっては、他のキャラがプレイヤーの後ろに同行することもある。が、別に護衛義務もないため、気にせずプレイして問題ない。逆に、グレネードで攻撃したり頭上に乗ったりと遊ぶこともできる。一定ダメージを受けると倒れたまま動かなくなりレーダーからも消えるが、ペナルティもなくイベント発生やミッションクリアの際に復活する。

問題点

演出

  • 演出が長く、カット不可。初回はともかく、負けてやり直す際などには非常に見るのが億劫。
    • 好きなステージだけやれるミッションチャレンジではストーリーパートはカットできるものの、デモはカットできない。というか戦闘もカットできる仕様であり、デモはこの戦闘部分に張り付いているため、デモを飛ばしたらミッション自体が終了する。
    • また、操作中にも会話イベントが挟まると操作が中断される。敵の動きも止まるためその点で不利なことはないが、プレイのテンポは大きく損なわれる。
      • ただし、攻撃こそしないが起きあがる動作は継続するため、追い打ちがかけられなくなる。
  • 一部イベントの発生条件がおかしい。
    • 最初のステージで、奈々穂の寝たきりの祖母を助けに行くことになるのだが、あと一歩の所で間に合わず目の前で爆発…どころか余裕で間に合う。歩いても間に合う。しかし、どうやっても助けることは出来ず、ヴォルガーラが一定距離に近寄るまで数分間、イベントを待つことになる。
      • 「しまった、間に合わなかった」 それはひょっとしてギャグで言っているのか。
    • 全てがではないが、イベント発生タイミングが色々とおかしい。

シナリオ

  • 全54話構成と一見ボリュームがありそうだが、無駄に前後編に分けたことで1つ1つの話が極端に短かったり、会話シーンだけで終わる話が複数あるなど、水増しとも取れる話が結構ある。
    • 序盤に特に多いが、機人を少し動かして終了するミッションがある。チュートリアルではあるが、別に戦闘中に教えてくれたところで不都合点はない。第1話だって基本操作はいきなりの実戦であった。
      • しかも、レクチャーが任意のものもあり、レクチャーを受けなかった場合それだけで終了する。
    • 戦闘にしてもほとんど同じ内容のステージがある。
    • あまりにもお約束すぎるシナリオ展開。
      • 各種攻略サイトや2chのゲームスレなどではエヴァっぽい、エヴァっぽいとやたら言われていた。

主人公とヒロイン達

  • 主人公の扱いがぞんざい。シナリオ上の話ではなくゲーム上の話。
    • 主人公は熱血漢(男)、クール(男)、ロボオタク(女)の3人から選択できる。
    • セリフの言い回しなどが違うだけで、シナリオの展開には一切違いがないため、性格の設定に意味がない。そのため、性別の選択はともかく、男が2人いる意味は最早皆無。
      • 攻略本などによれば、本来は三者共に異なった内容のシナリオや会話で、恋人候補が存在する予定だったが、製作期間が押しておりそれが出来なかったことが述べられている。
      • そのため、「最後まで一緒にいたい」「好きだから」と同性相手に頬を染めて告白され、百合と薔薇の花が咲き乱れるようになってしまった。
      • 本来はライバル会社の御曹司、オペレーター、経理の女性らも恋人候補だったが同じ理由からまとめてカット。
      • 初期選択機人と主人公の組み合わせによる変化もカット。
      • 一応、各主人公でまったく同じというわけではなく、女主人公でのみ異なるイベントが発生する場合も存在する*5
    • ちなみに、主人公達にはちゃんと名前の設定がされているが、本編では共通の名字である「月岡」以外では、「理事長」「あなた」「お前」などでしか呼ばれない。ただ、フルボイスの上主人公選択式のため仕方ない部分ではある。
      • が、エンディングのキャスト欄では役名が「主人公1」「主人公2」「主人公3」。キャラ名を設定した理由とは一体何であったのか。

システムの問題

  • ヴォルガーラは「ファントムシステム」という遠距離攻撃を回避する能力を持っていて、これを停止させた後でなければミサイルやビームは通用しないのだが、停止させるには直接殴らないといけない。わりと早く解除は出来るようだが、目で見てもわからないため、結局、煙を吹き始めるくらいまではひたすら殴り合うことになる。
    • 結果、機人ごとの戦い方の差異があまりなくとどめの必殺技程度しかバリエーションを楽しめない。
      • ただ、このファントムシステムが働いていない(実装されていない?)ヴォルガーラが実は結構いる。戦闘が始まったらとりあえず飛び道具を撃って試してみるのもあり。
      • さらにこのファントムシステムは主人公が直接投げるハンドグレネードには反応しない。基本的にヴォルガーラは機人しか狙わないので機人を囮にしてハンドグレネードを投げまくる戦法が有効な場合もある。
  • その機人の性能差は決してバランスがとれているとは言えない。というかライオールが強すぎる。
    • いくら耐久と攻撃が低いといっても、素早さと手数で補って余りある。そもそも全体的に挙動がずっしりな本作において、機動力の高さは何よりも魅力。
      • 人型時のジャンプ力が異常に高く、他の機人では防御するしかないような敵の大型飛び道具をジャンプで容易に回避可能。また、ジャンプ中に180°旋回する事で敵の背後を取るという他の機人ではほぼ不可能な芸当も可能。
    • 必殺技やその他特殊な攻撃にはエネルギーを要するのだが、この回復方法が歩く(一歩ごと微量回復)か打撃攻撃(ヒットさせると結構回復)のため、動きの速いライオールの場合、足踏みしてるだけですぐ溜まる。
    • 各機人には「アームウエポン」という兵装が事実上の初期装備であるが*6、ライオールの「雷撃砲」は使いやすさがずば抜けている。
      • まずアームウエポンそのものの説明をしておくと、手の部分を特殊な兵装に切り替えるもので、片腕はパンチを強化するもの、もう片方は雷撃砲のような射出武器となる。射出武器は装備した状態で腕を前に突き出すと発射する。要するにパンチとほぼ同じ速度で撃てるのだが、雷撃砲は以下の有様である。
      • 他二体のアームウエポンと比べ射程がかなりに長く、攻撃力も高い。加えてダウン効果もある。また、他二体のアームウエポンが弾数制なのに対しこちらはエネルギー消費。無くなっても再度溜めればいいだけなので実質撃ち放題
      • ファントムシステムをなんとかしたら必殺技なんか使わずともこれを連発していれば勝てる。
    • また、ゲーム開始時に主人公機に選んだ機人のみ、ストーリー後半のイベントでパワーアップモード*7を覚えるのだが、ライオールの「神薙」は、両腕に発生するブレードに常時ダウン効果付きのダメージ判定が生じている。つまり、殴らずとも軽くブレードが接触するだけで相手をダウンさせられる。更にダウンしている敵ロボットに対してしゃがんで手を伸ばしブレードを接触させていれば、その間もごりごりダメージを与えられるというアホみたいな性能になっている。
    • 極めつけは最終奥義「神威」。上記のイベント後、パワーアップ中に使える強力な最終奥義を覚えられるようになるのだが、ライオールのそれは、ラスボスすら一撃で沈める威力を持つ。恐ろしいことに近接攻撃のため、ファントムシステムも発動しない。
      • 博士が「勝てない」とか言ってる横で一撃必殺する場面はシュールの極みである。
    • また、上記にあるとおりライオールは飛行形態に変形できる。
      • 変形するとその位置からある程度上昇位置で高度が固定される。そのため、移動中に誤ってビルに突っかかったり踏み潰す心配がない。
      • 何より、基本的に敵はあくまで機人を狙ってくるので*8、頭上に待機させておけば満足に攻撃することができなくなりほとんどの敵がハリボテと化し、その間にグレネードで簡単に撃破できる
      • 飛行形態の維持や移動には特にエネルギーのような物は必要なく、好きなだけ飛んでいられるのも強み。
  • 一方グラングは、いくら高火力といえど厳しい条件そろい踏み。
    • 上記のようなエネルギー充填のため、鈍重であるのは単純にエネルギーの増加速度も遅く技の出し辛さに直結する。またその鈍重さ故、敵の種類や状況によってはハメられることもある
    • 多数の重火器を搭載しているものの、ファントムシステムのせいで最初は役に立たない。結局近づいて殴り合いを挑まなくてはならない。
      • 多数武器を搭載しているために重いという設定だが、ゲーム的に見れば逆に遠距離武装は鈍重さを補うためのものなはずである。「巨大ロボット同士の殴り合い」というものがコンセプトなのだろうが、ファントムシステムで遠距離攻撃を無効化して半ば強制されるのは、グラングの存在とはちぐはぐの感がある。
      • しかもグラングに装備されている飛び道具は全て実弾系の重火器であり、レーザー系と違いホーミング機能がない。下から巨大ロボットを見上げて操縦する本作のシステムでは命中させるのが非常に難しい。
      • また、レーザー系は発射に必要なエネルギーがなくなってもまた溜める事で撃てるようになるが、重火器は全弾撃ち尽くすと装填もできず、ミッション終了まで撃てなくなる。
      • ちなみに弾数は強化して増やすことができるが、装備の一つである機関砲はバグにより金を掛けても弾が増えない。
    • グラングのアームウエポン「デトネイター」は今作でも屈指の使い辛さを誇る。斜め上に撃ち出し、拡散して降り注ぐという弾頭なのだが…。
      • ヴァヴェルの火炎放射器やライオールの雷撃砲は機体から直線的に判定が発生するが、デトネイターは少し離れた位置に点で判定が発生する形になるため、当てるのがかなり難しい。拡散する分多少面は広いとはいえ、中心からズレるほど当たる弾の数は減るわけで、大したダメージにならない。しかも初期状態では弾数が1。ライオールと比べると嫌がらせの如きクソ装備である。
    • また、海を急いで移動しないと行けないステージがあるが、グラングが戦車形態に変形して海に潜ると見えなくなる。目標地点まで正確に行けたかどうかは、勘に頼るしか無い。
    • 初心者が最初にグラングを選んだ場合、本ゲームをクソゲー呼ばわりしたとしても無理ないかも…。
    • つまるところ自由な機体選択のはずが、実質難易度の選択と化しているのである。それ自体はよくあるかもしれないが、その情報が公にされてないのが問題。
    • 軍将機を全てグラングで倒せれば、上級者を名乗っても良いだろう。
  • 機人のギミックやモーションは非常に凝っているのだが、人間の方はというと着地モーションがない、ダメージモーションが1種類しかないなど少しお粗末。攻撃で吹き飛ばされた際の、表情を変えず固定のポーズで飛んで行く様は何ともシュール。
    • 尤も、このような部分は後のサンド作品にも見られるためある種の恒例ともいえる。

対戦

  • 各機体でバランスがとれてるとは言い難い。選んだ機体によっては一方的な虐殺となる。
    • 特に対戦相手をひき逃げアタックができるグラングは、本編が嘘のような強さを誇る。
  • 本編通りの能力を使えないものがいる。本編内の演出などの都合によるもので仕方ない面も大きいのだが。
    • 「レイバラー」の上位種「サイレン」は、本編では妨害電波を持つという仕様だったが、対戦ではオミットされている。レイバラーは光線が2種類あるのに対し、サイレンは光線1種類しかないため、劣化レイバラーという有様に。
    • 軍将機と呼ばれる上位機体の一角「幻神」は、本編では無数のサテライトマシンにより、ただのパンチにすら反応するファントムシステムを誇っていたが、対戦でそんなものを持ちこめるはずもなく…*9
    • 同じく軍将機の一角「風神」は、「レプトンガス」という毒ガスを放出して街に充満させていた。これによりビルの上など高所にいなければダメージを受けてしまうようになっていた。対戦では毒ガス放出のギミックは使えるものの使ったところで何も起こらない。直接プレイヤーに浴びせても無害。

総評

 自分自身でロボットを操縦しているような独特の操作体験がすばらしい作品。敵をビルもろとも殴り飛ばすなどプレイで得られる爽快感も中々。
 しかし、そういった長所を削いでしまうような演出や作り込みの甘さも少なくない。色々と惜しい部分が多い作品。
 海外においても、ロボットの操作などアクション部分は高い評価を受けつつ同様の点が問題点として挙げられていた。
 とはいえ、他のロボット系ゲームにおいては見られない自分が操作しているかのような一体感を得られる独特の操作性は、一度体験してみても損はないだろう。


余談

上述の通り、市民は巻き込まれるためだけに存在するような有様だが、海外版では流血表現があった。どれだけフリーダムなのだろうか。

 サンドロットの代表作であるかの『THE 地球防衛軍』がSIMPLEシリーズという低価格作品にして高い完成度を誇っているのは、今作のゲームエンジンを流用しているためであるというのはファンの間では有名な話である。
 建物の造形やそれらを破壊できる要素などは地球防衛軍にも見受けられる他、レイバラーの鳴き声が蟻の鳴き声にそのまま流用されている。

 ちなみにコナミから『リモートコントロールダンディSF』と言うソフトがPS2で発売されているが、こちらにはサンドロットは関わっておらず、本作とは全く別の作品となっている。
 一応、リモートコントロールダンディの初期主人公機のヴォーダンが「伝説の機体」扱いで、敵として登場する。

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最終更新:2021年05月15日 14:05

*1 そもそも、今作を開発したサンドロットは、元を辿ればリモダンの開発に携わったスタッフがヒューマンから独立して立ち上げたデベロッパーである。

*2 これは『リモートコントロールダンディ』も同様。

*3 プレイヤーの見えないところで全人類の30%が死亡しているが。

*4 主人公が撥ねられると即死

*5 上記の助っ人キャラとの絡み、他二人ではコンビニで済ませる買い物を八百屋まで足を延ばす、など

*6 最序盤のステージでレクチャーがあり使用可能になる

*7 180秒の制限付きで、時間切れになると機人が爆発してゲームオーバー。

*8 ステージによってはプレイヤーを優先したり、特定の目標に向かっていくことを優先するパターンもあるにはあるが

*9 本編ではあちこちにいるサテライトマシンを全て倒した後、直接倒すという展開。