稲川淳二 真夜中のタクシー

【いながわじゅんじ まよなかのたくしー】

ジャンル サウンドノベル
対応機種 プレイステーション
発売元 ヴィジット
開発元 架空
発売日 2000年7月13日
定価 4,800円
廉価版 2001年7月19日/1,980円
判定 なし
ポイント 「現実主義者のこの僕がですよ」
ヴィジットサウンドノベルシリーズ



「もちろん私もたっぷり話しますよ……」



概要

大阪のメーカーであるヴィジットが世に出した8本のPS用ノベルゲームの第8弾で、すなわち8本の中で最後に出た作品でもある。
大幽霊屋敷 ~浜村淳の実話怪談~』『稲川淳二 恐怖の屋敷』に続くタレント出演型怪談ゲームの第3作で、前2作同様グラフィックは実写とCGからなる。


ストーリー

「恐町」という名の町で、タクシーの運転手として働く主人公*1
ある夜、タレントの稲川淳二を客として乗せる事になる。
それ以来、乗せる客は誰も彼も主人公に怪談を聞かせたがり…。


特徴

  • 前作『恐怖の屋敷』は、怪談の話数自体が少ない上に1周でコンプできてしまっていたが、本作は『大幽霊屋敷』に近いシステムに戻っている。
    • 『大幽霊屋敷』に関しても最低2周でコンプできていたが、本作は分岐が複雑になっており、4周は必要になる。
    • 怪談の話数自体は、『大幽霊屋敷』の41本に対し36本と減っている。
      • ただし内訳を見ると、テキストのみのシナリオが15本から8本になっているので、ボイスシナリオは2本増えた計算になる。

問題点

  • 『大幽霊屋敷』同様、テキスト式シナリオにはスキップ・巻き戻し機能は無い。ボイスシナリオも一気にはスキップできない。
    • 前作のテキストシナリオには、巻き戻し機能だけはあったのだが。
  • 「タクシー運転手の主人公が乗客から怪談を聞かされている」という設定故に、怪談中車の走行音が延々鳴り続けており、肝心の怪談が聞き取れない事がある。
  • ボイスシナリオの場合、その怪談に関するグラフィックは画面全体の1/4のスペース(画面右上)にしか表示されない。
    • 画面左上には、その語り手の顔が映っているのだが、ただ延々口パクしているだけなので表示し続けている意味がわからない。
  • 一定のシナリオを集めると出現する隠しシナリオが4本あるのだが、どれもグラフィックは蝋燭を持った稲川氏の立ち絵が表示されているだけ。
  • ゲーム本編は5日間からなっていて、1日が終わるごとにセーブできる。しかし、なぜか3日目だけコースが2種類用意されている。
    • 1周終了の度に初日からやり直しになる(任意の日付は選べない)ので、この3日目の為だけにコンプ済みの日を何度もやらされてしまう。
    • しかもその分岐条件は「ある乗客を無視する」というものなのだが、因果関係が無い為気付きにくい。
  • 特定の怪談を聞いた後に心霊現象に襲われるイベントが発生し、選択肢を間違えると一発死に(ゲームオーバー)する。もちろんノーヒント。
    • 一応ゲームオーバー後もセーブでき、聞いた怪談は保存できるのだが、またその日の頭からやり直しとなる。
  • 怪談集モードのロード時間がやたらと長い。『大幽霊屋敷』の短さとは比較にならない。話数減っているのに。
  • 本編の最初に聞かされる怪談は稲川氏によるものなのだが、その次の乗客から聞かされる(つまり2番目の)怪談「危ないゲーム」の出来が酷過ぎる。
    • 他のボイスシナリオは長くてもせいぜい10分程度だが、これだけなぜか20分もある。
    • しかもやたら話し方の要領が悪い。話が少し進む度に「この人はこういう性格で…」「その話はこんな内容で…」「そのやり方はこんな感じで…」といちいち長ったらしい説明が入る為、とにかくまだるっこしい。
    • その上オチに関しても、幽霊が出たとか誰それが死んだというものではなく、「単なる幻覚なんじゃないの? 」レベルの話。散々長々と話しといてコレかよ?と思うこと請け合いである。
  • 全てのシナリオをコンプすると手に入るご褒美が稲川氏の短いコメントムービー。怪談でも何でもない。
  • 乗客を主に関西を拠点に活躍している役者が演じている。
    • 舞台やナレーションがメインの俳優のためか語りというよりもどうもセリフ臭い喋りで違和感がある。また、無理に標準語で喋っているためかアクセントが不自然な事が多々ある。
  • 稲川淳二の語りの落差
    • いくつかの話がこのゲームオリジナルの内容なのだが、他の媒体でもよく語られる話の時とは明らかに喋りのテンポや間の取り方が悪いほうに違う。おそらくヴィジットから用意された怪談で普段語っている怪談とは構成が違い、自分のものに出来ていないためだと思われる。
    • ただし、お馴染みの怪談のほうもプレイヤーである運転手一人に話しているという設定のはずが、いつものCDやDVDなどのメディア用の聞いている(見ている)視聴者(大多数)相手のテンションで違和感はあるのだが。

評価点

  • 前作より周回プレーを行う回数は増えたので、繰り返し遊ぶ事は出来る。
  • 当時のゲームとしては画質が良い。
  • 音楽はおどろおどろしい感じが出ている。

総評

前作よりは遥かに良い出来なのだが、総合ではシリーズ第1作の『大幽霊屋敷』に及んでいない。
あとは稲川氏の語り口が自分に合うかどうかであろう。

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最終更新:2022年01月28日 18:16

*1 プレイヤー自身の分身であり、名前は無い。