※注意
この項では基本的にアーケードからの移植作であるスーパーファミコン版に関して取り扱います。
ただし、大元となるアーケード版の記事が現状本Wikiに存在しないため、概要・評価点・問題点・総評以外は基本的にスーパーファミコン版で括らず『マッスルボマー』という作品全体の紹介となっています
些か解りづらい構成となってしまっておりますが、あらかじめご容赦頂けると幸いです


マッスルボマー

【まっするぼまー】

ジャンル アクション/プロレス
対応機種 スーパーファミコン
メディア 24MbitROMカートリッジ
発売・開発元 カプコン
発売日 1994年3月30日
定価 9,800円(税別)
プレイ人数 1~4人
周辺機器 マルチプレイヤー5(マルチタップ)対応
判定 なし
ポイント 何かにつけて本気の連打が必要
それ以外のゲームを構成する要素には魅力的なものが多い


概要

1993年7月頃から稼働を開始したアーケードで稼働を開始した作品のスーパーファミコン向け移植作。
キャラクターデザインに漫画作品『北斗の拳』や『花の慶次』等を描いた漫画家の原哲夫氏を起用しており、タイアップも兼ねて当時の『週刊少年ジャンプ』に前後編の読み切りが掲載されている。こちらももちろん、原哲夫氏が描いている。

1対1のシングルマッチモードと2対2のチームバトルロイヤルモードの2つのゲームモードを搭載し、周辺機器のマルチタップを使用することで最大4人同時プレイ(チームバトルロイヤルモードのみ)が可能となっている。

本作ではファイナルファイトシリーズに登場する「マイク・ハガー」が「マイク・“マッチョ”・ハガー」のリングネームで登場するが、時系列での本作は『ファイナルファイト』の過去の話であり、ハガーはメトロシティの市長になったばかりの頃となる。

サブタイトルまで含めて表記すると『MUSCLE BOMBER -THE BODY EXPLOSION-(マッスルボマー ザ・ボディ・エクスプロージョン)』となるが、本項のタイトルは解り易さの観点から一般に広く使われているカタカナ表記のタイトルを採用している。


ストーリー

プロローグストーリー

1990年代初頭からプロレス界は団体乱立時代を迎え、世界各地で大小様々な団体が生まれては消え、消えては生まれを繰り返していた。
その様な状況下で地道な活動を続けていた8つの団体が手を結び、1つの連合を結成した。
それが「CWA(CAPCOM WRESTLING ASSOCIATION)」である。

ゲームストーリー

1980年代。空前のプロレスブームで、世界各地に多数のプロレス団体が乱立し、抗争に明けくれていた。
そのような状況下、「マスター・オブ・マッスルボマー」と呼ばれていた初代チャンピオン、「ヴィクター・オルテガ」が率いる連合組織「CWA」として8つの巨大団体が、ひとつにまとまる。
が、ある日突然、オルテガが失踪してしまい、彼を軸としていた秩序は乱れて再び混乱の時代を迎えた。
その機に乗じて闇の地下組織「BWA(BLOOD WRESTLING ASSOCIATION)」が動き出す。
このままでは危険と判断したCWA首脳部は「マッスルボマー=運命の強者たち」をテーマにCWAの新王者を決めるべく、ワールドツアー「クラッシュ・カーニバル」を開催。
運命の強者、マスター・オブ・マッスルボマーを決めるゴングが今、鳴らされる…。


ゲーム中用語紹介

CWA(CAPCOM WRESTLING ASSOCIATION)
カプコン・レスリング・アソシエイション。
初代チャンピオン、ヴィクター・オルテガが率いるプロレス団体。
健全なプロレスを信条とし、試合中の凶器攻撃や急所攻撃などのような反則行為は禁止となっている。
クリーンな戦いを見せるため、所属レスラーの人気は総じて高い。
その性格上、BWAとは敵対関係にある。
BWA(BLOOD WRESTLING ASSOCIATION)
ブラッド・レスリング・アソシエイション。
アストロが総帥を務めるプロレス団体。
賭け試合や地下組織の見世物試合などの非合法なプロレスを主としている。
CWAと違い、凶器攻撃や急所攻撃などの反則行為も何でもありが信条であり、試合中に死者が出ることも珍しくない。
公式試合に出ても反則負けを取られるのがほとんどなため、所属レスラーの人気は総じて低い。
しかし、その中にあって総帥であるアストロは試合において反則行為を一切用いないフェアな戦いをするため、アストロだけはBWA嫌いのプロレスファンからも別格として評価されることも。

登場レスラー紹介

CWA所属レスラー

+ クリックで展開
アレクセイ・ザラゾフ (Aleksey Zalazof)
 ニックネーム:赤い獅子 身長:192cm 体重:120kg
 出身地:ロシア・モスクワ 得意技:バックドロップ
プロレスをショーの一環のように扱うショーマンシップを嫌う、ストロングスタイルの天才レスラー。
幼少期からレスリングの英才教育を受けており、数々の功績にも驕ることなく鍛錬を積んでいる。
必殺技は高速で連続パンチを放つ「ソニックフィスト」と逆関節を極めたまま一本背負いを放つ「サンセットスプラッシュ」。
ラッキー・コルト (Lucky Colt)
 ニックネーム:フロリダの荒馬 身長:192cm 体重:125kg
 出身地:フロリダ・マイアミビーチ 得意技:パワースラム
かつて共にマイク・ハガーに師事し、ジムで汗を流したザラゾフとは親友兼ライバルである、黒い革ジャンがトレードマークのレスラー。
ザラゾフとは色々な面で好対照で日々の鍛錬を欠かさず積み重ねるザラゾフに対してコルトは大の練習嫌いであり、また、沈着冷静なザラゾフに対して、コルトは頭に血が上りやすく、喧嘩っ早さはCWAの中でも随一とも。
その性格が祟り、エキサイトしすぎて試合中に反則負けをとられてしまうこともある。
必殺技はザラゾフと同じく、高速連続パンチの「ソニックフィスト」と逆関節を極めたまま一本背負いを放つ「サンセットスプラッシュ」。
ミステリアス・ブドー (Mysterious Budo)
 ニックネーム:白面の悪魔 身長:182cm 体重:100kg
 出身地:日本・鎌倉*1 得意技:ローリングソバット
ぱっと見は良くある外国人の思い描く間違った日本人像のそれだが、正真正銘の日本人レスラー。
その白メイクや奇抜な格好はプロレスの技術を学ぶためにアメリカへ武者修行を行った際に当初は嫌々ながらであったものだが、最近は慣れてむしろやらないことを考えられないとも。
所謂ショーマンレスラーの類だが、その実力はまさしく本物で、特に蹴り技の切れ味は一級品。
同じショーマンレスラーであるエル・スティンガーとはライバル関係にある。
必殺技はその場で跳躍して横回転しながらの蹴りを放つ「旋風脚(せんぷうきゃく)」と相手の首に爪を立てて風車のように回る「血風刃(けっぷうじん)」。
タイタン・ザ・グレート (Titan the Great)
 ニックネーム:最強最後の巨人 身長:236cm 体重:196kg
 出身地:イギリス・ウィガン 得意技:ネックハンギングツリー
キャリアは他に比べてまだ浅いが、その体躯から繰り出される破壊力満点の技による豪快な戦いでトップクラスの人気を勝ち得たレスラー。
生まれた時から体重5000g、小学校卒業時点で身長も190cmに達していたと言われる。
かつては『ストリートファイターZERO』シリーズに登場するバーディーと「500億万パワーズ」なるタッグチームを組んでいたが、バーディーの卑怯な戦いに嫌気が差し、彼がプロレス界を追放されたのと合わせてタッグを解消している。
傲慢な台詞が目立つが、プライベートでは心優しき人物である。
必殺技はマットに手をついて地を這うように周囲に足払いを繰り出す「サークルウェーブ」と相手を上空に放り投げて落下してきたところにバックブリーカーを決める「タイタンブリーカー」。
エル・スティンガー (El Stinger)
 ニックネーム:アカプルコの殺人蜂 身長:168cm 体重:74kg
 出身地:メキシコ・アカプルコ 得意技:トペ・アトミコ
目立ちたがり屋で皆から脚光を浴びたいという理由だけでリングに立つルチャドール*2
その性格上、その技も派手さ重視だが、その人並み外れた身体能力を生かして繰り出される華麗な空中殺法はただ派手なだけでない。
「アカプルコの殺人蜂」という異名に劣らない鋭い技のキレと破壊力を持っており、ただの目立ちたがりのショーマン野郎に留まらない、折り紙付きの実力も持っている。
また、同じくショーマンレスラーであるミステリアス・ブドーとは互いにライバル視しあっている。
本作登場の全レスラーの中でもっとも身長が低く、体重も軽い。
必殺技は水平に飛行しつつ回転しながら頭突きを見舞う「スクリューダイビング」と相手を足蹴に空高く飛び上がった後錐揉みしながら落下、相手の頭目掛けて頭突きを放つ「アトミックダイバー」。
マイク・“マッチョ”・ハガー (Mike "Macho" Haggar)
 ニックネーム:市長 身長:202cm 体重:140kg
 出身地:ニューヨーク・マンハッタン 得意技:パイルドライバー
アメリカの架空都市「メトロシティ」の現役市長も務めるレスラー。
『ファイナルファイト』シリーズに登場するマイク・ハガーその人。
どれだけ攻撃を受けてもお構いなしに前に出て相手を叩き潰す豪快なファイトが持ち味で、その人柄の良さから人気も高い。
ちなみに、CWAの次期総帥候補として名が挙がっているが、現総帥であるオルテガに一度として勝てていないため、現時点では見送られている*3
必殺技は自身を軸に回転しながら両腕でラリアットを放つ「ダブルラリアット」と相手を掴んで飛び上がり、高速回転しながら落下する「スクリューパイルドライバー」。

余談になるが、ハガーが市長になれたことはカプコンゲーム史上における謎の1つとされており、『ストリートファイター』シリーズに登場する、ケン・マスターズなどからも相当不思議がられている。
メトロシティのチンピラなどからは「前市長をその力で脅して市長の座を奪い取った」といった噂が上がったこともあるが、実際はプロレスラーとして人気絶頂の頃にメトロシティの市長選に立候補し、正当な選挙の結果で当選して市長の職に就いている。
とは言え、本職であるはずの市長の仕事は随分疎かになっているようで、『スーパーマッスルボマー』のエンディングにおいて仕事が溜まっていることをぼやくシーンがある。
そもそも『ファイナルファイト』の時点で「趣味で市長をしている*4」という点は定番のツッコミ所となっている。
シープ・ザ・ロイヤル (Sheep the Royal)
 ニックネーム:迷える羊 身長:199cm 体重:163kg
 出身地:オーストラリア・メルボルン 得意技:DDT
元アメフト界の花形プレイヤーであったレスラー。
血の気の多い性格故に数多くの暴力沙汰を起こしたため、アメフト界を追放され、プロレスラーに転向した。
ニックネームの「迷える羊」は彼の「如何に相手を殺さないように戦うか」という悩みから来ているとか。 BWAの方が向いているような…。
自らの力を「ウシさえも絞め殺す」と豪語するのは伊達ではなく、圧倒的なパワーによる豪快なファイトが持ち味。
必殺技は猛スピードで連続突きを放つ「ショットガンスタッブ」と相手を力任せに錐揉みさせながら上空に放り投げる「トルネードスラム」。
“ミッシングIQ” ゴメス ("Missing IQ" Gomes)
 ニックネーム:失われた知性 身長:198cm 体重:150kg
 出身地:ドミニカ・サントドミンゴ 得意技:かみつき
ジャングルで生まれ、猿に育てられたという噂のレスラー。
常に猿のフリークと共に行動しており、ゴメスにとってフリークは大切なパートナー。
野生育ちと言うこともあるのか、その見た目とは裏腹に飛び抜けた身体能力を誇り、実力もトップクラス。
必殺技は駄々っ子のように手足をじたばたさせる「ジャングルパニック」と相手を掴んで飛び上がり、凄まじい勢いで地面目掛けて蹴り落とす「ハリケーンストンパー」。
ヴィクター・オルテガ (Victor Ortega)
 ニックネーム:マスター・オブ・マッスルボマー、マッスルボマー 身長:210cm 体重:156kg
 出身地:不明 得意技:バックドロップ
CWAをまとめ上げた、伝説と謳われるチャンピオンであり、類い希なパワーとテクニックを併せ持つ。
その圧倒的な強さはプロレス界だけに留まらず、世界中の格闘技界で語り継がれるほどだが、詳細なパーソナルデータは知られていない。
幾度かのタイトルマッチを経て、彼は突如失踪してしまう。
彼の後継者を決めるための戦いが本作のシングルマッチモードに当たるため、本作ではプレイアブルキャラクターとして登場しない*5が、続編の『スーパーマッスルボマー』で念願のプレイアブルキャラクター、そして最終ボスとして参戦することになる。
なお、タイトル画面でシャツを破り捨てているのがオルテガである。

BWA所属レスラー

+ クリックで展開
キマラ・ザ・バウンサー (Kimala the Bouncer)
 ニックネーム:荒ぶる巨鯨 身長:200cm 体重:200kg
 出身地:アメリカ・シカゴ 得意技:ジャイアントスイング
元は酒場の用心棒を務めていたが、一般客に暴力を振っていたためにクビとなった。
その後、一時的にレスラーの用心棒をするが、相手のレスラーをKOしたことがきっかけでプロレスラーに転向。
強い者には弱く、弱い者には強いという性格で、弱い者イジメが大好きだが、かつて自分を完膚無きまでに叩き潰したアストロに対しては絶対服従を誓っている。
性格は勿論、ファイトスタイルも反則技を躊躇いもなく使ったりする完全なヒールレスラーだが、その肥満体型からか、動きがユーモラスであったりとどこか憎みきれない部分もあるとか。
必殺技は周囲に口から吹き散らす「毒霧(言うまでもなく反則技)」と「ジャイアントスイング」。
アストロ (Astro)
 ニックネーム:褐色の閃光 身長:188cm 体重:105kg
 出身地:不明 得意技:フロントスープレックス
BWAの総帥を務める謎の覆面レスラー。
レスラーとしては割合小柄だが、高いパワーとスピードを併せ持ち、「褐色の閃光」の異名に違わぬ鋭い切れ味の技を持つ。
反則も凶器攻撃も何でもありのBWAのトップでありながら、彼自身はリング上で一切の反則技を用いないが、これは己の強さに絶対の自信を持つために「反則行為など必要ない」というところから来ている。
だが、役に立たない部下は躊躇無く処刑し、刃向かう者は一切の容赦なく叩き潰し、そもそも基本的に「弱者に生きる資格など無い」という思考をしている冷徹で冷酷な冷血漢である。
また、リング上でも確かに反則ではないが、喰らえば再起不能で済めば御の字というレベルの殺人技も躊躇なく使用するため、BWAの所属レスラーは彼に対する畏敬の念から自ずと「アストロ様」と呼んでいる。
必殺技は片手で倒立した状態から開いた足を高速で回転させて蹴りを放つ「デススパイラル」と相手を担ぎ上げて飛び上がり、錐揉みしながら落下して叩き付けると同時に腹部に頭突きを叩き込む「ピラミッドクラッシュ」。

基本システム

所謂1レバー+3ボタン制で、ボタンは左から攻撃・ジャンプ・フォールとなっており、相手の攻撃を防御することは出来ない。
リング内は上下左右に自由に移動出来るので、相手の攻撃は移動でかわすのが基本となる。
ただし、ダッシュは左右方向にしか出来ないが、ダッシュしながら方向を徐々に上下方向に変えることは可能。

どのキャラクターにも体力が設定されているが、本作では体力が0になってもKO負けと言うことにはならず、あくまでフォール*6して3カウントを奪うか、一部の締め技(本作では「ギブアップ技」と呼ばれている)でギブアップさせることで初めて勝利となる。
体力が少なくなるほどフォールされた時やギブアップ技を含んだ締め技を受けた際、抜け出すためにより多くのボタン連打を要求され、体力が0の時に至ってはフォールから抜け出すことが出来なくなり、ギブアップ技を受けるとそのままギブアップしてしまう。
逆に、体力が残っていてもフォールされた時に3カウント取られる前に抜け出せなければそのまま負けとなってしまう。

試合は3分一本勝負で時間内に決着が付かなかった場合は残体力の多い方が勝ちとなるが、チームバトルロイヤルの場合はチーム全体の残体力となる。
なお、スーパーファミコン版ではオプション設定で制限時間無制限に出来る。

その他、コーナーポストにのぼってのアピールや掴んだ相手をロープに振っての追撃など、プロレスの試合で見られるアクションも可能である。


モード紹介

シングルマッチモード

オルテガの後継たる新チャンピオンを決める1対1の対決を行うモード。
CWA所属レスラー8名の中から1人を選び、世界各地で繰り広げられる試合に勝利し、チャンピオンの座を手に入れるのが目的となる。
BWA所属レスラーのキマラとアストロはCOM専用のボスキャラとなり、使用することが出来ない。

このモードに限って場外に出ることが出来、場外には凶器が落ちていることがある。
これを用いて攻撃することも可能だが、物によって攻撃出来る回数が決まっており、その回数分だけ相手に当てると壊れて消えてしまう。
また、場外に出た時は20カウント以内にリングに戻らなければ「リングアウト」となり、そのまま負けとなってしまうが、場外ではフォールは取られず、ギブアップ技でギブアップしてしまうこともない。

9戦勝ち抜くとチャンピオンの座を手に入れられるが、今度は防衛戦として2周目に入り、ここでまた9戦勝ち抜くと晴れてゲームクリアとなる。
つまり、トータルで18戦勝ち抜けばエンディングを見られるということになる。

チームバトルロイヤルモード

2対2のタッグマッチを行うモード。
通常イメージされるタッグマッチとは異なり、最初から両チーム2名、合計4名のレスラーがリング上で入り乱れる。
BWA所属レスラー2名含めた10名のレスラーから操作するキャラクターを選ぶことが出来、プレイヤーが一人の場合はコンピューターが担当するパートナーも決めることになる。
勝敗は相手チームのレスラー2名を先にフォール、またはギブアップで脱落させた方が勝ちとなり、前述の通り、制限時間内に決着が付かなければチーム全体の残体力で勝敗が決まる。
残体力が0でない状態で3カウントを取られて脱落したレスラーは、残体力が0であるものとして扱われる。

このモードでは場外に出ることが出来ない。
しかし、アーケード版ではどこからともなく凶器が投げ込まれることがあったのでシングルマッチ同様に凶器を使うことが出来るが、スーパーファミコン版では凶器が投げ込まれることがなくなった。
これにより、スーパーファミコン版の本モードでは凶器を使うことが出来なくなっている。

シングル戦では残体力が0の時にフォールされたり、ギブアップ技を掛けられると敗北確定になってしまうが、チーム戦であるため、パートナーがフォールやギブアップ技を仕掛けている相手レスラーに攻撃を当てて妨害(=「カット」)する事で、抜け出すことも出来る。
コンピューターのパートナーの場合、キャラによってAIのパターンが違う。カットを優先してくれるのもいれば、こちらのピンチもお構いなしに好き勝手に暴れるのもいるので、それぞれのレスラーの特徴を掴んでおくことが重要。

ちなみに、1人プレイの場合はプレイヤーチームのパートナーが健在の状態で先にプレイヤーが脱落すると、相手チームの状況に関係なく、その瞬間に「ノーコンテスト(無効試合)」とされ、ゲームオーバーとなってしまう。
先にパートナーが脱落している状態でプレイヤーが脱落した場合は、そのまま相手チームの勝利となる。
いずれにせよ、プレイヤーが脱落した時点でゲームオーバー。

こちらでも9戦勝ち抜くとチャンピオンの座を得られるが、やはり防衛戦の体で2周目に入り、また9戦勝ち抜いて初めてエンディングとなる。
つまり、このモードでもトータルで18戦勝ち抜けばオールクリアということになる。


評価点

原哲夫氏デザインによるキャラクター達

  • 非常に濃いメンツが揃っており、どのキャラクターも強い個性を放っている。
    • 濃いキャラクターというのは、インパクトも強いので印象に残りやすい反面、一歩間違えればキワモノとでも言えるほどに突き抜けすぎてしまい、逆に不快感を煽られる結果になることもあるが、そこまで突き抜けていない点も評価出来るだろう。
      • 中でも「アストロ」はそのキャラクター性や、実際のゲームにおける非常に高い性能、そして繰り出す技が悉く格好良く、見栄えが良いということもあって、プレイヤーの間でも高い人気を誇る。
    • アーケード版の時点からインストカード等には原氏のイラストが使われていたのだが、ゲーム中では全く使われることがなかった。しかし本作ではゲーム中でも原氏のテイストを発揮したイラストが使われており、より硬派な世界観を醸し出している。

比較的簡単な操作

  • 出来ることはとても多いのだが、最低限の動作だけならば覚えることもさして多くなく、投げ技も大雑把な操作で意外と繰り出せる。
    • 勿論、色々突き詰めていくと多少は覚えることも増えるが、それでも格ゲーなどのジャンルに比べれば遥かにハードルは低くなっている。
    • レバーガチャガチャ、ボタン連打しまくりの適当プレイでも楽しめる要素があるというのは、初心者への配慮として評価すべき点である。

質の高いBGM

  • どのステージBGMも非常に質の高い曲が用意されている。
    • 東京やメキシコ、シドニーステージ辺りは、本作プレイヤーの中ではちょくちょくお気に入りの曲として挙げられることも。
    • プロレスでは良くあるレスラーの入場曲も全てのレスラーに用意されている拘り振りで、これまた出来が良い。
      • ゲーム中では入場シーンが短いため、出だし部分しか聞けないが、サウンドテストや(アーケード音源になるが)サウンドトラックでフルバージョンを聞くことが出来る。
  • 余談になるが、後の『スーパーマッスルボマー』では、入場シーンがカットされており、勝利デモで流れるようになっている。

問題点

連打のウェイトがかなり大きい

  • 相手に締め技を受けた時やフォールされた時、相手に掴まれた時に抜け出すためにはボタン連打が必要なのだが、これがかなりシビア。生半可なことでは抜け出せない。
    • 序盤はまだ良いのだが、中盤以降は締め技で1/3以上体力を持っていかれてしまうこともある。そのままギブアップ負けまで持って行かれてしまうことも。
      • フォールを返すための連打も、こちらの残体力が半分を切った辺りからはかなり連打しないとダメ。体力はまだあるのにフォールが返せず敗北なんて言うこともザラ。
  • CPUの連打力は凄まじく、序盤はともかく、中盤以降は残り体力が0でなければフォールしてもすぐ返される。締め技も1~2発ダメージ与えて放されてしまうのが関の山。
    • 相手を掴んだ時もすぐさま振りほどいてくるため、必殺投げコマンド*7を入れるのはかなりキツい。折角の必殺技も拝めるチャンスが激減してしまう。
      • ダウンから復帰するのもボタンを連打すると早めることが出来るのだが、共に残り体力が0になっているプレイヤーとコンピューターの攻撃が空中で相打ちになってお互いにダウンという状況だと、コンピューターの方が先に起き上がり、そのままフォールされて負けてしまうことも珍しくはない。
  • 連打力に相当の自信がない人にはプレイを勧められない部分がある。自信があっても、繰り返していたら結構な肉体的負担になる。
    • 一応掴まれないように立ち回ることも出来なくはないが…一度も掴まれない、フォールされないというのは相当上手くなければまず無理。そもそもプロレスゲームで投げを使わずに、ひたすらちまちま打撃攻撃を繰り返すというのも地味で、本来の味を殺してしまう感が強い。

コンピューターのパートナーがおバカ

  • 残体力が0の相手レスラーがダウンしており、フォールすれば勝利確定だというのにわざわざ起こし、そのまま反撃されてピンチに陥ってしまうことも。こちらが掴んで相手に技を掛けようとしているところに攻撃を重ねて邪魔してくることもある。
    • フォールやギブアップ技を掛けている時に、近くに相手チームのパートナーが居るのに妨害もせずに、当たらない攻撃*8を連発し、当然の如くカットされたりもする。
      • このため、チームバトルロイヤルモードは上の仕様でただでさえ手強いコンピューター戦の難易度が更に上がってしまっており、加えてパートナーのせいでストレスも貯まる有様である。

総評

アクション面やキャラクター、BGMなどの魅力的な部分はとても多い。

だが、ボタン連打が何かとついて回るゲーム仕様は正直あまり褒められたものではない。
それ以外の部分でもゲームバランスは良いとは言い切れず、調整には大いに疑問が残る。プレイ感覚的には決して悪い訳では無いだけに、勿体ない限りである。 もう少し敷居を下げることができれば、より多くのプレイヤーが楽しめたであろう。

名作となり得るだけのポテンシャルは間違いなく持っていただけに、それを逃してしまい、万人に勧められない作品となってしまった…そういう意味で本当に惜しい作品である。


余談

北米版について

本作は北米向けにも発売されており、海外向けにありがちだが、日本版と様々な差異が存在している。
まずタイトルからして北米版では『Saturday Night Slam Masters(サタデーナイトスラムマスターズ)』となっており、更に登場するレスラーもハガー以外は全て名前や設定が日本版と大きく入れ替わっている。
厳密に言えばハガーもリングネームが「マイク・“マッチョ”・ハガー」から「マイク・ハガー」と変更になっているが、リングネームから本名になったというもので、ハガーというキャラクターの設定そのものが変更された訳ではない。

ゲームは最初のステージが日本版が東京であったのに対し、北米版ではロサンゼルスが最初のステージでそこから各地のステージを巡っていく形になる。

なお、北米版のレスラーの設定から何からまで書き出すと情報量が無駄に膨大になるので、ここでは名前の比較と一部の設定をピックアップして紹介するにとどめる。

+ レスラー名比較および一部変更された設定
日本版 北米版 日本版 北米版
アレクセイ・ザラゾフ Biff Slamkovich (ビッフ・スラムコビッチ) ラッキー・コルト Gunloc (ガンロック)
ミステリアス・ブドー The Great Oni (ザ・グレート・オニ*9) タイタン・ザ・グレート Titanic Tim (タイタニック・ティム)
エル・スティンガー El Stingray (エル・スティングレイ) シープ・ザ・ロイヤル Alexander the Grater (アレクサンダー・ザ・グレーター)
“ミッシングIQ” ゴメス King Rasta Mon (キング・ラスタ・マン) キマラ・ザ・バウンサー Jumbo Flapjack (ジャンボ・フラップジャック)
アストロ The Scorpion (ザ・スコーピオン)

この中で、北米版のビッフ・スラムコビッチはストリートファイターシリーズに登場するザンギエフの同胞という設定となっている。

また、北米版のガンロックはこれまたストリートファイターシリーズに登場するガイルの親戚という設定になっている。
これを受けてか『ストリートファイター・ザ・ムービー』ではガイル大佐の兄弟という設定となり、スパイとしてシャドルーの兵士を装って内部に潜り込んでいる。
これが同作品に登場する「ブレード」であるが、ブレードの外見は当然ながらシャドルーの一般兵士のそれであり、使う技もナイフをただ投げつけたり等、プロレスの要素が全くなかったりするため、半ば死に設定となってしまっている。

フォールカウントについて

本項ではあくまでフォールカウントを「3カウント」としているが、下記のカウントの仕様により、本作のフォールカウントは実質4カウントとも言える。

通常、フォールするとレフェリーは「ワン! ツー! スリー!」とカウントを取るが、本作では「フォール! ワン! ツー! スリー!」とカウントを取る。
勿論、コンピューターは体力が僅かでも残っていれば「フォール!」の段階で普通に返してくることもザラである。

ちなみに、上記の北米版でのカウントは「ピン! ワン! ツー! スリー!」となっている。
元々フォールは「ピンフォール (Pinfall)」というのが正式で、略して「ピン(Pin)」や「フォール (Fall)」と呼ばれているというものであるため、意味合いとしては「ピン」も「フォール」もどちらも同じである。

『マッスルボマーDUO』について

『マッスルボマー』という作品には厳密には2つのバージョンがある。
まずは本項の『マッスルボマー ザ・ボディ・エクスプロージョン』(以下「無印」)、これに関しては今まで説明をしてきたので詳細は省略する。

そして、1993年12月に稼働を開始した『MUSCLE BOMBER DUO -HEAT UP WARRIORS-(マッスルボマー デュオ ヒートアップ・ウォーリアーズ)』(以下「DUO」)。
こちらは無印のゲームモードのうち、シングルマッチを削除して4人同時プレイのチームバトルロイヤルモードに特化した仕様となっている。
更に技が追加されたり、ゲームバランスが調整されたり、操作系統も所謂1レバー+3ボタンは変わらないものの、フォールボタンが掴みボタンとなり、配置も左から掴み・(打撃)攻撃・ジャンプと変更されている。
これにより、無印では一部を除いて「レバー(十字キー)+攻撃ボタン」の操作に集約されていた「掴み」「掴んでからの投げ」などのアクションが、掴みが一つのボタンとして独立したことも手伝って操作が複雑になった*10
加えて、攻撃をガード出来るようになったり、同キャラでの対戦が出来るようになったりと、ただのバージョンアップには留まらない作品となっている。

DUOでは公式なタッグの組み合わせが設定され、その組み合わせを選ぶと通常は「Zalazof & Colt」のように表示されるレスラー名の欄にタッグチーム名が表示されるようになった。
また、無印ではBWAチームもランダムでチーム編成をされていたが、DUOではキマラとアストロは固定で最終ステージで登場するボスチーム扱いとなっている。
しかしながら、コンピューターが度を超えて強化されている節が見られたり、シングルマッチが出来ないという仕様に難色を示す意見も少なくなく、無印に比べればあまり出回りも評価もよろしくないようである*11

+ タッグチーム名一覧
レスラー チーム名 レスラー チーム名
ザラゾフ HYPER CANNONS
(ハイパー・キャノンズ)
タイタン THE DEADLY BROTHERS
(ザ・デッドリー・ブラザーズ)
コルト スティンガー
ブドー EXOTIC WARRIORS
(エキゾティック・ウォーリアーズ)
ハガー KNUCKLE BUSTERS
(ナックル・バスターズ)
ゴメス シープ
アストロ SILENT ASSASSINS
(サイレント・アサシンズ)
キマラ

なお、この組み合わせ以外にした場合は従来の表示形式になる。



*1 ゲーム中では一貫して「ニッポン・カマクラ」表記。

*2 メキシカンスタイルのプロレスを「ルチャ・リブレ」と言い、「ルチャドール」はその男性レスラーのことを指す。女性の場合は「ルチャドーラ」となる。また、プロレスのベビーフェイス(善役)・ヒール(悪役)同様に善役のルチャドールを「テクニコ(女性は「テクニカ」)」、悪役のルチャドールを「ルード(女性は「ルーダ」)」と言う。因みにスティンガーはテクニコである。

*3 ちなみに、『ナムコ クロス カプコン』で出演しているハガーの必殺技の中に「マッスルボマー」という技があるが、これは元々オルテガの必殺技である。更に、技を使う時に「オルテガより受け継いだ、この技を!」というボイスがある。そのため、客演作品におけるハガーはこの後にオルテガに勝利し、「マスター・オブ・マッスルボマー」の称号と共に技を受け継いだと考えられる。

*4 『ファイナルファイト』の設定でハガーの趣味が「市長をすること」となっている。

*5 シングルマッチモードをノーコンティニューでクリアするとエンディングでオルテガが登場するが、こちらも今にも戦いが始まりそうな雰囲気になるがそのまま戦わずに終わる。

*6 相手の両肩をリング上に押さえつけること。

*7 ザラゾフの「サンセットスプラッシュ」やハガーの「スクリューパイルドライバー」など、レスラー紹介の所で2番目に紹介した必殺技が該当。一応、アストロ(掴んで82+攻撃。数字はテンキー表記)やゴメス(掴んで28+攻撃)のように他に比べればまだ容易に出せるレスラーもいるが、ハガーやブドーのような「掴んでから一回転+攻撃ジャンプ同時押し」等は相当困難を窮める。

*8 投げ技やギブアップ技を食らっていたり、フォールされている相手レスラーには攻撃が当たらない。

*9 「愚零闘 鬼(ぐれいと おに)」という漢字の当て字が用いられている。

*10 上のボタン配置では「(打撃)攻撃」と表記した攻撃ボタンだが、必殺技の投げは「コマンド+(打撃)攻撃ボタン」となっているし、「コマンド+掴みボタン」での投げも存在する。

*11 実際、スーパーファミコン版はDUOの後に発売されたにもかかわらず、DUOの要素はまったく搭載されておらず、あくまで無印準拠となっている。