シャイニング・ティアーズ

【しゃいにんぐ・てぃあーず】

ジャンル アクションRPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 セガ
開発元 ネクステック
発売日 2004年11月3日
価格 6,800円
廉価版 PlayStation 2 the Best
2005年11月2日/2,800円
判定 なし
シャイニングシリーズ


概要

人気絵師Tony氏を起用した、ソニーハードにおけるシャイニングシリーズ初作品であり、二人で千の敵に立ち向かうコンセプトの2D版無双系アクション。
最大の特徴は主人公とパートナー、二人分のキャラを同時操作するシステム。
パートナーはAIが勝手に動かすが、右スティックで移動の制御が可能。
二人のキャラクター同士で連携して繰り出すリンク技は特に強調して紹介されていた。
レベルアップ毎に獲得するポイント割り振りで自由に育成可能と言うのもウリだった。


評価点

  • 人気原画家Tony氏のキャラデザイン。
    • 本作でもそのクオリティは健在で、パッケージやキャラクターを余すことなく彩っている。パートナーキャラ達も個性的で、人間・エルフ・獣人・竜人とファンタジーの王道が揃っている。
  • 曲は地味ながら評価が高い。
    • 主人公シオン役の保志総一朗氏が歌うOP&EDテーマも好評。OPに至ってはフルアニメーションという力の入りよう。
  • 水彩風の丁寧に書き込まれた解像度の高いフィールドグラフィック。
  • ボイス付き台詞はそれほど多くないが、起用された声優陣は超豪華。銀河万丈氏や、引退状態だった林原めぐみ氏が起用され話題になった。
    • 保志総一朗氏や広橋涼氏は、以降のシリーズでも常連となる。
  • 良くも悪くもピーキーな一歩間違えると詰みかねないバランスなので、育成方針を練るのはそこそこ楽しい
    • ただし後述するよう死にステ・死にスキルがハッキリし過ぎで、最適解はほぼ決まってしまっているが…。
  • 1度クリアしたミッションに再挑戦できるフリーバトル要素がある。
    • シナリオは必ず主人公+パートナーで挑む事になるが、こちらではメンバーの中からプレイヤーとパートナーを自由に選択可能。

問題点

  • 薄味と超展開という、一見相反する要素を融合させたシナリオ
    • こう書くと斬新な手法と思うかもしれないが、実際は単に薄味な上に超展開という二重苦である。伏線らしきものが張られた割に全く回収されない、唐突に新事実が判明する、説明的な台詞が多い等、好み以前のクオリティの低さが目に余るつくりとなっている。
    • ゲーム中で欠けていた部分は資料集やアニメ、小説を見ないとわからない。完全な裏設定の類なら兎も角、本編で最低限明かすべき設定などですらこれらのメディアでしか明かされないものも。流石に不親切だろう。
    • 盛り上げて落とす様な部分はなく、常時低空飛行と水平線でシナリオが進むため盛り上がりやインパクトにも欠ける。
    • Tony氏の描く美少女絵や豪華声優に釣られて、そういった類のイベントなどを期待した諸兄は多いと思われるが、その種の要素も薄く駆け足で進む。
      • 一応キャラ別EDはあるが、たいへんに淡白。
  • キャラデザインに複数の絵師を起用した結果、統一性が無い
    • 玉木美孝氏は初期のシャイニングシリーズに関わってきた実力派絵師でファンも多いが、今回メインキャラを担当したTony氏とはまるで絵柄が違う。
    • モンスターのデザインはともかく、人間キャラは「兄弟設定のキャラなのに別々の絵師が手がけている為、骨格から全然違う」といった事態が起きている。流石にこのあたりは統一するべきだろう。
  • 多くの技が用意されているにもかかわらず、大抵は通常攻撃連打が最も有効な攻撃方法。
    • ほとんどの場合、シングル技(キャラ個別の技)は隙が大きすぎて通常攻撃の回転率に遠く及ばない。
      • 連打系の技はその限りでないが、ランクを上げると動作時間も延び、技の最中に敵の集中砲火をかわせないため死に易くなる。
    • 序盤だけは別だが、魔法タイプの技だったり、属性付きの技だったりすると単発威力でも通常攻撃に大きく劣る。
    • エルウィンはシングル技「ドライアドの誘惑」を解放してしまうと火力・サポート能力ともに激減してしまう。一度解放すると封印は出来ない。
    • マオは最初から解放されているゴミ技「火遁」の使用率を下げる為に、対になる「クナイ」を解放するという妙なスキル振りが推奨される。
    • AIキャラは攻撃用シングル技を使用可能な場合、攻撃と攻撃の間に謎の待機時間が発生する。この仕様も技の価値を下げている要因。
  • 本作のウリとされた「味方同士で繰り出すリンク技」は、そのほとんどがノーマルモードですら使い物にならない。
    • 大抵、攻撃力が低すぎる・隙があまりにも大きい等の問題を抱えている。
      ろくにダメージを与えられず、動けない時間が異常に長い技は数多い。
    • ノーマルモードでのブランネージュはアイスウォールという設置技主体で戦うリンク技メインの数少ないキャラクターだが、アドバンスモードでは後述する敵の魔防のインフレにより産廃と化す。
      • 結局、リンク技を活用して戦えるキャラはラザラスとエルウィン(後者は補助程度)のみ。
  • アクション戦闘ながらこのゲームには「やられ無敵時間」が存在しない為、複数の攻撃が重なると文字通り即死する。
    • ノーマルモードはまだいいが、2,3発食らったら死ぬアドバンスでは満タンから回復する暇もなく一瞬で死ぬ。
  • 回避率至上のバランス
    • 敵の攻撃の多くは見てかわせない上に、多数の敵に囲まれるゲームの仕様上、対抗策として徹底的に回避率を上げる必要がある。最終的な命中率には上限下限が設定されているので0%には出来ないが…。
    • また後半は敵の回避率もシャレにならないので、器用さを上げておかないとこちらの攻撃もまるで当たらない。最悪詰む。
    • よって、パワー型・魔法キャラを問わず「器用」が最重要パラメータになっている。育成はひたすら器用さを上げるのが正解。
      • なお知力は魔法キャラでも恩恵が薄く上げるメリットが少ない、装備条件に個別に必要パラメーターが設定されている等の理由から、どのキャラも同じようなパラメータになってしまう。
  • 敵の属性攻撃は強く、プレイヤーの属性攻撃は弱いという、いびつなバランス
    • 属性攻撃のダメージ計算は(100-相手の耐性値)×2/100の倍率習性が入る。プレイヤーキャラは耐性0がデフォルト。つまり対策無しだと確定で2倍ダメージを食らう理不尽な仕様である。
      • 装備等で補強は可能なものの、ミッション中は装備の付け替えも不可能なため対策が立てづらい。
    • 反面、敵は全耐性にある程度の値が振られている。アドバンスではさらに全耐性値が+10される。
    • プレイヤー側の属性攻撃は非常に使いづらく、武器の切り替え等は鍛冶屋で鍛える以外出来ないため属性付き武器は基本的に回避推奨。
  • 敵の魔法は強く、プレイヤーの魔法は産廃レベル
    • 敵の魔法はこのゲームにおいて「高威力」「回避率に左右されず必中」「属性付きの物が多い」と、一昔前のRPGのような熾烈なもの。
      • 予備動作がある為、見てから回避可能なのが救いだが、技の使用中等はかわしきれず死亡原因の大半を占める。
    • 反面、プレイヤー側が扱う魔法は敵の耐性魔法防御インフレ化に対し威力を上げる手段の少なさから、ゲームが進むほど弱体化していく。
    • 一応ノーマルモードでは魔法使いキャラのブランネージュだけは活躍できるが、その他キャラの魔法扱いの技は使い物にならない。
      • アドバンスモードでは敵の魔法防御が上がり過ぎてブランネージュすら通用しない。
  • PS2のゲームでは最長クラスにロードが長い。
    • ステータス画面を開閉するだけでも数秒かかるが、そんな物は序の口。拠点の酒場→酒場前広場への移動で10秒前後(酒場から直接全体マップへは移行できない)。酒場前から全体マップに移行するのに2~3秒、全体マップから町の各施設へ10秒前後。
    • ミッション時はもっとかかる。マップの広さにもよるが狭いマップでも20秒を越え、広いマップでは1分上かかる。ミッションは複数のマップで構成されている事が多く、それぞれで長時間のロードが始まる。
    • プレイ時間の大半がロード時間で、その間に別の作業すら出来てしまう程。というより、寧ろ作業しながらでないと長時間ロードの連続で退屈すら禁じえない。
    • また常時ディスク読み込み音が激しいが、上述した楽曲再生が原因になっている。

総評

Tonyキャラで売り出した作品だったが、キャラデザインとイラストレーター、そしてアニメーションといった、いわゆる「ガワ」を彩るだけで力尽きたような微妙ゲーとなってしまった。
長すぎるロードに、敵側有利なシビアかつ理不尽なバランス、ストーリーもこれといって挙げる程のものでもないクオリティと、明らかに「中身」にはさほど力を入れて制作されていない事が見て取れる。
美麗なデザインで表現されたキャラ目当てで購入したユーザーにとってもキャラ萌要素の浅さに落胆していった。

以降Tonyシャイニングシリーズは本作の反動からか、ヌルゲーバランスが続く事になった。


余談

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最終更新:2023年10月15日 17:34