ビューティフル塊魂

【びゅーてぃふるかたまりだましい】

ジャンル ロマンス&ビューティー
対応機種 Xbox 360
発売元 バンダイナムコゲームス (ナムコレーベル)
開発元 バンダイナムコゲームス
ナウプロダクション
発売日 2007年10月18日
定価 6,090円
廉価版・配信 プラチナコレクション
2008年11月6日/2,940円
ゲームオンデマンド
2009年12月1日/2,940円or2,000MSP
判定 なし
ポイント HD画質でもいつもの塊魂
塊のサイズは宇宙規模までスケールアップ
ボリューム不足と大量の有料DLCが評価を落とす
塊魂シリーズ


概要

『塊魂』シリーズの4作目*1

今日も絶好調の王様が王妃とテニスをしていたら、すっ飛んだボールが宇宙に穴を開けてブラックホール化してしまった。大コスモの大ピンチ。
なんでも吸い込むブラックホールでもお手上げなほど大きな大きな塊を作れば、穴をふせげるかもしれない…?

王様の尻拭いをするのは例によって王子。他のシリーズ作品と同様、3D空間でとにかく塊を転がして大きくしよう。


特徴

  • 今回の公称ジャンルは「ロマンス&ビューティー」であり、当時の新世代機対応作品としてHD画質で見られることを意識している模様。
  • 初代『塊魂』から基本的な部分は変化なし。主な操作は全てアナログスティック2本で行う。
    • 本作の全体マップ「王子ランド」は遊園地仕立てで、ステージは「アトラクション」と呼ばれる。

評価点

  • HD画質対応。
    • 画面解像度が大きく上がり、発色も鮮やかになった。
    • しかし相変わらずモデリングはローポリゴン。「とても美しくなったけど、見た目の印象は元のままキープ」という、雰囲気重視の作りをしている。
      • 本作のモノは過去作と比べて形やテクスチャの凝った物が増えている。でも、やはりポキポキのローポリである。
  • ステージとステキソングは新作が中心。
    • ひとつ前のPSP作品『僕の私の塊魂』は、初代・2作目を携帯機に落とし込んだダイジェスト版+αのような作りをしていた。本作は新規ステージを中心とし、楽曲はステキソング担当アーティストを総入れ替えしている。
      • ただし、過去曲の使いまわしやアレンジ流用が一部ある。
    • 今回のステージ曲も、一度かかったことのある別のステージの曲への変更が可能。
  • システムの基礎は『僕の私の塊魂』のものに近い。
    • ステージクリアのリザルト画面では、課題としての塊のサイズ以外に、特定カテゴリのモノを巻き込む事で上限120点の100点満点評価がなされる。
    • ノルマクリアで、課題達成までの時間を競うタイムアタック的な「つまみぐい」モードが解禁。さらに評価で高得点を出すと、一切の制限が取り払われクリア条件も無くなるエターナルモードが追加される。
  • 塊のスケールが増大。
    • 今回の最大サイズは100万kmオーバー。桁というか、単位が違う。今までごく一部の特殊ステージでしか干渉できなかった「天体」そのものをも巻き込める。
    • 巻き込めるモノは後述のDLCで巻き込めるモノも含め3500種類以上。前作と比べると1000種以上増えている。
  • ロード時間の大幅削減。
    • 表示できるオブジェクト数などに余裕があるのか、本作はステージが広く、モノを取り尽くしてなお時間が余るような状況にはなかなかならないが、ステージ中に長いローディングは挟まらない。
  • イトコ・ハトコ・ルーキーは「メイツ」と呼ばれている。
    • 過去作と何が変わったわけでもないのだが、親戚の数が増えすぎてややこしくなったためひと固まりにされた。もちろん本作でも新顔が増えている。
  • Xbox Liveのオンラインランキング対応。この他、対戦モードもオンで4人までできる。
  • 恒例のエンディングミニゲーム。
    • 今回は塊魂ルールの2D縦シューティングであり、オブジェクトをショットで打つと4つに分裂して小さくなる、王子が転がす塊に小さいオブジェクトが触れると巻き込んで塊が大きくなる、という独自のゲーム性を持っている。
    • なんと高難度モードもあるので、ボリューム不足が嘆かれる本作では貴重な「遊べるゲーム」の1つとして、真面目に攻略に取り組んでみても良いだろう。

ステージ紹介

本作の特殊ルールアトラクションを一部紹介する。

炎熱道場
燃え盛る塊に熱を持ったモノを巻き込んで火星を作る。温度を1万度にすればクリアだが、冷えたモノを巻き込んでしまうと温度が下がる。
コロコロサーキット
タイヤをたくさん塊に巻き込んで土星を作る。
自転車なら「2」、トイレットペーパーの6個入りパックは「6」。輪っか状のモノは全て「1タイヤ」としてカウントする。
ドキドキデパート(DLC)
宇宙ステーションを作る。30万円の資金を得てスタートし、予算内でより数多くのモノを塊に巻き込むこと。意外な高額商品に注意。
神秘の星座占い(DLC)
夜空に浮かべる88星座を一気にまとめて天の川を作ってしまおう。例えばティーポットを巻き込めば、水がめ座を獲得した扱いになる。
ちなみに、この大コスモには「ギン座」や「ピ座」という星座もあるらしい。

賛否両論点

  • 楽曲(ステキソング)について
    • 全体の傾向としては、宇宙や愛という共通のテーマ性はあれども「塊魂のゲームミュージック」としてのイメージカラーはシリーズを重ねるごとに少しずつ薄まり、本作ではかなり「一般的なJ-POP」に寄ったと見ている意見が多い。
      • ただし新曲の評価自体は高く、レビューサイトなどでも、多くのユーザーがお気に入りの曲を見つけて気分良く塊を転がせている様子。何でもかんでも巻き込んでいくシュールなゲームのBGMであり普通のボーカル曲としても聴ける、という出色の出来は未だ健在と言える。
      • 特に『初代』の「LONELY ROLLING STAR」の物語の続きを歌った「Sayonara Rolling Star」は、シリーズ全体で見てもとても人気が高い。
      • シリーズ皆勤だった松崎しげるの降板は大いに残念。ただしこれは、本作発売前の2006年に、松崎しげるがある法的トラブルを起こし騒ぎになってしまったことが原因の一つとして推測され、事情を知るファンからは仕方ないとする声も見られる。
      • 実際、次回作以降では再び復帰しエンディングやメインテーマを担当している。
  • ステキソングの1つに、360版『アイドルマスター』に登場する765プロ所属のアイドル10(+1)名によるスペシャルユニット「アイマスオールスターズ」が参加している。
    • 曲目は「団結」で、歌の中でアイドルが1人ずつ自己紹介をしつつ「ユニットのリーダー役は誰か?」という話題に脱線していく、セリフ主体のキャラソングとなっている。元ネタを知っているかどうかで賛否の分かれるノリで、BGM選択可能な仕様故の奔放さが大胆に表れた。

問題点

  • ステージ数やバリエーションの不足。
    • 本編の構成は、塊を大きくする通常ステージは9、課題や採点方式が特殊なステージがクリア後のオマケを含めて3。
    • DLCでステージを7種追加できるが、有料。全て揃えるには、1,500MSポイント(7種中1ステージのみ300MSP)が別途必要となる。
      • 追加ステージの価格は、2009年12月に1つ80MSPに引き下げられた。
    • ステージ数のボリュームの目安としては、DLC無しの状態では初代以下、追加ステージを全て購入する前提でも携帯機の前作以下である。
      • モノの種類が増えたことでコンプリートなどに挑戦すれば長時間遊べるが、普通にクリアするだけだとかなりあっさり終わってしまう。取り立てて目新しい要素がないいつもの『塊魂』であるため、単純なボリュームが評価に直結しやすい。
  • 本作のDLCは、「やり方が良くない」として批判の対象になりやすい。
    • 単純に数えて全体の1/3以上、特殊ルールに限れば過半数のステージが、DLCによる追加課金で開放する方式。追加ステージはいずれも個性的であり、それらが事前に周知されていた訳でもなかったことなどが非難された。
      • データ配信ではなく元々ディスクに入っているデータのアンロックキー配信であった点も、ユーザーの心証に大きく悪影響を及ぼした。
    • 追加ステージを買わないと達成できない実績があるのも批判されがちな点の一つ。
      • 該当するのは「メイツコンプリート」「プレゼントコンプリート」「特大サイズ(150万km)の塊」の3つ。もっともこれらは当時のある規約の関係上、有料DLCを配信する上では避けられなかったものでもある(余談参照)。
    • このような構成から「ゲームの残り半分を売る」とまで揶揄され、「海外サイトが選ぶ、Xbox LIVEの最もばかげた有料ダウンロードコンテンツ 9選」に選定されるほど猛烈な非難を浴びている。
  • ステージ開始時のローディングはそれなりに長い。プレイ中は快適だが、ゲーム全体でストレスフリーとまではいかない。
  • ハード仕様の問題なのでどうしようもないのだが、2本のスティックの配置が左右非対称の360コントローラーでは、塊魂シリーズ本来の操作感は再現できない*2

総評

ベースは間違いなく面白いゲームであり、また新規のステージや楽曲もそれぞれ好評である。本作に対する不満点は、総合的なボリュームに集中している。
初代作と根幹を変えないシリーズ作品であり、また2作目、3作目がいずれもステージ数を多く確保する方向性だった事から、「この値段でこの内容は薄い」という感想を今でもネット上で容易に見つけられる。
ディスクの中身にアンロックをかけるという商法に対する心情はさておいても、元の定価に対する開放済みの内容量、追加ステージ込みの総額に対する全体の内容量、いずれにも不満が多く挙がる結果となった。

モノコンプや記録更新など、やり込む事で遊び応えについてはある程度はフォローできる。逆に言うと、そこまでやり切るつもりでない場合はかなり割高な部類に入るだろう。購入を検討する際は、自分のプレイスタイルや懐具合と要相談である。


余談

  • 追加ステージを買わないと達成できない実績があるのは前述の通りだが、これについては360ソフトの実績関連の規約についても触れておく必要がある。
    • 本作発売当時、パッケージソフトに関しては「基本1000Gの枠はゲーム本体と無料DLCでカバーすること」「有料DLCでもカバー可能な上乗せ枠で250Gまで追加することができる」という内容となっていた。
      DLCに対する言及がある上記3実績のスコア配分はそれぞれ80G~90G、この3つで合計250Gとなっている。ゲーム本体の範疇にあるものも含めたトータルは1250G。
      つまり、DLC(有料でも可)による上乗せ枠250Gをこの3つで使っているということである。
    • 上述したようにゲーム本体及び無料DLCで基本の1000Gをカバーする必要がある関係上、素敵コレクション(巻き込むモノ)のコンプリートはゲーム本体の範疇に含まれるステージですべて網羅されなければならないことになる。事実、これについてはDLC追加ステージ限定のものは別集計となっており、この実績の解除条件には含まれない。
    • メイツやプレゼントの収集数実績については途中の段階に対するものもあるが、それらについてもコンプリートはDLC限定の物も含めた計算となるがその1つ前まではゲーム本体の範疇に含まれるステージだけで届く。

その後の展開

  • 発売から約1年後以降に廉価版リリースやDLCの値下げがあり、価格面の不満はやや緩和された。
  • PS3/Wiiとのマルチプラットフォームが予定されていたが、『ビューティフル塊魂』としての発売は結局なされなかった。
    • 後にシリーズ総集編的なPS3発売のリニューアル版『塊魂TRIBUTE』に、本作のステージが一部収録される形での登場となった。
      • DLCの追加ステージも多く収録され、『ビューティフル』独自ルールの特殊ステージは、こちらでもほぼ同様のものがプレイできる。ただし音楽は全てアレンジ・カバーバージョンであるため、原曲BGMにこだわる場合は注意。
  • 2021年11月から下位互換リストに追加されたことによりOne/XSXでもプレイ可能になった。
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最終更新:2023年12月05日 16:00

*1 携帯電話向けサービスを除く。

*2 なお、サードパーティー製のコントローラーの中には左スティックと方向キーを入れ替え可能なものもある。